細則様式第1-2号
学位請求論文の内容の要旨
領 域 健康支援科学 分 野 老年保健学
氏 名 中江 秀幸
( 論 文 題 目 ) 在 宅 パ ー キ ン ソ ン 病 患 者 に お け る 活 動 量 お よ び 姿 勢 動 態 へ の 効果的理学療法介入の検討
主 査 石川 玲
副 査 若山 佐一
副 査 伊藤 巧一
副 査 對馬 均
(内容の要旨)
振戦、筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害を四大徴候とするパーキンソン病(以下,
PD
)患者は
10万人当たり約
100~
150人といわれ、人口の高齢化に伴ってその有病率 は増加傾向を示している。
PDに対する根治療法は未開発であるが、薬物療法や手術療 法の進歩による平均生存期間の延伸と、医療・介護保険制度による支援体制も相まって、
在宅療養患者数が増加している。そのため、病院や施設だけではなく“自宅”という実 際の生活場面において、
PD症状による起居移動動作や身辺動作困難、活動性低下、転 倒回避のための歩行機会減少、“座りがちな生活”など、多くの問題が生じており、在 宅
PD患者に対するリハビリテーションの必要性が高まっている。
これまで、在宅
PD患者を対象に生活場面における身体機能と活動量に着目し、以下 の点を明らかにしている。
①活動量には立位バランス能力と日常生活活動能力が影響する
②一日の大半を座位姿勢で過ごしている(覚醒時間の
60%以上)
このような状況に対し、歩行能力やバランス能力の分析、運動療法の介入効果に関す る研究が医療機関や研究室という環境下で多く行われている。しかし、実際の生活場面 において、運動療法介入が一日の生活構造単位としての活動量や姿勢動態にどのような 影響を与えるか否かについては検証されていない。また、転倒状況や介護保険利用状況 に関する調査・報告は散見されるが、運動療法の実施頻度や内容、自己練習といわれる セルフエクササイズの実施状況に関する詳細な調査・報告はみられず、不明な点が多い。
そこで本研究は、在宅
PD患者に対する効果的な理学療法介入を検討するため、在宅
PD患者を対象とし、運動療法に関する実態調査(訪問調査および郵送法アンケート調 査) 、身体機能や活動量および姿勢動態について健常高齢者と比較することで
PD患者 の特性を明らかにすること、運動療法介入が身体機能、活動量および姿勢動態に及ぼす 効果を明らかにすることを目的とした。
第一章では、
PD友の会宮城県支部に所属する在宅患者
15名に対して自宅訪問調査を 行い、介護保険の利用状況、セルフエクササイズ実施状況などについて検討を行った。
その結果、要介護認定者は
8名であり、そのうち介護保険サービス利用は
4名と少なく、
【細則様式第1-2号続き】
利用
needsを満たしていないことが考えられた。要介護認定者の特徴として「転びや
すい」という回答が多く、転倒恐怖スコアが高いことが示唆された。セルフエクササ イズを習慣的に実施していた者は
15名中
7名のみで、実施していた
7名のうち医療従 事者から指導を受けた経験を有する者は
1名のみであった。また、セルフエクササイ ズの習慣化には、
PD症状の重症度、罹患期間の長期化、転倒恐怖感の強さなどの要因 が影響する可能性が示唆された。
第二章では、第一章の結果が
PD友の会宮城県支部会員の
10%程度からの結果であ り、広く調査するために無記名式アンケート調査を郵送法で行った。アンケート結果 から、要介護認定率
74.4%、介護保険サービス利用率が
65.1%であった。要介護認定 者の方が「力が入れづらい」 「とっさの動きが困難」といった主訴の該当数が有意に高 かった。これまでの医療機関における運動療法経験は、半数以上の
52.3%が“経験な し”と明らかになった。また、疾患に対する理解や意識も高いと考えられる
PD友の 会会員であっても
31.4%が全く運動療法を行う機会が確保されていないことが明らか となり、廃用や自己流による誤用・過用の危険性が危惧された。
第三章では、在宅
PD患者と比較対照群として地域在住健常高齢者を対象として、
身体機能、24 時間の活動量および姿勢動態を調査・比較を行った。その結果、PD 患 者は高齢者に比べて日常生活活動能力、歩行能力、バランス能力が劣っていた。しか し、柔軟性、下肢筋力、
24時間の活動量、姿勢変換回数、座位姿勢の時間割合は同程 度であった。一方、立位時間割合と背臥位時間割合については
PD患者が有意に高く、
PD