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雑誌名 教育科学セミナリー

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[文献紹介] 岡村達雄編著『戦後教育の歴史構造 [ 教育の現在 : 歴史・理論・運動] 第一巻』

著者 田中 欣和

雑誌名 教育科学セミナリー

巻 19

ページ 56‑56

発行年 1987‑12‑10

URL http://hdl.handle.net/10112/00019509

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岡 村 達 雄 編 著

『戦後教育の歴史構造

[教育の現在ー歴史・理論・運動]第一巻』

<臨教審以後>の状況のなかで、また悲惨と いうしかない教育現実に直面して「この同時代 に求められているのは、教育への過剰な思い入 れでも教育的善意や啓蒙主義でもなく、われわ れをとりまく問題世界のラディカルな切開と変 革なのである」という課題意識をもつ岡村達雄 さん他のグループは、本書をはじめとする全三 巻のシリーズ刊行を企画した。戦後教育学のス テロタイプを超えようとする試みである。共著 者たちにはさまざまなちがいは勿論あるが、そ のような課題意識と、戦後の通史を書くのでは なく、く現在>を明らかにするための鋭角的と りあげ方という作業スタイルでは一致している。

編者でもある岡村さんの担当部分は「教育支 配の戦後的構造」と題し、三権分立構造に対応 する教育政策論・教育行政論・教育裁判論を統 ーする公教育論を構想している。すでに本学出 身の若い人たちと共に着手している<処分ー裁 判>の研究もそのような戦後の教育支配構造を・

トータルに対象化するための作業である。かつ ての持田理論に批判的吟味を加えつつ、それを 継承発展していく。その際、国家論における前 進が不可欠となるが、諸階級から相対的に自立 するものとしてのく第三権力>論、国家を関係 としてとらえるプーランザス理論などが注目さ れている。

岡村さんは、三権分立への対応構造にふれた あと、それらと別に「教育における文化的アイ デンテイティの問題」領域をも公教育論の理論

(社会評論社、 1988年 1月刊、 2600円

的枠組に繰り入れるという問題意識を示してい るが、おそらくはその点にこそ、今後の理論的 苦闘が課せられるであろう。従来の「教育と政 治」をめぐる諸研究が整理棚として利用し得た 制度論的枠組と異なる次元を含んで統一するこ とになるからである。構想が壮大なものである だけに、今後の具体的研究とのフィード・バッ クが期待される。

尾崎ムゲンさんの「問題としての戦後教育史」

(序章)「戦後教育の理念」(第一章)は、論争的 焦点に関して明快である。戦後改革の主体が日 米いずれにあったかという問題の立て方自体の 不毛性、「教育の論理」の自己顕現論の観念性が 鋭く衝かれ、国境の枠を超えた主体的諸力を示 される。

その他、在日朝鮮人研究者の視点から「戦後 教育における『民族』の問題」に迫った手健次 さんの論文や「天皇制における戦前と戦後」と 題する小股憲明さんの論文が私には興味深かっ た。後者は、批判的立場の論議までもが何やら おどろおどろしく、いかがわしくなりがちなこ の論点に関わっていながらも至極平明である。

さらに、土居充夫、三原芳一、国祐道広の三 氏の論文は、それぞれ「五五年体制下の教育支 配構造」「高度経済成長と後期中等教育の制度 化」「国家戦略として高等教育政策と学術行政」

と題し、く現在>とのつながりで手がたくまと められたいわば名論である。

(田中欣和)

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