九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
畜産製品の品質因子としての香気ならびに異臭に関 する研究
白土, 英樹
Graduate School of Agriculture, Kyushu University
https://doi.org/10.11501/3075466
出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(農学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
mw
畜産製品の品質因子としての香気 ならびに異臭に関する研究
白土英樹
1994
目次
第1章 緒論
第2章 ソーセージの香りとその劣化に関する研究 10
第l節 緒言 10
第2節 ソーセージ中の香気成分の濃縮法の設定
ならびに同定および定量 1 3
第l項 実験材料 14
第2項 機器分析 14
第3項 減圧連続蒸留抽出法による香気成分の抽出 17 第4項、 減圧水蒸気蒸留一カラム濃縮法による
香気成分の濃縮 20
第5項 香気成分の同定および定量 31
第6項 考察 37
第7項 小括 39
第3節 貯蔵中におけるソーセージ中の香気成分の消長
ならびに貯蔵臭成分の検索 41
第l項 実験材料 41
第2項 機器分析 41
第3項 貯蔵中における香気成分の消長 42 第4項 薄層クロマトグラフイーによる香気濃縮物の分画 う1
第5項 分取ガスクロマトグラフィーによる 貯蔵臭成分の検索
第6項 考察 第7項 小括
第4節 スパイス中の香気成分の同定および定量ならびに 特徴香気成分の検索
第l項 実験材料 第2項 機器分析
第3項 スパイス中の香気成分の同定および定量 第4項 分取ガスクロマトグラフイーによる
特徴香気成分の検索 第5項 考察
第6項 小括
第5節 ;原液中の香気成分の同定および定量ならびに 特徴香気成分の検索
第l項 第2項 第3項 第4項 第5項
第6項
実験材料 機器分析
爆液中の香気成分の同定および定量
薄層クロマトグラフイーによる香気濃縮物の分画 分取ガスクロマトグラフィーによる
特徴香気成分の検索
スモーク臭成分の官能評価
63 67 73
76 77 77 79
8う 88 91
92 93 93 94 94
111 116
第7項 考察 122
第8項 小括 124
第6節 ソーセージの香りの劣化とその評価 127
第l項 実験材料 128
第2項 機器分析 128
第3項 貯蔵中のソーセージの香りの劣化
~官能評価~ 128
第4項 香りの劣化と香気成分の消長 132 第5項 貯蔵中における貯蔵臭成分の変化 146
第6項 考察 lうO
第7項 小括 lう4
第3章 脱脂粉乳の香気ならびに異臭に関する研究 1う6
第l節 緒言 156
第2節 脱脂粉乳中の香気成分の同定および定量 159
第l項 実験材料 159
第2項 機器分析 159
第3項 香気成分の同定および定量 162
第4項 考察 174
第5項 小括 177
第3節 脱脂粉乳中の異臭成分の検索および同定 179
第l項 実験材料 180
第2項 機器分析 180
第3項 異臭の官能的評価 181 第4項 正常脱脂粉乳と異臭が認められた脱脂粉乳の
香気組成の比較 181
第5項 薄層クロマトグラフィーによる香気濃縮物の分画 199 第6項 分取ガスクロマトグラフイーによる
異臭成分の検索 201
第7項 考察 208
第8項 小括 211
第4節 機器分析による脱脂粉乳の客観的におい評価法の設定 213
第l項 実験材料 214
第2項 機器分析 214
第3項 Single ion monitering法による異臭成分の定量 214 第4項 脱脂粉乳中の異臭成分の定量 220 第5項 脱脂粉乳のにおいに関する官能評価 222
第6項 考察 227
第7項 小括 231
献文
括 記 考 総 後 参
立日十且斗件再知
232 246 247
第1章 緒論
人は、 両親、 家族、 地域社会、 そしてそれが属する文化圏から食習慣を 学 びとり、 同時に自己の噌好を作り上げ、 食品を選択している。 現在、 市場に は多種多様の食品が溢れているが、 その品質を左右する官能的要素としては 外観、 味、 においなどが挙げられる。 すなわち、 先ず食品を目で見、 次に鼻 でにおいを嘆ぎ、 それから口に入れる。 それぞれの段階がチェックポイント になっており、 これらのチェックをパスしない食品は二度と消費者の購買対 象にはならないであろう。 社会の成熟一飽食の時代に入札食品に対する価 値判断は 栄養価から晴好性(おいしさ)、 健全性へと大きく変化して来た。 栄 養価と噌好性は本来表裏一体をなすべきものであるが、 前者がタンパク質、
脂質、 糖質、 ビタミンなどの栄養素の種類とその含有率によって量的、 客観 的に評価されるのに対し、 後者は食品の持つ色、 味、 香り、 感触などの五感 によって質的、 主観的に評価される点で基本的に異なる。 官能 によって評価 される食品の品質を機器分析データによって客観的に表現するための手法の
開発は食品分析学にとって最も重要な課題となっている。
官能的に評価される特性の中で、 香りは食品選択の第一基準として、 また 社会の高度化 に伴う高級化志向の担い 手としてその重要性をいっそう増しつ つある。 食品の香りに主眼をおいた品質評価および品質管理の重要性は万人 が認めるところであるが、 これまでの研究は単に香気成分の同定と定量に終 始し、 品質因子としての香り、 すなわち香りの良し悪し、 香りの変化あるい は違いを総合的に取り扱った研究は極めて少ない。
香りの分析を困難にしてきた要因としては、 先ず 第一に香気成分の組成の
複雑さが挙げられる。 食品の香気成分をキャピラリーカラムを用いた、 ガス
クロマトグラフイーにより分析するなら、 分離される成分の数は少なくとも 数十、 通常数百に達する。 このように多数の揮発性成分をガスクロマトグラ フイーで分離 しても、 それでその食品の香気成分をすべてとらえたという保 証はない。 また、 クロマトグラム上のピークの全部が純粋に分離されている ともいいきれ ない。 香りを与える成分は揮発性であるから分子量は比較的小 さく、 400を越すことはないといわれている。 この狭い分子量範囲内に香気成 分として確認されているだけでも約7500の揮発性成分1)がひしめきあっている わけである。 このことは分子量の等しい成分(例えば各種異性体)が食品中に 数多く存在することを示している。 ここに香気成分の分離・同定の難しさの 一つの要因がある。 一方、 タンパク質や脂質などの成分は食品中に%オーダー で含まれているのに対し、 香気成分はppmあるいはppbオーダーといった極め て微量しか存在せず、 総濃度でも数10から100ppm程度である。 また、 香気成 分は、 炭素、 水素、 酸素、 窒素、 硫黄原子から構成され、 種々の官能基を分 子内に持っている。 従って香気成分は香気濃縮物中ではもとより、 食品中に おいても非常 に不安定であり、 その取り扱いに関しては、 細心の注意を要す る。
第二に、 ガスクロマトグラフと質量分析計の発達 で食品香気の研究は大き く進歩したが、 これら優れた分析機器を駆使しでも未だ解決できない問題が ある。 それは、 ガスクロマトグラム上のピークの大きさと、 その成分が食品 の香りに果たしている貢献度とが必ず しも一致しな いことである。 これは、
成分によって香りとして認識される最低濃度、 すなわち関値が異なるためで
ある。 例えばエタノールとジメチルスルフィドの水溶液中での関値は 107倍の 差があり、 エタノールの含有量がジメチルスルフイドの105倍であっても香り としての寄与率ははるかにジメチルスルフィドの方が大きい。 ガスクロマト
グラム上の微小ピークを見逃せない理由がここにある。 すなわち、 人の嘆覚 と分析機器の応答が一致しないことを常に念頭に置かねばならない。 そこで、
含有量を関値で、割った値をflavor unitあるいはodor unitと呼んで、 揮発性成分 の香りへの貢献度を評価した研 究も報告されている2-5)。 し かしながら、 個々 の香気成分の関値を求め ることは極めて煩雑な仕事であるうえに、 報告され ている関値は研究者によってかなり異なること、 気体、 水溶液、 油、 牛乳、
ビール等、 存在状態すなわち、 媒質により関値が大きく異なる6)ことに注意す る必要がある。
第三に香気成分の濃縮法が問題となる。 揮発性成分の関値は化合物によっ ても異なるが、 孟10ヤpbであるのに対し 、 現在の揮発性成分の分析装置とし て最も高い感度を有するとされているガスクロマトグラフ(水素炎イオン化検
出器)の検出限界は1 ppb-1 ppm程度で、あり、 定量に至つてはその10倍以上を 必要とする。 従って、 香りの分析的取り扱いでは、 前処理、 すなわち香気成 分の分離・濃縮操作が必須となるが、 極めて不安定な香り構成成分の種類の みならず、 食品中での量比をも変えることなく分離し 、 ガスクロマトグラフ の定量感度まで濃縮するのは至難の業である。
このほかに も、 香りの評価が多くの場合、 熟練した専門家によってのみ行 われていること、 香りを表現する用語が少なく、 し かも業界、 あるいは企業 によって異なるなどの問題 も香りの客観的評価を困難にしている理由として
挙げられる。
本研究は、 畜産製品として、 大きな市場を形成しているソーセージおよび 乳製品のみならず広く加工食品の原料としての脱脂粉乳を対象として、 その 香気成分の定 量的分析および機器分析 と官能との対比等を通じて品質因子と しての香りの客観 的評価法の設定に至る基礎的かつ応用的研究を行ったもの
である。
日本における食生活の近代化は、 畜肉、 牛乳など の 畜産食品を食生活に取 り入れることであった。 これは、 第二次世界大戦(1939年�1�5年)前までは徐々 に、 大戦後はかなり急速に達成された。 初期の困難は家畜の肉や乳を食用に することを長い間タブー視してきた社会心理的抵抗と、 いま一つは飼料農作 物を大量に与えて少量しか生産できないため高価格となる畜産食品を一般消 費者が買える かどうかという経済的な問題であった。 第二次世界大戦は敗戦 に終わり、 アメリカ軍によって占領された結果、 従来の食生活に関する価値 観が崩れたこと、 および昭和30年代以降、 高度経済成長政策が軌道に乗り、
国民の可処分所得が増加してきたことが、 明治以来 の食生活近代化の第一課 題であった畜 産食品を日本人の食生活に取り入れる ことを成功させたといえ る。
これら畜産食品の中で、 食肉加工品、 すなわちハム ・ ベーコン ・ ソーセー ジの生産量は、 1990年に戦後初めて前年の水準を下回ったものの、 毎年2----
3%増と安定的な伸びを示してきた九1981年から1989年に至る生産量の急増 の要因として、 1981年頃よりにわかに脚光を浴びたいわゆる “手造り ハム、
ソーセージ" のブーム、 また1982年の生ハム(非加熱食肉製品) の製造許可等
がある。 この時期の食肉加工品は品質的に大きく変化し、 消費者の購買意欲 も大きく向上した。 すなわち、 原料的にはマトン、 魚肉 すり身から豚肉へと、
製品としては赤ウインナーからスモークウインナーへと、 また、 プレスハム からロースハム、 ベーコンへと移行し、 これと時を同じくして消費者の意識 もグルメ志向の時代背景に の って大きく変化してきた。 順調な伸びを示す食 肉加工品の中心は、 全生産量の43%(1991年資料)を占める7)ウインナーソーセー ジとフランクフルトソーセージであるが、 このなか でも現在特に曙好されて いるのがスパイスと爆煙ならびに調味料により風味づけされた非発酵荒挽き ソーセージである。
ソーセージ類をはじめとする加工食品に対して設定されている賞味期限は 官能検査と細菌検査、 場合によっては化学検査を併用して決定されている8)が、
“おいしさ" の重要な判断基準である風味との関連づけは官能検査の結果か ら経験的に行われているに すぎず、 その明確な判断基準がないのが現状であ る。従って、 流通段階におけるソーセージの香気劣化を明らかにすることは、
高品質のソーセージの供給ならびに適切な賞味期限 の設定を可能にするも の であり、 ソーセージの消費拡大の上からも重要な課題となっている。
食肉あるいはその加工品の香気成分あるいは異臭成分に関連して、 多くの 総説9-13)があるが、 これらはいずれも貯蔵・流通段階における香気劣化に関し てはまったく触れていない。 ソーセー ジ類の香気成分に関しては、 発酵ソー セージを対象として主として欧米を中心に行われているが、 香気成分の同定・
定量を行った報告や脂質分解あるいは添加物が熟成中にその香気に及ぼす影 響に関する報告が散見される程度である山6)。 一方、 わが国において多量に
消費されている非発酵荒挽きソーセージに関しては 、香りを品質因子として とらえ、貯蔵 ・流通段階における香気の劣化を解明しようとした研究はいう までもなく、非発酵荒挽きソーセージが本来有する香気成分の同定 および定 量に関する研究報告すら皆無である。
ソーセージの香りに関する一連の研究において、 先ず減圧水蒸気蒸留法と カラム濃縮法を組み合わせることによって、香気成分の変質と量的変化を伴 わない、ソーセージの香りを忠実に反映した、品質 評価の目的に適う非醗酵 ソーセージ中の香気成分濃縮法を設定するとともに、香気成分の同定ならび に定量を行い、非醗酵ソーセージ中の香気成分組成を明らかにすることを試 みた。 次に、貯蔵・流通段階におけるソーセージの香気劣化の 解明を目的と して、貯蔵中における非発酵ソーセージの香気成分の消長を定量的に追求す るとともに、におい嘆ぎ法との連動の下に種々の香気成分分析法を駆使して 貯蔵臭の原因物質の検索を試みた。 また、ソーセージの香気の劣化に関連し て、貯蔵中にスパイス臭 およびスモーク臭が弱くなることから、スパイスお よび燥液中の香気成分を同定するとともにその特徴香気成分の検索を試み、
ソーセージの スパイスおよびスモーク臭の減衰に関して考察を加えた。 さら に、品質因子としての香りを分析データに基づいて論ずる際に最も重要とな るのは官能的評価結果との 関係であることから、貯蔵中における香りの劣化 を官能的に評価するとともに、香気ならびに貯蔵臭成分を経時的に定量し、
香気の劣化および貯蔵臭の強さとそれらの原因成分の濃度あるいはその組成 との関係を明らかすること を試みた。 また、貯蔵前のソーセージ中の香気成 分組成とスパイスあるいは燥液中の香気成分 組成を比較し、ソーセージ中の
香気成分の由来に ついても検討し た。
他方、 食肉加工品とと もに畜産製品のもう一本の柱である、 乳および乳製 品の総消費量は緩やかで、はあるが、 着実な増加を示 していること が生乳の処 理量17)から推定される。 個々の製品に着目すると 、 チーズ と発酵乳の伸びが 堅調で、 特に発酵乳は1992年から1993年上半期の聞に100/0前後の伸びを示し ており18)、 消費者の健康志向の高揚が窺える。 これは、 バブル経済が崩壊し たことで、 消費者の曙好が自然で健全な食品に向かっていることも要因となっ ていると考えられる。 一方、 乳および乳製品の市場環境を概観すると 、 最も 大きな影響要因は貿易の自由化である。 1988年の関税貿易一般協定(GATT)の 農産物12品目に関する紛争処理小委員会の裁定案が一括受け入れられたのを 受けて、 1989年にはプロセスチーズの輸入 が自由化され、 すでに 1952年に 自 由化されてい たナチュラルチーズと合わせて、 チー ズの完全自 由化が達成さ れた。 さらに1990年にはアイスクリーム、 フローズンヨーグルトおよびホイッ プクリームが 自由化されて おり、 数年後には乳製品の完全自由化の可能性が 強い。 このような状況に至って、 今後は外国産製品の輸入量の増加が予想さ れるが、 原料価格の安い外国産製品に価格面で対抗することは困難である。
従って、 わが国の乳業メーカーが生き残る ためには、 品質面での優位性の確 保すなわち、 安全でより高品質な乳製品の製造が急務となっている。
食品の香りは食品選択の第一基準としてその重要 性を増しつ つあることは 先にも述べた が、 乳製品に おいても、 香り立ちこそ 高くないものの、 暖かみ のある穏やかな芳香は安全性と健全性 を強くイメージさせる最も重要な品質 因子となって いる。 このことは、 乳製品のに おいが極微量の異臭成分の混入
あるいは生成によって、 ま たは香気バランスの僅か な違いによって容易に劣 化することを示唆するものである。 現に、 大量に輸入されるようになった加 工用原料とし ての外国産脱脂粉乳に時折異臭が認められ、 これが 外国産脱脂 粉乳の使用に際して重大な障害となっている。 脱脂 粉乳は、 保存性及び輸送 性に優れてお り、 加工乳などの乳製品、 製菓、 製パンなど、 その用途は極め て広いが、 用途別消費数量問では、 加工乳・乳飲料他45.5%、 発酵乳・乳 酸菌 飲料26.2%をはじめとして乳製品原料と しての用途が圧倒的に多く、 全体の
84%近くを占めている。
これまで牛乳の異臭成分に関する 研究は、 加熱臭や乳脂の酸化臭に関して 数多く行われている6,20-23)が、 これらの研究はいずれも原因物質のスクリーニ ングに終始し ているのが現状である。 一方、 脱脂粉 乳の異臭に 関しては、 現 在まで日光照射や長期にわたる貯蔵など過酷な外的要因に起因する異臭の生
成24,2めが報告されている程度であり、 流通している製品中の異臭はもとより、
脱脂粉乳が本来有する香気成分を系統的に研究した 報告も皆無である。 しか しながら、 前述のように、 僅かな香気 組成の変化に よって容易に香気の劣化 が起こりうる乳製品にあっては、 その原料である脱脂粉乳中の異臭の解明及 びその客観的評価法の設定は、 低価格の外国産乳製品に対抗しうる高品質乳 製品の製造、 延いては乳製品の消費拡大の上から非常に重要な責務である。
脱脂粉乳の香りに関する一連の研究 において、 先ず品質評価を目的とした 脱脂粉乳中の香気成分濃縮法を 設定するため、 減圧連続蒸留抽出法と直接カ
ラム濃縮法を比較検討するともに、 香気成分の同定 ならぴに定量を行い、 脱 脂粉乳中の香気成分組成を明らかにすることを試みた。 次に、 外国産脱脂粉
乳に時折認められる異臭の解明を目的として正常な原U未を持つ脱脂粉乳と官 能的に異臭が認められる脱脂粉乳の香気組成の違いを明らかにするとともに、
各種分画法を駆使して 香気濃縮物を細分画し、 異臭 の原因物 質 の検索を試み た。 さらに、 Single ion monitoring法による異臭成分 の簡易定量法を設定し、
製造ロットの異なる種々の脱脂粉乳中の異臭成分を定量すると ともに、 官能 的な異臭の強さ とその原因成分の濃度との関係を明 らかにすること により脱 脂粉乳のにおいに関して、 客観的評価法の設定を試みた。
要するに、 本研究は食品選択の第一基準は香りで あるとの見地から、 高品 質の畜産製品の製造・供給を目的とし、 食肉加工品の中で大きなシェアを占 める非発酵ソーセージの流通段階における香気劣化およ び加工用原料として の脱脂粉乳の異臭の解明 ならびに客観的品質評価法 の創設を試みたものであ る。
第2章 ソーセージの香りとその劣化に関する研究
第1節 緒言
ソーセージ は、 細切りした生肉やその挽き肉、 あるいは塩漬した畜肉やそ の挽き肉を主原料として、 これに調味料および香辛料などを加えて練り合わ せ、 ケーシングに充填してつくった食肉製品である 。 ソーセージは極めて古 くからヨーロッパで発達してきた食肉加工品で代表的なソーセージの名称も、
その発祥の地名をとっているもの が多く 、 地方の気候風土や晴好性に対応し て多様な製法がとられ、 種類も極めて豊富である。 ソーセージを生地の 調製 法によって分類すると、 カッターで仕上げるファインタイプ(エマルジョンタ イプ)や、 カッターを使用しない荒挽きタイプ、 一部カッターを使用 する荒挽 きタイプ等がある。 製法的 には、 乾燥度の低いドメスチックソ ーセージおよ び、水分活性0.87以下まで乾燥させるドライソーセージに分類され、 これらは さらに加熱処理、 あるいは爆煙の有無により生 ソー セージ、 矯煙ソーセージ および煮沸ソーセージに細分される。
発酵サラミソーセージなどに代表 される発酵ソーセージは、 その強烈で独 特の風味が好まれることか ら欧米では広く消費されており、 その香気成分に 関してもいくつかの報告例がある14,26-29)。 しかしながら、 わが国においてはこ の発酵臭が逆に敬遠され、 スパイスと燥液ならびに 調味料により風味づけさ れた、 非発酵タイプの荒挽き ソーセー ジが曙好されており、 これを含めたウ
インナーソーセージは食肉加工品の全生産量の1/3を占めるに至っている30) 。 一方、 食肉およびその加工品に関して、 Reinecciu�O)は家畜種、 飼料、 環境、
製造加工、 微生物による汚染あるいは脂質の酸化に起因する異臭に関して総
説しているが 、 貯蔵・流通段階における香気劣化に関してはまったく触れ て
いない。 ソーセージ類の製造後における香気の変化に関しても脂質分解15)、
グルコノラクトン31)あるいは硝酸塩および亜硝酸塩16)が熟成中 におけるドラ イソーセージの香気に及ぼす影響に関して報告がみられるのみで、非発酵荒 挽きソーセージ に関しては、貯蔵・流通段階における香気の劣化に関しては いうまでもなく、その本来有する香気成分についても同定および定量した 報
告は見あ たらない。
先ず、第2節で減圧連続蒸留抽出法と減圧水蒸気蒸留一カラム濃縮法を比 較検討し、品質評価を目的とした非醗酵ソーセージ中の香気成分濃縮法を設 定するとともに、その香気成分の 同定ならびに定量を行い、非醗酵ソーセー ジ中の香気成分組成を明らかにした。 次に、第3節で貯蔵中における非発酵 ソーセージの香気成分の消長を明らかにするとともに、 シリカゲル薄層クロ マトグラフ法ならびに分取ガスクロマトグラフ法により香気濃縮物を細分画 し、貯蔵臭の原因物質の検索を試みた。 このとき、香気の劣化に関連して貯 蔵中にスパイス臭およびスモーク臭が弱くなったことから、第4節でスパイ ス中の香気成分を同定するとともにその特徴香気成分の検索を行い、第5節 で;撰液中の香気成分を同定し、その特徴香気成分の検索を試みた。 さらに第
6節では貯蔵中における香りの劣化を官能的 に評価するとともに、香気なら び、に異臭成分の経時的な 定量を行い、 官能的な香気の劣化および貯蔵臭の強 さとそれらの原因成分の濃度あるいはその組成との 関係を明らかにした。 さ らに、第3節 の実験結果と合わせ、乳酸エチルの生成 量と異臭の関係を比較 検討した。 ま た 、貯蔵前の ソーセージ中の香気成分 組成とスパイス あるいは
;簾液中の香気成分組成を比較し、 ソーセージ中の香 気成分の由来についても ネ食言すした。
要するに、 本章では非発酵荒挽きソーセージの香 気成分の同定と定量を先 ず行い、 次いで、 貯蔵中での香気・異臭成分の消長と貯蔵臭の原因物質の検 索を行った。 さらに官能的な香気の劣化および貯蔵臭の強さとそれらの原因 物質との量的関係について詳細に検討し、 貯蔵・流通段階における香気劣化 の原因解明とその客観的評価法の設定を目的とした。
第2節 ソーセージ中の香気成分の濃縮法の設定 ならびに同定および定量
一般に、 食品 中の香気成分は数十から数百にも及び、 低沸点から高沸点ま で、 そして低極性から高極性まで広範囲に連続的に分布しており、 しかも各 成分の濃度は極めて小さく 総量でも100ppm程度である。 しかしながら、 官能 すなわち関値に対するガスクロマトグラフの感度差が極端に大きいために食 品の香気分析においては蒸留、 抽出、吸着などの香気濃縮操作が必須となる。
言うまでもなく、 前処理は香気分析の最終結果に重大な影響を及ぼすため、
香気成分の回収率や再現性の良さはも とより、 得られる香気濃縮物の香気成 分組成ゃにおい特性は試料のそれを代表するもので なければならない。 これ は品質評価を目的として香気成分を取り扱う場合特に重要となる。
一方、 ミートフレーノてーに関してはこれまでに700以上の成分 が報告され、
その生成機構も含め数多くの総説がある32-3幻。 畜肉加工品 であるソーセージ に関しでも発酵ソーセージを対象としてLangnerら26)、 Halverson 28)、 Bergerら14) の報告があるが、 非醗酵ソーセージに関しては研究例は皆無である。
本節では品 質評価を目的とした非醗酵ソーセージ 中の香気成分濃縮法を設 定し、 香気成分の同定ならびに定量を行った。 すな わち、 減圧連続蒸留抽出 法と減圧水蒸気蒸留一カラム濃縮法を用い、 それらの回収効率、 再現性、 香 気濃縮物のにおい特性について比較検討した。 続いて、 ガスクロマトグラフ ー質量分析計による同定、 ならびに内標準法による 定量を行い、 非醗酵ソー セージ中の香気成分組成を明らかにした。
第l項 実験材料
ソーセージ は丸大食品株式会社より入手した市販非醗酵荒挽きソーセージ (商品名‘特選ミルトポウ, )を用いた。 本ソーセージの製造工程をFig.2-1に示 す。 本試料は300g入りパウチ詰めであり、 このパウチの構成は、 KOP( 2軸延 伸ポリプロピレン)30仰jPE(ポリエチレン)20,um /防曇LLDPE(直鎖状低密度ポリエ チレン)25μmからなるハイガスバリヤーラミネートフィルム であった。 また、
本ソーセージの組成はTable 2-1に示したとおりであった。
第2項 機器分析
香気成分の定量: 第3項 および第4項の方法によ り調製された香気濃縮物 1μlをマイクロシリン ジで採取し、 ガスクロマトグラフイー(GC)に供した。
GCは以下の条件で行った。
ガスクロマトグラフ;Hew lett Packard社製Mode15890Aガスクロマト グラフ、 水素炎イオン化検出器( FID)付
積分計;島津製作所製クロマトパックCRづA
カラム;J & W Scientific社製溶融シリカキャ ピ ラリーカラムDB-WAX
(液相;化学結合型polyethylene glycol 20 M、
ゆ0.25mmx60m、 膜厚0.25μm) キャリアーガス; He, 22cm/sec
カラム温度;500C (4min)→2300C(20C/min) 気化室・検出器温度;2000Cおよび2500C スフリットよ七;1 : 30
香気成分の同定:香気濃縮物2μlをガスクロマトグラフー質量分析(GC-
PREPARATION
Curing(Maturling) � Cutting(Mixing)
STUFFING
Stuffingー捧Soaking in salt waterー捧Cutting
HEAT TREAT九1ENT
Drying �Smoking �Cooking �Cooling
PACKAGING
Weighing and Packaging in The Clean Room
Fig.2・1 Processing of the nonfとrmented sausage.
Table 2-1 Formulation of the nonfermented sausage.
Ingredients
Pork Beef Pork fat Water Salt
Sodium nitrite Sodium ascorbate Other ingredients
Composition (0/0)
60.00 5.00 1う.00 12.00
1.00 0.02 0.04 6.94
MS)に供した。 なお、ー誌科導入 の際には、 バックグラウンドの変動やノイズ
がマススペクトルに及ぼす影響を小さくするため、 Fig.2-2に 示した装置 を用 いパックフラッシュを行った。 本法は3方 バルブを用い、試料気 化室の下部 でキャリアーガス流路を分岐し、 キャリアーガスを逆向きに流すことによっ てインサート管をクリーンアップする方法である。 すなわち、 試料導入は図 中(A)のようにキャリアーガスがインサート管の上方からカラム内に流れるよ うにバルブを切り換えて行う。 次に試料を導入して約30秒後に(B)のようにバ ルブを切り換え、キ ャリアーガスをバックフラッシュ させた。 GC-MSは以下 の条件で、行った。
ガスクロマトグラフ;島津製作所製ガスクロマトグラフGC-9A 質量分析計;島津製作所製GC-MS 9020DF
データ処理システム;島津製作所製GC-MSPAC 1100 イオン化電圧;70eV
イオン源、温度; 2000C スキャン速度;lscan/sec
ガスクロマトグラフの条件は香気成分の定量と同様とした。
第3項 減圧連続蒸留抽出法による香気成分の抽出
ソーセージ中 の香気成分を回収するため、 現在最も優れた揮発性成分の分 離・濃縮法のーっとされている減圧連続蒸留抽出法(以後、 SDE法と略記)に よる抽出を試みた。 本法は水蒸気蒸留と溶媒抽出を 同時に、かつ連続的に行 うものであるが、 減圧下の操作では低沸点溶媒の使用は困難36)とされてきた。
そこで著者はFig.2-3に示したShultzら37)の蒸留装置とほぼ同じものを用いたが、
(A)
Inject ill-V
Rυ
� h、』
Fig.2・2 Cleaning of injection port by back f1ash.
Coolant ( -50C)
Ether
Evacuated (150mmHg)
Fig.2・3 Apparatus for simultaneously distillation
extraction method under reduced pressure (SDE).
Sample
冷媒に-100Cのエチレングリコールを使用し、 試料液が沸騰を始め ると同時
に減圧系を閉じ、 冷却部と 加熱部の温度差のみで蒸留を行わせることにより ジエチルエーテル等の低沸点溶媒の使用 を可能にした。 本法による香気成分 抽出のフローチャートをFig.2-4に示した。 ソーセージ、600gに脱イオン水900ml を加え、 ホモジナイズした後、 ジ エチルエーテル60mlを抽出溶媒として 試料 温度600C、 約150mmHg下で1時間蒸留・抽出し、 香気成分を抽出した。 本抽 出物を無水硫酸ナトリウムで、脱水した後、 420Cで溶媒を留去し香気濃縮物を 得た。
ガスクロマ トグラムをFig.2-5に示す。 なお 、 図中のピーク番号はFig.2-9中 の番号に対応している。 本法によって87個の定量可能 ピークが得られたが、
図より明らかなように低・ 中沸点成分に比べ、 高沸点成分の回収が若干劣っ ていた。 さらに、 保持時聞からエタノールと推定さ れたピーク5は総香気量 の410/0に及び、 得られた香気濃縮物の組成は試料として用いたソーセージの それと異なることが示唆された。 実際、 SDE法による香気濃縮物のにおいは 肉の調理臭が主体であり、 調理臭 とともにソーセージの品質を評価する際に 非常に重要となると考えられるスパイス臭やスモーク 臭はほとんど感じられ なかった。
第4項、 減圧水蒸気蒸留一カラム濃縮法による香気成分の濃縮
先ず最初に、 ポーラスポリマービーズ(porapak Q)を用いた、 直接カラム濃 縮法38)による香気成分の濃縮を試みた。 すなわち、 ソーセージ、300gに特級精 製メタノ-)レ450mlを加え、 ホモジナイズした後遠心分離(3000G, 20m in)し、
上清を集め、 脱イオン水で、希釈することによりメタノール濃度を20%とした
Sausage(300g)
Water(900ml) was added Homogenate
Simultaneously distillation-extiuction
under reduced pressure(600C, 150mmHg, 1 hours) Dried over anhydrous sodium sulfate
Concentrated
Odor concentrate(O.2ml)
GC analysis
Fig.2・4 Procedure of separation and concentration of volatile compounds in non fermented sausage by SDE.
仏EUMCEコ 一。υ Ecu×EEmN.05で×〈一bP1凶凸一CE
コ一oubd一一138一一一切志的よ OGgo占U55uυロOU』O
℃035H∞O匂E24U30
m,N. ω一同 (口一ESU。cm(C EGoN)υ0cmN↑
.凶凸∞k(
』℃
U55』
ouωg
コ吋的力U】口ωEHd口
(OOF×)一x
lO N
マ ひ4
後porapak Q約15m!を充填した香気成分吸着用カラム ( Fig.2-6)に通した。 しか しながら、 ソーセージ中に存在する多量の脂質(約15%、 Table 2-1)のうち、 相 当量が樹脂表面に付着し、 カラムの再生が不可能であったこと、 さらには多 量の脂質がエーテルで抽出され溶媒の留去による香 気の濃縮が困難で、あった ことから実用には供し得なかった。 また、 メタノールの代りに水でホモジナ イズしでも同様の結果であった。
そこで、 減圧水蒸気 蒸留 と カラム濃 縮法の組み合わせによる香気濃縮物の 調製を試みた 。 本法のフローチャートをFig.2・7に示す。 ソーセージ、600gに脱 イオン水900m!を加え、 ホモジナイズした後、 Fig.2-8 に示した蒸留装置を用い 500C 、 約9加1mHg下で、2時間減圧水 蒸気蒸留を行った。 得られた約500mlの蒸 留物を香気成分吸着用カラム に通すこ とにより、 香 気成分を吸着させ、 カラ ムを脱イオン水約20m!で、洗浄した後、 香 気成分をジエチルエーテル80m lで、抽 出した。 本抽出物 を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、 420Cで溶媒を留去し 香気濃縮物を 得た。 なお、 カラム からの香気成分の 抽出はシリンジで加圧し ながら迅速に行った。
得られたガスクロマトグラムをFig.2-9 に示す。 本法により108個の定量可能
ピークが検出されたが、 これはSDE法に較べて1.2倍以上であった。 各成分の 量 比を比較すると(Table 2-2)、 本法はSDE法に較べピーク18 以前の成分の回収 は若干劣っていたが、 それ以降のピー夕、 すなわち中・高沸点成分の回収は 格段に優れていた。 また、 本法で得られた香気濃縮物 にはスパイス臭やスモー ク臭など、 ソーセージの特徴的なにおいが強く認められ、 ソー セージの香気 をよく再現したものであった。 なお、 本法とSDE法によりソーセージを7回
Fig.2・6 Apparatus for direct column method.
Sausage( 600g)
water(900ml) was added Homogenate
distilled(うOOC, 90mmHg, 2 hours) Distillate(うOOml)
volatiles were adsorbed (Porapak Q, 10ml) and eluted with diethyl ether Eluate(80ml)
dehydrated with anhydrous sodium sulfate and
concentrated
Odor concentrate(O.2ml) GC analysis
Fig.2・7 Procedure of separation and concentration of volatile compounds in nonfermented sausage by steam dustillation under reduced pressure-column method.
7・UQJ
d1nSSd1d pdJnpd1 1dpUn UO!lちH!lS!P WBdlS 10J SnlB1BddV 8-Z・8日
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(l1H山山06)
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堂。
12
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8
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2-4 -4!1
51 61 65
69
81 88
84
103
�
ゆ4
789 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
KI (x100)
制調
Fig.2・9 Gas chromarogram of odor concenrrare from nonfermenred sausage obrained by sream disrillarion under reduced pressure-column merhod.
Fused silica capillary column: DB-WAX,ゆ0.2うmmx60m, Column temp.:うOOC(4min)→2300C (20C/min)
Table 2.2 Comparison of recovery of volatiles from nonfermented sausage by steam disrillation under reduced pressure- column method and SDEa•
Relative紅白[0/0]
Peakb Kovats indexC Ratioe
SD-Cd SDE
821 0.10 0.15 1.う
2 88う 0.20 O.う3 2.7
3 914 0.22 0.14 0.7
4 924 0.07 n.d.f
う 930 2.54 41.43 16.3
6 1019 0.64 4.39 6.8
ア 1022 0.10 0.62 6.3
8 1035 0.87 0.28 0.3
9 1079 0.25 0.43 1.7
10 1093 0.13 0.10 0.8
11 1108 1.46 4.う8 3.1
12 1120 1.81 5.う2 3.1
13 1125 0.20 0.08 0.4
14 1132 0.13 0.08 0.6
15 1138 0.28 0.06 0.2
16 1146 1.47 2.21 1.う
17 1160 0.36 0.99 2.7
18 1179 0.06 0.2う 4.2
19 1181 0.24 0.11 0.4
20 1198 4.63 6.17 1.3
21 1206 0.18 0.78 4.4
22 1209 1.55 0.9う 0.6
23 1222 0.08 0.12 1.6
24 1243 0.83 1.29 1.6
25 1257 0.06 n.d.
26 1268 1.44 1.09 0.8
27 1276 0.09 n.d.
28 1279 0.41 0.21 O.う
29 1282 0.68 0.69 1.0
30 1300 0.14 0.09 0.7
31 1341 0.11 n.d.
32 1353 0.43 0.20 O.う
33 1367 0.29 0.13 0.4
34 1374 0.50 O.うl 1.0
35 1390 0.10 0.14 1.4
Table 2-2 Conrinued.
36 1396 0.11 n.d.
37 1424 0.14 0.08 0.6
38 1429 0.12 n.d.
39 1432 0.11 n.d.
40 1439 0.18 0.14 0.8
41 1442 0.07 0.27 4.0
42 1444 0.22 0.19 0.9
43 14う7 1.83 1.17 0.6
44 146う 0.65 0.34 O.う
4う 1475 1.10 n.d.
46 1480 0.11 n.d.
47 1487 0.64 0.38 0.6
48 1493 0.08 0.12 1.う
49 1497 0.33 0.17 O.う
うO 1501 0.12 n.d.
う1 lう11 0.20 0.13 0.6
う2 lう13 0.51 0.12 0.2
う3 lう22 0.18 0.05 0.3
う4 1526 0.17 n.d.
うう lう31 0.10 0.09 0.9
う6 153う 0.39 0.10 0.3
う7 lう46 4.42 3.06 0.7
う8 1うう3 0.19 0.17 0.9
う9 1562 0.19 0.09 O.う
60 1う67 0.39 0.26 0.7
61 1う73 4.48 0.44 0.1
62 1577 0.14 0.05 0.4
63 1う79 0.10 0.07 0.8
64 1583 0.16 0.08 O.う
65 1う87 2.95 3.88 1.3
66 1602 1.48 1.24 0.8
67 1630 0.75 0.0う 0.1
68 1644 0.32 0.37 1.1
69 16う9 1.09 0.29 0.3
70 1667 0.4う 0.12 0.3
71 1680 0.31 0.49 1.6
72 1694 0.14 0.04 0.2
73 1697 1.01 0.51 O.う
74 1713 0.23 0.02 0.1
75 1718 0.15 n.d.
76 1722 0.13 n.d.
Table 2-2 Conrinued.
77 1726 0.14 tr
78 17う7 0.19 0.11 0.6
79 1767 0.13 0.08 0.6
80 1773 0.16 0.07 0.4
81 1781 3.08 2.60 0.8
82 1796 0.27 0.06 0.2
83 1810 0.13 0.21 1.7
84 1830 1.05 0.11 0.1
85 1838 0.08 n.d.
86 1845 0.08 n.d.
87 18うl O.う6 0.07 0.1
88 18う9 3.う1 1.42 0.4
89 1868 0.19 0.09 O.う
90 1874 0.27 0.21 0.8
91 1896 0.27 0.06 0.2
92 1910 0.12 n.d.
93 1923 0.11 n.d.
94 1942 0.09 n.d.
9う 1956 1.96 0.86 0.4
96 1968 0.10 n.d.
97 1977 0.08 n.d.
98 1989 0.19 0.07 0.4
99 2006 1.30 O.う8 0.4
100 2032 0.23 0.16 0.7
101 2079 0.34 0.15 0.4
102 2087 0.34 0.14 0.4
103 2150 33.91 3.26 0.1
104 2269 1.25 0.38 0.3
105 2290 0.16 n.d.
106 223う 0.48 0.18 0.4
107 2413 0.12 0.07 0.6
108 2693 0.06 0.1う 2.う
a Simultaneously distillation-extraction method under reduced pressure-
b Peak number in Fig.2-う and 2-9.
C Modifìed Kovats indices calculated for DB-Wax capillary column on the GC system.
d Steam distillation under reduced pressure-column method.
e Relative area ratio between SD-C and SDE.
f Not detected.
繰返し処理し、 再現性を比較した。 Table 2-3 に任意に選んだ12個のピークの 再現性を示している。 表から明らかなように、 本法の平均相対標準偏差は 4.20/0 でありSDE法の29%と比較すると再現性は6.9倍も向上しており、 しかも 全ての成分に対しでほぼ一定の値が得られた。
第5項 香気成分の同定および定量
第3項および第4項の結果から、 品質評価を目的としたソー セージの香気 成分の濃縮に は減圧水蒸気 蒸留一カラム濃縮法が適していると判断された。
そこで、 本法を用い、 香気成分の同定と定量を行っ た。 すなわち、 ソーセー ジ、600gに脱イオン水900mlと内標準(1.0% 2・heptanol 60μのを加え、 ホモジナイ ズした後、 減圧水蒸気蒸留一カラム濃縮法により香気成分を濃縮した。 化合 物の同定はデータ処理システムのデータベース(Registry of Mass Spectral Data,
32000化合物)あるいは標準ス ペクトル39-41) と測定マススペ クトルとの一 致、
および保持指標42)の一致によった。
得られたガスクロマトグラムをFig.2-10に示す。 なお、 図中のi.s.は内標準 のピークである。 Table 2-4 に同定された化合物とその定量 値を示す。 得られ た108個の定量可能なピークの総濃度は25.9ppmで、あり、 このうち101成分が 非発酵ソーセージの香気成分として初めて同定されたものである。 これら101 成分の濃度は全香気成分の 980/0を占めており、 炭化水素類29種、 アルデヒド
類7種、 ケトン類15種、 アルコール類10種、 有機酸 類6種、 エステル類9種、
フラン類5種、 フェノール 類14種、 含硫化合 物3種、 その他の化合物3 種で あった。 また、 8.8ppm(全香気成分濃度の340/0 に相当)と極めて高濃度であっ たピーク103のソルビン酸は保存料として添加されたものと推察された。
Table 2-3 Comparison of reproducibility by steam distillation under reduced pressure
column method and SDE a.
Relative standard deviation C Peakb
SD-Cd SDE
う 7.5 49.1
11 1.3 3.う
20 3.7 0.1
43 2.8 0.4
う2 1.8 19.う
57 3.1 15.4
66 3.7 20.0
71 う.6 73.0
74 6.3 141
88 3.7 1.5
9う 4.5 3.6
106 6.1 21.2
Average 4.2 29.0
a Simultaneously disrillarion-extraction merhod under reduced pressure.
b Peak number in Fig.2-5 and 2-9.
;
Vh刊仙al山山hSream disrillarion under reduced pressurecolumn merhod.
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同
(OOF-×)-x
It) N
N �
M c、a
3
Table 2-4 Volarile flavor compounds idenrifìed in nonfermenred sausage.
Peaka Compounds Kovats indexb Content [ppb]
unknown 821 2う.8
2 ethyl acetate 88う 50.7
3 3・methylbutanal 914 うう.6
4 methyl isobutanoate 924 17.9
ethanol 930 6うう.9
6 α:-pmene 1019 16う.8
7 unknown 1022 2う.4
8 toluene 103う 225.7
9 1-hexanal 1079 64.7
10 2-methylthiophene and 2-methyl-2-butenal 1093 32.5
11 βpmene 1108 376.9
12 α:-thujene 1120 467.0
13 ethylbenzene and (E)ー2-pentenal 112う う2.3
14 P勾rlene 1132 32.7
15 m-河rlene 1138 72.6
16 ..13-carene 1146 379.4
17 myrcene 1160 93.8
18 α:-terpmene 1179 1う.8
19 。喧勾rlene 1181 61.6
20 d-limonene 1198 1197.3
21 ß-terpinene 1206 46.2
22 1,8-cineole 1209 400.2
23 m-ethyltoluene 1222 19.7
24 7ιterpmene 1243 214.3
2う 1,2,3-trimethylbenzene 12うア 16.7
26 p-cymene 1268 373.0
27 trans-ocl口lene 1276 23.う
28 α-phellandrene 1279 104.8
29 terpinolene 1282 17う.6
30 tridecane 1300 3う.1
31 ethyl lactate 1341 27.9
32 1-hexanol 13う3 110.う
33 2-methyl-2-cyclopenten-1-one 1367 75.6
34 unknown 1374 128.0
3う 6・ethyl-2-methyldecane 1390 2う.4
36 unknown 1396 28.4
37 2-cyclohexen-1-one 1424 35.3
38 ethyl octanoate 1429 30.4
39 unknown 1432 28.2
Table 2-4 Conrinued.
40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 うO う1 う2
う3 54 うう う6 う7 58 う9 60 61 62 63 64 6う 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79
1-hydroxy-2・pentanone acetic acid
2,4-hexadienoic acid methyl ester 2-furfural
8-elemene diallyl disulfìde benzenethiol α'-copaene unknown
1-(2ーらranyl)-ethanone
2,4-hexadienoic acid ethyl ester camphor
benzaldehyde and
3・methyl-2-cyclo pen ten-トone 3-oxo・pentanoic acid methyl ester
l-(acetylo勾r)-2-butanone propanpic acid
2,ふdimethyl-2-cyclopenten-1-one linalool
l戸lalyl acetate
Sロquiterpene hydrocarbon isopulegol
?ιcaryophylene unknown
3-methoxypyridine βelemene
βcaryophylene 4-terpineol butanoic acid
3,う,5-trimethyl-2-cyclopenten-1-one 2-furanmethanol
αーcaryophylene
王子dimethyl bycyclo[2,2, 1]heptan-2-one neoisothujyl alcohoI
α'-terpineol
3-methyl-2(う均-furanone
methyl phosphonicacid dimethyl ester 4,う-dimethyl-4-hexen-3-one
2 (3h)-furanone unknown unknown
1439 46.9
1442 17.6
1444 う6.0
14うア 473.4
146う 166.9
147う 283.6
1480 28.9
1487 16う.4
1493 21.3
1497 84.4
1う01 32.3
1511 う2.9
1513 132.4
lう22 46.う
1う26 44.0
1531 25.う
1う3う 100.3
1う46 1141.4
1うう3 49.0
1う62 う0.2
1567 101.0
1573 11う6.9
1う77 3う.7
1う79 2う.3
1う83 42.0
Iう87 761.9
1602 382.7
1630 19う.1
1644 83.8
16う9 282.2
1667 11う.2
1680 79.0
1694 37.4
1697 260.9
1713 60.4
1718 39.6
1722 33.6
1726 36.1
17う7 49.8
1767 33.6
Table 2-4 Conrinued.
80 (E)ー2-butenoic acid 1773 41.7
81 4-(1-methylethyl)-benzaldehyde 1781 797.3
82 2,4-dimethyl-1,3-cyclopentanedione 1796 70.5
83 sabinol 1810 32.4
84 2-hydro勾r-3-methyl-2-cyclopenten-1-one 1830 271.1
85 3,4-dimethyl-(Z)・3-hαen-2-one 1838 20.4
86 unknown 184う 20.6
87 hexanoic acid and p-cymene-8-o1 18うl 144.8
88 guaiacol 18う9 906.9
89 p-dimetho勾rbenzene 1868 49.2
90 safrol 1874 69.6
91 2,4-dihydro-2,4,うーtrimethyl-3H-pyrazol-3-one 1896 70.7
92 2,6-di-tert-butyl-p-cresol (BHT) 1910 31.7
93 safranal 1923 27.4
94 4-metho勾r-1,3-benzenediamine 1942 24.4
95 4-methylguaiacol 19う6 う07.3
96 maltol 1968 25.う
97 2-acetylcyclohexanone 1977 19.6
98 unknown 1989 49.7
99 phenol 2006 336.8
100 4-ethylguaiacol 2032 60.0
101 m-cresol 2079 88.0
102 p-cresol 2087 86.7
103 (E,.E)-2,4-hexadienoic acid 2150 8766.1
104 2,6-dimethoxy-phenol 2269 323.7
10う p-isoeugenol 2290 41.6
106 1,2,3-trimethoxybenzene 223う 122.9
107 1-(2,6-dihydroxy-4-methoxyphenyl)-
e出anone 2413 30.4
108 1,4-benzenediol 2693 16.1
a Peak number in Fig.2-10.
b Modifìed Kovats indices calculated for DB-Wax capillary column on the GC system.
第6項 考察
まず、 非醗酵ソーセージの品質評価を目的とした 香気濃縮法を設定するた め、 SDE 法と 減圧水 蒸気蒸留一カラム濃縮法によって 香気成分を濃縮し、 両 者を比較検討した。 SDE法はエタノールが特異的に多量回 収され、 得 られた 香気濃縮物も肉の調理臭のみが強く 、 スパイス臭やスモーク臭がほとんど認 められなかっ たことから、 本実験で 用いたソーセー ジの 香気を再現している とは言い難く、 ソーセージの香気成分断宿法としては不適切であると考えた。
また、 メタノールあるいは水抽出液の直接カラム濃 縮法により 得られたにお い濃縮物のにおい特性は優れていたものの、 ソーセージ中に高濃度で存在す る脂質が香気成分の濃縮を妨害したことから、 実用には供し得 なかった。 こ のため、 カラム法を用いる場合、 脂質 の分離操作が必要であるが、 有機溶媒 による脂質の 分離は、 香気 成分の組成 に致命的な影響を与える ことから適用 不可能で、ある 。 そこで、 水蒸気蒸留 による 香気成分 の分離とカラム濃縮法を 組み合わせた減圧水蒸気蒸留一カラム濃縮法による香気成分の働宿を試み た。
その結果、 本法 はI脂質含量が高いソーセージでも何ら問題なく 香気成分の 濃縮が可能であった.II SDEj法に 比べ、 特に中・高沸点成分の回収に優れてお り、 より多くの成分が回収された.皿再現性に優れており、 任意に選ばれた12 個のピークの相対標準偏差(0=7)はSDE法の1/6.9であったIV減圧系で500Cと 低い温度で蒸留したことから、 水蒸気 蒸留法の共通の欠点とされている蒸留 操作中の加熱香気の生成刊まほとんどなく、 香気濃縮物は肉の調理臭の他に、
スパイス臭やスモーク臭などのソーセージの品質を評価する際に重要なにお いが官能的に 強く認められ、 その 香気 特性は本実験で、 用いたソーセージに非
常に近いものであった。従って、 本法はソーセージの品質評価の目的に適っ た香気濃縮法 であると判定した。
次に、 減圧水蒸気蒸留一カラム濃縮法によって得られた香気濃縮物を用い、
香気成分の同定および定量を行った。 テ ルペン類としては、 25種のモノテル ペン類と7種のセスキテルペン類が 同定された。 こ れらの化合物はブラック ペパーなどの香 辛料中 では報告されてい る糾-46)が、 新鮮肉あるいは調理肉中 には見い出さ れてない。従って、 これらテルペン類のほとんどはソーセージ に添加された種々の香辛料 に由来すると考えられた 。 テルペン 類の総濃度は 全香気成分の35%を占めており、 その香気特性からもソーセージの香気を特 徴付ける最も重要な 成分群であると推察した。 さらに、 フェノール類や芳香 族炭化水素類、 2-シクロペンテノンお よびその誘導体、 フラン類などは燥煙 あるいは燥液47,48)中に存在すると報告されており、 特にフェノール類はスモー
ク臭に大きく関与していることが知られている 49)。従って 、 これらの化合物 は燥液に由来すると考えられた。 なお 、 香辛料あるいは燥液に 由来すると考 えられる成分 については第6節でさらに詳細に検討する。 Reineccius10)は脂質 や油脂の酸化分解によって多くの短鎖アルデヒドやメチルケトンが生成し、
これらが肉製品中の異臭の指標となる と総説しているが、 本実験ではこれら の化合物はほとんど検出さ れなかった。 これは本ソ ーセージに使用されてい る亜硝酸塩の抗酸 化作用に よる脂質の酸化抑制50)によるも のと考えられた。
また、 加熱調理肉の香気に寄与すると報告されているチアゾール類やチオフエ ン類、 ピラジン類51)はいずれも検出 されなかった。 Dwivedi52)は加熱調理中の
牛肉と豚肉からそれぞれ30種およびと32種のピラジン 化合物と、 3種および