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論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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別紙1

論 文 審 査 の 要 旨

報告番号 3149 中井 健人

論文審査担当者

主査 教授 桑田 啓貴

副査 教授 高見 正道

副査 教授 飯島 毅彦

(論 文審査の要旨)

学 位 申 請 論 文 「In vitro monitoring of HTR2A-positive neurons derived from human-induced pluripotent stem cells」について、主査1名、副査2名が個別に審査を行った。申請者の所属する研究 班では、過去の研究報告でブラキシズム患者のセロトニン受容体(5-HTR2A)エクソン領域に SNP の存 在を見出した。今回の研究成果では、ブラキシズム患者 由来 hiPS 細胞の誘導後、5-HTR2A プロモー ター作動性 GFP 陽性を指標としたセロトニン作動性ニューロン細胞の分化誘導に成功し、かつ同細胞

を用いたin vitroでの機能的評価が可能であることを示した。これにより、脳神経系機能解析を目的とし

たヒト iPS によるブラキシズムの病態をより忠実に反映した実験系を実現し、今後のブラキシズム発症メ カニズム解明および新規治療薬のハイスループットスクリーニングを可能とした。

以下に質問と回答の要旨を記す。(内容は要約)

副査 高見教授よりの質問と回答

Q1.作 成 したレンチウイルスが本 研 究 以 外 にどのように役 立 つか,生 命 科 学 及 び医 療 の観 点 から述 べ よ.

A1.作成したレンチウイルスは HTR2A プロモーターに特異的に反応し,細胞を蛍光標識する.標的細

胞の分化誘導効率は約 30%であり,標的細胞のみを分化誘導することは困難である.作成したウイルス は,効 率 的 解 析 を行 う上 で有 用 である.作 成 したレンチウイルスは,機 能 解 析 時 の標 的 細 胞 の標 識 を 目 的とした.かつ標 的細胞 を濃 縮することも可能であり,HTR2A 陽 性細 胞のみを濃縮 して網羅 的な遺 伝 子 発 現解 析 を行い,疾患 群 と対照 群での発 現パターンを比 較 し,関連 マーカー探索 を可 能とする.

HTR2A 遺 伝子 多 型 は様々な神 経 系 疾 患に関与するとされ,統 合 失調 症などが挙 げられる.作成 ウイ ルスにより標 識 ,濃 縮 された標 的 細 胞 のパラメーターを疾 患 群 で比 較 し病 態 メカニズム解 明 や新 規 治 療薬開発に有用.

Q2.レンチウイルスベクターの特徴について, 他のウイルスベクターと比較しながら解説せよ.

A2.ベクターで遺 伝 子 治療 等 に用 いられるものとして,レトロウイルス,アデノ随 伴 ウイルス,アデノウイル スがある.レンチウイルスベクターはレトロウイルスの一種で,これは神経細胞を含む非分裂細胞に DNA 導入が可能.短所としては,その他ベクターに比較し,組み込むことのできる DNA が約 5kb までと小さ いことがあげられる.

(主査が記載)

(2)

副査 飯島教授よりの質問と回答

Q1.本研究で確立したシステムでSB と健常者でパラメーター比較を行 い推定される差は何か?

A1.HTR2A 遺伝子多型である rs6313 はエクソン 1に存在するサイレント SNPである.rs6311 はプロモ ーター領域に存在することから,HTR2A の発現量に変化をもたらす可能性がある.睡眠中は抑制性ニ ューロンの活 性が高 く,5-HT2A 受 容 体 はこれらの細 胞 膜 上 に発 現 し,脱 抑 制 の作 用 によってその活 動を制御している.SB GABA 作動性ニューロンをはじめとする抑制性ニューロンの 5-HT2A 受容体 を介した興奮性が減弱,つまり「脱抑制」状態に生じることで発生すると考える.よって 5-HT2A 受容体 を介した応答は,SB で低下すると考える.

Q2. SB患者のニューロンの特性について臨床的な観点も含め,説明せよ.

A2. SB 発症機序については特定の神経伝達物質,ニューロンとの関連を示唆する報告がある.主なも

のとしてGABAGABA作動性ニューロンがある.FanらはMRSを用いてSB患者とコントロールの被験 者の大脳皮質部と脳幹部双方におけるGABAレベルについてSB患者で脳幹領域 GABAレベルが低 下していることを示した.また Madani らは,GABA誘導体であるガバペンチンを SB 患者に投与すると,

SBイベント数が減少したと報告した.以上よりSB患者の脳内のニューロンについては,GABA作動性ニ ューロンを主体とする抑制性神経伝達について機能異常を生じていると考える.

主査 桑田教授よりの質問と回答

Q1. 本研究で作成したウイルスに挿入されているPromⅠに結合すると考えられる転写因子は何か?

A1. PromⅠに結 合 する転 写 因 子 についてはすでに報 告 があり、PvⅡ E-box AP-2, PEA3, E-box, CRE, S133R, Sp1, CACCC box, EF-1A, CCAAT box, CACC box が含まれる.

Q2. パッチクランプ解析で用いた TCB-2 5-HT2A/2C受容体のアゴニストであるが, 5-HT2A 受容

体と 5-HT2C受容体の機能の違いを説明せよ.

A2. 5-HT2A,2C受容体は共に5-HT2受容体のサブタイプであり, Gタンパク質共役受容体に属し,

セカンドメッセンジャーレベルを調 整する.5-HT2A 受容 体は活 性化によって,カリウムコンダクタンスの 低 下 を 伴 う 脱 分 極 を 生 じ , 自 発 性 シ ナ プ ス 応 答 の 頻 度 上 昇 を 引 き 起 こ す .5-HT2C 受 容 体 は 5-HT1A,1B 受容体と類似した 5-HT 結合能を有するが,アミノ酸配列は 5-HT2A,2B と同様のファミ リーから形成され,5-HT2A受容体とは57%の相同性がある.

主 査 桑田 委員 は両 副査の質 問に対 する回 答の妥当 性 を確 認するとともに、本 論 文の主張 をさらに確 認するために、上記の質問を行った。その結果、明 確かつ適切な回答が得 られた。よって、本論文を博

士(歯学)の学位授与に値するものと判断した。

(主査が記載)

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