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カニクイザルでの網膜電図を用いた薬剤誘発性網膜機能障害の評価に関する研究 

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Academic year: 2021

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Title カニクイザルでの網膜電図を用いた薬剤誘発性網膜機能障害の評価に関する研究 ( 内容と審査の要旨(Summary) ) Author(s) 木下, 順三 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 乙第129号 Issue Date 2014-03-13 Type 博士論文 Version ETD URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/49050 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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学位論文の内容の要旨 網膜電図(electroretinogram: ERG)とは光刺激により誘発される網膜の電気的応答である。 また,カニクイザルは解剖学的にヒトと類似した網膜を持つことから,被験物質を投与したカニク イザルでのERG 評価は,ヒトにおける薬剤誘発性網膜機能障害のリスクを評価する上で有用とな ることが期待される。しかし,ヒトにおける薬剤誘発性網膜機能障害を評価するための手法として の,カニクイザルを用いたERG 記録法及び解析法はいまだ十分に確立されていない。そこで本研 究では,ヒトにおける網膜機能障害のリスク評価のための手法として,カニクイザルを用いて体系 的なERG 評価法の確立を試みた。 第一章では,網膜における杆体経路及び錐体経路の評価に着目した。ヒト臨床分野において網膜 の杆体経路及び錐体経路の機能を別々に評価するための標準的方法を参考に,カニクイザルでの standard full-field ERGs の記録条件を設定した。そしてこの standard full-field ERGs を用い, ヒトで網膜の杆体経路に強く影響するボリコナゾール,あるいは錐体経路に強く影響するジゴキシ ンをカニクイザルに投与し,各経路に対する薬剤の影響が検出可能かを検討した。その結果,ボリ コナゾールによる杆体経路への顕著な障害,及びジゴキシンによる錐体経路の選択的な障害を本法 により検出することが可能であった。このことから,本法をカニクイザルに適用することで,薬剤 投与後の杆体経路及び錐体経路への影響を的確に検出し,ヒトで起こりうる視覚障害を非臨床試験 にて予測できることが示唆された。 第二章では,網膜の一次ニューロンである視細胞の評価に着目した。ヒト患者にて視細胞機能を 詳細に評価するために開発されたa-wave analysis をカニクイザルに応用し,本法を用いて既知の メカニズムによる薬剤誘発性の視細胞機能障害を反映した変化が検出可能であるか検討した。その 結果,シルデナフィル投与後には視細胞外節における6 型ホスホジエステラーゼ阻害作用,ならび にジゴキシン投与後には視細胞内節における Na+-K+ATPase 阻害作用を反映すると考えられる変 氏名(本(国)籍) 木 下 順 三(長野県) 推 薦 教 員 氏 名 東京農工大学 准教授 西 藤 公 司 学 位 の 種 類 博士(獣医学) 学 位 記 番 号 獣医博乙第129号 学 位 授 与 年 月 日 平成26年3月13日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第3条第2項該当 研 究 科 及 び 専 攻 連合獣医学研究科 獣医学専攻 研究指導を受けた大学 東京農工大学 学 位 論 文 題 目 カニクイザルでの網膜電図を用いた薬剤誘発性網膜機能障害 の評価に関する研究 審 査 委 員 主査 東京農工大学 准教授 西 藤 公 司 副査 帯広畜産大学 教 授 古 林 与志安 副査 岩 手 大 学 教 授 古 濱 和 久 副査 東京農工大学 准教授 佐々木 一 昭 副査 岐 阜 大 学 教 授 海 野 年 弘 (3)

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化がそれぞれ検出された。これらより,本法をカニクイザルに適用することで,薬剤投与後の視細 胞機能への影響を精査することが可能であることが示唆された。 第三章では,網膜の二次ニューロンであり,ON 型あるいは OFF 型のいずれかに分類される双 極細胞の評価に着目した。そこで,ON 型双極細胞及び OFF 型双極細胞に由来する波形成分をそ れぞれ含むON-OFF response をカニクイザルで記録するための条件を設定するとともに,薬物に よるON 型双極細胞あるいは OFF 型双極細胞への選択的な作用が本法により検出可能かを検討し た。結果,ON 型双極細胞の代謝型グルタミン酸受容体 6 型に対するホスホノ酪酸の競合作用,及 びOFF 型双極細胞のイオンチャネル型グルタミン酸受容体に対するピペリジンジカルボン酸の拮 抗作用を反映する変化を,本法により検出することが可能であった。さらに,本法を用いることで, ヒトで視覚障害が報告されているボリコナゾールを投与したカニクイザルにて,ON 型双極細胞の 選択的機能障害を示唆する変化が検出された。これらより,本法をカニクイザルに適用することで, 薬剤による双極細胞機能への影響を精査可能であることが示唆された。

第四章では,網膜の三次ニューロンであり,かつstandard full-field ERGs からはその評価は困 難とされている網膜神経節細胞(retinal ganglion cell: RGC)の評価に着目した。そこで,アカゲ ザル及びヒトで主としてRGC に由来することが知られている photopic negative response(PhNR) をカニクイザルに適用し,その記録条件を設定するとともに,薬物によるRGC への選択的作用が 検出可能か検討した。テトロドトキシンをカニクイザルに投与したところ,RGC の電位依存性 Na チャネル遮断作用を反映する変化が検出された。続いて,ヒト患者に視神経症を誘発するエタンブ トールをカニクイザルに反復投与し,PhNR をモニタリングした。結果,PhNR の選択的な減弱が 検出されたと共に,病理組織学的にもRGC 選択的な異常が生じたことが確認された。これらより, 本法をカニクイザルに適用することで,薬剤によるRGC 機能への影響を的確に検出し,ヒトで起 こりうる視覚障害を非臨床試験にて予測可能であることが示唆された。 以上より,カニクイザルを用いたERG 評価により,各種薬剤による杆体経路及び錐体経路の各 機能,一次,二次及び三次ニューロンの各機能への選択的な影響を的確に検出することが可能であ ることが示された。さらに,一次ニューロン及び二次ニューロンの障害が示唆された場合は,第二 章および第三章で開発した評価法を用いることで,より詳細な網膜の機能評価が可能となることが 示された。本研究の結論として,カニクイザルを用いたERG の体系的評価法を初めて確立するこ とに成功したとともに,本法がヒトにおける網膜機能障害のリスクを評価する有用な非臨床安全性 試験の手法となることが期待された。 審 査 結 果 の 要 旨 本論文は,非臨床安全性試験における網膜機能障害のリスク評価のための手法として, 解剖学的にヒトに類似した網膜を持つカニクイザルを用い,網膜電図(electroretinogram: ERG)の体系的な評価法の確立を初めて試みたものである。 第一章では網膜における杆体経路及び錐体経路の評価を行うため,人医療域における標 準的方法を参考に,カニクイザルでのstandard full-field ERGs の記録条件を設定した。 そしてヒトで網膜の杆体経路を強く障害することが知られているボリコナゾール,及び錐 体経路を選択的に障害するジゴキシンが,カニクイザルの ERG に対しても同様に影響す ることを証明した。これらの結果から,カニクイザルを用いた本法により,各種薬剤の杆 体経路及び錐体経路への影響が検出できる可能性が示唆された。 第二章では人医療域で開発されたa-wave analysis をカニクイザルに適用し,網膜の一 次ニューロンである視細胞の機能評価を行った。その結果,シルデナフィル及びジゴキシ ンが視細胞機能に与えるとされる既知の作用が,カニクイザルを用いても検出可能である ことを証明した。これらの結果から,カニクイザルを用いた本法により,各種薬剤の視細

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胞機能への影響が精査可能であることが示唆された。 第三章では,網膜の二次ニューロンである ON 型及び OFF 型双極細胞に由来する波形 成分の記録条件を,カニクイザルを用いて設定した。そして本法により,ホスホノ酪酸及 びピペリジンジカルボン酸がそれぞれ ON 型及び OFF 型双極細胞に与えるとされる既知 の作用が,カニクイザルを用いても検出可能である事を証明した。さらに本法により,ボ リコナゾールを投与したカニクイザルにおいてON 型双極細胞の機能が選択的に障害され ることを初めて発見した。これらの結果から,カニクイザルを用いた本法により,各種薬 剤による双極細胞機能への影響が精査可能であることが示唆された。 第四章では,網膜の三次ニューロンである神経節細胞に由来する photopic negative response(PhNR)の記録条件を,カニクイザルを用いて設定した。そして本法により, テトロドトキシンが神経節細胞に与えるとされる既知の作用が,カニクイザルを用いても 検出可能であることを証明した。またエタンブトールを投与したカニクイザルにおいて, PhNR が選択的に減弱することを証明し,さらに同カニクイザルにおいて組織学的にも三 次ニューロンに選択的な病変が生じることを確認した。これらの結果から,カニクイザル を用いた本法により,各種薬剤による RGC 機能への影響を的確に検出することが可能で あることを示唆した。 上述の一連の成果は,カニクイザルを用いた ERG の体系的評価法を初めて確立したも のであったともに,本法がヒトにおける網膜機能障害のリスクを評価する有用な非臨床安 全性試験の手法となることを強く示唆するものであった。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分な価値があると認めた。 基礎となる学術論文

1)題 目: Mechanism of voriconazole-induced transient visual disturbance: reversible dysfunction of retinal ON-bipolar cells in monkeys 著 者 名: Kinoshita, J., Iwata, N., Ohba, M., Kimotsuki, T. and Yasuda, M. 学術雑誌名: Investigative Ophthalmology & Visual Science

巻・号・頁・発行年:52(8) :5058-5063,2011

2)題 目: Retinal function and morphology in monkeys with ethambutol-induced optic neuropathy

著 者 名: Kinoshita, J., Iwata, N., Maejima, T., Kimotsuki, T. and Yasuda, M.

学術雑誌名: Investigative Ophthalmology & Visual Science 巻・号・頁・発行年:53(11):7052-7062,2012

既発表論文

1)題 目: Comprehensive analysis of hepatic gene and protein expression profiles on phenobarbital- or clofibrate-induced hepatic hypertrophy in dogs

著 者 名: Makino, T., Kinoshita, J., Arakawa, S., Ito, K., Ando, Y., Yamoto, T., Teranishi, M., Sanbuissho, A. and Nakayama, H.

学術雑誌名: The Journal of Toxicological Sciences 巻・号・頁・発行年:34(6):647-661,2009

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biomarker of acute kidney injury in dogs receiving gentamicin 著 者 名: Kai, K., Yamaguchi, T., Yoshimatsu, Y., Kinoshita, J., Teranishi,

M. and Takasaki, W.

学術雑誌名: The Journal of Toxicological Sciences 巻・号・頁・発行年:38(2):269-277,2013

3)題 目: Thioacetamide-induced hepatocellular necrosis is attenuated in diet-induced obese mice

著 者 名: Shirai, M., Arakawa, S., Miida, H., Matsuyama, T., Kinoshita, J., Makino, T., Kai, K. and Teranishi, M.

学術雑誌名: Journal of Toxicologic Pathology 巻・号・頁・発行年:26(2):175-186,2013

参照

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