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Src型チロシンキナーゼFynの微小管重合促進による細胞分裂期進行促進

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博士学位論文

Src型チロシンキナーゼFynの微小管重合促進に

よる細胞分裂期進行促進

2018 (平成 30) 年度

千葉大学大学院医学薬学府

先端創薬科学専攻

ゲノム創薬学講座

分子細胞生物学

岡部

麻依

(2)

目次

【序論・目的】 ... 1

【材料・方法】 ... 5

【結果】 ... 9

【総括】 ... 18

【参考文献】 ... 20

【主論文目録】 ... 25

【謝辞】 ... 26

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Src 型チロシンキナーゼ Fyn の微小管重合促進による細胞分裂期進行促進 ゲノム創薬学講座(分子細胞生物学研究室) 岡部 麻依 【背景・目的】 細胞分裂期 (M 期) は、細胞周期 G1 期 → S 期 → G2 期の後に現れ、一つの親細胞から二つ の娘細胞に染色体を均等分配する過程である。セリン/スレオニンリン酸化など様々なシグナルで 制御されるが、チロシンリン酸化による制御はあまり知られていない。また、染色体の均等分配 には、微小管の重合・脱重合により形成される紡錘糸の制御が重要である。 当研究室で着目しているSrc 型チロシンキナーゼは組織普遍的に発現している c-Src、c-Yes、Fyn を含む 8 つのメンバーから成り、細胞の増殖、分化、形態変化などに関与していることが知られ ている。また、それぞれが特異的な機能と重複機能があることが知られている。 当研究室では、Src 型チロシンキナーゼが細胞分裂期初期に活性化すること(Kuga et al., 2007)、 細胞質分裂の完了に必要なこと(Kasahara et al., 2007)、また Src 型チロシンキナーゼの中でも特 にc-Src は紡錘糸の配向性に関与していることを明らかにしてきた(Nakayama et al., 2012)が、そ の詳細な機能については 不明な点も多い(図 1)。 Src 型チロシンキナーゼ の中でも Fyn は減数分裂 や体細胞分裂時に現れる 紡錘糸に局在することが 知られている。本研究で は、Src 型チロシンキナー ゼの中でも特に Fyn に着目し、細胞分裂期の中で重要な役割を担う微小管の動態と紡錘糸形成へ の関与を調べることにより、細胞分裂期におけるFyn の機能解明を目的に研究を行った。 【方法・結果】 1. Fyn による紡錘糸の形成

Src 型チロシンキナーゼのうち、c-Src、c-Yes 及び Fyn の遺伝子を三重ノックアウトした SYF

細胞 (親株) と SYF 細胞に Fyn だけを導入させた SYF/Fyn 細胞 (ノックアウト-レスキュー細胞)

を用いて、細胞周期G2 期終了時と M 期開始時との境界である G2/M 期に細胞を同調させた

後、再び細胞周期を開始させ、M 期で出現してくる紡錘糸を観察した。紡錘糸はその構成成分

であるα-tubulin を染色することで観察した。そして、紡錘糸形成の程度を調べるために、紡錘糸

の蛍光強度を定量したところ、SYF/Fyn 細胞の紡錘糸の蛍光強度は SYF 細胞より高くなってお

り、また、Src 型チロシンキナーゼ阻害剤である PP2 処理によって紡錘糸の蛍光強度が低下する

(4)

で違いはなく、Fyn が中心体成熟に影響していないことが分かった。これらの結果から Fyn のチ ロシンキナーゼ酵素活性は紡錘糸形成に関与し、中心体成熟には影響しないことが示唆された。 2. Fyn による紡錘糸の安定化 Fyn による紡錘糸形成促進が微小管動態に影響しているのかを調べるために、微小管の氷上処 理による影響を調べた。氷上処理により微小管は脱重合が促進すること、特に、星状体紡錘糸は 氷上処理で脱重合しやすいことが知られている。また、紡錘糸上を動く分子モーターEg5 は紡錘 糸微小管形成に必須で、Eg5 阻害は細胞分裂を中断させて星状紡錘糸のみを検出できる。そこ で、HeLa S3 細胞を G2/M 期に同調後に、細胞周期を再開させた。Eg5 阻害剤 monastrol で処理し ながら、星状体紡錘糸を形成させた後、短時間氷上で処理し、最長の紡錘糸を計測した。HeLa S3 細胞に比べて HeLa S3/Fyn 細胞では紡錘糸の長さが長く、また、Src 型チロシンキナーゼ阻害 剤 PP2 処理によって紡錘糸が短くなることが分かった。また、α-tubulin の蛍光強度も同様の結果 を示した。これらの結果から、Fyn はチロシンキナーゼ酵素活性依存的に紡錘糸の脱重合を防 ぎ、紡錘糸を安定化させることによって微小管の動態制御に関与していることが示唆された。 3. Fyn による微小管動態制御のメカニズムの解明 次に、細胞分裂に関わる代表的なキナーゼに対する阻害剤を用いて氷上処理の実験を行った。 Aurora kinase は Aurora A kinase と Aurora B kinase とが存在することが分かっている。Aurora A kinase は主に中心体に局在し、細胞分裂期前半において中心体の成熟に関与すること、また、 Aurora B kinase はセントロメアに局在し、染色体の整列に関与することが知られている。同じく

細胞分裂期に働く別のキナーゼであるPolo-like kinase 1 (Plk1) は中心体に局在し、中心体の成熟

に関与することが知られている。

Aurora kinase 阻害剤 MLN8237 を HeLa S3 細胞と HeLa S3/Fyn 細胞に処理したところ、両細胞

ともに紡錘糸の長さは短くなっていた。一方、Plk1 阻害剤 BI2536 の処理では、HeLa S3/Fyn 細

胞ではなくHeLa S3 細胞においてのみ紡錘糸の長さは長くなっていた。これらの結果から、Fyn

はPlk1 阻害と同様のメカニズムで微小管重合を促進している可能性が示唆された。

さらに、HeLa S3/Fyn 細胞を Aurora kinase 阻害剤 ZM447439 で処理することによって、紡錘糸

の長さは短くなり、ZM447439 と Src 阻害剤 PP2 の併用で一層短くなった。この結果から、Fyn

はAurora kinase と異なるメカニズムにより微小管重合を促進していることが示唆された。

4. Src 型チロシンキナーゼにおける紡錘糸安定化機能の重複機能性

Fyn 以外の Src 型チロシンキナーゼ c-Src と Lyn について、それぞれの過剰発現細胞である HeLa S3/c-Src 細胞および HeLa S3/Lyn 細胞においても同様に氷上処理の実験を行ったところ、紡

錘糸の長さはHeLa S3 細胞と比べて変化はなかった。しかしながら、ノックアウト-レスキュー

細胞であるSYF/c-Src 細胞および SYF/Lyn 細胞においては、親株の SYF 細胞に比べ、SYF/Fyn 細

胞と同様、紡錘糸が長くなっていた。単なる過剰発現細胞のHeLa S3/c-Src 細胞および HeLa

S3/Lyn には内在性 Fyn が存在しているが SYF/c-Src 細胞および SYF/Lyn 細胞には存在していな

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胞と同様の結果となったが、SYF/c-Src 細胞および SYF/Lyn 細胞では、レスキューした c-Src お

よびLyn が Fyn 欠損の機能を補ったために SYF/Fyn 細胞と同様の結果となったと考えられる。

これらの結果から、Src 型チロシンキナーゼは紡錘糸の安定化について、重複機能性があること が示唆された。 5. Fyn による微小管重合の促進 微小管重合におけるFyn の役割をさらに詳しく調べるため、微小管を再重合させる実験を行っ た。細胞を分裂期中期 (metaphase) に同調し、氷上で 4 時間処理して微小管を完全に脱重合させ た。その後、37℃で 90 秒処理して微小管を再重合させたあと、細胞を固定し、α-tubulin を染色

した。そして、最長の紡錘糸を計測すると、HeLa S3 細胞に比べ、HeLa S3/Fyn 細胞の紡錘糸の

方が長くなっていた。この結果から、HeLa S3/Fyn 細胞は HeLa S3 細胞より微小管重合が速いこ

とが分かった。また、HeLa S3/Fyn 細胞に Src 阻害剤 PP2 を処理すると微小管再重合が阻害され

た。これらの結果から、Fyn は微小管重合を促進していることが明らかとなった。

6. Fyn による EB1 の集積促進

EB1 は微小管の動態を制御するたんぱく質 plus-end tracking protein(+TIPs)の構成たんぱく質の 1 つで、紡錘糸のプラス端に結合して微小管重合に関与することが知られている。Fyn が EB1 と

微小管の結合に影響するのか調べるために、紡錘糸の安定性を調べたときと同様に、Eg5 阻害剤

monastrol を用いて星状体紡錘糸を形成させた後に氷上処理を行い、EB1 の染色を行った。EB1

の蛍光強度はHeLa S3 細胞に比べ、HeLa S3/Fyn 細胞で増加しており、Src 阻害剤 PP2 処理によ

って低下した。同様の条件下において、HeLa S3/Fyn 細胞の Fyn およびチロシンリン酸化タンパ

ク質を観察したところ、Fyn およびチロシンリン酸化タンパク質は極付近に局在していた。ま

た、HeLa S3/Fyn 細胞に Src 阻害剤 PP2 処理を行っても Fyn の局在は変化しなかったが、Fyn に

よる極付近のチロシンリン酸化は減少していた。これらのことからFyn のチロシンリン酸化酵素

活性がEB1 の集積に関与していることが示唆された。同様の結果は、SYF 細胞および SYF/Fyn

細胞を用いた実験でもみられた。これらの結果から、Fyn は EB1 の集積を促進し、その結果とし

て微小管の重合を促進、紡錘糸を安定化させることが示唆された。 7. Fyn による細胞分裂期進行の促進

最後に、Fyn が細胞分裂期の進行にどのように影響するのかについて実験を行った。細胞を同

調して細胞分裂期に停止させ、薬剤を除去してから細胞周期を進行させ、15 分毎に細胞分裂期の

細胞を観察した。薬剤を除去してから45 分後と 60 分後、HeLa S3/Fyn 細胞では HeLa S3 細胞に比

べてprophase、prometaphase の細胞の数が減少し、metaphase 以降の細胞の数が増加していた。こ

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【考察】 本研究の結果を図2 に示した。 細胞分裂期において、Fyn は中心 体付近で活性化し、中心体付近に EB1 を集積させる。それにより、 紡錘糸の重合を促進させ、安定な 紡錘糸を形成することで細胞分裂 を促進すると考えられる。また、 Src 型チロシンキナーゼはそれぞ れ特異的な機能と重複的な機能を 持つことが知られているが、SYF 細胞において、c-Src 及び Lyn が、Fyn と同様に、紡錘糸を安定 化させていたことから、Fyn の紡錘糸を安定化させる機能は Fyn が存在しない場合に c-Src や Lyn が重複的に働くことが示唆された。細胞分裂のメカニズムは複雑であり、細胞分裂の失敗は がん化につながることが知られている。本研究で、細胞分裂へのFyn の関与を明らかにしたこと はがん化のメカニズム等の解明に役立つと考えられる。今後はFyn の基質探索を行うことで、よ り詳細なFyn の機能解明を行うことが必要と考えられる。 【参考文献】

1. Okamoto, M., Nakayama, Y., Kakihana, A., Yuki, R., Yamaguchi, N.-t., and Yamaguchi, N. Fyn accelerates M phase progression by promoting the assembly of mitotic spindle microtubules. J. Cell.

Biochem., 117: 894-903, 2016.

2. Nakayama, Y., Matsui, Y., Takeda, Y., Okamoto, M., Abe, K., Fukumoto, Y., and Yamaguchi, N. c-Src but not Fyn promotes proper spindle orientation in early prometaphase. J. Biol. Chem., 287: 24905-24915, 2012.

3. Matsui, Y., Nakayama, Y., Okamoto, M., Fukumoto, Y., and Yamaguchi, N. Enrichment of cell populations in metaphase, anaphase, and telophase by synchronization using nocodazole and blebbistatin: A novel method suitable for examining dynamic changes in proteins during mitotic progression. Eur. J. Cell Biol., 91: 413-419, 2012.

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1

【序論・目的】

細胞周期はDNA合成 準 備 期 で あ るG1 期 、 DNA合成期であるS期、 分 裂 準 備 期 で あ るG2 期、そして細胞分裂期で あるM期から成る。細胞 分裂期は、一つの親細胞 から二つの娘細胞に染色体を均等分配する過程であり、染色体の整列・分離、収縮環 形成などを経て行われる(図1)。染色体の均等分配には、微小管の重合・脱重合によ り形成される紡錘糸の制御が重要である。紡錘糸を形成する微小管の重合には中心体 の成熟が必要である。中心体は中心小体と中心体周辺物質から成るが、微小管重合に 先立ち、中心体の成熟と 呼ばれる中心体 周辺 物 質の集積が起こる。中心 体の成熟に伴い、微小管 重 合 の 足 場 と な る γ-tubulinが中心体周辺物質 に増加し、微小管の構成

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2

成分であるα-tubulinおよびβ-tubulinがγ-tubulinを足場として重合と脱重合を繰り返し、

紡錘糸を形成する。α-tubulin、β-tubulinは紡錘糸を形成する微小管の構成成分であるた

め、紡錘糸のマーカーになり、γ-tubulinは紡錘糸は中心体に局在するため、中心体の

マーカーとなる(図2)。

細胞分裂期は、Aurora kinaseやPolo-like kinase1(Plk1)などによるセリン/スレオニ

ンリン酸化よる制御が知られている。Aurora kinase のうち、Aurora kinase A は主に

中心体に局在し、細胞分裂期前半において中心体の成熟に関与することが知られて

いる (Giet et al., 2002; Terada et al., 2003)。また、Aurora kinase B はchromosomal

passenger complex (CPC)の1つとして知られており、セントロメアに局在し、染色体

の整列や細胞質分裂に関与することが知られている (Sampath et al., 2004; Ruchaud et

al., 2007; Maresca et al., 2009)。同じく細胞分裂期に働くPolo-like kinase1 (Plk1) は中

心体に局在し、中心体の成熟に関与することが知られている(図3)(Sunkel and Glover et al., 1988)。紡錘糸の制御に異常が生じると細胞質分裂がうまくいかず、テ トラプロイド(染色体が4倍になった細胞)や中心体の異常な増加につながる(Shi and King et al., 2005)。テトラ プロイドの細胞 は、その後異常 な細胞分裂を起

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3

こし、染色体の不均等分配により、さらに染色体数が異常な細胞が増える(Ganem

et al., 2007)。このような染色体数が異常な細胞は、がん抑制遺伝子の喪失やがん遺

伝子の活性化によりがん化につながることが知られている(Holland and Cleveland,

2009)。

Src 型チロシンキナーゼは、組織普遍的に存在する c-Src、c-Yes、Fyn を含む 8 つの

メンバーからなる非受容体型のチロシンキナーゼであり、細胞の増殖、分化、形態変

化などに関与していることが知られている。また、それぞれが特異的な機能と重複機

能性があることが知られている(Brown and Cooper, 1996; Thomas and Brugge, 1997)。

当研究室では、Src 型チロシンキナーゼが細胞分裂期初期に活性化すること(Kuga

et al., 2007)、細胞質分裂の完了に必要なこと(Kasahara et al., 2007)、また Src 型チロ

シンキナーゼの中でも特に c-Src は紡錘糸の配向性に関与していることを明らかにし

てきた(Nakayama et al., 2012)が、その詳細な機能については不明な点も多い(図 4)。

(10)

4

に局在していることが報告されているが (Ley et al., 1994; Talmor-Cohen et al., 2004;

McGinnis et al., 2007)その詳細な機能は明らかでない。本研究では Src 型チロシンキ

ナーゼの中でも特にFyn に着目し、細胞分裂期の中で重要な役割を担う微小管の動態

と紡錘糸形成への関与を調べることにより細胞分裂期における Fyn の機能解明を目

的に研究を行った。その結果、Fyn は微小管の重合と紡錘糸の安定化を介して細胞分

(11)

5

【材料・方法】

抗体

抗リン酸化チロシン抗体(4G10; Upstate Biotechnology), 抗 α-tubulin 抗体 (YOL1/34;

Serotec), 抗 Fyn 抗体(Fyn3; Santa Cruz, Fyn25; BD Bioscience), 抗 EB1 抗体 (EB1; BD

Biosciences), 抗 γ-tubulin 抗体 (GTX113286; GeneTex),を使用した。また、二次抗体と

してAlexa Fluor 488 donkey-anti-rat IgG, donkey-anti-mouse IgG, donkey-anti-rabbit IgG,

Alexa Fluor 647 goat-anti-rat IgG(Invitrogen)を使用した。

細胞・細胞同調

HeLa S3 細胞(Japanese Collection of Research Bioresources, Osaka)は、5% bovine serum

を含むIscove’s modified Dulbecco’s medium で培養した。また、SYF 細胞はマウスの線

維芽細胞由来の細胞であり、c-Yes のホモ接合変異体および c-Src、Fyn のヘテロ接合

変異体のマウスを繁殖させることにより得られた細胞で、c-Src、c-Yes および Fyn が

同時に欠損した細胞である(Klinghoffer et al., 1999)。SYF 細胞は 5% fetal bovine serum

を含むIscove’s modified DMEM で培養した。HeLa S3 細胞および SYF 細胞に Fyn,

c-Src, Lyn を発現させた細胞はこれまでに報告されているとおり(Takahashi et al., 2009;

Nakayama et al., 2012; Morinaga et al., 2014)。

細胞分裂期への同調は、まず細胞をCDK1 阻害剤で細胞を G2/M 期に同調すること

(12)

6

細胞を0.1% saponin と 3% bovine serum albumin を含む phosphate-buffered saline (PBS)

で洗浄後、薬剤を含まない、あるいはプロテアソーム阻害剤で細胞を metaphase に同

調できるMG-132 (Josefsberg et al., 2000)、紡錘糸上を動くモータータンパク質であり、

中心体の両極への移動を担うEg5(Mountain V et al., 1999)を阻害することで紡錘体

を星状体紡錘糸にできるmonastrol (Mayer et al., 1999)、紡錘糸の脱重合を促進し、細

胞を分裂期初期で同調することができる nocodazole(Kuhn 1998)のいずれかを含む培

地にて培養した。

免疫染色

細胞を 4% formaldehyde を含んだ PBS にて 20 分間室温、PTEMF バッファー(20

mM Pipes(pH 6.8), 0.2% Triton X-100, 10 mM EGTA, 1 mM MgCl2, 4% formaldehyde)に

て20 分間室温、もしくは 100% methanol にて 5 分間-30℃で固定した。PTEMF バッフ

ァーによる固定では不要なタンパク質が可溶化されることで隠れていたタンパク質

を可視化することが可能となる。100% methanol による固定では素早く固定すること

ができるため、それぞれ実験内容に応じて使い分けを行った。固定した細胞は、PBS

containing 0.1% saponin and 3% bovine serum albumin を 30 分間処理し、permeabilization

した。一次抗体、二次抗体で反応後させたあと、200 μg/ml の RNase A で処理を行っ

た。その後、formaldehyde で固定した細胞は 100 μg/ml の propidium iodide で、PTEMF

(13)

7

μg/ml の propidium iodide でそれぞれ 30 分間処理し、DNA を染色した。LSM510 confocal

laser scanning microscope (Zeiss) あ る い は Fluoview FV500 confocal laser scanning

microscope (Olympus)で画像を取得した。

中心体へのγ-tubulin の集積観察

細胞を100% methanol で固定し、γ-tubulin と DNA を染色した。画像は、それぞれの

中心体に焦点を合わせて取得した。γ-tubulin の蛍光強度は ImageJ software (NIH) にて

測定し、細胞質の蛍光強度を差し引いた。それぞれの中心体の蛍光強度から平均値を

計算し、γ-tubulin の集積の評価に使用した。

低温処理

紡錘体は中心体から伸びて染色体のキネトコアに結合したK-fiber、中心体から放射

状に伸びて細胞膜に至る星状体から成るが、氷上で低温処理することにより微小管は

K-fiber を除き、脱重合が促進されることが知られている(Brinkley and Cartwright, et al.,

1975)。細胞を 100 μM monastorol で 1 時間処理することで星状体紡錘体を形成後、氷

上で10 分間処理し、微小管を脱重合させた。細胞を 4% formaldehyde で 20 分間処理

して固定し、α-tubulin と DNA を染色した。GNU Image Manipulation Program version 2.6

を用いて、紡錘糸が最も長くなっている箇所を測定した。α-tubulin の蛍光強度は

(14)

8 微小管再重合

HeLa S3 細胞および HeLa S3/Fyn 細胞を 4 時間氷上で処理し、微小管を完全に脱重

合させた。細胞を37℃で 90 秒間処理し、100% methanol で-30℃にて 5 分間処理する

ことで固定した。α-tubulin と DNA を染色した星状体を形成している紡錘糸が最も長

い箇所をImageJ software (NIH) を使って測定した。α-tubulin の蛍光強度は中心体から

半径5 μm の円内を ImageJ software (NIH) を使って測定した。

EB1 の集積の測定

細胞を100 μM の monastrol で 1 時間処理したあと氷上で 10 分間 incubate した。細

胞を 100% methanol で-30℃にて 5 分間処理することで固定したあと、EB1 と DNA

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9

【結果】

Fyn による紡錘糸の形成

減数分裂において、Fyn は紡錘糸に局在し、紡錘糸の機能に関与することが知られ

ている(Talmor-Cohen et al., 2004; McGinnis et al., 2007)。そのため、まず初めに、Fyn

の紡錘糸形成への関与を調べるために、SYF 細胞に Fyn 再導入した SYF/Fyn 細胞を

用いて実験を行った。SYF 細胞は、SFK のうち、c-Src, c-Yes, Fyn の 3 種類の遺伝子を

ノックアウトした細胞であり、SYF 細胞に SFK を再導入することで SFK の個別の機 能を調べることができる。SYF 細胞と SYF/Fyn 細胞を G2/M 期に同調後、細胞分裂期 に進行させ、紡錘糸の形成を観察した。 紡錘糸の蛍光強度を定量すると、SYF/Fyn 細胞において紡錘糸の蛍光強度が SYF 細 胞に比べて高くなっており、またSFK の阻害剤である PP2 を G2/M 期同調の最後の 1 時間から固定前まで処理することによって SYF 細胞と同じ程度まで低下することが

わかった(主論文、Fig. 1A)。紡錘糸の蛍光強度が強いということは Fyn により紡錘

糸の形成が促進されていることを意味する。この結果から、Fyn のチロシンキナーゼ

活性は紡錘糸形成に必要であることが示唆された。

中心体の周りには、中心体周辺物質と呼ばれる、主に紡錘糸を形成する際の微小管

重合の足場として働く物質が存在しており、その1 つに γ-tubulin がある。γ-tubulin を

含む中心体周辺物質が増えることで中心体が成熟し、紡錘糸形成が可能となる。Src に

(16)

10

SYF 細胞、SYF/Fyn 細胞および SYF/Fyn 細胞への PP2 処理において γ-tubulin の中心

体への集積について変化は見られなかった(主論文、Fig. 1B)。このことから、Fyn に よる紡錘糸蛍光強度の増加は中心体の成熟によるものではないことが示された。 これらの実験結果から、Fyn の酵素活性は紡錘糸の形成に関与し、中心体の成熟に は影響しないことが示唆された。 Fyn による紡錘糸の安定化 Fyn による紡錘糸形成が微小管の動態が影響しているのかを調べるために、微小 管の低温処理による影響を調べた。紡錘糸は染色体のキネトコアに結合したK-fiber と星状体から成るが(図5)、低温処理により紡錘糸を形成する微小管は、K-fiber を

除き、脱重合が促進されることが知られている(Brinkley and Cartwright, et al.,

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11

ク質であるEg5 を阻害する薬剤 monastrol を用いて星状体を形成させ、低温処理を行

うこととした(図6)。

まず HeLa S3 細胞および HeLa S3/Fyn 細胞を G2/M 期に同調後、細胞周期を進

め、monastrol で処理し、星状体紡錘糸を形成する(主論文、Fig. 2A)。その後、10

分間低温で処理し、紡錘 糸が最も長くなっている 箇所を測定した。図7 に プロトコルのイメージを 示す。 その結果、HeLa S3 細 胞に比べ、HeLa S3/Fyn 細 胞において紡錘糸の長さが長くなっていた。また、G2/M 期同調の最後の 1 時間から

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12

monastrol 処理の間、PP2 を処理することによって紡錘糸の長さが短くなることがわ

かった(主論文、Fig. 2B)。さらに、α-tubulin の蛍光強度は HeLa S3 細胞に比べて

HeLa S3/Fyn 細胞で増加し、PP2 処理によってそれが低下することがわかった(主論 文、Fig. 2D)。これらの結果から Fyn はチロシンキナーゼ酵素活性依存的に紡錘糸を 安定化させることによって微小管の動態制御に関与していることが示唆された。 Fyn による微小管動態制御のメカニズムの解明 低温処理の実験について、その他のキナーゼ阻害剤を用いて実験を行った。PP2 の代わりに Aurora kinase の阻害剤で ある MLN8237 を HeLa S3 細胞 およびHeLa S3/Fyn 細胞 に処理した ところ、両 細胞におい

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13

て紡錘糸の長さが短くなっていた(主論文、Fig. 2C)。反対に、Plk1 の阻害剤である

BI2536 処理時は HeLa S3 細胞において紡錘糸の長さは長くなっていた(主論文、

Fig. 2C)。その一方で、過去に報告されているとおり(Elowe et al., 2007; Lenart et al.,

2007)紡錘糸の蛍光強度は低下していた(主論文、Fig. 2D)。これらの結果から Fyn

はPlk1 の阻害による微小管重合のメカニズムと同様のメカニズムで微小管の重合を

促進している可能性が示唆された。また、HeLa S3/Fyn 細胞の紡錘糸の長さは Aurora

kinase の阻害剤である ZM447439 の処理によって短くなり、また PP2 と ZM447439

の併用により一層短くなることがわかった(主論文、 Fig. 2B)。Aurora kinase と Fyn

の関係について結果の模式図を図8 に示す。この結果から Fyn は異なるメカニズム

により紡錘糸を安定化していることが示唆された。また、PP2 と ZM447439 の併用

により紡錘糸が短くなる現象はHeLa S3 細胞でも観察された。この結果から、内在

性のFyn は Aurora kinase と協同して紡錘糸を安定化していることが示唆された。

SFK における微小管重合促進機能の重複機能性

HeLa S3/c-Src 細胞および HeLa S3/Lyn 細胞においても同様の低温処理の実験を行

ったところ、紡錘糸の長さはHeLa S3 細胞と比べて変化はなかった(主論文、Fig.

2E)。一方で SYF/c-Src 細胞および SYF/Lyn 細胞においては SYF 細胞に比べ、

SYF/Fyn 細胞と同様、紡錘糸が長くなっていた(主論文、Fig. 2F)。HeLa S3/c-Src 細

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14 びSYF/Lyn 細胞においては存在しない。この結果から、SFK は紡錘糸の安定化につ いて、機能の重複性があることが示唆された。 Fyn による微小管重合の促進 微小管重合におけるFyn の役割をさらに調べるため、低温処理により脱重合を促 進したあとに微小管を再重合させる実験を行った。細胞をmetaphase に同調し、氷上 で4 時間処理をすることで完全に微小管を脱重合させた。その後、37℃で 90 秒処理 して微小管を再重合させたあと、細胞を固定し、α-tubulin を染色した。実験のプロ トコルイメージを図9 に示す。 紡錘糸が最も長くなっている箇所を測定すると、HeLa S3 細胞に比べ、HeLa

S3/Fyn 細胞の紡錘糸が長くなっていることがわかった(主論文、Fig. 3A)。この結果

から、HeLa S3/Fyn 細胞は HeLa S3 細胞より微小管重合の速さが速いことがわかっ

た。また、HeLa S3/Fyn 細胞に、同調の最後の 1 時間から固定の前まで PP2 を処理す

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15 結果はZM447439 の処理 でも見られた(主論文、 Fig. 3C)。これらの結果 からFyn は微小管の重合 を促進していることが明 らかとなった。結果の模 式図を図10 に示す。 Fyn による EB1 の集積促進

微小管の動態は、plus-end tracking protein (+TIPs)と呼ばれる微小管重合の先端に存

在するタンパク質によって制御されている。EB1 は TIPs を構成するタンパク質の 1

つである。紡錘糸には極性があり、中心体側をマイナス端、重合が進む側をプラス

(22)

16

に関与する(図11)。今回は monastrol を用いた低温処理実験時の EB1 の観察を行っ

た。細胞をG2/M 期に同調後、細胞周期を進め、monatrol 処理後、短時間氷上で処理

し、EB1 の観察を行った。EB1 の蛍光強度は HeLa S3 細胞に比べ、HeLa S3/Fyn 細胞

で増加しており、PP2 の処理によって低下することがわかった(主論文、 Fig.

4A)。また、Aurora kinase の阻害剤である ZM447439 処理によっても低下した。同様

の条件下において、HeLa S3/Fyn 細胞に PP2 処理を行っても Fyn の局在は変化しなか

ったが(主論文、Fig. 4B)、Fyn による極付近のチロシンリン酸化は減少していた

(主論文、Fig. 4C)。これらのことから Fyn の酵素活性が EB1 の集積に関与してい

ることが示唆された。同様の結果はSYF 細胞でもみられており、EB1 の集積は SYF

細胞に比べ、SYF/Fyn 細胞で増加しており、PP2 処理によって阻害されていた(主論

文、Fig. 4D)。また、このとき Fyn による極付近のチロシンリン酸化も HeLa S3/Fyn

細胞の結果と同様低下していた(主論文、 Fig. 4E)。これらの結果から、Fyn は EB1

の集積を促進し、その結果として微小管の重合を促進、紡錘糸を安定化させること が示唆された。 Fyn による細胞分裂期進行の促進 最後にFyn が細胞分裂期の進行に影響するのか実験を行った。細胞を nocodazole を用いてprometaphase に同調し、薬剤を洗って細胞周期を進行させた。nocodazole を洗ってから15 分毎に細胞分裂期の細胞を観察した(主論文、Fig. 5)。nocodazole

(23)

17

を洗ってから45 分後と 60 分後、HeLa S3/Fyn 細胞では HeLa S3 細胞に比べ

prophase、prometaphase の細胞の数が減少し、metaphase 以降の細胞の数が増加して

いた。この結果から、Fyn によって細胞分裂期の進行が促進されていることがわか

った。また、これまでの結果から、Fyn が微小管動態に影響し、細胞分裂期の進行

(24)

18

【総括】

本研究において、細胞分裂期におけるFyn の機能が明らかとなった。低温処理の 実験からFyn が紡錘糸を安定化させること、また微小管の再重合の実験から Fyn は 微小管の重合を促進することがわかった。さらに、Fyn は酵素活性依存的に EB1 の 集積を促進し、それによりFyn が紡錘糸の安定化、微小管重合の促進を行っている こと、その結果としてFyn は細胞分裂期の進行を促進していることが示唆された (図12)。 また、 SFK はそれ ぞれ特異的 な機能と重 複的な機能 を持つこと が知られて

いるが、SYF 細胞において c-Src、Lyn が Fyn と同様に紡錘糸を安定化させていたこ

と、内在性のFyn が存在する HeLa S3 細胞ではその機能が見られなかったことか

ら、Fyn の紡錘糸を安定化させる機能は Fyn が存在しない場合に c-Src、Lyn が重複

(25)

19

減数分裂において、Fyn は紡錘糸に局在し、紡錘糸の機能に関与することが知ら

れている(Talmor-Cohen et al., 2004; McGinnis et al., 2007)。また、Fyn は微小管上に

局在することも知られている(Ley et al., 1994)。本研究の結果から Fyn は紡錘糸の

形成に関与し、微小管の重合と安定化に関与していることが示唆された。また、Fyn

の機能低下によって細胞質分裂の失敗につながることが報告されている(Levi et al.,

2010)。本研究の結果からこの細胞質分裂の失敗は Fyn による紡錘糸の安定化機能の

欠如によるものと考えられる。また、Fyn は N-terminal membrane-binding domain 依

存的に細胞膜に局在することが報告されており (Levi et al., 2011)、細胞膜の Fyn は

細胞質分裂の制御に関わっていると考えられている(Levi et al., 2010)。これらのこ とからFyn は微小管や細胞膜の制御を通して細胞質分裂に関与している可能性があ る。 細胞分裂は様々な制御を受け、細胞分裂の失敗はがん化につながることが知られ ている。Fyn の細胞分裂における機能が解明されることはガン化の原因の解明にも つながる可能性がある。今後はより詳細なFyn の機能解明を行うため、Fyn の基質 探索などを行う必要があると考える。

(26)

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【主論文目録】

本学位論文内容は下記の発表論文による。

(主論 文)Mai Okamoto, Yuji Nakayama, Ayana Kakihana, Ryuzaburo Yuki, Noritaka

Yamaguchi, and Naoto Yamaguchi. Fyn accelerates M Phase progression by promoting the

assembly of mitotic spindle microtubules. J Cell Biochem. 2016. 117: 894-903.

【学位論文審査】

本学位論文の審査は千葉大学大学院医学薬学研究院で指名された下記の 審査委員により行われた。 主査 千葉大学大学院教授(薬学研究院) 薬学博士 村山 俊彦 副査 千葉大学大学院教授(医学研究院) 薬学博士 石井 伊都子 副査 千葉大学大学院教授(薬学研究院) 薬学博士 関根 祐子

(32)

26

【謝辞】

本研究において、終始ご指導、ご鞭撻を賜り、また研究の難しさ、面白さをご教授 いただきました千葉大学大学院薬学研究院 分子細胞生物学研究室 山口直人教授 に深く感謝いたします。 また、実験において様々なご助言を賜りました中山祐治准教授(現 京都薬科大学 教授)、山口憲孝准教授 (現 千葉大学大学院薬学研究院 分子心血管薬理学)、福本泰 典講師に深く感謝いたします。 様々な面でご支援、協力いただきました分子細胞生物学研究室の皆様、特に本研究 を行うにあたり実験にご協力いただきました幸龍三郎博士(現千葉大学医学研究院特 任研究員)、学部時代より様々なアドバイスをいただきました青山和正博士(現 米国

National Institutes of Health 博士研究員)、久保田翔博士(現熊本大学 IRCMS 研究員)

に深く感謝いたします。また、日々の研究室生活を支えていただきました本田拓也博

士(現千葉大学薬学研究院助教)に深く感謝いたします。

最後に社会人生活を送りながらの学生生活を支えていただきました家族に深く感

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