72 学 会 〔東女医大誌 第57巻 第9号頁1102∼1104昭和62年9月〕
東京女子医科大学学会 第271回例会
日時 昭和62年6月11日(木)午後1時30分より
会場 弥生記念講堂 1.厚切り切片における精子細胞立体構築 (第一解剖) ○飯島 治之・藤澤 敬子・串田つゆ香 われわれが開発した厚切り切片のための包埋法をマ ウス精巣組織に応用した.すなわち,1.0∼3.0μmの厚 切り切片を作製し,加速電圧200kVおよび400kVの透 過型電子顕微鏡により立体観察を試みた.なお,曲直 切片および準超薄切片との比較を行なった, 方法:成熟マウスの精巣に対し,2%オスミウム酸 で固定し,ブロック染色を施し,水溶性エポキシ樹脂Qvetol 651ERL 4206−NSA包埋法を行なった. 1.0∼3,0μmの厚切り切片を200kVおよび400kVに おいて傾斜角±10.で立体観察した. 結果:電子線に対して強い特性と透過性を有する包 埋剤を使った厚い切片は加速電圧200kVと400kVの 電顕において鮮明な像を観察できる,なお,その厚み 効果により,従来の方法では認め難かった多くの知見 を得ることができた.たとえぽ精子形成過程における ミトコンドリア鞘のラセソ構築は4個をもって軸系を 一周するラセソ軸上に配列する.このラセソ軸のなす 角度は約23.で始まり約18.まで変化して,さらに融合 してミトコンドリア鞘を形成する。 2.迷走神経求心性線維の刺激とその反応 (第一生理)○北野慎一郎 (麻酔学教室)角田 千治 中枢の呼吸リズム形成については未知のことが多 い.Richterらによれば呼息は1相とII相とに分けら れ,1相は呼吸リズム形成に重要な役割を果たしてい ると言われている.私達は迷走神経を刺激しその反応 を横隔神経上に観察し新しい知見を得た.10羽の兎を 麻酔後非動化し人工呼吸下に両側気胸・迷走神経離断 した.中枢の呼吸活動として横隔神経放電をモニター した.結果:呼息相前半の刺激は呼息の短縮と延長を 生じたが,変化の無いものもあった.呼息後半の刺激 では呼息→吸息の切換えによる呼息の短縮が見られ た,1羽では呼息前半よりこの切換えを認めた.考察: 迷走神経求心性線維には肺の伸展と刺激物受容器から の線維が含まれており,その刺激が前老は呼息の延長 を,後者は短縮を生じると言われている.今回の結果 はそれらの受容器を選択的に刺激できなかったためと 思われる.また,呼息の初期(1相)より呼息→吸息 の切換えが起こりうることが予想された.