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アウトレットから及ぼす地域活性化について

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流通科学大学卒業論文

崔 相鐵 ゼミ

日本とアメリカのアウトレット・モールの戦略比較

~日本の成功するアウトレット型とは~

学籍番号 35990562

氏名 河島 隆浩

提出日 2002年 12月 12日

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目次

第1章 はじめに

(1) 概要

(2) アウトレットの語源

(3) アウトレット・モールの種類

(4) アウトレット・モールの現状

第2章 アウトレット・モールの基本原則

(1) 適正立地について

(2) 適正商圏について

(3) 適正距離について

(4) 適正規模について

(5) 適正価格について

(6) 適正テナントについて

(7) エンターテインメント性の付加について

第3章 事例:アメリカのアウトレット・モール

(1) ウッドペリー・コモン・プレミアム・アウトレッツ

(2) オンタリオ・ミルズ

(3) ファッション・アウトレット・ラスベガス

第4章 事例:日本のアウトレット・モール

(1) 横浜ベイサイドマリーナ・ショップス&レストレンツ

(2) マリンピア神戸ポルトバザール

(3) りんくうプレミアムアウトレット

第5章 考察・まとめ

(1) 考察:日本型アウトレットとは

(2) まとめ

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第1章はじめに

(1)概要

現在の日本の経済は戦後以降最悪の大不況に陥っていることはもう周知していると思う。

バブルが崩壊してみると、それまで良いと考えられていたことが悪いと言われ消費者の価 値観も変化してきた。消費者は刺激を求めていると思う。ごく普通の商品がごくありきた りの売り場で常識的な価格で陳列されているのでは消費者は購入意欲が沸いてこないであ ろう。もっと刺激があるような商品を新しい場所で購入したいと考えているはずである。

「アウトレット」は消費者の新しい購入思考を見事についた新業態であると思う。最近は 消費の二極分化現象が目立ってきた。お金をかけてでも、ほしいものを手に入れる満足感 を重視したい買い方がある。一方、ある予算の限度内で高品質の商品を手に入れたいとす る合理性を優先した買い方もある。後者の買い方の手段の一つとして、新業態アウトレッ ト・モールが注目されるようになってきた。

アウトレット・モールが国内に誕生して10数年が経過しようとしている。当初は裏チ ャネルのように見られていたが、徐々に一流メーカーが参入してくるにつれてようやく一 つの業態として認知されてきた。しかし、まだ不明な部分が多々ある。一つは国内での存 在がまだ不透明なため、事業としての魅力が未知数であること。二つ目は事業経営のマー ケット規模も、将来性についても全く不明であるということである。これらの問題や不明 な部分を解決するため、アウトレット・モールが商業における一つの業態として生活者に 認知されているアメリカのアウトレット・モールと、日本のアウトレット・モールを比較 し、日本で勝ち組に属するアウトレット・モールとはどのような条件であるのかをアウト レット・モールが成立するための基本原則といわれている項目と照らし合わせながら導き 出していきたいと思う。

(2)アウトレットの語源

まずアウトレット・ストアとは正確には「ファクトリー・アウトレット」と呼ばれる。

ファクトリーとは「工場」、アウトレットは「出口」あるいは「はけ口」の意味であり、主 にアパレルやファッション関連の著名ブランドをもつメーカーが直営で、自社製品の在庫 やB級品を破格値で一般消費者に販売する「工場直売店」を意味する。

ファクトリーアウトレットストアは直訳すると「製造業の(過剰在庫品の)はけ口の店」

ということになるが、それが発生の起源をそのまま示している。

アメリカではファクトリーアウトレットストアはアメリカ東部のニューヨークに隣接す るニュージャージー州にあったフレミントン・カットグラスという高級ガラス食器メーカ ーが、多少の傷物、セットのはんぱもの、過剰生産品などを処分するため、工場の隣接し たところに小さい店を設けたのが始まりとされている。1908年(明治41年)のこと

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である。

そして、その店はあまり公にせず、当初は従業員に福利厚生の一端として売っていた。そ れが工場の近隣の住人にも知れわたり、地域社会への企業市民としてのおつき合いとして ひそかに売っていた。

「ひそかに・・・」ということは、当時はひそかに売らなくてはならない理由があったの である。それは、チェーンストアの台頭を抑えて中小商店街を援護するためにロビンソン パットマン法という法律が制定され、その中の「公正取引法」で「同一商品は同一条件の とき同一価格で売らなくてはならない」という価格差別などの競争を制限するような一切 の商取引行為を禁止した連邦法が規制されていたため、1枚ずつ売るとき、たとえ従業員 であろうと隣り近所の人であろうと、大幅に安く売ると違法で摘発され、罰金をとられた からである。また、そのことによりブランドの信用を傷つけては元も子もないという警戒 からである。

しかし残品、傷物が処分できかつ現金収入があるというので、当時、東部でぼっ興して きたアパレル・メーカーは、フレミントン・カットグラスをまねて続々とファクトリーア ウトレットストアを工場に隣接してオープンした。

特に世界的不況でアメリカも不況のドン底にあった1920~30年にかけて「安くて良 いものが買える」という消費者の支持を受けて増大した。当時はファクトリーアウトレッ トストアという名称で統一されていたわけではなく、工場によっては「ミル(工場)ショ ップ」「ファクトリー・アウトレット・ショップ」などとも呼ばれていた。

しかし、大工場では傷物、はんぱ物の出る量も多いので、大きい店をつくると工場に出入 りする関係者に目立つようになった。そこで工場から離れた辺ぴなところに独立して店舗 をつくるようになった。とはいえ、建て前は「ひそかに」なので、山や丘の麓、林や森の 陰など人里はなれたところにつくり、看板も出さず、入口も小さく、店と思えないような 倉庫のような店で販売していた。したがって、お客は口コミで来るだけだったが、「価格的 魅力」は大きく、みんなそこそこの売上を上げていた。

(3)アウトレット・モールの種類

次にアウトレット・モールの種類を分類すると下記の3タイプに分類される。

アウトレット種類

ファクトリーアウトレットストア:ブランド品のメーカーの直営などで経営。

リテールアウトレットストア:百貨店、大型専門店などが経営。

オフプライス・ストア:メーカー、百貨店、大型専門店以外の企業が経営。

ファクトリーアウトレットストアとは上記で記したとおり工場直販店として運営していた が最近、小売業が在庫処理するリテール・アウトレットも増え、ファクトリー・アウトレ

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ットが工場直販店であるのに対し、リテール・アウトレットは在庫処分専用の小売業専売 店ということになっている。

つまり、リテール・アウトレットはファクトリー・アウトレットから派生した業態であり、

ストアブランド(SB)やプライベートブランド(PB)をもつ百貨店や生産機能をもつリテ イラーであるSPA企業の自社(生産)商品、百貨店やチェーン展開している専門店(メガ ストアやカテゴリーキラーを含む)の仕入れ商品も、在庫処分(販売商品)の対象となる。

詳しく述べると百貨店や専門店は在庫処分に頭を抱えていた。百貨店や専門店の処分品の 処理は三つに分かれている。一つはストアブランドのイメージを維持するため、再三の値 下げ特売で売り切れないものは焼却処分をしてしまう。二つ目はブランド・タグを切りと って売ることを条件にオフプライス・ストアへの販売、あるいは中古衣料店、輸出業者へ の販売。この中でもっとも多かったのはオフプライス・ストアへの販売である。三つ目は 自店の常設特売場での大幅値下げによる販売である。この中で三番目の自店の常設特売場 から発展したのがリテール・アウトレット・ストアである。リテール・アウトレット・ス トアとして運営をしたほうが在庫処理に困らずにすむという位置づけからはじまった。

オフプライス・ストア(OPS)とはメーカーやSPA企業が自社商品を処分するファクト リー・アウトレット・ストアとは異なり、百貨店や専門店チェーンで取り扱われるファッ ション・ナショナルブランド(NB)やデザイナーズブランド(DB)の過剰商品(売れ残 り=過剰仕入れ商品)を仕入れ、正価の30%~50%引きで販売する業態である。すな わち、ファクトリー・アウトレット・ストアには商品の仕入れは発生しないが、オフプラ イス・ストアには仕入れが伴う。

アメリカにみるファクトリーアウトレットストアとオフプライス・ストアの大きな違い は「自社生産機能あるいは正価販売チャネルをもっているか否か」にあり、オフプライス・

ストアは「ブランド商品を独自の調達ルートによってオフプライス販売する単独の専門業 態」と位置づけられる。

(4)アウトレット・モールの現状

アウトレット・モールの現状について、アメリカのアウトレット・モールは2000年 の初めに、下記の図のように284ヵ所ある。

アメリカのアウトレット・モールのシェア

全SC アウトレット・モール シェア

SC数 44367ヵ所 284ヵ所 0.64%

総リース数 4億9000万㎡ 522万㎡ 1.06%

総売上高 123兆円 1.7兆円 1.39%

1㎡当り売上 24.9万円 32.9万円 132.12%

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資料:Value Retail News 同時期、一般SCの総数は4万4367ヵ所あるので、アウトレット・モールのシェアは僅 か0.64%で、新業態と注目されながらも、僅か1%にも満たないマイナーな業態であ る。またリース面積についてみると、全SCの総リース面積は4.9億㎡であるのに対して、

アウトレット・モールの総リース面積は522万㎡なので、そのシェアは1.06%であ る。売上高は全SCが123兆8400億円であるのに対して、アウトレット・モールは1 兆7160億円でそのシェアは1.39%である。したがってSC数、リース面積、売上を 総合して勘案すると、アメリカのアウトレット・モールのシェアは全SCに対して約1%が らみで、非常に注目されているが、SC全体を動かす程の勢力ではないといえる。

しかし1㎡当りの売上でみると全SCが24.9万円であるのに対してアウトレット・モー ルは32.9万円なので、1.3倍である。アウトレット・モールはメーカー、小売店の あまり物を安く売っているのに、主流の商品を売るSCより効率は良いということは、アウ トレットの人気の高さを示すバロメーターといってよいだろう。

しかし、アウトレット・モール数は96年に329ヵ所となりピークをむかえ、この年 をピークに減少し始め99年には上記の数字通り284ヵ所となっている。アメリカでは、

この程度がアウトレット・モールの適正数ではないかという声が強いが、モールの入れ替 えがあり、数は減っているが次第に大型化している。すなわち、アウトレット・モールの 開発と淘汰が同時に進行し、淘汰が開発を上回る成熟期へと突入している。同様にアウト レット・モールに出店しているチェーン企業数も87年には281社であったのが95年 には最多となる543社となり、その後96年、97年、98年には492社と減少して いる。またアウトレット・モールの総テナント数は97年の1万3032店に対して、9 8年には1万3654店と逆に増大している。これは小型で規模が不適当なアウトレット・

モールが淘汰され、適正規模あるいは大規模なアウトレット・モールが勝ち残っている結 果を示しているのであろう。

日本のアウトレット・モールの現状について、いまのところアウトレット・モールは少 ないが、その機は熟しており、これからはアウトレット・モールの登場に刺激されると共 に、有望な新業態というので、登場は今後ますます活発するであろう。またアウトレット・

モールの登場する条件が出てきた。それは独禁法の運用強化である。独禁法の運用強化で メーカーは小売店に小売価格の規制ができなくなったことに起因する。

独禁法ガイドライン(流通取引ガイドライン)はメーカーの価格規制のすべてを禁じてお り、小売店の不当返品も禁止している。これがアウトレット・モールやオフプライス・ス トアといった新しい業態を誕生させることになった。

・独占禁止法:私的独占や不当な取引制限、不公平な取引方法を禁止する法律。絶対的な 市場支配力をもつ大企業などが、その力を利用して他の企業の活動を支配・排除すること や、カルテルに代表される不公正な取引などを禁止するのが目的。

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また1973年(昭和48年)に大型店の出店を規制し、中小小売業の事業機会を確保す るため、百貨店法を改正して制定された「大店法」は2000年の5月をもって廃止され、

代わって環境規制の「大店立地法」が施行されたことも1つの要因としてあげられる。

大店法 大店立地法 店舗規模 500 平方メートル 1000 平方メートル 規制の基準 中小商店保護 環境保全

審査の主体 通産省 都道府県、政令都 市

閉店時間 午後 8 時 規制なし 休業日数 年間 24 日 規制なし

上記の図で示しているとおり、「大店法」は大型店の出店に際して、売場面積、閉店時間、

休業日を規制した。特に厳しく規制されたのは売場面積、閉店時間、休業日の三つである。

売場面積については1000㎡以上、閉店時間は午後8時、休業日は年間24日で、それ を超えるときは大店審に申請して許可をもらわなくてはならない。こうした規制を経済規 制といっている。これに対して新しく施行される「大店立地法」は、こうした経済規制は 一切なく、交通安全、交通渋滞、騒音、排気ガスなどの環境規制である。

このように外部からの要因でアウトレット・モール開発に拍車がかかったが日本では生 活に身近な業態としての認知度は依然として低いのが現状である。そのため「有名・高級 ブランドやメーカーの商品が格安で買える」との認識レベルで客が殺到しているのが現状 である。

第2章 アウトレット・モールの基本原則

アウトレット・モールが成立するための基本原則とは「適正立地」「適正商圏」「適正距 離」「適正規模」「適正価格」「適正テナント」「エンターテインメント性」といわれている。

まずは各項目について詳細を述べる。

(1)適正立地について

アウトレット・モールでの買い物における購入動機は、レジャーショッピング(遊びと 買い物を融合した買い物行動)である。百貨店やGMSなどを利用する場合の購買動機とは 基本的には異なる。したがって対象となるマーケットは「レジャーマーケット」でそのな かでも「日帰りレジャー客」と「サイトシーイング(観光)客」の2大マーケットの獲得

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が必要である。それゆえに、アウトレット・モールの適正なる立地は、以下の3タイプに 分類することができる。

① 都市周辺立地の日帰りレジャーマーケットが期待できる立地

アウトレット・モールが必要とする日帰りレジャーマーケットの必要人口は最低でも20 0万人、基準値としては400万人が必要であるため、アウトレット・モールの成立する 立地は「3大都市圏」(東京大都市圏、京阪神都市圏、名古屋都市圏)と「政令指定都市の 都市圏」となる。

② リゾート・観光立地のサイトシーイングマーケット(観光客)が期待できる立地

③ 上記の大都市周辺立地およびリゾート・観光立地の両方のマーケットが期待できる立地 観光地は独自の集客力をもち、観光施設からの波及効果による売上をアウトレット・モ ールは期待できる。同時にアウトレット・モールは、日帰りレジャー客を対象とするため、

遠距離の観光客だけではなく、遊びと買い物を融合させた購入動機をもつ地元客を対象と するマーケットである。それゆえに、観光地と大都市の大規模消費地の中間に位置するこ とが、最も優位に展開できる条件となる。

また交通に関してアメリカは100%車社会であり、買い物も100%車利用である。

対して日本は、車利用3分の1、電車利用3分の1、徒歩・自転車利用3分の1である。

ただし、アウトレット・モールは広域業態であるため、日本では車と電車の2つのアクセ スが主力となる。アウトレット・モールへの利用交通手段としては車が主力とはなるが、

大量交通手段としての電車の駅前立地はいうまでもない。また主要幹線道路に直接にしろ 間接にしろ面していることが成立条件であり、プラスアルファとして大量交通手段との一 体化が望ましい。

(2)適正商圏について

特定の商業業態が得意分野を行かした“型”で成立するためには、一定のマーケット規 模(人口)が必要となる。一つの業態が適正規模で成立するための商圏人口を「成立基礎 マーケット」という。ただし、各業態別に基礎マーケットが存在するからといって、すべ ての業態が成立するわけではない。「立地固有の特性」の活用なくしては、いくら成立基礎 マーケットが存在していても、各業態は成立しない。単に各業態が成立するための裏づけ を提供しているにすぎない。しかし逆に、成立基礎マーケットが存在しないと確実に各業 態が成立しないことも事実である。すなわち、成立基礎マーケットと各業態の成立性は、

必要条件であっても十分条件ではない。

アウトレット・モールの商圏人口は小規模商圏で40万人~100万人、大規模商圏で 200万人~400万人といわれている。上記で述べたようにアウトレット・モールの必 要人口は200万~400万人であるため、この200万人以上の都市圏人口を有する都 市は政令指定都市以上の都市に限定される。政令指定都市の商圏人口は、ほぼ都市圏人口 に近い200万~300万人程度であるが、実は「見えない商圏」が存在する。それは、

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政令指定都市ではない県庁所在地の商圏人口の100万人程度が存在するということであ る。100万人商圏には百貨店、専門店ビル、街区としての専門店街、歓楽街だけではあ るが、200万~300万人の商圏人口をもつ政令指定都市は東京や大阪に出店している 超広域型業態や新都市志向業態が立地しておりミニ商業地を形成している。つまり街区全 体の規模や機能は東京や大阪の中心街より小型であるが、内容的にはほぼ東京・大阪の中 心地に立地する業態がそろっているということである。

(3)適正距離について

アウトレット・モールは母都市(アウトレット・モールが位置する都市)の中心街から 一定の距離をおいた立地でなければならない。なぜならば、アウトレット・モールのテン ントであるアウトレット・ストアは在庫処分型業態であるため、正規の販売店(プロパー)

と棲み分けるためには一定の時間距離が必要となるからである。母都市の大消費地に近け れば近いほど、買い手(お客)にとっては便利であり、売り手(店)にとっても販売機会 が多くなる。逆に、商品の供給という面からみると、母都市の中心街に立地する百貨店や 専門店とのバッティングが起こり、在庫処分やB 級品とはいえ、同じブランド商品が比較 的近い時間距離の場所で二重価格を発生させることになる。母都市の中心街から時間距離 が近いことは大きな問題である。アメリカでは、母都市の中心街から100マイル(約1 60km)距離をおくことが多かったが、現在ではかなり母都市の中心街に近い立地でも アウトレット・モールが開発されている。では中心街とアウトレット・モールの一定の時 間距離とは、どのくらいが適切なのか。基本的には母都市の中心街から10km圏内は集 客力は高いが、アウトレット・ストアの出店の容易さからみると問題が残る。特に、百貨 店と取引きのある有名・高級ブランドやメーカーにとっては、母都市の中心街と至近距離 であることでリーシングしづらくなるのが現実である。したがって、テナントとしてのア ウトレット・ストアの出店の容易さと集客という両面からみて、「20~30km圏」(最 大50km圏)が最もアウトレット・モールが成立しやすい立地ということができるとい われている。

(4)適正規模について

すべての業態には、業態としてパワーを発揮するための適正規模がある。アウトレット・

モールは、商圏規模あるいは売場面積の規模によって、大きく下図の2タイプに分類され ると考えられる。

コンパクト型アウトレットについて商圏人口が100万人程度で、売場面積が3000~

5000㎡(店舗数20~30店)の比較的小型のアウトレット・モールである。このア ウトレット・モールの店舗数と売場面積には、非アウトレット系の飲食施設やアミューズ メント施設は含まれておらず、純粋のアウトレット・ストアのみの規模である。

本格的アウトレット・モールについて商圏人口が200万~300万人程度で、売場面積

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内容

・アウトレットの店舗数20~30店

・アウトレット・モールの売場面積3000~5000㎡

・全体売場面積の20%以上はエンターテインメント施設がほ しい

コンパクト型

アウトレット・モール

・一般店舗の併設はアウトレット・モールの成立性を高める

・アウトレットの店舗数50~150店

・アウトレット・モールの売場面積1万~3万㎡

本格的

アウトレット・モール ・全体売場面積の20%以上はエンターテインメント施設がほ しい

資料:アウトレットモール開発資料・実態調査

が1万~3万㎡(店舗数50~150店)の大型アウトレット・モールである。このアウ トレット・モールの店舗数と売場面積にも、非アウトレット系の飲食施設やアミューズメ ント施設は含まれておらず、純粋のアウトレット・ストアのみである。しかしアウトレッ ト以外の集客が大きければ大きいほど、アウトレット・ストアの成立性を高めることがで きる。アウトレット・モールの主力マーケットはレジャーショッピング(遊びと買い物が 融合した行動)であり、飲食やアミューズメント施設との融合度が高いため、アウトレッ ト・ストア以外の店や飲食・アミューズメント施設が多くとも、基本的にはアウトレット・

モール自体の成立性を低下させることにはならない。つまり大型のアウトレット・モール にはエンターテインメント施設や一般施設が多ければ多いほど集客力が集まり、成立条件 が整うことになるということである。

(5)適正価格について

アウトレット・モールは、パワーセンターなどと同様にエコノミー業態である。エコノ ミー業態とは価格破壊型業態ということであり、価格の安さを訴求点とする商法である。

お客の視点からみて“安い”と感じる価格は「市場価格あるいは競合店の価格より3割安 い」レベルであり、“格安”と感じる価格は「市場価格あるいは競合店の価格より5割安い」

レベルといわれている。その意味において、シーズン落ち商品やサンプル・B級品の在庫処 分市場としてのアウトレット・ストアの価格は「3~5割安い」ものとなり、十分に価格 の安さを訴求することができる。しかし最近はエンターテインメント性にウェイトをおき、

必ずしも価格的に安くないアウトレット・モールも出現しつつある。なお、価格の面でみ ると、母都市の中心街と比較的距離が近い日本では、都心の百貨店や専門店のバーゲン(在 庫処分や見切り処分)とアウトレット・モールとの直接競合が激しく起こることが想定さ れる。

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(6)適正テナントについて

アウトレット・モールのテナントは基本的には「ファクトリーアウトレットストア」と

「リテールアウトレットストア」の2つに分類される。

<ファクトリーアウトレットストア>

ファクトリーアウトレットストアは、文字どおり有力ブランド・メーカーの工場直売店 である。内容的には2種あり、本体の意味でのアウトレット・モールのテナントである。

① 高級志向のブランド・メーカー(ヨーロッパ系の有名ブランド・メーカーに多いタイプ)

② カジュアル志向のブランド・メーカー(アメリカ系の有力ブランド・メーカーに多い)

日本でも SPA(製造直販小売業)の発展により、多くのファクトリーアウトレットストア

がテナントとして出店している。

<リテールアウトレットストア>

ファクトリーアウトレットストアが工場直売店の性格を有しているのに対して、リテー ルストレットストアは百貨店やGMS、あるいはナショナルチェーン(全国的にチェーン展 開している専門店)やリージョナルチェーン(特定の地域でチェーン展開している専門店)

の在庫処分の店舗である。リテールアウトレットストアは、ファクトリーアウトレットス トアと比較して「ブランド集客力」においては魅力度が落ちるが、「地域密着型」という意 味においては、逆に優れている。

アウトレット・モールとしての成功と長期繁栄体制づくりの視点からみると、日本では

「ファクトリーアウトレットストア中心のアウトレット・モール」か「ファクトリーアウ トレットストアとリテールアウトレットストアの半々型のアウトレット・モール」が望ま しい。逆に「リテールアウトレットストア中心のアウトレット・モール」は、品質重視・

権威重視の日本の消費者にはなじまない業態であると考えられる。しかも日本では有名・

高級ブランドの集積力のあるファクトリーアウトレットストア中心のアウトレット・モー ルでも、エンターテインメント施設はぜひとも必要である。またリテールアウトレットス トア中心のアウトレット・モールの場合、アウトレット自体の魅力を補うという意味にお いても、エンターテインメント施設の導入は必須条件である。

(7)エンターテインメント性の付加について

まずはエンターテインメント性の概念について、エンターテインメント(うれしさ)と は「楽しいよろこび」「うれしいよろこび」「おいしいよろこび」「憩うよろこび」の4つの 要素によって成り立っているといわれている。そして、アウトレット・モールとエンター テインメント性の関係については下記のパターンで考えると言われている。

① 基軸となる業態からみて、成立のためには絶対に必要な補完型業態の関係(必要十分型 の関係

② 基軸となる業態からみて、成立のために補完型業態があったほうがよいが、なくてもよ

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い関係

③ 基軸となる業態からみて、成立のために補完型業態がまったく影響しない関係

④ 基軸となる業態からみて、むしろ基軸となる業態にとっては補完型業態が弊害を起こす 関係

ここでいう基軸となる業態とはアウトレット・モールを示しているものであり、補完型業 態とはエンターテインメント性を示している。そこで両者の関係をみてみると、アウトレ ット・モールにとってエンターテインメント性を付加することは成立条件を高めることに はなるが、必ずしも絶対条件としての必要性はない。上記でいうと②に相当する。しかし 言い換えるとアウトレット・モールの業態固有の特性を発揮できる場合には、エンターテ インメント性は低くてもよいが、アウトレット・ストアのテナント自体に強力な個性と集 積力がない場合は、エンターテインメント性は絶対必要な条件となるということである。

第3章 事例:アメリカのアウトレット・モール

(1)ウッドベリー・コモン・プレミアム・アウトレッツ

アメリカ経済の不況期にあたる1985年に、アウトレット・モールの先駆け的存在で ある、「ウッドベリー・コモン・プレミアム・アウトレット」がオープンした。

ウッドベリー・コモンは、アウトレット・モール開発・運営の専門会社であるチェルシー GCAによって開発された。225店のアウトレットを集積させ、単体としてはアメリカ最 大規模を誇っている。(2000年現在)チェルシー社のアウトレット・モールは有名・高 級ブランドやメーカーのアウトレットストアが、それぞれ一戸建ての店舗で配置され、ア ウトレット・モール全体が一つのビレッジ(村)の形態に徹しており、遊歩道スタイルの オープンエアーモールとし、回遊性と界隈性の高いレイアウトとなっている。

ウッドベリー・コモンは、85年11月に第1期オープン当初の総リース面積は2.8万

㎡でしかなかった。その後、隣接する形で93年5月に第2期がオープン、また同年11 月に第3期として帯状に拡張されていった。さらに99年5月には約1年間の建築工期と 6500万ドルの投資をかけ、第4期として2.5万㎡が増床されている。

つまり、ウッドベリー・コモンにおいては100%の入居率を誇り、テナントの出店希 望も常時待ち状態であったために、たえず拡張が行われていたのである。規模の拡大に伴 ってカラーなどにより明確にエリア分けされるようになった。またフードテナントも増強 され、マクドナルドのキオスク型店舗はモール内に複数出店している。同時に駐車場も3 800台から5800台へと拡張された。この第 4 期増床によって、総リース面積は7.

8万㎡、店舗数225店(1店舗当たり平均347㎡)という、アメリカ最強のアウトレ ット・モールが確立されたのである。

ウッドベリー・コモンはファクトリーアウトレット中心のテナント構成が大きな特徴と なっている。したがってエンターテインメント性の楽しさ機能やおいしさ機能は少なく、

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うれしさ機能を中心としたアウトレット・モールである。近くにキャッシュマン・マウン テンの観光地があり、しかもニューヨークの大消費地をにらんだ立地であり、なんと商圏 人口2500万人に達している。また有名・高級ブランド・メーカーのアウトレットが中 心であるため観光客に人気があり、ツアーグループの誘致にも積極的である。チェルシー 社が開発するアウトレット・モールの立地選定は、後背地に大消費地を控えていることや 観光地との回遊線上にあること等の一定基準のほか、既存商業街区との摩擦を少なくする ために母都市中心街からハイウェイで1時間以上の時間距離を有し、アウトレットストア の導入を容易にしていることが特筆される。

(2)オンタリオ・ミルズ

アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス郊外(車で約1時間)のカンタリオ地区に“ミ ルズコンセプト”の代表的SCである「オンタリオ・ミルズ」が1996年11月のオープ ンした。ミルズ型SCのテナント構成は、アウトレットが主体である。しかしアウトレット・

モールという視点でみるより様々な要素が持ち込まれたと考えたほうが適切である(物販 店舗としてはファクトリー・アウトレット、リテイル・アウトレット、オウプライススト ア、カテゴリーキラー、などが揃う)。

つまり、買い物で楽しみ、食事で楽しみ、アミューズメントで楽しみ、モールの演出で 楽しむという概念に価格訴求をプラスしたSCなのである。物販機能とレジャー機能は必ず しも来街動機が一致せず、人は集まるが物の売れない“もてあそばれ型SC”となることが 多いが、ミルズコンセプトのSCは両機能を融合することに成功している。

オンタリオ・ミルズは敷地面積57万㎡、リース面積15万6000㎡、核店舗10数 店、テナント数210店、駐車台数8500台の巨大SCであるが、従来のミルズ型SCと 比較すると、以下の3点で異なることが注目される。

① レーストラック型モールを採用

従来のミルズ型SCは一方向のロード型モールであり、モールの端から端までが長いため 歩くにはかなりの負担があった。しかしオンタリオ・ミルズでは、レーストラック状の回 遊モールとし、かつ中央部にサブモールを設置することにより、回遊性をより高めている。

またモール内は10の区画に分割され、モールの床材や天井のカラーを変えることで、そ れぞれ異なる“場の雰囲気”を演出している。

② 多彩なエンターテインメント施設

従来のミルズ型SCは、大規模フードコートやモールの演出によるエンターテインメント 性が中心であったが、オンタリオ・ミルズではシネマコンプレックスやシアター、ハイテ ク型アミューズメント施設などを2万~3万㎡導入し、テーマパークの性格を強く打ち出 している。

③ アウトレット以外にも、一般の専門店を数多く導入

従来のミルズ方SCは、アウトレットストアを中心に価格訴求力の強いテナントを導入

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してきたが、オンタリオ・ミルズではより幅広い客層を集客するために、一般の専門店も 多数導入している。このため安さや掘り出し物をみつける買い物の楽しさだけではなく、

地域内生活者の支持も獲得しつつある。

このようにオンタリオ・ミルズは価格訴求型テナントにエンターテインメント施設が融 合した、新たなタイプの“バリューセンター”ということができる。一般テナントはアウ トレットストアが中心であるが、ファクトリーアウトレットよりもリテイルアウトレット が主体となっている。観光客よりも地元の日帰りニーズをターゲットとする場合は、アメ リカではリテイルアウトレットのほうが適しているようである。

(3)ファッション・アウトレット・ラスベガス

アメリカのラスベガス中心部から車で約45分(60km)の位置に、「ファッション・ア ウトレット・ラスベガス」が1998年7月にオープンした。ラスベガスは、都市圏人口 としては100万人だが、観光入込数は年間3300万人にも及ぶ一大観光・リゾート都 市である。つまりこの3300万人の観光客を対象にしたアウトレット・モールなのであ る。リース面積は4万2000㎡で、アウトレットゾーンとレジャー施設ゾーンで形成さ れている。アウトレットストアは106店舗を数え、カジノやミニテーマパークが併設さ れている。テナント構成はアウトレットおなじみの店舗が核となり、有力ブランドのアウ トレットストアも数多く導入されている。モール形態は、ミルズ型と同様のレーストラッ ク状であり、ニューヨークのマディソン街からマイアミビーチのオーシャン通りまで、各 都市の代表的ショッピング街のにぎわいが創設されている。また外部には大小100枚の ビルボードが装飾され、それがデザインテーマとなっている。

立地的には、ロサンゼルスとラスベガスを結ぶ主要幹線道路で1日当たり3万6000人 の通行量がある国道に面しているが、ファッション・アウトレット・ラスベガスの特徴は、

なんといっても主要客層が観光客であるということである。

基本的にアウトレット・モールの対象客は、大きく2つに分類される。1つは、後背地 に大消費地を控え、そこからの日帰りレジャー客を対象とするアウトレット・モールであ る。2つめは、後背地の大消費地を対象とするのではなく、観光入込客を主要客層とする アウトレット・モールである。この点、ファッション・アウトレット・ラスベガスは明確 に観光客主要対応型であるということがいえる。アウトレット・モールの性格からファッ ション・アウトレット・ラスベガスをみると、ミルズ型のアウトレット・モールを基軸と しつつ、チェルシー型を付加したアウトレット・モールということがいえる。すなわち、

ミルズ型アウトレット・モールのようにアウトレットストアとレジャー・アミューズメン ト(カジノ)機能を複合させ、モールはレーストラック状の回遊型で、異次元空間演出に よる“回遊する楽しさ”を提供しているものの、テナント構成は有名・高級ブランドが比 較的多く揃っているということである。

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第4章 事例:日本のアウトレット・モール

(1)横浜ベイサイドマリーナ ショップ&レストランツ

三井不動産(株)、横浜ベイサイドマリーナ地区再開発事業の一環として開発した「横浜 ベイサイドマリーナ ショップス&レストランツ」がオープンしたのは、1998年9月 である。敷地面積約32000㎡に、「ファクトリーアウトレットゾーン」(売場面積約1 0000㎡)「シーポートレストランツ」(同約3000㎡)「ファクトリー&マーケット」

(同約2500㎡)の3つのゾーンから構成された。その後、施設構成を一部見直し、新 たに2000年4月に日本初の子供服専門のアウトレット館「キッズアウトレッツ」をオ ープンした。商圏人口は車で1時間圏、約750万人と広域である。対象顧客は19歳か ら29歳までの若い世代と30歳台の新しいファミリー層としている。横浜ベイサイドマ リーナは「フェスティバル&アウトレットモール」をコンセプトとし、“アメリカ東海岸風 のウォーターフロントの港町”を再現している。特徴としては横浜ベイサイドマリーナに は、横浜市および神奈川県全体、さらには東京南部地区の大消費地が控えており、かつ観 光地としての横浜・八景島シーパラダイスと至近距離にある。また、横浜市内や三浦半島 に都市型・自然型の広域集客施設が数多く立地しており、立地的にはまったく問題はない。

交通上のアクセスも車オンリー立地ではなく、JR根岸線新杉田駅と連結している金沢シー サイドラインの鳥浜駅から徒歩5分の場所に位置し、大量交通機関による吸引も期待でき る。

またアメリカのアウトレット・モールの性格を踏まえてアウトレット・モール形態を考 えると横浜ベイサイドマリーナはチェルシー型寄りの中間型の位置づけにある。つまり、

ブランド集客力を重視した“楽しさ機能”である。しかし「この品質の商品が、この値段 で買える」という“うれしさ機能”(エンターテインメント性)も十分に有していると考え る。

(2)マリンピア神戸ポルトバザール

神戸市垂水区のベイエイアゾーンに、三井不動産(株)としては「鶴見はなぽーとブロ ッサム」「横浜ベイサイドマリーナ ショップ&レストランツ」に次いで3施設目となる「マ リンピア神戸ポルトバザール」が、1999年10月にオープンした。ポルトバザールは、

神戸市が“人と海と魚のふれあいの場”を基本テーマに須磨から舞子に広がる海洋レクリ エーションゾーンの中核施設として開発したものである。特徴としては売場面積8082

㎡であり、三井不動産が手掛けたアウトレットレット・モールと比較すると中間の規模に 位置する。ただし、有名・高級ブランドの集積力は高く、その意味においてはひと味違う 強さを持っているアウトレット・モールだといえる。テナント構成もスポーツ系とファッ ション系が均等に混合したテナント構成となっている。

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ポルトバザールは有名・高級ブランド、メーカーを集積したアウトレットストアを柱に、

もう一方の柱としてシーポートレストランツで構成されている。しかもレストラン街は、

雄大な明石海峡大橋を間近に望む絶好のロケーションを得ている。ポルトバザールの施設 コンセプトは“南欧の港町”であり、瀬戸内海と明石海峡大橋のイメージにマッチした外 観となっている。また商圏は、車で60分圏の500万人を想定し適正である。立地に関 しても大阪・神戸大都市圏の大規模消費地の日帰りレジャーコース上にあること、神戸お よび垂水・明石・淡路島の観光地の回遊線上にあること、ロードアクセスがよく、かつ垂 水駅から徒歩9分圏に位置していることなどから絶好の立地に適している。

加えて、大阪中心部や神戸中心街から一定の距離があるため、都心立地の百貨店や専門店 との摩擦が少ないことも、有利なリーシングを展開することができる。

(3)りんくうプレミアムアウトレット

「プレミアム・アウトレット®」は、アメリカで完成された本格的アウトレット専業のシ ョッピングセンターで、全店舗、世界各国の著名ブランドが直接出店する、アメリカ生れ の全く新しいスタイルであり、非日常的な空間で一日中ショッピングを楽しめるのが特徴 である。

日本のプレミアムアウトレットは4つのコンセプトを目標に掲げている。

① 世界各国の著名「ブランド」の持つ「信用」と「品質」により、お客様に安心できる ショッピングを提供します。

②「高品質なサービス」により、お客様に楽しいショッピングを提供します。

③「非日常空間の演出」により、お客様に快適ショッピングを提供します。

④全ての商品を毎日オフプライスで提供します。

りんくうプレミアムアウトレットの外観イメージはアメリカの歴史ある港町チャールス トンをイメージ、2階建ての建物が立ち並ぶリゾート感あふれる美しい街並みの中でショッ ピングが楽しめる。商圏人口は関西国際空港の玄関として空・陸・海の交通アクセスは完 備しており、プレミアム・アウトレットの集積する有力テナントもブランドプレミアム度 からも商圏は広く、大阪を主に、南は和歌山から、北は京都・奈良、西は神戸までと対象 範囲は広く、2000万人以上、日本各地からアジア諸国など海外からの来場者も期待で きる。アウトレット形態はファクトリーアウトレットストアで、テナント構成は日本初出 店、関西初出店、初表示店舗は目立つ。オープン当初はレディス店舗が多くみうけられた が増設の際にメンズ店舗や服飾雑貨まで幅広いカテゴリーがオープンするなど2002年 3月現在で120ショップの日本最大級のアウトレット・モールになった。りんくうプレ ミアムアウトレットの特徴は巨大な敷地面積を有し、また観光立地をターゲットにするこ とで商圏範囲だけでなくお客を囲い込むのが特徴である。さらにプレミアム・イベント・

スペースという期間限定のショップを設置し、新鮮な店舗を毎回オープンするイベント、

また45000円相当のレシートを各ショップの割引や近隣施設の情報が記載されている

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パスポートと交換するなどお客のリピーター確保のためのプロモーションにも特徴がある。

第5章 考察・まとめ

(1)考察:日本型アウトレットとは

日本とアメリカのアウトレットの特徴を比較してみると、ある型にはまったアウトレッ ト戦略を展開していることがわかった。すなわちアメリカはチェルシー型アウトレットで 日本はミルズ型とチェルシー型を融合した型ということである。

この2つの戦略を細かく分析してみる。まずチェルシー型アウトレットとは次の4つの戦 略である。

①都心部から80キロ~100キロは離れた遠隔地に解説する。

但し、インターチャンジからは近く、背後に観光・レジャーエリア(箱根・富士・関西 国際空港)を有し、中継地点とする。これで有力ブランドの出店を容易にすることがで きる。

②集客のための努力に万全をつくす。

電車の便に弱点があれば、バスツアー、観光コースの組み入れ、無料シャトルバスの運 行、クーポンブック、パスポート、イベントの実地など販促活動の強化。

③自治体、地元の支援・協力を確保 初期投資を抑え、運営にプラスする。

④有力ブランドを集積したテナントミックスを実地

(3) ニューファミリー主体にあらゆるターゲット(リピート客、観光客等々を含む)

に、ファッションブランドからスポーツ、アウトドア、カジュアル、生活雑貨、

靴・シューズ、鞄・皮革製品、服飾雑貨、宝石・時計、ギフト用品まで幅広い ジャンルの商品、テナントを取り揃える。

(4) 各ジャンルの商品は、プレミアム・アウトレットしかない著名ブランド、又、

アウトレット・モールの常連店舗でも人気ショップ、キーショップとなってい るショップで来客者の満足を得る。

次にミルズ型アウトレットについては3つの特徴があげられる。

①基本的には百貨店・GMSの在庫放出店を核店としている。

商品的には有力・高級ブランド・メーカーのテナントを揃えたファクトリーアウトレッ トモールからみると魅力不足となるが、ミルズ型はチェルシー型とはコンセプトが異な り、リテイルアウトレットストアにエンターテインメントの要素を融合させた業態であ る。

②強力なエンターテインメント機能をもつ。

エンターテインメントの3要素である「楽しさ」「うれしさ」「おいしさ」を備えている。

③顧客ターゲットが特定多数

客層的には、広域買い物客と日帰りレジャー客が中心であり、プラスアルファとして観

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光客がターゲットになる。広域買い物客というのは、地域圏内生活者が対象であるため、

ミルズ型のアウトレット・モール内のエンターテインメント施設は、観光客を対象とし た異次型ではなく、地域圏内生活者を対象としたファミリー志向の強い時間消費型で、

アミューズメント施設やテーマパークレストランを導入し大いに演出している。

アメリカではこの2つの企業が特色を駆使しアウトレット・モールを展開した二極化の 方向に進んでいるが、世界一質の高い日本の生活者を満足させるには、チェルシー型とミ ルズ型のアウトレット・モールのよさを融合させなければならないのではないだろうか。

現時点において日本の企業が展開して成功しているアウトレット・モールは横浜ベイサイ ドマリーナ ショップ&レストランツ(チェルシーがたとミルズ型の融合であるが、どち らかといえばチェルシー型に近い)と鶴見はなぽーとブロッサム(チェルシー型とミルズ 型の融合型であるが、どちらかといえばミルズ型に近い)となっている。流通理論的にみ ても、日本は一極化型であり、アメリカの二極化型の得意分野を融合した型が成功度が高 いといえる。ただし、やはり原理原則的には、アウトレット・モールは物販としてのアウ トレットストアが強力であることが前提であり、エンターテインメント機能はあくまでプ ラスアルファの付加機能であるとの認識をもつ必要があると思われる。

(2)まとめ

2000億円規模になったといわれているアウトレット市場は百貨店、量販店、通販販 売、コンビニなどと同様に消費流通市場におけるポジションを確保したといえるが、まだ 未知数の部分が考えられる。アメリカと違い狭い日本のアウトレット・モールは、周辺住 民のニ0ズを認識して食品スーパーや一般物販店を併設したアウトレット・モールなど、

その業態は多様であり、日本市場に対応したアウトレット・モールの成果は未知数である。

現状では、アウトレットの事業化した三井不動産のモールとアウトレット先進国アメリカ での開発、運営ノウハウを生かす、チェルシー・ジャパンのモールなどが市場をリードす る形で進展を見せている。しかし、両社の間にもアウトレットのあり方については微妙な ズレが存在する。例えばチェルシー・ジャパンに対して、三井不動産は、アウトレットは 売れるからといって専用品を生産・販売するべきではない、アウトレットはあくまでも季 節遅れの在庫品や規格外(キズものやサンプル品)商品などを処分してレギュラーショッ プの効率を向上させると同時にブランドの品質とブランド力の向上を目指すものでアウト レット市場は売上高では限界があるとする見方である。チェルシー・ジャパンはアメリカ での経験からアウトレットは高級ブランド品のセカンドラインの流通機関としての位置付 けているものといえる。この動きには国内有力アパレルもつい自由する動きを見せており、

一つの消費流通チャネルとして発展するか今後が注目される。アウトレット市場規模を推 計するとどちらの考えが日本に適しているかが明確になるだろう。日本は90年代初頭が アウトレット・モールの萌芽期であり、日本の経済が最悪状態の90年代末がアウトレッ

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ト・モールの成長期となっている。今後の日本のアウトレット・モールは2000~20 10年ごろが全盛期、2010年以降が成熟期と想定される。

アウトレット・モールのライフサイクル

ライフサイクル 年代

萌芽期 1990年代前半

成長期 1990年代後半

全盛期 2000年代

成熟期 2010年以降

資料:アウトレットモール開発資料・実態調査

では一体、日本では何ヶ所ぐらいのアウトレット・モールが成立するのだろうか。上記 でも論じたようにアメリカの売上高はアパレル業界の約1%であり、これがアメリカのア ウトレット・モールの需要ということができる。アメリカの小売業全体に占めるアウトレ ット・モールの売上高の関係から、日本におけるアウトレット・モールの市場規模を予測 すると、アウトレット市場は3840億円~7680億円(97年の商業総計をもとに算 定)が期待できる。また成立可能なアウトレット・モール施設数について、アメリカのア ウトレット・モールでは、1施設当たり売場面積約1万9000㎡、売上高約40億円が 平均的規模である。日本では、SCの日米比較による特殊性を考慮すると、1施設当たり売 場面積約1万㎡、売上高約60億~70億円が平均的規模と推定され、適正数をアメリカ 並みの水準まで発展すると仮定した場合、110ヶ所~130ヶ所のアウトレット・モー ルは成立することになる。対して、アメリカと日本の流通事情の違いからアウトレット市 場を最低水準で仮定すると、50~60ヶ所のアウトレット・モールが成立することにな る。このようにアウトレット・モールは現在はまだ発展途上の段階ではあるが、いずれは 飽和状態になるという危機感を持ち続けなければならない。今後発展させるためにも日本 型アウトレット・モール(ブランド力とエンターテインメント性の融合)を確立した戦略 で顧客から流通市場での一つの業態として認識させなければアウトレット市場は飽和する と考えられるであろう。

参考文献

・ 売れるアウトレット・ストアのつくり方 波形克彦・志摩宏彦編著 経林書房

・ アウトレットモールの実態と展望 株式会社矢野経済研究所

・ アウトレットモール開発調査・実態調査資料 六車秀之編著 綜合ユニオム

・ これが「アウトレット・モール」だ : これから成長する新型ショッピングセンター 波 形克彦, 山岡敬始著 経営情報出版社

(20)

・ 21世紀を勝ち抜く経営戦略 波形克彦編著 経林書房

・ アメリカ流通業の差別化戦略 : 業種別最新レポート 波形克彦編著 二期出版

・ 英和アメリカ法律用語辞典 ダニエル・オラン著黒川康正, 西川郁生監訳 PMC出版

・ プレミアムアウトレットジャパン(株)HP:http://www.premiumoutlets.co.jp/rinku/

・ (株)三井不動産HP:http://www.mitsuifudosan.co.jp/home/

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