1
生産緑地が周辺に及ぼす外部性についての分析
政策研究大学院大学 まちづくりプログラム
MJU13609 煤賀達
1. はじめに
1991
年に生産緑地法が改正され,現在,三大都市圏 特定市における市街化区域内の農地は,「保全する農 地」として生産緑地と「宅地化する農地」として宅地化 農地に区別されている.生産緑地と宅地化農地とでは,差別的な税制がとられ ており,生産緑地は「農地並み課税」がされ,宅地化農 地の「宅地並み課税」に比べ,固定資産税の減免等,大 幅な税制優遇がなされることとなる.このような税制イ ンセンティブにより,1991年の改正以来,多くの農地 が生産緑地地区の指定を受けている.しかし,土地は有 限の資源であり,生産緑地を増やせばその分だけ宅地が 減る関係にある.したがって土地の有効活用のためにも 適切な資源配分が求められる.生産緑地への課税の優遇 は,効率的な宅地化形成を阻害することが考えられる.
さらに,生産緑地が都市の中に混在することにより,
土埃,悪臭,虫の発生や農薬等が近隣に影響を及ぼし,
都市においてディスアメニティになることも考えられる.
都市において公害・災害防止機能や緑地機能等の正の外 部性が期待されている生産緑地は,同時に負の外部性の 要素を含んでいるといえる.
本研究は,生産緑地について,外部性に着目し,税制 が効率的であるかを経済学的に示すことを目的とする.
そこで,本稿では,生産緑地が近隣に及ぼす正・負の外 部性を明らかにし,ヘドニック・アプローチの手法を用 いて,実証分析を行った.
2. 生産緑地制度の概要 2.1 生産緑地制度の現状
現在,三大都市圏特定市の市街化区域農地はすべて,
「保全する農地」として生産緑地と「宅地化する農地」
として宅地化農地に区分されており,それぞれに異なる 課税措置がとられている.農地への課税の分類について,
図
1
に示す.図 1 農地への課税の分類
生産緑地に指定されると一般農地として評価され,固 定資産税及び都市計画税の大幅な減免がされる.また,
相続税の納税を猶予できる.都市計画に位置づけること
や税制の優遇措置により,生産緑地の安定性が高められ ているが,30年間の営農義務や建築行為や農地以外へ の転用等の行為制限が課されている.また,相続税の納 税猶予の条件として,終生の営農が義務付けられている.
一方で,宅地化農地については,宅地並みに課税されて おり,固定資産税については宅地価格の
3
分の1
が課税 価格とされ,都市計画税については宅地価格の3
分の2
が課税価格とされている.相続税の納税猶予制度につい ては,適用が除外されている.図
2
に生産緑地及び宅地化農地の面積の推移を示す.図 2 三大都市圏特定市の市街化区域内農地面積の推移 (単位:ha)
出典:国土交通省ホームページ
2.2 生産緑地制度の背景
1991
年に生産緑地法が改正された背景として,1980 年代半ばから始まった都心部の地価高騰がある.地価が 高騰し住宅取得が困難になったことにより,1968年の 新都市計画法制定時から議論されていた市街化区域内農 地の宅地並み課税導入が再び議論されるようになった.それまで,市街化区域に残存する農地に対して,市街化 区域内の農業者の営農意欲に妥協したことにより宅地並 み課税が事実上行われてこなかったが,生産緑地法が改 正,また,それまで多くの農地が適用を受けていた長期 営農継続農地制度が廃止され,市街化区域内農地は生産 緑地と宅地化農地に峻別され,宅地化農地には宅地並み 課税が課されることとなった.生産緑地法の改正に伴い,
農地所有者は,生産緑地か宅地化農地かの選択を迫られ ることとなった.
3. 税制の効率性について
3. 1 差別的な税制が市場に及ぼす影響
市街化区域内の農地については,宅地並み課税が適用 されるが,多くの農地が生産緑地に指定されることによ り,宅地並み課税の適用除外を受けている.以下に,差 別的な税制が市場に及ぼす影響を示す.
図
3
には,土地保有税がない場合に一定の量の土地が2
農地と宅地に配分される場合を示している.地代
宅地の需要曲線 農地の需要曲線
図 3 土地保有税がない場合
横軸は土地の量,縦軸は地代である.宅地の量を左側 の原点
OH
から右側に,農地の量を右側の原点OF
から 左側にとると,土地の配分量は,それぞれの需要曲線が 交差する点で均衡する.したがって,OHからXo
まで が宅地として使われ,OFからXo
までが農地として使 われる.均衡地代はA点である.
図
4
には,土地保有税が農地と宅地に等しく課される 場合を示している.地代
宅地の需要曲線 農地の需要曲線
農地課税 宅地課税
H
図 4 土地保有税が等しい場合
宅地と農地に等しく土地保有税が課されると,図
3
で 示した需要曲線は,宅地は1
単位あたりBE,農地は 1
単位あたりCF
の幅だけ下方にシフトする.均衡地代はA
点からG
点に下がるが,土地の配分量は変化しない.このとき,台形
ABEG
が宅地の税収で,台形AGFC
が 農地の税収である.図
5
には,土地保有税が差別的な場合を示している.地代
宅地の需要曲線 農地の需要曲線
農地課税 宅地課税
図 5 土地保有税が差別的な場合
宅地への課税を図2の場合と同額にする一方で,農地 への課税を1単位あたりCHとし,宅地への課税よりも優 遇した場合,それぞれの需要曲線は下方にシフトし,K 点が均衡地代となる.このとき,OHからX’までが宅地 としてOFから
X’
までが農地として使われる.また,差 別的な税制は,三角形AIJの分だけ死加重を生じさせる.3. 2 負の外部性がある場合
以下に,農地に負の外部性があると仮定したときの 市場への影響を示す.
図
6
には,農地に負の外部性がある場合を示している.地代
宅地の需要曲線
H
農地の需要曲線 負の外部性
図 6 負の外部性がある場合
このとき,農地
1
単位あたりCL
の分だけ外部性があ ると仮定すると台形AMLC
がこの市場における農地の 負の外部性となる.3. 3 効率的な税制
ここでは,効率的な税制について考える.
図
7 には,土地保有税が等しく,かつ,負の外部性に
応じてピグー税を課す場合を示している.
地代
宅地の需要曲線 農地の需要曲線
農地課税 宅地課税
H ピグー税
図 7 土地保有税が等しく,かつ,ピグー税を課す場合 まず,土地保有税について考える.図
7
では,宅地1
単位あたりの土地保有税がBE,宅地の土地保有税の合
計が台形BEGA
,農地1
単位あたりの土地保有税がCF
でBE
と同額であり,農地の土地保有税の合計が台形AGFC
である.図5
で示したように,土地保有税が差別 的な場合,死加重が生じ,土地利用が非効率的になって しまうが,図4
で示したように,土地保有税が等しく課 された場合,宅地及び農地の配分量は変化せず,効率的 な土地利用が達成される.次にピグー税についてである.図
7
では,農地1
単位 あたりの負の外部性がFS
,農地の負の外部性の合計が 台形GQSF
で示されている.ここで,農地1
単位あたり から生じる負の外部性分と同額にあたるFS
のピグー税 を課すことで外部性を内部化することができる.ここまでの議論は,農地と宅地を対象にしてきたが,
土地保有税が差別化されていること,外部性が生じると 考えられることから,農地を生産緑地に宅地を宅地化農 地と置き換えて考えることができる.
4. 生産緑地が地価に与える影響に関する実証分析 4.1 仮説
生産緑地には,二つの外部性があることが考えられる.
一つ目に,正の外部性である.正の外部性については,
公害・災害防止機能,緑地機能,景観への寄与等がある.
二つ目に,負の外部性である.負の外部性については,
土埃,悪臭,虫の発生や農薬の飛散等が考えられる.
このように,生産緑地には正の効果が期待されるもの の,農地の耕作状況によってはかえって景観を損ねる可
3
能性があることが考えられる.また,緑地としての機能 は公園等には期待されるが,農地が必ずしも発揮するも のではないことも考えられる.一方で,負の外部性につ いては,農業を行う上で避けることが難しい要素である ため,住宅等の至近距離においては,負の効果が正の効 果を上回り,地価を低下させていることが考えられる.そこで,「住宅等の至近距離に生産緑地や宅地化農地 が存在すると,正の効果よりも負の効果が顕著に表れ,
地価を低下させている」ということを仮説として設定し,
実証分析を行うこととする.
4.2 分析の方法
生産緑地が周辺に及ぼす影響を計測するために,ヘド ニック・アプローチを用いた実証分析を行う.今回の分 析では,地理情報システムを用いて地価公示の標準地周 辺の生産緑地等の面積を集計した.分析にあたっては,
都市農地や緑地等の属性の違いによる影響を計測するた め,生産緑地,宅地化農地,公園等に分類して行った.
4.3 分析の対象
生産緑地が近隣に及ぼす影響は,各地域が持つ様々な 条件によって異なることが考えられる.本研究では,世 田谷区及び横浜市の住居系地域について影響を分析し,
比較することとする.
4.4 使用するデータ
世田谷区については,同区から借用した
2011
年の土 地利用現況調査データ,東京都から借用した2011
年の 土地利用現況調査及び2011
年の地価公示で公表されて いる標準地のデータを使用した.横浜市については,同市から借用した
2008
年の都市 計画基礎調査データ,都市計画決定データ及び2008
年 の地価公示の標準地のデータを使用した.4.5 推計モデル及び変数の説明
4.5.1
世田谷区の推計モデル世田谷区の推計モデルは,次のとおりである.
(式 1)
Z FO FO
PA PA
TN TN
SR SR
LP
i i
i i
i i
i i
2 8 1 7 2 6 1 5
2 4 1 3 2 2 1
)
1ln(
誤差項
地価を説明する変数
以内の樹林面積
~ 半径
以内の樹林面積 半径
以内の公園面積
~ 半径
以内の公園面積 半径
以内の宅地化農地面積
~ 半径
以内の宅地化農地面積 半径
以内の生産緑地面積
~ 半径
以内の生産緑地面積 半径
パラメータ 定数項
Z FO FO
m PA
PA TN TN SR SR
200m 25m 25m
200m 25
m 25
200m 25m 25m
m 200 25m 25m
2 1 2 1 2 1 2 1
被説明変数は,2011年公示地価 (円/㎡) の対数値を用
いた.また,iは公示地価ポイントを表している.
4.5.2 横浜市の推計モデル
横浜市の推計モデルは,次のとおりである.
(式 2)
Z TR TR PA
PA
TN TN
SR SR
LP
i i
i i
i i
i i
2 8 1 7 2 6 1 5
2 4 1 3 2 2 1
)
1ln(
誤差項
地価を説明する変数
区面積 以内の特別緑地保全地
~ 半径
区面積 以内の特別緑地保全地 半径
以内の公園面積
~ 半径
以内の公園面積 半径
以内の宅地化農地面積
~ 半径
以内の宅地化農地面積 半径
以内の生産緑地面積
~ 半径
以内の生産緑地面積 半径
パラメータ 定数項
Z TR TR PA PA TN TN SR SR
200m 25m 25m
200m 25m 25m
200m 25m 25m
200m 25m 25m
2 1 2 1 2 1 2 1
被説明変数は,2008年公示地価
(円/㎡)
の対数値を用 いた.また,横浜市については,市域面積が広く,行政 区によって地域特性があると考えられるため,行政区ダ ミーを変数として設けた.4.6 推計結果
4.6.1 世田谷区の推計結果
世田谷区の推計結果は,表
1
のとおりである.表 1 式 1・推計結果 (世田谷区)
被説明変数:ln地価 係数 標準誤差 t値 有意水準
半径25m圏内の生産緑地面積(㎡) -0.0001805 0.0000901 -2.00 **
半径25m~200m圏内の生産緑地面積(㎡) -0.0000042 0.00000508 -0.83 半径25m圏内の宅地化農地面積(㎡) -0.0004162 0.0001361 -3.06 ***
半径25m~200m圏内の宅地化農地面積(㎡) -0.0000141 0.00000633 -2.22 **
半径25m圏内の公園面積(㎡) -0.0005053 0.0002701 -1.87 * 半径25m~200m圏内の公園面積(㎡ -0.00000434 0.00000565 -0.77 半径25m圏内の樹林面積(㎡) 0.0000569 0.0000817 0.70 半径25m~200m圏内の樹林面積(㎡) 0.00000627 0.00000315 1.99 * 半径500m圏内の商業施設面積(㎡) 0.00000182 0.00000156 1.17 半径500m圏内の教育文化施設面積(㎡) 0.000000723 0.000000434 1.67 * 東京駅までの距離(m) -0.0000329 0.00000773 -4.26 ***
最寄駅までの距離(m) -0.0002811 0.0000412 -6.82 ***
地積(㎡) 0.0002028 0.0000642 3.16 ***
指定建蔽率(%) -0.0044673 0.0025448 -1.76 * 低層住居地域ダミー -0.0570672 0.1508468 -0.38 住居地域ダミー 0.0026237 0.0328077 0.08
定数項 13.87072 0.1496922 92.66 ***
決定係数 0.758
観測数 113
***、**、*はそれぞれ、1%、5%、10%で有意であることを示す。
世田谷区の生産緑地面積の係数符号は半径
25m
圏内,半径
25mから 200m圏内ともに負であり,半径 25m圏内
については生産緑地面積の合計が
1
㎡増えるごとに地価が
0.018
%低下することが5%水準で統計的に有意に示
された.宅地化農地についても係数符号は半径
25m
圏 内,半径25m
から200m
圏内ともに負であり,半径25m
圏内については1%水準で,半径 25m
から200m
圏内については
5%水準で統計的に有意に示された.
4.6.2 横浜市の推計結果
横浜市の推計結果は,表
2
のとおりである.4
表 2 式 2・推計結果 (横浜市)被説明変数:ln地価 係数 標準誤差 t値 有意水準
半径25m圏内の生産緑地面積(㎡) -0.0003367 0.0001926 -1.75 * 半径25m~200m圏内の生産緑地面積(㎡) -0.00000725 0.00000219 -3.32 ***
半径25m圏内の宅地化農地面積(㎡) -0.0000859 0.0000838 -1.02 半径25m~200m圏内の宅地化農地面積(㎡) -0.00000294 0.00000267 -1.10 半径25m圏内の公園面積(㎡) -0.0000759 0.0000393 -1.93 * 半径25m~200m圏内の公園面積(㎡) -5.52E-09 0.00000103 -0.01 半径25m圏内の特別緑地保全地区面積(㎡) -0.0000521 0.0000967 -0.54 半径25m~200m圏内の特別緑地保全地区面積(㎡) -0.00000127 0.00000216 -0.59 半径500m圏内の商業用地面積(㎡) 0.00000313 0.00000035 8.95 ***
半径500m圏内の文教厚生用地面積(㎡) 0.000000435 0.000000137 3.17 ***
東京駅までの距離(m) -0.0000969 0.00000717 -13.5 ***
最寄駅までの距離(m) -0.0000192 0.0000032 -6.00 ***
地積(㎡) 0.000000887 0.000000315 2.81 ***
指定建蔽率(%) -0.0035038 0.0010409 -3.37 ***
低層住居地域ダミー 0.0045559 0.017806 0.26 住居地域ダミー -0.0394009 0.0184065 -2.14 **
行政区ダミー (省略)
定数項 10.49219 0.197823 53.04 ***
決定係数 0.7741
サンプル数 589
***、**、*はそれぞれ、1%、5%、10%で有意であることを示す。
横浜市の生産緑地面積の係数符号は半径
25m
圏内,半径
25mから 200m圏内ともに負であり,半径 25m圏内
については生産緑地面積の合計が
1
㎡増えるごとに地価が
0.033%低下することが 10%水準で,半径 25m
から200m
圏内については生産緑地面積の合計が1
㎡増える ごとに地価が0.0007%低下することが 1%水準で統計的
に有意に示された.宅地化農地についても統計的に有意 ではないものの,係数符号は半径25m
圏内,半径25m
から200m
圏内ともに負が示された.5. 考察
実証分析の結果から,生産緑地及び宅地化農地は,
負の外部性をもたらすことが示された.
生産緑地及び宅地化農地の負の外部性は,地価公示点 から距離が近ければ近いほど大きくなることが明らかに なった.このことは,土埃,悪臭,虫の発生や農薬等が 近隣に影響を及ぼしていることを示唆していると考えら れる.負の外部性の原因について,生産緑地の近隣住民 やある市の農政担当者にヒアリングを行ったところ,こ れらの影響が農地のマイナス面として挙げられ,市にも 苦情があるとのことである.この他にも,街灯が少ない 住宅地に生産緑地等があると暗がりになるといった治安 の面や,農地の手入れが十分になされていないため雑草 が生い茂り景観を崩してしまうと同時に虫が発生すると いうことが挙げられた.これらの側面が周辺に負の外部 性を及ぼしていると考えられる.負の外部性の他にも,
生産緑地には,公害・災害防止機能,緑地機能,景観へ の寄与等の正の外部性が期待されていることは前述のと おりである.この他にも,宅地の南向きに生産緑地が面 していると日当たりが良くなるということや,土や植物 が存在することで安心感が得られるといった心情的な面 がヒアリングで挙げられた.しかし,今回の推定結果に よると,負の効果がこれらの正の効果を上回っているこ とを示していると考えられる.
生産緑地と宅地化農地とでどちらがより大きく負の外 部性を及ぼすかについて,世田谷区については,同一距
離帯において生産緑地の方が宅地化農地に比べ負の外部 性が小さいことが示されたが,横浜市については,生産 緑地の方が宅地化農地に比べ外部性が大きいことが示さ れた.今回の実証分析の結果からは,生産緑地と宅地化 農地の負の外部性は一般的にどちらが大きいかを判断す ることができないが,世田谷区及び横浜市のどちらの地 域においても生産緑地には負の外部性があることが統計 的に有意に示されている.このことから,外部性を根拠 に生産緑地の税制を優遇することは妥当でないと考えら れる.
以上のことを踏まえると,生産緑地への税制優遇は,
宅地を縮小させ死加重を発生させることに加え,負の外 部性が存在することで非効率性を拡大させていることが 本研究の示すところと考えられる.
6. 政策提言
前章の考察を踏まえ,現行の生産緑地の税制優遇の 見直しについて提言を行う.
第
3
章で,生産緑地への税制優遇は,宅地供給とトレ ードオフの関係になり,効率的な土地利用を阻害してい ることを示した.また,実証分析により,生産緑地から 生じる負の外部性により,非効率が拡大することを示し た.このことから,生産緑地への税制優遇を廃止し,外 部性を考慮した上でピグー税により内部化を図ることを 提言する.7. おわりに
本稿では,生産緑地が周辺に及ぼす外部性について分 析を行った.その結果,生産緑地は,周辺に負の外部性 を及ぼしていることが明らかになった.前提として,生 産緑地への税制優遇により有効な土地利用が阻害される ことから,税制の見直しについても言及した.市街化区 域農地の差別的な税制については長年の議論がなされて いるが,今後様々な地域のまちづくりを考えるにあたり 参考になるものと考える.
しかし,検証すべきと思われる課題も明らかになった.
本稿では,個々の耕作状況や連担性については,考慮に 入れて分析することができなかった.地域によっては,
農産物の種類,耕作方法を工夫すること,配置を集約す ることによって,景観や環境保全機能が期待され,正の 外部性を及ぼすことも考えられる.また,住宅の密集度 合いや住民の属性等によっても生産緑地が与えるインパ クトは異なるものになることが考えられる.より鮮明な 分析をするために,これらの要素についても踏まえた上 でさらなる検証が必要と思われる.
主な参考文献
金本良嗣 (1997) 『都市経済学』東洋経済新報社
後藤光蔵 (2003) 『都市農地の市民的利用 成熟社会の「農」を探る』日 本経済評論社