シミュレーションモデル記述向け言語SIMSと
その意思決定支援システムへの応用
斉 藤 邦 彦
はじめに コンピュータによるシミュレーションは経営の意思決定に利用される有効な 手法のひとつである。経済や企業のシミュレーションは対象の性質や動作を理 解し,予測することを目的としている。シミュレーションを効果的に行うため に,モデルを正確かつ効率的に設計する必要がある。コンピュータシミュレー ションは物理的な系を対象とした連続系シミュレーションの応用からはじまり, 現在は高機能なコンピュータを利用して経済学,社会学の分野の応用も行われ ている。 本研究はシミュレーション記述言語SIMSを設計し,意思決定支援システ ム(Decision Support Systems以下DSS)のモデル構築への応用を試みる。 モデル構築機能を用いてDSSジェネレータを作成する。このモデル構築シス テムはシミュレーション記述言語を核とし,大規模な系を対象とする意思決定 支援システムを開発する環境となる。 モデルを効率的に設計するためにオブジェクト指向プログラミングの方法論 を導入し,複数のモデルを組み合わせた大規模な系のシュミュレーションの実 現を考える。1 意思決定支援システム:DSS
経営戦略の意思決定を行うためには情報をすばやく収集し,必要に応じて加 工し,利用できることが必要である。企業の経営者はコンピュータの利用経験 が少なく操作が簡単であり習熟が容易にできる情報システムを必要としている。118 彦根論叢第272号 DSSは経営者や会社幹部が経営戦略に関する意思決定を行うときに,簡単に データ収集,分析ができる情報システムである。
Ll意思決定の科学
意思決定行為は対象となる問題のデータを収集・分析し,その中から最適案 を作成するプロセスである。複数の代替案が存在するときは最適な代替案を選 択する。最適案を解析的に求める手法は経営科学,OR(オペレーションズリ サーチ)で考案されている。ORでは線形計画法(Linear Programming),動 的計画法(Dynamic Programming),シミュレーションといった手法を用いる。 コンピュータを用いてシミュレーションを効率的に実現できる。シミュレー ションによりいろいろな状況を想定した複数の代替案をテストし,簡単に最適 案を選びだす。コンピュータを経営管理に応用する試みは1960年代のEDPか ら始り,経営科学,ORの手法を応用した情報システムが開発された。 ORで用いられる各手法は問題の構造が解析的手法を適用できるときは有効 であるが,適用が難iしい問題もある。解析的な手法を適用できる問題を「良構 造問題」あるいは「構造的な問題」と呼び,応用が難しい問題を「悪構造問題」 あるいは「非構造的な問題」と呼ぶ。中間に位置する問題を「半構造的な問題」 と呼ぶ。企業の意思決定の対象となる問題は,「10年間の経営計画の策定」とい った不確定な要因を持つ悪構造問題である。解析的手法の適用できる問題に対 しても,コンピュータは意思決定のための材料としてデータを提供する道具と して用いられる。 意思決定行為を対象や規模,意思決定者の企業内の役割,地位により,管理 的意思決定と戦略的意思決定に分ける。管理的意思決定は日常的な業務におけ る短期的な経営目的策定を目的とする。現場の定型的な業務に携わる職種の人 間が問題の分析や代替案の作成を行うときに用いる。戦略的意思決定は長期的, 大局的な経営戦略の構築を目的としている。企業経営者が携わり,複雑で不確 定な問題を対象とする。意思決定者の判断の影響力は大きく,失敗した場合のリスクも大きい。DSSは戦略的な意思決定行為を対象とする情報システムで ある。
1.2DSSの構成
DSSは強力なデータ収集,分析能力を持ち,利用者が簡単に操作できるユ ーザインタフェースを備えたシステムである。良構造の問題に対しては解析な 手法を用いて解を求める。非・半構造的な問題に対しては,代替案作成のため にデータ収集,加工の作業を行う。DSSはデータベース,モデル構築,対話 管理の3つのサブシステムから構成される。 データベースシステムは,意思決定のために必要とするデータをデータベー スとして管理し,ユーザにデータの検索や加工のサービスを提供する。モデル 構築システムは,データを加工して意思決定のための判断材料(代替案)を作 成する。対話管理システムは利用者とシステムの対話(インタフェース)の管 理を行う。 モデル構築システムはモデルベースを持ち,戦略モデル,戦術モデル,業務 モデルあるいは計量経済モデルといったモデルによるデータ解析の手続きをサ ブルーチンとして保持する。新しいモデルを設計し,データ解析の手続きをプ ログラミングすることも可能である。1.3 DSSの設計方針
意思決定支援システムは企業経営者が経営戦略策定の過程で意思決定の効率 化を目的として用いる情報システムであり,特定の問題向けのシステムが開発 されている。本研究はDSSの意思決定支援のプロセスの中心となるモデル構 築システムを,モデル設計の効率化,利用しやすさ,モデルのデータベース化 といった観点から考察し,モデル記述言語とその処理系を開発する。設計にお いてはオブジェクト指向プログラミング,プロトタイピングの方法論を導入し, 新しい観点からモデル構築システムを考案する。 モデルにはシミュレーションモデルを採用する。経営シミュレーション,計量経済モデルなどを用いてDSSを効果的に構築するためには強力な表現力を 持つモデル記述言語が必要である。シミュレーション(モデル)記述言語はモ デルの効率的な構築を可能にする。シミュレーション記述はオブジェクト指向 の手法を用いており,シミュレーションモデルの開発を効率化している。 図1 各種パラメータ DSSジェネレータ
特定DSS
またモデル構藻システムを核として独自のプログラミング環境を備えたDS Sジェネレータを開発する。ユーザの利用しやすい環境を実現するためにウ インドウシステム,グラフィカルユーザインタフェース(以下GUI)を用 いる。シミュレーションに加えて基本的な統計処理(確率分析,回帰分析な ど),データ処理(ソート,表データ処理,データベース処理)関数を用意す る。本システムはUNIX・OS上でオブジェクト指向言語C++を用いて開発
する。DSS全体の開発には既存のデータベースシステム,スプレッドシート, S,SASといった統計データ分析システムを用いる。ユーザフレンドリな環 境の構築のためにXllR4ウインドウシステム, POSTSCRIPTを用いる。2 DSSジェネレータとモデル構築システム
現在利用されているDSSの問題点として,モデルを構築する場合に(1)既存 のモデルの応用ができない,(2)モデル自体の作成が簡単ではない,(3)モデル構 築にはORなどの専門知識が必要である,(4)コンピュータ, OSをはじめとす るソフトウェア,ハードウェアの知識も必要である,といった点が上げられる。ネットワークへの対応,マルチメディア利用も求められている。 大規模なシミュレーション系を対象とするときはモデルの再利用,モデルの 階層化が必要となる。ユーザが予備知識なしで簡一単にモデルを構築できる環境 (ユーザインタフェース)の実現は難しく,プログラム設計上のオーバヘッド も大きい。ウインドウシステム,オブジェクト指向プログラミングを用いてこ れらの問題点の解決をはかる。 2.1モデル構築システムの概要
モデル構築システムは銀行の長期貸付予測向DSSといった特定DSSを構
築するDSSジェネレータとみることができる。DSSジェネレータは特定D
SSの生成に用いられるツール群である。経営シミュレーション,計量経済モ デルといったモデルを効果的に構築するために強力な表現力をもつモデル記述 言語とその処理系が必要である。 本研究ではモデル構築環境をシミュレーション記述言語SIMSを中心に開 発する。SIMSはオブジェクト指向の方法論を導入しており,モデルの再利 用,階層的な記述が可能となっている。大規模な系を対象とするシミュレーシ ョン,効率的な(特定)DSSの開発環境を実現する。 モデル構築システムはSIMSと組み込み関数から構成される。本システム は強力なプログラミング環境が用意されており,ほかのモデル(OR,計量経 済モデル)も記述可能である。 生成される特定DSSはモデルプロセッサとDSSのトップレベルの処理を 行うシュルからなる。モデルプロセッサはシミュレーション,データ定義,イ ンタフェース(対話管理)のサブシステムからなる。DSSシェルはトップレ ベルGUI,データベース処理,電子メール, OSコマンドの呼び出しといっ た機能を備える。 DSSのユーザインタフェースはウインドウシステム,グラフィックスを用 いてGUIとして実現する。DSSのトップレベルとモデル構築システム,特定DSSに同じGUIを用いて対話的な操作環境と操作性の統一(Look And
Feel同じ操作方法と操作感覚)を実現する。 図2 DSSシェル(トップレベル) un lx DSSジェネレータ モテル構築システム
匝]
ユーティリティ DBMS : Data Base Management System 組み込みで統計演算,確率分析,回帰分析,主成分分析,クラスタ分析,時 系列分析といった多くの統計処理関数を用意している。データベースシステム としてSQL文に準拠しているシステムを想定し,データ入力出力環境にSQ Lインタフェースを実装する。スプレッドシートを用いてデータ操作を行うこ とも可能である。一部の統計処理,グラフィカルなデータ処理のために統計解 析言語Sのコマンドを呼び出すことができる。 2.2 モデル モデルは実体の忠実な反映である。実体をさまざまな面からテストし,予測, 検証をする。複雑なモデルは単純なモデルの組合せとして構成できる。モデル を組合せて大規模モデル(大規模シミュレーションシステム)を構築するため にオブジェクト指向の方法論を導入する。クラスで対象の定義(モデル化)を おこない,モデルを階層的に組み合わせて新しいモデルを設計する。 階層的なモデル化を行うために複数のモデルを組み合わせた複合モデルを導 入する。複合モデルはモデルごとに独立する要素(変数,関数)とモデル問の 関係の定義から構成される。モデル間の関係(インタフェース)の中で各モデ ルの結合関係,データの入出力を定義する。 モデルを,データを入力しシミュレーション処理を行い結果を出力する系(プ ロセッサ)とみなす。関係(インタフェース)で各モデルの入力と出力を結ぶ。入出力データ構造の定義はデータ定義部で行う。シミュレーションの手続きは モデル記述の中で組み込み関数とメソッドを用いて定義する。組み込み関数に はグラフィックス処理,統計処理の関数がある。 [def.1] モデル 1 基本モデルはモデルである。 2 基本モデルは固有のデータとそのデータの処理関数を持つ。 3 複合モデルはモデルである。 4 複合モデルは2つのモデルとその間のインタフェースからなる。 [モデル例] (1)シミュレーションモデル (2)計量経済,時系列モデル (3)統計モデル (4)解析的モデル (線形計画,確率過程モデル) モデル分析(データ加工)にはwhat−if分析,感度分析,リスク分析といっ た手法がある。シミュレーションモデル記述言語SIMSとデータ処理サブル ーチン(組み込み関数)でモデル分析を実現する。 2.3 DSSジェネレータとモデルプロセッサ モデル構築システムはモデル記述等を入力して特定DSS(モデルプロセッ サ)を出力するDSSジェネレータである。モデルはクラスとメソッドで定i義 (記述)される。モデル記述文は変換系によりC++プログラムに変換され, コンパイルされてシステムを生成する。 特定DSS(モデルプロセッサ)は(1)シミュレーション系,(2)データ定義系 (データベースインタフェース),(3)インタフェース系(GUI環境)から構成 される。モデルをクラスで定義し,インスタンスで具体的なデータや動作を設
図3 モデルソース 変換 コンパイル 一一一t.u一一 C十十ソース ..一一一一’一一一’
特定DSS
ンこユレーンヨン データ定義 インタフェース 計する。既存モデルをクラスライブラリとして使用できる。 データ定義部で基本データ型(数値,文字,配列,行列,レコード型),独自 で定義したデータ型を用いることができる。データベース検索命令(SQL文 など)を利用可能とするためにデータベースとのインタフェースも提供する。 オブジェクト指向データベース,スプレッドシートによるデータ処理も可能で ある。インタフェースはGUIの定義,各デバイス(ウインドウ,プリンタ) の定義を行う。 図4 データベースG U I
特定iDSS
インタフェース系
データ定i義系
ユーティリティ ンこユレーンヨン 系3 シミュレーション記述言語SlMS
3.1 シミュレーションとオブジェクト指向 シミュレーションは現実の対象をモデル化し,さまざまな変数を用いてその 動作をシミュレートする(動かす)プロセスである。対象の実体をとらえ予測を行うことを目的とする。シミュレーションモデルを作成するときは,対象の 性質,動作を正確にとらえ,効率的にモデル化して,複雑な対象をモデルの複 合として記述することが必要となる。オブジェクト指向の方法論を用いたシミ ュレーション記述言語を採用することで,大規模な対象,複合的な対象のモデ ル化が容易となる。モデル化作業,シミュレーションシステムの作成を効率化, 簡易化することも可能である。 オブジェクト指向はソフトウエアの生産性向上,情報システムの保守管理の 効率化を目的とするプログラミング方法論であり,モジュール化,データの抽 象化,手続きとデータの一体化,情報隠ぺいといったソフトウエア設計の効率 化のための手法をクラスとメソッド,オブジェクト,継承の概念を用いて実現 する。
3.2 SIMS
シミュレーション記述言語SIMSはオブジェクト指向の方法論を導入した モデル構築向システムである。汎用のシミュレーション記述環境視覚性や操 作性に優れたユーザインターフェース,強力なモデル記述能力,モデルのライ ブラリ化といった特徴を持っている。オブジェクト指向プログラミングのメリ ットは,(1)モデル化の対象をオブジェクトとして記述することで,既存のモデ ルの活用がはかられること,(2)階層的なシミュレーション系の構築が可能とな ることである。 同様の処理系としてZeiglerらにより提唱されているオブジェクト指向シミ (1) ユレーションシステムDEVSがある。 DEVSは離散系のシミュレーション, 図5 モデル構築システム ル ベ レ フ ツ ト ⋮語 ⋮言 ⋮述 ⋮記 ⋮ンS ⋮ヨM シー ⋮[S ⋮レ ⋮ユ 一こ、 ⋮シ デ一読処理ルーチン(統計,グラフィックス)とくにマルチプロセッサのシミュレーションを目的としている。SIMS(の 処理系)は汎用のシミュレーションを目的とし,統計処理,グラフィック処理 といった強力なデータ加工を実現するシステムである。 SIMSはモデル記述部(編集系), C++のコード生成を行う翻訳系,グラ フィックス,統計処理といったデータ加工を行う実行系,ライブラリ管理系か ら構成される。 図6 モデル編集 翻訳 実行 ライブラリ 3.3 シミュレーションモデル シミュレーションモデルMは[def 1.]で定義されるモデルのひとつである。 複合モデルは2つのモデルと関係から構成される。関係はモデル間のインタフ ェースであり,データの要素の定義,階層関係の定義,モデル間のデータ入出 力を定義する。各モデルは独自の構造と動作をもつ。モジュラリィティを確保 するためにモデルごとにシミュレーションの手続きを設計し,動作を確認する ことができる。 図7 モデルベースの階層 モデルの階層 データ処理ルーチン (データ) の階層 モデル モデルベース … データ操作 クラスライブラリ クラス iメソッド データ(ベース) 基本関数,データ 基本関数
シミュレーションモデルはクラスとメソッドを用いて記述する。各モデルと トップレベルのモデルの構造を記述してモデルプロセッサ(シミュレータ)を 設計する。データ加工の手続きはオブジェクト(データ)のメソッドと組み込 み関数を用いて実現する。既存のモデルはモデルライブラリ(モデルベース) として利用する。ライブラリはモデルのデータベースの役割を持つ。シミュレ ーション記述言語SIMSは基本データ,基本関数を多く備え,プログラミン グ能力に優れており,ほかのモデルの構築,独自のDSS操作の設計に応用が できる。 クラス,メソッドはオブジェクト指向の概念であり手続き型言語のタイプ, 演算に対応する。クラスに属するオブジェクトの性質は演算(メソッド)とし て定義される。オブジェクトはクラスの実体であり,変数として宣言する。オ ブジェクトにメッセージを送り,メソッドを呼び出してオブジェクトの状態を 変更する。クラスから導出されるサブクラスは親クラスの性質を受け継ぎ,独 自の機能も定義できる。クラスとサブクラスの間で性質を受け継ぐことを継承 (Inheritance) という。 [dif.2] シミュレーションモデルM
① モデルM
Me E’ MMc E M
モデルMは複合モデルMc,あるいは基本モデルMeである。② 基本モデルMe
Me = {Sim, D, lnt} Sim: シミュレーション定義 D : データ定義 Int: インタフェース定義(3)複合モデルMc Mc = {Mi, M2, 1} Mエ,M2:モデル 1:モデル問のインタフェース 1 = {Miout, M2m, R} R ニ Mi。ut×M2in :デLタの関係 図8 (複合モデル)
Mc
一L.tt一一@LT一Mi
一一一一一“一〇ut jn
M2
一一一”t一一3.4 SIMSの構文
SIMSの構文をBN記法(BNF)で記述する。シミュレーション部はク
ラス定義とシミュレーション自体の記述から構成される。シミュレーション記 述部はクラスの実体の宣言(オブジェクト宣言)とデータ加工手続きからなる。 データ定義部で定義されるデータにはシミュレーションで用いるデータと内部 データがある。内部データはオブジェクト固有のデータである。インタフェー ス部はシミュレーションのトップレベルでの操作環境(GUI)を定義する。 データの加工手続きをメニューとして定義したり,データ入出力のフォーマッ トや利用するデバイス,(ウインドウ,表)の定義をする。 [モデル] モデル : 複合モデル: (基本モデル1複合モデル) モデル1 モデル2 関係基本モデル: シミュレーション定義 データ定義 インタフェース定義 [シミュレーション] シミュレーション定義:クラス定義リスト modelシミュレーション記述 シミュレーション記述:object オブジェクト宣言 simulate データ加工手続き function 補助的な他の関数の定義 (細部はC++の構文に準ずる) [クラス] クラス定義: classクラス名 {二derived 親クラス名 } var 変数宣言リスト method メソッドリスト 変数宣言: データ宣言子 変数名 ; メソッド定義: メソッド名 { (プロトタイプ宣言1手続きの記述) } (変数宣言とメソッド定義はC++の構文に準ずる) 基本データ型 数値(各種)int,文字char,配列array, 行列matrix,レコード型record 基本関数 統計演算:和,平均,最大,最:小,度数表 確率分析:正規分布,ベータ分布,ガンマ分布 向帰分析:最:小2乗法 線形回帰,非線形回帰 多変量解析:主成分分析,正準分析,クラスタ分析
{列 claSS nation var
char * nation name l
int state num l
state state[state num] ; struct state{ char * state name l int x; //緯:度 int y; // 経度 method virtual naiton O: //naitonは仮想、関数(多様体) {………} //対応する国の地図をグラフィック出力 [データ] データ定義文: data Input 入力データ Output 出力データ Indata 内部データ 入力データ,出力データ,内部データ:データ定義リスト データ定義: データ宣言文【 クラス定義文1 例 data Input int array[100] datal; Outputrecord { int il ;
シミュレーションモデル記述向け言語SIMSとその意思決定支援システムへの応用 } Indata class spredseatl char cl[20] l int i2[20] l data2 ; { var int size ; record attr[3] char cl[size] I int il[size] ; int i2[size] ; method (省略) } data31 [インタフェース] インタフェース定義 デバイス定義 interfaceインタフェース名(デフォルトはモデル名) device デバイス定義リスト manipulateトッフ。レベルのデータ処理(GUI) ウインドウ定ee 1 グラフィックス定義1 表定義 (各定義はクラスで定義) {列 interface japanese−populate device window class { var lnt x, y; int width, height method
132 彦根論叢第272号 ︸ ノ init(x, y, wx, hy, attr)
蝉yO;
move(x, y); resize(wx, hy); [モデルプロセッサ] モデルプロセッサ: モデル定義リスト トップレベルのモデルの構造の定義 [トップレベルコマンド] トップレベルコマンド: ユーザ定義データ加エルーチン1 組み込みコマンド1 データ入出力命令1 0S(UNIX), DSSのトップレベルコマンドなど 組み込みコマンド: 算術,統計,ウインドウ,グラフィックスデータ入出力命令: SQL文1
ファイル入出力命令DSSのトップレベルコマンド
:モデル編集1 モデル変換,コンパイル1 ライブラリ管理 以上のモデル定義の構文はC++に準じており,デフォルト引き数,不特定 数の引き数,仮想関数といった概念を用いている。モデルプロセッサは各モデ ルの定義とトップレベルのモデルの構造の定義を組み合わせて定義する。モデ ルの構造は複合モデルとトップレベルのデータの加工方法で定義する。SIMSの処理系はトップレベルでコマンドラインを処理するための基本ウ インドウを持つ。このウインドウではDSSのトップレベルコマンド(モデル 編集,変換,ライブラリ管理)を利用できる。編集子にはUNIX上のエディタ (emacs, vi)を用いる。モデルやクラスは(UNIX管理の)ファイルとして管 理する。組み込み関数の統計解析,グラフィックス処理を実現するために統計 解析言語Sのコマンドをコールすることができる。 3.5 シミュレーション例 人口の将来の変移予測モデルを例として記述する。モデルの入力は出生率の 予測データであり,出力は今後10年間の人口変移予測データである。人口のデ ータはデータ定義文で定義しファイルから入力する。これらのデータから散布 図,ヒストグラム(時系列図),地図を利用したデータ分布図,鳥かん図をグラ フィックスを用いて作成する命令を定義する。モデル自体は簡単な関係式で表 される。 [モデルと基本クラス] 人口の変移,日本,世代別の人口構成比(一部省略) class nation; // クラスの定義群 class pop { int p male, p female i int pop[100], pop m[100], pop f[100] i }l method { pop.十 ・… } model japanese−population //[モデルの記述] 人口の予測
object ,
class nation japan: {nation name = japan lstate num =47 1
$nation O → japan O ; //仮想関数の実体の宣言 } class pop popular[1945:1990]: { load ”/homel/dss/model/pop/japan” } simulate function pop = pop * syusseiritu 一 pop * sibouritu i //補助手続き g関数は組み込みのグラフィック関数 histgram(pop) { g hist(pop)} //ヒストグラム transit(time, pop) { hist(g transit(time, pop))i}
japan O { geograpy(japan) }
//geograpyは関数名を引き数とする関数 基本データ:日本の人口予測,出生率など data input int syusseiritu[1990 : 2000] ; output class pop popular[1991 : 200e] l indata int sibouritu[1990 : 2000] ; インタフェース定義:ウインドウ,メニューなど Intface device //使用デバイス class window winl, win2 i class table tabl, tab2 j class menu menl, men2, men3, men4 ; manipulate //トップレベルの操作 hist (datal) { winl. init O ;tabl. jnit O ;menl. init O iwinl. menu = menul l menu. num = 31 menul$1 = ”table ”1 サブメニューtableの定義 menul$2 == ”graph ”; サブメニューgraphの定i義 menu3$3 = ”end ”i サブメニューendの定i義 hist (data) 1
一一 一一 }
(* その他の手続きのトップレベル操作の記述 *) おわりにシミュレーション記述言語SIMSを核としてDSSジェネレータを開発し
た。オブジェクト指向の方法論を用いて大規模なモデルの階層的記述,モデル の再利用(ライブラリ化)を,またウインドウシステムを用いて利用しやすい ユーザインタフェースを実現した。 今後の課題として,SIMSのモデル記述がC++の構文に依存し記述が難 しいことから,構文を洗練して記述しやすくすること,メニューやウインドウ を用いてモデルを設計できる環境を実現することがあげられる。モデルライブ ラリを「[実し,複合モデルを蓄積して大規模なシミュレーションモデルを実現 する環境を構築することも重要である。また新しいDSSの方法論(分散DSS,グループDSS)の開発にオブジ
ェクト指向プログラミング,グラフ4カル・ユーザインタフェース(GUI) といった概念を応用することを試みたい。 [参考文献コ ( 1 ) B. P. Zeigler : ”Objecct−Oriented Simulation with Hierachical, Modular Models”ACADEMIC PRESS, INC. (1990) (2) B.P. Zeigler: ”The DEVS−Scheme Modelling and Simulation Environment” Knowledge−Based Simulation: Methodology and Applications, Springer Verlag (1989) (3) A.P, Werzbicki”MULTIPLE CRITERIA SOLUTIONS IN NONCOOPERATIVE GAME THEORY PART 1 : MOTIVATIONS AND EXAMPLES” KYOTO INSTI− TUTE OF ECONOMIC RESERCH (1989) (4)R.H.スプレーグ他’「意思決定支援システムDSS 一 実効的な構築と運営」東洋 経済(1986) (5)R.S.ウイナー他:「C++ オブジェクト指向プログラミング」トッパン(1989> (6)A.P. Werzbicki他:”Decision Support Systems Using Reference Pojnt Optmiza− tion” lnstitute of Automatic Control Warsaw University of Technology WP (1986) (7)飯倉道雄:”経営とシミュレーション”「経営と経営工学」第13章 p183−p200 中央経 済社 (1980) (8)R.A.ベッカー他:「S言語 データ解析とグラフィックスのためのプuグラミング環 境」共立出版社(1991) (9) (10) (il) (12) (13) R.パートン.「シミュレーションとゲーミング入門」竹内書店(1971) J.C. G.ブート「意思決定における数量的方法入門」日本生産性本部(1973) 守谷栄一:「企業モデルとシミュレーション」マグロウヒル好学社(1977) 尾碕,斉藤:「経営と情報システム」中部日本教育文化会(1991) A, Kemper, ”An Analysis Geometric Modeling in Database Systems” ACM Computing Surveys Vol. 19, No, 1, pp47−91. (1986)