声 付
点 の
認 定をめぐる二三の問題
ー東点のつけちがえの点を中心に
一 問題提起
﹃類聚名義抄﹄の原撰本系の﹃図書寮本類聚名義抄﹄の和訓に施された声点には︑
平 声 点
東
点
(平
声 軽 の点︶ 上声点 去声点 入声軽の点 入声重の点 去 徳 入
ウ に
差されている︶︒
(図
版1︶を基準として認定しようとすると︑改編本系諸本では声点の位置があいまいで︑ 上 東 認 定
は かなりむずかしい︵図版nを基準としても同様である︶︒
ヲ
サ ムを例にとる︒ヲサムに声点を差した例は﹁図書寮本﹂に五例あり︑五つとも︑
ヲのかなには︑図版1の平の位置に差点されている︒それに対し︑﹁観智院本﹂では︑ヲの声点の位置はさまざまであ
る︒即ち︑①ヲの終画の終りに接しているもの︑②終画の終りにのっかるように少し上についているもの︑③二画と終
画 の中間よりや・下めのもの︑④や・上めのもの︑⑤二画のはじまりの下に接しているもの︑⑥二画のはじまりの横
に つ い て いるもの︑⑦上にのぞいているもの︵7フヲヲヲヲヲ︶という具合である︒﹁高山寺本﹂では︑オの仮名である
6 が︑声点が第三画の下側︵図版1の平の位置︶についているもの︵オ︶と︑上側︵図版1の東の位置︶についているもの︵オ︶
斑
とがある︒これら改編本系諸本のヲ・オの点を認定するのに︑﹁図書寮本﹂の声点を対象として︑平声点か東点かを判別す
るのと同じ対し方をしようとすると︑どう認定したらよいのか途方にくれるであろう︒改編本系諸本の声点を認定するのに︑
普 通それほど迷わない気がするのは︑我々が︑一つ一つの語の語調を知っていて︑この語には︵上上︶の声点が︑この語に
は
(平
平上︶の声点がついているはずだというふうな期待をもって︑個々の声点にのぞむからに過ぎない︒そういう知識を
一
切 捨
てて︑ただ声点の位置だけに頼るならば︑改編本系諸本の声点の認定は︑決して簡単ではない︒
一
注4 般に︑声点には差された点と写された点とがある︒差された点は︑声点の機能からして差し誤られてはなら
な い はずのものである︒一方︑写された点は︑よほど写しのよい場合でも︑うつしあやまりがあるのがむしろ自然であろ
う︒
声 点 の 写しの悪い文献を活用する際に︑使用者にとって都合のよい位置に写点されているものだけを随意取り出して活用
し︑除外したものをかへりみないというやり方は︑方法そのものとして反省されなければならない︒平東上去の基準位置か
らはずれた︑あいまいな位置につけられた点をどう処理すべきか︑正しく写された点と写し誤られた点︵平東上去のっぽにお
さまってはいるが︑つぼを誤っているもの︶とを判別する基準1ー誤点認定の基準ーはどこに求められるか︑といった問題
が 注5 明確にされなければならない︒また一方では︑その文献独自の声点の使い方があるかどうかの吟味を進めなければならな
い
。
そういう問題の究明がなされなければ︑その文献の和訓の声点を包括的に把えることはできないであろう︒
その一端として︑﹃類聚名義抄四種声点付和訓集成﹄で対象とした諸文献︑即ち︑﹃類聚名義抄﹄四種︑﹃法華経単字﹄︑﹃前
田 本 色 葉 字 類抄﹄︑﹃岩崎本字鏡﹄︑﹃和名類聚抄﹄五種︑の和訓に施された声点の中から︑その位置のあいまいなものをぬき出 し︑ここに一つの整理を試みたい︒
調 査 対象とする諸文献の略称は︑﹃類聚名義抄四種声点付和訓集成﹄におけるそれと同じである︒なお︑﹃和名類聚抄﹄は
和・¶金光明最勝王経音義﹄は金とする︒
二 声 点 の
位 置 があいまいになりやすいのはどんな場合か 1 声点の位置があいまいになりやすいのはどんな場合であろうか︒まず︑気がつくのは︑声点がつけられている片仮名
の 字 体
によって︑声点の位置があいまいになりやすいものと︑比較的なりにくいものとがある︑ということである︒常識の 域を出ないが簡単にふれておこう︒
①へ・ッ・二・ハ・ムのかなには︑あいまいな位置の点が多々みられる︒特に﹁・﹂に写された声点は認定に苦しむこと が多い︒
②ツ・ソ・ヲ︑サ・ナ︑タ・ク・−ーといった仮名は︑基準がゆれる傾向がある︒
ツ
・
ソ に つ い て いえば︑平の位置は︑初画の下かと思われるもの︵ツ・〃︶と︑終画の下である場合︵ツ ン︶とがある︒
ー加えて初画と終画の中間の写点︵ツ ソ︶がある︒
ヲーヲ︑サーサ︑サーナ︑クータ︑クーク︑〃ーりといった具合である︒平の基準位置がこうゆれると︑上声点との区別 が 紛らわしいことがある︒
こういう基準のゆれは︑文献により片寄りがあるのでもないらしい︒﹁観智院本﹂の一つの巻の内部でもゆれている︒ 一応︑
詳 細 に
検討
する必要があろう︒
③ 上
の字と下の字との間隔が狭すぎて︑下の字には︑上声の正当な位置に写点できず︑上声点の位置が下り︑あいまいな 位 置 になることがある︒例えば︑
648
﹁ヨセタツ︵上平平上︶︹椅︺ 高四オー﹂
の ツ の 点は︑ツの初画の下にツとついている︒これは︑上のタの終画とツの初画とが接近していて︑ツの初画の上に声点が
うてない結果とみなされる︒上声点のズレと認定すべきである︒
以 上 三 つの︑仮名の字体に関連するあいまいな位置の点は︑﹃図書寮本類聚名義抄﹄の片仮名については見られない︒声 点 のうつし方が甘い時に生じるものである︒
なお︑万葉仮名の場合は︑うつしがよくなくても︑あいまいな位置の点は表われにくい︵但し︑誤点はある︶︒
11 ﹃類聚名義抄﹄
の 省 略 表記がみられ︑
オ牝オ迫ス。
ぷ㎡
言t又 ノ
.砧ハ
しメ
●﹁ヤ劇スム︐
し
ヤスム
の ある標出漢字の和訓の一
それに伴い︑
下
下
ヤ ス
L
汰伏
︑ミ
.ム
、比 比
ユ ⊥巳
つとその声点を︑諸本間で比較検討すると︑﹁観智院本﹂
写 点も異ってくることがある︒例をあげる︒
高
ロOウー
観仏上 七四己
高
観管
薗
観絵
三 一ウー
ム ﹂ へ Z
上ウー 七7L
には︑和訓のかな
寸
゜ラ匂ヲ
砂、.ノ、
●
ヨ ゜)、
フ」ンフ
ラ㌶
。フ
「
ノ、 〆、
うし↓一うし
ハ し
護護護更昊
高
観
仏牢
図
観浅上
頻正
九
九ウー
九九
ー L
九六2
六= ﹂5
三 二
L ふソ3
こ
のような省略表記においては︑時に︑声点の位置が写し誤られて︑次のように︑わけのわからない位置につけられるこ
ともある︒
Φ
・カーーウル
カ㍗
②
フ クフ「
ソ ③三吉記 汐ペタリ
ジ亦屯
イ王仕候候
観図観高観商
}茗 仏 払
㌣ 上 上
回 三 _ _ = 一
む ニエ へ ヘ テ ロ
ウ ワ
LllL9古L55
650
④ヅも
⑤・瓢㌧ 多已
コ払tズ
・ レ⇔
即ち︑①についていえば︑
逮逮遺 週
高
観仏ヒ
高
三
〇オー
圭zL一五ウ5 観坐四六己
らない位置に写されてしまったと解せよう︒
書きのフは朱らしい︒への点は︑
声 点 であるべきもの︒④の の
ス の 点は︑スの上声点であるべきもの︒
現 存 観 智 院 本 の 声 点 に こういう例がある
なくとも右の諸例については︑
観「
智 院本﹂のりの入声の位置の点は︑ルの平声点であるべきものが︑まちがって︑わけのわか 左 側 の 点が︑他の字の右側に写し誤られた例である︒②では︑﹁観智院本﹂の小
フ の 上 声 点 であるべきもの︒③の﹁観智院本﹂のルの去声の位置の点は︑小書きのッの上
観「
智 院本﹂のシの入声の位置の点は︑ムの平声点であるべきもの︒⑤の﹁観智院本﹂の小書き 但し︑左側から右側に点が移行する過程は未詳︒このように考えられよう︒
︑ということは︑現存観智院本の写点者は︑彼が写そうとした文献の声点を︑少 ろくに理解できないまま写したことを意味する︒
m
声 点 の 位 置 が 書 写 の 過 程 であいまいになる様子を示すと思われる今↓つの例がある︒
笑§サ灸朱ラフ 薗六穿5
.
茨
ロムエ蓮笠泣珠ラフ
咲 礒垣︑蔑取露プ観!二︑﹂
﹁高山寺本﹂では︑ヱム・ヱ・ヱワラフの三つのヱには各々上声点がついている︒それに対し︑﹁観智院本﹂では︑ヱムの
ヱ に は
上 声 点 が つ
い て いるが︑その下の和訓ヱの点は上と平の中間に︑ヱワラフのヱの点はそれより少し下の位置について
いる︒ヱムーヱーヱワラフの順に︑ヱの上声点の位置が下っているわけである︒語源を同じくする語︵ここではヱ︶ではじま
る和訓が並ぶ時に︑最初のものには丁寧に写点し︑二つ目以下︑同語源の部分の写点があらくなる︑というのは︑ありそう
なことだと思う︒
以上︑声点の位置があいまいになりやすい一般的な場合二三について述べた︒
三 束 点 の つ けちがえの点 1問題の所在 和 訓 に
施された声点のよってたつ声調体系が︑六声の体系であると立証されている二つの文献︑即ち︑﹃金光明最勝王経音
義﹄﹃図書寮本類聚名義抄﹄において︑︽東点︾は︑周知のように︑①形容詞終止形の語末のかなシ︑②形容詞連体形の語末 注6
の か なキ︑③サ変動詞の終止形をあらわすかなスに︑集中的にあらわれる︒ところが︑改編本系諸本では︑これらのシ・キ
・
ス の かなには︑上声点が︑時には平声の位置の点がついている︒
「
サ ガ シ
(平
平東︶︹瞼︺図西三6
サ ガ シ
(平
平平︶︹瞼︺観法上一〇七2
砲
サ ガ シ
(平
平上︶ ︹険︺観法中四六3L
「
アクヒノビス︵○○○平平平︶ ︹欠伸︺高八ウ3
アクヒノビス︵○○○平平上︶ ︹欠伸︺観仏上二8 ︵マ﹁ アクビノビス︵上上平平平平︶ ︹欠伸︺観僧中四四8
アクヒノビス︵上上平平上上︶ ︹欠伸︺鎮皿六ニオー
☆
ツミス︵平上東︶ ︹坐︺図二二九4﹂
といった具合である︒この現象をどう解釈すべきであろうか︒
東 点
に代って上声点が表われる現象については︑小松英雄氏が周到に論究された︒即ち︑氏は︑先のシ・キ・スのかなの 声 点を︑図書寮本と︑観智院本・高山寺本とについて比較検討され︑形容詞終止形語末のシの場合︑図書寮本では東点と上 声 ゴ 点との比率は50%対50%であること︑観智院本では上声点約80%対平声点約20%︑高山寺本では上声点85%対平声点15%
であること︑従って︑上声点の比率が改編本と図書寮本とで︑○︒O×ー胡O×11ωO式というひらきがあることを明らかにされ︑
こ
の
事実を︑
平「
声 軽 の 声 点をもって代表されるところの︑ある種の調値は︑図書寮本の加点当時︑すでに上声のそれに合流しつつ
と解釈された︒ 注6 あり︑ときをへだてて成立したところの改編本は︑この変化のおわろうとする段階を反映している﹂
一方︑右のシ・キ・スのかなにつけられた平声の位置の声点であるが︑これをどう解釈すべきかは︑かなりむつかしい問
題を含む︒
金田一春彦氏は︑﹁平声軽の点について二国語学﹂41︶Lで︑ ︿平安朝に成立した声点を記載した文献の大部分﹀に︑﹁平声
軽 が 施された根跡Lが認められるとされ︑﹃日本書紀﹄古写本について︑
原「
型としては平声軽をもっていた︑それを転写者が⁝⁝大ざっぱな人間であったために︑普通の平声の位置に写しち
がえてしまった︑その結果︑現在見るような体裁になった﹂
として︑その事例をあげ︑更に︑高山寺本﹃和名抄﹄・﹃世尊寺字鏡﹄などの事例を示された︒観智院本﹃類聚名義抄﹄につい
ては︑
現「
存 の 本
に お ける形容詞の語尾に施された声点に見られる不統一ぶりや︑仏下末巻あたりを中心として見られる平声
で はじまる動詞の表記に見られる変異は︑その原本における平声軽の点の存在を示唆する有力な徴証のように思われる已
と述べられた︒
平 東 上 去 の 四 つ の 点 の中で︑東と平とは他の点相互に比して位置が接近しあっている︒声点をうつす際に︑もしもぞんざ
い に 写 す なら︑平点と東点とをつけ誤る率は︑平点と上点︑上点と東点とをつけ誤る率より高いであろう︒平点の位置が字
の 左 下 の内側に入らず︑左下である時︵つまり図版11ではなく図版1の時︶はなおさらである︒
下 降 調 の 音 節
(e︶が高平調の音節︵●︶に合流していく時期に︑六声の体系に基づいて差点された文献の声点を︑後の 人 が 写 すとなると︑東点が差されていても写点者がその意味をよく理解せずに写すとすれば︑東点が︑位置の近さから︑平 声 の 位 置 に 写されることはあり得ることである︒
ところで︑ある文献の声点に︑東点のつけちがえの点の存在を認めるということは︑その文献の声点が写されたものであ
るということと︑その文献の声点のよってたつ声調体系が六声の体系であるということとを前提とする︒かりに︑﹃類聚名義
抄﹄の改編本系諸本に︑東点のつけちがえの点を認めるとなると︑改編本系諸本の声点︵それは︑原撰本成立期の語調を示す 注7 ・
の で はなく︑改編本系諸本各々の祖本の成立期に普通におこなわれた語調を示すものである︶は︑六声の体系に基づいているとみ
碗
こまれていることになる︒
現存の観智院本の和訓に施された声点の中には︑位置としては東の位置に写された点は確かにある︒しかし︑本稿の
はじめに述べたように︑平東上去の基準位置からはずれた︑あいまいな位置に写された点がたくさんあるからには︑東の 位 置 に
写された点は︑たま/\東の位置に写されたのであって︑東の位置に写そうと意識して写したという保証は求 め 難
い
もしも︑︽東点︾をそれと意識して写したのなら︑大部分の声点は︑平東上去のつぼにきちんとおさまっていたにち。
が いない︒あいまいな位置の点など入り込む余地はないであろう︒現存観智院本よりも写しのよい現存高山寺本でも︑和訓 の 声 点 に
《東
点︾は認めにくい︒
従って︑改編本系諸本の和訓の声点に︑かりに︑東点のつけちがえの点の存在を認め得ても︑その声点のよってたつ声調 体 系 が 六 声 のそれだとは決らないわけである︒
ひるがえって︑改編本系諸本は︑平声に軽重を区別していないという見地にたてば︑東点の期待されるかなにつけられた 平 声 位 置 の 声 点は︑筋として︑東点のつけちがえの点とすることはできず︑単なる誤点として処理することになる︒
2どんな場合があるか 改 編 本 系
類『
聚名義抄﹄諸本の和訓の声点に東点のつけちがえの点を認めるかどうかには︑上述の問題が内在するのであ
るが︑ここでは︑仮に東点のつけちがえの点の存在を認めるとした場合︑その例はどれほどあるか︑どんな分布を示す
か︑どこまでを東点のつけちがえの点と認めてよいか︑といったことを取り上げてみたい︒
﹃金光明最勝王経音義﹄﹃図書寮本類聚名義抄﹄の和訓のかなに施された︽東点︾をよりどころとしながら︑本稿の調査対
象とする諸文献の中から東点のつけちがえの点をぬき出し︑それを︑
① 形 容 詞 終 止 形 語 末 の かなシの場合
② 形 容 詞 連 体 形 語 末 の かなキの場合 ③
サ 変 動 詞 の 場 合 ④
サ 変 以外の動詞の場合 ⑤ 非 活 用語︵除助詞︶の場合
⑥ 助 動詞・助詞の場合 の 六 つ の 場 合
に
分 類して列挙し︑適宜︑検討・考察を加えていくことにする︒
ここにぬき出す東点のつけちがえの点とは︑写しの甘い文献において︑︽東点︾が期待されるかなにつけられた声点のう
ち︑平声の基準位置の点︑平声の基準位置の領域外のあいまいな位置の点︑東の基準位置の領域外のあいまいな位置の点︑たま
たま東の基準位置に写された点 以上の点すべてを含む︒平壷点と上声点との中間に位置する点すべてを含むのではない︒
中程より上に位置する点は︑上声点がぞんざいに写されて位置がや・下ったとも解せるので︑ここでは除外しておく︒
(あいまいな位置の点のまず表われない文献 ﹃和名抄﹄諸本とか﹃日本書紀﹄古写本諸本といった万葉仮名に声点の
つ い て いる文献などーについては︑東点のつけちがえの平声の位置の点とする方が適切である︒本稿の調査対象と
する諸文献の中にも︑個別にとりあげればそうする方がよいと思う文献もある︒本稿は﹃名義抄﹄を主軸とするので︑
諸 文献を総括して︑右のように扱ってみた︒︶
こ
の 東 点 の つ けちがえの点は︑誤点の類型に入るものとみるべく︑単なるつけ誤りの点一般とは区別する必要がある︒
声 点 の 認 定
にあたっては︑以下︑︽東点︾を︵東︶︑東点のつけちがえの点を︵△︶として︑双方を区別して記す︒
なお・以下の記述は・周知の事書ないしはそれに類することめ羅列にすぎ三部分が多いが︑・平轟が施・れた痕跡Lの 全 貌を把握するためには︑その﹁痕跡﹂を出来るだけさらってみる必要があると思うので︑冗長にわたるが︑あ︑又て︑当該
656
の
事 例を列挙する次第である︒
① 形 容 詞 終 止 形 語末のかなシの場合 当該のシのかなに東点のつけちがえの点︵△︶
じく下降調︵e︶である︒
「 アカシ︵上上△︶ ︹赤︺ 高川五オ2
アカシ︵上上△︶ ︹緒︺ 観僧下八五2
ア シ
(平
△︶ ︹醜︺ 観僧下五〇6
アタシ︵上平△︶ ︹他︺ 高二一オ2
アタシ︵○平△︶ ︹他︺ 観仏上三二6
ア ヅクシ︵平上平△︶ ︹茂︺ 法一八ウ2 ア ツ シ
(平
平△︶
ア ツ シ
(上
上△︶
ア ツ シ
(上
上△︶
ア マ シ
(上
上△︶
ア ヤ シ
(平
平△︶
イサキヨシ
ガハシイソク ︵平平上
イタハれ
〔焔︺
〔渥︺
〔月︺
〔甘︺
〔神︺
(上
上 上
上△︶
平平△
︶︹劇︺
△(平 平
上平︶ ︹勢︺ 観法下一3 観僧下八二3 観仏中二西3 鎮11九オ3 観仏下末四〇7
〔清︺ 鎮nニウ3 観僧上八六8 観
僧 八上 三2
の つ い て いるものは︑次の如くである︒これらのシの音調は︵東︶と同
イブカシ︵平平平△︶ ︹呪︺ 観仏中五六6
イヤシ︵平上△︶ ︹桃︺ 観仏上二三8
イヤシ︵平上△︶ ︹搦︺ 高一九ウ5
イヤシ︵平上△︶ ︹得︺ 高一九ウ6
ウスシ︵○○△︶ ︹薄︺ 観僧上二八7
ヰ 平 ウ ヤζζシ︵平平平平△︶ ︹恭︺ 観僧上八4
井 平 ウ ヤ/\シ︵平平○○△︶ ︹恭︺ 観僧上五一3
ウ ル ハ
シ
(平
平平△︶ ︹美︺ 観仏下末二九2 ウ ル ハ
シ
(平
平 平△︶ ︹方︺ 観僧中三〇7
ウルハシ︵平平平△︶ ︹艶︺ 観僧下一〇三ー
ヲソシ︵上x△︶ ︹徐︺ 字一四七6ーソには右肩に単点がある︒ オナジ︵平平△︶ ︹同︺ 観僧下一〇六ー
オホシ︵平平△︶ ︹衆︺ 観僧中六6
オ ホ シ
(平
平△︶ ︹菱︺ 観僧中四一−
カウバシ︵上上上△︶ ︹薫︺ 観僧上五7
カシコシ︵平平平△︶ ︹黙︺ 観仏下末五五ー
カタクナシ︵平上上上△︶ ︹拙︺ 観仏下本七九2
カタシ︵上上△︶ ︹斬︺ 観僧中七九6
カタシ︵上上△︶ ︹難︺ 観僧中一三六4
カタナシ︵上上上△︶ ︹醜︺ 観僧下六〇6・鎮m五七ウー ミ ゜○カマビスシ︵○○平平△︶ ︹脂︺ 観仏中一7
カラシ︵上上△︶ ︹酷︺ 観僧下五六8ー平平上が︑;う︒ °ムキビシ︵平平上︶ ︹華︺ 観僧上四二4
クラシ︵上上△︶ ︹晦︺ 高九六ウー・観僧上一八5
コ シ
(上△︶ ︹滋︺ 鎮n6オ7
コ
ノ
シ コ
ハ シ コヒシ
ヒシ
コ フ
ピ
サ ガ シ サ ガ シ サ
ガ シ
(平平△︶
(平
平△︶
(平
平
△
)
平△(平
○
︶
坪
(平
平△︶
(平
平△︶
(
平
平△︶
ロ ノ ヘ ノ ヘ ロ ロ ロ
岨瞼峻懸慕斡剛
〕 〕 〕 〕 〕 〕 〕
観僧上九四3
色下七ウー
観
僧 上 二3・錆娯m五オー
観法中一〇〇3
字
二五一4
観法上一〇ヒ2
字一西八5
サ ガ シ
(平
平△︶ ︹阻︺ 観法中三八6 サ ガ シ
(平
平△︶︹嶢︺ 字一西八3 サ
ジ
(上
△︶ ︹挾︺観仏下本三63
サ シ
(上△︶ ︹狭︺ 色下四九オー サ シ
(上△︶ ︹窄︺ 観法下六四5 サトシ︵上上△︶ ︹肢︺ 観僧中五五4 サ バなシ︵平平吾△︶︹動︺観僧上八三
シ ゲ シ
(平
平△︶ ︹茸︺ 観僧上=7
シ ゲ シ
(平
平△︶ ︹蕃︺ 観僧上三5
シタシトテヒク︵平平△平上上○︶ ︹摘︺ 観仏下本四七2
シ ハ
・
ユ シ
(平 平 平 平△︶ ︹戯︺ 観僧中四二2 シ ロ シ
(平
○△︶ ︹賠︺ 観仏中九四ー スクナシ︵平平平△︶ ︹勘︺ 観僧下=七5
ス シ
(平△︶ ︹藍︺ 観僧下五八ー ス シ (
平△︶ ︹醸︺ 観僧下五九8 ス シ
(平△︶ ︹酷︺ 観僧下六〇2 ス ボ シ
(上
上△︶ ︹窄︺ 観法下六四5 セ バ
シ
(平 平△︶ ︹映︺ 観法中四一−
658
タカシ
タ・シ
タシ
タシ
タベシ
タベシ
タベシ
タシ
(平
平△︶
(平
平△︶
(平
平△︶
(平
平△︶
(
平
平△︶
(
平
平△︶
(平
平△︶
(
平
平△︶
ロ ノ ヘ ロ ノ ヘ ロ ロ ロ ノ ヘ
テ周殿亘正遅竪敲
〕 〕 〕 〕 〕 〕 〕 〕
チカケシ︵平平平△︶ ︹尤︺
チカシ︵平平△︶ ︹迫︺
シ ムトクス︵去平上︶ ︹利︺
トシ︵平△︶︹走︺ 高四五ウ5
トシ︵平△︶ ︹聡︺ 高四七ウ6
トシ︵平△︶ ︹校︺ 観仏下本五〇6
ト・シ︵○平△︶ ︹標狡︺ 観仏下本一二九7
トシ︵平△︶ ︹信︺ 観法上四八3
トシ︵平△︶ ︹疾︺ 観法下二三4
トモシ︵平平△︶ ︹置︺ 高三四オ3 観僧中五六8観法上九〇8高三ニウ3高四〇ウ4高四五オ5鎮m七﹇ウ5観僧下一〇五7・鎮m=二〇オ5観僧下一〇六3
観仏下末ニニ3
観仏上四九5
観僧上九四3
ナ ガ シ
(平
平△︶ ︹引︺ 観僧中二四5 ナ シ
(平
△︶ ︹末︺ 観仏下末一一三6
カレ ○○
ナ シ
(平
△︶ ︹莫︺ 観僧上二2
ナ シ
(平△︶ ︹蔑︺ 観僧上七四4・鎮m一七ウー ナ シ
(平△︶ ︹欠︺ 観僧中四四8
ナ・シノヲヨヒ︵上上△○○○○︶ ︹無名指︺
ナヲシ︵平平△︶ ︹直︺
ナヲシ︵平平△︶ ︹轟︺
ナ
マグ
サ シ
(平
平 平
平△︶
ネタマシヤ︵平平平△○︶
ハナ
ハ ダ シ
(上 上 上
上△︶
ハナ
ハ ダ シ
(上 上 上
上△︶
シ
ハ
ヤク
ヒトシヒトシ
フカシ △
(平
上平︶
(平
平△︶
(平
平△︶
(平
平△︶
〔早︺
〔色
〔黎︺
寝︺
フクッケシ︵平平平平△︶
フ ル シ
(平 平△︶ ︹奮︺
観…
仏 下 本 三 九4
古向
四 五 オ5・観仏上八四5
観僧下九五7
〔観︵︺ 観僧下三7
〔不分︺ 観仏下末二七2
〔力︺ 観僧上八一−
〔甚︺ 観僧下八二6
観仏中δ08
高六オ7観僧下δ四−
観法上二八5
〔含︵生︺ 観僧下九一6
観僧上四八2
マ サ シ
(平 平△︶ ︹雅︺ 観僧中一三五7 マタシ︵上上△︶ ︹完︺ 観法下五三2
ミニクシ︵平平平△︶ ︹峰︺ 高七七ウ6
ミニクシ︵平平平△︶ ︹醜︺ 観僧下六〇6
ム ナ シ ム ル シ モ ロ シ ヤ ス シ
ム
ヤ ス シ ヤ
ス シ
(上
上△︶
(平
平△︶
(平平△︶
(平
平△︶
○
(○
○△︶
(平
平△︶
ノ ヘ ノ ヘ ロ ダ ノ へ
夷将懐脆藍荒
〕 〕 〕 〕 〕 〕
ヤ ッ ナ シ
(平
W
平△︶︹臣︺
② 形 容 詞 連 体 形 語 末 の かなキの場合
当該のかなキ及びその音便形イに東点のつけちがえの点 シ
ア
ザラケキ
「
ア シキモノ 安 之 岐 毛 能
ウ レ
〜シキ オ
ホイナリ ・ ○
(平
平 平
平△︶
(平 平
△平平︶
(平
平
△
上 平上︶
(平 平 平
平△︶
(平
平
△
○○︶
観僧上八︑
鎮m五〇ウ4
観仏中=一二3
観法中八六3
観法上四六2
観僧下一〇七5
観僧下七五4
e鮮︺ 観僧下二8
〔耶鬼︺ 観僧下四七8
〔邪鬼︺ 和圃一5ウ6
〔呼︺ ﹈局七五ウ3
〔石ネ︺ 観法中一五〇5
ヤ ハ シ
(平
平△︶
ヤ マ シ
(平
平△︶
ヨ シ
(去△︶ ︹克︺
ヨ シ
(平△︶ ︹美︺
ヨ シ
(平
△︶ ︹善︺
ヨ シ
(平△︶ ︹寄︶
ヨ
ハ シ
(平
平△︶ ︹巖︺
ワカシ︵平平△︶ ︹若︺
ワカシ︵平平△︶ ︹幼︺
恵 久 之
(平
平△︶ ︹鹸︺
じ
ハ ヅカシム︵平平平△平︶
〔和︺ 字二二五6
〔関︺ 観法下七九3 観仏下末一七2 観仏下末二九2 観仏下末二九5 観僧下一〇五5
観僧下九四2
観僧上四七5
観僧上九四−
和閲凹一七12オ・圃九55ウ
〔辱︺観法下δ九・﹂
があるものに次の諸例がある︒
キ ○
オ ホイナリ︵平平△○○︶ ︹王︺ 観法中一三5 オ ホキニス︵平平△○○︶ ︹豊︺ 観法上九五4 オ ホキニス︵平平△○○︶ ︹衿︺ 鎮m=三ウ4
(コ
ハ
)クネキ︵○○平平△︶ ︹強紹︺ 観法中二三8
シ ロキモノ︵平平△平○︶ ︹粉︺ 字二二二六3
660
之 路 岐
毛能
(平
平
△
平平︶
多計岐比都︵平平△上平︶
知 比 佐 岐 古 介
(平
平 平
△
平平︶
チピサキタコ︵平平平△平平︶
トキウマ︵平△○○︶ ︹駿馬︺
止
岐宇
万
(平
△ 平平︶ ︹駐馬︺
トキサキ︵平△上上︶ ︹鋒︺
ス コ シキに問題がある︒
〔粉︺
〔壮士︺
和團凹西撃5 和圃.Bオ9
〔石衣︺ 和園・圃卜68ウ7
〔小
鮪魚︺ 観僧下二・.7 観僧中九九−
和岡田七17オ9・圃七16オ8 観
僧上一一六3
フ ルキネ︵平賃△○︶ ︹陳根︺ 観法中四六2
ミジケキヤ︵平平平△去︶ ︹庫搭︺ 観法下6・4
ナイガシロ︵平△平平平︶ ︹無︺ 観仏下末五4 つ ナイカシロ︵平△○○○︶ ︹己︺ 観法上九七−
ス コ
ぐ シキ︵平上平△︶ ︹徴︺ 高二〇ウ7
ス コ
ぐ シキ︵平上平△︶ ︹陵虫︺
ス コ シキ︵平上平△︶ ︹少︺ 観憎下七五3L
観
僧下⁝六1・鎮川九八ウ5
キの点の位置は﹁観智院本﹂の二例は東︑ ︵△︶と認定 するのは︑﹁図書寮本﹂の次の例をよりどころにしてである︒
﹁スコシキ︵平上平東︶ ︹細︺ 図二九八3﹂
ところが︑スコシキにはキに上声点をつけた例が見当らない︒e←●という現象がこの語ではおこらなかったらしい︒キが
独 立 性を失って単語結合の型を形成すれば︑スコシキは○●○・e←○●○○となる︒改編本系諸本の時期に︑結合に至って
い たとみれば︑キの点は低平調標示の平声点と認定される︒結合に至る時期をどうみるかによって︑キの点の認定は動く︒
ワ
(△︶としておく︒
③ サ 変 動 詞 の 場 合
二字
音 語
+ サ 変 動詞Lを除く︶
㈲ 終 止 形 の かなスに東点のつけちがえの点 がついているものに︑次の諸例がある︒
﹁ス︵△︶ ︹爲︺ 観仏下末二九8 トス︵○△︶ ︹将︺ 鎮11二四ウ6
ス︵△︶ ︹爲︺ 観僧下七九6 トス︵○△︶ ︹欲︺ 鎮m六三ウ7
ア ツ シ
(上
上
○ クス Lム ) ︹敦︺ 観僧中五七5 ア マ︒≦平上℃︶㌫周︺鎮川一︑一︒オ5
観
僧 下 六 八6
イサギヨシ︵上上上上○ ︶
〔調︺
つ
トクス︵上平△︶ ︹腕︺ 字パ五4 フコ
ナカウス︵平上平△︶ ︹永︺ 観法下四7 形 容 詞 の 連 用 形 に ス の つ い た 右 の 諸 ぐ ﹁イキス︵平上△︶ ︹嘘︺ 色上六ウ5 フ 例は︑
ワ ウカミス︵上上上△︶ ︹間謀︺ 観法下七七2 古 加 比 須
(上
上 上△︶ ︹猿︺ 和ロ閲凹⁝四25オ7
この五つは︑高く終る名詞にスがついた語である︒
る︒しかし︑曲調が平調化する時期に︑
クルマザキニス︵上上上上上上△︶ ︹環︺ 観僧中八六6
シキ・ヰニス ︵○○○○△︶ ︹︸如︺ 観僧上一六6
シ ナ/\ニス︵○○○○上△︶ ︹品︺ 観仏中︑六3
ニコ・ンス︵平平平平△︶ ︹鞭然︺ 色上四〇ウ2
比 乎加々利迩漬︵平上上上上上△︶︹簑火︺ 和同凹二
また︑東点のつけちがえの点︵△︶で下降調︵e︶
て 認 定 が 動くものに次の例がある︒
クス 平却 ﹁
モテス︵平上△︶ ︹漬︺ 観仏下本三〇7
アクヒノビス︵○○○平平△︶ ︹欠伸︺ 高八ウ3
アクビノビス︵上上平平平△︶ ︹欠伸︺ 観僧中四四8
豆 流 比 漬
(平
平 平△︶ ︹華尾︺ 和﹇闇山七10ウー・圃七10オ2
26
オ3モス︵平△︶ ︹喪︺ 高四五ウ2L
を標示するとも︑平声点で低平調︵○︶を標示するとも︑解釈によっ
単 語 連
続とみればスの点は フコ
ぐ ヨクス︵去平△︶ ︹祥︺ 観法下九8
ヨクス︵去平△︶ ︹剋︺ 観法下西四4
ウ
ヨミス︵去平△︶ ︹好︺ 観仏中四2
つカタムス︵上上平△︶ ︹訪︺ 観法上五四8・鎮n二九オ7 フ芸ご豫○︶︹康︺観法下δ五7﹂
ぐロ ︵△︶︑単語結合とみればスの点は︵平︶となろう︒
サイハヒス︵上上上上△︶ ︹富︺ 観法下五四5
フヒデツス︵上上○△︶ ︹旱︺ 高九六オ2L
スの固有の語調が保存されているとみればスの点は︵△︶と認定され
ス の 下 降 調 の 前 半 の高い部分が︑直前の高平調と同化して︑﹁⁝●︵名詞︶+e︵ス︶