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投影型他者行動表現エージェントによる壁面広告への注意誘導効果の検証

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2016-ICS-183 No.12 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 投影型他者行動表現エージェントによる 壁面広告への注意誘導効果の検証 鼻崎 将1,a). 吉田 直人2,b). 米澤 朋子1,c). 概要:本稿では,歩行者をターゲットに駅構内などの壁面広告への興味を促す手法として,他者行動による 同調心理を利用した注意誘導手法を提案する.人間は常に他者の振る舞いが気になっており,違和感や興 味を覚えるとそれに敏感に反応する存在である.この心理現象を利用し,他者の振る舞いをエージェント で再現することで歩行者の行動に変容をもたらし,広告への興味を促すことができるか,加えてエージェ ントの行動に応じて広告の印象が変化するか検証した. キーワード:同調心理,広告,歩行者,エージェント,デジタルサイネージ. Sho Hanasaki1,a). Naoto Yoshida2,b). Tomoko Yonezawa1,c). 1. はじめに 近年,デジタル技術の発展により古来の広告に加え様々 な広告媒体が存在する.中でも,群衆の移動する空間にお ける広告や情報提示にフォーカスを当てると,これまでは 図 1 のような従来のポスタータイプなどの広告による固定 された静的情報提示が主であった.しかし,広告コンテン. 図 1 ポスタータイプの広告. 図 2. デジタルサイネージ. ツの変化が無いため,歩行者に注目されず素通りされてし まうことが多い可能性がある.これに対し現在では,歩行. められると考える.また,同調心理を J.Driver ら [2] の「他. 者の目を引く広告として,動く看板であるロールスクリー. 者の視線方向や頭部方向が,それを見た観察者の注意を自. ン看板や,図 2 のような大型ディスプレイを用いたデジタ. 動的に引く」という定義を参考に,「観察した他者行動に. ルサイネージ [1] などの動的情報提示が可能な広告が普及. 対して自己行動を同調させる心理」と定義し,擬人化エー. し,静的広告に比べより注目を集めるとともに多くの情報. ジェントを用いた他者行動による同調心理により広告に注. を提示することが可能となった.しかし,これらの動作は. 意を誘導するとともに,広告に対する印象を変化させるこ. 一定間隔で自動制御されるため,慣れによる興味の減衰が. とを試みる.. 起こる可能性がある.. よって本稿では,本手法の効果を検証するために,投影. そこで本研究では,ポスター広告やデジタルサイネージ. エージェントの同調心理効果の検証,壁面広告に対する注. などの既存広告に,歩行者の動きに合わせた動的なエー. 意促進効果の検証,壁面広告に対する印象変化の検証をそ. ジェント投影を付加する手法を提案する.これにより慣れ. れぞれ行った.. による興味の減衰を防ぐとともに,既存広告への注目を高 1. 2. a) b) c). 関西大学 総合情報学部 Kansai University 関西大学大学院 総合情報学研究科 Kansai Graduate School [email protected] [email protected] [email protected]. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 2. 関連研究 2.1 デジタル広告やインタラクティブな広告に関する研究 ユーザの視点移動にともなうインタラクティブなプロ ジェクションマッピングを用いた広告として,視点追従型 街頭ウィンドウディスプレイに関する研究 [3] がある.こ. 1.

(2) Vol.2016-ICS-183 No.12 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. れは,歩行による視点移動に応じた 3D グラフィクス照射 により,三次元奥行情報の変化を自然に提示することで, 歩行者に認知的気づきを与え,注目を誘導するシステムで ある.しかし我々はコンテンツそのものの没入感を生み出 すことによる誘目性よりも,歩行時にユーザに間接的に働 きかける心理的誘目に焦点を当てた. またその他のインタラクティブな広告提示システムとし て,陳ら [4] による人の状況にインタラクティブに反応す るデジタルサイネージや,松原ら [5] による 3 次元ジェス チャ操作によるテーブル型インタラクティブデジタルサイ ネージなどがある.どちらもデジタルサイネージにインタ. 図 3 システムフロー. ラクティブ性を付加することで,広告に対する理解や興味 を向上させることが狙いであり,広告に対する第一の認知 的気づきを与える点は重視されていない.消費者の行動心 理を表した AIDMA の法則 [6] や,それを SNS などが発達 した現代にも適用できるように一部を置き換えた AISAS の法則 [7] において,やはり最初に必要な要素はどちらも 「A : Attention」であるように,第一の認知的気づきは重 要である.よって本システムでは,この「注意を促すこと」 に重点を置き,広告に第一の認知的気づきを与えることを 重視した.. 2.2 人間の同調心理や共同注意に関する研究. 図 4 システム外観図. 他人が注目している物に自分も注目することは共同注 意とよばれ,様々な研究がなされてきた.その例として,. 案する.このシステムを実現するため,歩行者の位置や歩. J.Driver ら [2] により他者の視線方向や頭部方向が,それ. 行状態を認識し,広告のある壁面に人型のエージェントを. を見た観察者の注意を自動的にひくという研究報告がな. プロジェクタで投影するシステムを試作した.. されている.これは他者に対する同調心理が働いているた. システムフローを図 3 に示す.Kinect v1 による歩行者. めであり,その同調心理現象に関わる研究も数多くなさ. のスケルトンデータを認識し,エージェントの投影を開始. れてきた.石田 [8] は他者の存在が消費者行動に及ぼす影. する.エージェントは歩行者と同方向に歩行し,広告付近. 響に関する研究をこれまでの研究を元に再分析しており,. で停止し広告に対し注意行動をとる.図のうちの赤色部分. Giebelhausen[9] の行列による知覚品質の変化を取り上げて. がエージェントの行動フローである.. いた.これによると,行列やウェイティングは消費者の行 動を決定づける重要な情報源となり,結果的に行列やウェ. 3.2 システム構成. イティングを伴った消費行動が知覚品質を向上させる効果. 本システムの外観図を図 4 に示す.本システムでは PC. があることが示されていた.よって本システムでは,この. (CPU : Intel Core i5,Memory : 4GB),歩行者を検出す. ような同調心理を応用し,広告への注意を促すことや広告. るためのセンサとして Kinect v1(解像度 640 × 480) ,お. の印象を変化させることを試みる.. よびエージェントを表示させるためのプロジェクタの 3. 3. 広告への注意を促す投影型他者行動表現シ ステム 3.1 システム概要 本研究では,広告に対して自然に歩行者の注意を促すシ. つを用いる.システムの実装には Processing,OpenNI,. MadMapper を用いた.. 4. エージェントから引き起こされる他者行動 による心理的影響の評価実験. ステムの構築を目指す.特に,人間の同調心理を用いた間. 実験概要および目的:広告への注意を促すためのエー. 接的な認知的気づきを与え,自然に広告への注意を促すこ. ジェントの行動パターンの考察やエージェントの有効性に. とに注目し,広告に興味を持っている人(サクラ)の行動. ついて確認するために,エージェントから引き起こされる. や動作を広告付近の壁面に投影し,間接的に注意誘導する. 他者行動による心理的影響の検証が必要になる.本稿での. ことで歩行者も広告へ興味を持つように促すシステムを提. 同調心理とは,「観察した他者行動に対して自己行動を同. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 2.

(3) Vol.2016-ICS-183 No.12 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 表 1 No.. 図 5. 人型エージェント (左) および矢印型エージェント(右). 質問項目. 設問内容. 1. 歩いている途中で自分の速さが速くなったと感じた. 2. 歩いている途中で自分の速さが遅くなったと感じた. 3. 壁に映った物が気になった. 4. 歩いている途中で歩き続けるのをためらった. 5. 歩いている途中でストレスを感じた. 6. 歩いている途中で危険を感じた. 7. 歩いている途中でせかされた感じがした. 8. 歩いている途中で前にひきずられた感じがした. 9. 歩いている途中で後ろにひきずられた感じがした. 調させる心理」であるが,他者(サクラ)として実際の人 間の代わりにサクラエージェントを用いても同様の心理現. もない 4:まああてはまる 5:あてはまるの 5 段階評価で回答. 象が歩行者に作用するのかを検証する予備実験を行った.. させた.質問 1,2 で歩行者の歩行速度の変化に関する検. 本実験における同調心理の検証として,「投影エージェン. 証を行う.また,質問 3 では,歩行者が壁に映った物を,. トの速度の変化に応じて,歩行者は同調心理により行動を. 意識して注目したかどうかを検証する.次に,質問 4,5,. 変化させるか」を検証する.. 6,7 で,歩行している際にエージェントから受け取った印. 矢印などの身体的ではない手掛かり刺激についても同様. 象を検証する.最後に質問 8 および 9 で,歩いている際に. に,自動的な注意をひくことが J.Tipples[10] や橋本ら [11]. エージェントの速度に対する心理的な影響が作用している. によって示されている.そこで,方向性を持つ投影物のう. かどうかを検証する.. ち,矢印などの記号のときより,人型のエージェントであ. 実験結果:全ての評価項目について 5 段階で評価させた. る方が,同調心理が歩行者の心理状態により強く作用し,. 後,分散分析を行った.分散分析は有意水準を P=.05 と. 行動を変化させる効果が大きいという仮説をたてた.. し, 「投影物要因(A) 」 , 「投影速度要因(B) 」の 2 要因に. 実験条件および仮説:本実験では「投影物要因(A) 」お. 関して行った.また要因 B の各水準に関して多重比較を. よび「投影速度要因(B) 」の 2 要因で検証を行う.1 つ目. 行った.9 評価項目についての分散分析を行った結果を表. の要因は「投影物要因(A)」として,「人型エージェント. 2 に示す.また,平均と標準偏差を図 6 と図 7 に示す.. (a1)」および「矢印型エージェント(a2)」 (図 5)を設定. まず,投影物要因に関する結果として,設問 3 の「壁に. した.形状の違いによる影響を検証するため,色相や輝度. 映った物が気になったか」についての評価では,投影速. に違いが出ないように留意した.よって投影物の色は橋本. 度に関わらず人型 (a1) の方が矢印型 (a2) よりも有意に高. ら [12] によって矢印の色が注意喚起に及ぼす影響の違いは. かった.. 見られなかったことや,視認性が強いとされている赤は危. 次に,投影速度に関する結果として,設問 4 の「歩いて. 険であるイメージを与えてしまうこと,白は背景と同化し. いる途中で歩き続けるのをためらった」についての評価で. てしまうことなどを考慮し,黄色の投影物を用いた.ここ. は,投影物に関わらず,投影速度が遅い (b3) と速い (b2). で,釣ら [13] によって,顔および人体は高い誘目性を持っ. の間で差が見られた.また,設問 7 の「歩いている途中で. ていることが示されていることからも, 「投影物が人型 (a1). せかされた感じがした」についての評価では,投影物に関. であるときに,より強く心理的影響が作用する」を本実験. わらず,投影速度が速い (b2) と普通 (b1) および遅い (b3),. の仮説 1 とした.続いて 2 つ目の要因は「投影速度要因. 普通 (b1) と遅い (b3) の間で有意に差が見られた.さらに,. (B) 」として, 「普通(b1) 」 , 「速い(b2) 」 , 「遅い(b3) 」の 3. 設問 8 の「歩いている途中で前にひきずられた感じがした」. パターンを設定した.歩行速度の平均は 80m/分であるこ. についての評価では,投影物に関わらず,投影速度が速い. とを参考にし,歩行開始時の速度遅延を考慮した上で, 「普. (b2) と遅い (b3) の間に有意に差が見られた.また,設問. 通」を 75m/分とした.「速い」を「普通」より 25%速く,. 9 の「歩いている途中で後ろにひきずられた感じがした」. 「遅い」は「普通」より 25%遅く計算し,それぞれ 100m/. についての評価では,投影物に関わらず,投影速度が遅い. 分,60m/分とした.ここで,エージェントであっても同調. (b3) と普通 (b1) および速い (b2) の間で有意差が見られた.. 心理が起こると仮定し,「エージェントの歩行速度の変化. その一方,設問 1,2,5,6 において全ての条件において. に応じて心理的影響が作用し,歩行者の速度もエージェン. 有意差が得られなかった.また,全ての評定項目において. トの速度の変化と同様に変化する」を本実験の仮説 2 とし. 交互作用は得られなかった.. て設定した.なお,本実験は 20 代男女 21 人で行った.. 実験考察:設問 3 の結果より,投影物が人型である方が. 実験方法:被験者に質問項目(表 1)にあてはまる度合. 歩行者に注目されることがわかったが,設問 4,7,8,9 の. いを,1:あてはまらない 2:まああてはまらない 3:どちらで. 結果によると,投影物に関わらず,心理的影響を与えてい. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 3.

(4) Vol.2016-ICS-183 No.12 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 表 2. エージェントから引き起こされる他者行動による心理的影響 に関する検証の分散分析結果 投影物要因 (A). 投影速度要因 (B). 多重比較. AB. F(20). p. F(20). p. F(20). p. B. Q1. 2.268. 1.242. 0.460. 0.1477. 0.2998. 0.6343. ―. Q2. 0.496. 0.4895. 1.741. 0.1883. 0.670. 0.5174. ―. Q3. 8.179. < 0.01*. 3.472. 0.0407*. 0.884. 0.4211. ―. Q4. 0.188. 0.6696. 4.097. 0.0241*. 1.164. 0.3227. 3-2 ―. Q5. 0.551. 0.4665. 0.694. 0.5053. 0.140. 0.8699. Q6. 0.351. 0.5601. 0.250. 0.7800. 0.937. 0.4004. ―. Q7. 0.315. 0.5811. 11.619. < 0.01*. 0.068. 0.9341. 2-[1,3],1-3. Q8. 0.297. 0.5915. 4.203. 0.0220*. 0.318. 0.7292. 2-3. Q9. 0.152. 0.7012. 13.519. < 0.01*. 0.323. 0.7261. 3-[1,2]. 図8. 実際の動作写真「広告の手前で立ち止まり,広告を見る (a1,b2)」. 実験条件および仮説:広告に興味を持ったエージェント の行動に 2 つの要因を設定した.1 つ目の要因に広告注視 要因として「広告の方向を見る (a1)」 , 「広告以外の方向を 見る (a2)」の 2 水準を設定し,広告の方向を見る行動をと ることで,より広告に注目を促すことができる(仮説 1) と考えた.次に,2 つ目にエージェントの移動要因として, 「広告の前を一定の速度で通り過ぎる (b1)」,「広告の手前 で立ち止まる (b2)」 , 「広告の手前で速度を落として通過す る (b3)」の 3 水準を設定し,広告に興味を示す行動として 「広告の手前で立ち止まる行動が,通過もしくは速度低下. 図 6. 実験における MOS 値平均および標準偏差 (設問 1∼設問 5). を示す行動よりも広告に対する注意を促す効果がある(仮 説 2)を考えた.さらにエージェントが広告の手前で立ち 止まる場合に最も速度の変化が大きいため,最もエージェ ントに対する注目を向けることができ,さらに同調心理か ら被験者も立ち止まりそうになるもしくは立ち止まる(仮 説 3)と考えた.最後にこれらの仮説から,広告の手前で 立ち止まり,広告の方向を見ることにより,最も広告へ注 目を向けさせることができる(仮説 4)と考えた.これら 2 要因 6 水準における本システムの具体的な動作を表 3 に示. 図 7. 実験における MOS 値平均および標準偏差 (設問 6∼設問 9). す.また, 「広告の手前で立ち止まり,広告を見る (a1,b2)」 をシステム動作例として,図 8 に示す.. ることから,仮説 1「投影物が人型 (a1) であるときに,よ. 実験方法:歩行者である被験者には,合図と共に 6.6m. り強く心理的影響が作用する」は必ずしも正しいとは限ら. の距離を普段の歩行と同じようにリラックスした状態で歩. ない.また,設問 1,2 の結果から全ての条件で有意差が. くように指示する.また,このとき自由に行動して構わな. 得られなかったため,仮説 2 である「エージェントの歩行. いと教示した.広告はペーパータイプの A4 サイズの広告. 速度の変化に応じて心理的影響が作用し,歩行者の速度も. を用意し,6 条件でそれぞれ色相を変えた 6 パターンの広. エージェントの速度の変化と同様に変化する」は実証され. 告をランダムに設置し,同じ広告を何度も見ることによる. なかった.しかし,設問 8,9 の結果より,歩行者はエー. 興味の減衰を防ぎ,条件の順番による広告に対する興味の. ジェントの速度に応じそれぞれ異なる心理的影響を受けた. 差を抑えた.次に歩行終了ごとに質問項目 (表 4) に 1:あて. ことが確認できた.よって,本実験により他者行動による. はまらない 2:まああてはまらない 3:どちらでもない 4:まあ. 心理的影響は人が人に及ぼすだけでなく,投影物も人に及. あてはまる 5:あてはまるの 5 段階評価で回答させた.設問. ぼすと言える.中でも,矢印型よりも人型のエージェント. 1∼6 および 14 で広告に対する興味や注目の大きさ,設問. を用いた方がより大きな注目を得ることがわかった.. 7∼10 でエージェントに対する注目の大きさ,およびエー. 5. 他者行動からの心理的影響による広告への 注意誘導の評価実験. ジェントの印象について,設問 11 で本システムが被験者に 対して心的負担になっていないかどうかを検証した.最後 に設問 12,13 でエージェントの移動要因に対する行動の. 実験概要および目的:実装したシステムを用いて,実際. 同調心理が起きたか,および実際に行動を同調させたかど. に広告への興味を誘導することができるか検証するため,. うかを検証した.客観評価データとして,実験の映像デー. 次の実験を行った.. タから被験者の歩行速度変化を分析した.なお,本実験の. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 4.

(5) Vol.2016-ICS-183 No.12 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 表 3. 実験におけるエージェントの行動パターン エージェントの移動要因. 広告の前を通り過ぎる. 広告の手前で立ち止まる. (b1). (b2). (b3). 広告を見る. 広告に注目しつつ. 広告の手前で立ち止まり,. 広告の手前で速度を落とし,. 視. (a1). 広告の前を通り過ぎる. 広告を見る. 広告を見つつ通り過ぎる. 要. 広告以外を見る. 広告以外に注目しつつ. 広告の手前で立ち止まり,. 広告の手前で速度を落とし,. 因. (a2). 広告の前を通り過ぎる. 広告以外の方向を見る. 広告以外を見つつ通り過ぎる. 注. 表 4 No.. 広告の手前で速度を落とす. 質問項目. 設問内容. 1. 広告に目がいった. 2. 広告を注視した. 3. 広告の内容をしっかり読んだ. 4. 広告の内容を覚えている. 5. 無意識のうちに広告を見ていた. 6. 広告に興味を引かれた. 7. 壁に映ったエージェントが気になった. 8. 壁に映ったエージェントの行動を注視した. 9. 壁に映ったエージェントの行動につられた. 10. 壁に映ったエージェントは広告に興味を. 図 9 実験における MOS 値平均および標準偏差 (設問 1∼設問 7). もっていると感じた. 11. 歩いている途中でストレスを感じた. 12. 歩いている途中で足を止めそうになった. 13. 歩いている途中で足を止めた. 14. 広告の内容が気になった. 被験者は 20 代男女 17 人であった. 実験結果(評価項目):全ての評価項目について 5 段階 で評価させた後,分散分析を行った.分散分析は有意水準 を P=.05 とし, 「広告注視要因(A) 」 , 「エージェントの移. 図 10. 実験における MOS 値平均および標準偏差 (設問 8∼設問 14). 動要因(B) 」の 2 要因に関して行った.このとき要因 B に 関して多重比較を行った.14 評価項目についての分散分析. 算し,その速度の歩行間内平均および分散で分散分析を. および多重比較を行った結果を表 5 に示す.また,平均と. 行った.分散分析は有意水準を P=.05 とし,「広告注視要. 標準偏差を図 9,10 に示す.設問 11 を除いた全ての条件. 因(A) 」 , 「エージェントの移動要因(B) 」の 2 要因に関し. で有意差が得られた.. て行った.分散分析を行った結果を表 6 に示す.また,平. 設問 1∼6 および 14 において,エージェントが広告を見 る条件,および広告の手前で立ち止まる条件において,歩 行者の広告に対する注目が高くなった.. 均と標準偏差を図 11 に示す. まず,被験者の歩行速度の平均の結果では,エージェン トが「通り過ぎる」, 「減速する」 , 「立ち止まる」の順に被. 設問 7,8 において,エージェントが広告を見る見ない. 験者の歩行速度が有意に遅くなっていくという結果が得ら. に関わらず,エージェントが立ち止まるときに最も行動が. れた.その一方,エージェントが広告を注視するかにおい. 気になり,エージェントを注視する傾向があることがわ. ては有意差は得られなかった.次に,被験者の歩行速度の. かった.. 分散の結果として,エージェントが通過または減速の時は. 設問 9 においても,エージェントが広告を見る見ないに. 広告注視要因は効果が無いが,立ち止まる場合には,被験. 関わらず,エージェントが立ち止まるときに,被験者が最. 者の歩行速度の分散が有意に大きくなることが示された.. もその行動につられることがわかった.. また,エージェントが広告を見る場合においてエージェン. さらに設問 12,13 においても,エージェントが広告を見 る見ないに関わらず,エージェントが立ち止まるときに, 歩行者も立ち止まりそうになったり,実際に立ち止まるこ とが多いことがわかった. 実験結果(速度計測データ):客観分析として,各条件 ごとの歩行者の移動距離を約 130ms 毎に,約 5m 間の歩行 を観察した. 続いて,被験者の移動時間と移動距離から歩行速度を計. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. トの移動要因が被験者の歩行速度の分散に影響を与えるこ とが示された. 実験考察:まず有意差が出なかった設問 11 において,本 システムにおける心的負担は全ての条件において小さいこ とがわかった. 次に,設問 1∼6 および 14 より,エージェントが立ち止 まるか途中で減速し,その上で広告を見ることで,歩行者 の注意を広告に促すことができることがわかった.すなわ. 5.

(6) Vol.2016-ICS-183 No.12 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 表 5. 他者行動からの心理的影響による広告への興味誘導の評価実験の分散分析結果 多重比較. 多重比較. 多重比較. 多重比較. 多重比較. 多重比較. F(16). p. F(16). p. F(16). p. A(b1). A(b2). A(b3). B(a1). B(a2). A. B. Q1. 2.609. 0.1258. 15.440. < 0.01*. 3.951. 0.0293*. ―. ―. ―. 2-[1,3],3-1. ―. ―. 2-[1,3],3-1. Q2. 2.625. 0.1247. 11.953. < 0.01*. 2.523. 0.0961+. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-[1,3],3-1. Q3. 4.571. 0.0483*. 6.908. < 0.01*. 3.238. 0.0524+. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-1,3-1. Q4. 0.958. 0.3422. 6.094. < 0.01*. 2.853. 0.0724+. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-1. Q5. 1.393. 0.2552. 5.292. 0.0103*. 1.059. 0.3586. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-1. Q6. 3.664. 0.0737+. 4.496. 0.0190*. 2.265. 0.1202. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-1. Q7. 0.209. 0.6535. 8.540. < 0.01*. 0.724. 0.4926. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-[1,3]. Q8. 0.452. 0.5112. 5.945. < 0.01*. 1.010. 0.3754. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-[1,3]. Q9. 1.557. 0.2300. 7.909. < 0.01*. 0.416. 0.6630. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-[1,3]. Q10. 14.942. < 0.01*. 23.467. < 0.01*. 7.694. < 0.01*. ―. ―. ―. 2-[1,3],3-1. ―. ―. 2-[1,3],3-1. 広告注目 (A). 速度 (B). AB. 多重比較. Q11. 1.662. 0.2156. 2.065. 0.1434. 1.548. 0.2281. ―. ―. ―. ―. ―. ―. ―. Q12. 0.011. 0.9175. 28.234. < 0.01*. 0.260. 0.7730. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-[1,3],3-1. Q13. 0.359. 0.5574. 35.972. < 0.01*. 0.317. 0.7309. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 2-[1,3]. Q14. 4.317. 0.0542+. 5.066. 0.0123*. 7.665. < 0.01*. ―. ―. ―. 2-[1,3]. ―. ―. 2-1. 表 6. 他者行動からの心理的影響による広告への興味誘導の評価実験における被験者の歩行速 度平均および分散の分散分析結果 多重比較. 多重比較. 多重比較. 多重比較. 多重比較. 多重比較. F(15). 広告注目 (A). p. F(15). 速度 (B). p. F(15). p. A(b1). A(b2). A(b3). B(a1). B(a2). A. B. 平均. 1.434. 0.2497. 29.761. < 0.01*. 0.468. 0.6307. ―. ―. ―. ―. ―. ―. 1-[2,3],3-2. 分散. 0.051. 0.8240. 6.579. < 0.01*. 6.627. < 0.01*. ―. ―. ―. 2-[1,3]. ―. ―. 2-[1,3]. AB. 多重比較. 際に立ち止まることが多いことがわかった.よって「エー ジェントが立ち止まったとき,被験者も立ち止まりそうに なる,あるいは立ち止まる」という仮説 3 は実証された. よってエージェントによる他者行動は少なからず,人が人 に作用する同調心理と類似した心理現象が働いていると考 えられる. 続いて被験者の歩行速度計測データについて考察する. 歩行速度の平均に注目すると,エージェントの通過,減速, 立ち止まるの順に被験者の歩行速度が有意に遅くなった. 図 11. 被験者の歩行速度の平均および標準偏差. このことから,エージェントの歩行速度に対して被験者の 同調心理が働き,歩行速度を同調的に変化させた可能性が. ち「広告の手前で立ち止まる行動が,通りすぎる,および速. ある.また,被験者の歩行速度の分散に注目すると,エー. 度を落とすよりも広告に対する注意を促す効果がある」と. ジェントが立ち止まり,かつ広告を注視する場合において,. いう仮説 2 は不十分であり, 「広告の手前で立ち止まり,広. 分散が有意に高いことから,エージェントが立ち止まり,. 告の方向を見ることにより,最も広告へ注目を向けさせる. 広告を注視する場合において最も同調心理が働き,被験者. ことができる」という仮説 4 が適切であることがわかった.. の歩行速度が乱されたと考えることができる.. また,同様の設問から,エージェントの歩行速度が一定 の場合,エージェントが広告を見る見ないに関わらず歩行 者の広告に対する注意を促すことができなかった.これは,. 6. エージェントの行動パターンによる広告へ の印象付加の評価実験. 上記の仮説 4 を肯定する結果の別の側面と言える.エー. 実験概要および目的:前回の「他者行動からの心理的影. ジェントの歩行速度が変化せずエージェント自身に注目を. 響による広告への興味誘導の評価実験」では,本システム. 向けさせることができなければ,エージェントの注視広告. によって歩行者の広告に対する注意を促す可能性が示唆さ. を意識させることが不可能であると考えられる.よって仮. れた.次に,本システムにおける,広告に対する印象変化. 説 1「広告の方向を見る行動をとることで,より広告に注. の可能性を検証する.. 意を促すことができる」はエージェント歩行速度変化があ. 実験条件および仮説:今回の実験におけるエージェント. るという限定的状況以外では必ずしも効果があるとは言え. の行動パターンを「エージェント行動要因」とし,表 7 に. ない.これらの結果より,歩行者の広告に対する注意を促. 示す.本実験では行動パターンを大きく興味行動パターン. すためには,エージェントの広告注視および移動速度変化. と感情行動パターンの 2 つに分類した.興味行動パターン. の両方が必要であることがわかった.. では興味を示す行動のバリエーションとして,「写真を撮. 次に,設問 12 および 13 から,エージェントが立ち止ま. る (a1)」 , 「メモを取る (a2)」 , 「考え込む (a3)」の 3 つを設. ることにより,歩行者も立ち止まりそうになる,あるいは実. 定した.また,感情行動パターンでは,広告に対して感情. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 6.

(7) Vol.2016-ICS-183 No.12 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 表 8 No.. 図 12. 質問項目. 設問内容. 1. 広告の内容がポジティブな内容であると感じた. 2. 広告の内容がネガティブな内容であると感じた. 3. 広告の内容に意外性があると感じた. 4. 広告の内容に興味を持った. 5. 広告の内容を覚えておきたいと思った. 6. エージェントは広告にポジティブな感情を持っていると感じた. 7. エージェントは広告にネガティブな感情を持っていると感じた. 8. エージェントは広告の内容に喜んでいるように感じた. 9. エージェントは広告の内容に悲しんでいるように感じた. 10. エージェントは広告の内容に怒っているように感じた. 11. エージェントは広告の内容に驚いているように感じた. 12. エージェントは広告の内容に興味がなさそうだと感じた. Russell の円環感情モデル(Russell,1980 の Figure 3 より 引用). 表 7 興味行動. エージェントの行動パターン 写真を撮る (a1) メモを取る (a2) 考え込む (a3). 感情行動. 図 13. 実験における MOS 値平均および標準偏差 (設問 1∼設問 6). 第 1 象限. 驚く (a4). (快,覚醒). 喜ぶ (a5). 第 2 象限. 怒る (a6). 行動に対する認識をそれぞれ検証した.なお,本実験は 20. イライラする (a7). 代男女 18 人で行った.. (不快,覚醒) 第 3 象限 (不快,眠気). 悲しむ (a8) 落ち込む (a9). 実験結果:全ての評価項目について5段階で評価させた 後,分散分析を行った.分散分析は有意水準を p=.05 と し,「エージェント行動要因」の 1 要因のみに関して行っ. を表す行動パターンとして, 「驚く (a4)」 , 「喜ぶ (a5)」 , 「怒. た.12 評価項目についての分散分析結果を表 9 に示す.ま. る (a6)」 , 「イライラする (a7)」 , 「悲しむ (a8)」 , 「落ち込む. た,平均と標準偏差を図 13 と図 14 に示す.. (a9)」の 6 つを設定した.これらを 1 要因 9 水準で実験を. 設問 4,5 を除く全ての設問において有意差が得られた.. 行った.. 設問 1 において,エージェントの行動パターンが「メモ. 行動に関する感情の設定に関して,Russell[14] の円環感. を取る」 , 「写真を撮る」 , 「喜ぶ」 , 「驚く」である時は, 「悲. 情モデル (図 12) を参考にし,エージェントが広告を見る. しむ」 , 「イライラする」 , 「怒る」 , 「落ち込む」の時よりも,. までは第 4 象限 (快,眠気) すなわちリラックスしている状. 広告に対する印象がポジティブに捉えられることがわかっ. 態,広告を見た後に第 1 象限 (快,覚醒),第 2 象限 (不快,. た.さらにその内, 「メモを取る」の時に限り, 「考え込む」. 覚醒),第 3 象限 (不快,眠気) からそれぞれ 2 つずつ選定. と比較して広告の印象がポジティブに捉えられることがわ. した 6 つの感情にそれぞれ変化するという感情移行フロー. かった.. を仮定した.本実験で用いた 6 つの感情を図中に赤で強調 して示している.. 設問 2 において,エージェントの行動パターンが「イラ イラする」 , 「悲しむ」, 「落ち込む」 , 「考え込む」である時. 実験方法:被験者には,合図と共に 6.6m の距離を普段. は,「写真を撮る」の時よりも,広告に対する印象がネガ. の歩行と同じようにリラックスした状態で歩行するように. ティブに捉えられることがわかった.さらにその内,「イ. 指示する.また,このとき自由に行動して構わないと教示. ライラする」,「悲しむ」の時に限り,「メモを取る」,「驚. した.広告はペーパータイプの A4 サイズの広告を用意し,. く」と比較して広告に対する印象がネガティブに捉えられ. 9 条件でそれぞれ 9 パターンの広告をランダムに設置し,. ることがわかった.. 同じ広告を何度も見ることによる興味の減衰を防ぎ,条件. 設問 3 において,エージェントの行動パターンが「喜. の順番による広告に対する興味の差を少なくした.続いて. ぶ」 , 「驚く」である時は, 「悲しむ」 , 「落ち込む」の時より. 歩行終了後,被験者に表 8 の質問項目に 1:あてはまらない. も,広告に意外性があると捉えられることがわかった.さ. 2:まああてはまらない 3:どちらでもない 4:まああてはまる. らにその内, 「喜ぶ」のときに限り, 「イライラする」と比. 5:あてはまるの 5 段階評価で回答させた.設問 1∼5 で広. 較して広告に意外性があると捉えられることがわかった.. 告に対する印象および興味,設問 6∼12 でエージェントの. 実験考察:まず単純な興味としての評価においては,行. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 7.

(8) Vol.2016-ICS-183 No.12 2016/3/16. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 表 9. エージェントの行動パターンによる広告への印象変化の評価. 7. おわりに. 実験の分散分析結果 行動パターン (A). 多重比較. F(17). p. A. Q1. 9.180. < 0.01*. 2-[8,7,6,9,3] , 1-[8,7,6,9] , 5-[8,7,6,9] , 4-[8,7,6,9]. 本稿では,歩行者に対し広告への注意を促すことを目的 とし,広告への注意を促す投影型他者行動表現システムを. Q2. 5.783. < 0.01*. 7-[1,2,4] , 8-[1,2,4] , 9-1 , 3-1. Q3. 4.834. < 0.01*. 5-[8,9,7] , 4-[8,9]. Q4. 0.509. 0.8482. ―. Q5. 2.075. 0.0424*. ―. Q6. 16.818. < 0.01*. 2-[7,8,9,6,3] , 1-[7,8,9,6,3] , 5-[7,8,9,6] , 4-[7,8,9,6] , 3-[7,8]. に対する注意および興味を向上させる効果が示唆された.. Q7. 14.601. < 0.01*. 7-[2,1,5,4,3] , 8-[2,1,5,4,3] , 9-[2,1,5,4] , 6-[2,1,5,4] , 3-[1,2]. さらに,広告に対する印象を付加,変化させる可能性があ. Q8. 6.545. < 0.01*. 2-[8,9,7,6,3] , 5-[8,9,7] , 4-8 , 1-8. Q9. 20.653. < 0.01*. 8-[2,4,5,1,3,6,9] , 7-[2,4,5,1,3,6] , 9-[2,4,5,1,3,6]. Q10. 11.523. < 0.01*. 6-[2,8,4,3,5,1,9,7] , 7-[2,8]. Q11. 9.407. < 0.01*. 4-[8,3,9,1,2,7,6] , 5-[8,3,9,1,2,7,6]. Q12. 3.958. < 0.01*. 9-[2,7,8,3,6,5,4,1]. 提案した. 本システムを用いることにより,歩行者の既存壁面広告. ることが示唆された. 今後は本システムによる広告への注意誘導効果をより向 上させるために,投影エージェントを複数人にすることに よる誘導効果の検証や,複数の歩行者に対して投影する エージェントパターンの考察を行っていきたいと考える. 謝辞 本研究は科研費 15H01698 および科研費 25700021 の助成の一部を受け実施したものである. 参考文献 [1]. 図 14. 実験における MOS 値平均および標準偏差 (設問 7∼設問 12). 動パターン間において差が見られなかったが,全体的に高. [2]. [3]. い MOS 平均値が示されているため,行動パターンの種類 に関係なく被験者は広告に対し興味を示していると捉え ることができる.これは,エージェントが投影される意外. [4]. 性,広告の手前で立ち止まる速度変化,何らかの動作,に より被験者の注意が広告に向けられた結果であると考えら. [5]. れる. 続いて,被験者はエージェントの行動パターンにより, 広告に対してポジティブな印象やネガティブな印象を受け. [6]. ることがわかった.すなわち,同じ行動に対しても,エー ジェントの行動パターンを変化させることで,被験者の広. [7]. 告に対する印象が変化したと言える.感情行動において は,ラッセルの円環感情モデルにおける「快」の行動は広. [8]. 告のポジティブな印象に結びつき, 「不快」の行動は広告の. [9]. ネガティブな印象に結びついていると考えられる.また, 興味行動においては, 「写真を撮る」および「メモを取る」 のとき,広告に対してポジティブな印象を受け取ることが. [10]. 示された.一方, 「考え込む」については,ネガティブな印 象を受け取る傾向があることが示唆された.これは「考え. [11]. 込む」には単純な興味ではなく熟考しなければならない要 素が含まれており,その要素がポジティブな要素であると は限らないためであると考えられる.また, 「写真を撮る」. [12] [13]. および「メモを取る」に関しては,人間は普段ネガティブ な印象を持った物の記録をとることは少ないと考えられる ことから,ポジティブな印象を与える傾向が強くなったと 考えられる.. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. [14]. 中村: デジタルサイネージの動向, 情報管理, Vol. 55, No. 12,pp.891-898, (2012) Jon Driver, Greg Davis, and Paola Ricciardelli: Gaze Perception Triggers Reflexive Visuospatial Orienting VISUAL COGNITION, 6 (5), 509-540, (1999). 松崎: プロジェクションマッピングを用いた視点追従型 ウィンドウディスプレイ, 情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマン コンピュータインタラクション研究会報告 2014-HCI-157(64), 1-7, (2014). 陳成,太田: 人の状況にインタラクティブに反応するデ ジタルサイネージ, 第 76 回全国大会講演論文集 2014(1), 189-190, (2014). 松原,ボンダン・スティアワン,他: 3 次元ジェスチャ操 作によるテーブル型インタラクティブデジタルサイネー ジの開発, 情報処理学会論文誌コンシューマ・デバイス &システム(CDS) 4(3), 1-10, (2014). S. R. Hall: AISAS Retail advertising and selling, McGraw-Hill Book Co., (1924). 近藤: AISAS マーケティング・プロセスのモデル化 The Modeling of AISAS Marketing Process JSD 学会誌 シス テムダイナミックス No.8 (2009). 石田: 他者の存在が消費者行動に及ぼす影響, マーケティ ングジャーナル Vol.32 No.1, (2012). Giebelhausen, Michael D., Stacey G. Robinson, and J. Joseph Cronin, Jr.: “Worth Waiting for: Increasing Satisfaction by Making Consumers Wait,”Journal of the Academy of Marketing Science, 39 (6), 889-905, (2011). J.Tipples : Eye gaze is not unique: Automatic orienting in response to uninformative arrows. Psychonomic Bulletin & Review, 9, 314-318, (2002). 橋本,宇津木: 視覚的注意反応を用いた方向指示刺激図形 の評価, 人間工学, 44(3), 144-150, (2008). 橋本,宇津木: 矢印の色が注意喚起に及ぼす影響, 日本人 間工学会大会講演集 48spl(0), 280-281, (2012). 釣,石井,唐ら: 顔・人体への誘目性を考慮した視覚探索モ デルの提案, SIG Technical Reports, 27(2008-CVIM-162), 163-166, (2008). Russell, J.A.: A circumflex model of affect, Journal of Personality and Society Psychology, Vol.39, pp.11611178(1980).. 8.

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図 5 人型エージェント ( 左 ) および矢印型エージェント(右) 調させる心理」であるが,他者(サクラ)として実際の人 間の代わりにサクラエージェントを用いても同様の心理現 象が歩行者に作用するのかを検証する予備実験を行った. 本実験における同調心理の検証として, 「投影エージェン トの速度の変化に応じて,歩行者は同調心理により行動を 変化させるか」を検証する. 矢印などの身体的ではない手掛かり刺激についても同様 に,自動的な注意をひくことが J.Tipples[10] や橋本ら [11] によって示さ
表 2 エージェントから引き起こされる他者行動による心理的影響 に関する検証の分散分析結果 投影物要因 (A) 投影速度要因 (B) AB 多重比較 F(20) p F(20) p F(20) p B Q1 2.268 1.242 0.460 0.1477 0.2998 0.6343 ― Q2 0.496 0.4895 1.741 0.1883 0.670 0.5174 ― Q3 8.179 < 0.01* 3.472 0.0407* 0.884 0.4211 ― Q4 0.188 0.6696 4.097
表 3 実験におけるエージェントの行動パターン エージェントの移動要因 広告の前を通り過ぎる 広告の手前で立ち止まる 広告の手前で速度を落とす (b1) (b2) (b3) 注 広告を見る 広告に注目しつつ 広告の手前で立ち止まり, 広告の手前で速度を落とし, 視 (a1) 広告の前を通り過ぎる 広告を見る 広告を見つつ通り過ぎる 要 広告以外を見る 広告以外に注目しつつ 広告の手前で立ち止まり, 広告の手前で速度を落とし, 因 (a2) 広告の前を通り過ぎる 広告以外の方向を見る 広告以外を見つつ通り過ぎ
表 5 他者行動からの心理的影響による広告への興味誘導の評価実験の分散分析結果
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