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図45 農産物 需給曲線例
(出典)筆者作成
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図46 せりと相対取引83)
(出典)83)注。
て安定供給されている結果と見ることもできる。しかし,こ のように需要も供給も非弾力的であることは,逆に見れば,
少しの取引数量の変化でも大きな価格変化を生じやすくなる ことにもなるといった弊害も出てくる。例えば,台風などの 天候変動により供給量が変化すると,それだけ価格の変動も 大きくなることは実感として理解できる。
(3)競りと相対取引
取引形態として,競りは賄える数量には限界があり,時間 的にも量販店などの当日の品揃えには短時間では対応できず,
どうしても事前の発注,相対取引に頼らざるを得ない状況に ある。例えば,来週は全体の入荷数量が減りそうだから,今
週中に希望価格を事前に取り決めて,数量を確保しておきたい場合には,予約相対取引をする。そ の場合,入荷数量次第で価格をどう調整するか,市場の相場価格も織り込みながら,予め取り決め ておく。例えば,キロ150円と見込んでいたのがもっと市況が上がって200円になった場合,その差 額のリスクは仲卸・卸双方で半々にするなど分担する。もちろん,こうしたリスクを含む取引の前 提として,継続的に取引を進めてきた信頼できる取引先であることが重要である。また市場の価格 を尊重しなければ,契約価格が市場価格と乖離することになり,産地側として困った状況になる。
事前の卸・産地との情報交換は,通常取引日前日午前中がタイムリミットになる。量販店からは 特売,セールに合わせて一週間前,10日前から例えばレタス100個用意して欲しいという例はある
83)農林水産省「公正かつ効率的な売買取引の確保」平成26年12月。
が,二三日前,前日昼までに注文を入れるようにしなければ,産地側が対応仕切れない。もちろん 遠い産地はもっと余裕が必要だが,千葉,栃木,茨城などの近県であれば,例えば明日に新潟から スイカが200ケース入るなど,卸を通じて日々出荷量も把握できるので対応可能である。同時に,
量販店によれば,特売,セールで一週間から10日前にレタス100個用意してほしいという注文をし てくることもある。その場合には,個別の契約的な取引として事前に仲卸が卸・産地側に希望数量 と希望価格を伝えて対応するようにする。卸側からも,例えば,明日は入荷数量が今日の倍になる。
今日の価格はキロ100円であったが,明日は数量も換算し,産地側の同意も踏まえて価格を二割下 げるので,その数量をこなしてほしいという要望がくることもある。その場合には,仲卸がユーザ ーに対して,明日は低価格でレタスが入るから日替わりの特売にしてほしいといった形で,卸側の 要請をつなぐこともある。
(4)量販店,ユーザーとの取引交渉
せりは少ないが,せり,相対取引,いずれも価格交渉は同様である。日によって数量が変化する 場合,特に減るような場合には価格が上がるのが通常だが,そうした場合には値段も,数量を抑え てほしいという交渉をする。あまり極端に価格の変動があると,消費者の野菜,果物離れを引き起 こしてしまうことになる。例えばシャインマスカットは一房4000,5000円だが,やはり高額なので 一般の人が買わず,せいぜいギフト用になる。少し価格が下がって例えば2000円となったときに,
店に一般向きでどうですかといった商談をすることになる。スーパー,量販店は量的に多くても極 端に安値で売るということは少なくなった。昔は150円入荷価格を130円で売ると言った極端なこと もあったが,現在はそういうことはない。仮に店頭価格が安値になっている場合も,そのリスクを 卸・仲卸が背負っている場合もある。量販店側も採算性を考慮して取引価格,取引条件を交渉して くる。
(5)量販店との取引価格
量販店からの要望は取引数量第一,さらに産地ブランド,規格・等級,希望する取引価格,取引 日である。仲卸は,その受注に応じて,卸を通じて産地の状況を打診することになる。通常はリン ゴの
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サイズを取引している先でも,今回は特売でM
サイズにしてほしいという場合もあるし,普段と同様に同じ
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サイズでも価格だけを下げてほしいということもある。その逆に卸からこれ だけの産地から来るから,受注しないかという風にサウンドする場合もある。ユーザーとの取引価 格に影響を与える要素は「数量」さらに取引相手との取引年数である。やはり「数量があるかない か」,100世帯を相手とするスーパーと万世帯を相手とする全国スーパーとでは規模,取引数量も大 きく異なる。従って,10ケースあるから単価1000円,100ケースなら単価900円と,交渉により異なっ てくることはある。その場合,仲卸側としては,その差額が仲卸側の利益の範囲内かどうか確認し て交渉することになる。取引量により価格に差異が出てくるのは仕方ない。こちらで許容できる範 囲内かどうかの判断になる。いずれにしろ個々の交渉次第である。同時に例えば大田市場の取引情 報など,他市場からの情報も参考にする。他市場との比較,Lineなどで情報はすぐ産地側その他 に伝わるのであまり市況と異なる取引価格はつけにくい。通常,量販店からはこれくらいで売れたらいいなとニュアンスで要望を伝えてくる。優越的地位 の乱用にならないようにあくまで希望を言ってくる。しかし配送してくれと言われて,事実上仲卸 が配送料を負担するといった形で量販店の価格に影響を与えることもあり得る。リスクは当方が背
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図47 情報の流れ85)
(出典)85)注。
負うことになる。量販店も以前のようなコストぎりぎりの価格設定はなくなったが,少子高齢化の 影響で,基本的な野菜需要は弱含みであり,価格が高すぎると需要がすぐに代替品を求めて引っ込 む。従って,仮に品薄になっても簡単には引き上げられない需要の弱さである。量販店との交渉部 分としては,数量との兼ね合い,取引価格,さらに輸送コストをどちらが持つか 仲卸が負担する かどうかといったリスク分担もある。
(6)産地・卸・仲卸 三位一体
産地,卸,仲卸 三位一体の存在。いずれもが儲かる仕組みでなければならない。各々が維持で きるよう,儲かる仕組みになっていないと商いがなりたたない。卸・産地との連携プレーとして,
量販店からの要望があった場合,卸を通じて産地が可能かどうか,産地からの情報を確認する。卸 との担当者同士で産地からの情報交換をするなど密にコンタクトを取っている。スーパーの要望(取 引数量 価格)を事前に聴いて,卸に相談する。卸担当者は産地なり経済連なりからこういう引き 合いがあるけどどうですか,という様に,一旦産地まで下ろして,まだこっちにあげてきてもらう。
その繰り返しである。三者で情報を共有しないとやっていけない。それを短時間,基本午前中に決 着をつけなければならない短期決戦の世界である。卸も生鮮品は早めに売り切りたく,情報を仲卸 側に提供してくるので,仲卸としてもその情報に基づき,産地を選んだり,商品を選んだりできる。
また,産地から卸を通じて,生産地からの希望価格が出てくることもある。これは,生産地の生産 コスト,輸送コスト等々を加えるとこの程度の価格が欲しいという再生産価格(指し値的なもの)
である。なお,仲卸は取引から三日目には取引代金を卸に入金しなければならない。量販店からの 入金がまだ入っていない段階でもあり,その代金の組合を通じての代払い原資及び経費相当として,
卸から取引金額の1000分の2が最高限度額として入ってくる。全国の仲卸はこの完納奨励金84)を含 めてやっと帳尻を合わせているところも多い。
84)「完納奨励金とは,卸売業者が,卸売代金の期限内の完納を奨励するため,仲卸業者や売買参加者に対して交 付している奨励金である。」