チーム医療としての栄養管理・栄養療法を考える
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(2) 676. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. などが多く,これに小食や食欲不振,偏食,基礎疾患などが加. 割であると考える。今後褥瘡対策や摂食嚥下障害対策において. わり,食事の量と質に制限がかかる要因が増加する。また脳梗. より協働できることに期待している。. 塞後遺症や神経疾患などから誤嚥の危険性が高くなる。管理栄 養士の立場からは経口栄養(食事)から少量で高エネルギー, 加えて嚥下特性の高い物性を有する食事内容を検討することに. 長期療養型医療機関での栄養管理・栄養療法とリハビ リテーションの協働. なる。栄養補給量アップには粉あめや脂身のついた肉やウナギ. 長期療養型医療機関において,安定した患者の療養生活には. の使用を検討し,タンパク質補給には卵,乳製品,肉類での補. どのような場面においてもチーム医療の実践と考え方が不可欠. 給に加えて濃厚流動食の飲用なども検討する。小食や食欲不振. である。. に対しては香辛料の使用,口腔ケア,食欲低下を起こす薬剤の. その中でも基本的ケアである栄養管理と身体機能に応じたリ. 検討,食欲増進効果のある薬剤使用の検討まで考える必要があ. ハビリテーション専門職の介入・コラボレーションは最重要で. る。嚥下障害に対しては凝集性と付着性を調整した食事の提供. ある。栄養管理・栄養療法とリハビリテーションの協働,リハ. を検討する。しかし管理栄養士や調理師が調理した食事では食. ビリテーション専門職,理学療法士と管理栄養士の協働こそが. 物の物性にばらつきが生じる。そのためすべて既成品ゼリーで. 長期療養型医療機関においては患者の重症化予防と ADL 維持. 構成された食事の提供を上申する場合もあり,多くの既成品ゼ. と重症化予防に貢献できるものと考える。. リーも当院では常時備蓄している。. 理学療法士と栄養管理・栄養療法を行うことの意義. 最後に,記念すべき第 50 回日本理学療法学術大会において, 日本理学療法士協会と日本静脈経腸栄養学会との合同シンポジ. 前述のように,ここ数年で常勤の理学療法士が 2 名在籍する. ウムで筆者に発表の機会を与えていただいた第 50 回日本理学. ようになったが,NST の構成メンバーにはなっていない。し. 療法学術大会 内山 靖大会長,日本静脈経腸栄養学会 東口. かしながら当院のような精神科病院では理学療法士の存在は大. 髙志理事長はじめ多くの関係者の皆様に感謝申し上げます。. きく,困難症例での栄養管理・栄養療法を行ううえで理学療法 士との協働は重要になる。特に精神科特有の問題として向精神 薬の副作用で腸管蠕動運動の低下から特に便秘での排便コント ロールが問題になることが多い。このような場合筆者から理学 療法士の介入を精神科主治医に依頼を上申することが多い。協 働で介入を行う場合,骨盤前傾,体幹回旋運動に加えて全身の 身体機能維持・向上を目的としたリハビリテーション強度・活 動量に見合った栄養量を算定することも管理栄養士の重要な役. 文 献 1) 岡田有司:NST 実践事例 ハートランドしぎさん.月刊総合ケア. 2004; 14: 30–34. 2) 岡田有司,澤井照佳:地域における精神科病院・長期療養型病院 の NST.静脈経腸栄養.2009; 24: 923–926. 3) 葛谷雅文:高齢者の栄養管理 そのポイントと up to date.静脈経 腸栄養.2007; 22: 433–437. 4) 井上善文:栄養投与量の決定,静脈経腸栄養ガイドライン.日本 静脈経腸栄養学会(編),照林社,東京,2013,pp. 140–148..
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