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価値と生産価格(下) ──総計一致の

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(1)

4.資本の循環運動と総計一致の2命題の把握

 再生産の諸側面の態様を示す出発価値表式,価値価格表式,生産価格表 式,生産価格対応価値表式,価値再分配表式の各表式を,資本の循環運動 と対応させて位置づけ,表式との関連で把握される総計一致の2命題をこ

 555 商学論纂(中央大学)第

59

巻第1

2号( 2017

年9月)

価値と生産価格(下)

──総計一致の2命題の把握──

高 島 浩 之

   目   次

Ⅰ.価値表式と生産価格表式  1.課題の設定

 2.価値表式から価格表式の導出  3.価格表式から生産価格表式の特定

 4.価値表式と生産価格表式の比較で捉えた2命題の両立  5.総計一致の2命題と価値法則の理解

   ──以上,本稿(上)(商学論纂第56巻第5

6号掲載)──

Ⅱ.生産価格表式と生産価格対応価値表式  1.価格表式から価格対応価値表式の導出

 2

.生産価格表式と生産価格対応価値表式の比較で捉えた2命題の

両立

 3.生産価格の成立と不等価値交換

   ──以上,本稿(中)(商学論纂第57巻第1

2号掲載)──

 4.資本の循環運動と総計一致の2命題の把握

補論1.費用価格の生産価格化と総計一致の2命題 補論2.剰余労働の搾取と利潤の存在

   ──以上,本稿(下)──

(2)

れまでの考察結果を踏まえて整理しておこう。

 出発価値表式と価値価格表式は生産過程で生産された総生産物の等価値 交換による現物補塡関係を,生産価格表式は流通過程における生産価格に よるそれを分析することができる。生産価格対応価値表式は流通過程での 生産価格取引の背後でなされる価値取引関係を,価値再分配表式は流通過 程での不等価値交換を通過して結果する価値配分の変更をみることができ る。

 表式の作成順序は,まず出発価値表式が与えられ,それから価値価格表 式と生産価格表式が,生産価格表式から対応価値表式と価値再分配表式が 導出される。しかし表式の時間的成立順序からすれば,生産過程の終点に 位置する価値表式[

A

]と価値価格表式[

A

′]が最初に成立し,それに流 通過程での取引関係を示す生産価格表式[

B

]および生産価格表式と同じ く流通過程に属してそれと同時点で成立する生産価格対応価値表式【

B

′】

の2表式が続き,最後に流通過程を通過した時点で成立する価値再分配表 式[

C

]が位置する。資本の循環運動における

W′─ G′─ W

に対応させ て各表式を上段の価格タームと下段の価値タームに分けて位置づけるとす れば,次表のようになる。

 従来の総計一致の2命題の成立・不成立は,価値タームにあり生産過程 の終点に位置する価値表式[

A

]と価格タームにあり流通過程に属する生 産価格表式[

B

]との成立時点を異にする2表式の間で検討されてきた。

価値表式[

A

]と生産価格表式[

B

]の比較による総計一致の2命題とは,

第1命題が総価値

w

1

w

2=総生産価格

p

1

p

2,第2命題が総剰余価値

m

1

m

2=総平均利潤

r

1

r

2と定義される。これまでなされた転形問題 論争は,この定義を前提として議論が展開された。その場合に2命題の両 立は,2部門分割の再生産表式を採用すれば価値表式[

A

]に総資本構成

=部門構成なる条件を満たす表式を置く以外になく,そのような価値表式

(3)

は特殊ケースとなる。単純再生産の部門構成ではその条件を満たすことは できず,したがって2命題の両立は不可能であった。2部門分割の単純再 生産表式で考察する限り,第1命題と第2命題は背反関係にあり,第1命 題を犠牲として第2命題の成立を主張するか,あるいは第1命題を救うた めに第2命題を犠牲とするかの選択に迫られる。このような理論設定では いずれか一方の命題を支持すべき確固たる根拠はない。総価値が総生産価 格を規制することを重視すれば第1命題を,総剰余価値が総平均利潤を規 制する関係を重視すれば第2命題を支持することになるが,いずれを選択 するかの理論的根拠は2表式[

A

]と[

B

]の比較からは提供されること なく,あくまでも選択の問題に留まり確定されない。

 シートンモデルのような3部門分割の単純再生産表式では2命題の両立 は可能となるが,それはすでにみたように基礎財(生産財と賃金財)生産部 門内で資本構成と部門構成が一致する価値表式を必要とし,さらに奢侈財 生産価格は価値から乖離しないとの追加条件の導入によって達成されてい

 資本の循環運動と各表式の成立位置 資本循環 生産過程

┈┈P ┈┈W

流通過程

─────

G′───── W

価格ターム

価値価格表式[A

w

1

y + w

2

y = Wy m

1

y + m

2

y = My

生産価格表式[B]

p

1

+p

2

=(w

1

h

+w

2

)y r

1

+r

2

={M+(v

1

+m

1‑c2

)(h

‑1

)}y

価値ターム

価値表式[A]

w

1

+ w

2

= W m

1

+ m

2

= M

生産価格対応価値表式【B

p

1

p

2

──

+

= w

1

+w

2

h

y y r

1

r

2

── +

h

y y 1

= M+v

1

( 1

‑ ─

)−c

2

(h

1 ) h

価値再分配表式[C]

w

1

+ w

2

= W m

1

+ m

2

= M

(注) 各表式の総計部分を示す。→は表式の作成順序。

   価値価格表式[A′]は,y =

1 のとき価値表式[A]に還元される。

←→

(4)

ることを考えれば,これもまた特殊ケースとなる。

 価値タームと価格タームの領域において異時点で成立する価値表式[

A

と生産価格表式[

B

]の比較で総計一致の2命題を捉える場合,2部門分 割と3部門分割あるいは単純再生産と拡大再生産のいずれを想定しても,

2命題は特殊ケースでのみ両立し一般には両立しない。これに対して伊藤

氏のように,同じ価値タームにおいて異時点で成立する価値表式[

A

]と 価値再分配表式[

C

]の比較で総計一致の2命題を捉えるならば,特殊ケ ースを想定することなく2命題両立の一般妥当性は証明できる。その場合 に第1命題は生産された総価値

w

1

w

2=取得される総価値

w

1

w

2′,

第2命題は生産された総剰余価値

m

1

m

2=取得される総剰余価値

m

1

m

2′と氏は定義する。価値表式[A]と価値再分配表式[C]の比較で2命 題を捉えれば,2命題は単純再生産・拡大再生産の区別なく一般に両立す る。しかしそれは異時点における価値量と価値量の比較であって,転形問 題の課題である価値が生産価格を如何に規制するかの解明とはなっていな い。さらにまた価値表式[

A

]と価値再分配表式[

C

]の比較よりなされ た2命題の両立は,生産価格に限らず如何なる価格を介しても証明できる のであるから,生産価格と価格一般の区別を不明確にし,生産価格概念の 有する理論的意義が価格一般に埋没する危険をともなうこととなる。生産 価格は単に利潤率の均等をもたらす価格であるだけでなく,それを通して 価値法則が貫徹されるという意味において価格一般とは区別すべき理論的 意義をもった価格なのである。価値表式[

A

]と価値再分配表式[

C

]の 比較で捉えた2命題の両立は,価値・剰余価値が流通過程ではなく生産過 程で形成されるとする労働価値説の主張に対する論拠とはなっても,価値 が生産価格を規制することの論拠とはなりえず,したがって価値法則支配 の論証に寄与する議論とは異質の2命題解釈である。

 異時点の比較ではなく,同じ流通過程に属し同時点で成立する生産価格

(5)

表式[

B

]と生産価格対応価値表式【

B

′】との比較によって総計一致の2 命題を捉えるならば,第1命題は総生産価格

p

1

p

2=総生産価格に対応 する価値

p

1

h

y

p

2

y

,第2命題は総平均利潤

r

1

r

2=総平均利潤に対応 する価値

r

1

h

y

r

2

y

と定義される。その場合に第1命題の右辺=

w

1

h

y

h

y

w

2

y

y

w

1

w

2となるので,総生産価格

P

=総価値

W

と同義である。

他方,第2命題

r

1

r

2

r

1

h

y

r

2

y

の右辺の第1項は

m

1

v

(1−1

h 1

),

第2項は

m

2

c

(h2 −1)となるので,生産財と消費財のうち平均利潤に 相当する部分が有する価値は,h=1の場合を除き出発価値表式にある

Ⅰ・Ⅱ部門の剰余価値

m

1

m

2とは量的に相違する。われわれは剰余価値 率は等しいが資本構成がⅠ部門ではⅡ部門より高位となる出発価値表式を 設定しており,したがって

h

>1のケースを想定するので,Ⅰ部門では 生産財のうち平均利潤に相当する部分の価値は

m

1より

v

(1−1

h 1

)だけ 増加し,Ⅱ部門では消費財のうち平均利潤に相当する部分の価値は

m

2

c

(h2 −1)だけ減少している。

 生産財と消費財のうち平均利潤に相当する部分の価値量の剰余価値額か らの乖離は,費用価格の生産価格化によるものである。生産財生産価格

p

1のうち生産価格化された費用価格(c1

h

v

1

y

に対応する生産財の価 値は,費用価格を生産財の価値からの乖離率

h

y

で除した

c

1

v

1

h

とな り,消費財生産価格

p

2のうち費用価格(c2

h

v

2

y

に対応する消費財の 価値は,費用価格を消費財の乖離率

y

で除した

c

2

h

+v2となる。したがっ て生産価格化された費用価格部分に対応する価値は出発価値表式の費用価

c

v

よりⅠ部門では

v

(1−1

h 1

)だけ減少し,Ⅱ部門では

c

(h2 −1)

だけ増加している。Ⅰ・Ⅱ部門の内部で,費用価格部分に対応する価値と 費用価値との差額が剰余価値

m

1,m2から補塡されることによって総生産 価格に対応する価値=総価値が維持されると理解することもできる。

 第2命題は,総平均利潤

R

が両財の平均利潤に相当する部分の価値の

(6)

総計

M

v

1

1

h 1

)−

c

(h2

1

)に等しいと定義される命題である。

その際,生産財と消費財のうち平均利潤に相当する部分の価値総計は一般 に出発価値表式にある総剰余価値

M

と量的に一致しない。それらが一致 する条件とは

v

1

1

h 1

)−

c

2(h

1

)=

0

すなわち

v

1

c

2

h

であり,そ のときに限り商品生産物のうち平均利潤に相当する部分の価値総計は総剰 余価値と量的に一致する。その場合には生産価格表式[B]と生産価格対 応価値表式【B′】を比較して捉えた第2命題の成立

R

r

1

h

y

r

2

y

は,

価値表式[A]と生産価格表式[B]を比較して捉えた第2命題の成立

R

M

を保証する。価格と価値のタームで同時点に位置する[B]と【B′】

の2表式の比較より捉えた第2命題の成立が,異時点に位置する2表式

[A]と[B]の比較で捉えた第2命題の成立をも可能とする条件

v

1

c

2

h

とは,総資本構成

C V

=部門構成

w

1

w

2 をもつ出発価値表式のことであ 37)

37

) 2部門分割の生産価格表式を,出発価値表式にある価値記号と生産価格成 立段階での生産財,消費財の価値からの乖離率の相対比

h

および平均利潤 率πを用いて表示すれば次のようになる。

   Ⅰ (c1

h

v

1

1

+π)=

w

1

h

   Ⅱ (c2

h

v

2(1+π)=

w

2    ここで

v

1

c

2

h

ならば

v

1

c

2

h

,c2

v

1

h

となり,それらを上記の生産 価格表式の

v

1

c

2に代入すれば,

   Ⅰ h(c1

c

2(1+π)=

w

1

h

     …①    Ⅱ (v1

v

2

1

+π)=

w

2        …②   となる。①,②を利用して出発価値表式の部門構成

w

1

w

2 を規定すれば,

   

w

1

w

2

w

1

h

w

2 ×

1

h

h

(c1

c

2

1

+π)

(v1

v

2

1

+π)×

1 h

c

1

c

2

v

1

v

2

C

V

  となり,部門構成

w

1

w

2 は総資本構成

C

V

に一致する。すなわち

v

1

c

2 =hであ れば出発価値表式の部門構成は総資本構成と一致するのである。

(7)

 価値表式[A]において

w

1

w

2

C

V

あるいは

v

1

c

2

h

なる条件が満た されているならば,表式【B′】の総平均利潤に対応する価値は表式[A]

の総剰余価値

M

と量的に一致する関係にある。そのような特殊ケースに おいて,生産価格表式[B]と対応価値表式【B′】の比較による2命題の 両立は,価値表式[A]と生産価格表式[B]の比較による2命題の両立 を保証する。しかしそのような条件をもたない価値表式から出発する一般 ケースにおいては,2表式[B]と【B′】の比較で捉えた第1命題の成立 は総価値

W

=総生産価格

P

を保証するが,第2命題の成立は総剰余価値

M

=総平均利潤

R

を意味しない。一般的な価値表式から出発すれば,同 時点に位置する生産価格表式[B]と対応価値表式【B′】の比較で捉えた 第1

2命題の両立は,異時点に位置する価値表式[A]と生産価格表式

[B]の比較で捉えた第1命題

W

P

の成立と第2命題

M

R

の不成立 を意味する。逆にいえば,R

M

であることによって出発価値表式に特 殊条件を導入することなく,生産価格の成立段階で2命題は両立するので ある。

 先に異時点における価値表式[A]と生産価格表式[B]を比較して捉 えた2命題である総価値

W

=総生産価格

P

と総剰余価値

M

=総平均利

R

は一般に両立できず背反関係にあることを指摘し,いずれの命題を 支持するかは選択の問題であるとした。しかしこの段階まで理論展開すれ ば,もはや選択の問題ではなく,第1命題である総価値=総生産価格を支 持すべき根拠が存在する。

 これまで考察した総計一致の2命題の把握とその成立条件を次の表を用 いて分類しよう。次表は,2命題を把握する際に利用する2表式の成立時 点と比較内容を(Ⅰ)〜(Ⅲ)の3類型に分けてみたものである。

(8)

 これまでの長期にわたる転形問題の考察は価値と価格を異時点で比較す る(Ⅰ)に属し,価値表式と生産価格表式で2命題を捉え,それらが両立 する条件を究明してきたのであり,そのように把握された2命題の両立に は特殊条件の導入を必要とした。しかし価値と価格を同時点で比較する

(Ⅲ)の観点からすれば,生産価格表式と生産価格対応価値表式の比較で 総計一致の2命題の把握とその成立条件

分類

2命題の把握 2命題の定義・内容 2命題の両立条件 2命題の両立

(Ⅰ)

価 値 と 価 格 を 異 時 点で比較

価値表式[A]

  ↑  ↓

生産価格表式[

B

第1命題

総価値=総生産価格

W

P

第2命題

総剰余価値=総平均 利潤

M

R

総 資 本 構 成 = 部 門構成

C w

1

─=─

V w

2 あるいは

v

1

─=

h

c

2

特殊ケースで 両立

(Ⅱ)

価 値 と 価 値 を 異 時 点で比較

価値表式[A]

  ↑  ↓

価値再分配表式[

C

第1命題

生産された総価値=

取得される総価値

w

1+w2

w

1+w2 第2命題

生産された総剰余価 値=取得される総剰 余価値

m

1+m2

m

1+m2

価格一般で第1

2命題は成立

一般ケースで 両立

(Ⅲ)

価 値 と 価 格 を 同 時 点で比較

生産価格表式[B]

  ↑  ↓

対応価値表式【B

第1命題

総生産価格=総生産 価格に対応する価値

   p1

p

2

P

=─+─

   h

y y

第2命題

総平均利潤=総平均 利潤に対応する価値

   r1

r

2

R

=─+─

   h

y y

価 格 一 般 で 第1 命 題, 生 産 価 格 の 成 立 段 階 で 第

2命題は成立

一般ケースで 両立

(9)

2命題を捉えるのであり,その場合に第1命題である総生産価格 P

に等 置される価値は,価値表式[

A

]にある総価値

W

と量的に一致するが,

第2命題である総平均利潤

R

に等置される価値は,一般に価値表式[

A

にある総剰余価値

M

とは量的に相違する。(Ⅲ)の観点から捉えた第2命 題の量的規定が一般に

R

M

とされるのは,費用価格の生産価格化によ って商品生産物のうち平均利潤に相当する部分に対象化されている価値の 総計が出発価値表式の総剰余価値

M

から量的に乖離することに起因して いる。生産価格の成立段階では,総平均利潤部分に相当する商品生産物が 有する価値は,一般に総剰余価値

M

とは量的に相違しているのである。

しかしそれらを一致するものとして(Ⅰ)のように第2命題を

M

R

規定したところに転形問題を難問に変えた根元があったと思われる。

 生産価格表式における総平均利潤

R

に等置される価値を,それ以前に 成立した出発価値表式にある総剰余価値

M

とするのではなく,生産価格 表式と同時点で成立する生産価格対応価値表式にある総平均利潤に対応す る価値とすれば,総計一致の2命題は一般ケースで両立するのである。従 来からの観点を変えることなく,(Ⅰ)のようにあくまでも価値表式と生 産価格表式を比較して2命題

W

P

M

R

を捉えるのであれば,2 命題の両立は特殊条件を導入したケースでのみ実現するが,その場合に2 命題の実在性はその条件導入の現実妥当性によって決せられるであろう。

しかし(Ⅲ)のように価格と価値を同時点で比較し生産価格表式と生産価 格対応価値表式で2命題を捉えるならば,第1命題

P

p

1

h

y

p

2

y

P

W

と同義であるが,第2命題である

R

r

1

h

y

r

2

y

は一般に

R

M

となることによって特殊条件の導入なく生産価格の成立段階で2命題の両 立が達成されるのである。その場合には生産価格が,生産価格の成立段階 とは異時点にある価値量によって規制されるのではなく,それと同時点に 存在する価値量によって規制されている関係が証明できる。

(10)

 一方,(Ⅱ)のように価値と価値を異時点で比較し価値表式と価値再分 配表式で2命題を捉え一般的両立を論証しても,それは異時点における価 値量比較であって,その考察からは価値が生産価格を規制する関係を解明 することはできない。価値による生産価格の規制関係の解明は,生産価格 の背後にあってそれと同時点に存在する価値によって生産価格が如何に規 制されているかの分析を必要とする。したがってその規制関係の分析は,

価値と価格を同時点で比較する観点からなされるべきであり,生産価格表 式と生産価格対応価値表式を利用することで可能となる。

 生産価格表式[

B

]と生産価格対応価値表式【

B

′】の2表式の比較より 捉えた2命題の両立を根拠に価値が生産価格を規制する関係を主張すると すれば,その規制関係の内容は次のようになる。すなわち総生産価格と総 平均利潤はいずれもそれらに相当する商品生産物部分が有する価値によっ て量的な規制を受けている。生産価格を特定の

y

で規準化すれば,生産価 格表式[

B

]の総生産価格

P

と総平均利潤

R

は表式【

B

′】にあるそれら に対応する価値に一致するよう規制されている関係が明らかとなり,この 量的規制関係の存在は価値法則支配の強力な理論的根拠となるであろう。

 以上の考察結果を踏まえて,再びマルクスの価値法則支配に関する叙述 を検討しよう。マルクスは「価値こそは,生産価格の背後にあって究極に おいてそれを規定するものである」(K. III S.

219)

と述べている。価値が生 産価格を「究極において

in letzter Instanz

規定する

bestimmen

」との内 容を,生産価格の根底にある価値関係によって基本的に生産価格は規定さ れると解釈して,それを価値法則支配の根拠とすれば,生産価格を構成す る各部分がすべて価値タームから得られた数値を規定要因として内在させ ていることを示せば価値法則の貫徹がいえる。

 総生産価格

P

と総平均利潤

R

を価値タームにおける記号と生産価格成 立段階での生産財,消費財の価値からの乖離率を用いて示せば,総生産価

(11)

P

=(w1

h

w

2

y

で あ り, 総 平 均 利 潤

R

{M+(v1

m

1

c

2)     

(h−1)}

y

と規定される。生産価格水準を確定する

y

以外に,総生産価格

w

1,w2,hを,総平均利潤は

M,⊿ Pm

(=

v

1

m

1

c

2),hを規定要 因としている。そして両財の乖離率の相対比

h

は両財の価値構成に,

Pm

は部門構成に依存する。すなわち総生産価格も総平均利潤も価格水 準を決める

y

以外は,価値タームから得られる数値で構成されており,そ れらによって基本的に規定される。価値タームで特定される数値に価格水 準を決める

y

を乗じて総生産価格と総平均利潤は算定されるのであるから,

価値が生産価格を「究極において」規定しているといえるであろう。さら に価値法則は生産価格を規定するとの次の叙述を検討しよう。

  「価値がどのように規制されるにせよ,次のような結果になる。

価値法則は価格の運動を支配する。というのは,生産に必要とさ れる労働時間の増加または減少が生産価格を騰貴または下落させるか らである。⑵……ところで,諸商品の総価値は総剰余価値を規制し,

この総剰余価値はまた平均利潤それゆえ一般的利潤率の高さを規制す (一般的法則として,または諸変動を支配する法則として)のであるか ら,価値法則は生産価格を規制するのである。」(K. III, S.

189)

 ここでマルクスは,総価値が総生産価格を,総剰余価値が総平均利潤を 規制することを価値法則支配の根拠としている。総価値と総剰余価値が総 生産価格と総平均利潤を「規制する

regulieren

」との意味を,数量的規 制と解するならば,異時点で成立する価値表式と生産価格表式の2表式を 用いて捉えた総価値と総生産価格,総剰余価値と総平均利潤の量的一致に よる同時規制は一般ケースでは作用しない。しかし生産価格表式と生産価 格対応価値表式という同時点で成立する2表式を用いて2命題を捉えるな

(12)

らば,総計一致の2命題両立の一般妥当性は論証可能となる。

 総計一致の2命題の両立によって価値法則の貫徹を主張するのであれ ば,総生産価格と総平均利潤はいずれもその部分に対応する生産物価値に よって数量的な規制を受けていると2命題を定義することが要請される。

(13)

補論1.費用価格の生産価格化と総計一致の2命題

 生産財生産部門(Ⅰ部門)と消費財生産部門(Ⅱ部門)で不等な資本構成

c v

と同等な剰余価値率

m

v

を想定する。そしてその資本構成と剰余価値 率を以下3つのケースにおける価値表に適用して,価値表からそれぞれ生 産価格表と生産価格対応価値表を作成する。

 価値表にある数値からⅠ・Ⅱ部門で均等な利潤率を成立させる生産財,

消費財価格の価値からの乖離率

x,y

の相対比

h

(=

x

y

)を求め,さらに 生産価格を

y

w

1+w2

w

1

h

+w2で規準化して生産価格表を導出する。生産価格 対応価値表は,生産価格の各構成部分に対応する商品生産物に対象化され ている価値を検出して表示したものである。生産価格の各構成部分に対応 する価値の検出方法は,生産財と消費財では異なる。生産価格表において 生産財生産価格はその価値の(=

x h

y)倍,消費財生産価格はその価値の y

倍と規定されている。したがって生産財はその生産価格の

1 x

の価値を,

消費財はその生産価格の

1 y

の価値を有していることとなるので,生産価 格表にあるⅠ部門の生産価格とその構成部分を

x

で,Ⅱ部門の生産価格と その構成部分を

y

で除すれば,各構成部分に対応する価値が検出される。

価値表と生産価格表および生産価格対応価値表の3表間で総計一致の2命 題を捉えよう。価値表として単純再生産の部門構成

w

1

w

2 をもつケース1,

拡大再生産となるケース2,および部門構成が総資本構成と一致するケー ス3を置く。ケース3は,価値タームでは転態不能であるが,生産価格タ ームで両部門100%の蓄積率によって転態可能となる特殊な拡大再生産で ある。

(14)

ケース

 単純再生産

A

] 価値表

B

] 生産価格表

B

′】 生産価格対応価値表 不変資本

c

可変資本

v

剰余価値

m

生産物価値

w

利潤率π 費用価格 不変部分

可変部分

cx     vy

平均利潤

r

生産価格

p

平均利潤率

π

cx/ (x, y) vy/ (x, y) r

/ (x, y)

p

/ (x, y)

1200 300 300       1 = 1800 ( π

1

= ─ )       5

1320 264 396       1 = 1980 ( π

1

= ─ )       4

1200 240 360

1800

600 450 450       3 = 1500 ( π

2

= ─ )       7

660 396 264       1 = 1320 ( π

2

= ─ )       4

750 450 300

1500

Σ 

1800

  

750      ⎭―⎬―⎫ 2550 K 750

3300

Σ

1980

  

660       ⎭―⎬―⎫ 2640 K

660

3300

Σ

1950 690 660

3300 c

1

c

2

4 m

(注)

q

1

=

= 4 , q

2

=

=

, m

=

= 1

と仮定。

v

1

v

2

3 v

 ケース

の価値表で

q

1

, q

2

, m

′は       

m

  同値とする。価値利潤率π

=

──である。      

c + v 5 22

(注)

x =

y , y =

で生産価格表を作成。

4 25

       

r

   平均利潤率π

=

───である。      

cx + vy

(注) 生産価格表の各部分をⅠ部門では    

11

        

22

  

x =

で,Ⅱ部門では

y =

で除して対    

10

        

25

  応する価値量を算出。 ケース

 拡大再生産

A

] 価値表

B

] 生産価格表

B

′】 生産価格対応価値表

cv m w cx     vy r

p

cx/ (x, y) vy/ (x, y) r

/ (x, y)

p

/ (x, y)

1200 300 300       1 = 1800 ( π

1

= ─ )       5

     4

1292 ─

    13     6

258 ─

   13     9

387 ─

   13

  

6

   1 = 1938 ─ ( π

1

= ─ )    

13

   4

1200 240 360

1800

400 300 300       3

1000 ( π

2

= ─ )       7

    10 

430 ─

     13

    6

258 ─

    13

    4

172 ─

   13

   

7

   1 =

 

861 ─ ( π

2

= ─ )    

13

   4

500 300 200

1000

Σ 

1600

  

600      ⎭―⎬―⎫ 2200 K 600

2800

Σ    1       12

1723

─  

516

─    13       13

   ⎭―⎬―⎫ 2240 K

560

2800

Σ

1700 540 560

2800 5 56

(注)

x =

y , y =

で生産価格表を作成。

4 65

(注) 生産価格表の各部分をⅠ部門では    

14

        

56

  

x =

で,Ⅱ部門では

y =

で除して対

   

13

        

65

  応する価値量を算出。

(15)

ケース

 特殊な拡大再生産

A

] 価値表

B

] 生産価格表

B

′】 生産価格対応価値表

c v m w cx     vy r

p

cx/ (x, y) vy/ (x, y) r

/ (x, y)

p

/ (x, y)

2000 500 500       1 = 3000 ( π

1

= ─ )       5

     5

2105 ─

    19     1

421 ─

   19    11

631 ─

   19

  

17

   1 = 3157 ─ ( π

1

= ─ )    

19

   4

2000 400 600

3000

400 300 300       3

1000 ( π

2

= ─ )       7

    1 

421 ─

    19

    12

252 ─

    19

    8

168 ─

   19

   

2

   1 =

 

842 ─ ( π

2

= ─ )    

19

   4

500 300 200

1000

Σ 

2400

  

800      ⎭―⎬―⎫ 3200 K 800

4000

Σ    6       13

2526 ─

  

673 ─

    19       19

   ⎭―⎬―⎫ 3200 K

800

4000

Σ

2500 700 800

4000

      

w

1

C

(注) 部門構成=総資本構成

(

=

= 3 )

       

w

2

V

  を満たす価値表。

5 16

(注)

x =

y , y =

で生産価格表を作成。

4 19

(注) 生産価格表の各部分をⅠ部門では    

20

        

16

  

x =

で,Ⅱ部門では y =

で除して    

19

        

19

  対応する価値量を算出。

(16)

 ケース1〜3ともに生産価格表の総生産価格と総平均利潤はそれぞれ生 産価格対応価値表の総計欄にある価値と一致する。したがって生産価格表 と生産価格対応価値表の比較で総計一致の2命題を捉えれば,いずれのケ ースにおいても2命題は両立することになる。さらに総生産価格に対応す る生産価格対応価値表の価値が価値表の総価値と量的に一致する関係はい ずれのケースにおいても妥当するのに対して,総平均利潤に対応する価値 は価値表の総剰余価値とケース1

2では相違し,ケース3に限って一致

する。ケース3とは部門構成=総資本構成となる価値表が出発点に置かれ た特殊ケースである。

 ケース1は単純再生産(余剰生産手段⊿

Pm

=0),ケース2は拡大再生産

(⊿

Pm

>0)となるように部門構成を調整する以外は何の制約もない価値 表を出発点にしており,したがって部門構成が資本構成からの制約を受け ているケース3とは異なり,単純再生産と一般的な拡大再生産における3 表間の典型的数量関係を示している。3表間の典型的数量関係とは,総価 値(w1+w2)=総生産価格(p1+p2)=総生産価格に対応する商品生産物が 有する価値(

p

1

h

y

p y

2 ),総剰余価値(m1+m2)≠総平均利潤(r1+r2)=

総平均利潤に対応する商品生産物が有する価値(

r

1

h

y

r

2

y

)である。

 以上の関係はケース1

2の3表の数値で確認される。ケース1では価

値表[

A

]の総価値3300=生産価格表[

B

]の総生産価格3300=生産価格 対応価値表【

B

′】の総生産価格に対応する価値3300および表[

A

]の総剰 余価値750≠表[

B

]の総平均利潤660=表【

B

′】の総平均利潤に対応する 価値660,ケース2では表[

A

]の総価値2800=表[

B

]の総生産価格2800

=表【

B

′】の総生産価格に対応する価値2800および表[

A

]の総剰余価値

600≠表[ B

]の総平均利潤560=表【

B

′】の総平均利潤に対応する価値

560が成立している。ケース1

2の単純再生産と拡大再生産の一般ケース

において,価値表と生産価格表を比較すれば総価値=総生産価格,総剰余

(17)

価値≠総平均利潤である。

 ケース3に限って表[

A

]の総価値4000=表[

B

]の総生産価格4000=

表【

B

′】の総生産価格に対応する価値4000および表[

A

]の総剰余価値

800=表[ B

]の総平均利潤800=表【

B

′】の総平均利潤に対応する価値

800となり,総平均利潤に対応する生産価格対応価値表の価値が価値表の

総剰余価値と一致するケースである。この関係を価値表と生産価格表の2 表に限定してみれば,総価値=総生産価格および総剰余価値=総平均利潤 が両立するケースとなる。転形問題の解決のために捜し求められたモデル とはこのケースであった。すなわち価値表と生産価格表を比較して総計一 致の2命題が両立するケースとは,生産価格対応価値表にある総平均利潤 に対応する価値が価値表の総剰余価値と量的に一致する特殊ケースなので ある。

 以上の考察結果を踏まえた上で,今度は価値表と生産価格表の2表にあ る価値と生産価格を比較の対象として,価値の生産価格への転化に関する

マルクスの論述を検討しよう。『資本論』第3部第9章「一般的利潤率      の形成と商品価値の生産価格への転化」においてマルクスは,生産価格     

p

(=

c

v

r

)と商品価値

w

(=

c

v

m)の乖離は平均利潤 r

剰余価値

m

の差額に由来するものであるとの基本認識のもとで,個別資

B

の費用価格を例に価値からの乖離が相殺されるメカニズムを次のよ うに説明している。

  「たとえば資本

B

において実現された剰余価値が

B

の諸生産物の価 格においてつけ加えられた利潤よりも大きいことも小さいこともあり うるために,

B

の生産物の価格がその価値から乖離するということの ほかに,それと同じ事情が,資本

B

の不変部分をなす諸商品,およ びまた間接的に──労働者たちの生活諸手段として──資本

B

の可

(18)

変部分をなす諸商品についてもやはり言える,ということである。不 変部分について言えば,この部分そのものは費用価格プラス剰余価値 に等しく,したがっていまや費用価格プラス利潤に等しく,そしてこ の利潤はまた剰余価値──利潤に取って代わられる剰余価値──より も大きいことも小さいこともありうる。可変資本について言えば,確 かに平均的な一日の労賃は,必要生活手段を生産するために労働者が 労働しなければならない時間数の価値生産物につねに等しい。しかし この時間数そのものもまた,必要生活諸手段の生産価格がその価値か ら乖離することによってねじ曲げられている。とはいえ,このことは つねに,一方の商品に剰余価値として入り込むものが多すぎる分だ け,他方の商品に入り込むものが少なすぎるということに,それゆえ また,諸商品の生産価格に潜んでいる価値からの諸乖離が相殺される ということに,帰着する。一般に資本制的生産全体として,一般的法 則が支配的傾向として自己を貫徹するのは,つねに,極めて複雑な近 似的な仕方においてのみであり,永続的な諸変動の決して確定されえ ない平均としてのみである。」(K. III.

170‑171)

 上記の引用文の下線部にある「生産価格

Produktionspreisen

」はマルク スの草稿では「費用価格

Kostenpreissen

」となっており,したがってこ の論述は費用価格部分の価値(=

c

v)からの乖離が相殺される理由を

説明したものである。資本

B

によって生産された商品の生産価格が平均 利潤と剰余価値の差額だけ価値から乖離する関係は,

B

の費用価格のうち 不変部分に入る商品にも可変部分に入る商品にも同様に妥当する。すなわ ち生産価格は費用価格プラス平均利潤であり,その費用価格の不変部分も 可変部分もやはり費用価格と平均利潤から構成されていると考えられる。

そこで一方の部分に入る平均利潤が剰余価値より多ければ,他の部分に入

(19)

る平均利潤が剰余価値より少なくなり,結局,費用価格の価値からの乖離 は相殺されると推論している。

 マルクスは費用価格部分に入り込む平均利潤の剰余価値からの乖離が社 会全体では完全に相殺されて総費用価格は価値に一致すると想定していた のであろうか。それとも完全相殺ではなく一部相殺により総費用価格が価 値から乖離することを認めていたのであろうか。先の引用文の最後にある

「一般に資本制的生産全体として,一般的法則が支配的傾向として自己を 貫徹するのは,つねに,極めて複雑な近似的な仕方において

in einer sehr

verwickelten und anna

¨

hrenden Weise

のみであり,永続的な諸変動の決して

確定されえない平均としてのみである」との文面からは,費用価格部分に 入り込む平均利潤の剰余価値からの乖離は不変部分と可変部分で完全に近 づく形で相殺されて長期平均的には総費用価格と価値は一致すると想定し ていたと解釈できる。

 ところで『資本論』第3部主要草稿の刊行は現行版『資本論』との相違 箇所を明らかにした。両者の比較から引用最後の箇所がエンゲルスによっ て改変・追加されていたことがわかる。草稿では「一般的法則が支配的傾 向として自己を貫徹するのは,つねに極めて複雑な大まかな仕方

in a very complicated, and very rough way

であるにすぎない」(MEGA, II/

4 . 2 , S.

237)

となっており,さらに現行版の「永続的な諸変動の決して確定され えない平均としてのみである」はエンゲルスが追加した部分であった。

 マルクスは「近似的」とはせず,それよりもゆるいややトーンダウンし

rough way

という表現を用いて費用価格に潜んでいる価値からの乖離

が「極めて大まかな仕方」で相殺されるとしていた。社会全体として大ま かな仕方で相殺されるとは,完全相殺ではなく一部は相殺されずに総費用 価格が価値から乖離することを容認していたこととなる38)

 総費用価格(=

Cx

Vy)の価値(= C

V )からの乖離をケース1

(20)

〜3の価値表と生産価格表でみれば,いずれのケースも総費用価格の不変 部分と可変部分では価値からプラスとマイナスの乖離が生じている。問題 は価値からのプラスとマイナスの乖離額による相殺関係である。ケース

2では総費用価格の価値からの乖離は不変部分と可変部分で完全には

相殺されず,その相殺されざる残額が総剰余価値と総平均利潤の量的相違 となっている。ケース3では,総費用価格の価値からの乖離は不変部分と 可変部分で完全に相殺され総費用価格は価値に一致する。

 宇野氏は単純再生産の前提のもとで,生産財は価値以上の生産価格で,

消費財は価値以下の生産価格で売買される(

x

y

>1)ならば,生産価格 化された総費用価格は価値を上回ると想定している。

  「もっとも生産手段が一般に価値以上の生産価格をもって売買され,

消費資料が反対に価値以下の生産価格をもってせられるとし,利潤部 分が単純再生産を前提として資本家の個人的消費に充てられるとすれ ば全社会の費用価格がすでに価値以上の生産価格を有するものと想定 しなければならないであろう。」39)

 生産価格の水準如何によっては総費用価格が価値を上回るとは必ずしも いえないが,価値表とケース1

2のように生産価格水準を確定した生産

価格表を比較すれば,その想定は単純再生産のみならず拡大再生産一般に おいても効力をもつといえる。これに対して宮川氏は費用価格の価値から

38

) 大村氏は,一般的法則が貫徹するのは大ざっぱな仕方においてであるとマ ルクスが断定するにとどめているのは,費用価格の価値からの乖離が社会的 に過不足なく相殺される保証がないことを念頭に置いているからであろうと 推測している。(大村泉「《資本論》第3部主要草稿(1864‑1865年)の平均 利潤論」『研究年報 経済学』(東北大学)第

57

巻第4号,

1995

年)。

39) 宇野弘蔵『経済原論』岩波書店,1977年,314ページ。

参照

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