174 氏名(生年月B) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(26) タテ イシ キ ミ コ立石紀美子(昭和2
博士(医学) 乙第1273号平成4年5月15日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
脳血管障害患者における起立負荷指先容積脈波の検討 (主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 橋本 葉子,相川 英三論 文 内 容 の 要 旨
目的 起立性低血圧は,脳血管障害(以下CVD)の経過中 にしばしば認められ,急性期には直接生命予後に,慢 性期にはリハビリテーションの経過やその後の生活に 多大な影響を与える重要な徴候である.本研究は, CVDにおける起立負荷試験時の心血管反応に注目し, 主に病巣の局在との関連について検討した. 方法 対象は慢性期CVD 21例と年齢をほぼ一致させた正 常対照16例である.起立負荷時に指先容積脈波,加速 度脈波,心電図を同時に,臥位および起立後30秒,1 分,3分,5分で記録した.判読は,切痕係数(dicrotic index以下DI, DI;切痕の波高/脈波波高)と心拍効果 (beat e旋ct以下BE, BE=脈波波高/4.0×心拍数)の 両者について行った.DIは主に交感神経による血管収 縮機能が反映される細動脈の反応性の指標であり,BE は交感神経系と副交感神経系と両機能により調節され る心拍出量の変動の指標である.起立後のDIとBE の変化について,Aおよびa:正常反応(増幅反応が速 やかで復元も良い),Bおよびb:移行型反応(一過性 低下反応後に回復),Cおよび。:異常反応(低下反応 が持続,回復に5分以上が必要)のそれぞれ3型に分 類し,両因子の組合せにより総合判定を行った.この 方法ならびに判定については立石により既に検討され 確立されている(東京女子医大誌59巻6号728-735頁 1989年). 加速度脈波は容積脈波を2回微分して得られるもの で,波形および波高の変化観察が容易である.加速度 脈波については波形と前期および後期主成分の波高を 中心として解析した. 結果及び考察 1)本法におけるA-a型は正常対照と頸動脈系特に 中大脳動脈領域の障害の全例で認められた. 2)推骨脳底動脈系に病巣を有する症例ではC型が 多く,特にC-c型は心血管反応不良型と考えられ,脳 幹障害を有する例に限られていた.即ちC型特にC-c 型を呈する場合は,延髄の循環中枢に影響を与える部 位の病変が推測された. 3)起立負荷時のDIは,中大脳動脈領域の障害例で は変化が軽微で血管の拡張不全が,一方,推骨脳底動 脈系の病変では変動が著明で血管の収縮不全が認めら れ,DIの変動は血管反応の直接的指標となることが確 認された. 4)起立負荷時の加速度脈波の波形変化は鮮明で循 環動態を反映して拡張,収縮状態を示し,前期主成分 の波高はBEと並行し,後期主成分の波高はDIと並 行して変化することが示された. 結論 起立負荷時の指先容積脈波および加速度脈波の解析 は,CVDにおける病巣の領域の推定を可能にし,その 際に出現する循環動態の特徴のある変化を把握する上 で有用な方法と考えられた. 一808一175