この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
日経平均株価は円安・業績評価再開で24000円台回復めざす
日経平均株価は27年ぶり高値後に急落、米金利上昇や米中摩擦懸念による米株安波及
日経平均株価は10/2に24270円と約27年ぶり
高値をつけた後、米金利上昇と米中貿易摩擦
拡大懸念による米国株下落につれて急落
10/25には高値比10%超下げ、ナスダック総合
指数に続き「調整局面入り」の可能性を示唆。
10/29には21149円と高値比3120円(12.9%)安
一方、その後は米中貿易摩擦懸念の一服や
決算堅調を受けた米国株反発に加え、ドル円
の113円台乗せを好感。業績面では国内企業
決算の堅調が伝わり、株価の戻りが加速した
日経平均株価は10/31に21920円と安値から
770円戻し。月間では2199円(9.1%)下落した
【見通し】
日本株は目先、米国株、決算にらみの展開が続く見込み。11/6の米中間選挙を無難に通過
し、11/9に発表ピークの19/3期上期決算と通期利益見通しの堅調が確認できれば、業績見
直しが再台頭、日経平均株価は10月初旬につけた24000円台回復をめざす動きを強めよう
電機、輸送を弱気、陸運を中立に下げ、卸売、医薬品を強気、銀行、電力ガスを中立に上げ
(ポイント)
10/31現在、日経平均株価採用銘柄の予想PERは12.6倍と2013年以降の平均レンジ14倍~
16倍を下回る。現状、14倍で24300円台、15倍で26000円台。同予想EPSは10月に一時1%強
下がったが、相次ぐ業績上方修正で再び上昇。業績評価の再開で14倍の回復が意識される
企業全体の19/3期利益見通しはドル円想定の引き上げもあり、従来比で最大3%~5%の上
方修正となる見込み。前期比では減益から増益に転じ、3期連続の最高益見通しとなりそう
米中間選挙後は市場の正常化が進む見通し。例年なら海外勢は11~12月に1.0兆円買い越
し、同期間に日経平均株価は6%超上昇する傾向。直近売られた反動で24000円超も視野に
アウトルック:日本株
(18年11月号)
投資情報部
95 100 105 110 115 120 125 130 135 140 12000 14000 16000 18000 20000 22000 24000 26000 28000 30000 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 (1ドル=円) (円) (年/月)日経平均株価、ドル円、米長期金利、米景況指標
(日次:2015/1/5~2018/10/31) 日経平均株価(左目盛) 200日移動平均線(左目盛) 同▲20%(左目盛) 同+20%(左目盛) ドル円(右目盛) 46 50 54 58 62 66 70 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 (%) (年/月) 米10年国債利回り(左目盛) 米ISM製造業景況指数(右目盛) (注)米ISMは月次(18/10まで) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成※11 月 6 日更新版
日経平均株価は米中間選挙後、円安・業績評価の再開で10月高値24000円台回復めざす
日経平均株価は目先、11/6米中間選挙を無難に通
過し、11/9発表ピークの19/3期上期決算と通期利益
見通しの堅調が確認できれば、業績見直しが台頭、
10月初旬の24000円台回復をめざす動きを強めよう
10/31現在、日経平均株価採用銘柄の予想株価収
益率(PER)は12.6倍と2013年以降の平均レンジ14倍
~16倍を下回る。現状、14倍で24300円台、15倍で
26000円台。同予想1株利益(EPS)は10月に入り一時
1%強下がったが、相次ぐ業績上方修正で再び上昇。
業績評価の再開で下限14倍の回復が意識される
10/31に前半ピークを迎えた19/3期上期決算発表
は、中国・新興国関連の日立建機、コマツが通期利
益見通しを引き上げ。電機大手では中国向け設備投
資需要の落ち込みを反映し半導体、工作機械関連
で一部見通しの引き下げがあったが、想定内。一方、
ソニーが画像センサーや音楽、ゲーム等主力事業の
好調で純利益見通しを従来予想から4割超引き上げ
る等、ポジティブ・サプライズがあった
今回の決算発表を受け、企業全体の通
期利益見通しはドル円想定の一部引き
上げもあり、従来予想比で最大3%~5%の
上方修正となる見込み。前期比では減
益から増益に転じ、3期連続の最高益更
新見通しとなりそう(右表は東洋経済新
報社予想)
70 90 110 130 150 0 500 1,000 1,500 2,000 11 12 13 14 15 16 17 18 19 今期予想EPS(左目盛) ドル円(右目盛) (年) (円) (1ドル=円) (注)2011/1~18/10の想定株価(PER14倍、16倍)は今期予想EPSに各PER を乗じたもの。今期予想EPSは日経平均株価を日本経済新聞社今期予 想PERで除して算出。19/10(1年後)は来期予想EPS(東洋経済新報社 今期予想EPS×6.5%増益予想)に各PERを乗じたもの 出所:日経NEEDSおよびQUICKのデータ等よりみずほ証券作成 予想EPSは1,739.0円と年初来15.1%増 米減税や想定比円安、内需復調支えに 27824 30371 24346 26575 5000 10000 15000 20000 25000 30000 11 12 13 14 15 16 17 18 19予想PERによる日経平均株価の想定
(月次:2011/1~2019/10) 日経平均株価 PER16倍 PER14倍 (年) (円) 18/10/31 日経平均株価21920円 (年初来▲3.7%) 今期予想PER12.6倍 予想PERはアベノミク ス相場下、おおむね 14倍~16倍で推移 直近 想定 水準 1年後 想定 水準 12/5に直前の減益 予想でPERが11.0倍に 19/3期 予想 従来 予想 上期 実績 従来 予想 Q1 (4~6月) Q2 (7~9月) 下期 予想 売上高 3.6 3.6 4.1 3.7 4.9 3.5 3.1 経常利益 4.9 5.0 6.1 2.6 10.7 1.8 3.6 純利益 3.9 3.7 5.8 2.5 9.3 2.3 2.0 [従来予想との比較(経常利益)] 単位:社、% 社数 構成比 社数 構成比 上回る 56 9.7 354 61.5 変わらず 437 75.9 1 0.2 下回る 83 14.4 221 38.4東証1部19/3期業績予想
(前年同期比、%) 区分 19/3期予想 上期実績 (注)対象は19/3期Q2累計決算を 発表済みの企業(金融を除 く)。予想は東洋経済新報社 予想。従来予想は18/9末時 点。データは11/2時点。 上期は4-9月、下期は10-3月 出所:各種資料よりみずほ証券 作成 2018年 10~12月 1~3月 4~6月 7~9月 TOPIX (ポイント) 1646 1600~1900 1700~2000 1600~1900 1600~1900 日経平均株価 (円) 21920 21000~25000 22000~25000 20000~24000 20000~23000 (注)予想はみずほ証券エクイティ調査部(10/26時点)。矢印は現値比もしくは前四半期比のイメージ 出所:みずほ証券作成TOPIX、日経平均株価の予想レンジ
10/31 時点 2019年この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
リスクシナリオは、①中国景気失速と早
期の米利上げ打ち止め観測による1ドル
=100円の円高で今期10%減益予想
②さらに19年開始予定の日米新通商協
議決裂による米自動車関税引き上げ→
同15%減益予想、③19年10月消費再増
税による景気悪化懸念、がある
これらの場合、日経平均株価は1000円
級の下げで先行き20000円割れリスクが
浮上する可能性がある(右表参照)
海外勢は年初来4.4兆円の売り越し…過去平均に従えば、年内兆円規模の買い戻し
10/26(10月第4週)現在、海外投資家は
10月に0.4兆円売り越し。年初来では4.4
兆円売り越しと再び売り姿勢を強めた
10月上旬以降の世界連鎖株安が背景。
主な要因として米金利上昇や米中貿易
摩擦による企業業績の悪化懸念がある
米国では、中国・新興国事業比率の高
い資本財や半導体関連に加え、アマゾ
ン・ドット・コム等、一部ハイテク企業でも
売上高ベースで先行き慎重見通しが示
され、成長鈍化懸念の売りにつながった
一方、米7-9月期決算は全体に事前予
想を上回る内容。2018年利益見通しも事
前の前期比2割超増益が維持され、金利
対比で株式の割安感が増している
米中間選挙後は市場の正常化が進む見
通し。例年なら海外勢は11~12月に1.0
兆円買い越し、同期間に日経平均株価
は6%超上昇する傾向がある。例年どおり
なら日経平均株価は年末23000円超、直
近売られた反動で24000円超も視野に
今期予想 来期予想 今期試算 ① 今期試算 ② 売上高・前期比(%) 1.4 3.0 経常利益・前期比(%) 6.1 7.3 純利益・前期比(%) ▲ 1.4 6.5 ▲ 10.0 ▲ 15.0 EPS(円) 1,739.0 1,782.4 1,898.2 1,627.2 1,536.8 [指数想定・時期] 直近 直近 1年後 直近 直近 PER17倍 29563 30300 32269 27662 26125 PER16倍 27824 28518 30371 26035 24588 PER15倍 26085 26736 28473 24408 23052 PER14倍 24346 24953 26575 22780 21515 PER13倍 22607 23171 24676 21153 19978 PER12倍 20868 21388 22778 19526 18441 1ドル=100円前提 (注)業績は指数採用銘柄。今期は実績期の次期、来期は今期の次期。指数想定は各1株当 たり利益(EPS)に株価収益率(PER)を乗じたもの。試算①は今期予想が1ドル=100円前 提で前期比10%減益、②はさらに米自動車関税上げで同15%減益の場合。10/31時点 出所:日経NEEDSおよびQUICKのデータよりみずほ証券作成 日経平均株価 東洋経済 日経 今期予想 0.4 0.5 0.5 ▲ 0.4 ▲ 1.5 ▲ 1.0 ▲ 0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (兆円) (月)月別海外投資家買越額
(月次:2008/1~2018/10) 過去10年平均 2018年 (注)2市場合計。18/5は25日時点 出所:QUICKのデータよりみずほ証券作成 0.9 1.9 ▲ 4.4 ▲ 6 ▲ 4 ▲ 2 0 2 4 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (兆円) (月)[年初来累計]
過去10年平均 2018年 (注)2市場合計。18/10は26日時点 出所:QUICKのデータよりみずほ証券作成 +1.0兆円 0.2 2.7 3.5 ▲ 9.1 ▲ 12 ▲ 10 ▲ 8 ▲ 6 ▲ 4 ▲ 2 0 2 4 6 8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (%) (月)月別日経平均株価騰落率
(月次:2008/1~2018/10) 過去10年平均 2018年 出所:QUICKのデータよりみずほ証券作成電機、輸送を弱気、陸運を中立に下げ、卸売、医薬を強気、銀行、電力ガスを中立に上げ
TOPIX主要10業種の10月月間騰落率をみると、
TOPIXが▲9.4%となるなか、化学(▲14.9%)、機
械、情報・通信、サービス、電気機器、医薬品、
輸送用機器がTOPIXを上回る下げとなり、銀行、
小売、卸売が比較的小幅な下げにとどまった
化学、機械株の下落は米中貿易摩擦拡大による
中国景気減速や人民元安によるインバウンド需
要、中国向け設備投資需要の減速警戒が背景
情報・通信や電気機器は米金利上昇による米ハ
イテク株売りの流れが波及。情報・通信に関して
は、サウジアラビア人記者殺害事件をめぐる米サ
ウジ関係緊迫→サウジによるハイテク株投資の引
き揚げ警戒が株価の重荷となった可能性がある
サービスは全体株安となるなか、内需系好業績
株の一角として買われていた反動、利益確定売
りが広がった
みずほ証券では、2019年年初から予定の米国による対中関税引き上げや日米通商協議をにらみ、関税影
響の見極めが重要と判断。電機、輸送を弱気、陸運を中立に引き下げ、卸売、医薬を強気、銀行、電力ガス
を中立に引き上げた
年初来
9月
10月
NYダウ
25115
1.6
1.9
▲ 5.1
NY原油先物
65.3
8.1
4.9
▲ 10.8
米長期金利
3.14
0.74
0.20
0.08
国内長期金利
0.12
0.08
0.02
▲ 0.00
ドル円
112.9
0.2
2.4
▲ 0.7
ユーロ円
127.8
▲ 5.6
2.4
▲ 3.2
日経平均株価
21920
▲ 3.7
5.5
▲ 9.1
TOPIX
1646
▲ 9.4
4.7
▲ 9.4
1 化学
1912
▲ 12.0
4.6
▲ 14.9
2 機械
1744
▲ 19.4
5.2
▲ 12.5
3 情報・通信
3492
▲ 2.9
6.3
▲ 12.4
4 サービス
2048
▲ 1.8
4.5
▲ 11.8
5 電気機器
2247
▲ 14.5
0.3
▲ 10.5
6 医薬品
3042
6.2
8.9
▲ 10.1
7 輸送用機器
2792
▲ 14.2
3.5
▲ 9.7
8 卸売
1569
▲ 3.0
7.4
▲ 7.1
9 小売
1322
▲ 0.1
7.4
▲ 5.7
10 銀行
174
▲ 14.1
3.8
▲ 5.0
(注)業種は時価総額上位10業種(10月騰落率昇順)。現値の単位はドル、 1バレル=ドル、%、1ドル=円、1ユーロ=円、円、ポイント。金利の騰落率は 騰落幅(ポイント) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成TOPIX業種別騰落率
No.
指数名
現値
騰落率
(%) ▲ 1.3 2.9 ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 12 13 14 15 16 17 18 (%) (年)日本の輸出、工作機械受注
(月次:2012/1~2018/9)
輸出総額(左目盛) 工作機械受注総額 (右目盛) (注)各前年同月比 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 (%) 409.1 33.7 20 25 30 35 40 45 50 100 200 300 400 500 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (億ドル) (年)世界と日本の半導体売上高
(月次:2008/1~2018/9)
世界(左目盛) 日本(右目盛) (億ドル) 13.8 7.3 ▲ 80 ▲ 60 ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (年) [前年同月比] 世界 日本 (注)3ヵ月移動平均。表中の予想は世界半導体市場統計(WSTS)(18/6発表) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 (%) 半導体売上高 (前年比・%、ドルベース) 17年 18年予 19年予 世界 21.6 12.4 4.4 日本 13.3 8.6-この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
日経平均株価「10%超安」…2015年チャイナショック再現なら11月中旬に20000円割れだが
なお、リスクシナリオとして日経平均株価が10/25に直近高値から10%超下げ、調整局面入りしたとの見方が
出ているため、過去の例を参考にその実現性をみた
これによると、図中⑦2015年8月のケースでは、直近高値日から約1ヵ月半後に高値比18.6%安の2番底。そ
の約2ヵ月後に高値比96.2%の水準を回復した
今回の⑩18年10月のケースに当てはめると、11月中旬ごろに2番底(18.6%安で19748円)、19年1月中旬ごろ
に戻り高値(96.2%で23342円)のイメージだ
もっとも、業績面でみると、15年8月のケースでは急落前の予想PERが16.6倍と15年以降の平均レンジ14倍
~16倍を上回り、過熱感があったのに対し、今回の急落前予想PERは14.0倍と過熱感に乏しい
急落後予想PERも現状、12倍台と当時の13倍台を下回り、下値余地が限られる
仮に予想利益が当時並み10%程度の下方修正となった場合でも、当時のPER水準(14倍~16倍)に当ては
めると、日経平均株価の下値めどは現行の21000円台、上値で24000円台が想定される。調整は比較的浅
く、短くなる見込みだ
5000 10000 15000 20000 25000 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (円) (年)日経平均株価の直近高値比「10%超安」局面
(日次:2010/1/4~2018/10/31)
① ② ④ ③ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 33 81.4 75 96.2 41 85.5 171 100.5 18 87.14 20 90.32 75 80 85 90 95 100 105 0 20 40 60 80 100 120 140 160 (直近高値=100) (経過営業日数)⑦2015年8月、⑨2018年1月、⑩2018年10月の
ケース
(日次)
⑦2015/8ケース ⑨2018/1ケース ⑩2018/10ケース 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 15/8/10 16.6 15/9/29 13.4 16/6/24 12.6 18/10/2 14.0 18/10/29 12.3 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 (年/月) (倍) (注)予想EPSは日経平均株価を日本経済新聞社予想PERで除して算出 出所:日経NEEDSおよびブルームバーグのデータ等よりみずほ証券作成 16倍 14倍 予想PER 15/8/10 20808 15/9/29 16930 16/6/24 14952 18/10/2 24270 18/10/29 21149 予想EPS1,715円 800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400 1,500 1,600 1,700 1,800 1,900 2,000 13000 14000 15000 16000 17000 18000 19000 20000 21000 22000 23000 24000 25000 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 (円)日経平均株価と同予想EPS、予想PERの推移
(日次:2015/1/5~2018/10/31) 日経平均株価(左目盛) 予想EPS(右目盛) (年/月) (円) ①~⑨の平均 直近高値日から約 3 ヵ月半後 に高値比▲19.0%の「2 番底」、 その約 5 ヵ月後に戻り高値日米金融政策からのドル円想定…米利上げ・資産縮小継続で19年にかけ118円超も
2000年以降の日米中銀資産と日米長期金利差、ドル円の推移から、今後の米利上げ・資産規模縮小継
続と日銀の緩和継続による為替影響を試算、2019年央にかけてのドル円の動きを想定した
これによると、日米長期金利差1%の拡大はドル円を8.7円(0.1%につき約0.9円)押し上げる傾向。以下、米
連邦準備理事会(FRB)資産0.1兆ドルの縮小はドル円を0.3円、日銀資産10兆円の拡大はドル円を0.6円
それぞれ押し上げる傾向がある(下右表①)
みずほ証券投資情報部では、2018/11~19/6の日米金融政策の動きとして「FRBは米利上げ3回(計
0.75%)、資産縮小を最大4,000億ドル(月500億ドル)」「日銀は現行の長期金利誘導目標1%近傍を維持
(許容範囲上限は現行0.2%→0.2%)、国債買入年80兆円も維持(資産規模は過去1年34兆円増に対し同
ペースで19/6までに23兆円増)を想定(下右表②)
結果、ドル円は18/10の112.9円から19/6に118円超に上昇する可能性があると想定している
リスクは日銀の資産購入停止。観測浮上なら19/6までの資産23兆円増想定が0になり、ドル円想定を1~2
円押し下げ。「国債買入年80兆円」取りやめなら、早期利上げ観測も浮上し、瞬間的にドル円を最大3円
程度押し下げる可能性がありそう。この場合、ドル円は直近の113円から一時的に110円割れも想定される
0 1 2 3 4 5 6 0 100 200 300 400 500 600 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (%) (年)日米中銀資産、日米金利差とドル円の推移
(月次:2000/1~18/10) 日米金利差(右目盛) FRB資産(左目盛) 日銀資産(左目盛) (兆円、100億ドル) 0.0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 1.8 2.1 2.4 70 80 90 100 110 120 130 140 150 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (倍) (1ドル=円) (年)[ドル円推計値]
ドル円推計値(左目盛) ドル円(左目盛) 日銀/FRB資産倍率(右目盛) 【重回帰式】 ドル円=(8.71×日米金利差)+(0.06×日銀資産)+(▲0.03×FRB資産) +80.44(決定係数0.53) (注)日米金利差は米国-日本(長期金利)。ドル円推計値は日米金利差、日銀資産、 FRB資産を説明変数とする重回帰分析により算出。日米資産倍率は日銀資産 (兆円)÷FRB資産(100億ドル) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成【日米金融政策によるドル円相場への影響試算】
① 感応度
・日米金利差:0.1 ポイント拡大→ドル円 0.9 円押し上げ
・FRB 資産:1,000 億ドル縮小→ドル円 0.3 円押し上げ
・日銀資産:10 兆円拡大→ドル円 0.6 円押し上げ
② 2018/11~19/6 の想定(みずほ証券投資情報部)
・FRB:利上げ 3 回(計 0.75%)、資産縮小額は最大 4,000 億
ドル(月 500 億ドル)
・日銀:長期金利誘導目標 0%近傍維持(許容範囲上限:現行
0.2%→0.2%)
国債買入年 80 兆円維持(資産規模:過去 1 年 34 兆円
増→23 兆円増)
18/10 時点 19/6 想定 ドル円影響想定 米国長期金利 3.14% 3.50% 日本長期金利 0.12% 0.20% 日米金利差 3.02% 3.30% FRB資産 4.14兆ドル 3.74兆ドル 1円強押し上げ 日銀資産 552兆円 574兆円 1円強押し上げ ドル円(1ドル=円) 112.9円 118円超 5円~6円押し上げ 日米金利差0.3ポイ ント超拡大→ドル円 3円程度押し上げ (注)19/6 想定の米国長期金利 3.5%はみずほ証券投資情報部の 19/4~6 の想定レンジ 2.9%~3.5%の上限。日本長期金利 0.2%は同想定レンジ 0.1%~0.2%の上限 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
【参考資料】
投資情報部「東証1部19/3期上期決算集計(11/2時点)」(11/5)
投資情報部「日本株ストラテジーマンスリー要約版」(10/29)
エクイティ調査部「ストラテジーマンスリー」(10/26)
エクイティ調査部「みずほプレミアム・ポートフォリオ」(10/25)
投資情報部「19/3期上期決算プレビューと当面の日本株見通し」(10/16)
(三野 博且)
コード 銘柄名 業種名 ポイント 4565 そーせい 医薬品 ①2015年に買収したHeptares社の技術やパイプラインが高く評価できる、②ニュースフローが豊富。18年にはガン免 疫治療法のAZD4635のフェーズ2試験開始等、7つのニュースフローが予想される、③HTL18318やAZD4635は、大手 製薬企業からマイルストーンを受領する可能性がある 4739 CTC 情報 通信 ①Q1の受注が強く、通信キャリアやインターネット企業からの受注を獲得。得意なITインフラ領域の投資が拡大してお り、好環境を享受する可能性がある、②2020年3月期は5G導入前に通信キャリアからの受注が拡大する可能性があ る、③他のITサービス企業に比較してバリュエーションに割安感がある 6383 ダイフク 機械①新4ヵ年中期計画に向けて着実に前進している印象がある、②FA&DA(Factory Automation & Distribution Automation)が、ネット通販用物流倉庫投資の恩恵を受ける、③日本の製造業国内回帰で、収益性が高い中堅企業 向け物流倉庫改築が増加しており、国内FA&DA事業の継続的な業績貢献期待が高まっている 8306 三菱UFJ 銀行 ①グローバルな商業銀行として収益源が多様化している、 ②MUAHやモルガン・スタンレーを通じた米国からの収益は 大手銀行内で最も大きく、円安や米国金利上昇・景気拡大の恩恵を最も享受できるとみられる、③自己資本比率が相 対的に高く、規制影響も小さいため、自己株式取得等の積極的な株主還元策が継続する見通しである 9684 スクエニ HD 情報 通信 ①事業環境の好転:国内ではスマホアプリ市場、海外ではPS4やXbox One等のコンソールゲームの普及拡大により ゲームソフト会社の事業環境は好転、業績ポテンシャルも大きくなっている、②厚みのあるパイプライン:「ドラクエ」、 「FF」、「キングダムハーツ」、「トゥームレイダー」等の同社の誇る有力IPシリーズを「コンソール」および「スマホ」向け へ投入することでの業績拡大の確度が高く、過去最高営業利益の更新トレンドに入ろう、③松田社長は売上高3,000 億円(計画2,700億円)をめざしており、自信もあるとコメント