いうことは 新しいことを発見し続けることができるということ それがまた面白いところですね でも逆に 何年も何年も長い間弾いていると 新鮮味がなくなり 時にはマンネリ化してしまう危険性もあります すると お客様にも演奏家本人にとっても コンサートの時に感動がなくなってしまいます 初めて楽譜を見た時の新

全文

(1)

 現代最高のショパン弾きの一人、河村 尚子さんをお招きして 2014 年 11 月か ら開始した「ショパン・プロジェクト」。 第 1 回「バラードとノクターンを中心 に」(バラード全 4 曲など)、第 2 回「思 い出のショパン~師・クライネフに捧ぐ」 (クァルテット・エクセルシオとの共演 によるピアノ協奏曲第 2 番など)、第 3 回「マヨルカ島からノアンへ」(〈24 の 前奏曲〉〈ソナタ第 2 番〉など)と続き、 最終回はショパン晩年の作品に焦点を当 てます。  普段はドイツを拠点に活動している河 村さんですが、今年 6 月はバーミンガ ム市交響楽団の日本ツアーに同行されま した(山田和樹氏の指揮でラフマニノフ のピアノ協奏曲第 3 番を演奏)。その日 本滞在の折にお話をうかがいました。 ――これまでの 3 回を振り返って、ショ パンに対する想い、印象など、どのよう にご自分の中で発展させてこられました か?  第 1 回目は、ちょうど娘を出産して 1 ヶ月半後でした。自分自身が母となる プロセスとともに、このショパン・プロ ジェクトが一緒の歩幅で歩んでいったと いう感じでしょうか。母となってから、 音楽に対して落ち着きを持ち、そして少 しおこがましいのですが、深い音楽を導 き出せるようになった気がします。もっ と若かった時は、単純に“ショパンはキ ラキラしていて美しい”とか、“優美さ を求めるショパン”だったのですが、今 は、痛みや悲しみ、深い喜びを見つける ことができていると思います。  このシリーズが、残り 1 回で終わっ てしまうので悲しい気持ちにもなります が、ショパンに対して新たにそういった 想いを見つけることができたのも、この ショパン・プロジェクトのおかげだと 思っています。 ――今回は「晩年のショパン―幻想」 という副題で、ショパンの晩年の作品 が演奏されます。39 歳でこの世を去っ たショパンの、まだ十分若さが残る「晩 年」であったわけですが ...。  病気がちだったショパンが晩年に書い ている音楽なのですが、どこか楽観的な ところも同時に感じられます。ソナタ〈第 3 番〉は短調で書かれていますが、全て が悲観的ではなくて、第 2 楽章や第 3 楽章は、比較的明るく希望を持った音楽 になっていると思うのです。〈幻想ポロ ネーズ〉も大変切ない音楽にはなってい るのですが、どこか勇敢で、次に進もう というような前向きな姿勢と情熱をも感 じ取ることができます。 ――今回のメイン・プログラムとされ ているソナタ〈第 3 番〉は、以前レコー ディングもされていらっしゃいますね。 プロジェクトの最後を飾るこの 1 曲に ついて、聴きどころなどお聞かせくだ さいますか?  “聴きどころ”と改めて尋ねられると、 私もどこだろう…と考えてしまうのです が…。18 歳の頃からずっと弾き続けて いる曲なので、自分の身体に染み込んで しまっているのです。  ショパンがポリフォニーに挑んでいる というのがよく分かる曲ですね。晩年に なってポリフォニーに興味を示したとい うか、ポリフォニックな音楽に挑戦した というか…。例えば第 2 楽章の中間部 では5声に別れてメロディが繰り広げら れています。その際ショパンは多様に「掛 留和音」(本来ならリラックスさせる解 決音を要される箇所で不協和音を用いた ままフレーズを意図的に解決させず、テ ンションを保たせる作曲法)を用い、和 声的に言えば摩擦の多い、音楽的に言え ば大変ジャジーな音楽に仕上げていま す。しかしそれが大変上品でつつましい ジャズ要素であるため、普通に聴いてい ればクラシック音楽としか感じられませ んが、それが後のラフマニノフにも繋が るような書法になっていると思います。 ――演奏法など、何か変化がありまし たか?  弾き始めの頃は、無我夢中で全ての音 を弾いていました。でも最近は、“構成” がとてもクリアになってきていると思い ます。構成がクリアになるまでは、他の 作曲家の曲を弾くなどして、一定の距離 を置きました。そこから、構成を見出し たと言えます。1 曲を長く弾き続けると

河村尚子ショパン・プロジェクト 第 4 回「晩年のショパン―幻想」

好評のプロジェクトがいよいよ最終回!

河村尚子が晩年のショパンの魅力を語る

11.12

聞き手 関根哲也 1-2. 河村尚子ショパン・プロジェクト 第 4 回「晩年のショパン―幻想」 2-3.SUGADAIRO PROJECT vol.1 スガダイロー×山下洋輔 「狂演」 4. SELF PORTRAIT 5. 中学校合唱の祭典/最近の公演から/平成29年度「茨城の演奏家による演奏会企画」決定/   小澤征爾館長写真集発売のお知らせ  6. INFORMATION

F

OC

US

2016

NOVEMBER

VOL.

212

水 戸 芸 術 館 音 楽 紙[ ヴ ィ ー ヴ ォ]

11

河村尚子 ⓒHirofumi Isaka 左:山下洋輔 ⓒJimmy&Dena Katz 右:スガダイロー ⓒ梅原渉

(2)

F

OC

US

いうことは、新しいことを発見し続ける ことができるということ。それがまた面 白いところですね。でも逆に、何年も何 年も長い間弾いていると、新鮮味がなく なり、時にはマンネリ化してしまう危険 性もあります。すると、お客様にも演奏 家本人にとっても、コンサートの時に感 動がなくなってしまいます。初めて楽譜 を見た時の新鮮な発見や驚き、喜び、そ して閃きをコンサートで出せるようにし なければいけません。お芝居をする人 が、ずっとずっとセリフの練習をしてき て、本番では今ここで起こったかのよう に芝居をしなければならないのと同じよ うに。 ――反対に〈幻想ポロネーズ〉の演奏は、 日本では 2009 年以来とのことですね。 今回久しぶりに弾こうと思ったきっかけ をお教えいただけますか。  それはですね、未練があったからです (笑)。弾き足りなかったですし、まだあ の頃はこの曲について理解できてなかっ たのかな、と思ったからです。少しプレッ シャーでもありますが、自分への挑戦で もありますね。 ――最後にお客様へメッセージをお願い いたします。  今回でショパン・プロジェクトも第 4 回目となり、プロジェクト最後の公演と なりました。2 年前の第 1 回目から演奏 会を聴きに来て、応援をして下さった聴 衆の皆様に、心から御礼申し上げます。 何せ、このようなシリーズを任せて頂い たのが初めてだったので、光栄であるも のの、プログラミングをどうしたら良い ものか、当初は迷ったものでした。少し 背伸びをしつつ、しかし無理に高い壁を 越えることなく新しいことに挑戦するこ とができ、大変嬉しかったです。  毎回水戸を訪れて感じることは、この 街での生活の質がどれだけ高いかという ことです。日常にある文化のレベルが高 いと思うのは私だけでしょうか?音楽、 美術、演劇を芸術館で愉しみ、偕楽園で 日頃の疲れを癒し、水戸でしか頂けない 美味しい納豆を食べる。土地も広々とし て自然も豊かですし、農産物が豊富なた め食べ物も美味しい。日常の文化のレベ ルが高ければ、きっと住んでらっしゃる 方々も幸せなのではないでしょうか?こ のような生活がある水戸を是非保って頂 けるよう願うばかりです。

狂熱のフリージャズピアニスト、スガダイローによる新シリーズ始動。

第一夜は、巨匠・山下洋輔が登場――斬るか斬られるかの真剣勝負を見逃すな!!

「何だこれは…!!!?」  スガダイローの演奏を初めて聴いた 時の驚きは今でも忘れられません。大 地に楔を打つような強烈なタッチ、ピ アノが今にも発火しそうな爆発力、時 速 200km で飛ばしているかのような疾 走感に、共演者との挑発的な音の駆け 引き。しかし次の瞬間、ハッとさせる 澄んだ一縷の光を音で奏でる…アナー キーなことを醒めた意識で次々と仕出 かす演奏は、それまでの価値観ががらっ とひっくり返ってしまうほどの大きな 衝撃でした。   水 戸 芸 術 館 で こ の 秋 か ら 始 動 す る ジャズピアニストのスガダイローを中 心 と し た プ ロ ジ ェ ク ト( 全 三 回 ) で は、その演奏の魅力を体感していただ けるライヴや、様々なアーティストた ちと境界を越えて生み出す新感覚のパ フォーマンスをお届けします。  奇才・スガダイロ―とは  まずは主役のご紹介を。スガダイロー は 1974 年生まれ。ピアノはクラシッ クから入ったものの、中学生の時 2 人 のピアニストの演奏を聴いて、ジャズ に目覚めました。一人は、モダン・ジャ ズ・カルテットを率いたピアニスト、 ジョン・ルイス。もう一人は、日本ジャ ズ界の最高峰、山下洋輔です。山下さ んの演奏に感化されたスガさんは、大 学で生物学を学んでいた道から一転、 山下さんが教授を務める洗足学園短期 大学(当時)ジャズコースに一期生と して入学しました。その後、名門バー クリー音楽大学に留学し、帰国後は「渋 さ知らズ」や「鈴木勲 OMA SOUND」 で活躍。「山下洋輔トリオ狩り」と称し て、坂田明をはじめ、山下トリオの歴 代メンバー全員と共演を果たし、「ダイ ローは頭がおかしい」と絶賛されたと か。また自己のトリオでの活動のほか、 飴屋法水、向井秀徳(ZAZEN BOYS)、 七尾旅人、灰野敬二、contact Gonzo、 近藤良平(コンドルズ主宰)ら、注目 すべきパフォーミングアーティストた ちと数々の「異種対決」を繰り広げ、 その奇才ぶりで数多くの表現者たちを 驚かせています。さらに、サントリー サマーフェスティバル 2015 では、ツィ ンマーマン作曲〈ある若き詩人のため のレクイエム〉(日本初演)にクインテッ トとして出演。同年、KAAT 神奈川芸 術劇場で舞台〈ペール・ギュント〉の 生演奏を担当。連続起用された今年は、 舞台〈マハゴニー市の興亡〉にて音楽 監督・生演奏を務め、ブレヒト作・ヴァ イル作曲のオペラを元にしながらも、 彼ならではの現代的で挑みかかるよう な演奏が、ある意味で救いようのない 物語の大きな推進力となり、聴衆に大 きな感動をもたらしていました。ジャ ズ界のみならず、様々なフィールドで の活躍から目が離せないピアニスト、 それがスガダイローです。 巨匠・山下洋輔、水戸芸術館に現る  そんなスガダイローが水戸芸術館で 繰り広げる新プロジェクト。第一夜に

河村尚子 ショパン・プロジェクト

第 4 回「晩年のショパン―幻想」

11/12

(土)15:30 開場 16:00 開演 会場 水戸芸術館 コンサートホール ATM 全席指定 一般 3,500 円      ユース(25 歳以下)1,000 円 曲目 3 つのマズルカ 作品 59    即興曲 第 4 番 嬰ハ短調     作品 66〈幻想即興曲〉    ポロネーズ 第 7 番 変イ長調     作品 61〈幻想ポロネーズ〉    ピアノ・ソナタ 第 3 番 ロ短調 作品 58

11.26

SUGADAIRO PROJECT vol.1 スガダイロー×山下洋輔 「狂演」

文 高巣真樹

(3)

登場するのは、日本のジャズ界最高峰 で活躍し続けるピアニスト、山下洋輔 です。ときにピアノを拳や肘で叩きな がら繰り広げられる熱狂的なフリー・ ジャズで、日本のみならず欧州の聴衆 を大いに沸かせ、さらにはあらゆるジャ ンルの表現者との「異種格闘技」(ピア ノを燃やしながら弾くのも炎との「格 闘」!?)や、リズミカルな文体をも つ執筆家としても活躍しています。最 近ではオーケストラとの共演も重ねて おり、NHK 交響楽団ほか日本各地のオ ケはもちろん、2004 年には、かのトス カニーニも指揮を務めていたイタリア 国立放送(RAI)交響楽団の定期演奏会 に佐渡裕指揮で登場。山下さんの自作 であるピアノ協奏曲第 1 番〈エンカウ ンター〉を、締太鼓も加わってのボル テージの高い演奏で自ら披露し、イタ リアで大きな話題を呼びました。最近 ではクラシックの殿堂、ウィーン楽友 協会の「黄金のホール」でトーンキュ ンストラー管弦楽団と共演し大成功。 まさに「日本最強のジャズピアニスト」 という名がふさわしい活躍を繰り広げ て い ま す。 水 戸 芸 術 館 で は 1998 年、 2001 年 に 登 場。 さ ら に 2009 年 に は サクソフォンの平野公崇、チェンバロ の西山まりえとの異色の共演で大きな 話題を呼んだことも記憶に新しいです ね! 「双子の銀河系」の衝突!? 一瞬たりとも気がぬけない真剣勝負の一夜  そんな山下さんは、洗足学園の入試 のときからスガさんの才能に度肝を抜 かれ、初めてリーダーを務めた CD「ス ガダイローの肖像」には、「双子の銀河 系の誕生を目撃しているような体験を した。その中にスガダイローの世界が 姿を現し始めている。戦慄だ」と推薦 文を寄せています。今回、水戸芸術館 「SUGADAIRO PROJECT」の幕開けに 据えた二人の貴重なライヴは、まさに この「双子の銀河系」が激突するよう な事件になることは間違いありません。 違う持ち味を湛えながら、ともに一線 を飛び越えた者にしか持ちえない強烈 な磁力を持つ二人の猛者が、互いの音 に反応しながら激しくぶつかり合う、 血が沸騰するほどに熱いステージ。プ ロジェクトの今後の 2 回の公演とあわ せて、ぜひお聴き逃しなく!! ◆スガダイローからのメッセージ◆  水戸のライヴハウスに出演するよう になったのは 10 年程前からです。「世 の中の不景気なんて関係無いね!俺た ちは好きな音楽聴いて好きなだけ騒ぐ んだ!」と、もはやヤケクソにも近い 熱狂を観客の皆さんから感じて驚いた 印象があります。さすがに当時の勢い は弱まったもののそれでも年に 1 回位 のペースでは水戸に呼んでいただいて いるので、なかなかどうして水戸の底 力に震撼しております。中には「年に 最低 3 回は来てくれないと困る!」と いった嬉しい事を言ってくださるお客 様もいて、「さすがにそんなに呼んで もらえるわけないじゃないですか!そ れじゃ皆さんの財布がすっからかんに なりますよ、あはは!」などとふざけ て い た ら 本 当 に 呼 ば れ て し ま い ま し た。ある日いきなり、3 公演なにかや りなさいとオファーが。「え?まだそ ち ら で は 1 回 も 公 演 し た こ と な い で すよ?」「いいからやりなさい!」「は い!」。物好きな(←良い意味ですよ) ジ ャ ズ ク ラ ブ の マ ス タ ー の 酔 い に 任 せた突発的やけっぱち命令ではなく、 な ん と な ん と 天 下 の 水 戸 芸 術 館!   うーむ!なんと無謀な!しかしワク ワクします。これまでも水戸で「ガン ダムのサウンドトラックをジャズにし ろ!」とか「カップルお断りの地獄の ク リ ス マ ス ラ イ ブ を 開 催 し ろ!」 等 様 々 な 無 茶 振 り 企 画 で 演 奏 し て き ま し た の で そ の 経 験 を 十 分 に 活 か し ま す。どんな出し物でも水戸の皆さんな ら と て も と て も 喜 ん で い た だ け る の ではないかと楽しみにしております。  そしてやはりこういった愉快な企画 を水戸でやるとなるといつも思い出す のが水戸幕末争乱の事です。世が世な ら水戸藩の志士たちが明治政府を率い たとしてもおかしくなかったのですが、 まどろっこしい駆け引きを嫌った天下 の無謀人たちは明治維新になる前に激 戦で命を落としたのです。しかし、彼 らの気概はしっかりと街全体に根付い ているようです。3 公演、ここは一丁 派手に暴発するとしますか!     このプロジェクトのプロモー     ション映像を公開中です。ぜ     ひご覧ください!

SUGADAIRO PROJECT vol.1

スガダイロー × 山下洋輔 「狂演」

11/26

(土)18:00 開場 18:30 開演 会場 水戸芸術館 コンサートホール ATM 全席指定 A 席 5,000 円 B 席 4,000 円      ユース(25 歳以下)1,500 円

担当者イチオシのCD

《山下洋輔 × スガダイロー》

日本ジャズ界の二大ピアニストによる真剣勝負を記録した伝説 的ライブ音源。山下洋輔がソロで〈ボレロ〉を熱演すれば、ス ガは、〈ボレロ〉を弾き始めつつもいつのまにか「音飛び技法」 を駆使しながらオリジナル曲〈時計遊戯〉へ移行。その後、山 下洋輔の代表曲〈キアズマ〉で幕を開けた瞬間から、二人の全 力疾走が始まる。聴き手を高揚させる二人の大暴れは必聴!! DOC-1297(2014 年) 左:山下洋輔  右:スガダイロ― スガダイロ―プロジェクト 検索

(4)

城戸春子 チェロ・リサイタル

永田絵里子 ピアノ・リサイタル

11.20

at

14:00

11.23

水・祝

at

14:00

 フランスから帰国し、東京で初のソ ロ・リサイタルをしてから 10 年が経 ち、現在は 2 人の男の子を育てながら、 どれだけ自分と向き合えるのか、夜に なるといつも短すぎる 1 日を省みてい るところです。  今回、プログラミングするにあた り、まず最初に取り上げようと思った のは、ショスタコーヴィチの〈チェロ・ ソナタ〉作品 40。透明感のある洗練さ れた旋律、第 2 楽章のフラジオレット を使った奏法の面白さ、第 3 楽章の暗 く震えるような魂の叫び、そして第 4 楽章のユーモアや明るさはどこか皮肉 的にも感じられ、それは背景にある戦 争の暗い世界から生まれたからでしょ う。それに対してブラームスの〈チェ ロ・ソナタ 第 2 番〉は、冒頭の生き生 きとしたピアノの 6 連符に乗って繰り 広げられるチェロの旋律のラインの躍 動感、ブラームスが密かに思いを寄せ ていたシューマンの妻クララへの愛を 囁く切ないメロディーとも言われてい る情緒たっぷりの第 2 楽章(クララに は怒られたそうですが)。民謡風でリ ズムの楽しいお祭りのような第3楽章、 そこから自然に繋がる第 4 楽章。人間 らしい「生命の躍動」が伝えられたら、 と思っています。シューマンは、修士 論文に取り上げる程大好きな作曲家。 繊細で少年らしい旋律が大好きで、〈民 謡風の 5 つの小品集〉はいつか弾きた いと思っていて、ブラームスとのカッ プリングもぴったり。「鳥はピースピー スと鳴いている」というカザルスの平 和を願う気持ちがこもった〈鳥の歌〉。 ユダヤ教の抑圧された中で神に祈る旋 律と、その後の救いの旋律の 2 つから 成り立っている神秘的でロマンチック なブルッフの〈コル・ニドライ〉。  今回、サブタイトルの「エモーショ ン」は、心が躍動するような意味合い の言葉を入れたくて付けました。人 間の声に一番近いといわれるチェロ の声で、1 曲ずつに様々な思いを乗せ て皆様の心に届けられるように準備中 です。世界に発信し続ける素晴らしい ホール、水戸芸術館でお待ちしており ます。 城戸春子  今回のプログラムは、私が 4 年間留 学していたモスクワで向き合った曲が 中心となっています。留学中は、モス クワだからこそ経験出来たことや、感 じることの出来たことがたくさんあっ たと思います。凍えるような寒さの中、 雪道を寮から音楽院まで 40 分間歩い ている時でも、私の師であるイゴリン スキー先生のレッスンのことを思うと 足取りが軽くなってしまうくらい素晴 らしい時間を毎回過ごしてきました。 先生の知的でかつ温かいピアノの音色 は、どんよりとした冬景色を溶かすよ うで心が震え、この音楽をなんとか吸 収したいと前のめりでレッスンを受け たものです。すでに真っ暗になってい る帰り道では、雪道がキラキラとダイ ヤモンドのように光っていて、再び心 が震えたことを覚えています。日本の ように娯楽が溢れていない分、そのよ うな瞬間が本当に大切で敏感に心を感 動させるのでした。  また、留学するまでロシアといえば 「冬」 のイメージでしたが、「春」 と 「夏」 にこそ喜びが溢れていることを 実感しました。いつまで続くのかと気 が滅入るような冬が終わり、皆が待ち わびていた雪解けが始まると、自然と 人々が外へ繰り出します。厳しい寒さ の中、しかめっ面をして歩いていたお じちゃんが、半袖姿で幸せそうな顔で 公園のベンチに寝ている姿を見ると、 「今年も春になったんだなぁ」 と私ま で心が弾んだものです。第 2 部で演奏 するチャイコフスキー作曲の〈四季〉 は、特にロシアの風景、そして人々の エネルギーが映し出されています。ロ シアで生活したからこそ感じることの 出来た暗いだけではないキラキラ輝い た部分も音で表現したいです。  今回は、ブラームス作曲の〈6 つの 小品〉をはじめとする色彩溢れるプロ グラムです。様々な音色をホールいっ ぱいに響かせお届けできたらと思って います。 永田絵里子

(5)

 水戸市立中学校では、毎年、それぞ れの学校内で合唱コンクールを行ってい ます。そのコンクールで学校代表に選ば れたクラスや団体が一堂に会し、その成 果を披露する演奏会を開催します(第 1 部 10:00 ~、 第 2 部 14:00 ~)。 演 奏会の運営も、各校から選出された中学 生たちによるプロジェクト委員が担当しま す。また、ソプラノ歌手の小泉惠子さんが、 講評と模範演唱を行い、より一層の表現 の向上を目指します。  当日の客席は、参加生徒とその関係者 で占められてしまいますが、一部を一般席 として開放します。ご興味をお持ちの方は、 是非ご来場ください。

平成 29 年度「茨城の演奏家による演奏会企画」が決定しました。

 水戸をはじめ茨城にゆかりのある演奏家および演奏団体の方々に、水戸芸術館でリサイタルや演奏会を企画、開催していただく「茨 城の演奏家による演奏会企画」。この度、平成 29 年度の出演者が決まりました。vivo 読者の皆様も、コンサートホールに足をお運び いただき、これら優れた茨城の演奏家たちの活動に、一層のご支援をいただけましたらと思います。 [29 年度実施企画]茅根順子(メゾソプラノ)、千葉博美(ピアノ)、中田恵子(パイプオルガン)、アンサンブル奏(器楽アンサンブル)、 茨城笛の会(フルート・オーケストラ)、NHK水戸児童合唱団(合唱) (選考委員:池辺晋一郎、臼井英男、梶原征剛、堀 伝、間宮芳生)

マエストロ小澤の円熟の 30 年間の軌跡を辿る写真集が刊行されました。

『小澤征爾- Seiji OZAWA -』(小澤征爾/著、大窪道治/写真)[新潮社]  小澤征爾館長のこれまでの活動を写真に収めた記念碑的な写真集が、新潮社から刊行されました。 ご本人が語る思い出やエピソードも挟みながら、ボストン交響楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽 団、サイトウ・キネン・オーケストラ、そして水戸室内管弦楽団などを指揮する姿から、バックステージ やプライベート・ショットまで、印象的な写真の数々が収録されています。撮影は、大窪道治さん。大窪 さんは、水戸室内管弦楽団のオフィシャル・カメラマンも務めていただいている方です。 文 中村 晃

中学校合唱の祭典

中学生たちのひたむきな歌声がホールに溢れます。

11.19

中学校合唱の祭典

~芸術館で歌おう~

11/19

(土)第 1 部 10:00 開演          第 2 部 14:00 開演 会場 水戸芸術館 コンサートホール ATM 入場無料 〔第 1 部〕国田義務教育、第一中、第四中、千波中、 内原中、飯富中、双葉台中、常澄中 〔第 2 部〕第二中、第三中、赤塚中、笠原中、緑岡中、 第五中、石川中、見川中  2016.9.25

朴 葵姫 ギター・リサイタル

 ギター界でいま熱い注目を集めている、朴葵 姫さんのリサイタルを開催しました。「旅」をコ ンセプトに、ギター音楽の宝庫でもあるスペイ ンの作品から中南米の作品まで、色彩感豊かな 曲目が選ばれました。驚くほど繊細なトレモロ のテクニックが活かされたタレガ〈アルハンブラ の思い出〉やバリオス〈森に夢みる〉はもちろん、 アルベニスの作品ではスペインの町々の情景が 目に浮かぶ、表情豊かな演奏が披露されました。 MC では、ヒナステラのソナタで要する打楽器 的奏法を「ネコパンチ」と表現し、お茶目な一 面でお客様を和ませた朴さん。難易度の高い技 巧が凝らされた楽曲を、研ぎ澄まされた集中力 で劇的に披露し、会場を大いに沸かせました。 アンコールはディアンス作曲〈タンゴ・アン・ス カイ〉。《高巣》アンケートから■曲目によって違っ た音色を奏でるギターの魅力、圧巻です。(水戸 の方)■ギターの幅広さと深さを今まで以上に 感じました。朴さんのもっている音楽の世界の広 さ、深さに感動しました。キウイ、ナシ、リンゴ …木から葉、実すべてを使いきって料理するとい うような演奏に驚きました。(鉾田市の方)■ク ラシックギターの音色の固定概念を見事に打ち 破ってくれた、透明感のある完成度の高い音色 であった。とてもセンスの良い方なのだと思った。 (水戸市の方) 1 :朴 葵姫 ギター・リサイタル 2 :茨城の名手・名歌手たち 第 26 回 

最近の公演から

1 2 2016.10.1

茨城の名手・名歌手たち 第 26 回

 5 月に行った出演者オーディション(管楽器・ 打楽器・声楽・器楽アンサンブル部門)に合格 した、茨城ゆかりの演奏家によるガラ・コンサー ト。出演は、山田涼子さん(オーボエ)、白石 はるかさん(クラリネット)、根本彩生さん(マ リンバ)、池田由紀子さん、庄司奈穂子さん(以 上ソプラノ)、チョン・キヒョンさん(テノー ル)、飯村泰志さん(バリトン)、Ensemble Cinq Couleurs(木管五重奏)、Tsukuvago(サ クソフォン、トランペット、ピアノ)の 9 組。 今回のオーディションの審査と演奏会の司会を 務めた宮本文昭さんがお話しになっていたよう に、5 か月ぶりに水戸芸術館の舞台に立った出 演者たちは、オーディションのとき以上にそれ ぞれの音楽性を深化させ、素晴らしい演奏を聴 かせてくださいました。来年からは、水戸芸術 館でのオーディションと演奏会に加えて、新た に常陽藝文ホールを会場にした「茨城の名手・ 名歌手たち 藝文コンサート」も始まります。 こちらもどうぞご期待ください。《篠田》アン ケートから■一生懸命練習なさった結果の演 奏。聴く者を動かす力がある。ありがとうござ いました。(東海村の方)■前年から内容に変 化があって良かったです。(水戸市の方)■茨 城から世界に誇る名手・名歌手が誕生すること を願っています。来年も楽しみです。(ひたち なか市の方)

(6)

2016.1

1

編集後記

information

  

ってみました。気になっていたボ ルダリング。運動音痴の割にはい けるじゃない、と調子に乗って壁登り を楽しんだのですが…さすがは初心者。 帰りの車のハンドルを握るのが危うい 程、指のプルプルに襲われました。(り)

9

月 26 日 20 時 17 分、次男が誕生。 予定日よりだいぶ早くて NICU に入 院になりましたが、おかげさまで元気。 今では酸素チューブや点滴を外しても らえ、ミルクを頑張って飲んでいます。 日々の成長ぶりに驚いています。(篠)

の夏はスペインへ。強烈な太陽が 生み出す光と影、鮮やかな色を浴 び、人懐こい人たちと出会いながら各地 を歩くこと八日間。いつのまにかピカソ の奇想天外な絵も、濃密なフラメンコ も、前より腑に落ちるようになった。(樹)

術館の芝生で宮本文昭さんとライ ンハルト・ホルヒさんはよく寝転 んでいらした。ホルヒさんは禅の世界に も通ずる思索的なお話をされていたとい う。おふたりが MCO のオーボエの席を 離れ、もうすぐ 10 年。早いなぁ。(て)

内小中学校クリスマス・コンサー トの準備が始まった。20 年間、 公演を支えてきたアートタワーみとス ターライトファンタジー実行委員会が、 活動を休止された。その想いを受け継 いで、この公演を続けていきたい。(中)

車で本を読むので、書店で貰える ブックカバーを重宝しています。 他の本を読むときに再利用もするのです が、大抵のカバーはすぐに紛失してしま います。保存場所を作るべきか、それ以 前にブックカバーを買うべきか…。(峠) 水戸芸術館音楽紙 [ ヴィーヴォ] 2016 年 11 月発行 第212 号 編集発行:水戸芸術館音楽部門 〒 310-0063 茨城県水戸市五軒町 1-6-8 TEL 029-227-8118 FAX 029-227-8130 E-MAIL ankmr@arttowermito.or.jp URL http://arttowermito.or.jp/ 編集:水戸芸術館音楽部門 ( 五十音順)/石井亮子  大峠百合香 篠田大基 関根哲也 高巣真樹 中村晃 デザイン・印刷所:山三印刷株式会社 ■水戸市民吹奏楽団 第 39 回定期演奏会  2017 年 1/21(土)17:00 開演  料金[全席自由]¥500

■ SUGADAIRO PROJECT vol.2「秘境/魔境」

 スガダイロー × 田中泯(ダンス)、近藤岳(パイプオルガン)、有馬純寿(エ  レクトロニクス)  2017 年 1/28(土)18:30 開演  料金[全席指定]一般 ¥3,500 /ユース(25 歳以下)¥1,000 ■兼氏規雄 クラリネット・リサイタル  2017 年 2/5(日)15:00 開演  料金[全席自由]一般 ¥3,000 /学生 ¥1,000 《11 月 3 日(木・祝)発売分》 ■水戸室内管弦楽団 第 98 回定期演奏会(第 2 部指揮:小澤征爾)  2017 年 1/13(金)19:00 開演、1/15(日)14:00 開演  料金[全席指定]S 席 ¥15,000 / A 席 ¥12,500 / B 席 ¥10,000 ※水戸室内管弦楽団第 98 回定期演奏会には、10/29(土)より財団運営維持会員、10/30(日)  より友の会(一般、法人)会員の先行電話予約がありますので、11/3(木・祝)の一般発売の時点で、  公演日や券種によってはお客様のご希望に添えない場合があります。予めご了承ください。 ※発売初日に芸術館でお求めになれるチケットは、水戸室内管弦楽団第 98 回定期演奏会では、お  1 人様 1 回につき 2 枚までとさせて頂きます。 《11 月 5 日(土)発売分》 ■水戸室内管弦楽団 川崎公演 会場:ミューザ川崎シンフォニーホール  2017 年 1/17(火)19:00 開演  料金[全席指定]S 席 ¥15,000 / A 席 ¥12,500 / B 席 ¥10,000  チケットお問い合わせ:044-520-0200(10:00 ~ 18:00) ※川崎公演のチケットは水戸芸術館チケット予約センターでは取り扱いいたしません。 《 10 月 29 日(土)発売分 》

vol.212

       水戸芸術館の主な 11 月のスケジュール コンサートホール ATM ■河村尚子 ショパン・プロジェクト 第 4 回「晩年のショパン―幻想」  11/12(土)16:00 開演  料金[全席指定]一般 ¥3,500 /ユース(25 歳以下)¥1,000   ※ 10/5(水)現在の状況です。 ※固定席が売り切れ次第、補助席を販売いたします。 ○・・・残席あり(20 席以上)  △・・・残席わずか(20 席未満)  ×・・・残席なし 中央・・・中央ブロック 左右・裏・・・左右ブロックおよびステージ裏  補助・・・補助席 ◎水戸室内管弦楽団 第 97 回定期演奏会(指揮:ナタリー・シュトゥッツマン) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/29(土)中央 ×、左右・裏○ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/30(日)中央 ×、左右・裏○ ◎河村尚子 ショパン・プロジェクト 第 4 回「晩年のショパン―幻想」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/12(土)中央○、左右○ ◎城戸春子 チェロ・リサイタル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/20(日)自由席○ ◎永田絵里子 ピアノ・リサイタル・・・・・・・・・・・・・・・・・11/23(水・祝)自由席○

◎ SUGADAIRO PROJECT vol.1 スガダイロー × 山下洋輔(ピアノ)「狂演」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/26(土)中央○、左右・裏○ ◎イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/17(土)中央 ×、左右・裏○ ◎クリスマス・プレゼント・コンサート 2016 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/23(金・祝)中央○、左右○ ■ ACM ファミリーシアター『ルドルフとイッパイアッテナ』  11/5(土)、13(日)各日 13:00 開演  11/6(日)、12(土)各日 11:00 / 14:30 開演  料金[全席指定]大人 ¥2,500 /子ども(小学 6 年生以下)¥1,000 ACM 劇場 エントランスホール ■パイプオルガン プロムナード・コンサート (入場無料)  11/3(木・祝)関日向花 12:00 ~/ 13:30 ~(各回 30 分程度)  11/13(日)野田優子 11:00 ~(30 分程度) ■プロムナード・コンサート EXTRA (入場無料)  11/27(日)宇佐見明子(筝) 12:00 ~/ 13:30 ~(各回 30 分程度) ■「クリストとジャンヌ=クロード アンブレラ 日本=アメリカ合衆国 1984-91」展  10/1(土)~ 12/4(日)9:30 ~ 18:00 ※入場は 17:30 まで  [休館日]月曜日   [入場料]一般 ¥800 /前売り・団体(20 名以上)¥600  ※中学生以下・65 歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付添いの方 1 名は無料  ※ KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭との相互割引有。作品鑑賞パスポー   ト(前売り引換券含む)および個別鑑賞券半券のご提示で、本展に団体料   金でご入場頂けます。 現代美術ギャラリー チケットに関するお問い合わせ        水戸芸術館チケット予約センター TEL 029-231-8000        営業時間 : 9:30 〜 18:00(月曜休館) 公演内容や企画に関するお問い合わせ         水戸芸術館音楽部門 TEL 029-227-8118 ホームページ http://arttowermito.or.jp/ 公式ブログ  http://blog.arttowermito.or.jp/staff/ ATM 便り  毎月1回茨城新聞に不定期登場        @ConcertHall_ATM  @art_tower_mito        www.facebook.com/arttowermito ■中学校合唱の祭典~芸術館で歌おう~  11/19(土)第 1 部 10:00 開演/第 2 部 14:00 開演  入場無料[全席自由] ※関係者席以外の座席を一般に開放いたします。 ■城戸春子 チェロ・リサイタル  11/20(日)14:00 開演  料金[全席自由]一般 ¥3,000 /大学生以下 ¥1,500 ■永田絵里子 ピアノ・リサイタル  11/23(水・祝)14:00 開演  料金[全席自由]一般 ¥2,500 /高校生以下 ¥1,000 ■立川志の輔独演会  11/24(木)18:30 開演  料金[全席指定]S 席 ¥3,500 / A 席 ¥3,000

■ SUGADAIRO PROJECT vol.1 スガダイロー × 山下洋輔(ピアノ)「狂演」  11/26(土)18:30 開演  料金[全席指定]A 席 ¥5,000 / B 席 ¥4,000 /ユース(25 歳以下)¥1,500 ■吉永小百合チャリティ朗読会  11/30(水)18:30 開演  料金[全席指定] ¥5,000 / U-25 ¥1,000(寄付金を含みます。) チケット・インフォメーション これからの演奏会・残席情報

Updating...

参照