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中学校における運動部活動の意義と運営上の課題
-学校経営上の課題としての指導者の確保について-
The Significance of Athletic Club Activities and Operational Issues
- About securing of leader as problem in school management -
松 井 慎 一 Shinichi MATSUI
Ⅰ.は じ め に
中学校における運動部活動は、教育課程外の位 置付けであるが、生徒たちの健全育成上、極めて 重要な教育活動である。現在、生徒数の減少やそ れに伴う学校規模の縮小化、教員の業務多忙によ る顧問の確保、生徒や保護者のニーズの多様化等、
運動部活動の運営には課題が山積している。この ような状況において、部活動に必要な集団規模や 指導体制を持続的に整えていくためには、一定規 模の地域単位で、その運営を支える体制を構築し ていくことが長期的には不可欠であると考えられ るが、学校は、現在進行中である部活動を適切に 維持し、生徒や保護者の期待に応えていかなけれ ばならない。
これらのことを踏まえ、運動部活動に関するス ポーツ庁及び各教育委員会等の取組を参考にする とともに、東京都内の公立中学校に「運動部活動 に関する調査」を実施し、顧問教員及び部活動指 導員(外部指導員)の課題と対策を重点に研究を 行うこととした。
Ⅱ.研 究 方 法
・都内18区市、37校を対象にした調査の実施
・文献研究
1 調査内容 「運動部活動に関する調査」
(1)生徒数、学級数
(2)教員数、部活動数
(3)顧問教員数、外部指導員数
(4)外部指導員の報酬額等
(5)外部指導員の課題と学校の対策
(6)顧問教員の課題と学校の対策
(7)その他
Ⅲ.研究結果概要
1 各項目の調査結果概要
(1)生徒数、学級数について
今回の調査協力校の内、生徒数及び学級数の最 少は 210 人の 6 学級、最大は生徒数 740 人、学級 数20学級であった。
特別支援学級を設置している学校は 14校あり、
その内最少が1学級、最大は4学級であった。
国士舘大学体育学部(Faculty of Physical Education, Kokushikan University)
THE ANNUAL REPORTS OF HEALTH, PHYSICAL EDUCATION AND SPORT SCIENCE
VOL.38, 97-100, 2019
報告書(体育研究所プロジェクト研究)
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通常学級が 9 学級未満の学校は 6 校、9 学級以 上12学級以下は20校、13学級以上は11校、また、
1~3学年の学級数が同数の学校は16校であった。
(2)教員数、部活動数について
教員数の最少は14人、最大は37人であった。
部活動数については、運動系と文化系に分けて 調査をした。最少だったのは 10部で、3校が該当 し、 いずれも運動系 7 部、 文化系 3 部であった。
最大は 22 部(運動系 11、文化系 11)の学校であ った。運動系と文化系を比較し、運動系の方が多 く開設されている学校は28校、同数が9校で、文 化系の方が多い学校は0であった。
生徒数と部活動数の割合をみると、最少生徒数 の学校で、生徒15人に対し1部活が開設されてお り、最大で45、 6人に対し1部活となっている。
(3)顧問教員数、外部指導員数について
37 校中 19 校において、管理職も含めて全教員 が顧問になっている状況があった。
他の 18 校についても、全教員の内、わずかな 人数を除いて顧問を担っているという状況であっ た。このわずかの中には、管理職や養護教諭も含 まれている。
外部指導員数については、最少は 1人、最大は 20 人であった。 部活動数以上に外部指導員がい る学校は2校。ほぼ同数が4校。その他の学校は、
部活動数の 3 分の 1 以下程度の外部指導員数であ った。
(4)外部指導員の報酬額等について
各自治体により算出基準が異なり、 時給制が 10、回数制が 8であった。時給は 500円から 2,500 円と差が大きく、回数でも 1 回 2,000 円から 5,000 円となっている。また、上限の設定が多く、年間 各校250,000円から1,475,000円までとなっている。
自治体が一律の基準で実施している場合と学校に 一定の裁量を与えている場合があるので一概に比 較はできないが、報酬金額のみで生計を立てるの
は厳しい状況だと考えられる。
(5)外部指導員の課題と学校の対策について ほとんどの学校から課題として挙がったのは人 材の確保であった。また、そのことに関連して予 算(報償費)の不足についても多くの学校が課題 と考えている。
人材を確保するに当たり、各学校では保護者や 地域、卒業生、大学等への協力依頼をしたり、人 材バンクを活用したりしている。スポーツクラブ との連携を図っている学校もあった。予算につい ては上限があることが多く、その範囲内で活動し てもらうように調整している学校が多かった。
指導内容に関わる課題として、体罰や暴言、ハ ラスメントの防止が挙げられており、ほとんどの学 校で研修や管理職との定期面談等を実施している。
(6)顧問教員の課題と学校の対策について このことについての課題は、多岐に渡っていた が、中でも管理職が各教員の業務全般を見渡した 上で、部活動にどのように関わらせるかという点 を課題と捉えていると感じた。先述したように、
ほぼ全教員が部活動顧問を担っている状況におい て、育児や介護等の有無、教材研究や校務分掌、
個別の生徒指導や保護者対応等々、負担過重の防 止や的確な業務の優先順位付けなど、管理職が適 切に対応している様子が見える。
教員の部活動に対する姿勢が二極化していると 回答した学校も多かった。このことについては、
部活動ガイドラインに基づき、複数顧問体制の徹 底など、教員間の共通理解を図っていた。
(7)その他
① 生徒・保護者の要望
活動時間を減らさないでほしいという意見があ る一方、学習面に支障をきたす活動過多に反対す る意見、部活動以外の様々な活動へ参加すること に理解を示してほしいという意見もある。また、
新規部活動の開設に対する要望も多い。
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指導の在り方については、競技に対する専門性 があり、技術指導のできる指導者を求める声が多 い。学校に対する保護者からの苦情や相談として、
試合での起用方法、練習内容に対する意見等も寄 せられている。
② 地域の声
学校の部活動全般を応援してくれている方が多 いが、校庭での部活動を騒音と感じている一部の 近隣住民もいる。
吹奏楽部をはじめ、地域行事への参加要請が多 い。
③ 教職員の現状等
部活動指導に積極的な教員とそうではない教員 とに分かれる。これまで部活動指導を熱心に取り 組んできた教員の中には、部活動のガイドライン に沿った休養日の設定等に不満をもつ者もいる。
管理顧問を引き受ける教員も、外部指導員との 連絡調整や遠征への引率等があり、決して負担が 少ないと感じている訳ではない。
2 考 察
子供たちの健全育成に運動部活動は大変重要な ものである。だからこそ、各学校はその充実のた めに努力しているということが伝わってきた。部 活動への要望も多様化している中、部活動の目標 設定をどうするのか、活動場所をどう確保するの か、活動計画はどうかなど、部活動に費やす労力 は相当であるが、とりわけ質の高い指導者の確保 は大きな課題であることを改めて認識した。また、
外部指導員の報償費が十分でないことが多く、学
校は遠慮がちに人材確保の働きかけをしなければ ならない状況がある。部活動の意義を広く教育関 係者が共有し、学校の負担を少しでも軽減する必 要があると考える。
Ⅳ.ま と め
義務教育の公立中学校が特色を見出すことに神 経を使ったり、学校選択制の導入等により不安定 な生徒数に陥ったりするなど、学校経営が困難さ を増している状況において、中学生の健全育成に 向けて、子供たちが気軽に運動・スポーツに親し む環境として、中学校の運動部活動は、今後もそ のニーズは高いであろうと考える。
今回、各学校に共通する指導者確保の課題につ いて調査し、その厳しさを改めて実感したが、そ れ以外にも運動部活動にはたくさんの課題があ る。今後も、子供たちのスポーツ権の保障という 視点から、運動部活動に対する研究を推進してい きたいと考える。
引用・参考文献
1)「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライ ン」(平成30年3月)
2)中学校学習指導要領解説 保健体育編(平成29年 7月 文部科学省)
3)学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成 29年文部科学省令第4号)
4)「東京都教育委員会 運動部活動の在り方に関する 方針」(平成31年3月 東京都教育委員会)
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