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総合分担研究報告 

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Academic year: 2022

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(1)

平成25年度厚生労働科学研究補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業:H23-次世代-指定-008)

総合分担研究報告 

「妊婦抗体スクリーニング体制の整備」 

 

分担研究者:①木下勝之(日本産婦人科医会副会長) 

②田中政信(日本産婦人科医会常務理事) 

研究協力者:①木下班:神谷直樹(日本産婦人科医会常務理事)、宮﨑亮一郎(日本産婦      人科医会常務理事)、五味淵秀人(日本産婦人科医会幹事長)、栗林  靖 

(日本産婦人科医会副幹事長) 

②田中班:中井章人(日本産婦人科医会常務理事)、塚原優己(日本産婦人  科医会副幹事長)、鈴木俊治(日本産婦人科医会幹事)、松田秀雄(日本  産婦人科医会幹事) 

 

研究要旨: 

本研究事業の目的は、その栄養法等による児への感染状況等を検証し、わが国の HTLV‑1 母子感染予防に寄与することである。よって、本研究事業を遂行するにあたり、まず窓口 である全国の日本産婦人科医会(日産婦医会)会員に本研究の発足を周知し、2,642 件の 分娩取扱医療機関に対し、研究協力を依頼した。 

さらに、HTLV‑1 キャリア妊婦の実態を把握するために、登録されている分娩取扱施設 2,642 件にアンケート調査をお願いし、1,857 施設(70.3%)より回答があった。694,869 人の妊婦のうち HTLV‑1 キャリア(WB 陽性者+PCR 陽性者)は 936 人(0.135%)であった。

HTLV‑1 キャリア率は九州地方では 0.458%であったのに対し、関東地方では 0.063%であ った。わが国の総分娩数から推定した HTLV‑1 キャリア妊婦数は 1,620 人で、約半数の 820 人が九州地方在住であった。長崎県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県など南九州地方に感染率 が高い傾向を示した。 

   

A.研究目的: 

  本研究事業の目的は、その栄養法等によ る児への感染状況等を検証し、わが国の HTLV‑1 母子感染予防に寄与することであ る。本研究事業は一医療機関が行うわけで はなく、また、HTLV‑1 母子感染の前方視的 全国調査としては、わが国としては初めて の試みであり、また、最後のチャンスと捉 える。よって本研究事業を全国の妊婦にお いて可能な限り漏れが無いように推進する ため、日産婦医会は本事業に参加した。 

 

 

B.研究方法: 

1.研究班発足の周知と協力機関の登録  日産婦医会が開催する会議や講演会等を 利用し、スクリーニング検査・確認検査の 方法や結果の取り扱い、栄養方法を含めた 研究の目的や方法の説明を行い周知に努め た。また、板橋研究責任者の要請に対し、

日産婦医会で把握している分娩取扱医療機 関のうち、総合・地域周産期母子医療セン ターおよび地域基幹病院等の責任者あてに 依頼書を送付し、登録を広報した。 

(2)

2.HTLV‑1 抗体陽性妊婦に関するアンケ ート調査 

  日本産婦医会では、 HTLV‑1 母子感染予 防に関する研究に参加するにあたって、前 方視的な研究の基盤として、登録されてい る分娩取扱施設 2,642 にアンケート調査を 実施した。アンケートの質問項目は以下の 通りである。 

  1)平成 23 年の全国分娩取扱施設におけ る HTLV‑1 抗体スクリーニング検査および 確認検査(WB 法検査)等の結果。 

  2)平成 23 年の全国分娩取扱施設におけ る HTLV‑1 キャリア妊婦診療の状況:WB 法 検査で陽性であった妊婦に対する栄養法に 関する対応、および、WB 法検査で判定保留 であった妊婦への対応。 

 

C.研究結果 

1.最終的に、各都道府県の医療機関にお ける倫理委員会の承認が得られた機関が 88 施設となった。 

2.日本産婦医会に登録されている分娩取 扱施設 2,642 にアンケート調査をお願いし、

1,857 施設(70.3%)より回答があった。

その結果を図 1 にまとめたが、694,869 人 の妊婦のうち HTLV‑1 キャリア(WB 陽性者

+PCR 陽性者)は 936 人(0.135%)であっ た。HTLV‑1 キャリア率は九州地方では 0.458%であったのに対し、関東地方では 0.063%であった。わが国の総分娩数から推 定した HTLV‑1 キャリア妊婦数は 1,620 人で、

約半数の 820 人が九州地方在住であった

(図 2)。図 3 に都道府県別の推定される HTLV‑1 キャリア妊婦率を示したが、長崎県、

宮崎県、鹿児島県、沖縄県など南九州地方 に感染率が高い傾向を示した。 

  さらに、図 4、図 5 に示したように、流 行地(九州)および非流行地(九州以外)

で、HTLV‑1 陽性者および判定保留者への対 応に違いを認めた。 

    D.考察 

  本研究事業は、HTLV‑1 抗体陽性または判 定保留妊婦からの出生児の予後調査を小児 科との協働のもとに行って、各種栄養法別

(長期母乳、人工乳、短期母乳、凍結母乳)

の感染率を検討すること、および、WB 法判 定保留例に対して PCR 法結果および児の感 染率から HTLV‑1 キャリアの診断法を確立 することを目的としている。また、母乳哺 育を行えないなかでの児の発達や愛情形成 などについても検討することとなっている。 

  日産婦医会の調査によって、全国で年間 約 1,620 人の HTLV‑1 キャリア妊婦が分娩と なっていることが推定された。この結果は、

HTLV‑1 母子感染予防のための新生児栄養 法をコホート研究する本研究事業の重要性 を十分に支持するものである。また、現状 として、流行地と非流行地間で HTLV‑1 確認 検査陽性者および判定保留者への対応に差 が認められたが、これらも栄養法等による 児への感染状況に関するエビデンスが確立 していないことを示唆するものと推定され る。 

  本研究事業は、協力病院不足等によって 対象者に多大な負担がかかる可能性がある こと、また、九州各県では行政および医療 機関の協力によって HTLV‑1 母子感染予防 対策事業が確立されているところもあるた め、本研究事業との両立が困難であること などが問題点としてあげられた。これらの 解決のため、日産婦医会では、協力病院増 加にむけた地域や小児科への働きかけを積 極的に行い、また、九州各県と連携したデ ータ収集のための調整を行った。 

  E.結論 

  年間 1620 人の HTLV‑1 キャリア妊婦が分 娩となっていることを考慮すると、HTLV‑1 スクリーニング陽性妊婦・判定保留妊婦に

(3)

対する栄養法の指導方法を徹底させる必要 があり、本前方視的研究によって各栄養法 による児への感染状況等が明らかになるこ との意義は大きい。 

 

F.健康危険情報    なし 

 

G.研究発表  1.論文発表 

1)Suzuki S, Tanaka M, Matsuda H,  Tsukahara Y, Kuribayashi Y,  Gomibuchi H, Miyazaki R, Kamiya N,  Nakai A, Kinoshita K. Instruction  of feeding methods to Japanese  pregnant women who cannot be  confirmed as HTLV‑1 carrier by  western blot test. J Matern Fetal  Neonatal Med. 2013 Oct 24. 

PMID:24102288 

2)Suzuki S, Tanaka M, Matsuda H,  Tsukahara Y, Kuribayashi Y,  Gomibuchi H, Miyazaki R, Kamiya N,  Nakai A, Kinoshita K. Current  status of HTLV‑1 carrier in  Japanese pregnant women. J Matern  Fetal Neonatal Med. 2013 Jul 9. 

PMID:23799916  2.学会発表 

  なし   

H.知的財産権の出願・登録状況    なし。 

(4)

図 1.HTLV‑1 抗体妊婦に関する実態調査サマリー 

HTLV-1抗体スクリーニング検査実施

(n = 694,869)

スクリーニング検査陽性

(n = 2202)

WB法検査陽性

(n = 915)

WB法検査判定保留

(n = 208)

PCR検査実施

(n = 64)

アンケート対象施設数2,642 アンケート回収数 1,857

(回収率70.3%)

WB法検査実施

(n = 1839)

PCR検査陽性

(n = 21)

 

 

図 2.全国ブロック別にみた調査結果からみた HTLV‑1 キャリア妊婦の実態

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

北海道・東北 関東

北陸・ 東

近畿

中国・ 四

九州

(%)

 

(5)

図 3.調査結果からみた都道府県別の HTLV‑1 キャリア妊婦の実態

(%)

0 0 .2 0 .4 0 .6 0 .8 1 1 .2

鹿

 

 

図 4.全国ブロック別にみた WB 法検査陽性妊婦への栄養法指導の比較

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全国平均 九州 中国・四国 近畿 北陸・東海 関東 北海道・東北

ガイドライン に準じて指導 完全人工乳( %)

短期母乳(%(3 ヶ月)

凍結母乳(%)

その他・ 未回答(%)

 

(6)

図 5.WB 法検査判定保留妊婦への PCR テストの推奨に関する九州地方と九州以 外での比較 

 

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全国平均 九州以外 九州地方

PCRテストを勧めた その他

 

参照

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