東京都区部における道路網形態の評価
渡部 大輔
An analysis on road network pattern in Tokyo Daisuke WATANABE
Abstract: In this paper, we analyze the road network pattern in the central area of Tokyo using some pattern indices. We use the Digital map which is divided by 500 meters meshes in the grid coordinate system. We calculate the Crossing factor which is consist of road density and number of crossings to evaluate dense network, and the Beta index which is consist of number of road links and crossings to evaluate connectivity in each mesh. As a result, we can select the area with the dense grid road network pattern where is consist of the central business area or the rezoned area in suburban area.
Keywords:
道路網(road network),数値地図(digital map),形態指標(pattern index),メッシュデータ(mesh data)
1. はじめに
街区は道路によって囲まれて形成されている ので,道路網の形態は交通だけなく,住環境に も大きな影響を与える.この道路網の形態をい かにして評価することができるのか,様々なア プローチで研究が行われてきた.正井(1965)では
1/10000
地形図を用いて,東京23
区には155,676
個の交差点があると計測され,接続次数に着目 して地区分類及び都心からの方向と距離による 特性分析を行った.Vaugan(1987)では,ロンドン
を対象として道路網の様々な形態指標で解析し,更に都心からの距離と交差点密度や道路延長の 関係を分析している.
交差点数と道路長の関係については,腰塚
(1978a)において積分幾何学を用いて道路延長が
交差点数の平方根に比例する「ルートN
の法則」を確認し,
1/25000
地形図を用いて計測した結果渡部 : 〒135-8533 東京都江東区越中島2-1-6 東京海洋大学 海洋工学部 流通情報工学科 Tel : 03-5245-7354 e-mail : [email protected]
との比較を行った. 一方,交差点数と道路辺数 の関係については,奥平(1976)では「辺・頂点比」
と定義し,経験的な値として道路辺数は交差点 数の
1.7
倍程度であると記している.渡部(2005)では,近接グラフを用いて格子状道 路を抽出し,既存指標と比例関係があることを 確認した.交差点数や道路辺数を数えるだけで 算出できる既存指標は,計算が簡便であり,直 感的に理解しやすいことから有用である.
本研究では,東京都区部における道路網形態 を各種形態指標で計測し,格子状道路網が整備 されている地区を抽出することで,道路網形態 の特徴を把握することを目的とする.
2. 分析データおよび分析手法の概要 2.1. 地理情報データ
都市内道路網データとして,国土地理院の『数
値地図
25000(空間データ基盤)』の道路中心線
データ(世界測地系,平面直角座標系(IV系))
を用いる.道路網データの結合には,渡部・阪 田(2005)の手法を用いる.
道路網を
2
分の1
地域メッシュ(約500m
メ ッシュ)単位で分割し,東京都23
区を包含する メッシュ(対象2457
メッシュ)を対象とした.対象とした道路の属性は,幅員が「3m以上」,
種別が「一般道」かつ「有料」でない道路とし た.つまり,首都高速道路など高速道路を含ん でいない.
道路中心線を構成している端点を「道路点」
として,各線分を「道路辺」と定義する.道路 点は,行止点(次数
1)
,外周点(次数2),交差
点(次数3
以上)と分類する.距離帯別の分析では,都心からの距離として,
皇居内にある点(メッシュ
ID533946201
図郭左 下の点)を中心として,各メッシュ重心点まで の直線距離を用いる.2.2. 形態指標
今回の分析では,道路網の形態指標として,
・ベータ指数(β):道路点数と道路辺数
・Crossing Factor(CF):交差点数と道路延長 を用いる.
各メッシュの道路点数
n,交差点数 n
C,外周 点数n
0,行止点数n
1,道路辺数m,道路延長 L
とすると,CF
とそれぞれ定式化できる.なお,全体のデータ 数は下記の表の通りである.
表
1
対象地域のデータ概要総道路延長
L 10,498(km
)
総道路辺数m 146,140(本)
総道路点数
n 124,396(個)
総交差点数
n
C72,120
(個)総行止点数
n
12,266(個)
総外周点数
n
050,010
(個)3. 東京 23 区における分析結果 3.1. 形態指標による分析
・ベータ指数:図
1-1
のように,道路点数と道 路辺に比例関係が見られる.指数の数値が高い ほど,道路網が連結されていると言える.距離 帯別平均値で分析すると,図2-1
より都心部で は北東部が高いが,8km 以遠になると北西部・南西部の方が高い.図
3-1
からも,荒川流域と 山手線西側沿線の辺りが低いことが分かる.・CF:図
1-2
のように,交差点数と道路延長に 比例関係が見られる.指数の数値が低いほど,道路網が密であると言える.距離帯別平均値で 分析すると,図
2-2
より都心部では北東部で低 いが,8km 以遠になると北西部・南西部の方が 低い.図3-2
から,南東部の特に湾岸部に数値 が低い傾向が見られ,交差点数に対して道路延 長が長いことから,街区面積が大きいと考えら れる.・平均次数:各交差点および行止点を対象に,
接続する道路辺数の平均を計算する.その結果,
図
2-3
及び図3-3
から,ベータ指数と傾向が近い.3.2. 道路網が密に整備されている地区の抽出 道路延長と道路辺数の両方から評価するため
に,β≧1かつ
CF≦1/πの条件を満たす地区を
抽出する.
距離帯別の対象メッシュ数に対する抽出メッ シュ数の割合で分析すると,図
2-4
のように都 心では北東部が高く,北西部と南西部は都心か ら10km
以上離れた地区での割合が高い.そし て,6km 程度の地区は,どの方向でも割合が低 い.地図によると,図
3-4
から,大まかに「中央 区北部・台東区東部・墨田区南部」,「江戸川区 北部・葛飾区」,「豊島区西部・練馬区東部」,「杉 並区北部」,「世田谷区南部・目黒区・大田区西 部」に連続的に値が高い地区が見られる.つま り,都心部及び耕地整理または区画整理が行わ れた格子状道路網が整備されている地区が抽出 された.図
2-1 ベータ指数
図2-2 Crossing Factor
図
2-3 平均次数
図2-4 抽出結果
図
1-1 道路点数と道路辺数 図 1-2 交差点数と道路延長
4. まとめ
本研究では,東京都区内を
500
メートルメッ シュで分割した地区を対象に,数値地図25000
データを用いて各地区の道路網整備の特徴につ いて形態指標により分析した.道路網形態の特 徴を把握するために,道路密度と結合性を評価 する形態指標を用いて地区分類を行い,格子状 道路網が整備されている市街地を抽出した.その結果,都心からの方角と距離によって道路網 形態の性質が異なり,東部は都心近く,西部で は都心から
10km
程度離れた地区において多く 抽出された.このことから,都心部及び耕地整 理または区画整理が行われた格子状道路網が整 備されている地区が抽出された.図
3-1 ベータ指数
図3-2 Crossing Factor
図
3-3 平均次数
図3-4 抽出結果
参考文献
Vaugan, R.J.(1987): Urban Spatial Traffic Patterns, Pion Limited.
腰塚武志(1978a):道路網と交差点.「都市計画」,
103
,36-41
.正井泰夫(1965):東京
23
区の道路交叉点.「地 理学評論」, 38(11),663-681.奥平耕造(1976)「都市工学読本」,彰国社.
渡部大輔・阪田知彦(
2005
):図郭・行政界で分 断された道路ネットワークの自動結合に関する 基礎的研究.「都市計画報告集」,3(4),114-119.渡部大輔(