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「在宅医療」知っていますか?家で最期まで療養したい人に。

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Academic year: 2021

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(1)2016 年度(前期)指定公募 勇美記念財団助成事業報告書. 「在宅医療」を知っていますか? ~家で最期まで療養したい人に. 日時:2016 年 10 月 15 日(土)13:30~16:00 場所:秋田大学医学部附属病院多目的室. 主 催:秋田大学大学院医学系研究科附属地域包括ケア・介護予防研修センター 助 成:公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 申請者:秋田大学大学院医学系研究科附属地域包括ケア・介護予防研修センター 佐藤. 亜希子. 1.

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(3) 公益財団法人医療助成勇美記念財団の助成による 「在宅医療」知っていますか?家で最期まで療養したい人に 司会 秋田大学大学院医学系研究科附属地域包括ケア・介護予防研修センター 副センター長. 1.主催者挨拶. 津軽谷 恵. 秋田大学大学院医学系研究科附属地域包括ケア・介護予防研修センター センター長 中村 順子. 2.基調講演. 「永源寺の地域まるごとケア」 [講師] 東近江市永源寺診療所 所長 花戸 貴司氏. 3.パネルディスカッション 「秋田県の在宅看取りの今とこれから」 [パネラー] 伊藤 伸一氏(医師 伊藤医院) 鈴木 知栄子氏(看護師 由利訪問看護ステーション) 佐々木. 奈々子氏(介護支援専門員 パリケア秋田介護支援事業所). 戸島 順子氏(介護福祉士 ファミリー園訪問介護事業所) 4.閉会挨拶. 秋田大学医学部保健学専攻 専攻長. 兒玉 英也. 主催:秋田大学大学院医学系研究科附属地域包括ケア・介護予防研修センター 助成:公益財団法人医療助成勇美記念財団. 3.

(4) 基調講演: ~永源寺の地域まるごとケア~ 住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために 東近江市永源寺診療所 所長 花戸 貴司氏 私が担当している在宅患者は、3 歳の人工呼吸器を付けた女の子から 102 歳のおば あちゃんまで 80 人ほどいます。在宅療養を希望するのであればみとりもします。 地域包括ケアの円滑な実践には、医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、ケア マネージャー、行政、家族、ご近所の方々の連携が不可欠です。 私の死医療所では、連携を図るために毎月担当者会議を開き、訪問看護師や訪問リ ハビリ、家族やデイサービスのスタッフ、ケアマネージャー、薬剤師、そして診療所 の看護師と医師が、みんなで話し合いをしています。 病気という言葉の反対にあるのは元気です。それ以上病気が小さくならなくても、 元気の部分を大きくすれば、相対的に病気は小さくなるといえます。 病院に行くのが、病気を診てもらうためだとすれば、家に帰るのは元気になるため です。 大病の手術の後、自宅で寝たきりになったあるおばあちゃんの例ですが、その家に ひ孫が生まれ、ひ孫の成長がおばあちゃんの楽しみになりました。ひ孫が 1 歳になっ た時、おばあちゃんは要介護から要支援に改善しました。ひ孫が生まれたことでおば あちゃんの元気が大きくなり、相対的に病気(病巣)が小さくなった実際の例です。 より良い最期を迎えると言う事は、より良い人生を送ると言う事です。自分の希望 した人生、自分の希望した場所で自分の希望したことをやる、それが良いみとりにつ ながります。そのためには、普段から、どのような場所でどのような生活をしたいの か、家族の方と話し合っておきましょう。 地域コミュニティのつながりも実は大切なのではないかと思っています。地域包括 ケアと言うことよりも「地域まるごとケア」。 地域のみんなで支えあうということがとても大事な考え方です。 私は、自立すると言う事は人に頼らないことと思っていましたが、逆に、多くの頼 れる人をつるくということだと思うようになりました。 健康の概念も変わってきました。私は病院に行かないのを健康と言っていましたが、 最近は、病気を抱えながらも地域で生活し、地域で支えあいながら生活するのが健康 といえるのではないかと思っています。 本講演会・パネルディスカッションは公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団の助 成により行われた。 4.

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(18) パネルディスカッション: 秋田県における在宅看取りの今とこれから コーディネーター:中村 順子 (秋田大学地域包括ケア・介護予防研修センター) オブサーバー :花戸 貴司氏 (東近江市永源寺診療所 所長) パネリスト :伊藤 伸一氏 (由利本荘市伊藤医院 院長) 鈴木 知栄子氏 (秋田県厚生連由利訪問看護ステーション 看護師) 佐々木 奈々子氏 (パリケア秋田居宅介護支援事業所 介護支援専門員) 戸島 順子氏(ファミリー園訪問介護事業所 管理者) 伊藤氏: 62 歳の女性Aさんの事例を紹介します。彼女は腹部が腫れて総合病院を受診したら 卵巣がんと診断され、肺と骨と肝臓への転移が見つかり、手術不能と診断されました。 すでに末期の状態で、病院ではもう何も治療する方法がないといわれて私の診療所を 紹介されてきました。 そこから私のところでの緩和ケアが始まりました。彼女は私に「私は余命はそんな に長くないと思う。だから今のうちに、2 泊 3 日くらいで友達と京都に行きたい。 」と 言っていました。泊りがけの旅行に行ける状態ではなかったのですが、決心は堅いよ うだったので、 「ぜひ行ってきてください。何かあったらしっかり連絡を取り合えるよ うな体制を取りましょう。 」と話し合い、旅行に行ってもらいました。そして帰って来 て、本当に楽しかったと私に話してくれました。 私たちもカンファレンス(検討会)をよくやります。訪問看護師、ケアマネージャ ーなどといろんな話をしていく中で、患者さんの意思を確認します。Aさんは、最期 まで入院は希望しない、自宅で過ごしたい、積極的な心肺蘇生や治療は必要ない、と 言う事でした。 彼女はどうして自宅に戻りたかったのか。入院したくない理由に、大好きなジャズ やシャンソンを自宅でゆっくり聴きたい、毎朝自分の部屋の窓から外の景色を眺めて いたい、新鮮な空気を吸っていたい、鳥のさえずりを聞いていたい、それらから生き ていることを実感していたい。と言う事を挙げました。 近いうちに必ず死は訪れる、それまでに絶対後悔しないように家族のケアもしよう じゃないか…と、関係者は家族ともしっかり話し合ってもらいたいと思います。 18.

(19) 亡くなる 2 週間前、かなり腹水が溜まり、意識も混濁してきましたが、表情はおだ やかで、 「先生、私は幸せよ。まだ頑張れる。もう少し生きたい。 」と言っていました。 お腹がさらに大きくなってきて、腹水で呼吸が大変になりました。最初は腹水は抜 かない予定でしたが、少しでも楽になってほしいと言う事で、腹水を抜きました。彼 女はその後亡くなりました。 私たちがやらなければいけないのは、死を見届けるのではなく、最期の最期まで行 く抜く生を支えること、それがすべての職種に通じるのではないかと思っています。 鈴木氏: 患者Aさんを支援するチームの一員として、みとりまで携わりました。いろんな人 たちの助けを頂きながら、訪問看護が出来たと思っています。 在宅療養を希望する患者さんに対し、多くのご家族の方は、これでいいのかと葛藤 しています。ご本人が自宅でいたいという希望をかなえるために、私たちも寄り添っ て頑張ってきました。患者Aさんは病院であると同時に、妻や母やおばあちゃんでも あるという役割を担っています。最期までその役割を果たされたと思っています。 戸島氏: 看護師と同じようなみとりではなく、患者さんやご家族の支援という立場で、看取 りをしています。 私たちは医療的なことはできませんが、身体のことや生活を支えるという意味では、 ヘルパーとしてやれることがあると思っています。私たちのやることの多くは排せつ 介助や、身体の清潔ですが、それが心地よいものとして、またご家族が安心できるも のとして、サービスを提供できるのがヘルパーではないかなと考えています。 ご家族の介護負担の軽減も出来るのはないかと思っています。 佐々木氏: 介護支援専門員として緩和ケアを手掛けております。これまでたくさんの利用者さ んとの出会いがあり、死別も経験しました。関わりの中でケアマネージャーとして特 に感じたことは、チーム全体が一体的に同じ目標を目指し同じ方向を向いていく中で、 いろいろと確認すべきことを、一度のカンファレンスだけでは済まされないことです。 一度きりでは意思確認がなかなか難しいので。そういった場を出来るだけ多く設ける ということと、様々な職種が何でも言い合える関係性を普段から作っておくことが、 大切ではないかと思っています。 本講演会・パネルディスカッションは公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団の助成 により行われた。 19.

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(27) 感想 今回の講演会・パネルディスカッションの趣旨は、在宅医療、地域包括ケアシステ ムの先進事例である、滋賀県東近江市永源寺地区の事例を知ってもらい、秋田県の在 宅医療の現在とこれからを考える事であった。 花戸医師の基調講演より、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、自身 や家族の「最期」について家族と普段から話し合っておくこと、また、地域コミュニ ティの中で地域の皆が支えあう事が大切であるという事を、参加者の方々にご理解い ただいたと考える。 また、パネルディスカッションでは、伊藤医師が実際に関わられた事例を元に、各 専門職の方々がどのように考え、連携しているのかが、地域住民の方々に分かりやす く伝えられた。 今回の講演会・パネルディスカッションを通して、多くの地域住民の方々に、 「在宅 医療」の在り方を知っていただいたと考える。また、専門職の参加も多く、今後の取 り組みの参考にしていただけるのではないかと考える。 秋田県では、花戸医師のように在宅医療を行っている医師が充足しているとは言え ない状況であり、地域包括ケアシステムの構築も遅れていると言わざるを得ない状態 である。在宅医療や地域包括ケアシステムの構築に向けて、我々は今後もこのような 講演会・パネルディスカッションを開催していきたい。 今回の講演会・パネルディスカッションは公益財団法人. 在宅医療助成. 勇美記念. 財団からの助成によって行われた。 今回の助成について、ここに改めて感謝の意を表します。誠にありがとうございま した。 秋田大学大学院医学系研究科 地域包括ケア・介護予防研修センター 助教 佐藤. 27. 亜希子.

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