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京都市中心部におけるホテルの立地と評価について

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Academic year: 2021

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京都市中心部におけるホテルの立地と評価について

草野 邦明・牟田 浩二・関根 智子

Location and Evaluation for Hotels in the Centre of Kyoto City

Kuniaki KUSANO,Koji MUTA and Tomoko SEKINE

Abstract:This paper tries to evaluate the hotels in the centre of Kyoto City in terms of their facility, accessibility, and service. The rating method is applied to get total points for the hotels. Ninety three hotels are ranked according to their total points. The relationship between the total points and room charges and the distribution of ranked hotels are considered in this paper.

Keywords:ホテル(hotel),立地(location),評価点付け法(rating method),京都市(Kyoto City)

1.研究の目的

 京都は,その歴史的な背景から多くの寺社・仏 閣などの歴史的建造物が存在し,現在では日本の 代表的な観光地である.観光地においては,宿泊 施設が必要不可欠であり,その施設は,簡易宿泊 所,ホテル,旅館などさまざまな種類が存在し,

設備,サービスの質が異なっている.

宿泊施設の立地や質の評価などに関する従来の 研究としては,鶴田(2000)が,重回帰分析を用 いて稼働率を規定する要因を検証し,ホテルの立 地展開を分析している.また,滝波(2003)は,ジ ュネーブのホテルを例に,都市のホテルにおける 雰囲気の意味について,ホテルの関係者のコメン ト,パンフレット,雑誌,ホテルの空間構造など を参照しながら分析している.

本研究では,京都市中心部におけるホテルを対 象として,設備,利便性,サービスについて評価

草野:〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40       日本大学文理学部地理学科 関根研究室       [email protected]

点付け法によりホテルの質を評価する.さらに,

総合得点に基づきホテルのランク付けを行い,ラ ンクごとのホテルの特徴を明らかにする.また,

総合得点と宿泊料金との関係や,ランクごとのホ テルの分布を明らかにする.

2.ホテルの評価とランク付け

研究で取り上げたホテルは,ゼンリン電子地図 帳Z7タウンページ(㈱ゼンリン,2004)に掲載 されているホテルとした.京都市中心部では,ホ テルは93立地していた.図1は,これらのホテ

図1 研究対象のホテルの分布

(2)

ルの分布を示している.ホテルは,京都駅周辺,

四条通周辺などの大通りに立地している.これら 93のホテルにおいて,設備,利便性,サービスの 側面から評価を行った.

表1は,ホテルの評価因子と評価項目を示して いる.評価因子は,ホテルの設備,ホテルの利便 性,ホテルのサービスの3因子である.評価項目 は,ホテルの設備では 10 項目であり,部屋数,

レストラン数,駐車場の有無などである.ホテル の利便性の評価項目は6項目である.1km範囲の 観光地数では,ガイドブックなどを参考にしてお もな観光地を京都市の都市地図(㈱昭文社,2005)

から選択し,ホテルを中心に 1km バッファを発 生して,バッファ内に含まれる観光地を数えた.

京都駅,最寄り駅,最寄りバス停から各ホテルへ の距離は,ネットワーク分析の「最寄り施設を検 出」を使用して求めた.ホテルのサービスは 11 項目であり,送迎の有無,フロントの従業員数な どである.設備とサービスの評価項目に対するデ ータは,現地調査,各ホテルのパンフレット,ホ ームページ,全国ホテルオールガイド(㈱山と渓 谷社,2005)から得た.

表1 評価因子と評価項目

11項目(30点)

6項目(40点)

10項目(30点)

パンフレットの有無 ホテル協会加盟 インターネット接続

ネット得点の有無 結婚式機能

ネット予約 会議室

HPの有無 宴会場

入り口(従業員数)

300m範囲のコンビニの有無 タクシープールの有無

フロア(従業員数)

大通り 駐車場の有無

フロント(従業員数)

最寄りバス停からの距離(m)

プールの有無

観光案内紹介 最寄り駅からの距離(m)

レストラン数

送迎の有無 京都駅からの距離(m)

部屋数

チェックイン・アウト 1km範囲の観光地数

外装・雰囲気 評価項目

ホテルのサービス ホテルの利便性

ホテルの設備 評価因子

 これらの評価項目に対して,評価点付け法(高 阪・関根,2005)を用いて得点化を行った.各項 目は,重要度に応じて加重(ウエイト)を付け,

得点化をしている.ホテルの設備の合計得点は30

点,利便性は40点,サービスは30点とし,総合 得点は100点となっている(表1).93のホテル に対し評価項目ごとに得点化を行い,総合得点を 求めた結果,最高得点81点,最低得点22点,平 均は47.27点であった(図2).

次に,図2に示すように総合得点が81

61

点 をAランクのホテル(

13

箇所),

60

51

点をB ランクのホテル(

19

箇所),

50

41

点をCラン クのホテル(

33

箇所) ,

40

22

点をDランクの ホテル(

28

箇所)と,

A

D

の4ランクに

分類 した.

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

ランク 1

A B C D

平均 71.2

平均 55.4

平均 44.4

平均 34.0 A:81〜61

B:60〜51

C:50〜41

D:40〜22

図2 総合得点に基づくホテルのランク付け

3.ホテルのランクごとの特徴

  A〜D ランクの各ホテルに対して,総合得点に 対する3つの評価因子の得点割合を求めた.Aラ ンクのホテルでは,設備の割合が一番高いホテル が6箇所,利便性が4箇所,サービスが4箇所と なったが,3つの評価因子の割合がほぼ30%と均 等でバランスがとれている.

Bランクのホテルでは,設備の割合が一番高い ホテルは2箇所,利便性が13箇所,サービスが6 箇所であり,利便性が優れているホテルが多くな っている.また,3 つの評価因子における利便性 の割合は,37%〜54%である.

  Cランクのホテルでは,設備が2箇所,利便性 が26 箇所,サービスが5箇所となり,B ランク のホテルよりもさらに利便性が優れているホテル

(3)

が増えている.また,利便性の評価因子の割合が

36%〜74%とA,Bランクに比べて高くなってい

る.Dランクのホテルでは,設備が3箇所,利便 性が21箇所,サービスが4箇所であるが,利便 性の割合は,37%〜69%となり,Cランクのホテ ルに比べて若干,低くなっている.また,C,D ランクのホテルでは,設備の評価因子の割合が 10%台と低くなっているホテルがみられた.

4.ホテルの得点と宿泊料金との関係

次に,各ホテルの3つの評価因子の得点,およ び総合得点と,宿泊料金(シングル,ツイン,最 高料金別)との関係をみるため,相関係数を求め た.表2は,それらの結果をまとめたものである.

総合得点と宿泊料金の関係は,どれも0.5以上で やや相関がみられる.設備とサービスの評価因子 と宿泊料金では,0.6 を超える数値となり,総合 得点よりも若干高い相関がみられる.それに対し,

利便性では,相関がまったくみられない.

以上より,宿泊料金は,設備やサービスと関係 があり,利便性の良し悪しは,宿泊料金にはほと んど反映されていないことが明らかになった.

表2 総合得点,評価因子の得点と宿泊料金    との相関係数

0.6002  0.6269 

0.6405  サービスの得点

-0.0240  -0.0900 

-0.1017  利便性の得点

0.6534  0.5935 

0.6489  設備の得点

0.5868  0.5270 

0.5604  総合得点

最高料金 ツイン

シングル

5.ランクごとのホテルの分布

 最後に,A〜D ランクごとのホテルの分布をみ

てみる.各ランクに含まれるホテルは,総合得点 に占める割合が一番高い評価因子により,それぞ れ,設備型,利便性型,サービス型に分類し,分 布図を作成した.   

3は,Aランクのホテルの分布を示している.

Aランクのホテルは,京都駅から三条通付近まで に分布している.京都駅に近いホテルは,京都駅 へのアクセスが良いことからも利便性型となって おり,京都駅から離れているホテルは,設備やサ ービス型となっている.

4は,Bランクのホテルの分布であり,1箇 所のホテルを除き,Aランクよりもさらに北の京 都御所付近まで分布している.京都駅前にホテル が集中しているが,Aランクほどではなく,京都 駅前以外にも利便性型のホテルがみられる.

図3  Aランクのホテル分布

図4  Bランクのホテル分布

(4)

  図 5C ランクのホテルでは,その分布は B ランクよりもさらに広くなり,西部の嵯峨野周辺 にまでおよんでいる.また,鉄道や大通りに沿っ た分布となっており,利便性型のホテルが多くな っている.

  図6Dランクのホテルは,京都駅周辺は1箇 所のみで,おもに三条通よりも北部や嵯峨野周辺 に分布している.Dランクのホテルの多くが利便 性型であるが,京都の中心地から離れているホテ ルは,最寄り駅から遠くに立地している.また,

地下鉄烏丸線の沿線には,設備型のホテルもみら れる.

        図5  Cランクのホテル分布

図6  Dランクのホテル分布

参考文献

㈱昭文社(2005)都市地図京都府1 京都市.

㈱ゼンリン(2004)ゼンリン電子地図帳 Z7.

㈱山と渓谷社(2005)『全国ホテルオールガイド』,

1,311ページ.

高阪宏行・関根智子(2005)『GIS を利用した社 会・経済の空間分析』古今書院,57-69.

滝波章弘(2003)ジュネーブの代表的ホテルにお ける雰囲気の意味−ホテル側からの視点を中心 に,地理学評論,76(9),621-644.

鶴田英一(2000)ホテルの立地展開と稼働,経済 地理学年報,46(4),380-393.

   

参照

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