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9.極限状態の統計力学

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Academic year: 2021

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1 9.極限状態の統計力学

教科書では扱っていないが、極限状態の統計力学の一つとして、負の温度がある。 特にレーザー等 の光物性を扱う人には重要で、反転分布、p-n junction、stimulated (spontaneous) emission (誘導放 出、自然放出)、と云った現象・項目と共に自学しておく事をお薦めする。

9-1 負の温度

これまで、温度と熱力学的な分布との関係を議論してきた。 統計が Boltzmann, Fermi-Dirac,

Bose-Einstein の何れであっても、エネルギーが大きくな準位程、占有確率は下がっていった。 こ

こに、負の温度、というものを(例として Boltzmann分布で)考えると、下の図の様に、大きなエネ ルギー準位程、占有率が大きくなる。 もしこの様な事が許されると、Eとなってしまい、物理 的に問題がある。 従って、真の熱平衡状態としては存在しない。

しかし、限られた時間の間、人工的に作り出す事は可能である。

今、二準位系を考えると、光との相互作用に下記の場合がある。

自然放出、誘導吸収、誘導放出

a) 二準位の間のエネルギーの差の分の光子を1個放出して緩和 b) 基底状態にある電子が光子を吸収し、励起状態に遷移

c) 二準位の間のエネルギーの差の分の光子が1個入射されると、これに伴い、

1個光子を放出して緩和

反転分布状態にある原子の集団中を伝搬する光波が誘導放出によって増幅する事を示す。

真空中の光速度をc, 媒体の屈折率を n とし、伝搬する単色光のエネルギー密度を  、下・上の準 位にある電子の数を各々 N1,N2 とする。

光波の光強度

I [ W / m

2

]

は、





















T > 0 T < 0



h h h

h

(2)

2 ]

/ [W m2 nSh

Ic(9.1)

但し、

 

m3

S h

 は光子数密度である。 (この様な光子集団が速度 n

c で伝搬)

量子力学に基づけば、

2

1 E

E  の吸収を起こす光子数は、 N1S B12

1

2 E

E  の誘導放出を起こす光子数は、 N2S B21

ここに、B12B21B

B   m

3

/ s

は誘導遷移確率(Einstein の B 係数)。

すると、単位時間当り単位体積当りに発生する光パワーは、

N

2

N

1

SBh [ W / m

3

]

P   

(9.2)

今、光が上述の光パワーを発生させながら z 軸方向に進行しているとすれば、

z z

  

I z P z

I

I     

(9.3)

h S

N N

SBh z n

c   21  (9.4)

 

c S Bn N N dz

dS

2

1

(9.5)

これを解くと、

  e

 z

S

z

S ( )  0

(9.6)

但し、

   

c Bn N N

2

1

 

(9.7)

 

はパワー利得係数。 N2N1 であれば、指数関数的に増幅。

9-2 3準位系による反転分布の形成

1 から

3 への励起レート  が十分早く、また、

3 から2 への緩和レート

32 が十分早くか つ、2 から1 への緩和レート21 が十分早いとする。 この時、レート方程式を立てると、



h13

3

h

32

h21

h21

32

21

(3)

3

2 21 1

1

N N

dt

dN     

(9.8)

3 32 2 21

2

N N

dt

dN     

(9.9)

3 32 1

3

N N

dt

dN    

(9.10)

ここに、

N

1

N

2

N

3

constN

(9.11) 定常状態では、上は全て0

1

21

2 N

N

  (9.12)

(9.10, 11) より

N

1

 

32

NN

1

N

2

  0

(9.13)

 

1

21 32 32 1

21 1 32 1 2

1 32 1

32

N N N N N N N   N

 

    

 

 

  

 

 

 

(9.14)

N N

21 3221

32 21 32

N

21 32 32

32

1

   

 

 

(9.15)

N

21 32

21 32 N 32

2

   

  (9.16)

ここに、N2N1 となるのは、

  

21 32

21 32

32 21 32

21 32

21

32

 

(9.17)

即ち、21 であれば反転分布が実現できる。

1

2 N

N N 

 とおくと、

 

   

 

32 32 21

21 32 32

21 21

32 21 32

21 32

21

32 21

1

 

 

 

 

 

N

N N

N

N

(9.18)

つまり、

32 21

が小さい程、大きな反転分布が起こる事となる。

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