216 (47) 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ヨシ ヒラ トモ ァキ善平朝昭(昭和
博士(医学) 二二1294号平成4年7月17日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
9,933人の初診糖尿病患者の臨床像より解析した日本人糖尿病の特徴 (主査)教授 大森 安恵 (副査)教授 細田 瑳一,相川 英三論 文 内 容 の 要 旨
目的 最近成人失明の原因の第1位が糖尿病網膜症であ り,血液透析導入患老の原疾患の第2位が末期糖尿病 腎症である.この重大な社会問題としてクローズアッ プされている糖尿病の実態に関する報告は少ない. WHOの勧告に従って糖尿病の病型分類を行い,糖尿 病合併症の出現率と進展の実態を調査し,日本人糖尿 病の特徴を明らかにすることを目的とした. 対象および方法 1976~1985年の10年間に東京女子医科大学糖尿病セ ンター外来を初診した糖尿病患者9,933人を対象とし た.男性5,941人,女性3,992人で,年齢は,男性2~89 歳(52.2±13.0歳,M±SD),女性8~88歳(54.1±14.1 歳)であった.各年度の初診患者について,糖尿病の 発症様式とその年齢,肥満歴,家族歴,合併疾患など について調査し,耐糖能と内因性インスリン分泌を糖 負荷試験により評価した.これらの結果から1985年のWHOの勧告に基づいてインスリン依存型糖尿病
(IDDM)と,インスリン非依存型糖尿病(NIDDM) に分類した.また,糖尿病の三大合併症である網膜症, 腎症,神経障害の有無を調査し,その頻度を病型別, 発見年齢別,罹病期間別に検索した. 結果 1)初診の糖尿病患者9,933人のうち,IDDMは325 人(3.3%),NIDDMは9,384人(94.5%),分類不能 は224人(2.2%)であった.10歳未満発見の糖尿病患 者はすべてIDDMで, NIDDMは皆無であった.しかし,15歳以上になるとNIDDMの比率がIDDMを上
回り,30歳未満発見の糖尿病患者はNIDDMが過半数 を占めることが明らかになった. 2)糖尿病網膜症の頻度は,IDDMでは罹病期間の 延長にともない急増したが,NIDDMではその増加は 緩やかであった.蛋白尿および網膜症・蛋白尿・神経 障害をすべて有するもの(triopathy)1の頻度について も同様の傾向を示した. 3)NIDDMにおいて,糖尿病発見年齢が低い群ほど 罹病期間の延長にともなう糖尿病網膜症の頻度の増加 は急激であったが,高齢者は緩やかであった.増殖網 膜症,蛋白尿,triopathyについても同様の傾向を示し た. 考案 初診糖尿病患者9,933人の膨大な資料をもとに解析 することによって,わが国では若年発見糖尿病患者におけるNIDDMの占める割合が欧米の報告と異なり
高いことが判明した.その差異をもたらす成因は明ら かではないが,人種差によることが示唆された.また, 糖尿病合併症の進展には,病型・発見年齢が深く関係 しているものと考えられた. 結語 わが国における糖尿病の特徴として,30歳未満発見の糖尿病は,IDDMよりNIDDMが多いことが認めら
れた.一方,NIDDMにおける糖尿病合併症の進展は IDDMよりも緩やかで,若年発見者と高齢発見者を比 較すると,前者でより急激な進展経過をとることが明 らかになった.この点も欧米にはみられず,わが国り 糖尿病の特徴であることが認められた. 一850一217