206 (87) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ヤス イ キヨシ安井 清(昭和3
博士(医学) 乙第1433号平成6年2月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
フォンダン型手術前後の運動負荷に対する応答性一呼気ガス分析および嫌気
性代謝閾値を中心に一 (主査)教授 門間 和夫 (副査)教授 今井 康晴,村木 篁論 文 内 容 の 要 旨
目的 右心バイパス手術であり,特異な循環動態を有する フォンダン型手術症例の運動耐容能および運動時の換 気反応を評価するため,手術前後に経時的に心肺運動 負荷試験を施行し,嫌気性代謝閾値を中心にその応答 性を検討した. 対象および方法 フォンダン型手術を施行された14例を対象とし,手 術前,術後半年,術後1年において検討した.手術後 1年以上経過した15例では22例の正常対照群と比較検 討した.運動負荷は坐位自転車エルゴメータを用い, 毎分10wattの直線的漸増負荷にて呼気ガス分析を 行った.嫌気性代謝閾値はWassermanらの方法に従 い判定した. 結果 手術前より術後半年で嫌気性代謝閾値は14.3±2.9 から16.0±2.8ml/min/kgへ上昇(p〈0.01)した.術 後に酸素当量,分時換気量は低値となったが,呼吸数 に変化なく主に一回換気量の低下によるものであっ た.術後半年より術後1年の経過では,嫌気性代謝閾 値は変わらなかったが運動時の呼吸数の増加を認め, 嫌気性代謝閾値時の酸素当量は逆に高値となった. 術後1年以上経過したフォンダン症例の嫌気性代謝 閾値は男17.4±1.9,女16.4±1.5ml/min/kgであり, 正常対照群と比較してそれぞれ77%,79%であった. 最大酸素摂取量は男22.3±2.2,女21.3±1.5m1/min/ kgであり,それぞれ正常対照群の60%,68%と低値で あった.また,最高心拍数,最高収縮期血圧とも正常 対照群に比し低値であり,酸素当量は安静時,運動時 とも高値であった. 考察 フォンダン型手術にて嫌気性代謝閾値は約12%の増 加を認めたが,術後半年と術後1年の比較では嫌気性 代謝閾値は変わらなかった.また,術後1年以上経過 した症例の嫌気性代謝閾値にも大きな差を認めず, フォンダン症例では術後遠隔期には運動耐容能はそれ ほど改善しないものと考えられた. 術後半年と術後1年の比較において,運動時に呼吸 数,酸素当量の増加を認め換気反応は逆に低下した. 二酸化炭素当量も増加傾向にあり死腔換気量が増大し たことを示唆するものであった.フォンダン手術後は 還流圧が低圧のため肺血流のmaldistributionが存在 するが,今回の結果はこのmaldistributionが術後1 年目辺りから増悪することを示唆するものと考えられ た. 結論 フォンダン型手術後に嫌気性代謝閾値を指標とした 運動耐容能および酸素当量に代表される換気反応は改 善した.しかし術後半年より術後1年で酸素当量は上 昇し,生理学的死腔量の増大を示すものと考えられた. 一812一207