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九州大学大学院人間環境学研究院 : 教授

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

地域福祉課題への態度と地域福祉活動参加経験 : 都 城市・茅野市・三鷹市における社会調査結果から

高野, 和良

九州大学大学院人間環境学研究院 : 教授

https://doi.org/10.15017/4772278

出版情報:人間科学共生社会学. 9, pp.153-168, 2019-03-20. 九州大学大学院人間環境学研究院 バージョン:

権利関係:

(2)

1.はじめに

地域住民の自発的な支え合い活動である地域福祉活動への政策側の期待は大きい。社会福祉法

(2000年)で規定された市町村地域福祉計画は、こうした地域福祉活動への住民参加を促す方法 論の一つとしても策定が進められてきた。しかし、地域福祉計画の策定によって、例えば、地域 住民の地域福祉活動にどのような変化がもたらされたのかといった点については、十分に検討さ れてはいない。これまでの地域福祉計画研究は、計画目標の総合性の検証、住民参加やニーズ把 握の技法をめぐる策定方法論、さらには進行管理や評価の視点や方法などを対象として展開され てきたともいえ、これらは地域福祉計画の機能(顕在機能)に関する分析であった。しかし、実 証的な地域社会の実態分析に基づき、地域福祉計画策定による地域社会の持続可能性の検討、い わば地域福祉計画の潜在機能についての研究は十分に行われていないように思う。そのために は、地域福祉計画策定による地域社会への介入による地域住民の福祉意識や福祉行動の変化を把 握したうえで、持続可能な地域社会のあり方を提示する必要がある。

地域福祉課題への態度と地域福祉活動参加経験

都城市・茅野市・三鷹市における社会調査結果から

高 野 和 良

要  旨

地域福祉計画の策定によって住民参加による地域福祉活動が拡充したとされる宮崎県都城 市、長野県茅野市、東京都三鷹市の

3

市で実施した社会調査結果をもとに、支援負担の異な る地域福祉課題(低頻度低緊急度支援・高頻度高緊急度支援)への地域住民の対応を確認し た。低頻度低緊急度、高頻度高緊急度支援のいずれも、3市ともに行政依頼志向が多くの支 持を集めていた。自ら取り組む場合は、自分自身で支援するというわけではなく、住民協力 での支援がより支持されていた。自治公民館の存在感が大きい都城市で、その傾向が顕著で あり、地域福祉課題への態度を把握する際には、地域住民の統合を支える地域組織の影響を 考慮すべきことを指摘した。また、地域福祉活動参加経験別にみると、参加経験者の方が、

住民協力での対応を支持していた。非参加経験者は、行政依頼志向が顕著であり、地域福祉 活動への参加経験の有無が、地域福祉課題対応への態度に影響していることが示唆された。

キーワード:地域福祉活動、地域福祉計画、住民参加、コミュニティ

(3)

そこで本稿は、こうした課題に取り組むための前段階として、地域福祉計画の策定によって 住民参加による地域福祉活動が拡充したとされる

3

市(宮崎県都城市、長野県茅野市、東京都 三鷹市)で実施した社会調査結果1をもとに、地域福祉課題への対応について、これら

3

市の 地域住民の意識等の現状を確認することとしたい。

2.地域福祉政策における地域をめぐる動向

近年の地域福祉活動への政策的な関心の背景には、介護保険制度の「持続可能性確保」を実 現するために、地域社会が持つとされる相互支援機能に対する期待がある。「地域包括ケアシス テムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(2017年

6

月)では、介護保険法に 関して「自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取組の推進」を行うこと、また、

介護保険法、医療法に関して、「医療・介護の連携の推進等」を行うこと、さらに、社会福祉 法、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法に関して、「地域共生社会の実現に向けた取組 の推進等」を行うこととされた。この地域共生社会の実現のために、「我が事・丸ごと」の地域 福祉推進の理念が掲げられ、他人事ではなく、地域住民が我が事として取り組む仕組みと、丸 ごと受け止める総合相談支援、包括的なサービス提供を行うこととされている。さらに、市町 村が地域福祉計画を策定するよう努めるとともに、福祉の各分野における共通事項を定め、上 位計画として位置づけること、同様に都道府県の地域福祉支援計画の策定も促され、地域福祉 計画の充実を図ることが求められている。こうした動きの背景には、地域福祉計画に基づく各 自治体での地域福祉活動の展開実績がある。

この地域共生社会を実現させるために、市町村が包括的な支援体制づくりに「努める」ことが 明記され、これを受けて、地域住民の地域福祉活動への参加を促進するための環境整備を行うこ と、さらに、例えば、地区社会福祉協議会、市区町村社会福祉協議会の地区担当、地域包括支援 センター、相談支援事業所、地域子育て支援拠点、利用者支援事業、社会福祉法人、NPO法人 等が、住民の「身近な圏域」において、分野を超えて地域生活課題について総合的に相談に応 じ、関係機関と連絡調整等を行う体制を形成することが求められている。さらに、主に市町村圏 域において、生活困窮者自立相談支援機関等の関係機関が協働して、複合化した地域生活課題を 解決するための体制を構築し、例えば、高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやす くするため、介護保険と障害福祉両方の制度に新たに共生型サービスを位置づけることも促され ている。

ここまで、ごく簡単に近年の福祉政策の動向を確認したが、例えば、地域共生社会が具体的 にどのように形成されていくのか、また、何をもって地域共生社会が実現されたと判断し得る のかといった、様々な論点が十分に検討されているとは言い難い。これらの論点は、地域福祉 計画策定過程でも問題とされる点でもあるが、地域福祉計画策定という方法を用いた地域社会 への介入によって、地域住民にいかなる影響が及んでいるかについても、十分に検証されては

(4)

いないように思われる。

本稿は、地域福祉計画の策定自治体を地域住民や地域組織に対する行政の介入程度の差異に よって類型化し、それら自治体間の住民意識や福祉的な行動の比較を行うことで、地域福祉計 画の介入効果を間接的に把握することを試みるための試論である。この場合、同類型間の複数 市町村の比較によってはじめて、行政による関与の影響を確認できるといえるが、今回は暫定 的に

3

市間の比較に留める。ごく簡単な類型化ではあるが、先行研究や現地での聞き取り調査 結果をもとに、地域福祉計画策定という方法で行政が地域福祉活動の基盤形成に介入する程度 によって、暫定的に

3

類型を設定した 2)

まず、地域福祉計画策定を通じて、行政が地域住民による地域福祉活動の基盤形成を強力に 主導している自治体を「高行政関与型」とする。調査対象地域としては、長野県茅野市を想定 している。次に、地域福祉計画策定を通じて、行政が地域福祉活動の基盤形成を主導している 自治体を「中行政関与型」とする。調査対象地域としては、宮崎県都城市、東京都三鷹市を想 定している。さらに、地域福祉計画が策定されておらず、行政が地域福祉活動の基盤形成に消 極的である自治体を「低行政関与型」とした。例えば過疎自治体などで地域福祉計画策定のた めの体制が取れず、結果的に地域住民による地域福祉活動との連携が図られていない状態を想 定しているが、今回の調査では調査対象として取り上げてはいない。

ここで注意しておかなくてはならない点として、仮に行政の介入程度が大きく、それが、住 民に強く影響したように見えたとしても、それを、単に行政の介入効果としてみなすことには 慎重であるべきであろう。例えば、地域住民側の統合の程度によって、行政の介入効果は影響 を受けるからである。地域住民側の統合度が高い場合は、地域住民側の自立性が高いために、

地域福祉課題などを「自分たちで解決できる」といった形で対応する可能性があるため、行政 による介入が効果をあげにくい場合があり得る。しかし、同様に地域住民側の統合度が高い場 合でも、地域住民側が課題解決のために行政を積極的に利用する姿勢を打ち出すことで、行政 の介入が効果を上げているように見える場合もあり得る。

一方、地域住民側の統合度が低い場合は、行政による介入の受け皿としての地域組織が十分 に活動できないために行政による介入が効果を持ちにくい場合もあり得る。このように、行政 による介入に影響を与えるひとつの要因として、地域住民側の統合度を考慮する必要があり、

こうした住民統合を支える地域組織の影響を確認しておく必要がある。

2.1 宮崎県都城市・長野県茅野市・東京都三鷹市の地域自治組織の特徴

ここで調査対象

3

市について、地域住民の統合に影響を与える地域組織と、それぞれの地域 組織が活動する圏域に注目しつつ、概要を示しておきたい。

2.1.1 宮崎県都城市の概要

都城市は人口

165029

人(2015年国勢調査)であるが、人口減少傾向にあり、高齢化率は

(5)

29.5%(2017

1

1

日住民基本台帳)である。2006年

1

1

日に

1

4

町(都城市・山之口 町・高城町・山田町・高崎町)による行政合併を行った。

都城市では、もっとも小さな地域単位は、「自治公民館」とよばれる社会教育と自治会機能を 持った地域組織単位となる。他地域でいう町内会、自治会の単位であり、市内に

303

館が存在 しているが、館長を選挙で選出する場合もあり、存在感の大きな地域組織である。次いで、「小 学校区」、「中学校区」(15地区:旧都城市

11

地区、合併前旧町

4

地区)となるが、この中学校 区単位で、先の自治公民館の協議体である自治公民館連絡協議会が設置されている。また、社 会教育施設としての地区公民館も

15

地区に設置されており、ここに、都城市社会福祉協議会に よって設置されている地区社会福祉協議会の事務局が置かれている。地区社会福祉協議会には、

多くは当該地域の住民である地区担当者が配置され、相談窓口機能を果たしており、個別支援 的なサービスも実施している。また、地区公民館には市行政のコミュニティ課まちづくり協議 会担当者も配置されている。さらに、市行政によって、新たにまちづくり協議会が設けられて いるのも、この中学校区単位である。なお、都城市内には

7

つの地域包括支援センターが設け られており、このうち

2

センターは市社会福祉協議会が運営を受託している。

都城市では、自治公民館の存在感が大きいが、地域住民の高齢化や、来住層の参加率が低い こともあって、市行政は、地域課題解決のための枠組みとしてまちづくり協議会を設けている。

このまちづくり協議会と地区社会福祉協議会との関係をどのように整理していくのかが、ひと つの課題となっている。

2.1.2 長野県茅野市の概要

茅野市は人口

55912

人(2015年国勢調査)であるが、都城市と同様に人口減少傾向にあり、

高齢化率は

28.3%(2017

1

1

日住民基本台帳)である。いわゆる平成の合併は行っておら ず、1955年

2

1

日の行政合併(永明町と

8

村)によって市となった。

茅野市は、市内に

7

層の地域単位を持っている。もっとも小さな地域単位は、隣組の範囲で あり、これを

7

層と市行政では呼んでいる。次いで、常会の範囲(

6

層)、区・自治会の範囲(

5

層)となる。市内には、100自治会があり、区長、副区長が置かれている。自治会の意思決定 は、区長会、区議会で行われている。区役員として、茅野市社会福祉協議会の委嘱による福祉 推進員が約

300

名配置されている。保健指導員や民生委員も

5

層で活動している。また、この

5

層に

80

館の公民館分館が置かれており、区の運営拠点として区・自治会によって管理運営され ており、住民活動の拠点である。さらに、小学校区の範囲(

4

層)は

10

地区であり、地区コ ミュニティセンターが配置され、地区コミュニティ運営協議会が活動している。この地区コミュ ニティセンターに茅野市社会福祉協議会による地区社会福祉協議会が設置されており、10地区 全てで地域福祉行動計画が第

3

次計画まで策定されている。保健・医療・福祉分野の圏域(

3

層)は

4

地区であり、行政によって保健福祉サービスセンター(本センターと

4

サービスセン ター)が配置されている。このように、茅野市では地域福祉計画によって市内の

7

層圏域を設

(6)

定し、3層の保健福祉サービスセンターを保健福祉サービス提供の拠点とするとともに、今後 は、6層(常会)、7層(隣組)での活動を活性化させ、相談窓口機能を持つことが期待されて いる。

茅野市の地域福祉政策の動向をみると、2000年に地域福祉計画である「第

1

次福祉

21

ビー ナスプラン」が策定され、4地区の保健福祉サービスセンターに保健・福祉の担当者と社会福 祉協議会の生活支援係

1

名で構成される専門職チームが配置された。さらに、当時の市長の姿 勢もあって、2003年には「茅野市パートナーシップまちづくり条例」が、2004年には「茅野市 地域福祉推進条例」も制定され、条例化によって、地域福祉推進に市行政が責任を負う体制が 作られていく。さらに、2005年には、10地区でのコミュニティセンター体制が始まり、各保健 福祉サービスセンターに社協の生活支援係

2

名配置されている。2006年には「福祉

21

ビーナ スプラン後期

5

カ年計画」が策定され、2011年には「第

2

次ビーナスプラン」として、社会福 祉協議会の地域福祉活動計画と一体として策定される。2015年には、10地区ごとに「第

2

次地 域福祉行動計画」が策定されている(日本地域福祉学会研究プロジェクト 2018:6-7)。

2.1.3 東京都三鷹市の概要

三鷹市は人口

186936

人(2015年国勢調査)であり、都城市、茅野市と異なり高齢化率は

21.5%(2017

1

1

日住民基本台帳)と比較的低い水準である。東京都内の都市として人口

の流出入も多く、移動型の生活構造を持つ住民が多い。

三鷹市では、もっとも小さな地域単位は、町内会・自治会の範囲であり、ここに地区公会堂 が

30

館配置されている。この地区公会堂の範囲に、三鷹市社会福祉協議会による「ほのぼの ネット班」が設置されている。これは「住みなれた地域で、誰もが安心していきいきと暮らせ るまちづくりを目指して、『ほのぼのネット員』が良き隣人として、悩みごとの相談相手となり 解決まで手助けする活動【ほのぼのネット活動】を行うチーム」であり、ほのぼのネット員は

「各班の地域にお住まいの民生(児童)委員、赤十字奉仕団員、老人クラブ、ボランティアな ど」である(三鷹市社会福祉協議会ウェブサイト)。この地区公会堂の範域は、小学校区の約半 分程度となっており、地区公会堂をコミュニティセンターの分館とする地区も存在している。

次いで、中学校区の範囲となり、ここがコミュニティ住区と呼ばれている。

3

4

小学校区を ひとつのコミュニティ住区とし

7

住区が存在している。この

7

住区に設置から

40

年程度経過し ている住民協議会が置かれており、コミュニティセンターを運営している。この住民協議会に は、福祉部会が設置され、食事会等が実施されており、地域福祉活動の拠点となっている。市 行政は、2004年からケアネットワーク圏域を設定しているが、この圏域も

7

コミュニティ住区 と重なっている。このケアネットワークは、「本人や家族による『自助』と、行政による福祉 サービス・事業などの『公助』の間に、行政と地域住民・活動団体・関係機関・事業者が協働 する『共助』の関係を作り、連携しながらそれぞれの長所を生かして地域課題の解決を目指し ていくもの」であり、また「活動の担い手となる人財の養成」を行うこととされている(三鷹

(7)

市ウェブサイト)。なお、住民協議会は地域ケアネットワークの構成団体の

1

つでもある。

三鷹市では、都城市や茅野市とやや異なり、居住を契機として形成される自治公民館や隣組 や常会といった単位ではなく、課題解決を目的としたほのぼのネット班、地域ケアネットワー クといった組織参加に基づく住民のネットワーク形成をどのように支援していくのかが課題と なっている。

2.2 地域住民の統合と地域組織

調査対象地域である

3

市の地域住民側の統合状況をみた場合、都城市は自治公民館、茅野市 は区 ・ 自治会という居住を契機とした組織基盤の存在が、住民間の関係性を支えるにあたって 大きな役割を果たしていることがうかがえる。一方、三鷹市の場合には、居住による自動加入 的な組織に加え、ほのぼのネットなどへの組織参加によるネットワークが住民の関係性を支え ている可能性が示されている。もちろん、こうした組織に加入していない、あるいは加入の機 会すらない住民の存在を忘れてはならないが、少なくとも、地域福祉計画による介入の影響を 検討するにあたっては、3市の地域住民の統合の現状と、統合を支える地域組織の実態を確認 しておく必要はあると思われる。

こうした現状をふまえ、以下では、

3

市の住民の地域福祉課題対応の態度について検討したい。

3.地域福祉課題対応への態度

3.1 3市社会調査の概要

本稿で分析する社会調査は、「地域福祉の実践と理論を結ぶことを目的に、地域福祉政策にお いて先駆的な取り組みを展開している『東京都三鷹市』、『長野県茅野市』、『宮崎県都城市』と いう

3

つのフィールドの比較研究をもとに、それぞれの地域で地域福祉が形成されていく過程 を明らかにし、その裏付けになった理論的背景を踏まえつつ、地域福祉の発展型モデルを示す こと」を目的として実施された(日本地域福祉学会研究プロジェクト 2018:2)。本調査の調査 概要は下記(表

1

)の通りである。郵送法で実施したが、回収率は最も高い茅野市でも

5

(46.1%)を下回り、三鷹市では

2

割強(24.2%)に留まった。

3.2 調査対象者の属性

まず、本調査の回答者の属性等の特徴を確認しておきたい(表

2

)。先にも述べたように、本 調査の回収率は必ずしも高いものではなく、そのため、回答者の属性にやや偏りが認められる。

すなわち、性別では女性の割合が、年齢層では

65

歳以上の割合が高い。居住歴では定住層の割 合が比較的高くなっている。また、居住年数も

20

年以上に及ぶ人の割合が高い。これらの傾向 は、都市部の三鷹市においても同様である。

このように、本調査の回答者は、高齢の女性で居住年数の比較的長い人々にやや偏っており、

(8)

表1 使用した社会調査の概要

都城市調査 茅野市調査 三鷹市調査

調査の名称 地域福祉に関する

住民活動アンケート 地域福祉に関する

住民活動調査 地域福祉に関する 住民活動アンケート

実査時期 2017217日〜310日 

(高崎町117人再調査

321日〜413日) 201721日〜224 2017411日〜58

調査方法 郵送法 郵送法 郵送法

調査対象  都城市

(旧都城市、旧山田町、旧高崎町)

20歳以上居住者  茅野市20歳以上居住者  三鷹市20歳以上居住者 調査対象数  1000人(20171月選挙人

名簿登載者、旧都城市400人、

旧山田町300人、旧高崎町300人)

1000人 

20171月住民基本台帳 登載者)

1000人 

20173月住民基本台帳 登載者)

抽出方法 系統抽出 系統抽出 無作為抽出

(回収率)回収数 

338人(33.8%) 

 旧都城市135(33.8%) 

 旧山田町9130.3%) 

 旧高崎町97(32.3%) 

 不明15人 (内旧山之口町10人)

461人(46.1%)  242人(24.2%)

表2 3市調査の概要【属性】 (%)

性別 年齢3区分  世帯構成

男性 女性 39歳以下 4064 65歳以上 ひとり

暮らし 夫婦のみ 夫婦と

子どものみ 高齢親と 未婚の子 都城市 43.3 56.7 8.4 40.9 50.7 13.8 39.6 22.8 4.5 茅野市 42.4 57.6 17.2 32.7 50.1 10.5 29.9 22.8 8.3 三鷹市 40.3 59.7 17.8 46.1 36.1 15.4 21.3 40.4 5.8

世帯構成  居住歴

ひとり親と子 三世代 その他 土着 準土着 Uターン 来住後定住 流動 都城市 6.3 6.3 6.6 21.8 27.0 19.0 30.7 1.5 茅野市 3.6 14.1 10.9 17.7 19.1 8.4 47.2 7.7 三鷹市 3.8 6.3 7.1 4.9 3.6 4.0 68.9 18.7

居住年数   町会 ・ 区 ・ 自治公民館加入

1年未満 15年未満 510年未満 10〜20年未満 20年以上 加入 非加入 わからない 都城市 0.3 5.8 6.4 14.9 72.5 89.2 9.6 1.2 茅野市 0.1 9.8 10.3 19.8 59.4 79.0 16.4 4.6 三鷹市 2.0 16.9 12.4 23.4 45.3 48.8 43.4 7.9

(9)

回収率が低かったこともあって、単純集計結果の解釈には注意が必要である。

3.3 生活支援型サービス提供に対する態度

3

市の地域住民が自発的な地域福祉課題解決について、どのように捉えているのかを確認す るために、2つの質問を設けた。「歩行が困難になりつつある一人暮らしの高齢者が、地域で開 かれているふれあい・いきいきサロンに参加したいと思っているが、移動の手段がない」とい う質問と、「歩行が困難になりつつある一人暮らしの高齢者が、食料品を購入するための買い物 に行くことが難しい」という質問である。前者のふれあい・いきいきサロン活動(以下、サロ ン活動と省略)への参加支援は、一般的なサロン活動の開催頻度は月に数回程度であり、仮に サロン活動に参加できなくとも、生命に関わるような問題ではないことから、「低頻度低緊急 度」的な支援として位置付けている。一方、食料品の買い物支援は、日常生活を長期にわたっ て支える支援となることが想定され、その頻度は比較的頻回で、対象者の身体状況に大きく影 響する可能性があるため、「高頻度高緊急度」的な支援として設定した。選択肢は、「自ら取り 組む」、「話し合う」、「社会資源を紹介する」、「行政や専門機関などにつなぐ」といった段階を 想定し、3市の実態をふまえた選択肢を設けた。例えば、「話し合う」については、都城市では

「自治公民館(自治会)で話し合う」、茅野市では「コミュニティ運営協議会で話し合う」、三鷹 市では「地域ケアネットワークで話し合う」、「ほのぼのネットで話し合う」といった選択肢と なっている。

以下、この設問への回答結果を分析するが、両設問の意図が回答者に十分伝わったかどうか は、やや疑問が残る。例えば、買い物は、自分の買い物のついでに簡単にできると考え、むし ろサロン活動への送迎の方が、自家用車を使ってもしも事故を起こしたら大変だと、受け取ら れた可能性は否定できない。頻度や緊急度の観点からではなく、サロン活動への移動支援の方 が負担の大きい支援として受け取られた可能性もあり得る。このように、結果の解釈にあたっ ては注意が必要である。

結果の詳細は表

5、表 6

に示したが、3市ごとの順位は、表

3、表 4

の通りである。これをみ ると、低頻度低緊急度支援、高頻度高緊急度支援の双方で、「市役所の福祉関係課につなぐ」(表 中では市役所と省略、以下同様に省略)という対応がそれぞれもっとも多く支持されているこ とがわかった。3市の割合は、低頻度低緊急度支援では、都城市

22.7%、茅野市 28.5%、三鷹市

48.1%、高頻度高緊急度支援では、都城市 23.4%、茅野市 26.1%、三鷹市 44.6%であった。両支

援ともに都城市と茅野市の割合に大きな差はないが、三鷹市では両市の

2

倍近くの割合となっ ている。

低頻度低緊急度支援では、「市役所の福祉関係課につなぐ」に続く対応として、都城市では、

「自治公民館で話し合う」(自治公民館)(21.7%)、「近所の人に協力を依頼して、複数の住民と 一緒に世話をする」(住民協力)(19.4%)となり、3つの対応間に大きな割合の差は認められな かった。また、茅野市では「保健福祉サービスセンターなどの専門職につなぐ」(保健福祉サー

(10)

ビスセンター)(22.2%)、「近所の人に協力を依頼して、複数の住民と一緒に世話をする」(住 民協力)(20.4%)となり、やはり

3

つの対応の割合に、大きな違いはなかった。しかし、三鷹 市では、「地域包括支援センターなどの専門職につなぐ」(地域包括支援センター)(23.4%)、

「特に対応しない」(10.9%)となり、都城市、茅野市と異なり、各対応間の支持割合に差が認 められた。

高頻度高緊急度支援では、「市役所」に続いて、都城市では、「住民協力」(18.6%)、「自治公 民館」(15.6%)であり、茅野市では、「住民協力」(16.4%)、「保健福祉サービスセンター」

(15.9%)となり、比較的これらの対応間の割合の差は大きくはなかった。しかし、三鷹市では、

「地域包括支援センター」(23.8%)、「社協」(10.4%)、「NPO」(10.4%)となり、「市役所」と の差が大きくなっている。

以上から確認できることは、まず、3市の回答者は行政に相談するという対応を考える人が 少なくないという事実である。一方で、地域福祉活動の支援組織である社会福祉協議会に相談 する(つなぐ)という対応を挙げる人の割合は大きなものではなかった。

また、3市の回答者ともに、自分自身による直接支援を選ぶ人の割合は低いこともわかる。さ らに、「自ら取り組む」場合であっても、自ら支援するというわけではなく、住民協力での支援 がより支持されている。

低頻度低緊急度支援では、都城市では自治公民館での協議といった地域組織、茅野市と三鷹 市では保健福祉サービスセンター、地域包括支援センターなどの専門職での対応が

2

割程度で 支持されている。また、高頻度高緊急度支援でも、都城市、茅野市では住民協力による支援が

2

割弱程度で支持されている。

地域福祉課題対応の際に、個人として取り組もうとするのか、課題を共有し組織的に取り組 表3 サロン活動移送支援【低頻度低緊急度支援】

1 2 3 4 都城市 市役所

(22.7%) 自治公民館

(21.7%) 住民協力

(19.4%) 地区社協

(13.5%)

茅野市 市役所

(28.5%) 保健福祉サービスセンター

(22.2%) 住民協力

(20.4%) 特に対応しない

(9.7%)

三鷹市 市役所

48.1%) 地域包括支援センター

23.4%) 特に対応しない

10.9%) NPO

10.0%)

表4 買い物支援【高頻度高緊急度支援】

1 2 3 4 都城市 市役所

(23.4%) 住民協力

(18.6%) 自治公民館

(15.6%) 地区社協

(13.2%)

茅野市 市役所

(26.1%) 住民協力

(16.4%) 保健福祉サービスセンター

(15.9%) 社協

(15.4%)

三鷹市 市役所

(44.6%) 地域包括支援センター

(23.8%) 社協

(10.4%) NPO

(10.4%)

(11)

むのかは、活動負担、継続性、活動効果などに影響する重要な問題である。詳細な検討は別稿 に譲るが、組織的に取り組むためには、「話し合う」機会の有無が問われる。都城市では、話し 合うという対応を支持する人の割合が、茅野市、三鷹市と比較して、かなり高くなっている。

表5 低頻度低緊急度支援の状況

「歩行が困難になりつつある一人暮らしの高齢者が、地域で開かれているふれあい・いきいきサロンに 参加したいと思っているが、移動の手段がない」への対応(%)

都城市(n=338) 茅野市(n=461) 三鷹市(n=239)

自分で世話をする 6.9 5.1 2.5

近所の人に協力を依頼して、複数の住民と一緒に世話をする 19.4 20.4 7.5  (都城)自治公民館(自治会)で話し合う 

 (茅野)コミュニティ運営協議会で話し合う 

 (三鷹)地域ケアネットワークで話し合う 21.7 3.5 3.3

 (三鷹)ほのぼのネットで話し合う 2.9

NPOなどサービスを提供している団体を紹介する 1.3 1.6 10.0  (都城)地区社会福祉協議会につなぐ 

 (茅野)保健福祉サービスセンターなどの専門職につなぐ 

 (三鷹)地域包括支援センターなどの専門職につなぐ 13.5 22.2 23.4  (都城)市社会福祉協議会につなぐ 

 (茅野)社会福祉協議会につなぐ 

 (三鷹)社会福祉協議会につなぐ 5.9 5.6 9.2 市役所の福祉関係課につなぐ 22.7 28.5 48.1

その他 3.6 3.5 4.6

特に対応しない 4.9 9.7 10.9

表6 高頻度高緊急度支援の状況

「歩行が困難になりつつある一人暮らしの高齢者が、食料品を購入するための買い物に行くことが難し い」への対応(%)

都城市(n=338) 茅野市(n=461) 三鷹市(n=240)

自分で世話する 6.4 5.7 4.2

近所の人に協力を依頼して、複数の住民と一緒に世話をする 18.6 16.4 8.8  (茅野)コミュニティ運営協議会で話し合う 

 (都城)自治公民館(自治会)で話し合う 

 (三鷹)地域ケアネットワークで話し合う 15.6 3.3 4.2

 (三鷹)ほのぼのネットで話し合う 1.3

NPOなどサービスを提供している団体を紹介する 6.8 4.8 10.4  (茅野)保健福祉サービスセンターなどの専門職につなぐ 

 (都城)地区社会福祉協議会につなぐ 

 (三鷹)地域包括支援センターなどの専門職につなぐ 13.2 15.9 23.8  (茅野)社会福祉協議会につなぐ 

 (都城)市社会福祉協議会につなぐ 

 (三鷹)社会福祉協議会の地域生活支援係につなぐ 4.7 15.4 10.4 市役所の福祉関係課につなぐ 23.4 26.1 44.6

その他 4.4 3.8 5.4

特に対応しない 6.8 8.6 9.6

(12)

先述したように、都城市における自治公民館という包括的な地域組織の統合度が、こうした結 果の背景にあると推測されるが、地域福祉課題対応への態度との関係については、今後さらに 検討が必要である。

また、こうした地域住民による課題解決が、適切かつ効果的であるかどうかの判断は難しいと もいえる。行政や専門機関に適切に依存する方が、課題解決が効果的に達成されるため、あえて 自分達では手を出さず、「つなぐ」という判断もあり得る。こうした点も考慮すべきであろう。

表7 見守り活動などの地域福祉活動への参加経験の有無(%)

参加経験あり 参加経験なし

都城市(n=330) 38.2 61.8

茅野市(n=454) 25.1 74.9

三鷹市(n=242) 28.1 71.9

表8 地域福祉活動参加経験別の属性 (%)

性別 年齢3区分

男性 女性 39歳以下 4064 65歳以上 都城市 参加あり 46.7 53.3 4* 31 55.1

参加なし 41.7 58.3 11.3 47.1 41.7 茅野市 参加あり 36.6 63.4 6.1* 18.4 75.4 参加なし 44.6 55.4 21.2 37.5 41.3 三鷹市 参加あり 32.8 67.2 11.8 42.6 45.6 参加なし 43.3 56.7 20.2 47.4 32.4

世帯構成

ひとり暮らし 夫婦のみ 夫婦と子どものみ 高齢親と未婚の子 ひとり親と子 三世代 その他 都城市 参加あり 14.5 46 17.7 4 4.8 8.1 4.8

参加なし 13.2 36.8 26 4.9 6.9 5.4 6.9 茅野市 参加あり 11.8 37.3 16.4 7.3 1.8 17.3 8.2 参加なし 9.9 26.9 25.1 8.7 4.2 13.2 12 三鷹市 参加あり 13.2* 20.6 32.4 10.3 4.4 13.2 5.9 参加なし 16.3 21.5 43.6 4.1 3.5 3.5 7.6

  居住歴  町会 ・ 区 ・ 自治公民館加入

土着 準土着 Uターン 来住後定住 流動 加入 非加入 わからない 都城市 参加あり 24.4 26.0 20.3 27.6 1.6 96* 3.2 0.8

参加なし 20.1 28.1 18.1 32.7 1.0 84.7 13.9 1.5 茅野市 参加あり 17.0 22.6 10.4 47.2 2.8 91.2* 7.0 1.8 参加なし 17.8 18.1 7.8 46.9 9.4 74.6 19.8 5.6 三鷹市 参加あり 10.4* 3.0 6.0 74.6 6.0 72.1* 22.1 5.9 参加なし 2.5 3.8 3.2 66.5 24.1 39.7 51.7 8.6

*p<0.05

(13)

3.4 地域福祉活動への参加経験と生活支援型サービス提供への態度

地域福祉計画においても、地域住民の地域福祉活動への参加が強調されてきたが、実際に地 域福祉活動を行った経験と、先に確認した生活支援型サービス提供への態度との関連を確認し ておきたい。

まず、3市ともに地域福祉活動への参加経験者の割合は必ずしも低い割合ではなかった(都 城市

38.2%、茅野市 25.1%、三鷹市 28.1%)(表 7)。

これらの参加経験者の属性を確認しておく(表

8)。参加経験の有無別で有意差が認められた

属性のみを示すと、年齢階層別で、都城市、茅野市では参加経験者は高齢層の割合が高かった。

また、世帯構成別で、三鷹市では参加経験のある人は三世代、高齢親と未婚の子の割合が高く、

夫婦と子どものみの割合が低かった。居住歴で、三鷹市では参加経験者は土着層、来住後定住 の割合が高く、流動層の割合が低かった。町会・区・自治公民館加入で、都城市、茅野市、三 鷹市で参加経験者の加入率が高かった。三鷹市の非参加経験者で、自治会に参加していない人

表9 地域福祉活動への参加経験別、3市間別生活支援型サービス提供【低頻度低緊急度支援】への対応

(都城市 p<0.01 茅野市 p<0.01 三鷹市は複数回答として集計)(%)

自分で世話 をする

近所の人に 協力を依頼 して、複数 の住民と一 緒に世話を する

(都城)自治公民館(自 治会)で話し合う 

(茅野)コミュニティ 運営協議会で話し合う 

(三鷹)地域ケアネット ワークで話し合う

(三鷹)ほの ぼのネット で話し合う

NPOなど サービスを 提供してい る団体を紹 介する

都城市(n=114) 8.8 26.3 21.9 0.0

参加経験あり 茅野市(n=105) 6.7 33.3 4.8 1.9

三鷹市(n=67) 4.5 9.0 7.5 7.5 9.0

都城市(n=184) 5.4 15.2 22.3 2.2

参加経験なし 茅野市(n=322) 4.3 16.1 3.1 1.6

三鷹市(n=172) 1.7 7.0 1.7 1.2 10.5

(都城)地区社会福祉 協議会につなぐ 

(茅野)保健福祉サー ビスセンターなどの専 門職につなぐ 

(三鷹)地域包括支援 センターなどの専門職 につなぐ

(都城)市社会福祉協 議会につなぐ 

(茅野)社会福祉協議 会の地域生活支援係に

(三鷹)社会福祉協議つなぐ  会の地域生活支援係に つなぐ

市役所の福祉関係 課につな

その他 特に対応しない

都城市(n=114) 18.4 4.4 13.2 3.5 3.5

参加経験あり 茅野市(n=105) 19.0 9.5 16.2 1.9 6.7

三鷹市(n=67) 26.9 11.9 44.8 7.5 3.0

都城市(n=184) 9.8 7.1 28.3 3.8 6.0

参加経験なし 茅野市(n=322) 23.6 4.3 32.0 4.0 10.9

三鷹市(n=172) 22.1 8.1 49.4 3.5 14.0

(14)

の割合は

5

割程度(51.7%)であった。都市部の三鷹市において、地域福祉活動の参加経験者 は、非参加経験者と比較して、居住歴が長く、自治会に加入している割合が高いことがうかが える。

次に、地域福祉活動への参加経験の有無別に、先に検討した生活支援型サービス提供に対す る態度をみると、全体でもっとも大きな割合となった「市役所の福祉関係課につなぐ」という 回答は、低頻度低緊急度支援、高頻度高緊急度支援の双方ともに、都城市、茅野市では、参加 経験者の割合が低くなっていることがわかる。しかし、三鷹市では、双方とも

4

5

割を占め ており、その差はほとんど認められない(表

9、10)。

また、都城市、茅野市では、低頻度低緊急度支援で、参加経験者の方が、住民協力による支 援の支持割合が高いが(都城市

26.3%、茅野市 33.3%)、三鷹市では住民協力での支援への支持

が低く、参加経験による差はほとんど認められなかった。高頻度高緊急度支援でも同様の傾向 があるが、低頻度低緊急度支援と比較すると、大きな差は認められなかった。

表10 地域福祉活動への参加経験別、3市間別生活支援型サービス提供【高頻度高緊急度支援】への対応

(都城市 p<0.05茅野市 p<0.01 三鷹市は複数回答として集計)(%)

自分で世話 をする

近所の人に 協力を依頼 して、複数 の住民と一 緒に世話を する

(都城)自治公民館(自 治会)で話し合う 

(茅野)コミュニティ 運営協議会で話し合う 

(三鷹)地域ケアネット ワークで話し合う

(三鷹)ほの ぼのネット で話し合う

NPOなど サービスを 提供してい る団体を紹 介する

都城市(n=109) 9.2 19.3 20.2 8.3

参加経験あり 茅野市(n=103) 5.8 22.3 2.9 3.9

三鷹市(n=105) 6.0 11.9 9.0 3.0 6.0

都城市(n=179) 5.0 16.8 13.4 6.1

参加経験なし 茅野市(n=315) 5.4 14.6 3.5 5.1

三鷹市(n=105) 3.5 7.5 2.3 0.6 12.1

(都城)地区社会福祉 協議会につなぐ 

(茅野)保健福祉サー ビスセンターなどの専 門職につなぐ 

(三鷹)地域包括支援 センターなどの専門職 につなぐ

(都城)市社会福祉協 議会につなぐ 

(茅野)社会福祉協議 会の地域生活支援係に

(三鷹)社会福祉協議つなぐ  会の地域生活支援係に つなぐ

市役所の福祉関係 課につな

その他 特に対応しない

都城市(n=109) 16.5 3.7 11.0 5.5 6.4

参加経験あり 茅野市(n=103) 12.6 26.2 14.6 3.9 7.8

三鷹市(n=105) 31.3 11.9 41.8 6.0 1.5

都城市(n=179) 11.7 5.0 30.7 3.9 7.3

参加経験なし 茅野市(n=315) 16.8 12.1 29.8 3.8 8.9

三鷹市(n=105) 20.8 10.4 45.7 5.2 12.7

(15)

非参加経験者は、3市の回答者ともに市役所につなぐという行政依頼志向が強いことも示さ れているが、都城市、茅野市では、その割合が

3

割前後であるのに対して、三鷹市では

5

割弱 となっている。

都城市では、参加経験者の方が、低頻度低緊急度、高頻度高緊急度支援ともに、地区社会福 祉協議会につなぐことを支持する割合が高い。この地区社会福祉協議会は、先に述べたように 市内

15

地区(中学校区)の地区公民館に、事務局と地区担当者が配置されており、主に相談窓 口としての機能を果たしている。これは都城市社会福祉協議会の地域福祉活動計画策定によっ て設置されたものであり、参加経験者が、こうした地域資源との接点を持っていることを推測 させる結果である。また、低頻度低緊急度支援では参加経験の有無にかかわらず、自治公民館 で話し合うという対応が

2

割前後の支持を集めている。

茅野市では、非参加経験者の方が、わずかではあるが、保健福祉サービスセンターなどの専門 職での対応を支持する割合が高くなっている。また、三鷹市では、参加経験の有無による差はあ まり認められず、市役所や地域包括支援センターなどにつなぎ、こうした専門機関による解決志 向が、他市よりも強く示されていることがわかる。さらに、「特に対応しない」とする

3

市の回 答者の割合は、都城市、茅野市での高頻度高緊急度支援ではわずかな差ではあるが、非参加経験 者の方が高くなっている。この傾向は、都城市、茅野市と比較して、三鷹市で明瞭に認められる。

このように、地域福祉活動の参加経験別に地域福祉課題対応の状況をみると、活動経験者の 方が、自分自身で行うにせよ、住民協力であるにせよ、自ら取り組むという対応の割合が高い ことが、とりわけ低頻度低緊急度支援に現れている。しかし、地方圏の都城市、茅野市と、都 市圏の三鷹市とでは、傾向に差があることもわかる。都市的生活様式の拡大の結果といえるほ ど単純ではないが、先に述べた

3

市の地域住民の統合を支える地域組織との関係も含めて、今 後確認する必要があると思われる。

4.地域福祉課題への態度と地域福祉計画

本稿で得られた知見を、簡単に整理しておきたい。まず、身体状態が不安定になりつつある 一人暮らし高齢者を想定した地域福祉課題に対する態度をみると、低頻度低緊急度、高頻度高 緊急度という支援負担の異なる

2

つの活動を設定したにもかかわらず、3市ともに市役所(行 政)につなぐという対応が多くの支持を集めていた。一方、地域福祉活動の推進主体として期 待されている社協につなぐという対応は大きな支持を集めているわけではなかった。自ら取り 組む場合は、自分自身で支援するというわけではなく、住民協力での支援がより支持されてい た。また、都城市は、茅野市、三鷹市と比較して、自治公民館で話し合うという対応が存在感 を持っていた。

次に、地域福祉活動参加経験は、必ずしも低い割合ではなく、地域福祉活動参加経験者の方 が、住民協力での対応を支持する割合が高い傾向にあった。また、非参加経験者は、行政依頼

(16)

志向が顕著であった。先に述べたように、地域福祉活動への参加経験の有無が、地域福祉課題 対応への態度に影響していることがわかる。地域福祉活動への参加経験者の方が、自発的な課 題解決行動を支持する割合が高く、非行政依頼志向とでもいえる態度が示されている。このこ とはこれまでの地域福祉計画策定によって展開されてきた地域福祉活動の蓄積、実績による効 果とも考えられる。こうした点からも、地域福祉計画策定による地域社会への介入効果を把握 するための手がかりが得られるかもしれないが、今後の検討課題としたい。

1 ) 本調査は

JSPS

科研費15H03434(研究代表者:市川一宏)の助成を受けて実施された。ま た、本稿は(高野 2018)に加筆したものであるため、記述の重複がある。

2 ) 本稿では紙幅の制約のため、3市の地域福祉計画策定の経緯、計画の特徴などに関する記 述は省略した。これらの概要は(秋貞 2018: 6-7)を参照されたい。

引用・参考文献

秋貞由美子,2018,「本調査研究の全体概要」日本地域福祉学会研究プロジェクト『地域共生社 会の実現にむけた地域福祉の実践・理論課題』2-7.

http://jracd.jp/file/2017/2018forum_report.

pdf(閲覧日2018年9月18日)

地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会(地域力強化 検討会),2017,『地域力強化検討会最終とりまとめ〜地域共生社会の実現に向けた新しい ステージへ〜』.http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaiho

kenfukushibu-Kikakuka/0000177049.pdf(閲覧日2018年9月18日)

厚生労働省「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部,2017,『「地域共生社会」の実現に向け て( 当面の改革工程 )』.http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12601000-Seisaku 

toukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000150632.pdf(閲覧日2018年9月18日)

日本地域福祉学会研究プロジェクト,2017,『地域福祉に関する住民活動調査 調査結果報告 書』.http://jracd.jp/file/2017/20180121forum/1.pdf(閲覧日2018年9月18日)

日本地域福祉学会研究プロジェクト,2018,『地域共生社会の実現にむけた地域福祉の実践・理 論課題』.http://jracd.jp/file/2017/2018forum_report.pdf(閲覧日2018年9月18日)

高野和良,2007,「地域福祉計画とコミュニティ再生」牧里毎治・野口定久編著『協働と参加の 地域福祉計画 福祉コミュニティの形成に向けて』ミネルヴァ書房

:190-202.

高野和良,2018,「地域福祉活動における圏域設定と地域福祉課題への態度都城市・茅野市・

三鷹市住民対象調査結果の比較から」日本地域福祉学会研究プロジェクト『地域共生社会 の実現にむけた地域福祉の実践・理論課題』17-26.http://jracd.jp/file/2017/2018forum_

(17)

report.pdf(閲覧日2018年5月13日)

土橋善蔵・鎌田實・大橋謙策,2003,『福祉21ビーナスプランの挑戦』中央法規.

参照

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