キャンプに参加した子どもの自己制御機能と自己実現の変容に関する研究 木村 朊貴 (生涯スポーツ学科 野外スポーツコース)
指導教員 林 綾子
キーワード:キャンプ 自己制御機能(自己主張性・自己抑制性) 自己実現 1. 序論
今日、社会情勢の急激な変化に伴い、著しい 環境の変化がみられ、そのような中にあって、
自分らしい生き方の基本の1つに自己実現が あると考える。教育の現場では、自己実現の欲 求は、環境との関わりを通して育まれていくと 考えられ、仲間との相互作用の中に自己実現へ の鍵があると考えられ、仲間との様々な葛藤の 中で、自分の考えや思いを押し通したり(自己 主張性)、我慢すること(自己抑制性)を覚え ていく。このように自己を調節する 機能 は、
自己制御機能と呼ばれる。
筆者は野外スポーツコースを専攻してお り、キャンプ体験による、参加者の自己表現 力の向上や、自己の成長を感じることができ、
キャンプ体験により、自己制御機能と自己実 現ともに効果があると考えた。
そこで本研究では、キャンプに参加した子ど もの自己制御機能と自己実現の変容を明らか にするとともに、自己制御機能(自己主張性・
自己抑制性)と自己実現との関連を明らかにす ることを目的とした。
2. 研究方法
【対象者】平成 23 年 8 月 7 日から 8 月 9 日の 2 泊 3 日の「2011 年サマーキャンプ 集ま れ!!友達いっぱい!!」に参加した、Oスポ ーツアカデミー所属の小・中学生、計 10 名を 対象とした。
【調査方法】参加者の自己制御機能・自己実現 を測定するため、樟本ら(2003)が作成した「自 己制御機能」の 2 因子(自己主張性・自己抑制 性)12 項目を子ども達に、子ども達について の「自己実現」15 項目を指導教員に、キャン プ前(Pre)・キャンプ直後(Post1)・キャンプ 1 ヶ月後(Post2)に回答してもらった。
3. 結果と考察
1)キャンプ体験を行った被験者の、調査時期 ごとでの自己制御機能の平均値・標準偏差を算 出するため Wilcoxon の符号付き順位検定で分 析した結果、キャンプ前とキャンプ直後で有意 に向上した結果が得られ、キャンプ直後からキ ャンプ一か月後においても有意に向上した。因 子別では、自己主張性において、すべての調査 時期で有意に向上したが、自己制御機能は有意 に向上しなかった。この結果から自己制御機能 の向上に影響を与えた要因は、自己主張性の側 面であると考える。
Pre Post1 Post2 X²
自己制御機能 10 57.80(6.08) 59.40(6.05) 61.70(6.07) 17.211(**)
自己主張 10 32.90(5.62) 34.30(5.71) 35.90(5.56) 11.706(*)
自己抑制 10 24.90(3.31) 25.10(2.47) 25.80(2.70) 4.467(n.s.)
表1.自己制御機能の平均値・標準偏差
*P<.05,**P<0.1
N M(SD)
自己制御機能の向上の一つの要因として、仲 間と協力し課題をクリアする中で、自らの考え を発言し、協力し合いながら取り組むプログラ ムがあったことだと考えられる。 また、キャ
ンプ一か月後にかけ向上した理由として、キ ャンプ中に自己主張することが身に付いた、
もしくは自己主張の重要性に気づくことが できた者が、キャンプ体験後にも自己を表現 することができ、自己主張性をさらに向上さ せることができたのだと考える。 自己抑制性 の得点は、個人によって得点のばらつきがあり、
全体の平均得点には有意な向上がみられなか ったのだと考える。
2)キャンプ体験を行った被験者の、調査時期 ごとでの自己実現の平均値・標準偏差を算出す るために Wilcoxon の符号付き順位検定で分析 した結果、キャンプ前とキャンプ直後で有意に 向上した結果が得られ、キャンプ直後からキャ ンプ一か月後においても有意に向上した。
Pre Post1 Post2 X²
自己実現 10 49.70(6.20) 50.80(6.01) 54.00(6.46) 16.595(**) 表2.自己実現の平均値・標準偏差
**P<.01
N M(SD)