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上下水道におけるシミュレーション技術

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小士特集

シミュレーション技術

U.D.C.[001.891.573:5ト37〕:る28・り・3

上下水道におけるシミュレー㌣ヨン技術

Simulation

TechnologYin

Water

and

Wastewater

SYStemS

上下水道システムの運用,制御を高度化するため,確立されたシミュレーション

技術は,(1)上水道,導・送水系:階層化モデルを用い,需要予測からPrimaトdual

法で配分計画を求める。(2)上水道,配水系:NEFLAN-Cによりエネルギー景′ト式

と管網縮約を用い,操作端設定値繰返し計算時間を大幅に短縮した。(3)下水道,雨

水排水系:流入量予測を基に,ポンプをゲートと協調させながら最適スケジューリ

ングを行ない,実験設備で実証した。(4)下水処理プロセス:曝気槽,沈殿池及び制

御モデルにより活性汚泥プロセス,総汚ラ尼量制御を確立したほか,消化槽モデルも

構成した。(5)支援システム:シミュレーションに用いる配列構う豊を確定し、CASE-CTL支援システムを構築し,シミュレーションを効率化した。 □

言 上下水道は,単一のあるいは複数の地方行政区域を一単位 として,水に関する安全を確保するための都市の基本施設で あり,典型的な巨大,広域システムを形成する。普及率が90 %を超える高普及時代に入った上水道では,そのニーズは上 水道事業経営の高効率化,合理化が重要となった。このため, 広域にまたがるサービス区j或を適正ブロックに分割し,総合 運用が大規模に行なわれるようになった。下水道の普及率は 約30%とまだ低いが,処理区城,排除区域は急速に広域化し, 総合運用が実現しつつある。 このため,上下水道システムの構造,挙動を計算機あるい はアナログモデルによりシミュレーションを行ない,計画, 設計,運用の各段階で的確に把握する必要が増大している。 計画段階で考え方,方向を誤るとシステムが巨大,広J或であ るほど,完成後,取F)返しがつかないため,従来,計画段階 でのオフラインシミュレーションによる事前評価が特に重視 された。現在ではシミュレーションは制御用計算機によr), 上下水道システムを最適状態に保つ最適化制御,あるいは適 応制御の一部分としてプロセス同定,及びパラメータの評価, 決定,調整を行なうためにオンラインで広く実施されている。 換言すれば巨大,広域化上下水道システムは,制御用計算機 によって確実に運用され,計算機は常にシミュレーションを 行なっている。上水道システムでは需要予測と配分計画,下 水道システムでは流入量予測,最適タイ ミング制御及び活性 汚泥プロセス制御でのシミュレーションが実用化された主な ものである。以下,その詳細について述べる。 同

上下水道システム制御とシミュレーション

2.1上水道,導・送水系の運用 上水道システムは配水池のもつバッファ機能を利用して, 取水から配水池までの導・送水系サブシステムと,配水池以 降の配水系サブシステムに分割して運用されるのが普通であ る。本節では導・送水系の,ニ大節では配水系のシミュレーシ ョンについて述べる。 導送水系の運用には,水の需要を満足させながら,取水, 水処理及び送水コストの最小化,起動・停止回数の低減によ

る機器の長寿命化,保守手数の低減,外部買(売)水系に対す

る契約水量の遵守を測ることが重要である。このため,(1)水

大書

透*

舟詮橋誠寿**

塩谷

真**

田沼正也*** 依田裕明**** 7℃γ〃 Ofo 〟0‡0んf5α F以氾αムα5んg 〃αん0亡05んわyα 〃α5¢yα Tα氾加mα 〟fγ0αんJy()dα

需要量の予測,(2)予測値に基づいた施設の運用計画,(3)施設

の実際運用が重要となり,各段階での計算機シミュレーショ ンが重要な役割を果たしている。 横浜市水道は給水能力178万m3/dの巨大システムであるが, シミュレーションに基づく運用によって効率的な運営が実現 されている1)・2)。需要予測は全市の日単位需要量を,時間的, 空間的に展開して行なわれる。日単位需要量は,気象などに より変化する不規則成分と,週曜日に依存する定常的な基本 成分に分け,それぞれの変動要因から予測を行なう。運用計 画は,予測需要量を入力とし,導・送水系の挙動をシミュレ ートして求める。横浜市水道の場合,導・送水管路は亘長 5,000kmにのばる大規模,広1或ネットワークを形成しており, 一挙にシミュレートすることは条件の設定,結果の判定,修 正が煩雑で運転者に過大な負担をかけることを避けるため,

取水量,浄水場への配分量(浄水場間融通量),配水池への配

分量の3階層に分けてモデル化し,段階的に計画が行なわれ

る。各階層のシミュレーションには,Primal-dual法栽1)を用い 水系運用上の要請を円滑に達成できるように施設,機器の運 転条件を逆算できるように図った。 2.2 上水道,配水系の運用

配水系では,(1)管綱末端での圧力を適正に保ち,需要家へ

の給水サービスを向上するとともに,過大圧力に基づく漏水,

あるいは管路事故を防止するニーと,(2)管路網への配水量を配

水池間で融通し,水処理及び配水コストの最小化を図ること が重要で,このため管網内の水の挙動をシミュレートし望ま しい操作点と,その設定値を求め,これにより配水系を制御 すればよいが,これには次の課題を解決する必要がある。

(1)配水系の操作端は管綱内め,あるいは配水ブ也出口のボンフ1

バルブであるが,その台数,設置位置には制限がある。(2)管

網内の流量,圧力の関係は非線形で,実系統では直径200m皿 以上の主要管路に限っても管路数は数百以上にのぼり,通常 のシミュレーション技法によっては計算時間が長くなり,リ

アルタイム制御が難しい。(3)限定された操作端のこ最適設定値

をシミュレーションにより逆算し,配水系の適正水圧を実現 するためのアルゴリズムがあらかじめ組み込まれている必要 滋1)Primaトdual法:ネットワークの最:小費用を求める解法の一つで, 流れを積み上げて求める方法である。 * 日立製作所機電事業本部 ** 日立製作所システム開発研究所 *** H立製作所日立研究所工学博士 **** 日立製作所土浦コニ場

(2)

があるが,通常の逆算手法では最適設定値が求められない場

合が発生する。(4)シミュレーションにより求めた設定値は計

算機の数式モデルによるものであり,実現象との蒋離,誤差, 差異を補正するメカニズムを必要とする。

NEFLAN-C(NetworkFlow

Analysis

andPlanni咽Meth-od-Control)は,これらの課題を解決し,配水制御を実現し

た。高松市水道局,配水制御システムには,HIDIC80E制御 用計算機とNEFLAN-Cが採用され,順調に運転している。 これにより上記の課題が解決された状況を述べる3ト5)。

(1)計算時間の短縮

通常の管網挙動シミュレーション技法は,管路のノードで の流量収支,ノード間の圧力平衡を表わす連立方程式を解く ものである。NEFLAN-Cでは,この方程式が成立すること と,管路内の損失エネルギーが最小であることの等価性に着 目し,損失エネルギー最小条件を満足する流れをネットワー ク算法によって効率よく求めることができる。これにより計 算時間は,従来の約与に短縮された。また,管網縮約を行な い,実在のノードを許答誤差範囲内で自動的に一つにまとめ, 仮想の等価管路を形成することによって,高松市の場合,約 500のノードを,約140にまとめ,計算時間は約÷に短縮され ている。

(2)操作端設定値の逆算

制御結果が最適となるような操作端設定値を求めるために, NEFLAN-Cでは,管網内の圧力分布目標値とシミュレーシ ョン結果の差の自乗和を一つの指標とし,シミュレーション を繰り返して,この指標が改善される方向へ設定値を安定に

変更してゆく技法(Simplex法)を採用した。改善不能限界で

の設定値が求める操作端設定値であるが,実水系の状況によ っては,繰返し計算回数は160回にも達することがある。 NEFLAN-Cは,上記のように1回当たり計算時間を大幅に 低ぎ成したほか,この繰返し計算回数が多い場合はシミュレー ション方法を切換え可能とするように考慮した。

(3)フィードバック制御による数式モデル轟離の吸収

数式モデルと現実の希離は,シミュレーションによる予想 圧力分布が維持されるように,操作端設定値をフィードバッ ク制御によって微調整し,吸収する方式を採用した。 30 40 「×-(XmAq) 十(配水基地) →イト・(バルブ) (a)配水制御前の圧力分布例 図l 配水制御効果の評価シミュレlション結果例 くなっている。 60 50 0 0 4 3 (音∈)世 鴬 0 ∩) 2

レ/

ヽ/ V 〈-一一一-ヽ

ノ\

圧力監視点2 I -1■ 1--・-圧力監視点1 ∧ /、、 _ノ′ ヽノ+ 圧力監視点1 圧力監視点2 注:一制御時 -…=-一無制御時 √ヽ-0 4 8 12 16 20 24 日内時刻 亡 国2 高松水市道における圧力適正化の実績値 配水制御の導入前 後の圧力監視点での実績値を示す。制御導入によって夜間の高圧現象が大幅に なくなっていることが分かる。 配水制御は,シミュレーション技術と制御技術の適切な組 合せにより実現したもので,図=はNEFLAN-Cによる圧力 分布適正化制御シミュレーション結果を示す。制御によって 過大圧力地i或が大幅に縮小可能なことわ分かる。図2は,高 松市の実績を示す。制御の結果,夜間の過大圧力を避けるこ とに成功している。この圧力適正化により,漏水量は従来の 約20%削ぎ成可能の見込である。 2.3 下水道における水量制御とシミュレーション 道路舗装率が上昇した結果,特に市街地の合流式下水道で は,激しい降雨の場合,管渠への雨水流入量が急激に増加し, 路上溢水,あるいはポンプ所冠水などの事故に至る危険が大 高圧地域、 40 40 30 40

40 (b)配水制御後の圧力分布例 適正圧は30mAqといわれている。制御前の広範囲な50mAq以上の高圧領域が,制御後ほとんどな

(3)

上下水道におけるシミュレーション技術 647 きい。これを防止するため,広i或の大規模下水排水系統の計 画が増加しているが,これを適切に計画,建設,運転するた め,シミュレーション技術の重要性が増大している。,本節で はその概要について述べる。 2.3.1;充入量オンライン予測6) 降雨時,i売人量を予測できればポンプは的確に運転できる。

予測の方法には,(1)雨量と流入量データを用いる統計的技法,

(2)管渠内i充量,又は水位実測値を用いる水理学的技法を開発

してし、るが,本節では水理学的技法について述べる。実デー タが蓄積されていなくても,オンライン実i則値により予測す ることができる。この技法は,連続式及び運動方程式から成 る2独立変数,2従属変数の双曲型非線形連立1階偏微分方 程式のモテリレで,管渠内の水の挙動をシミュレートし,予測 するもので,_LT元の管楽内の任意の点の水位,丁充呈測定値及 びポンプ吐出し1充量を入力し,管渠内の任意の点の水位,流 量の時間変化を算出できる。満管部,非満管常流,非満管射 i充がi昆在する流れの予測も可能である。解法を工夫すること により,仝計算時空点にわたり均一な精度と安定性を得ると ともに,長さ7kmの管楽の1時間先の予測を5分以下(HIDIC 80E)の計算時間で行ない,オンライン予測を可能とした。上 i充の流量とポンプ吐出し呈が変化したときのi充量と水位の変 化の計算結果例を図3に示す。 2.3.2 予測に基づくポンプの最適スケジューリング6) 流入量が予測されるとポンプの起動・停止の時刻と台数を, 管渠の貯留容量を考慮しながら事前に最適に決定でき,余裕 をもってポンプを運転できる。運転スケジュール決定方法は ポンプ停止 ポンプ起動 (∽\門∈)利 賀 8 4 (ひ42(U 321 0>∝⊃>∝ 流入量減少 ク

一.入 港仙 ・¶〃 増 量

志譲㌦

(a)流量の変化 ポンプ停止

\轡9

\ポンプ井

ポンプ起動 ニ⊃S (∈)但東虎伽 68 4 6・月.2 (J21 食

軒騒㌦

、乾ポンプ井

流入量減少l

流入量増加 (b)管絡水位の変化 図3 流入量予測のシミュレーション結果 上流で流lが変化Lた り,下う充でポンプを起動・停止したときの波の伝1般や水面形変化が読み取れる。 初期貯留量 ∑q (紬)ニ時刻∼0までの情報による。 (どl):時刻∼lまでの情報による。 累積ポンプ 吐出し流量 十 初期貯留量 実測値 go 古l ′.一 ′

リサ

′ /

/′ソ

′ し′ 紬 / (吉り ′如 ′′1 ′ ′ ′ 一一一 目標貯留量 累積負荷流量予測値 (£1) (∼1) 負荷流量 予測値 し ポンプ吐出し流量 ∼0 ∼1 運転台数切換時刻 図4 ポンプ運転スケジュールの決定方法説明図 台数変更頻度の 少ないスケジュールを姜幾何学的に探索L,予測値の変更に対Lては起動・停止 時刻を変更する。 次に述べるとおりである。 ポンプ運転台数は上下限水位の直前でだけ変更する条件で, き売人量子i則時間帯にわたるポンプ運転スケジュールを幾つか 試算し,そのうち運転台数変更i頃度,又は消費エネルギーな どの評価が最も良いものを選ぶ。i元入量,又はポンプ吐出し 量を時間的累積値として扱い,幾何学的技法で高速で探索を 行なうものである。図4に示すように,選定した運転スケジ ュールが,最新のデータによる流入量予測値に対し,水位条 件を満足するか否かをシミュレータは常にチェックを行なっ ており,これを満足させるように,ポンプ起動・停止時刻及 び台数が修正される。 2.3.3 開水路から閉水路へ移行可能な管渠の水理現象 市街地に設けられる広域下水排水ポンプ設イ嵐 及び流入管 渠は地下深く設けられ,常時は開水路であっても,激しい降 雨時,あるいは異常時には閉水路へ移行するケースが多い。 この管渠の水理過i度現象を的確に把握することは,ポンプ設 備の適切な計画,最適スケジューリング及びポンプ,バルブ, ゲート協調利子卸の基礎として重要である。これを解析する技 法は,開水路のエネルギー式や連続式を,閉水路の剛体近似 に基づく運動方程式と連立きせ,特性曲線を用いる方法によ るものである。時間的に変化する開水路と閉水路の接点は, 繰返し計算によって追跡できる7),8)。 2.3.4 下水排水系,水量モデルのアナログシミュレーション による検証 以上述べた技法を,広i或,長大管渠,大容量排水系(大阪

市下水道局弁天抽水所)に適用するに当たり,計算機シミュ

レーションのほか,q寺に図5に示すように全長60m,直径120 mmのアナログ模型を設け検証した。実管楽内の水の挙動を目 で確かめながら,実在感をもって検証が行なわれた。i充入制

(4)

サージタンク2 サージタンク3

[垂]

給水ピット サージタンク1 吸水槽 ポールパル7 ゲート サージタンク4 水路

サージタンク5 水理モデル実験装置仕様 項 目 水 路 全 長 60m 水 路 直 径 120mm 水路こう配 0.8%ク 吸水槽面積 0.38m2 ゲ ート 幅 56mm 最大流入水量 0.17m3/min 図5 水理モデル実験装置平面図 テストループは給水ピットを介す るオープンループとL.各サージタンク内での水位の過渡変化を計測した。 図6 水理モデル実験装置の全景 サージタンク2(左端)から上流側 を見たところを示Lた。水路内の水は右端水槽から発L,水路を自然流下Lた 後に.吸水稽を経て給水ピットへ戻る。 御ゲートは油圧駆動で,排水ボン7Dの運転はボールバルブの 開閉で模擬し,水位変化は水位計に記録させた。図6は実験 装置の全景を示すものである。図7に計算値と実験値の比較 を示した。吸水槽,各サージタンクの水位変化計算値と実験 値はよく一致し,開水路から閉水路への移行速度も,実用的 に高い精度で一致することを確認した。 2.4 下水処理プロセスのシミュレーション ー般に下水処理に採用される活性汚泥プロセスは,その内 部での生物化学的挙動が極めて複雑であるから,特に効果的 な制御を行なえるようなモデル構造を立案すること,及びパ ラメータ調節を容易に行なえることが重要である。 図8はこの観点から開発したモデルの構成を示すものである。 2.4.1活性汚泥プロセスのシミュレーション 活性汚泥78ロセスの挙動をシミュレートするには,曝気槽, 沈殿池及び制御モデルが必要である。

(1)曝気槽モデル

槽内での活性汚泥,有機物の輸送状態を記述する押出し流 水モデル,反応状態を記述するMonodモデル躾2)を用いる。 ※2)Monodモデル:活性汚泥が汚水中の有機物を除去する割合を次式 のように記述するものである。 d5/df=-たm・5・ズ/ん丘+5 ここに 5:有機物浪度, ズ:汚泥濃度 丘爪:汚至尼の最大増殖率,も:Monod常数 200 ∈ ∈ 単100 ・寅 計算,実験条件 流 入 量 1.77J/s ポンプ停止時間 1.Os ゲート閉鎖速度 2.27mm/s 9(∋mm 吸水槽 注:一実験値 -…一一一計算侶・ サージタンク1 ■一一一一■■-■一一--■■一一一′ サージタンク3 サージタンク2 サージタンク4 ゲート開度 10 20 30 時 間(s) 50 図7 サージタンク水位変化の計算値と実験値の比較 ゲートを 閉状態でポンプを急停止Lた直後の各サージタンクでの水位変化を示した。サ ージタンクの水位が約】20mmを越えると,その下‡充側水路には閉水路が形成さ れた。 総汚泥量制御モデル 水 質 予測制御 汚 泥 量 フィードバック制御 C。,5〃,Qひ Q尺 曝気槽モデル ∂C 旦=_γ_ ∂∼ ∂ェ

__J正三盲rÅ。5

1 〟5十C 曝気風景 C ぶ Q 沈殿池モデル 如,5月 汚泥柱 ざe,Cビ 巻上げ 「 ̄ ̄` ̄ ̄ ̄ l L.__ 生汚泥 /SAO\ け ノ (加′ ガス 消化槽モデ 消化汚泥 CO2分圧モデル l ■ ■ l 化学特性モデル

l

† 微生物モデル ぶ月1 )俊 ノレ 注:略語説明 C(基質),S(汚泥凄度),Q(流量),ロ(流速),∬(距離) yギ(基質変換係数),〃(微生物最大増殖速度),尺5(常数), Å亡(基質への変換係数),尺d(微生物分解減少速度),ダ(汚水流量),。:流入, e:流出,月二返送,肝:引抜き,Ao:液化槽流入,血:液化槽流出 図8 下水処理プロセスのシミュレーションモデル シミュレー ションモデルは曝気稽,沈殿池,消化槽及び,制御モデルで構成され,微生物 反応状態と系内有機物輸送状態を記述Lている。

(2)沈殿池モデル

池内での汚泥収支を考慮した簡易モデル,汚ラ尼の挙動を詳 細に記述したモデルがある。図8に示すように,汚泥沈降状 態,移送状態及び出口での巻上状態を考慮し,池内汚音尼濃度 分布計算が可能である9)。

(3)制御モデル

放i充水質の変化を予測し,これを抑制するように返送汚泥

(5)

上下水道におけるシミュレーション技術 649 2,帥Oppm l実測′ユ ′t ▲ 一l∧ ノ 爪 クl

\人▲▲▲

ノも

V V

V▼

\V ∀ ▼ W 盲十算値 Op叩1 1.500ppm l計算値 人 ▲ L \∧. 知人 人 ▲ _ Y / Jけ 人喝プ 1J rV lJ

V妄則値

I可 } Opp†n ■■ (a)曝気積出口MLSS(上)と引抜き汚泥濃度(下) 図9 活性汚泥処理プロセスのシミュレーション結果 注:略語説明 MLSS(混合液浮遊物) fソA才比(BOD/MしSS比) 糾+W・北)絹留時間を考慮した榊批) BOD(生物化学的酸素要求量) (b)沈殿池内汚泥濃度分布

(が㌍〉折詰言

20㈹ 000 0 0 0 1 2 3 0 】 2 3 4 (i)MLSS一定 (ii)fゾルト定 (∪ <U 4 2 (∈箆) 凸○皿 設言 0

≦運1・000

篭 0 1 2 3 0 1 2 3 ヰ 、\ 2 k O 時間d 時間d (iii)♪ソ(〟・丁)一定 (iv)BOD一定 (c)一定制御のシミュレーション結果 シミュレーションにより,活性汚泥濃度変化や沈殿池内の汚泥濃度分布など.種々の特性が把握できる。 固形物量(返送汚泥量×濃度)を制御する水矧別御モデルと,糸 内総汚i尼量のフィードバック制御モデルによるシミュレーシ ョンのほか,汚泥濃度変化をブロック線図及び伝達関数によ って検討する解析的アプローチが可能である10)。 図9にシミュレーション結果の一部を示す。曝気槽出口

MLSS(i昆合液浮遊物)濃度,引抜汚泥濃度,沈殿池汚7尼濃度

分布状態並びにMLSS一定,F/〟比〔BOD(生物化学的酸素 要求量)/MLSS比〕一定,F/(〟,r)比(滞留時間を考慮し たF/〟比)一定及びBOD一定の各制御でのBOD,MLSS, 耳/〟の挙動を的確にシミュレートし,活性汚ラ尼プロセスの挙 動は,重要な水質指標{子閲し,おおむね正確,的確に把握で

きるようになった。微生物反応モデルの精密化が今後の課題

であr),例えばMonodモデルでは不可能な曝気槽での吸着現 象をBusbyなどが示唆するように,汚泥内部に取り込まれる 中間生成物を考慮した構造化モデル(Structured Model)によ り求める検討などがその方向である11)。 2.4.2 汚泥消イヒ槽のシミュレーション 消化槽では嫌気性発酵が行なわれ,メタンガスが発生す ̄る。 ガス発生量のほか,pHが汚泥活性度指標として用いられる。 シミュレーションでも,有機物濃度,微生物濃度のほか,多 くの変数の計算を行なう必要があー),モデルは活性汚泥プロ セスに比べ複雑であるが,Andrewsモデルがよく整理された ものである。図8に示すように,三つのサブシステムをもっ ている12)。

(1)微生物反応モデル

微生物増殖速度は,非イオン化基質j農度に依存し,次式の ように表わす。 /∠ /上= 【

ここに1十監十芝

〟:微生物増ラ恒速度(1/d),β:一最大増殖速度(1/d)

〃g:非イオン化基質濃度(mol/J),方5,方J:常数(mol/り

分母第3項の阻害項を考慮することによって,過負荷に対す る安定性を検討できるのが特長である。

(2)化学特性モデル

消化槽内の液の炭酸ガスi農度を物質収支式から,垂炭酸イ オン(HCO3 ̄),水素イオン(H+),pHなどを液中のイオン平 衡式とCO2∼農度から求める。

(3)炭酸ガス分圧モデル

ガス相でのCO2分圧を求める。これは液からのCO2放出速 度に影響する。図10にシミュレーションの例を示す。消化槽 の安定運転,炭酸ガス除去制御によるメタンガス膿度改善な ど,新しい成果が得られつつある。 6】 シミュレーション支援プログラム 以上のシミュレーションを簡単に行なえる支援機構を傭え ることが重要である。制御方式,設備計画の開発に必要なオ フライ ンシミュレⅥションを効率よ く行なうCASE-CTL (ComputerAidedDesignforSystems Engineering-Control) について述べる13)。上下水道分野でのシミュレーション対象 ほ非常に多いが,そのデータ構造には多くの共通点がある。 図】1はこの配列構造を模式的に表わしたものである。シミュ レーションに際しては種々のパラメータを仮定し.対象モデ 0 5 0 72 70 68 66 64 ∩) 0 0 0 0

(言)山

T)工n (P\n∈)王00

(忘∈)広

10.0 8.0 6.0 4.0 2,0 0 5。0㈹ 300200 1。。。 量 流 連続

…∠__…_

=H= nU■ 12 24 36 48 0 12 24 36 48 メタン発生量 物 機 0 有 12 24 36 48

〟ル出 12 24 36 時 間(h) 48 図川 消化槽のシミュレーション結果(汚泥間欠投入時の状態変化) 消化稽では,系が不安定になることがある。Andrewsのモデルを用いれば.汚 三尼負荷量変化や投入方法と系の安定性の関係を検討できる。

(6)

「■■ 実測値 計算条件

計算

′くラメータ +)久 時 催 せ昇 計  ̄ ̄ ̄ ̄「 データ管理プ ロクラム 対象別プログラム データ分析プログラム群 CASE-CTL---シミュレーション 実行者 「-1-●-■●■■--+ 大形計算機

注:略語説明など CASE-CTL(ComputerAjded Design for Systems

Enginee「椚g-Co=trOり,●-(データの放れ) 図Ilシミュレーション支援プログラムCASE-CT+の構造 シミ ュレ ̄ションで扱うデータを格納するのに都合のよいファイルとデータ管理, データ分析プログラム群を備えており,対象別プログラムを接続することによ つて効率的なシミュレーションができる。 ルを計算し,結果を分析,評価することを繰り返す。対象モ デルは個々に異なるが,分析,評価のためのプログラム群, 例えば,グラフ作成,統計値算出,パラメータ推定などは対 象が異なっても機能的には同じであり,データ構造の確定に より共通化できる。以上の観点から,対象,目的に応じシミ ュレ ̄ションを効率化するために,配列構造のデータ検索, 格納を支援するデータ管理プログラムと,このデータを分析, 評価するデータ分析プログラム群をもつ汎用支援プログラム (CASE-CTL)を開発した(図lり。事務計算を支援する一般

のデータ管理プログラムは,主として階層的,あるいはネッ

トワーク的関連をもつデータを対象とするのに対し,CASE-CTLは配列構造データを容易に取り扱い,シミュレーション の効率を大幅に向上している。

本プログラムは上水道計画に適用し,(1)管網上のポンプ,

バルブの設備計画,(2)NEFLAN-Cのパラメータ調節,(3)現

状管綱構造のモデル化に用いた。

その実行には,(1)管綱構造データ(綱接続行列,管路抵抗,

ノード標高など),(2)バルブ,ポンプ設備条件を修正しなが

ら管網内の水理挙動をシミュレートする必要があり,多くの 条件,膨大なデータを取り扱う必要があった。本プログラム と管綱シミュレーションプログラムを接続し,シミュレーシ ョン用データをすべて本70ログラムに格納した結果,シミュ レーション条件の変更,その影響の分析を一貫してデータ分 析プログラムで実行することが可台巨となり,オフラインシミ ュレーションを効率化し,その質の向上が達成されている。 臼

音 以上,巨大,広域化している上下水道システムでのシミュ レーション技術の現状について述べた。 上水道システムでは,需要予測とこれに基づく配分計画技 法が確立されており,横浜市水道の導・配水系は既に1977年 以降,また,高松市水道の配水系は1981年以降,トータルシ ステムが順調に運転を続けており,水量に関しては本格的な トータルシステム制御時代に入った。しかし,水質に関して はまだシステム制御は行なわれていない。これは浄水場で生 産された水の品質の安全は管路により供給末端に至るまで確

保されることが前提であるからであるが,実際には,(1)残留

塩素の減少,(2)濁水の発生,(3)異物の混入,(4)微量汚染物

質(トリハロメタンなど)の生成など,給・配水に伴って徐々 に水質劣化が生じている14)・15)。その原因は水道施設そのもの にあるから,これを抑制するような上水道プロセス及びシス テム制御の開発には相当の困難が伴うものと予想されるが, 今後,克服,開発すべき重要な課題である。 上水道管路がネットワークを形成するのとは異なり,下水 道は一般に開水路樹枝状系統から成るために,配分計画の実 用化の必要性はまだ低い。水量に関する下水道システム制御 は,流入量予測に基づく雨水ポンプ,ゲート,バルブの最適 スケジューリング及び協調制御が,1982年大阪市下水道局弁天 抽水所で運転を開始した。水質に関しては上水道に先駆け,

監視,規正,混合,希釈,平滑化理論が確立されている2),16)

が,管実のネットワーク化が課題であF),これが進めば,流 量配分計画とともに下水道システム制御は大きく進展するも のと期待される。挙動の把握が難しい下水処理プロセスでも, シミュレーション技術は大きい役割を果たし,最適化制御を 実現している。 システム制御,計画運用技法及びシミュレーション技術の 開発に当たり,御指導をいただいた多くの上下水道関係の各 位に対し,厚く御礼を申し上げる。 参考文献

1)K・Matsumoto,et al∴Development ofa

HierarcbicalOpera-tion Scheduling Modelandits Application to Large Scale

Water Supply Systems,Preprints

of8thIFAC World

Con-gress,S47(1981) 2)松本,外:広域上下水道システムの総合利札 日立評論,62, 8,553∼558(昭55-8) 3)宮岡,外:上水道配水制御技法``NEFLAN-C'◆の開発,日 立評論,64,2,135∼140(昭57-2) 4)四宮,外:高松市水道局納め配水コントロールシステム日立 5) 6) 7) 8) 9) 10) 11) 12) 13) 14) 15) 16) 評論,64,6,447∼452(昭57し6) 宮岡,外:ネットワークフロー理論の応用による大規模配水系統 の庄九敏速化法,電気学会論文誌,102,C3,59∼66,(昭57し3) 塩谷,外:雨水排水系における流入量予測とゲート,ポンプ, バルブの協調制御,下廃水処理の自動制御と水質の計測監視 に関するワークショッ7D論文集(昭55-10) 井上,外:不定流の数値計算法の供水問題への適用,第22回 水理講†寅会論文集(1978) 水理公式集,土木学会(昭46改訂版) 増位,外:ラ充入負荷量の日間変化予測値に基づく活性汚泥プ ロセスの基質負荷制御,下廃水処理の自動制御と水質の計測 監視に関するワークショップ論文集(昭55-10)

M・Tanuma,et al∴TotalSludge Quantity Controlfor Ac・

tivated Sludge Process,Water Science and Tecbnology,

13,427∼432(1981)

J・B・Busby,et al.:Dynamic Modeling

and

ControIStrate-gics for tbe Activated Sludge Process,J.WPCF,47-5,

1055∼1080(1975)

S・P・Graef,et

al∴Stability and Controlof Anaerobic

Di-gestion,J.WPCF,46-4,666∼683(1974) 船ヰ喬,外:会話型設計プログラムと水系制御システムへの応 用,昭57電学大会シンポジウム,S-13(昭57-3) 小出:管網における水質分布計算,水道協会誌,No.569, 31∼50(1982-2) 後藤:配水管網における水質変化,水道協会誌.No.569, 51∼64(1982-2) 大成,外:上下水道における設備,運用計画技法,日立評論, 62,8,547-552(昭55-8)

参照

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