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労働関係の承継について 利用統計を見る

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(1)

労働関係の承継について

著者

中村 武

著者別名

T. Nakamura

雑誌名

東洋法学

16

2

ページ

1-12

発行年

1973-06

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006095/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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労働関係の承継について

中 村

 目 次 一、はじめに 二、労働関係の承継に関する立法例 三、労働関係における当事者の交替  1、労務者側の交替  豆、経営移転による企業主側の変更 四、むすび 一、はじめに 営業の譲渡や会社の合併、分割の例は、最近しばしば起る現象である。その際しばしば問題となるのは、その企業 に従事している労務者の労働関係の移転の問題である。問題の解決は労働関係の総体を包括一体として移転されるの    労働関係の承継について      一

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   東洋法学      二

か、あるいは各個の労働契約による個々の権利・義務を個々的に移転されるのかがまず問題になる。  民法の規定は個々の権利の譲渡.および義務の引受をみとめているので︵尤も縫本民法はフランス民法と同様に. 直接に債務引受の規定はないが.学説判例上みとめられる。その他の欧州法は.概ねこれを明文でみとめていること は.周知の通りである。例・西独民法四一五条・スイス債務法一七五条・オーストリヤ民法一三四四条・一三四五条 ・イタリヤ民法一二七二条・一二七三条等︶.労働関係から生ずる権利義務の移転引受も.一応みとめられる.  ところで民法上契約関係の総体を一体として移転承継すること︵く㈹講講嚇欝麓鑓ぎ霧︶は.民法が一般にみとめてい ないので.現行按上では契約により.契約関係の総体を一体︵O撚襟騨繕講︶として移転す灘徽とに疑問を燃たれた、  しかしながら今日の経済生活のうえで.こうした契約承継をみとめる必要のある場合は.実際上少くない、したが って鷺本においても.個々の規定で法定承継・任意承継をみとめる場合があるが.一般的に民法の規定でこれをみと めているのはイタリヤ民法典だけである︵O鑑韓欝む ・。 毎8器驚岡9纂欝齢貫︶同法第一四〇六条乃至第一四一〇条で. 約の各当事者は他の一方の同意により.契約による双務的給付より生ずる法律関係に.自己に代りて.第三者を加入 ﹁契させることができる。但し給付が未だ履行されぬ場合に限る。︵O欝。 ・窯鑓聴瞬審噸答。 ・霧識鐵器鋤も ・伽欝帥葭8籍陣 鱗聴鍵臨階識轟纂瞬鍵鰐欝8纂難欝Φ8謬唱繕も り欝獣o総8羅欝聴轡響や器識蒲霧溶営雛る 臓o器る 心欝濫蓉8鎚窃薦鼠欝磁       の ℃欝。冨一.疑錯嵩触欝設8霧⑦讐斜︶と規定し.その契約の形式・効果をも規定している。  労働関係の承継は.こうした民法の任意的の承継を一般的にみとめる規定がなくとも、当事者の自由な契約によっ て認められるものと考えられるが.労働契約という特殊の契約による関係につき承継が法定により当然に許されるか

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否かが問題であり、本論文はこれを究明したいと思うα ω 契約の承継は種々の場合に行われるが、例えば送契約の承継は種々の場合に行われるが、例えば賃貸借関係、労働関係そ  の他継続的供給関係等の継続的関係においては、賃貸人または企業者あるいは亮主の地位が変更移転した場合、従来の契約  関係を存続させる必要が多い。たんに個々の権利、義務だけの譲渡、引受け、あるいはこれを連続的に行うだけでは、十分  経済上の目的が達せられない。契約関係全体には、個々の債権、債務以外になお多くの分子︵形成権、期待権または権能、  権利義務の状態︵幻oo簿。 ゆ圃品魯︶等の附従物︵のΦ凄αq①︶が含まれている。   ︵くαQ督暦鴛窪N︸澄簿薯畠αΦωω魯巳驚の。響ω参票’ごS誘幽、ωの零○こ閃ωωgω魯巳母09鉾P︾.お。9ψ蕊舞  螢8①びく段霞鎚σQω蓼①簿墨筥①慧山くΦ訴鍔αQωび蝕鼠貰お。c。︶   契約関係の総体的承継とは、旧来の契約当事者に代与、新当事者が同一の契約関係に立入ることを意味する。民法が一般  的にかかる制度を、あきらかに認めていないことの為総体的な契約上の地位の承継が許されぬものと結論するのは早計であ  る。立法がこの点について沈黙している訳は、当時の立法者は軽卒にも、債権関係の総体は当事者の各人がもつ個々の債権  的な権利義務だけだと考え、契約関係の移転は債権債務の譲渡、引受のコンビネーションに過ぎぬと思料したのであろう。  契約関係の全体と、当事者の移転意思の一体性︵鷺巳お客8のO冨参鉱p白o且幕霧︶と経済上の必要をわすれたものである。   われわれはこの立担者の不明をそのままに見過ごすことはできないし、既に各個々の場合に、法律は契約関係の承継を許  している。日本の近時立法でも借家法第七条の二︵法定承継︶、借地法第九条の三︵裁判による承継︶保険業法第四七条、  四八条︵任意承継︶のように、個々の場合の契約承継をみとめている。売買が賃貸借を破らないとする独民法第五七一条の  如きもその一例である︵くαQ一.噂9 ρ一弩びωの拶る雪.ω●亀9㈱零ビ鐸顕α㎝G 。○α霧鼠一①$誘畠募お霧①憲零ピ鐘9斜伊ω葺︶  ︵拙稿・スイス労働契約法改正草案の正文とその略註、比較法、一九六八年一二月号・スイス債務法三三三条︶   契約関係の承継は新加入者および旧契約当事者の合意によって︵任意承継︶認められて然るべき筈であり、今βにおいて は独民法上も通説とされる。︵くαQ一。評㌶暮︸閃Oφ㎝G 。Φ・ 。”藤︶ ③ O播鋲巽8嵩o︾瓢傷o話o一。ピ簿︵︶Φω獣○器蜘蝕8雛窪餌簿9憎曽餌に僧お9,  労働関係の承継について      三

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東洋法学

二.労働関係の承継に関する立法例

互 労働関係における権利義務の一身專属性を規定した日民第六二五条瑞西債務法第三二七等の規定は.従来労働契 約の特性上︵農鶏舞縛葭圃伽瓢8驚触舞εぎ山響嬉欝冨欝二欝鶏⇔︶当然とされたが.現代における労働関係の承継の問題 については.まず法律の規定をもウてその必要に答えた立法例を検討しよう、  フランスの一九二八年七月一九鑓法︵フランス労働法典第壬二条璽はいった、 ﹁使用主の法律上の地位の変更.と くに相続・売買・合併・営業財産の移転・会社にたいする出資の変更があった場合には.変更の時期における総ての 労働契約は.企業の従業員と新企業者との問において引続き存続するものとする。﹂︵撫 毒、瞬訂講蕊⑰纂離霧鷺&籔鯵譲繋 鋒蕊貯臨讐鶏瞬臼繍講蕎ぬ蔀締圃、櫛鷺鴇建欝び 蓉鍵鷺贈⑱溝饗厭む 喚蕊8も Q。 雛δ欝 講溝費 翫誘圃o繋 窪懸塁暁鍵羅麟臨雲蜘麟 感段欝博鯵鐵Φ欝。 り8菰審通8誘一鵠8緊鎚階簿簿鋸臨窪8欝器ず謹留欝讐&鎌o舞δ麟石 蔭綴訂算Φ纂②鋒お欝 蓉綴器団魯紳器鷲覇畦簿竃隠誘○慧鉱留回.魯建逡慧も。③︶  ほぽ同様の規定は.一九七一年六月二五日法として発令された。スイス労働契約法︵スイス債務法第三一九条以下 に挿入・同法三三三条︶にこれをみとめられる。 ﹁ω事土主がその経営を第三者に譲渡し.かつその譲渡人と労働関 係の承継を物したときは.労働関係は労務者がそ継承継を拒絶しない限り.経営譲渡のβにおいて、総ての権利義務 はともに譲渡人に移転する。﹂ ﹁働承継を拒絶したときは、その労働関係は、法定の解雇申入れ期間の日をもって終 了する。﹂ ﹁㈹経営譲渡前に履行期が到来した債務.および譲渡後.労働関係が通常の方法にょり終了すべき時まで

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に、履行期の制来すべき債務、ならびに労務者の拒絶により労働関係が終了するまでの債務にたいしては、従前の事 業主と経営の譲渡人とが、連帯してその責に任ずる。﹂﹁㈲特別の合意がある場合のほか、または特別の事情ある場合 のほかは、事業主は労働関係から生ずる権利を、第三者に譲渡することはできない。﹂ これらの規定は、一九七二年 一月一日から実施きれた。この規定は、後に制定された西独民法修正法第六二二条aに比して、イタリャ法とともに 承継における権利関係に厚い注意をはらったものである。 H 一九三八年公表された、ドイッの労働関係法草案︵国算名霞︷豊①ぽ①蓉O①ω①欝警R留ω︾浮の富話浮巴欝δ︿露 るω○ 。︶第九〇条も、労働関係の承継をみとめたが、その草案は遺憾ながらその後の政情の変化からから遂に成立をみ るにいたらずして終った。  西独政府は、一九七二年一月一五日改正経営組織法︵浮鼠①募冷焦霧窪お詔霧①9︶を制定発布した。その第二二条 において、民法第六二二条の規定︵日本民法第六二五条と同様に、労働給付請求権譲渡を原則として禁止する規定︶に 次いで、第六ニニ条&としてe﹁法律行為により、経営の全部または一部が他の所有者に移転した場合には、その譲 渡人は、移転のときにおける労働関係から生ずる一切の権利義務を承継する。﹂と規定した。︵○魯審ぎ譲鼠魯&R ωの貫一Φ募けΦ臣伽講3因①魯富αQΦω&餌津き翫蝕器臼撃山禽象9びoびω○霞鋒臼①ωRぼ象Φ閑Φoぼoq¢餌牢ぎ即窪きω 留βぎ浮菩騒即留のまΦ目αQ琶αQの訂器竃巳窪︾3魯毒昏跨鉱。 。ωS蝕算︶更らに、﹁口従前の事住主は新所有者と ともに、第一項の規定による義務に関してはその経営の譲渡以前に生じ、かつ譲渡後一年以内に履行期の到来したも のに限り、連帯債務者としての責に任ずる。﹂云々 ﹁日第二項の規定は法人が合併または組織変更により消滅した場    労働関係の承継について       五

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   東洋法学       六

合には、適用しない。﹂云々と定めた。  これらの規定は.労働関係を高一身専属的な関係と考え.かつ労働契約が個々に︵非集団的︶に行われた時代だけ をみ.大企業の組織に組入れられた現代の労働関係を顧みなかった規定である。労働関係の承継を認める規定は、現 在の変化した経済関係が必要とする現象に答える規定である。  現代の産業経済のなかに生活する多くの労働者は.自己の生活維持のためである、そして企業で働く人々とは.こ ういう労働者の衆団である.この衆団の人々が.企業の移転という偶然の事案のために.その生活を脅かされること は.社会の福祉を難的とする麟家の主義︵一撫欝戴韓黙鑓饗陣鱒都︶にもとるし憲法第二五条二項の趣旨にも反するであろ う.国家における人閥の共同生活の一部である労働法上の集団の利益を顧みることは.憲法の使命でなくてはなら        鋤 ぬ。企業の所有者の交替の場合における労働者保譲の思想は.企業者の恣意を抑制せねばねらぬ。 ㈹ <αq押2欝箭oダ餅暑魚融鵯g馨鳩膨傘 ㌘ら 。9︾鱗簿お①どωふ巽塗 鑓瓢霧準鴬愚懇益Φざ轡のξび蓉び蜘窃︾讐の躍韓⇔畠葺  じ ご斜押S︾鐸簿お8鴇も Q’鋒鳳箪O黛霧斜穆獲圃継欝ご哩o騨瓢怠8轟鐸詳穆○欝Φ綱﹂ま9塑戯曽o o9霧圃黛”ご霧騨簿慧?  募ぎ聞呂霧墾繋潔色陣雛篤①槻欝讐雛鷺⑦簿墾綴焦⑩ぼ霧じ o舞瓢36 。謬臨霧も a慧騨鱒ω槻窪⑦欝o夢一霧導 ご¢ oのお瓜。鑓Φ坤鱒S

三.労働関係における当事者の交替

 労働関係における当事者の交替がゆるされるか。また如何なる条件の下でこれが認められるかは、 主側にある場合と.労働者側にある場合とによって、別個に老えられねばならぬ. その交替が事業

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1 労働者側の交替  労働関係においては、労働契約における当該の当事者である労務者の身上、人格、性能、健康、履歴等は、契約上 緊急な要件である。  経営者たる事業主の側からみれば、他人を採用し、これを企業組織内に組入れ、または生活圏内に受容れ、これに 十分満足する労務給付をもとめ、経営の機密を守らせ、経営の利益を増進させる仲間の一員とするためには、労務者 の一身的関係は、決定的意味をもつ訳である。したがってその労働関係は、当該の労務者の脱退によって終了する筈 である。事業主︵使用者︶がこれに代り他人を雇入れることは、前任者との労働関係を承継するものではなく、まっ たく新らしい労働関係を設定するものである。  労務の給付は、契約当事者である労務者自身だけが負担する義務であり、第三者をして自己に代って労務に服させ ることができないのは︵民法六二五条二項︶、労働関係上当然である。使用者の承諾は地位の承継ではない。簡単な 労務につき他人︵殊に近親者︶を代って雇入れても、それは前任者との労働関係を承継したものではなく、まったく        掲 別個の労働関係を結んだ訳である。 簸 経営移転による企業主側の変更  ㈹ 経営の所有者︵事業主︶の交替の場合には、労働関係における企業主の一身的事情は、通常、労務者の一身的 事情とは全く異る。労務者側にとっては、企業の所有者の一身よりも、労働の職場、多年その企業で従業していたと いう法律上の地位︵菊。象莚お窪︶が勘腎なのだ。    労働関係の承継について      七

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   東洋法学       八  事業主の変更が包括的承継により︵相続・合併︶法律上生じた場合には.その財産関係はまったく前所有者から相 続人または合併会社に移転する。したがって相続人または合併会社が承継人として労働関係の事業主として参加する こととなる。その結果従来の事業主の労務者にたいして有した一切の権利義務を取得負担する。この場合労務関係の 移転については当事者の合意は必要でない。移転後当事者の一方において労働関係から脱退しようとすれば.法律の 規定にしたがい.解約の申入れをすることができる、  労働関係の移転・承継が問題となる.多くの場合は.営業の譲渡または営業の賃貸借の場合である、営業の譲渡ま たは賃貸借の行われる場合には.企業内の多くの労務者は.きらに他に転職.あるいは退職する樵となく.そのまた 新企宅者の下で引続き.従前の労働関係にとどまることを欲するし.またその必要が強い、  一方営業の譲受人または賃貸人は.一時に熟練した多数の労務者を得ることは困難であり.従来の労務者を引続き 使用してゆかねば.営業の維持.発展に差支える。営業譲受人または賃貸人は労働関係承継後に.従前の労務者を必 要としない場合︵殊に企業の幹部労務者︶には.法律の制限に服しながら解雇の申入れをすれば足りる。  以上のように営業譲渡の際に労働関係が当然に承継きれるという結果は.先きに述べたような.労働関係の承継を みとめ.特馴立法のある場合の議論である。  ところが﹁使用者は労務者の承諾あるに非ぎれば.その権利を第三者に譲渡することはできない。﹂︵日民六二五条 一項︶とか、 ﹁労務給付義務を負担する者は、労務をみずから給付するものと推定される。労務給付請求権は.譲渡 し得ぬものと推定される。﹂ ︵独民六コニ条︶。などの規定があるため.特別の老慮が必要となる。

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 ⑧ 企業譲渡契約の際における労働関係を引続ぐ合意︵労務者の承諾︶がなされ、これにより企業の新所有者は、 企業譲渡のときにおける労働関係に立入ることとなる。労働者の合意は明示または黙示の意思表示によって為される が、多くの場合、営業の譲説または賃貸契約は引続き営業を営むことを目的とする以上、あらかじめ労務者の同意を 取付けておくであろう。営業譲渡を知りながらこれに抗議しなかった労務者は、労働関係の承継に同意したものと推 定されよう。  労働関係の承継は、営業の譲渡、賃貸借契約当事者間に行われた上に、その承継に労務者の同意が必要なのだ。  営業の譲受人が労働関係の全部を引継ぐか、あるいはその一部を引継くかは、新企業者の自由であり、これを引継 がぬ場合に新に新労務者を採用するか、旧労務者を新たに別個の労働契約を締結するかも、また新企業者の自由であ る。  かくては新企業者の下で、引続き職場を得られない労働者には極めて酷な結果となる。一面引継を得られぬ労務者 にたいしては、営業譲渡人は解雇予告期間申は、賃銀支払等の責任を負担せねばならぬ。他面営業の譲受人にたい し、多年営業とともに忠実に経営の発展のため協力してきた労務者を、引続き使用すべきことを要求するとしても、 決して不公正とはいわれないであろう。これらの難点を克服するため最良の方法は、譲渡または賃貸借のような法律 行為により、企業の新所有者となった者は、当然既存の労働関係を承継するという、特別の規定をおくべきである。 この社会的要望に応えたのが、上記フランス法、スイスの債務法改正法、および西独改正経営組織法である。  イタリヤ民法には、日本民法第六二五条のような禁止規定も、労働関係承継にかんするフランス法等の特別規定も    労働関係の承継について      九

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   東洋法学      一〇

みられないが、その承継は一般の契約関係の承継をみとめる、前示規定︵同国民法第一四〇条以下︶により労働関係 の承継が行われる得ること明らかである。  営業の譲渡により.労働関係をも当然に承継きせる法制は.営業の譲渡を困難にするとの非難あるも.その困難は 若干の負担︵企業の管理職たる役員の交迭を必要とする場合は.承継後正式に解雇申入れをし.その間の賃銀・給料 の支払をする等の負担︶を伴うが.承継をみとめないとして.社会上の要求たる労働関係保護の思想にそむくという        む 非難にくらべれば.寧ろ軽いものであろう。  前示の諸国の改正法の理念は.変革した経済上の必要。社会上の思想に応えるものであって.今購の事情を考察に いれ.前記の借家法・借地法契約の承継をみとめた規定や.保険法における保険契約承継をゆるす規定と同様に.民 法第六二五条の規定の改修が望ましい。   ㈲ <臓⑰嬢欝鑓o劉欝聾O切。象も 附。G っ鑓&ぎ囎撃欝署霧富ギ竃o剛舅⑦騨︾瓢欝お慧㈱①蕊︾雛 ごのご 導畔   ㈲ <窪Q一。累置も 。9●G o”ま磨︾郎β逡◎  ◎ 営業の移転にかかわらず.依然として労務者が企業の組織内にとどまるものとすれば労務者は旧所有者と契約 したと同一の地位を有し、その儘の権利義務をもつこと明かであるが.新企業者は、更めて労働条件の変更を申入れ ることは妨げない。しかし乍ら強行法の規定に反し、あるいは承継した労働協約の規定に違反することはできない。  新企業者が既存の労働関係に立入った効果として、新企業の所有者が、前経営者の労務者にたいする給料の未払義 務を常に負担するとは限らない。商法第二六条のような規定の適用をうける場合は格別、新企業者が特約により.右

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の債務の引受けをせぬ限り、当然に支払債務を負担する理由はない。  経営の譲渡人は譲渡により、自己が負担していた給料、賃金等の支払義務を免れることはできない。立法はこうし た場合、労務者保護のため﹁従前の事業主は新企業者とともに、譲渡以前に生じた債務については、連帯債務者とし ての責任を負担する。﹂というような。規定をおくべきである。︵スイス債務法改正法第三三三条三項・西独民法第六 二二条a参照︶。  旧企業者が企業の譲渡以前申入れた正式解雇の申入れは、解雇予告期間の終了によって、労働関係は終了する。        四、む す び  以上に示したような諸国の新立法により、企業の譲渡とともに、法律上当然に、その企業における労働関係を企業 の譲渡受人が承継するということは、社会正義に添うゆえんであり、変革した現代の産業の構造、経済事情に応う場 合が多い。だが労働契約が企業者との密接な一身的関係を前提として締結された場合には、企業者の変更は労働関係 における労務給付の目的が変更される結果となり、したがって債務の性質上承継がみとめられぬものと解すべき︵民 ・四六六条参照︶であろう。  また労務者の立場上労働関係の継続を全く望まぬ場合︵例・学校・劇場・新聞社の売収・経営譲渡により、全く政 治上の主義思想を異にする党派色をもつ、新聞等となるべき場合の記者等の地位︶も同様に解されよう。その意味に おいてスイス債務法第三三三条第一項の規定する﹁⋮⋮労働関係は、労務者において承継を拒絶せぬ限り⋮・−移転す    労働関係の承継について       二

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   東洋法学      一二

る。﹂という、ような承継に制限を設けておくことは立法政策上賢明である。  労働関係の承継の特別規定は、企業移転の際における.既存の労働関係の法律上の承継である。だからイタリヤ民 法第一四〇六条による一般の債務関係の任意承継の規定があることにより.労働関係の法定承継をみとめるフランス 法やスイス債務法・西独民法の特別規定を設ける必要なしとはいわれない。  法定承継をみとめることは新企業者の経営における労働管理上の形態.様式および範囲にたいする決意を妨げ.か つこれに伴う財政上の薩由を害する.あるいは劣悪な組織の企業の人員を整理しようとする企業譲受人の利益を害す         む るとの非難あるも.新企業者の恣意の阻止に役立ち.また新企業者は労働関係承継後.解雇・労働条件の変更が自由 である以上.法が積極的に労働関係に介入しそれらの弊害を除くことがで蓉る新法の有利性を認める限り.この非難      め はあたらない。  われわれは我が民法も.第六二五条の規定を適当に修正し︵フランス・スイスおよび西独法等の諸規定に鑑み︶. 現代の労働関係をただし、経済上の実状に添い、労働者の保護をはかることの急務に応えんことを切望する。 ㈲ <臓.の巴憾段凶炉  一零ピω戴竃ε\一轡 ¢り  <αQ圃働ら oo財欝箆び O霧滞⑦職禽麟邸αqωの馨薫霞騰⑩ぼ窪 斜p o・ρ9 類86 βΦ錯Φβ ごo の鐸欝落く興︷器も 段鐸講αqo 。αQ霧の窟①即禦欝①鷺甑識ρ 馳oプ①︾憐鐵器ρ ⋮一九七三二丁二五・稿ー−

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