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アジア文化研究所・研究所プロジェクト二〇〇五年度研究調査・共同研究発表報告「中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究」 利用統計を見る

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アジア文化研究所・研究所プロジェクト二〇〇五年

度研究調査・共同研究発表報告「中国華中地域の日

中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する

研究」

雑誌名

アジア文化研究所研究年報

40

ページ

255-330

発行年

2005

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00011414/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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合 弁 企 業 へ の 途 研究員 長 十 清 人 生

- z

合弁企業の制度的導入 中国は社会主義国であり、社会主義経済体制すなわち計画経済をとる。 計画経済は、固有企業、公有企業、農村人民公社等の集団所有を基礎とし、 国家計画を通じて、国民経済全体を運営する経済制度であり、﹁合弁企業﹂ とは、改革開放後に、中国側より提起された新らしい制度である。

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E

経済体制の改革 一、七八年二一月一中国共産党第一一期一二中総会以来、政治主義に終止 符がうたれ、経済の近代化を中心に据えることが始まる。調整によって経 済構造を変える(従来の、﹁勤倹節約﹂﹁刻苦奮闘﹂が労働意欲を減退させ ていた)。軽工業重視が消費水準を高めた。企業自主権、奨励金制度、経済 改革を進める。 一一、八二年九月・中国共産党第一二回党大会で、八一年

1

000

年の 長期構想を発表。﹁四つの現代化﹂(農業、工業、科学技術、国防 ) 0 この現代化によって、中国は世界に確固たる地位を占めるに至ってい る 一二、八四年十月一第一二期三中総会、﹁経済体制改革に関する決定﹂を発 表。五年以内に改革をやりとげるとした。開放政策の進行を見るとき、中 国経済はなお遅れていることを実感。 この﹁決定﹂は、﹁中国的特色をもっ社会主義﹂を建設するため、国内経 済の活性化と対外開放の方針を一層徹底させ、都市を重点とした経済体制 改革の速度を早める﹂ことを目標とし、今やその条件は整ったと宣言。 社会主義経済制度の優位を発揮させるため先ず企業を相対的に独立した 経済実体とする必要がある。国家機関は計画と経済的、行政的、法律的手 段で企業に対して管理、租税徴収、主な企業幹部の任免を行なうとともに、 企業の設立、閉鎖などの活動に限られるべきであるが、千差万別の企業の 把握は困難であり、企業の自主制を大きくすべきだとする ( ﹁ 国 計 民 生 ﹂ ) 0 そこで提示される対外開放政策は積極的に進められる。﹁外資を利用し、 外商を招き、合資経営企業、共同経営企業、単独投資企業の設立﹂を目指 し、外資、外資系企業は社会主義の補完物とする。 市場メカニズムを重視する経済像を描くが、実現可能か。 企業の従業員イメージも、現在の請負農民のひき移しと見られる。工場 労働者も多くの農民のように個別に働くものでない。

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企業の基本的特徴 一、生産活動の基本単位。その生産物は価格をもつが、必ずしもオリジ ナリテイは要求されない。反って多くの企業が類似した商品を作るのが通 常 で あ る 。 二、企業は﹁生存と成長﹂を基本的な目標とする社会制度。営利(利潤) の追求は目標であると同時に企業の﹁生存と成長﹂のための必要条件であ る。同一業種における国際競争に勝利することである。 ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 二 五 五

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コ一、企業は外部からの干渉を好まず、自主的運営を確保しようとする。 ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 転用の実現である。 自らのリスクにおいて巨大な商品開発プロジェクトを推進したり、中止し たりし得る。企業人にとって、国家からの保護、干渉(規制)を受けぬこ とが要求される自由である。 四、企業の運営は経営者が決定的役割を演ずる組織。 マーケット・メカ ニズムの貫徹に依って淘汰される。企業の活動の規模拡大(会社が大きく なること)は一般に好ましいことだが、必ずしも是認されることではない。 五、特定の目的によって運営される組織であるが、構成員の出入(入、 退 社 ) は原則として自由であるが、自らの意志によって新天地を求めて移 動することが比較的容易である。終身雇用(運命共同体)が原則でない。 六、社会の全面的コントロール下に置かれることなく、自らの生産物を 恋意的に社会の内に投げ入れる。その活動を不断に拡大する。しかし、そ の活動は社会的規制の対象となる。企業の社会責任。企業活動の自由は社 会の批判にさらされる。

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経済生活の変化の実際 改革・開放政策の開始当初は、沿海都市部に限られてはいたが、経済活 動の進展、工業生産の向上が確実に進み、都市の景観、市民生活、交通・ 流通の各手段に変化が見られ、それは年ごとに地方都市にまで波及して 行った。冷暖房に制約があり、電休日も制度的に行なわれていたが、それ らも解除された。先ず個人経営の小規模飲食庖の庖頭の電飾が始まり、市 内にはイルミネーションが見られるようになり、庖内も一段と明るくなっ た。繁華街を中心、光源とする光の輪が周囲に広がっていく。電力の民需 二五六 自由市場の出現が一時話題となったが、今は市内全体が自由市場と化し て お り 、 スーパーマーケット、デパートが一般的となっている。武漢市の 古琴台では、かつて腕章をつけた青年男女が老人にお茶をサービスしたり 歌舞を見せる風景もあったが、今や老人達は余り集っていない。家庭でテ レピを見たり、老年大学に通う人が多くなったからで生活のゆとりを感じ させる。町ゆく人の服装もカラフルになり、明るい。消費生活の質・量の 向上を﹁色彩﹂で一不めす﹁染色、化学革命﹂の進展、﹁繊維産業﹂の発展で ある。また、株新聞を手にして証券取引市場の電光掲示板で株価の上下を 熱心に見る人の姿も多くなり、市場経済の効果が市民の中に確実に見るこ とができるようになり始めた。公衆電話も携帯電話に席をゆずっている。 さらに

T

V

、洗濯機、冷蔵庫等の家電の普及も生活スタイルを変え出した。 当初、香港資本の投資を示めす﹁集団経営﹂の看板が見られたが、今は 合弁企業の看板、広告塔が多い。流通革命も起った。それにあわせて道路 が拡張され、高速道路が発達して来た。それ以上に建築の高層化が急速で あり、年毎に町の変貌を一変させている。 以上のような、中国経済の進捗状況を、武漢市の﹁漢正街小商品市場﹂ を例にして見ておくことにする。﹁漢正街小商品市場﹂の一厨額をかかげた一 角は一万々、長江の船っき場、パスターミナルを目の前に置くありふれた商 庖街、問屋街であったが、古い庖舗を解体し高層化するという過程をくり 返えして、拡張されて今日に至っている。そこで小商品(日常生活必需品) を仕入れるのは地方の小売業者である。その小商品の種類、量は極めて豊 富であり、正しく軽工業の発展、充実と一驚したところである。その市場

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への商品の搬入、搬出の様子は年毎に変化していた。当初、搬出される商 品 は ﹁ 天 秤 棒 ﹂ で 、 ﹁ 自 転 車 ﹂ ﹁ 手 押 し 車 ﹂ ﹁ 大 八 車 ﹂ ﹁ リ ヤ カ ー ﹂ ﹁ 人 力 車 ﹂ 、 更に﹁サイドカー﹂で運ばれ長江の船っき場で船積みされたり、パスの屋 根に積まれたりして地方に運ばれていたが、今はそのような風景はほとん ど見られない。市内を走るパスも路線によっては小型化し、大型、中型も 使い分けられ、タクシーも﹁お客さんより多くなった﹂と榔撤されるよう に多くなり、美しくなっている。大型トラックも当り前となり、市外に向 う高速道路も整備され、観光パスもより快的となった。自動車産業の発展、 それに伴なうインフラストラクチャーの整備も進行している。交通事情も 流通事情も変化しているのである。 以上のように見て来ると、合弁企業の成立も単なる偶然ではないことに 気がつく。経済政策に導ぴかれてのことであるにしても、経済発展に寄せ る期待と意欲、それを支える生産力の上昇が基底にあるといえるのであ る

v .

合弁企業の実際と問題点 中国の産業、経済を推進する役割を果したのは、﹁合弁企業﹂であった。 それは当初、靴、人形玩具、繊維産業、金型産業などであった。日本の近 代産業を下から支える高度な技術を有してはいるが、技術を継承する若年 一般に労働者の高齢化、人件費の高騰に悩む﹁町工場﹂が活 路を中国に求めたもので、日本近代化百年の聞に蓄積された生産技術を中 国側に渡す結果をもたらすもので、生産品の大部分を日本に逆輸出する形 労 働 者 不 足 、 をとった。それらは現在でも﹁百円ショップ﹂を支えるものとなっている。 しかし、次第に大型の電化製品、車輔、鉄鋼、

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産業等に移行して来 た。現在﹁合弁企業﹂というのは、この種の大型の、ハイテク産業を専ら 指 し て い る 。 合弁企業成立と発展には、中国政府による積極的な開放政策の推進によ る所が大であるが、それ以上に、日中双方の抱える事情、思わくによって 進められたといえる。日本側については若年労働者不足、高賃金、土地問 題があり、中国の広大な土地、豊富な労働力が魅力的であった。また、中 国側については日本の高度かっ先進的な生産技術、品質管理、労務管理、 豊富な資金が魅力であったといえる。日中双方が要求する所に従って合弁 の契約がなされるにしても、土地契約の不履行、分担資本の未支払い等の 問題があり、撤退を考えたり、進出に二の足を踏む日本企業もあったが、 これらは国際的商慣習に不慣れなことに基くものであった。 二、三の実例を見ておく。﹁武漢川崎船機﹂は、当時は市外ともいうべき 所に設立されたが周辺の道路も狭く未舗装で、ガタガタ道であった。工場 内は一変して﹁日本的﹂であった。工場内は禁煙、社訓の掲示、個人の業 務成績、生産日程予定表、清潔・整理・整頓、事故防止の呼びかけのピラ が貼り出されていた。技術訓練を受けながら仕事をする工員たちには、そ れらのことが困苦るしいもの、個人競走を強いるものと映っていたようで ある。ボーナスの支給よりは月給を多くすることも要求事項の一つだとい われた。しかし、少し技術を身につけると転職して行くということについ ての日本人指導員の不満もあった。重機使用上の安全を考えての特殊な防 護服、安全靴の着用は評判が悪るく、工場側と工員の聞には見解の相違が 大きかった。この会社は、海洋船舶のスクリューを生産しており、世界の ︿ 報 告 γ 平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 五 七

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二五八 造船界を相手にして、発注品を生産、輸出するもので、工業国日本の名と ︿ 報 告 ﹀ 平 成 一 七 年 度 ﹁ 中 国 華 中 地 域 の 日 中 合 弁 企 業 に お け る 文 化 摩 擦 と 文 化 的 背 景 に 関 す る 研 究 ﹂ プ ロ ジ ェ ク ト 直ちに﹁文化﹂問題とされるところに問題があると思われる。 技術が専らそれを支えるものであったが、今日ではかなりの発注があると のことである。工員たちにも自負心が生まれている。 ﹁東風本田﹂は、工業団地ともいうべき技術開発区の一画に設立されてい るが、現在では中国各地に名を知られるようになっており、近い将来、輸 出に迄進むだろうといわれている。そこではある夏、ル

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フの塗料に不工 合が発見され、納期に間に合わせるため残業が行なわれた。契約事項を満 たすため全車輔の再塗装がなされたという。これに関しては工員には﹁契 約﹂の重要性が理解されていないようである。独・伊等の合弁会社との競 走に勝つためには、厳重な品質管理、 コストの引き下げが必要不可欠であ る が 、 そ れ に 関 し て も 、 ﹁ 残 量 一 ﹂ ﹁ 夜 勤 ﹂ の 評 判 は 悪 い 。 ﹁ 武 漢

NTT

﹂での携帯電話の組み立て作業を視察したが、二十数人の青 年男女工員が、肩を押しつけ合い、半身になり、立った姿勢で作業をして いた。中国人管理者に聞いても、労働環境、条件の改善についての意欲は 見られなかった。製品は専ら国内向けである。 合弁企業に関しては、内と外とから見る必要があろう。先ず﹁外﹂に関 しては、合弁する両国、企業の政治、経済の事情を含め、広義の﹁文化﹂ の相違であり、国民意識、国民感情の相違の問題である。﹁内﹂の問題であ る。合弁企業も﹁企業﹂である限り、そこで働く原理は﹁合理化﹂であり 世界に共通である。その合理化は﹁生産の効率﹂であり﹁生産の向上・維 持﹂である。そこに働らく工員は国籍、丈化には関わりはない。工員個々 人の﹁意欲・意志・能力﹂にのみ関わるものである。そこには﹁文化摩擦﹂ の如きものが生ずる筈はないのである。今は、労働現場から上がる問題が

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華中地域における日中合弁企業の経営と従業員の意識変化 ー ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 分 析 │ 客員研究員 太 田 辰 幸 中国は八

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年の改革・開放政策への転換以後、目覚しい経済発展を遂げ つつある。市場経済への移行に伴って所有制の変化や地域聞の格差や貧富 の格差拡大など中国は社会の変革期を迎えている。加えて九

O

年以降の対 内投資の激増、通信手段・メディアの発達や

I

T

革命の進展など急速な近 代化の波が沿岸部から内陸地域へと波及し、人々の価値観、行動様式に影 響を与えつつある。長期にわたる高成長を持続し、近代社会へと転換しつ つある中国において外資の流入増とともに先進技術やノウハウの移転、各 種情報の伝播、異文化との接触機会の拡大につれて社会にさまざまな変化 と摩擦を生じさせつつある。しかし、人々はこれら海外からの技術や文化 を受容し、あるいは拒絶し、自国の固有文化に適合させながら吸収し、次 第に適応し、定着させていくものであろう。 伝統社会が外部との交流、接触の増大によっていかなる摩擦が生まれ、 人々がいかに外部ショックを受容し、対応(反応)するかのテ

l

マは、と りわけ社会主義的生産システムの労働倫理に長らく馴化していた中国の場 合は注目されるところである。 激動期の中国の社会、文化の変容と適応を理解するための一つのケ

l

ス・スタディとして、華中地域にある五つの日中合弁企業の従業員を対象 今回の調査対象企業の現地従業員が日系 企業の経営や管理システムをどのように受け止め、企業内倫理や労働慣習 にアンケート調査を実施した。 をどのように感じているかを把握するため、ここでは日中間の企業文化の 相違や日系企業内の管理・組織・運営方法、職場の人間関係、仕事環境、 生産部門や人事・労務、教育・訓練などの各分野の両国間の差異に関する 従業員の意識調査を行った。 いままで日本側から対中進出企業に対する調査が行われてきたが、進出 企業の多い沿岸地域に立地する企業を対象とするものが多く、進出企業の 少ない内陸、それも華中地域だけに限定した調査はあまり例がない。これ らの調査の多くは日系企業の日本人対象の調査であり、日系企業の中国人 従業員を対象にアンケート調査したものは調査上の困難もあってきわめて 限られている。また進出企業が少ない二

000

年以前は従来の調査のサン プル数は数えるほどであり、内陸地域の実態は必ずしも明らかにされてい ない。昨年(二

O

O

四年)夏に現地側の協力によって調査可能になった武 漢地域の日中合弁企業五社については今回の調査をもって晴矢とする。今 回の調査結果といままでの類似の調査結果を比較することによって華中地 域の日系企業に対する従業員意識の一端が明らかになることが期待されよ ぅ。なお、本稿は中間報告書としてまとめたものであり、最終稿は後日提 出の予定である。 ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 二 五 九

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︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト

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調査対象企業の概要 一.華中地域への企業進出背景と調査対象企業 内陸の華中地域への日系企業進出は沿岸部に比べて大幅に遅れており、 その進出企業数もまだ限られている。日系企業の内陸の進出拠点としては 湖北省の武漢、重慶市それに四川省成都が注目されているが、これら三都 市の日系企業数は八七(一一

O

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五年二月時点。これは日本の一部上場企業 の進出企業に限る) であり、上海の一割にも満たない。華中内陸の湖北省 についてみると、最初の対中投資は一九九一年に始まった(中国進出企業 一覧(上場会社篇プニ

O

O

五│二

OO

六年版)。湖北省に進出した日系企 業は合計二九社(現地法人の形式をとるもの。合弁一九社、独資九社を含 む)を数える(二

OO

五年二月現在)が、期間別にみると、九一年に武漢 市に設立されてから九

0

年代前半に七社、九

0

年代後半に六社、二

000

年以降(二

OO

五年三月までの) 一四社と、九

0

年代半ば以降に増加傾向 にある。九五年から二

O

O

五年前半までに全体の約七割の(二

O

杜)が進 出 し て い る 。 アンケート調査対象企業である日中合弁企業五社を取り上げた理由は、 この種の調査が容易ではない中国では、今回の共同研究のパートナーであ る華中科技大学の調査依頼に協力して頂いた企業であったからにほかなら ない。五つの日中合弁企業とは、武漢市に所在する輸送機械、精密機械、 船舶部品、輸送機械部品、製靴などを生産する製造業である。これらの企 業は生産拠点の設置を目的にいずれも九

0

年代半ばから二

OO

三年の聞に 二 六 O 設 立 さ れ 、 一部の企業は輸出向け生産をしている。これらの企業は必ずし も日本的な経営のやり方をすべて現地に移転しているのではなく、少なか らず本国の本社とは異なるシステムを採用している。 ニ,従業員の内訳 アンケート調査に協力して頂いた従業員は日系合弁企業五社から合計一 二九名、年齢層も二

O

代から五

O

代まで分布し、彼らは最初の勤務先が日 系企業であるもの、他の現地中国企業に短期、長期の勤務歴がある者など 日系企業の従業員の職歴はさまざまである。 回収したアンケートは輸送機械メーカーがもっとも多く、全体の五割を 占め、他の四社の合計にほぼ相当する。 このような回答者の構成からア ン ケ

l

トの結果を、輸送機械メーカー (六四人)とその他四社合計(六五 人)の二つのグループに分け、前者を

A

、後者を

B

グループとして、それ ぞれの特徴、および A と

B

を加えた全体の傾向を把握することを意図し た 。 A 社 六回名(輸送機械メーカー)

B

グループ 六五名(船舶用機械部品製造(二二名)、精密機械製造(二 一名)、輸送機械部品製造(一六名)、製靴業(六 名 ) ) A 社 ・

B

グループの合計一二九名 アンケート回答した従業員の勤続年数別、所属職場別、出身地別の構成 は以下の表に示される。それによると、勤続年数別構成をみると八年以上

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勤続の従業員が五二%と最も多く、 の期間が一七%である。なお、 ついで三年未満が約一二O%、四 j 七年 アンケート調査が実施さ A 杜 に つ い て は 、 れた二OO四年夏期は設立後一年に満たないにも拘わらず、八年以上が五 割、一二年未満勤続が四割を占めている。これは日系企業に就職する前の職 歴を含むためである。 A 社の進出年は二OO三年であり、今回のアンケ

l

第1表 A、B両グループのアンケート回答者の内訳 勤続期間別 (1~ 3年 :38、 4~7 年:20、8年以上 :63、合計121人) 勤続年数 1 ~ 3年 4~7 年 8年以上 構成比 31% 17%

I

52% ) 1 ( 職場別(事務部門:66、技術部門・29、生産現場:18、合計113人) 事務部門 58% (2) 生産現場 16% 技術部門 26% 職場 構成比 出身地別(武漢市:61、湖北省内:31、省外:27、外国籍

o

、合計119人)

i五正一一丁

武漢市

i

湖北省内

省外 構成比 51% 26% 23% (3) 外国籍 。% 注:上記の合計人数がアンケート回答総数129に満たないのは回答用紙に無記入 のものが含まれるためである。以下についても同じ。 ト調査は生産開始後半年経 過した時期に実施されたこ とから従業員にとっても同 社への勤務経験はきわめて 短期間であることになる。 職場別構成では、回答した 従業員は過半(五六%)が 事 務 部 門 に 、 技術部門に を除く湖北省出身と湖北省外出身がほぼ均等の割合を占めている。 A 社 の 出身地は三つの地域の分布は均等であるが、 B グループは七割が地元武漢 六 % 、 生産部門に一六%が 市出身であり、約二割が湖北省、 一割が省外となっている。 所属している o A 杜では事 務部門が四分の三を占め、 生産現場は少ないが、 B グ E . アンケート調査の分析結果 中国では日系企業の人気がそれほど高くないという調査がある。たとえ ば日本在外企業協会が中国の日系企業に勤務する一一一五歳以下のホワイトカ ラ i を対象に調査(回答者一一一一名) したところ、転職希望者のうち、日 ループについては、 生産部 系企業を希望する者はわずか七%にすぎなかった。 一方で欧米企業を希望 門のシェアが技術部門と同 じシェア(三割)、事務部門 が四割となっている。出身 地構成は地元の武漢市出身 が五割と最も多く、武漢市 する者は六九%と圧倒的に多かった。 今回のわれわれの調査においても﹁欧米系企業と日系企業とどちらを希 望するか﹂の質問に対して、回答数一O八名のうち八一%が欧米系企業を 希望しており、日系企業を希望する者は一九%であった ( 下 記 参 照 ) 0

A

社 J¥ % ( 五 六 回 答 ) 欧米系 八二%、日系 B グループ

/

( 五 二 回 答 ) 欧米系 七九%、日系 合計回答

人 欧米系 八一%、日系 九

%

一.現地企業と日系企業の相違 従業員に中国企業と日系企業との間の相違を一人当り三点ずつ記入して 貰ったところ、合計三O五の回答 ( A 一 一 五 九 、

B

一 一 四 六 ) が あ っ た ( 三 つ以下回答のものや無記入のものがあるため回答数は人数に達しない ) 0 ここで、これらの回苓を経営・管理、企業文化、販売・市場開拓、組織と 運営、計画性、生産・技術、仕事環境、労働と作業量、制度・規則、人間 ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト -'-ノ、

(11)

︿ 報 告 ﹀ 平 成 -七 年 度 ﹁ 中 国 華 中 地 域 の 日 中 合 弁 企 業 に お け る 文 化 摩 擦 と 文 化 的 背 景 に 関 す る 研 究 ﹂ プ ロ ジ ェ ク ト 構成比(%) 40 13 9 62% 日系企業と現地企業の相違 Bグループ 合 計 122 40 26 O D O D O 白 戸 町 υ 1 1 ム 寸 hi 第2表 A社 64 22 8 上位3項目 経営・管理 労働・作業量 企業文化 小言十 188 その他の項目 [A: 65、B : 52J:制度・規則 (8%)、組織・運営 (5%)、仕 事環境 (5%)、計画性 (4%)、待遇 (4%)、販売・市場開拓 (3%)、人 間関係 (2%)、生産・技術と教育訓練 (1%)、批判 (5%)。回答数合計: 305(= 100%)。 関係、待遇など一一の項目に分類する と 、 A 杜 と B グループの構成は第 2 表 に ま と め ら れ る 。 上の表が一不すように日系企業と現地企 業との間の相違としては経営・管理の面 における相違を挙げるものが全体の四割 ( 一 二 二 ) を 占 め た 。 ついで労働・作業 94 94 量の面が二二%、企業丈化が九%、これ ら上位三つの分野で六二%を占めた。 ここで各項目についてどのような回答が 寄せられたか、以下に主なものを挙げて み る 。 経営・管理の分野の内訳をみると、 二%(回答数三六)が﹁管理が厳しい﹂ と回答し、管理システムの良さ(回答数

や規範的な管理・運営方法(同二 一二、少ない従業員でコスト管理による 効率的経営(同一四)、品質・環境保護に 立脚した経営(同七)など全般的に日系企業 の先進の科学的経営・管理 を挙げている。この項目においては A 、 B の聞にたいした相違はみられな ぃ 。 ( 括 弧 内 の 数 字 は 回 答 数 を 一 不 す 。 以 下 同 じ ) 0 労働・作業量の分野では全体の二二%(四

O

)

の 回 答 が あ っ た が 、 てコ ぎ のような内容であった。地元企業の仕事圧力は緩やか (二であるのに対 ム ノ 、 して、日系企業は仕事量が多く、作業強度も強く、忙しい(一二三、だが日 系企業は仕事熱心、真面目で責任感が強く(一

O

)

、現地企業とは仕事のや り方も異なり(三)、作業効率が高い ( 一 ) 、 な ど で あ る 。 企業文化の面における相違合工ハ) は、企業経営というより日中間の考 え方・理念(九)、や価値観の違い(三)から由来するところが少なくない が、企業文化の違いそのものを挙げたもの (六)もある。このほかに職員 の意識や所有制の違い、日系企業の社員に対する要求が現地企業と異なる という回答がみられる。このことは人々の間に依然として旧体制の思考形 式の残存を伺わせている。 この分野では A 社よりも

B

グループにおいて 多様な相違がみられた。 制度・規則の面では、相違(二五) の主なものとしては次のようなもの が挙げられている。日系企業は法律を遵守(七)し、福祉制度や優遇政策、 賞罰制度などが導入(六) されており、企業制度が一般に整備されつ二、 制度が厳格に守られている (一)が、労働契約の期限は柔軟(一)という 指 摘 も あ っ た 。 このほかの項目については、まず組織・運営に関しては(一五)、日系金 業は会社組織が細かく分かれ(一二)、現地企業とは異なる企業構造と運営方 式(一)となっており、上司が日本人士二、人事や事務組織などが現地企 業とは異なり(三)、運営も無駄がない(一)が、組合はない(一)等の指 摘 も あ っ た 。 以上のように日中企業関の相違として挙げられた回答は全体的に日本企 業の経営を評価しているものが大部分である。 一方で日系企業に対する批

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判(一五)(五%)としては、給与に関する不満が多い ( 六 件 ) のが目立 っ。ついで日系企業が柔軟性、恋意性が欠けている ( 一 二 ) な ど 、 現 地 従 業 員の多くが厳しいと受け止めている日系企業の管理はもう少し余裕のある 経営を望んでいることを伺わせる回答となっている。因みに一五件の批判 の 、 つ や っ 、 一三件までが A 社から出されており、 B グループからは﹁給料が 作業効率を反映していない﹂という指摘が二件あったのみである。ここで A 社の批判の内容を以下に列挙してみよう。 柔軟性がない (三)、勤務時間に比べ給与が低い 合己、給与体系に合理 性がない、仕事の責任感と態度が日系企業は良くない、中国の企業が給与 は高い、日系は恋意牲がなくて能率悪い、効率がよくない、計画性には問 題ある、巨視的にはいいが微視的には問題あり、などである。 前述の日中企業間の相違の上位三項目である管理体制、作業方式、企業 文化の特徴をまとめてみると次のようになろう。

(

i

)

管理体制の面 日系企業集中的管理(各部門聞は資源・人員を共有) 現地固有企業 1 分散的管理(各部門間の交流はほとんどない) ( 一 日 ) 作業方式の面 日系企業

i

課や班単位中心の管理方式 現地固有企業と欧米企業課題組による管理 ( III ¥、,〆 企業文化の面 日系企業チームワークや服従精神を評価(集団志向型) 現地固有企業個人的能力や貢献精神を重視(個人志向型) 二.日系企業の優れている点一現地従業員の評価 従業員が日系企業の優れているとして指摘している点を、①生産面、② 人事・労務、③経営、④教育訓練、の四つの分野においてまとめてみた(分 野ごとに一人三点、ずつ回答)。分野によって回答数が異なるのは、三点以下 の記入のもの、無記入のものが含まれるためである。 ( ー ) 生産面 生産面では、日系企業の優れた点として 合 計 二 一

O

の回答(内訳 A 二一三、 B 九七)が寄せられた。これは前記の四分野 において最も多く、生産面での日系企業の 優位性を示す結果となっている。生産面の 回答を管理、品質管理、技術・生産効率、 生産計画、仕事環境・生産設備、仕事量・ 仕事取組、規律・制度の七項目に分ける と、その内訳は第 3 表 に 一 不 さ れ る 。 管理の厳しさ、在庫管理、先端的管理方 法などコスト重視などの管理システム、品 質管理など生産管理面での日系企業の優れ ていると評価するものが全体の回答総数の 五 九 % を 占 め た 。 ついで生産技術、高い効 率や生産計画などの優位性を挙げるものが ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 約三割あった。作業環境、作業量、制度の 構成比(%) 40 19 16 13 +i 一 η J 句1qd 月 i - 一 ロ 一 一 日 一 虫 U 4 A つ a ヮ “ 第3表 生 産 箇 の 内 訳 A宇土 Bグループ 53 22 21 13 0 9 2 4 Q U 1 1 1 i ' I 主要4項目 管 理 品質管理 技術・生産効率 生産計画 小 計 _L. ノ、 88% その他の項目 [A: 4、 B : 22] :作業環境・生産設備 (6%)、作業量・仕事取 組 (3%)、規律・制度 (3%)。回答数合計 210(100 %) (A : 113、 B : 97)。 184 75 109

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︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 優れているとする指摘は

B

グループが

A

社よりはるかに多い。 ( 、、,〆 人事・労務 人事・労務面では、回答数一三七 ( A 二 ハ 二 、 管理・管理システムにおける優位性をほぼ四 割が認め、人事配置・採用方針の面で優れて いるとするものが二割を上回り、両者で六割 を超えた ( 第 4 表 ) 0 人事管理・管理システムは、人事管理が厳 しく、業績を重視した人事評価システム、公 正公平な賞罰制度であると回答しており、杜 員サービスがいい、などが評価されている。 人事配置も専門性や作業効率を考慮した、 職責を明確にした合理的な人員配置が行われ ているなどの点を挙げている c な お 、 部 みられる批判として、優れている点はない、 個人能力の向上が評価されない、がそれぞれ 二点あり、そのほかトレーニングが不足、 訓練が多い、競争がない、疲れるなどの批判 が全体の七%ほど挙げられている。 ( ー ) 経 '営 日系企業の経営分野では、合計一O二の回 B 一七五)のうち、人事 構成比(%) 39 23 17 計 A 川 2 1 i A 生 5 3 2 人事・労務面の内訳 Bグループ 戸 川 U ﹁ 、 U 円 〆 “ ヮ “ 1 i ヮ “ 第 4表 A Qun り ︾ J つ 臼 1igFh 主要3項目 管理・管理システム 人事配置・採用方針 規則・制度 小言十 79% その他の項目 [A: 15、B : 13] :待遇 (10%)、計画 (4%)、批判 (7%)。回答数 合計137 (A : 62、B : 75) (100%)

109 62 47 答(内訳

A

一 四 七 、 B 一五五)があった 5 表 ) 。 これを経営管理、経営方針・戦略、計画実 施、制度・規則、作業量、批判の六分野に分 けると、経営管理の面で優れているという回 答が全体の六O%に達した。これに経営方 針・戦略合二%)を加えると八割になる。 優れた経営管理とは、ここでは厳しい管理、 市 場 調 査 、 コストなど各種デ

l

タや指標に基 づいた合理的経営や管理法などをきしてい る。経営方針・戦略とは、日系企業が柔軟で かつ積極的な各種の市場重視、顧客対策、製 品対策を実施していることを挙げている。な ぉ 、

B

グループからは批判(六)として、日 系企業には優れている点はゼロ(三)、一本調 子である、中国側のメリットよりも日本側の メリットを重視している、政策の実施過程が 公開されない、などが寄せられている。 ( 四 ) 教育・訓練 教育・訓練では、回答数一O六 ( A 一 五 二 、 二六四 第 構成比(%) 60 21 81% その他の項目 [A: 7、B : 12]・計画実施・達成 (8%)、制度・規則 (4%)、 仕事取組・作業量 (1%)、 批判 (6%)。回答数合計102 (A : 47、B : 55) (100%)。 計 61 22 83 43 40 B 一 五 四 ) のうち、教育訓 練体制・実施分野において優れていると回答するものが七五%(八O)と 第5表 経 営 の 内 訳 Bグループ 34 9 A 27 13 圧倒的に多い。日系企業は科学的で的確な訓練、現場の教育訓練、計画的 主要2項目 経営管理 経営方針・戦略 小 計

(14)

訓練など全面的で実用的かつ専門的な訓練を重 視し、細部にわたり計画的に実施していること を従業員が評価している。A社に対しては﹁訓 練が有用性に欠ける﹂という批判が一つ挙げら れ て い る が 、 B グループでは、計六つの批判、 すなわち﹁訓練回数と量の不足﹂(四)、﹁先生が いなくても自分でできる﹂、﹁訓練効果の成果が な い ﹂ などが投げかけられている。 一.経営に関する総合的評価 A 杜 、 B グループの従業員が所属する日系企 業を全体的にいかに評価しているかについて は、半数近く(四八%) がいいと肯定的に評価 しており、悪い、非常によくないとする否定的 な評価は一割に満たない。 アンケート結果によ れば、五段階評価

(

a

一 非 常 に い い 、

b

一 い い 、 C 一 普 通 、

d

一 よ く な い 、 巴 一 悪 い ) で み る と 、 (いい)がもっとも多く四七%、(非常にいい) の一%を加えると積極的に高い評価をするもの が四八%であった。これに対して ( 悪 い ( 四 % ) 、 価しない回答が七%あり、残る四五%は ( 普 通 ) B を比較すると、﹁いい﹂とする評価はA杜に多く、六割近くあるが、 は四割(非常にいい ( 四 % ) の 含 む ) であった。ただ、 ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 構成比(%) 計 教育・訓練面の内訳 Bグループ 第6表 A社 主要2項目 教育訓練体制・実施 目的・方針 小 計 F U A 斗 τ ウ t 1 1 80 15 37 9 43 6 89 その他の項目 [A: 3、B : 8] :訓練の評価 (4%)、批判 (7%)。回答数合計 106 (A : 52、B : 54) (100%)。 95 46 49 よ く な い ( 一 二 % ) ) と 評 であるとしているoA、 B に B には良くも悪く もない ﹁普通﹂と評価する回答が六割近く、﹁よくな い ﹂ 、 ﹁ 亜 品 い ﹂ の比率もAよりやや低い。 A社の高い評 価は近代的な輸送機械メーカーである同社の高い技 術、経営、管理法が評価されているものとみることが で き よ う 。 一 方 B グループには四つの異なる業種から なり、労働集約的な生産方法を採用する企業も含まれ ていることがこのような評価となっている一要因と思 われる ( 第 7 表 ) 0 四.現地企業との相違点一従業員の指摘 日系企業が中国企業に比較して最も異なっている点 として、合計二

O

五の回答(一人当たり三点まで記入、 無回答のもの含む) が寄せられた。このなかでコスト 管理、目標管理、組織的で厳しい管理など先進的で科 学的な手法、効率的経営を採用した経営・管理である として評価する回答が最も多く、四二%を占めた。と くにA社ではこれが六割近くになる。 ついで残業が多 ぃ、仕事量の多さ、作業圧力が大きいなど労働・作業 の負荷の重さに含められるものが多い(二二%)o経営 の計画性(七%)とは計画的に実行する経営を指して e 悪い。 5 %=100% 2 %=100% 4 %=100% 第7表 総合的評価:回答数合計111 (A : 58、Bグループ:53) a:非常にいい、 b:いい、 c 普通、 d :よくない 0 %、 57%、 34%、 4 %、 4 % 36% 56% 2 % 1 % 47% 45% 3 % [A] [B] 全体 いるが、これを経営・管理に含めると、管理体制が全体の五割近くを占め る。このほかには企業文化・価値観(七%)、 制度・規定(六%)、労働倫 理(六%)などの相違が比較的多く挙げられている。文化・価値観の違い 二六五

(15)

として日系企業の集団意識、組織への従 ︿ 報 告 ﹀ 平 成 一 七 年 度 ﹁ 中 国 華 中 地 域 の 日 中 合 弁 企 業 に お け る 文 化 摩 擦 と 丈 化 的 背 景 に 関 す る 研 究 ﹂ プ ロ ジ ェ ク ト の向上﹂を挙げている。 順、真面目な態度など、労働・倫理として 日系企業の仕事への忠誠心、責任感、協力 精神などの相違をあげている ( 第 8表 ) 0 五.日系企業の改善すべき点::: 従業員の要望 以下は日中合弁企業の従業員が経営側に 対して要望する改善すべき点、ないしは課 題を、①生産面、②人事・労務面、③経営 面 、 ④ 教 育 訓 練 面 、 の四つの分野にわけで まとめてみたものである。各分野の回答は 相互に重複すると思われるところが少なく ないが、ここではアンケート結果に基づい て 分 類 し て み た 。 ①生産面 生産面においては、回答数計一一一七 ( A 一 五 二 、 構成比(%) 42 13 55% 第8表 日中企業聞の相異 Bグループ 計 87 27 36 21 A 51 6 104 その他の項目 [A: 38、 B : 53J:計画性 (7%)、文化・価値観 (7%)、制 度・規定 (6%)、労働倫理 (6%)、経営理念 (4%)、人間関係 (3%)、 設備・仕事環境 (2%)、教育訓練 (2%)、評価 (6%)。回答合計 205

(A :

95、

B:

110) (100 %)。 主 要2項目 経営・管理 労働・作業 小 計 B 一 七 五 ) 57 57 産管理に関するものが約四割を占める(第 9 表)。特徴として、日系企業の のうち、生 優れた点である管理の厳しさ、合理的な経営管理のやり方を﹁より柔軟に し て 欲 し い ﹂ 、 ﹁ コ ス ト 重 視 を 改 め る ﹂ 、 ﹁ 中 国 の 現 状 に 合 わ せ る ﹂ 、 な ど の 要 を求めるものもある。生産設備士二%) 求が目立っている。このほか﹁管理概念の共有﹂、﹁技術移転﹂などの改善 の 要 求 で は ﹁ 設 備 の 更 新 ﹂ 、 ﹁ 質 職場環境(一一%) で は 安 全 と 保 険 、 仕事環境の改善、仕事圧力の調整が要求 されている。企業文化・理念(一O%) と し て は 、 ﹁ 人 を も っ て 本 と し ﹂ 、 ﹁ 人 間 本 位の﹂、﹁ゆったりとした雰囲気気が望ま しい﹂などという要望があげられてい る。人事管理(九%)、待遇・給与(六 %)、制度・規定(五%)、生産計画(四 % ) 、 教 育 ・ 訓 練 ( 一 二 % ) は 他の項目 でもふれており省略する。 ②人事・労務 人事・労務の分野では、回答数九七

(

A

一 四 七 、

B

一五O)のうち、人事・管 理と給与制度における改善要求がそれぞ れ三二%会二一)と最も多い。前者は﹁管 理職の削減﹂や﹁仕事の圧力を減じて﹂ 一 一 ム ハ ム ハ 構成比(%) 39 12 11 10 72% ふ l 一 ハ リ ﹁ D A 吐 η J 一 言 目 -F I D -ょ 1 i 4 i 生産面の改善点 Bグループ 4 A

7 A リハリ ワ μ , t 也 1 i 1 i 制度・ 回答合 92 その他の項目 [A: 13、 B : 22J:人事管理 (9%)、給与・待遇 (6%)、 規定 (5%)、生産計画 (4%)、教育・訓練 (3%)、その他 (1%)。 計 127 (A : 52、B : 75) (100 %)。 第9表 A社 お 6 4 3 53 39 ﹁ も っ と 社 員 へ の 思 い や り ﹂ 、 ﹁ 中 国 人 を 信 用 ﹂ し て 、 ﹁ 現 地 事 情 を 考 慮 ﹂ し 、 主要4項目 生産管理 生産設備 職場環境 企業文化・理念 小 計 ﹁人事管理者の資質向上﹂を求めている。後者では給与引き上げ、日中間の 給与格差是正など給与制度の改革の声が強い。そのほかに採用方式(一二 どにおける改善要求が出されている % ) 、 福 利 ・ 厚 生 制 度 ( 一 O % ) 、 業 績 評 価 ( 六 % ) 、 奨 励 シ ス テ ム ( 五 % ) な ( 第 叩 表 ) 0

(16)

③経営 経営における改善点としては、回答数合計五回 のうち、経営・管理(四二%)において最も多く、

(

A

一 一 一 一

O

、 ついで販売戦略(

B

一 二 四 ) %)の分野であり、両者で全体の四分の三に達する(第日表)。前者では柔 軟性のある経営、機動的な経営、 、備等が要求されて い る 。 後 者 の 販 売戦略では顧客重 視、現地の市場調 査、市場対応の迅 速化、販売ル

1

ト の拡大・強化、 サービス改善、宣 伝強化などを求め ている。経営理念 ( 一 九 % ) で は 、 公 開 ・ 公 平 ・ 民 主 化、人間性重視の 企業文化、経営理 念の更新などが要 請されている。ほ かに能力養成、能 力主義を求める人 データ化、集中的な管理、監督体制の整 構成比(%) 32 32 12 10 人事・労務の改善点 Bグループ 言十 1 i 1 i 1 よ 凡 リ 丹 、 U 守 U 1 i 1 i ハ υ a 斗 品 。 凸 R U -1 i 86% その他の項目 [A: 1、 B : 13J :業績評価 (6%)、奨励システム (5%)、転職 (2 %)、その他 (1%)。回答合計 97 (A : 47、 B : 50) (100 %)。 構成比(%) 42 33 第11表 経 営 の 改 善 点 Bグループ 計 23 18 11 8 Aネ士 12 10 75% その他の項目 [A: 8、B : 5 J :経営理念 (19%)、人事 (4%)、その他 (2 %)。回答合計 54 (A : 30、 B : 24) (100%)。 事(四%)面における改善要求があげられ て い る 。 ④教育・訓練 教 育 ・ 訓 練 に お い て は 、 回 答 数 八 八 ( A 一 四 三 、 B 一四五)のうち、訓練体制 実施に関する要求が他に比してはるかに多 く、全体の四三%を占めた。これには訓練 体制を整備し、計画的に定期的、多角的、 系統的な訓練を強化し、効率的に実施する など教育訓練体制と実施に関する要求事項 が多い。教育訓練内容(一八%)には内容 充実、専門知識、先進技術、新知識、業務 訓練などを求めており、訓練方針(一七%) として明確な方針、個人の成長の重視、人 材の国際化などが挙げられている ( 第 ロ 第10表 A社 ー i 月 i

z

-3

5

83 37 46 主要2項目 経営管理 販 売 戦 略 小 計 22 19 41 表 ) 0 六.待遇への満足度 A 社 、 教育・訓練の改善要望 Bグ ル ー プ 計 第12表 A社 構成比(%) 一 % q J 白 U ウ dnhu-A-A せ 1 i 1 i 1 1 一 QU 83 B : 2

J

:教育訓練評価 (6%)。回答合計88 (A : 43、 主要4項目 人事・管理 給与制度 採用方式 福利・厚生制度 小 計 O D C り ﹁ D 4 斗 T q d 司I 1 上 旬 1 凶 8 6 日 2 8 9 1 主要4項目 訓練体制・実施 教育訓練の内零 教育訓練方針 教育計画 小 計 40 43 その他の項目 [A: 3、 B : 45) (100%)0 B グループの従業員が、現在の待遇にどの程度満足しているか、 尋 ね て み る と 、 A 、

B

ともに約三分の二の(六五%)が﹁満足していない﹂ 結果となった。一応現状に満足しているものがおよそ一一一分の一の(三五%) ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト (内訳はやや満足が三二%、満足が三%)となっている。全般的に日系企業 二 六 七

(17)

の経営管理を高く評価していると ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 二 六 八 はいえ、結果は必ずしも従業員の 満足するところとはなっていない ことを示している ( 第 四 表 ) 0 七.職場規律::: 従業員の受け止め方 従業員が職場規律をどのように 受け止めているか、調査結果を四 段階(非常に厳しい、厳しい、普 通、厳しくない)に分けると﹁厳 しい﹂が五 O 、﹁普通﹂が四四%、 ﹁厳しくない﹂五%である。これま でのアンケート結果をみると、管 理の厳しさ、柔軟性の欠如、大き い仕事圧力などに対して不満の声 が少なくなかったことから、四割 強が職場規律を﹁普通﹂と回答し たことはやや意外であった。職場 の規律そのものは現地従業員には 第13表 待 遇 の 満 足 度 :C回収回答数;A : 58、 B : 55、計 113回答〕 満足している、 やや満足、 満足していない、 2 % 34% 64% 6 % 29% 65% 32% 65% (= 100%) [A] [B] 総計 B : 58、計 118J 厳しくない 2 % 9 % 5.2% (= 100%) 3 % 第14表 職 場 規 律 の 厳 し さ ・ 〔 回 答 数 ;

A :

60、 非常に厳しい、 厳しい、 普通、 2 % 61% 35% 0 3 8 % 53% 50% 44% 11 ﹃ ! J 一 ふ l A B 一 樹 それほど厳しいと感じられないようだ。ただ A 社では六割強が厳しいと答 ( 第 日 表 ) 0 えており、 B グループの一二八%を大きく上回っている 0.8 参考文献 今井理之﹁対中投資一投資環境と合弁企業ケ l ス・スタディ﹂日本貿易振興会 一 九 九 五 年 上田邦雄、多国籍企業研究グループ編﹁巨大化する中国経済と日系ハイブリツ ド工場﹂実業之日本社二 O O 五 年 岡本康雄編﹁日系企業 m 東アジア﹂有斐閣一九九八年 梶田幸雄、園田茂人﹁中国投資はなぜ失敗するか﹂亜紀書一房一九九六年 唱新﹁中国型経済システム﹂世界思想社二 O O 五 年 商事法務研究会編﹁最新日中合弁企業﹂(社)商事法務研究会発行平成三年 ジェトロ(日本貿易振興機構)編﹁中国市場に挑む日系企業﹂ジェトロ二 O 。 四 年 同 ,

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印 温 N C 中 谷 武 雄・後藤和子監訳﹁文化経済学入門﹂日本経済新聞社二 O O 二 年 関志雄﹁共存共栄の日中経済﹂東洋経済新報社、二 O O 五年、二一世紀中国 総研編﹁中国進出企業一覧(上場会社篇ご二 O O 五 二 O O 六年版﹂蒼蒼 社 、 二 O O 五 年 塚田広人編﹁一雇用構造の変化と政労使の課題﹂成文堂、二 O O 五 年 二一世紀中国総研編﹁中国進出企業一覧一上場会社篇﹂蒼蒼社二 O O 五年六 月 日中経済協会編﹁対中ビジネスの経営戦略中堅・中小企業への提言﹂蒼蒼社、 二 O O 三 年 日中投資促進機構、投資機構ニュース[別冊]三四﹁第六次日系企業アン ケ 1 ト調査集計・分析結果﹂日中投資促進機構二 000 年三月 日中投資促進機構、投資機構ニュース[別冊]一一一八﹁第七次日系企業アン ケ 1 ト調査集計・分析結果﹂日中投資促進機構二 O O 二 年 一 O 月 日本貿易振興機構海外調査部七 O H 一 O 七 B A ﹁中国進出日系企業の中国 人材活用と人事戦略﹂二 O O 五 年 長谷川慶太郎﹁中国反日の末路﹂東洋経済新報社二 O O 五 年 林燕平﹁中国の地域間所得格差﹂日本経済評論社二 O O 五 年 、 古沢昌之﹁中国における N 能力主義・成果主義 u 人事の進展その実態と日系 企業の課題

l

﹂ 関 西 学 院 商 学 第 四 八 号 二 O O 一 年 一 一 一 月

(18)

﹁在中国日系企業における人的資源管理の変革﹂大阪商業大学論集 第 二 一 七 号 二

OO

三年一月 丸山知雄﹁労働市場の地殻変動﹂現代中国経済シリーズ三、名古屋大学出版会 二

O

O

二 年 南亮進、牧野文夫編﹁中国経済入門﹂日本評論社二

OO

五 年 安室憲一、(財)関西生産性本部、日中経済貿易センター・連合大阪編﹁中国 の労使関係と現地経営│共生の人事労務施策を求めて│﹂白桃書房一九 九九年 ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 二 六 九

(19)

︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と丈化的背景に関する研究﹂プロジェクト 中日合弁企業における若者の人材流出・流動の 現状に関する調査と分析 て現状・問題の所在 華中科技大学 秋 王 華 中国の合弁企業は、中国改革解放の産物の一つである。近年来、中国経 済発展に伴って、日本の投資企業や多くのメーカーが次々と中国市場に進 1999年某日中合弁企業の転職情況調査 転職人数 転職率(%) 25歳以下 16 23.53 年 齢 25~35歳 45 66.18 35~45歳 7 10.29 6ヶ月未満 20 28 勤務時間 6 ヶ月 ~2 年 34 49.53 2 年 ~4 年 15 22.06 4年以上 l 1.47 」 一 一 一 表1 出した。中国と日本との共同出資で設 立され、共同で経営される会社は日本 在中企業の七O%を占めている。そし て多くの若者から注目されてきた。そ れらの中日合弁企業は、日本の先進的 な技術(ハイテク)ばかりでなく、日 本企業の経営理念と文化意識をもたら した。調査によると、合弁企業の従業 員は学歴が高くインテリが多い。そし て主に若者が中心である。彼らは知識 欲や創造力が高く企業の中堅を占めて いる。合弁企業独特の人事管理と一雇用 制度は、数多くの優れた人材を引き寄 せている。しかし日中合弁企業は、数 2 年来若者の転職率が急速に高くなり、人々の注目を集めている。(表 1 、 表 七

2

は、二OO五年華中科技大学、武漢大学、華中師範大学、湖北大学 率)についての調査である。 の外国語学部日本語学科卒業生の中日合弁企業への就職率と流出率(流動 その会社の平均年齢が二九歳で、その中に、年 表ーによると、勤務員の辞職年齢は若ければ若いほど流出率が大きい。 齢別では二五歳以下は一六人で二五・五三%。 二五歳から

1

一 二 五 歳 は 四 五 人 で 六 六 ・ 一 八 % 。 二 五 歳 か ら

1

三 五 歳 は 七 人 、 一

0

・二九%。三 五歳以下は辞職人数が八九・五一%になって、 圧倒的に多いことが分かる。 表 2 により、卒業生の四O%以上は日中合弁 企業に就職している。半年も経過し、ない内に、 転職した者もいる。勤務一年以内で、転職した 者 が 九 九 級 ( 年 ) 、

00

級で、それぞれ四O%と 五五%。九九級は二年以内で三O%、

00

級は まだ二年間にならないので、結果は判明してい ない。ある学校では、二年以内に職業を変更し ない者がたつた二人しかいない。話によると、 もっとよい勤め先を見付けられなかったのだそ うである。九九級、

00

級では一年以内で二回 や三回転職した者もいる。 就職率と流出率(流動率)についての調査結果表 学級(年) 合弁f企業 転 職 率 % 総人数 就職率

(

%

)

6ヶ月未満 一年以内 二年以内 99級 76 40 19 40 30 00級 107 45 21 55 01級 116 40 表2

(20)

転職しようと思ったきっかけについての調査(複数回答) 「給与、報酬、福祉など」待遇への不満 45.5% 会社や業界の将来に不安を感じた 41% 仕事にやりがいを感じなかった 40% キャリアアップの一環として力を付けたかった一一35% 自分に合った仕事を見つけた 30% 「人間尊重など」平等への期待 29.5% 昇進の可能性が薄い 28% 残業に不満がある 23.5% 習慣やその他 16.5% 表 1 の勤務期聞から見て、半年になら ない者が二七・九四%いる。半年から 年にかけて、仕事を辞めるのがトップで 四人・五一二%だった。二年から j 四年間 働いて転職したのも少なくなく、約 二 ・

O

六%だった。四年間以上働いたの が一人しかいなかった、わずかに一・四 七 % で あ る 。 表 1 と表 2 とでは、勤務二年間以内が 転職の頻繁期だと分かった。頻繁な離職 と転職は、企業の従業員たちの安定に影 響を与え、その企業にとって向上心があ るかどうかが問われている。 転職しようと思ったきっかけについ て、中日合弁企業で働いている一六

O

人 表 3 表 3 のアンケートの結果から見ると、転職を希望する理由は、高い順に にアンケートした。 ﹁待遇への不満﹂、﹁行き先不安﹂、キャリアアップや個性の実現などとなっ て い る 。 二、現状の問題点に関する理由についての分析 日中合弁企業の若い人材の流出率(流動率)が高いということは、否定 できない事実である。この現状の問題点の原因と理由について、以下の通 り で あ る 。 ー、社会環境素因 市場経済に入って、中国人事管理制度は著しく変化した。﹁鉄飯碗が打ち 破られ﹂、企業は需要により、人材を選択し、個人は自分の趣味や愛好によ り、職業を選ぶようになっている。いわゆる、職業選択の自由である。と くに若年層ほど、自分の﹁やりたい仕事﹂を重視する傾向がある。自分の 将来の進路を、発展性のある企業と結びつけるという傾向性は希薄であ る。もっともよいチャンス、もっとも高い報酬、もっとも多くのチャレン ジと最善の昇進などは、企業内部から提供するのではなくて、むしろ転職 によって得られるものだと信じられている。そして、転職することは ノーハウの蓄積やスキルを磨くチャンスと思われている。転職ということ (2005年『職業』雑誌による中国大学 生を対象にした職業意識の調査) 半年 豊富一年 ~二年 盟三年以上 図 そ の 他 卒業何年後転職するの 国1 ︿ 報 告 ﹀ 平 成 一 七 年 度 ﹁ 中 国 華 中 地 域 の 日 中 合 弁 企 業 に お け る 文 化 摩 擦 と 文 化 的 背 景 に 関 す る 研 究 ﹂ プ ロ ジ ェ ク ト が、社会の発展と有能なキャリア の表現であるとも認められつつあ る 一方、従来の多くの固有企業と 外資企業は、困窮し先行き不透明 になっている。旧来奮闘発展して いた企業は、今では生き残りにし のぎを削り、﹁倒産﹂や﹁リスト ラ﹂といった言葉も飛び交ってい る。厳しい時代に直面して、企業 への不信と前途への不安は、職業 七

(21)

︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト を変える原因にもなっているのではないかと思われている。 図 1 で示されたとおり、日系企業のみならず、固有企業やほかの外資企 業もこれから転職ブ

I

ムを迎える。そして、二

OO

四年上海労働と社会保 障局における大学生卒業就職の調査によると、九五%以上の新規卒業生は 若者の転職についての調査(複数回答) 表 4 就職一年の後に転職するつもりがあると回答しているので ある。実際に全体(全国)から見ると、卒業したあと半年 以内の転職率が二三%で、 一年のうちに三、四回転職した 者がめずらしくない。二

OO

五年七月の中国青年報による と、大学生卒業して一年から三年にかけての転職率は七

O

%を超えている。この超頻繁な転職現象は、各方面から注 目を引いた。北京大学の教授、学者らは﹁走馬灯のように 仕事をかえては、個人にも企業にも不利だ﹂と指摘した。 中国人民大学の人事学院の教授は﹁転職にも度合い﹂とア

1

ルした。筆者は若者の転職について、学校の教師や会 社員などを五

OO

人調査対象にしてアンケートを行った。 表 4 の調査によって、﹁転職がよくない﹂と﹁転職はやむ を得ず﹂という転職否定観が絶対多数を占め、﹁転職をしょ うとしたら早いほど﹂と思う者が圧倒的であることがわ か っ た 。 ﹁人間は誰でも高い所を目指す﹂というのは、いつわざる 要求である。しかし伝統的な安穏追求意識や、国際的な就 職難をかかえている現状で、こうした合弁企業などの超高 転職率の裏には、それなりの問題点が存在しているのであ 二 七 二 る

2

、合弁企業内部の素因 ( 1 ) 帰属感が希薄 合弁企業内部の労使関係は、雇一用と被雇用という契約関係である。定年 までの長期雇用が承諾されないと、従業員がその一つの企業に対する忠誠 心と犠牲を払ってまで専念する心がなくなるのは当然である。個人の競争 力を高めるために、企業の将来に期待するよりも、その企業が自分の発展 にどれぐらいの空間を提供してくれるかということについて強い関心を もっているのである。 調査によって、合弁企業の高級管理スタッフは普通投資側が派遣するの で、企業内部の現地従業員の昇進の機会がごく少ない。中間管理職まで昇 進のチャンスないし、若年層が昇進する可能性もなくなる。それに、﹁日本 人は、しばしば合弁企業を独立法人と考えず、本邦法人の一工場と位置付 けている﹂、﹁日本本社は、中国人を信用せず、派遣された日本人のいうこ としか聞かない﹂、﹁日本人は倣慢で保守的で、中国に輸出してくれた設備 や製品や技術がほとんど同国の二流や三流となっている旧式のものばかり だ﹂などという文句がある。それで、 ノーハウ蓄積という目的で合弁企業 で働きながら、我慢して転職のチャンスを待っている人が数多くいる。 仕事の内容は、転職と直接な関係がある。単純労働、重複や無味乾燥な 仕事は人を引きつけられない。能力が十分に発揮できないという理由でや める人もいる。ある会社の調査では、単調な仕事は無味で仕事内容への不 満 を 漏 ら し て 、 離 職 し た 人 も 一 一 一 分 の 一 い る 。

(22)

( 2 ) 待遇への不満 ﹁給与が高い﹂、﹁磨く機会が多い﹂、﹁挑戦が強い﹂等は、多くの人が合弁 企業を選んだ理由である。とくに、給与が高いというのは、多くの人が合 弁企業を選択する最大の理由である。合弁企業では、投資双方が利益優先 である。企業の従業員は、もちろん個人の利益(賃金)を第一に置くので ある。合弁企業の年金、医療、保険などの制度がまだ完備していないので、 企業の給与所得が生活に満足できないと、従業員は後顧の憂いなく働くこ とができない。気に入った仕事であっても、生活のために辞めるのも止む を得ないことである。表 3 の転職しようと思ったきっかけについての調査 では、トップになっているのが報酬上の問題である。 人間は何事もお金のため、お金に目がくらむというわけではない。個性 が大切な時代では、給与が生活のためだけではなく、給与の高さを自己実 現の指標としている傾向もある。いまの若者はお金が実力であり、お金と 実力が同価であると信じている。企業が新人募集の場合、給料はよく聞か れる最多問題である。卒業生は、給料の額の多少をもって会社選択の標準 にしている。何事も金づくめ、金銭の多少を唯一の条件として物事を判断 しようとすることはいいことではない。しかし、おのおのが最善を尽くし、 労働の量や質に応じて報酬を取るという賃金支払の原則を堅持し、生活福 祉を改善することによって、従業員の勤務への意欲を高めることは大切で は な い だ ろ 、 っ か 。

3

、職業意識の変化 中国大学の進路指導の原則は、﹁先就虫,再拝並(先ずは就職、それから は選業とである。学校を卒業したところで、大学生は気に入った仕事を見 付けようと思ってもなかなか見つからない。しかし、生活のために就職し なければならないのである。働いているうちに、好きな仕事にめぐりあっ て、転職するのはごく当然のことである。 多くの企業は、人力や財力を出して人材を育成しようとはしない。しか も、直ぐに使えるキャリアアップの人材を採用しようとする。卒業したば かりの若者は、自分の未来に自信がもてないので、自己のキャリアアップ の 一 環 と し て 、 いつもいいチャンスや仕事をもらい、実力を付けたいと希 望している。その一環として、速く職業をかえることを繰り返すことに よ っ て 、 つまり転職の繰り返しによって自身の実力をつけようとしている の で あ る 。 いまでも、終身雇用制は日本企業の文化だと言う人がたくさんいる。市 場経済の初期の頃は、中国企業も﹁終身雇用制﹂であった。 一つの企業に 尽くすことは美徳とみなされ、会社を辞めることは裏切る行為と見なすよ うになった。しかし、この数年間、多くの企業は大量のリストラを余儀な くされている。失業者や一時休業がどんどん増えた。そこで、社員たちは ようやく﹁終身雇用制﹂は企業のためにあったことが分かった。企業のた めに働くのではなく、自分や家族のために働く感覚が今の若い人たちはも ちろん、中年の人たちにも広がっている。だから、 一つの会社にずっとい ることを前提とせず、もっと自分の生き方に合う企業、もっとやり甲斐の ある企業、もっと条件のよい企業に転職していくことは自然なこととして 受け取られている。 ﹁年功序列﹂は、日本企業の三大神器の一つであった。年齢や勤続年数の ︿報告﹀平成一七年度﹁中国華中地域の日中合弁企業における文化摩擦と文化的背景に関する研究﹂プロジェクト 七

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︿ 報 告 ﹀ 平 成 一 七 年 度 ﹁ 中 国 華 中 地 域 の 日 中 合 弁 企 業 に お け る 文 化 摩 擦 と 文 化 的 背 景 に 関 す る 研 究 ﹂ プ ロ ジ ェ ク ト 多少によって、地位の上下をつけるという伝統的な日本賃金体系は、中国 固有企業の﹁大鍋飯﹂に戻っていたような気がする。中日合弁企業の労働 人事制度は、欧米企業の成果主義導入で競争のメカニズムが特色である。 日本型の年功制と欧米型の成果主義を折衷した合弁企業の管理制度は、確 かに社員の勤務の積極性を高める。しかし、自分の評価を知られるのが嫌 と思う人もいる。また、成果主義の評価のせいで、同僚同士で疑心暗鬼を 生じ、職場環境について腹を割って語り合う雰囲気がなくなってしまい、 人間関係が難しくなっている。それに悩まれて、やむを得ず転職するわけ で あ る 。 4 、家族の意識の遣い 中国人の﹁家﹂は、血縁関係でつながっている血縁集団であると思われ ている。中国人は家本位で、人間関係を次の三種に品分けている。

A

.

情感関係。﹁家﹂内の人間関係。つまり、夫婦配偶関係や親子、兄弟 などの血縁関係によってむすばれた親族関係。この人間関係では、お のおのできるだけのことをして家庭と自分との需給を満足させる。 ﹁ 需 給 法 則 ﹂ を 採 用 す る 。

B

.

混合関係。﹁家﹂以外の人間関係。親戚や友達などによって成り立つ ている社会交際。義理にからんだ関係で、交互性がある。例えば・・人 から援助や利益をうけたら相応のものを返す、﹁人情法則﹂を採用す る

c .

道具関係。本人と何の社会関係がないという人間関係。この関係は 何かの目的を達成するために設けた社会交易手段である。﹁公平法則﹂ 二 七 四 を 採 用 す る 。

A

B

C

この三種類の人間関係は実は、相互交差なのである。そして、 内外は別で、親疎の序がある。 合弁企業の従業員の場合、企業との関係は雇用と被雇用との関係であ る。法律から、労働契約関係と見られる。中国では

C

という関係に属する。 つまり、使用者と被使用者の関係になっている。社会交易は﹁公平法則﹂ で扱う、企業は被使用者の﹁家﹂ではない。被使用者の働く目的は﹁家﹂ を維持する経済収入である。だから、合弁企業では、給付される報酬に よって、労働態度と尽力程度を決める中国人の従業員が多い。もし、合弁 企業の待遇が低ければ、別に気に入ったチャンスがあったら離職や転職す る わ け で あ る 。 日本人の﹁家﹂は、﹁家は元来ごく近い親族を中心として成り立っている が、遠い親族や親族ではないもの、例えば中心となっている親族関係の集 固と一緒に住み、社会的にも経済的にも生活を共にしているような雇い人 も含んでいる﹂つまり、﹁家は共同体的な集団である。家の構成は血のつな がりがあるかどうかは問題にしない、非親族でも経済的に貢献してくれた ら、家の成員と見なされるのである。﹂(ハルミ、ベフ著、栗田靖之訳一九 七七年﹁日本﹂教養文庫)﹁日本語の親と子は語源的には労働集団のリ

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ダ とそのメンバーを意味していたということである。﹂(柳田国男)このよう な関係の延長は、現代日本企業の経営方式になっている。企業の労使関係 は、既成の親族制度を採用し、従業員は一体となって働く。その共同体的 な﹁家﹂のために一生を捧げる日本人が多い。日本人は﹁大家﹂を重視、 ﹁小家﹂を軽視すると思われている。

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