214 (94) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
トリカイ サヨリ
鳥飼抄順(昭和3
博士(医学) 乙第1258号平成4年2月21日
学位規則的4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Ki・67モノクローナル抗体を用いた皮膚上皮性腫瘍の免疫組織化学的検討 (主査)教授 肥田野 信 (副査)教授 小林 愼雄,橋本 葉子論・文内容の要旨
目的 各種腫瘍の増殖能を把握することは,その腫瘍の予 後の判定あるいは治療法を決定する上で重要である. そこで,1今回著者は増殖期細胞の核内抗原のみと反応 するとされるKi-67抗体を用いて,皮膚上皮性腫瘍の 臨床的悪性度との関連性を調べ,mitosis index (MI:%)と比較し,その有用性を検討した. 対象および方法 正常皮膚5例,脂漏性角化症5例,ケラトアカントー マ4例,基底細胞癌6例,Bowen病4例,’有棘細胞癌 6例の生検あるいは手術材料を対象とした.それらの 凍結切片を作製し,1次抗体としてKi-67マウスモノ クローナル抗体(Dianova社)を用い, avidin・biotin- peroxidase complex(ABC)法で染色した.各腫瘍の 典型像のみられる2ヵ所を選び,倍率100倍で写真撮影 し,全細胞におけるKi-67陽性細胞の比率をgrowth fraction(GF:%)とした. 結果及び考察 正常皮膚では,表皮基底細胞層及び,その直上1~2 層の有棘細胞層に,核が濃褐色に染まる細胞が散在性 に認められ,そのGFは2.9±0.6であった.3H- thymidineを用いたautoradiographyによる検討で も有棘細胞層にDNA-synthesizing cellが存在すると され今回の結果はそれを裏付けるものとなった. 各腫瘍のGF, MIはそれぞれ脂漏性角化症(GF: 4.3±1。2,MI:0),ケラトアカントーマ(GF:6.4± 1.6,MI:0。35±0。10),基底細胞癌(GF:11.4±3.0, MI:0), Bowen病(GF:24.5±2.7, MI:0.58± 0.21),有棘細胞癌(GF:26.9±4.4, MI:0、72±0.22) であった. これらの結果より,各腫瘍の臨床的悪性度とGFは MIと比較して高い相関性を示すことが判明した.さ らに臨床的にも組織学的にも鑑別が困難なことが多 い,ケラトアカントーマと有棘細胞癌との間で明らか にGFの差があったことから, Ki-67抗体を用いた染色 は両者の鑑別に有用であると思われた. 結語 Ki-67抗体を用いた本染色法により,正常皮膚では基 底細胞層だけでなく,その直上の有棘細胞層でも細胞 増殖が行われていることが示唆された. また,陽性細胞数は皮膚上皮性腫瘍の臨床的悪性度 とほぼ相関しており,各腫瘍の予後,治療法等を検討 するうえで有用な染色法と考えた. 一8!8一215