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都市政策における農業イノベーションの実効性 : 川崎市の事例研究に基づく考察

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Nature : Human Nature : The Meaning of Plants and in our Lives” Charles, A. Lewis.)

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るだけ栄養成分の劣化,腐敗が進まない状態で食したいというごく自然な欲求につながってくる。 そこから,消費者である都市住民と生産者との間をつなぐ多種多様な流通経路の重要性が明らかに なる19)。直売所,量販店経由,菓子店・飲食店納入,卸売市場への出荷があるが,いずれにしろ, 質量ともに安定的に出荷し,消費者に届くサプライチェーンが構築されることが要請されることに なる。さらに生活者としての都市住民にとっては,自然や環境の保全はもちろん,食育などの教育 機能,農業への関心の呼び起こしの意味からも,市民農園,農業体験農園,観光農園,援農ボラン ティアなどの体験機会が円滑に提供されることが望まれることになる20) 2.「地産地消」 地産地消は,下平尾勲教授によれば,「地産地消というのは地元で生産された商品を住民が,積 極的に消費することによって,生産を刺激し,関連産業を発展させ,地域の資金循環を活発にし, 地域を活性化させる一つの手法である。」21) 同教授の視点は,経済性から,地産地消を契機に地域内 の経済循環を活性化することを狙いとする。具体的には,地場産品としての価値のアピール,ブラ ンド形成,地元菓子店・飲食店・流通業者との連携強化という視点になる。社会性の視点からは, 三島徳三教授による「地産地消は,スローで持続的な社会,本当の豊かさを実感できる社会」形成 につながるという見方もある22) 。消費者と生産者間のコミュニケーション,農業や農産物への親近 感と理解,地域へのアイデンティティの醸成といった視点になる。農林水産省の調査23)によれば, 消費者による地元産のイメージと購入後の満足度を見ると,購入前の鮮度・味への期待の大きさ, 同じく数量・価格の妥当性への期待も明らかになっている。 地産地消の効果としては,経済性・社会性・環境性につながるものが期待されている。当時の議 論としては,時節柄地産地消による自給率の向上という視点が強調されていると思われるが,「食 や農に関する消費者の理解と関心が高まるなど食育につながる」,「地域の生産者等と地元食品企業 や学校等との連携が生まれるなど,地域全体の活性化につながる」というように,「地域内でのス テークホルダーとの連携の強化」への期待が多く見られる。 さらに近年,社会性・経済性の両面から,重視されているのが,学校給食への地元農産物の提供 である。既に学校給食法(2008年)により昼の学校給食でローカルな農産物を使うように努めるこ ととし,その使用率を2020年までに30%に引き上げることが政策目標として定められている24) 以上より経済性・社会性・環境性という視点から,川崎市における農業・農地に関わる都市政策 に係わる政策目標,政策手段は,次の表のように考えられる。

19)関連した考え方に英国での Food Miles Movement がある。これは,・農産物,食品が食卓に届く前にどれだけ

旅をしてきたか,どの程度の距離を経由して届いているか。これは,食品の輸送に伴う環境面への負荷を軽減す るという視点に立ったものである。例えば,https : //www.foodmiles.com/(2019/05/06閲覧)を参照。 20)国土交通省社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会都市計画部会都市計画制度小委員会中間とりまと め都市計画に関する諸制度の今後の展開について平成24年9月3日及び農林水産省食料・農業・農村基本計画 2010年3月。 21)下平尾勲,柳井雅也,伊東維年『地産地消―豊かで活力のある地域経済への道標』日本評論社,2009年10月。 22)三島徳三『地産地消が豊かで健康的な食生活をつくる』筑波書房,2007年3月。 23)農林水産省「食料・農業・農村白書」平成18年度。 24)学校給食における地産地消の意義については,2017年11月4日日本経済政策学会(国際大会)での中村浩二(関

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図18 カプシエイトとカプサイシンの化学構造 (出典)味の素株式会社提供資料 図19 味の素株式会社社会貢献イメージ (出典)味の素株式会社 HP(ajinomoto.com/ jp/activity/csr/asv/ 20190910閲覧) # 同社は品種改良を行い,トウガラシの多数の種,品種の内成熟果実が強い辛味を持ち,フルー ティな香りを持つカプサイシン高含有品種の Capsicum chinense40)と Aji dulce というカプシエイト

生産株とを交配させることで,赤く熟成したトウガラシがカプシエイトをたくさん含むという品種 を作り出している。 (4)カプシエイトの事業化 ! 同社としては,カプシエイトの研究開発は15年以上前から着手しており,カプシノイド含有の 機能性表示食品カプシ EX はあるが,カプシエイトだけでなく,トウガラシの香り,ビタミン等, 他の利点も生かした香辛子のビジネス化,事業化を実現したい。

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ベースにあるのは,農地,農業の量的な多寡に係わらず,質的に川崎市をどのような街にしてい くのか,その中で農をどう位置付けるか。具体的には適切な農地の保全,都市農業の振興について, 農に係わる生産者を核に,市,JA,企業,大学,流通,市民といった各ステークホルダーがどう 相互に連携を取り,支え,発展させていくかという政策的な視点である。現段階での実態調査を踏 まえれば,その農を核としたつながり,連携の仕組みは,市による適切な政策の立案・行使と,個々 の主体の意欲的・革新的な取組とが相まって,次第に目に見える形を現しつつある。いずれの政策 も,相互に絡み合い,都市政策そのものの根幹に関わるものである。魅力あるまちづくりに向けて, 現在の農地を農業者の意向を踏まえながら,どのように活用していくか,将来に向けてその政策趣 旨をどう全うしていくか,政策課題を克服していくか,その実効性が問われる局面にある。 付記 本稿は,川崎市における農業に関わる多彩なイノベーションと関連する都市政策について,現時 点での研究成果をまとめたものである。論文作成にあたっては,市経済労働局都市農業振興センタ ー赤坂慎一所長以下センターの方々の支援・ご協力,さらに竹本田持明治大学農学部教授(副学長, 委員会委員長)を始めとする川崎市農業振興計画推進委員会委員の方々の委員会でのご意見など, 多くの方々のご教示を参考にまとめたものである。未だ十分な理論的な彫琢が済んでいるとは言え ず,また改善の余地等もあろうかと思われるが,その点ご容赦,ご指摘いただきたいところである。 参考文献(順不同) 各事例企業等による提供資料。農林水産省,自治体資料。 川崎市「総合計画 第2期実施計画」2019年4月。 川崎市「川崎市卸売市場経営プラン改訂版」2019年3月。 川崎市「かわさき産業振興プラン 第2期実行プログラム」2018年3月策定。 川崎市「川崎市農業振興計画∼「農」を育て・創り・活かし,繋ぐ」2016年2月。 川崎市『川崎市史通史編4下現代産業・経済』1997年。 公益財団法人川崎市産業振興財団・新産業政策研究所「新産業政策研究かわさき第17号」2019年5月。 F・E・シュマッハー『スモール・イズ・ビューティフル∼人間中心の経済学∼』講談社学術文庫,小島慶三・酒井

懋訳,1986年。(原著 Small is Beautiful, E.F. Schmacher, 1973)

ジェイン・ジェイコブス『発展する地域衰退する地域∼地域が自立するための経済学』ちくま学芸文庫,中村達也

訳,2012年)(原著 Cities and The Wealth of Nations Principles of Economic Life, Jane Jacobs, 1984)

山田浩之・徳岡一幸編『地域経済学入門』有斐閣,2002年。

徳田賢二『地域経済ビッグバン』東洋経済新報社,1997年。

松野弘・土岐寛・徳田賢二『現代地域問題の研究∼対立的位相から協働的位相へ∼』ミネルヴァ書房,2009年。

専修大学社会知性開発研究センター/都市政策研究センター『川崎都市白書』2009年。

ポール・クルーグマン『自己組織化の経済学』ちくま学芸文庫,北村行伸・妹尾実起訳,2009年(原著 The

Self−Organi-zation Economy, Paul Krugman, 1996)

宇沢弘文『社会的共通資本』岩波新書,2000年。

一橋大学イノベーション研究センター編『イノベーション・マネジメント入門』日本経済新聞出版社,2001年

OECD “Innovation, Agricultural Productivity and Sustainability in Japan” 2019

生源寺眞一『日本農業の真実』ちくま新書,2011年。

21世紀政策研究所『2025年日本の農業ビジネス』講談社現代新書,2017年

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速水佑次郎『農業経済論』岩波書店,1986年。

速水佑次郎・神門善久『農業経済論新版』岩波書店,2002年。

荏開津典生・鈴木宣弘『農業経済学』岩波書店,2015年。

守田志郎『農業は農業である−近代化論の策略−』農文協,1971年。

チャールズ・A・ルイス『植物と人間の絆』創森社,吉良成恭監訳,進藤丈典,篠崎容子訳,2014年。(原著 “Green

Nature : Human Nature : The Meaning of Plants and in our Lives” Charles, A. Lewis.)

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∗∗ 正会員 東北大学教授 工学研究科 土木工学専攻(〒 980–8579 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉

「経済財政運営と改革の基本方針2020」(令和2年7月閣議決定)

このような状況下、当社グループは、主にスマートフォン市場向け、自動車市場向け及び産業用機器市場向けの