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YAKUGAKU ZASSHI 134(1) (2014) 2014 The Pharmaceutical Society of Japan 63 Symposium Review マイクロニードルを用いたペプチド タンパク性医薬品の次世代型経皮吸収製剤の開発 勝見英正,,a 権英淑,

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The authors declare no con‰ict of interest. a京都薬科大学薬剤学分野(〒6078414 京都市山科区 御 陵中 内町 5),bコス メ ディ 製薬 株 式会 社( 〒 601 8014 京都市南区東九条河西町 32) e-mail: hkatsumi@mb.kyoto-phu.ac.jp 本総説は,日本薬学会第 133 年会シンポジウム S29 107で発表した内容を中心に記述したものである. ―Symposium Review―

マイクロニードルを用いたペプチド・タンパク性医薬品の次世代型経皮吸収製剤の開発

勝見英正,,a 英淑,b 神山文男,b 草森浩輔,a 坂根稔康,a 山本 a

Development of a Novel Transdermal Delivery System of Peptide and

Protein Drugs Using Microneedle Arrays

Hidemasa Katsumi,,aYing-Shu Quan,bFumio Kamiyama,b

Kosuke Kusamori,aToshiyasu Sakane,aand Akira Yamamotoa

aDepartment of Biopharmaceutics, Kyoto Pharmaceutical University; Misasagi-Nakauchi-cho 5, Yamashina-ku, Kyoto 6078414, Japan: andbCosMED Pharmaceutical Co., Ltd.;

Higashikujyo-Kawanishi-cho 32, Minami-ku, Kyoto 6018014, Japan. (Received August 17, 2013)

Transdermal delivery of peptide and protein drugs may be limited by the stratum corneum, which is a protective barrier against the entry of microorganisms and water. Many approaches have been utilized to promote peptide and pro-tein drugs delivery across the stratum corneum, including chemical enhancer modiˆcation and physical disruption of barrier function. However, it has been di‹cult to achieve therapeutic levels of peptide and protein drugs via this route without any skin irritation. Recently, attention has been paid to the possibility of using microneedle arrays in delivering peptide and protein drugs into the skin. As a novel and minimally invasive approach, microneedle arrays are capable of creating superˆcial pathways across the skin for peptide and protein drugs to achieve enhanced transdermal drug deliv-ery. This method combines the e‹cacy of conventional injection needles with the convenience of transdermal patches, while minimizing the disadvantages of these administration methods. Therefore, microneedle arrays are a very useful al-ternative method for delivering peptide and protein drugs from the skin into the systemic circulation without any serious damage to skin. In this review, recent challenges in the developments of microneedle arrays for the delivery of peptide and protein drugs are summarized. Then, future developments of microneedle arrays for the delivery of peptide and pro-tein drugs are also discussed in order to improve their therapeutic e‹cacy and safety.

Key words―microneedle array; peptide and protein drug; transdermal delivery; hyaluronic acid; bioavailability

1. はじめに 生理活性ペプチド・タンパク質は,微量で高い生 理活性を示すことから,新しい医薬品として注目さ れているが,経口投与による吸収は困難であるのが 現状である.したがって,ペプチド・タンパク性医 薬品の投与方法は,臨床上ほぼすべてが筋肉内投与 や皮下投与などの注射に限定されており,これが治 療の効率と患者のコンプライアンス・quality of life (QOL)を著しく低下させる要因となっている. 一方,経皮吸収製剤は,従来,薬物の局所的な治 療発現を目的に用いられてきたが,最近では,ニト ログリセリンやスコポラミンの場合のように,全身 的治療発現を目的とした利便性の高い経皮吸収製剤 も多く開発されていることから,患者のコンプライ アンス・QOL を向上させる投与経路としての皮膚 の重要性が再認識されている.しかしながら,皮膚 は生体と環境との間にある境界バリアであり,皮膚 表面に投与された薬物の吸収は,皮膚最外層の角層 により大きく制限される.中でも,分配係数が小さ い水溶性薬物や分子量が 500 以上の薬物及びペプチ ド・タンパク性医薬品の皮膚透過は極めて困難であ り,こうした薬物を皮膚から効率よく吸収させる新 たな経皮吸収製剤の開発が強く望まれている.これ までに,ペプチド・タンパク性医薬品の皮膚透過を 向上させる手段として,吸収促進剤,1)イオントフ ォレシス,2)エレクトロポレーション,3)ソノフォレ

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Table 1. Classiˆcation of Microneedle Arrays

Material Advantages Disadvantages

Non-biodegradable Metal (stainless steel) Non-metal (silicon, titanium)

Excellent rigidity.

Easy to penetrate the stratum cor-neum.

Unsafe, if the needles broke and were retained in the skin after ap-plication.

Synthetic polymer (polycarbonate,

PMMA) Easy to mold.Suitable for mass production. Unsafe, if the needles broke andwere retained in the skin after ap-plication.

Biodegradable Polylactic acid, PLGA High safety.

Easy to manufacture.

Slow dissolution rate. Slow metabolism in the skin. Hyaluronic acid, maltose,

chon-droitin sulfate, carboxymethyl cel-lulose, dextran

High safety. Excellent toughness.

Excellent solubility in the skin.

Rigidity is slightly lower. Easy to absorb moisture.

シス4)及びジェットインジェクション5)などが検討 されてきたが,利便性や安全性に課題があった. 最近,微細加工技術の発展と相まって,長さ数百 ミクロンのアレイ状微細針に表面塗布又は内部に含 有された薬物を皮膚内で放出させるマイクロニード ルが,簡便かつ確実にペプチド・タンパク性医薬品 を経皮投与できる方法として急速に注目を集めてい る.6)マイクロニードルには,1)薬物の分子量及び 油水分配係数などの物理化学的性質に依存せずペプ チド・タンパク質のような水溶性高分子に対しても 良好な吸収が期待できること,2)構成素材及び調 製法により薬物の皮膚内到達部位及び放出速度を制 御できること,3)投与に際してほとんど痛みを伴 わないこと,4)自己投与が可能であること,5)イ オントフォレシス,エレクトロポレーション,ジェ ットインジェクション及びソノフォレシスなどのよ うに,投与時に特別な装置を必要としないことなど 多く の 利点 があ る .マ イク ロ ニー ドル の 研究 は 1970 年 代 に 米 国 で 端 緒 が 開 か れ ,7)1990 年 代 に Henry らが初めてマイクロニードルを経皮吸収の研 究に用いて以来,8)様々な素材及び形状のマイクロ ニードルが開発され,最近では,Zosano Pharma 社により,骨粗鬆症治療薬 parathyroid hormone (1 34)をチタン製の微細針の表面にコーティングし たバンドエイド型マイクロニードルの臨床試験が進 められている.9) 本稿では,こうしたペプチド・タンパク性医薬品 の次世代型経皮吸収製剤として注目を集めているマ イクロニードルについて概説するとともに,皮膚適 用後に微細針が溶解するヒアルロン酸マイクロニー ドルを用いたペプチド・タンパク性医薬品の経皮デ リバリーについて筆者らの研究を中心に紹介する. 2. マイクロニードルの種類及び構成材料 現在,マイクロニードル研究は,国内外で活発に 行われており,これまでに様々な素材及び形状のマ イクロニードルが開発されている.マイクロニード ル は , 形 状 的 に 中 空 型 ( hollow type ) と 中 実 型 (solid type)に大別されるが,このうち,中空型は いわば既存の注射針を小さくしたものであり,その 機能も同様である.また,ニードルをマイクロ化し 新しいコンセプトを生み出したのは中実型である が,中実型は薬物が微細針表面にコーティングされ たコーティング型(coating type)と薬物含有の微 細針が皮膚中の体液で溶解し,薬物が皮膚内で放出 される溶解型(dissolving type)に分類される. マイクロニードルの構成材料は生体内非分解性材 料と生体内分解性材料に大別される.Table 1 に様 々な素材から製造されたマイクロニードルの長所並 びに短所をまとめた.このうち,生体内非分解性材 料を用いるマイクロニードルは,素材としてシリコ ン,金属などを用い,米国において先行し研究開発 が盛んに実施されてきたが,電子工業において蓄積 された微細加工技術を応用して作製されたニードル である.1013)これらのマイクロニードルは,美しく 形の整った硬い針が得られることが特徴であるが, 金属アレルギーや折れた針が皮膚内に残留する危険 性が欠点として挙げられる.これらのマイクロニー ドルを用いて薬物を投与する方法としては微細針表 面への薬物コーティングが一般的であり,骨粗鬆症 治療薬カルシトニンや中枢性尿崩症治療薬デスモプ

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Fig. 1. Scanning Electron Micrographs of a Section Contain-ing Insulin-loaded Hyaluronic Acid Microneedle Arrays with Lengths of 800mm, and Diameters of 160 mm at the Base and 40mm at the Tip Bar=200 mm. レシンなどの吸収性を顕著に増大させることが報告 されている.11,13) 一方,生体内分解性材料からなるマイクロニード ルは生分解性合成高分子あるいは生体由来高分子・ 低分子を用いる.これらのマイクロニードルは後述 する広い意味における鋳型成型により作製されるこ とが多い.また,これらのマイクロニードルは,薬 物を微細針内部に含有させることができるのが大き な特徴である.これまでに,ポリ乳酸,マルトー ス,コンドロイチン硫酸及びカルボキシメチルセル ロースなどを素材とした溶解型マイクロニードルが 開発され,ヒト成長ホルモンなどのペプチド・タン パク性医薬品の高い吸収性が報告されている.1417) 3. マイクロニードルの製法 マイクロニードルの製法は構成材料それぞれの性 質に規定されることから,材料毎に製法が異なるの が特徴である.マイクロニードルの代表的な製法に は,エッチング法,折り曲げ法,接触引き上げ法及 び鋳型成型法などがある.1820)エッチング法はシリ コン基盤上にフォトレジスト膜をデザイン塗布し, フッ素プラズマ環境中においてシリコンエッチング する成形法である.また,折り曲げ法はステンレス 板をレーザーにより切り出し 90°に折り曲げる成形 法である.一方,接触引き上げ法は板にステンレス 線,又はシリコン線を直立配列させ,これらの線を マイクロニードル素材溶液の表面に接触させゆっく り引き上げることによりマイクロニードル素材が ニードル状に引っ張られる成形法である.さらに, 鋳型成型法は熱可塑性プラスチックの加熱充填成形 や高分子溶液を鋳型へ充填し乾燥する成形法であ る.このようにマイクロニードルの製法には様々な 方法が用いられているが,いずれの製法であっても マイクロニードルは皮膚に穿刺するという最終使用 形態を考慮すると注射剤と同様の無菌製剤化が必要 となる. 4. ヒアルロン酸を用いた溶解型マイクロニード ルの開発 上述のように,様々な素材,製法により開発され たマイクロニードルがこれまでに多数報告されてい るが,最近,筆者らも生体適合性に優れた素材で構 成された微細針に薬物を含有させた中実型のマイク ロニードルを作製することに成功し,その経皮吸収 性及び有効性,安全性について検証している.21,22) マイクロニードルの主構成素材には,生体適合性の 観点から生体由来成分であるヒアルロン酸を選択 し,ヒアルロン酸溶液を鋳型へ充填し乾燥する鋳型 成形法により,ニードル長さ 800 mm,先端部の太 さが直径 40 mm, 1 cm2あたり約 240 本の微細針を 有するマイクロニードルを作製した(Fig. 1).本 マイクロニードルは,皮膚に適用後,薬物を含有し た微細針が皮膚中の体液により速やかに膨潤,溶解 され,皮膚内で薬物が放出される「溶解型」であり, 折れた針が皮膚内に残留する危険性がなく皮膚に対 する安全性が高い点が大きな特徴である.Figure 2 は作製したヒアルロン酸マイクロニードルの皮膚内 における溶解性を示したものであるが,皮膚適用後 30分までに微細針の先端から約 3/4,1 時間までに 微細 針全 体 が溶 解 する こと が 明ら かと な って い る.21)モデル薬物として約 4 kDa の分子量を持つ

‰uorescein isothiocyanate-labeled dextran(FD4)を 微細針に含有させたマイクロニードルを用いた検討 では,適用後の皮膚組織切片の顕微鏡観察で,角層 の破壊と FD4 の真皮への拡散が認められたことか ら,作製したマイクロニードルは角層を貫通する十 分な強度を有し,皮膚中で薬物を速やかに放出可能 であることが明らかとなった.また,フランツ型の 拡散 セル を 用い た ラッ ト皮 膚 透過 試験 に おい て FD4の高い皮膚透過性が示されたことから,ヒア ルロン酸マイクロニードルは皮膚から薬物を確実に 吸収させる経皮吸収製剤であることが実証された. さらに,ウサギを用いた皮膚一次刺激性試験では,

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Fig. 2. Bright Micrographs of Insulin-loaded Hyaluronic Acid Microneedles Arrays before and after anin Vivo Application onto Rat Skin for 30 and 60 Min

Fig. 3. EŠects of Various Application Methods of Insulin on Plasma Insulin Concentrations in Diabetic Rats

Results are presented as the mean±S.E. of six experiments. (●) con-trol, (▼) insulin loaded hyaluronic acid microneedle arrays, (▲) placebo hyaluronic acid microneedle arrays+insulin solusion, (□) subcutaneous in-jection of insulin.

Fig. 4. EŠects of Various Application Methods of Insulin on Plasma Glucose Levels in Diabetic Rats

Results are presented as the mean±S.E. of six experiments. (●) con-trol, (▼) insulin loaded hyaluronic acid microneedle arrays, (▲) placebo hyaluronic acid microneedle arrays+insulin solusion, (□) subcutaneous in-jection of insulin. マイクロニードル 24 時間適用による皮膚の紅班及 び浮腫は観察されず,高い安全性が示されている (未発表データ). 5. ヒアルロン酸マイクロニードルを用いたイン スリンの経皮デリバリー 筆者らは,インスリンなどのペプチド・タンパク 性医薬品を対象として,上述のヒアルロン酸マイク ロニードルを利用した経皮吸収改善法の開発を進め ている.すなわち,ペプチド・タンパク性医薬品を 簡便かつ確実に投与可能な経皮吸収製剤の開発を目 指して,糖尿病治療薬インスリンを含有させたヒア ルロン酸マイクロニードルを作製し,安定性,吸収 性及び有効性について評価している.高温条件下の 安定性試験では,調製したマイクロニードルに含有 されたインスリンの安定性は保持されており,品質 に問題が生じないことが明らかになっている.21) た,ラットを用いた体内動態試験においては,イン スリン含有マイクロニードルの適用により,皮下注 射とほぼ同等のインスリン血中濃度が得られ(Fig. 3),糖尿病モデルラットに対しても著効を示した (Fig. 4).一方,プラセボマイクロニードルで皮膚 を前処理した後インスリン溶液を塗布した場合の bioavailabilityは極めて低く,インスリンを含有さ せたマイクロニードルを皮膚に適用するアプローチ の有用性が明らかとなった(Fig. 3).21)そのほか, C 型肝炎治療薬インターフェロンや糖尿病治療薬 exendin-4 などを対象とした検討においても同様の 結果が得られており,様々なペプチド・タンパク性 医薬品に適用可能であることが実証されている. 6. おわりに 本稿では,マイクロニードルの種類及び製法につ

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いて概説するとともに,ペプチド・タンパク性医薬 品のマイクロニードル製剤化研究の一端を紹介し た.後半で紹介したヒアルロン酸マイクロニードル は,溶解型であり皮膚に対する生体適合性が高いこ とから,安全性の観点で従来型のマイクロニードル に対して非常に優位性があると考えられる.マイク ロニードルの臨床使用に向けては,有効性及び安全 性のバランス,製造コストなど多くの課題がある が,投与の簡便さ,吸収性の観点からマイクロニー ドルは魅力的な投与剤形であり,今後のマイクロ ニードル技術の医療への展開が期待される. REFERENCES

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Table 1. Classiˆcation of Microneedle Arrays
Fig. 1. Scanning Electron Micrographs of a Section Contain- Contain-ing Insulin-loaded Hyaluronic Acid Microneedle Arrays with Lengths of 800 mm, and Diameters of 160 mm at the Base and 40 mm at the Tip Bar=200 mm.レシンなどの吸収性を顕著に増大させることが報告されている.11,13)一方,生体内分
Fig. 4. EŠects of Various Application Methods of Insulin on Plasma Glucose Levels in Diabetic Rats

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