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幼児の生活と遊びの実態に関する調査研究(1)

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

幼児の生活と遊びの実態に関する調査研究(1)

著者 山口 満, 福西 憲太郎

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

巻 15

ページ 99‑117

発行年 1979‑03‑23

その他のタイトル On the Actual State of Life and Play of the Infants (1)

URL http://hdl.handle.net/10105/6407

(2)

       *

幼児の生活と遊びの実態に関する調査研究(1)

山 口   満 ・ 福 西 憲太郎舳

 (教育学教室)    (附属幼稚園)

I 本棚の意図

 最近の急激な社会変動(これを「都市化」の概念によって把握する)の進展に伴って、幼児の 生活環境、生活、遊び等は大きな変化をみるに至った。そして、この変化の過程には、例えば遊 べない子ども、遊ぼうとしない子どもの増加が指摘されているように、教育的な観点からその実 態を改めて明らかにし、検討してみなければならないような様々な問題点が含まれている。

 そこで、私たちは、最近の急激な都市化の進展が幼児の生活や遊びに与えている影響とそこに 見られる問題点の所在とを実証的に明らかにすることを目的としてこの共同研究を組織したので あるが、初年度の研究成果の報告である本稿においては、都市化の程度を異にすると思われる4 つの地域の幼児の母親を対象にして実施したアンケート調査の結果に基づいて、家庭や地域社会 における幼児の生活と遊びの実態を明らかにし、そこに見られる問題点の所在とその解決を図る ための方策の在り方について若干の検討を行なう。

 以下まず最初に調査の方法について述べ、次いで⑪遊び、②絵本、③手伝い、④土曜日、日曜 日、休日に連れて行ってもらった場所、⑤習いごとやけいこごとという項目の順序で考察を進め るが、その考察は紙幅の都合上特に注目すべき傾向や問題点を重点的に取り上げるということに 留めざるを得ないことを予め断わっておきたい。また、年齢別考察は同様の理由により割愛する。

さらに、 テレビ視聴、幼児が日常の生活において自然の事物に触れることができる機会、今後 における幼児の生活や遊びの在り方に対する母親の意見等の実態に関する考察についても、これ を別の機会に譲ることとする。

皿 調査の方法

 表1に示すように、奈良県下の山村、農村、都市を代表すると思われる3つの地域および大阪 府下の新興住宅地域1牟所を調査対象地域として選び、それぞれの地域に設置されている合計4 つの保育施設に在籍する幼児の母親を調査対象者とした。質問紙法によるが、配布教は415、有 効回答者数は385、回収率は91.8%てあっ・た。

ホ  On the Actual State of Li fe and Pl ay of the Infants(1)

榊 Mitsum Yamaguchi(Department of Education,Nara University of   Education,Nara)and Kentar6Fukuni6hi (Attached Kindergarten,Nara

  University of 把ducation,Nara )

(3)

 4つの地域の内Y郡K村は吉野山系の急峻な山に囲まれた吉野川沿いに集落が点在する典型的 な山村であり、K保育所はへき地保育所である。S郡下町は奈良盆地のほぼ中央に位置する純農 村であるが、最近は住宅地域としての開発が進み、都市化の進行が著しい。N市は奈良県の県庁 所在地であり、大阪府Y市は大阪市周辺に見られる典型的な新興住宅地域の1つである。

 表1 調査対象者

4歳児

5歳児

施 設 名 女 計 山村 奈良県Y郡K村々立jへき地保育所 11 13 24 10 I4 24 2ユ 27 48 農村 奈良県S郡下町々立囓c稚園 25 29 54 26 29 55

51 58109

都市1 奈良県N市国立N大学

国ョ幼稚園 28 27 55 26 26

52 54 53107

都市2 大阪府Y市私立

r幼稚園 34 28 62 34 25 59 68 53121

98 97 195 96 94 190 194 191385

  注1 上掲の幼児の母親が調査対象者である。

  注2 母親以外の者が7人(全体の1.8%)含まれているが、全て母親として処理した。な    お、アンケート用紙には「お母さん、または幼児の生活や遊びについて一番よく知って    おられる方がご自身で記入して下さい。」と指示されている。

 ちなみに都市化の1つのメルクマールとして核家族化の傾向についてみると、表2に示すよう に、山村では核家族が全体の33.9%を占めているのに対して農村では60.5%、都市1(N市)で は62.6%、都市2(Y市)では69.4%となっている。また、きょうだい数は、表3に示すように 多いものから順に1)山村、2)農村、3)都市 1,4)都市2という順位になっているが、都市では ひとりっ子のケースが10%を越えている。さらに、調査対象者である母親の就労状況について みると、表4に示すように、山村では内職、定職、パートに従事する者が多く、農村では内職に 従事する者が多いが、都市1および都市 2では家事・育児のみに従事する者がそれぞれ72.9%・

71.9%を占めている。

 なお、調査実施期間は昭和53年7月1日から7月10日までであった。

  表2 祖父・祖母の同居状況

山 村 農村 都市1 都市2

1 おじいさんと佑ばあさんが住んでいる 27,1 21.1 19.6 14.9 19.5 2 おじいさんが住んでいる 613 O.9 2.8 O 1.8 3 おばあさんが住んでいる 22.9 ユ3.8 8.・4 9.9 12.2 4 おじいさんもおばあさんも住んでいない 33.9 6α5 62,6 69.4 60,5 5 その他 10.4 3,7 4.7 5.0 5.2

6 NA,NC 0 0 1.9 0.8 α8

100.0 100.0 100.0 100.0 100−0

一100一

(4)

注1 数字は%を表わす。以下特に断わらない場合は同様。

表3 きょうだい数

山村 農村 都市1 都市2

1 ひとりっ子 &3 5.5 11.2 10.7 9.1

2 2人 きょうだい 64.6 71.6 69.2 71.1 69.9 3 3人 きょうだい 27.1 20.2 16.8 14.9 18.4 4 4人 きょうだい O 1.8 2.8 3.3 2.3

5 5人 きょうだい 0 0 O 0 0

NA,NC 0 O.9 0 0 0.3

100.0 100.0 100.O 100.0 100.0

表4 母親の就労状況

山村 農村 都市1 都市2

1 きまったつとめ 10−4 4.6 4.7 4.9 5.5

2 パート 6.3 2.8 3.7 2.5 3.4

3内職 16.7 24.8 4.7 6.6 12.5 4家業 1O−4 6.4 9.3 11.6 a4

5家事・育児のみ 54.1 55.0 72.9 71.9 65.5 6 その他 2.1 3.7 4.7 2.5 3.4

NA,NC O 一1.8 0 O 0.3

100.0 100.0 1OO−0 100.0 100−0

1皿詰果と考察

1.遊びについて

は〕遊び場所について

 幼児がふだんよく遊んでいる場所について尋ねたところ、表5のような結果を得た。まず男女 別にみると、男女いずれの場合にも1) 「自分の家の中」、2) 「家の軒下や庭」、3)「よそ の家の中」、4) 「公園や子ども広場」という順位になっており、顕著な差を認めることはでき ない。次に地域別・男女別にみると、①山村の男子の母親に戸外の場所を挙げる者が多いこと、

②都市では男女の別を問わず「公園や子ども広場」を挙げる者が多いことの2点が目立つが、「公 園や子ども広場」は農村においても高い割合で挙げられており、今日児童公園や子ども広場は農 村においても都市と同様に幼児の遊び場として大きな役割を果していることを示すものとして注

目される。さらに全体的にみると、①家の中での遊び場が高い割合で挙げられており、戸外での 遊びが減少していると考えられること、②自然環境の中での遊びが少ないことという2つのこと が注目されてよい点として指摘される。

(5)

0N

表5 遊び場所(6月ごろのことについて)

1

1 家の軒下や庭22.5  自分の家の中28.3 自分の家の中21.5 自分の家の中21.7 自分の家の中 22,O 自分の家の中 24.7 よその家の中14.4 家の軒下や庭17.6 家の軒下や庭 14.5 家の軒下や庭 15.6  自分の家の中14.3 よその家の中18.9

家の軒下や庭14.4 よその家の中16.0 公園や子供広場 13.5 公園や子供広場 13.6 4 川や池 1O.2 道路 10.8 あき地 11.4 公園や子供広場13.9 よその家の中 11.1 よその家の中 10.4

9.5 公園や子供広場10.2 あき地 7.2 7.0 9.1

よその家の中8,2  園庭

o   一民館、児童館8.2 路地         {道路    6.1 裏山、林 2.7 境内 6.5 道路 6.7 あき地 5.8 あき地 7.1

7 2.7 道路 6.O 路地 4.1 路地 5.8 道路 7.1

2.7 田畑 4.8 境内 3.1 道路 5.8 路地 5.2

8一∩口 園庭    4.1 一川や池 o一一一一一・

?R、林  4.1 あき地

@        {境内    2.O 境内

1.4 川や池 3.6 田畑 2−6 田畑 518 園庭 3.2

1o 14 路地・ 2,4 園庭 2.1 川や池 3.5 田畑 2.6

その他 6.0 その他 2.7 その他 1.8 その他 5.0 その他 5.2 その他 1.4 計 100.O(N亡49) 100.O(N工74) 1OO.O(N=167) 1OO−0(N=194) 100.O(N=171) 1OO.O(N=154)

2

1 自分の家の中 19.9 自分の家の中 26.8 自分の家の中 20£ 自分の家の中 24.6 2 公園や子供広場 18.9 家の軒下や庭 20.4 家の軒下や庭 14.5 家の軒下や庭 17.9 3 よその家の中 18.3 よその家の中 14.8 よその家の中 14.2 よその家の中 14.5

注 設問には「ここ1

@ か月ぐらいにつし

@ て考えて下さい」

@ と指示されている ヲアパートや団地口

@広場,芝生,遊び堰 公園や子供広場 13.4 公園や子供広場 13.3一 公園や子供広場 11.9

4一[J 家の軒下や庭

?ォ地

12.0

V.3 あき地 7.1 あき地 8.7 道路 6.7

6 道路 6.3 4.2 道路 6.1 あき地 6.4

7 路地 5.2

 路地^道路 ※

4.2 田畑 4.7 路地 4.3

一8 田畑 4.7 4.2 路地 4.3 4.1

9一 境内 2.1 田畑 2.1 3.8 園庭 3.2

10 2.1 境内 1.4 境内 3.5 田畑 2.1

その他 3.2 その他 1.4 その他 6.3 その他 4.3

1OO.O(N=191) lOO.O(N=142) 1OO.0(N=578) 100.O(N=564)

注 設問には「ここ1   か月ぐらいについ   て考えて下さい」

  と指示されてい孔

※ アパートや団地の  広場,芝生,遊び場

(6)

 次に、「安全で安心できる」遊び場の有無を表6によってみると、「じゆう分にある」と答え た者が全体の15.3%であるのに対して「はとんどない」と答えた者が247%を占めており、安全な遊 び場が不足しているという実態が明らかにされている。地域別にみると、特に山村に安全な遊び 場が「ない」という意講を持つ母親が多い。

     表6 安全な遊び場所の有無

、・ 山村 農村 都市1 都市2

1 じゆうぶんにある 20.8 147 19.6 9.9 153

2 一応はある 41.7 61.5 51.4 62.8 56.6 3 ほとんどない 33.3 2111 26.4 23.2 24.7 4 いずれとも言えない O 1.8 2.8 4.1 2.6

■         一 一    一一  一一 一  II■       一 一

5 わからない 2.1 0 0 0 0.3

NA,NC 2,1 O−9 0 0 0.5

10.αα 100.0 100.0 100.0 100.0

 さらに、安全な遊び場が「ある」と答えた者について自由記載によってその場所の名称を書く ように求めたところ、表7のような結果を得た。山村では園庭や校庭を挙げる者が多く、農村と都 市では児童公園・公園を挙げる者が多いが、これらの施設が果たして幼児のための遊び場として最 適な設備と機能を有しているか否かということは別途検討されなければならない問題である。し かし、山村、農村、都市の別を問わず都市化が進む今日の地域社会においては、幼児が遊び場と

して利用することができる自然環境や様々な場所、施設の範囲が著しく狭められていることは明 らかであり、今後この遊び場喪失とでも言うべき問題事態の解決を図るためには、児童公園や子 ども広場のような子どもの遊びを目的として設けられた公共的施設としての性格を持ち、しかも 幼児の遊び場としても最適な設備と機能を備えている施設の設置を構想するという観点からのア プローチが不可欠であると考えられる。

     表7 安全な遊び場所(上位5位まで)

頂1 山 村 農 村 都市1 都市2

1 保育所の園庭7 公園  45 公園    26 公園   51

2 家の庭   4 境内  14 子ども広場13 あき地   9

3 小学校の校庭4 あき地  9 団地の遊び場8 家の前や庭7

4 公民館の広場3 家の庭  9 あき地   8 子ども広場6

5 1日分校跡  2 道路   8 道路・路地 8 神社    5 注 数字は実数を示す。

12〕遊び友だち

 近所にふだんよく遊んでいる友たちがいるか否かを尋ねたところ、表8のような結果を得た。

まず地域別にみると、山村では、過疎化の影響による子どもの数の減少、住宅間の距離が大きく

(7)

かつ幼児の往来には危険が伴なうことが少なくないこと等の地域の事情を反映して、遊び友だち が1人も「いない」幼児が特に多く、全体の2α8%に達していることが注目される。次に全体 的にみると、遊び友だちが「いない」と答えている者が全体の9.4%を占めていることが、後掲 の表11に示すように遊び相手について「ひとりで遊ぶことが多い」というケースが9−5%を占 めていることとともに、いわば遊び友だち喪失の問題状況を表わすものとして注目される。

     表8 遊び友だちの有無

山村 農村 都市1 都市2

1 い る 77.1 93.6 88−8 90.9 8a4

2 いない 20.8 5.5 I1O.3 7.5 9.4 3 わからない 2.1 0.9 0.9 O.8 1.0

4 NA,NC 0 0 0 α8 O.2

100.0 100.0 100.0 100.0 100−0

 次に、遊び友だちが「いる」と答えた者に対してその年齢と人数を尋ねたところ、表9および 表10のような結果を得た。まず地域別にみると、①山村では子どもの数が少ないためか遊び友だ ちの年齢別分布にばらつきが見られること、②農村では同年齢集団による遊びが多いこと、③一 般に都市でも異年齢集団が減少する傾向にあることが予想されるが、この調査結果では表9に示 すように都市1および都市2のいずれにおいても「いろいろな年齢の子ども」を挙げる者の割合 がかなり高くなっており、この実態には近所に同じ幼稚園に通う幼児が必ずしも多くないという 附属幼稚園と私立幼稚園の特殊な事情がある程度反映していると考えられることという3点が指 摘される。次に全体的にみると、①「同じ年齢の子ども」を挙げる者が全体の35.9%を占めて おり、異年齢集団による遊びが減少する傾向にあること、②友だちの数については「2〜3人」

のケースを挙げる者が最も多く(全体の44.0.%)、遊び友だちの数が減少する傾向にあることと いう2点が注目される。なお遊び友だちの数を地域別にみると、①山村と農村では「2〜3人」

というケースがいずれも過半数を越えており・少数の限きられた友だちと遊んでいる幼児が多い こと、②都市1と都市2では4人以上の遊び友だちを持つ交友関係の広い幼児が多い反面「1人」

しか遊び友だちを持たない幼児がそれぞれ12,6形と8−2孝を占めていることの2点が注目される。

     表9 遊び友だちの年齢

山村 農村 都市1 都市2

1 同じ年齢の子ども 37.9 52.8 25.3 28.2 35.9 2 年上の子ども 16.2 1.9 14.7 19.1 12.4 3 年下の子ども 13.5 1.9 4.2 2.7 40

4 いろいろな年齢の子ども 32.4 39,6 54.7 50.0 46.3

5 わからない 0 O 0 0 0

NA,NC 0 3.8 1.1 O 1.4

100.O 1OO.0 100.0 100.0 100.0

一104一

(8)

表10 遊び友だちの人数

山村 農村 都市1 都市2

1 1人 2.7 O 12.6 8.2 6.3

2 2人〜3人 56.8 51.9 4Z1 33.6 440 3 4人〜5人 29.7 28.3 36.8 4a1 37.4 4 6人〜9人 5.4 10.4 7.4 5.5 7.5

5 10人以上 0 4.7 0 a6 2.6

6 わからない 0 0.9 0 0 0.3

V NA,NC 5.4 3.8 1.1 0 1.9

100.0 1Oα0 100.0 100.0 100.0

 さらに、幼児の遊び相手について尋ねたところ、表11のような結果を得た。まず地域別にみる と、①山村ではきょうだい、父母、祖父母等の大人、近所の小学生が比較的高い割合で挙げられ ており、全体として多様であること、②農村では幼稚園の友だちが高い割合で挙げられているこ と、③都市1と都市2では附属幼稚園と私立幼稚園の特殊な事情を反映して幼稚園の友だち以外 の幼児が高い割合で挙げられているが、特に都市1では幼稚園の友だちと遊ぶ幼児が少なく、き

ょうだい、大人と遊ぶ者および「ひとりで遊ぶことが多い」者が多くなっていること等が目立つ。

次に全体的にみると・①「幼稚園や保育所の友だちと遊ぶことが多い」というケースが最も高い 割合(27.4%)で挙げられており、施設での友だち関係が地域での友だち関係に延長されると いう傾向が見られること、②「ひとりで遊ぶことが多い」幼児が少なくないこと、③父母、祖父 母が遊び相手としてかなり高い割合(11.3%)で挙げられていること、④幼児が小学生の中に入

って遊ぶ姿が見られなくなって来ていること等を注目すべき点として指摘することができる。

表11 遊び相手

山村 農村 都市1 都市2

1 ひとりで遊ぶことが多い 11.2 9.5 11.9 610 9.5

2 母親と  〃 7.1 2.7 6.2 4.2 47

3 父親と   2.0 2.3 4.0 4.2 3.3

4 おじいさんやおばあさんと  〃 5.1 2.3 49 1.8 3.3

5・近所のおじさんやおばさんと   1.0 0.5 O.4 0−5 0.5 6 近所の小学生と       〃 11.2 6.4 7.5 11.1 &7 7 きょうだいと        〃 30.7 26.4 27.9 23.1 26.4 8 幼稚園や保育所の友だちと  〃 27.6 44.0 11.5 26.9 27.4 9 幼稚園や保育所の友だち以外の友だちと 4.1 5.4 24.3 21.8 15.5

10その他 0 0.5 1.4 0.4 O−7

1(N一冒8) (N=220)

1㎝エ226) 1(N=216) 1O

iN−7るO)

(9)

13〕遊びの種薫

 幼児がふだんよくしている遊びの種類について尋ねたところ、表12のような結果を得た。なお 設問では合計41種類の遊びを列挙し、 「いくつでもげっこうです」という指示のもとに選択を求 めた。まず男女別にみると、男子の遊びとしては「三輪車・自転車」、「ブロック」、「ボール 遊び」等の動的あるいは構成的な遊びが上位に挙げられているのに対して女子の遊びとしては「

絵をかく」、「ままごと」、「折紙や切紙」、「人形」、「歌をうたう」等の静的あるいは情操 的活動としての性格が強い遊びが多く選択されている。次に地域別・男女別にみると、山村の男 子の遊びに「ちょうちょ、かぶと虫などをとる」という活動が上位に挙げられていることが目立 つ程度であり、顕著な地域差を見出すことはできない。さらに全体的にみると、①「テレビ」、

「絵をかく」、 「折紙や切紙」、「絵本」、「ミニカー」等静的で室内でする遊びが多いこと、

②1人ですることができる遊びが多く、集団的な遊びは上位に挙げられていないこと、③「小動 物(かたつむりやおたまじゃくしなど)をとる」、「野菜や野草をつむ」、「魚つり、魚とり」、

「木のぼり」等自然の事物に触れる遊びが少なく、商品化された既成の玩具を利用する遊びが多 いこと、④「あやとりをする」、「お手玉で遊ぶ」、「一 かごめかごめI をして遊ぶ」、「おに ごっこをする」、 「石けりをする」、 「かんけりをする」等の伝承的な遊びはいずれも上位10位 までに入らなかったこと等を注目すべき点として指摘することができる。

    表12 遊びの種類(上位10位まで)

山    村 農   村

順位

1一n6 三輪車、自転車 サあそび

折紙や切紙 eレビ

三輪車、自転車 eレビ

ままごと

Gをかく

テレビ ままごと 砂あそび テレビ

3一4。

{ちょうちょ、かぶと虫

などとる 砂あそび 泥いじり 折紙や切紙

5 ミニカ 泥いじり ミニカー 砂あそび

絵本 絵をかく ブロック 絵本

6一7

ブロック 三輪車、自転車 絵本 三輪車、自転車

折紙や切紙 絵本 小動物をとる 歌をうたう

8一〇一

{小動物(おたまじゃくしやかたつむりなど)をとる

歌をうたう

{ , ,ちょっちょっ、かぶと虫をとる

人形

10 絵をかく 人形 折紙や切紙 泥いじり

一106一

(10)

表13 遊びの伝承形態

山 村 農 村 都市1 都市2

1 おじいさんやおばあさんに教えてもらった

烽フが多い 1.1 1.0 2.4 0,4

I12

2 父親や母親に教えてもらったものが多い 1.1 1.5 4.9 3.8 3,1

 きようだいがしているのをまねたり、教え3   、 てもbったりしたものが多い

16.9一 22.8 22−4 20.2 21.1

 年上の友だちがしているのをまねたり、教4    。 えてもりったりしたものが多い

14.6 15,0 17.6 21.4 17.8

 同い年の友だちがしているのをまねたり、5     。 教えてもbったりしたものが多い

10.1 15.5 17.1 16,0 15.4

6 保育所や幼稚園でおぼえてきているものが

スい 3a4 32.0 20.5 27.7 28.3

7 テレビや絵本の影響をうけているものが多

15.7 11.7 13,7 9.7 12.1

8 その他 0 O.5 1.0 O.4 0.6

NA,NC 1.1 0 0.4 O−4 O−4

100.O 100.0 100.0 100−O 100.0

都  市   1 都  市  2

三輪車、自転車 ままごと 三輪車、自転車 絵をかく 三輪車、自転車 絵をかく

テレビ 三輪車、自転車 テレビ 折紙や切紙 テレビ ままごと

ブロック 絵をかく 絵本 ままごと 砂あそび 折紙や切紙

砂あそび 砂あそび ブロック 絵本 ブロック 砂あそび

泥いじり 絵本 折紙や切紙 .文字や数字をかく 絵本 テレビ

絵本 ボール遊び ボール遊ぴ 砂あそび 泥いじり 絵本

ミニカー 折紙や切紙 砂あそび 三輪車、自転車 ミニカー 三輪車、自転車

ボール遊び テレビ 絵をかく テレビ ボール遊び 人形

小動物をとる 人形 ミニカー 人形 折紙や切紙 歌をうたう

絵をかく 泥いじり 文字や数字をかく 歌をうたう 絵をかく 泥いじり

(11)

 次に、幼児が様々な遊び方をどこから覚えてくるかということを尋ねたところ、表13のような 結果を得た。それによると、「保育所や幼稚園でおぽえてきているものが多い」とするケースが最

も多く、全体の28−3%を占めており、遊びの伝承においても施設保育が大きな役割を果たして いることを知ること・ができる。その他、①祖父母や父母から遊びが伝えられるということがほと んど見られなくなっていること、②テレビや絵本等のマス・コミによる影響が少なくないことの

2点が注目をひく。

14〕遊具の種薫

 幼児が現在所持している遊具の種類について尋ねたところ、表14のような結果を得た。まず男 女別にみると、男子の遊具としては「ボール」、「ミニカー」、「ブロック」等が上位に挙げら れているのに対して女子の場合には「折紙」、「人形」、「ままごとセット」等が上位に挙げら れており、前述の遊びの種類についてみられた性差の傾向に対応している。なお女子に「ピアノ、

オルガン」を所持する者が多く、全体の68−6%を占めているが、実際にはきょうだいや家族の 者と共同で使用するという形態をとるケースが多いと思われる。次に地域別・男女別にみると、

都市1に男女いずれの場合にも遊具を所持する者の割合が他の地域に比較してやや高いことが目 立つ程度であり、顕著な差を認めることはできない。さらに全体的にみると、①遊具の種類が豊 富でありかつ所持する者の割合も高いこと、②「ミニカー」、「ブロック」、「折紙」、「人形

」、「ままごとセット」、「つみ木」等室内で、1人で遊ぶことのできる遊具が多いこと、③買 い与える遊具が多く、手づくりの遊具や「竹馬」、 「お手玉」等の伝承的な遊びのための遊具が 少ないこと等を注目すべき傾向として指摘することができる。

    表14 遊具の種類(上位10位まで)

山      村 農      村

1 自転真三輪車100.O 折紙    9613 自転車、三輪車94.1 自転車、三輪車100.O 自転車、三輪車96.3

一2 ボール    90.5 自転車、三輪車88.9 ボール    90.2 ままごとセット ミニカー

}93.1 } 92石

3 ミニカー   76.2 ボール    85.2 ブロック  88.2 折紙 フロック 4 ブロック   71.4 人形    81.5 折紙    86.3 人形    89,7 ボール    90.7 5 つみ木   66.7 なわとび ミニカー   82,4 ボール   81.O バット   87.O

}63』

6 折紙    61.9 ままごとセット バット   74.5 ヒ1ケノ・オルガン なわとび

}672 } 83.3

7 トランプ   52.4 ブロック つみ木 つみ木 折紙

}593 } 6&6

8 電池の汽車 つみ木 なわとび ブロック  65.5 つみ木   75.9

9 1わ1び

^伽

ピアノ・オルガン55.6 ゲーム   608 トランプ  60.3 トランプ  6111

10 めんこ トランプ  40.7 トランプ  58.8 ゲーム   44.8 電池の汽車 57.4 注数字は全体の幼児の中で、その遊具をもっているものの割合(%)を示す。

一108一

(12)

表15幼児の遊びについて母親が困ったり、心配し・たりしていること

山 村 農 村 都市1 都市2 1 遊びのあとかたずけができない 39.6 40.4 44−9 28.1 36,6

2 親が子どもとじっくり遊んでやれる時間が ない

22.9 22.0 22.4 19.0 21.3一

3 おもちゃや遊具をそまつにする 27.0 14−7 17.8 24−0 20.0 4 きけんな場所で遊ぶ 31.3 17.4 13,1 20−7 19.O 5 次々と新しいおもちゃや遊具をほしがる 4.2 11.O 18.7 13.2 17.4 6 ひとつの遊びが長つづきしない 6.3 16.5 13.1 14−0 13.5

7 テレビを見すぎる 8.3 11.9 16.8 9.9 一12.2

8 友だちと仲よく遊べない 0 11.9 10.3 7.4 8−8

9 夜おそくまでおきていて遊びたがる 16.6 9.2 9.3 4.1 &6 10食事や風呂の時間になっても外から帰って

@ こない 6.3 8.3 8.4 6.6 7.3

11よい遊び友だちが出来ない 0 6.4 11,2 5.8 7.3

12その他 6.3 8−3 11.2 41 7.3

特にない     一         8.3 17.4 19.6 15.7 16.4 注 数字は回答者全体の中で当該項目を選んでいる者の割合(%)を示す。

市 1 都  市  2

自転車、三輪車 自転車、三輪車89.7 折紙    98.1 自転車、三輪車 93.8

舳1び ミニカー  86.8 自転車、三輪車94.3 ポール    87.6

自転車、三輪車

@    }96.9折紙

ボール   82.4 人形    90,6 ミニカー   86.0 人形     90.5 人形    96.2 ブロック ままごとセット86.8 ブロック   84.0

一ツl

^・1・ ままごとセット 8619

ままごとセット92.5 なわとび  83.O 折紙    79.9 なわとび   85.9 ボール   90.6 折紙 ボール   81.1 バット    77.7 ボール    84.3 ブロック つみ木   64.7 ブロック  75.5 つみ木    69.O

}86.8 つみ木    754

つみ木 ゲーム   63.2 トランプ  698 なわとび   64.3 ブロック   73.3 ビヴノ・オルガン83.0 グロ■ブ  58.8 ヒケノ・オルガン62.2 ゲーム    59.3 ヒプノ・オルガン  68.6

トランプ  81.1 なわとび  57.4 ゲーム   43.4 トランプ   57.2 トランプ   66.0

(13)

15〕幼児の遊びについて母演が困ったり、心記したりしていること

 幼児の遊びについて母親が困ったり、心配したりしていることについて尋ねたところ、表15の ような結果を得た。まず地域別にみると、⑪山村の幼児の母親に「きけんな場所で遊ぶ」という 事項を挙げる者が全体の31.3%に達しており、山村では安全な遊び場の不足ということが深刻 な問題になっていること、②都市1の幼児の母親に「よい遊び友だちができない」という事項を 挙げる者がやや多い(全体の11,2%)ことの2点が注意をひく。次に全体的に見ると、「遊び

のあとかたづけができない」、 「おもちゃや遊具をそまつにする」、 「次々と新しいおもちゃを はしがる」等広い意味でのしつけに関する事項が多くの母親によって挙げられており、一方では 前述したように多くの種類の遊具がふんだんに買い与えられているという実態が見られることか らすれば、遊具過剰時代の問題状況がこうした点に現われていると言うことができるであろうか。

2.絵本について

 幼児が1か月間に購入してもらろている絵本(月刊雑誌を含む)の冊数を尋ねたところ、表16 のような結果を得た。まず全体的にみると、「2〜3冊ぐらい」を購入してもらっている幼児が 最も多く、全体の33.2%を占めているが、「1冊ぐらい」および「毎月でないがときどき」と いう幼児もかなり多く、それぞれ29.1%と26.0%を占めている。次に地域別にみると、かな り顕著な差を指摘することができる。即ち、冊数の多い幼児が占める割合は1)都市2,2)都市

1,3)農村、4)山村の順位で高くなっているが、特に山村では「買っていない」というケースが 10.4%、rときどき」というケースが45.9%を占めており、都市2では「2〜3冊ぐらい」

というケースが50.4%、4冊以上のケースが19.9%に達していることと対照をなしている。

文化的遅帯としての山村の特色の現われとみることができるであろうか。なお、都市1では幼稚 園で月1冊、都市2では月2冊の定期購読の便が図られているが、この冊数を含めて回答した母 親が多いと思われる。

    表16 1か月間に購入している絵本(月刊雑誌を含む)

山村 農村 都市1 都市2 1 1冊ぐらい 33.3 36.7 33.7 16.5 29.1 2 2冊〜3冊ぐらい 1α4 24.8 32.7 50.4 33.2 3 4冊〜5冊ぐらい 0 1.8 1.9 1&2 6.8

4 6冊以上  0 0 0.9 1.7 0.8

5 毎月でないがときどき S5.9 31.2 28.0 ユ1.6 26.0

6 買っていない 10−4 5.5 2,8 O.8 3.9

NA,NC 0 0 0 O,8 0,2

100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

一110一

(14)

 次に、母親が幼児に絵本を読んでやったり、お話をしてやったりする機会の頻度を尋ねたとこ ろ、表17のような結果を得た。全体的には「ときどきしてやる」と答えた母親が全体の60−3%

を占めているが、地域別にみると、山村に「ほとんどしてやらない」、「まったくしてやらない」

と答えた者が、また農村にrほとんどしてやらない」と答えた者がやや多くなっている。それと は対照的に、都市1では「よくしてやる」と答えた者が40.2%を占めている。また、都市2では 全体的な傾向とほぼ同傾向にあり、絵本や雑誌の購入冊数の多少がそれを読んでやる機会の多少 に必ずしも一致するものではないことを示している。

    表17 母親が幼児に絵本を読んだり、お話をしてやることの頻度

山村 農村 都市1 都市2

1 よくしてやる 14.6 18.3 40−2 19.8 24.4 2 ときどきしてやる 66.6 63.3 47.7 66.1 60,3 3 はとんどしてやらない 14.6 17,4 10.3 12.3 13.5 4 まったくしてやらない 4.2 O 0 0.8 O.8

.NA,NC O 1.O 1.8 0 1.0

100.0 100.0 100.0 100.0 10α0

3.手伝いについて

 幼児がふだんよくしている手伝いの種類について尋ねたところ、表18のような結果を得た。ま ず全体的にみると、①多くの幼児が家族の一員として幼児なりに様々な手伝いをしていること、

②しかし、「特に何もしていない」幼児が全体の13.0%に達していることの2点が注目すべき 傾向として指摘される。なお、肩たナこきと年下の子の守りや世話をしている幼児がかなり多いこと は、我が国社会でふるくから行なわれて来たこの種の手伝いが今日なおかなり広く行なわれてい ることを示しているという意味で興味深い。次に地域別にみると、①山村に留守番をする幼児が 少ない(祖父母や年上のきょうだいがいる者が多いことがそのひとつの理由になっている)こと、

農村に花や野菜に水をやるという手伝いをしている幼児が多いこと、都市に部屋の整理・整頓と いう手伝いをしている幼児が多いこと等の点に地域的な特色が現われていること、②山村と都市

1の幼児に「特に何もしていない」幼児がやや多いことの2点が目立つ程度である。

 なお、性別の傾向を示すデータを掲げることは割愛したが、男子に多い手伝いとして「肩たた きをする」、「新聞や牛乳をはこぶ」という2つのものを、また女子に多い手伝いとしては「下 の子のもりや世話をする」、「食事の準備やあとかたづけをする」、「洗たくものをかたずける

」、「花や野菜に水をやる」という4つのものを挙げることができる。

(15)

表18 ふだんしている手伝い

山村 農村 都市1 都市2

1.簡単なお使いをする 52.1 46.8 60.7 57.0 54,5 2.るす番をする 1O.4 38.5 35.5 38.O 34.0 3.食事の準備や後がたづけを手伝う 29,2 2a4 34.6 3α6 33.O 4.新聞や牛乳をはこぶ 22.9 29.4 40.2 31.4 32.2 5・部屋の整理・整とんをする 14.6 29.4 29.9 35.5 29.6 6.花や野菜に水をやる 16.7 35.8 27.1 24.8 29.1

7・肩たたきをする 25.0 20.2 20.6 25.6 21,6

& 下の子gおもりや世話をする 20.8 15.6 19.6 18.2 18.2

9。洗たくものを片づける 1O.4 11.0 7.5 9.9 9.6

1α 家のそうじを手伝う 6.3 11.O 5.6 1王.6 9.1

11・小鳥・犬・さかな等の世話をする 2.1 1王.9 13.1 5.O 8.8

12。庭のそうじをする 0 9.2 4.7 1.7

13。田や畑へお茶やたぺ物を運ぶ 2.1 O o O.8 4.7

O.6

14.そ の他 4.2 1,8 O.9 0.8 2.1

特に何もしていない 18.8 11.9 14.O 1O.7 13.0 注 数字は回答者全体の中で当該項目を選んでいる者の割合協を示す。

4.土歴日、日間日、休日につれていってもらった場所

 調査実施期間の前の月である昭和53年6月の土曜日、日曜日、休日(仏所、休園の日を含む)

に幼児が連れて行ってもらった場所を尋ねたところ、表19のような結果を得た。まず全体的にみ ると、6月1か月の間にどこかへ連れて行ってもらったという経験を持つ幼児が多く、「どこに

も行っていない」幼児は全体の8・3%であ乱行き先についてみると、「デパートやスーパー」、

「食堂やレストラン」、「親の実家」、「近所の店」等が上位を占めており、今日の幼児はこう した経験を通してより広い社会につながる生活経験の拡大を図る機会に恵まれているということ ができるが、その行き先の多くが専ら物質的消費の場所であり、甘えることができる親の実家で ある所に問題があるといえば言えるのではなかろうか。次に地域別にみると、①山村の幼児に「

どこにも行っていない」者が特に多く(全体の41.7%)、農村、都市の幼児に生活空間の拡が りが見られることと対照的であること、②農村と都市とを比較すると「食堂やレストラン」、r 近くの公園」、 「遊園地」という3つの場所について都市の幼児に連れて行ってもらった経験を 持つ者の割合がかなり高くなっていることを指摘することができる。

一112一

参照

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