1 ・ 2 期線一体の基礎を有するラーメン橋における 2 期線の計画と設計
東日本高速道路(株) ○正会員 宇山友理※1 八千代エンジニヤリング(株) 正会員 中田裕士※2 東日本高速道路(株) 正会員 東田典雅※1 八千代エンジニヤリング(株) 非会員 木内耕治※2 東日本高速道路(株) 非会員 齋藤 宏※1 東日本高速道路(株) 非会員 市川智子※1
1.はじめに
上信越自動車道(信濃町
IC~上越 JCT)では交通集中渋滞の緩和や冬期の円滑な交通確保を主たる目的とし
た四車線化事業を行っている.この区間にあり,1級河川関川を渡河するれいめい橋 1 期線は,平成7
年に架 橋されたPC5+3
径間連続ラーメン箱桁橋(最大支間142m)である.本橋下部工は,直接基礎,場所打ち杭,お
よびニューマチックケーソンを有するが,場所打ち杭を除き 1・2 期線一体の基礎である.本橋の耐震補強お よび 2 期線設計を行うに際し,既設基礎の耐震性,補強方法を評価の上で,2 期線は既設ケーソン基礎を使用 しないPC5+4
径間連続ラーメン箱桁橋(最大支間106m)を採用し,既設ケーソンの補強を不要とした.また,
1・2 期線で異スパン割となるため,地震時の挙動に留意した 2 期線計画とした.本稿は,2 期線の橋梁計画を 中心に,これらの検討項目の内容と結果について報告する.
2.1 期線施工時の 2 期線計画概要と課題の抽出
本橋は被圧地下水やφ1m超の大玉石を含む礫質土地盤上に位置し,冬期の
4m
を超える積雪深での施工を 強いられることから 1 期線段階で 1・2 期線一体の基礎が計画・施工されていた(図-1,写真-1,2)。本橋 2 期線の計画・設計は,道路橋示方書(以下,道示と称す)等設計基準の改定を踏まえ,既設下部工を最大限に有 効利用しながら実施していく必要があり,下記の課題を解決する必要があった.1)大規模となる既設ケーソンの補強を踏まえた 1・2 期線双方で耐震性を満足する構造形式の検討 2)1・2 期線兼用底版を有し柱基部が施工済みの
P1~P4
橋脚の耐震性確保3.構造形式の検討
3-1.1・2 期線兼用の既設ケーソン耐震性能 評価を踏まえた P5~A2 支間割の検討 (1)既設ケーソンの耐震性評価
平成
8
年道示以前の既設ケーソンは,現行 基準に基づく設計に比べると鉛直方向鉄筋量 が少なく,レベル2
地震時における耐震性能 を満足しない状況にある.特に側壁の鉛直方 向鉄筋が少なく,基礎本体の終局曲げモーメント(Mu)が鉄筋コンクリートのひび割れ曲げモーメント(Mc)よりも小さい場合(Mc>Mu)には,側壁が脆性 破壊,基礎の変形性能が小さくなることが懸念される.本橋既設ケーソンの側壁鉛直方向鉄筋は
D19@300
が図- 1 1 期線施工時の 2 期線計画図
キーワード
PC
ラーメン橋,ケーソン基礎,被圧地下水,近接施工連絡先 ※1東日本高速道路(株)新潟支社〒950-0917 新潟市中央区天神1-1新潟プラーカ3(4F) TEL025-241-5212 ※2八千代エンジニヤリング(株)〒161-8575 東京都新宿区西落合2-18-12 TEL03-5906-0700
写真-1 P4 橋脚
写真-2 P7 橋脚
2 期線橋脚 の既設部分
2 期線橋脚の既設部分
図-2 既設ケーソンの耐震性能照査結果
・2 期線荷重を 1 期線 に対する荷重増分比 率として評価した.
・1.2 倍で曲げ耐力を 超過し 1.4 倍で前面 地盤の塑性率が許容 (60%)を越える.
基礎の余裕は 1 期線 に 対 す る 荷 重 増 分 比 で 20% 程 度 で あ り,2 期線にどのよ うな橋種,構造等を 計 画 し て も 補 強 は 必要である(1 期線 の み な ら 補 強 不 要 である).
塑性率の 上限
曲げ耐力
0 500 1000 1500 2000 2500
0 20 40 60 80 100
1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2.0
曲げモーメント(MNm)
前面地盤の塑性率 [底面地盤の浮上率](%)
Ⅰ期線に対する荷重比率(倍) 前面塑性率
底面浮き上がり率 最大曲げモーメント
1.2 倍で最大曲げモーメント が曲げ耐力を超過.
1.4 倍で前面塑性率 が許容(60%)を超過
土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)
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配置されている程度であり,現行基準により照査すると既設ケーソンは 1 期線のみでは耐震性を有するが,曲 げ耐力に余裕が無く,2 期線にどのような橋種,構造等を計画しても補強が必要であることを把握した(図-2).
(2)P5~A2 径間構造形式検討 上記結果を踏まえ,P5~A2径間 の構造形式は下記
2
案について比 較検討の上,決定するものとした.【第
1
案:既設ケーソンを補強せ ず新規に橋脚基礎を設置する 2 期 線支間割変更案】:橋脚位置は交 差・近接条件および張出し架設のブ ロック割を考慮して4
径間とし(図 -3),基礎形式はディープウェル併 用の場所打ち杭(全周回転オールケ ーシング工法)を選定した.選定に 当たっては,1 期線時の施工記録の 精査,近年の場所打ち杭の施工実績,補助工法等の検討を行い当該箇所 における施工が可能と判断した.
【第 2 案:既設ケーソンを補強して利用する 1・2 期線 同一支間案】:ケーソン基礎の補強は実績が少なく,補 強設計手法が確立されている状況にはないが,交差条件,
地盤条件による制約や経済性より「鋼管矢板基礎増設工 法」を選定し,上部工形式は死荷重軽減が図れる波形鋼 板ウェブラーメン箱桁橋とした.
比較の結果,経済性の観点より第
1
案を選定し,既 設ケーソン基礎の補強を回避することとした(表-1).なお,1・2 期線異スパンとなるため双方の非線形動 的解析結果による橋軸直角方向相対変位量を元に地震 時の桁衝突が発生しない離隔を確保した.
3-3.既設 P1~P4 橋脚の耐震性確保
2
柱式直接基礎のP1~P4
橋脚基部は平成24
年道示 に規定される地震波を用いた解析を実施した結果,耐 力不足を確認した.そこで,当該 2 期線橋脚はじん性 を向上させるPC
貫通鋼材を併用したRC
巻き立てによ る補強および底版のせん断耐力向上を図る上面増厚を 実施し(図-4),施工済み下部工を利用することが現地 条件や補強工法の実績からも十分可能と判断した.4.まとめ
上信越自動車道れいめい橋 2 期線は,既設下部工のうちケーソン基礎については橋梁形式を変更することに より補強を回避し,直接基礎については補強を実施した上で利用することとした.道路拡幅や 2 期線の計画が ある路線においては,適用基準の改定に対して柔軟に対応できる構造形式にすべきと考えられ,今回の事例が 今後の橋梁計画の参考になれば幸いである.
図-4 橋脚補強図(P1 橋脚)
貧配合の保護コンク リート部をウォータ ージェットではつり,
既設主鉄筋に圧接す る計画とした.
(単位:百万円)
○ △
○ △
△ ○
評価
波形鋼板ウェブ橋
選定 非選定
PC4径間連続ラーメン箱桁橋 PC3径間連続波形鋼板ウェブ橋
基礎の補強は不要 支間がアンバランス コンクリート箱桁
基礎の補強が必要 支間割は問題ない 考察
1872.5 2008.0 (1.00) 合計 (1.07) 経済性
下部工 補強工 仮設工
1087.0 242.0 616.0 63.0 合計
上部工 補強工
仮設工
932.0 659.0 0.0 281.5
第1案 第2案
上部工 下部工
表- 1 P5~A2 径間構造形式比較
【P6 橋脚】既設ケーソンと の近接条件※1が制限範囲内 とならない位置とした.
【P8 橋脚】既設ケーソンに対す る近接条件※1,施工時の仮設規 模,架設ブロック割により設定し た.
図-3 第 1 案における支間割
【P7 橋脚】最大支間部とな るため,極力河川側に寄せ る位置で,施工時に土留め が河道を阻害せず,かつ橋 脚柱が河川管理用通路を侵 さない位置とした.
※1: 都市部鉄道構造物の近接施工対策マニュアル (2007.1 鉄道総研)による
土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)
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