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トキソカラ症の感染に対する背景としての生物環境 汚染

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Academic year: 2022

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トキソカラ症の感染に対する背景としての生物環境 汚染

著者 高橋 あけみ

著者別名 Takahashi, Akemi

雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査

結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科

巻 平成7年7月

ページ 84

発行年 1995‑07‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/15334

(2)

医博乙第1338号 平成7年3月15曰 高橋あけみ

トキソカラ症の感染に対する背景としての生物環境汚染 学位授与番号

学位授与年月日 氏名 学位論文題目

野村藤澤

荻中近岡 規一至雄景信力孝

授授授師教教教講

論文審査委員 主査 副査

内容の要旨及び審査の結果の要旨

戦後,日本人の食生活,生活環境は大きく変化し,一般消化器系寄生虫症は著しく減少した。反面人畜 共通寄生虫症,あるいは幼虫移行症といわれる新しい寄生虫症が次々と発見されるようになった。中でも トキソカラ症はイヌ・ネコ姻虫等のトキソカラ属線虫を病原とする幼虫移行症で,診断治療が極めて困難 な疾患である。その感染は環境汚染に深く関わっており,疫学的にその背景を解明することが本症の感染 を減らす上で重要課題となっている。本研究では,本症の感染源となるイヌ・ネコ蛆虫卵の生活環境中,

特に金沢市内の公園での散布状況を硫苦・飽和食塩水浮遊法により調べ,小児の手に付着する砂の量から 汚染の危険性について検討した。さらに金沢市住民におけるイヌ姻虫幼虫排泄・代謝物(TcnLES)抗原に 対する抗体保有状況をELISAにより調査した。成績の要約は以下の通りである。

1.市内住宅地の46カ所の公園のうち,6公園(136%)の砂場からイヌ・ネコ蛆虫の虫卵が検出された。

最も高い虫卵密度の公園では砂19当たり0.8ケであった。検出された虫卵の体積は,イヌ蛆虫よりも ネコ蛆虫幼虫包蔵卵の計測値に近い値を示した。

2.三才児の手に付着する砂の量は砂の乾燥程度により異なり,湿潤砂で平均210±0.419,乾燥砂では0

70±0.129であった。手に付着する砂量と動物実験での虫卵の感染率から,1隻の幼虫が侵入するに必

要な虫卵密度は1.29/gと推定された。金沢市においては最も虫卵密度が高い砂場でも08ケ/gであり,

また手に付いた砂が全て経口的に摂取されることはほとんどあり得ないため,本研究で見られた程度の 虫卵密度では,トキソカラ症発症の危険性は低いものと考えられた。

3.住民の平均抗体価は1.04±0.33であり,陽性域抗体価保有者は5名(1.05%)であった。この値を金沢 市以外の石川県住民や東京,神奈川などの都市住民のものと比較したとき,有意な差は見られなかった。

すなわち,本調査域では生活環境中に虫卵散布はあるものの,住民の虫卵摂取量は少なく,抗体価が 陽性域抗体価を示すようになるためは,長期間に渡って侵入幼虫の蓄積,感作の必要があるものと推察

された。

以上,本研究はトキソカラ属線虫卵による環境汚染と住民の抗体保有状況の関係を調査し,汚染の危険 性を表す基準を新たに示しており,感染症に関する公衆衛生学のみならず地域環境医学の領域に寄与する 労作であると評価された。

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