音方向,音距離および音の強さの恒常性と異方性(Ⅱ)
重 永 幸 男
The Constancy and The Anisotropy of Sound Direction, of Acoustic Distance and of Loudness (Ⅱ)
Sachio SHIGENAGA
1の2.音方向の定位を規定する要因としての外聴通・耳介
E.H. Weber(1848〜1851)は音方向の定位に関する最も古い研究を行ったと考えら れている。彼は時計の音は,同時に2音が提示されても知覚でき,また同時に音方向の定 位ができることを述べ,音方向の定位に耳介や鼓膜が最も重要な役割を果していることを 報告した。
彼の弟Ed. Weberによると聴受容器を水中に沈めた場合でも,ある程度外聴道に空 気が残っている条件下では,音源の左右方向の定位は可能である。しかし,外聴道が完全 に水で満たされた場合は音方向の定位は,もはや不可能となる。このことから彼は外聴道 に残った少しの空気がいかに音方向の定位に重要な意味をもつものであるかを述べ,さら に外聴道に少しの空気が残っている場合でも,音方向判断の際,刺激音が右方にあるか,
あるいは左方にあるかの問題は完全に弁別可能であるが,それ以上小さい音方向弁別は不 可能であるとしている。もっともこの音方向の定位の問題は,媒質中の音速度に関係があ り,水中での音速は,空気中でのそれの約4倍であるため,耳軸の方向(真横90。)から の音刺激は,約!5.の方向に定位されていることが明らかになった。
さらに彼は耳介を平たくして頭部にくっつけ両手を聴受容器の前にもっていき,手のひ らを後方に向け,閉眼で丁度耳介を反対方向に取りつけたようにして音方向の定位を試み れば前方にある音刺激は,あたかも後方にあるかのごとく,上方にある音刺激はあたかも 下方にあるかのごとく定位され,まったく逆聴されることを発見した。しかし彼は,たん に,かくのごとき現象をのべただけで,なぜ外聴道がこのように音方向の定位に役割を果 し,錯聴される結果になったかの問題については一切言及していない。
この研究は現象的記述にすぎないがこの考えに対して反論があらわれた。1869年,
SchmiedekamはWeber同様,聴受容器の外聴道に水を入れて音方向の定位に関する実 験を行いWeberとは異なった結果を得て反対の意見を主張した。すなわち彼によると,
たとえ外聴道に空気が残った場合でも,もはや音方向の定位を行うことはできないという。
また,鼓膜より外の部分,すなわち外聴道および耳介が音方向の定位のために決定的役割を 演じるとするGel16(1886)の見解もみるべきものであろう。彼がこのような見解をもつ にいたったのは,Charcotという被験:者の観察に基づいている。この被験者は視力,聴 力および知能は完全な状態であったが,皮膚の感覚をまったく失っていて(aneesthesia)
歩行および平衡をとることはまったく不可能で感覚脱失の状態がきわめてわるく外聴道内
に水を入れても,霧を入れても何の感覚もおこさなかった。この被験者は,音刺激そのも のの知覚はできたが,どちらの方向に音源があるかの問題,すなわち音方向の定位はまっ たく不可能であった。Gellるは,この結果を外聴道および耳介の皮膚感覚を失っているた めと考え,音方向の定位にこれが不可欠であると考えた。
Wundt(1893)も同様な考えをもち,音響領域における方向定位は,間接的なもので あると考えた。すなわち聴覚的印象に関係があるところの,ある要因に基づいて,視覚的,
あるいは触覚的空間に基づいて音方向の定位がなされるものであると考えた。これらの音 方向の定位に最も関連のある要因は,耳殻や鼓膜から感じられる触覚的印象で,それにお そらく鼓室張筋に加えられる感覚が付加されて,音方向の定位がなされ,さらに両耳に与 えられる刺激音の強度差が,音方向の定位を行う際の重要な要因になっているという見解 をもつにいたった。
1896年:Luzzatiは,正中面における音方向の定位の問題を外耳との関係において検討 した。すなわち音響の知覚可能な極限値の決定を正中面上8方向において行った。
上 方
26.2 36.9
後 方22.5
23.4
34.2
27.5
下 方
(1.2.ユ図)
29.9
3L2前 方
(単位はcm)
すなわち上図(1.2.1図)は非常に弱い強度の音刺激に対する知覚可能な領域の形 なのである。Luzzatiはこれを 耳介による音の影 と呼んだ。
1の3.音方向の定位に関する三半規管説
1881年,Labordeは,三半規管が頭や身体の動的平衡を司る器官であることは周知の 事実であるが,この三半規管が音方向知覚に部分的に参与していることに関する示唆を与
えた。
Preyer(1887)は,音定位の三半規管説(semicircular canal theory of sound l。Calizati。n)をその最も典型的な状態まで発展させた。彼は次のごとく音方向の定位に 関して説明した。
魚は蝸牛殻がないにもかかわらず音を聞くことができるし,また外聴道がないにもかか
わらず音方向の定位を行うことができる。これは音方向の定位に三半規管が働き,三半規 管を通じて音刺激は頭の神経組織に伝達されると考えることが正しいと思われる。
また壺腹(ampull∈e)も音方向の定位に重要な役割を演じ,ある特定の方向からの音刺 激はその方向に特性づけられている壼腹神経を刺激するという見解をもっていた。その際 片側にあるすべての壼腹すなわち,3個の壼腹が同じ程度に刺激されることもあろうし,
また3個中の2個が他の1個の壺腹より一層強く影響をうけることもあろう。あるいは,
ただ1個の壺腹のみがとくに強い音刺激をうけることになる場合もあろう。さらに他の片 側にある別の3個の壼腹との結合関係,すなわち左右3個ずつ,都合6個の壼腹神経の結 合関係にもとづいて音方向の定位がなされるとする。すなわちこの考えは,強度差効果が 音方向の定位に最も基本的に貢献していると考えている。強度差説を支持している人々が 考えているような方法を壺腹神経の組合わせに基礎をおいて音方向の定位がなされている ものとする考えである。左右聴受容器に異なった音強度で刺激されれば,これが音方向の 定位の手がかりとなり,左右聴受容器が等しい強度で刺激される場合, これが音源を丁度 正中面にあるものとして決定する手がかりとなるという。
この理論にしたがえば,音方向の定位を行うために最も効果的に参与している要因は音 刺激の強度差であり,これが壺腹神経を媒介として音空間に関する判断を可能としている ことになる。この音方向の定位に関する理論は主としてPreyerによって進められたが,
Arnheiln(1887)もほぼ同様な見解をもっていた。この考えは,音方向の定位に関する三 半規管説と呼ばれるものである。
そして最も注目にあたいすることは,このPreyerの研究が音響領域における方向定位 の異方性に関する基本的問題について言及した最初の論文であるということである。
音方向の定位について,このような考えをもっていたPreyerは,音のヘルメット
(sound helmet)と呼ばれる指示棒のついた帽子を用いて26方向に音刺激を提示して音方 向の定位の恒常性および異方性に関する実験を行ったがその結果は全音刺激の29.4%に正 しい判断がなされ,左右方向の定位の間違いは,上一下,前一問方向の定位の間違いより はるかに少なかった。
さらにこれらの音刺激が右方にあるものとして定位されたものは149回,左方にあるも のとして定位されたものは129回であり,これらの結果は,左右方向の非相称性にも関係 があり,また被験者によって好んで定位がなされる方向があることも認められた。これら の結果は音方向の定位に関する空間規準系にかなりの異方性があることを明らかにした。
彼は音方向の定位の恒常性につき,次のような結論を得た。
a)左右方向を誤って定位することはない。
b)左方または右方にある音刺激を正中面にあるものとして判断することはない。
c)また誤った判断がなされるときにも左右両耳的に生じる強度差が類似するような方 向になされる。
これらの結果から彼は,音方向の定位に関する間違いも彼らの理論に基づけば説明でき ると考えている。すなわち,誤り易い方向からの刺激音に対して引起される壺腹神経に関 する反応は本来あるところがらの刺激音によって引起される。それと大体同じような効果
を引起すものであると考えられるからである。
1の4.音方向の定位に関する三半規管説に対する反論
Von. Kries(1890)は,三半規管が音方向定位を行うとするPreyerおよびArnheim の三半規管説に反対している。
Von. Kriesによると音質の異なった2音刺激が同時に別々の位置から提示される場合 でも正しくその音源の方向定位がなされることから三半規管が音方向定位に決定的役割を 果しているとは考えていない。
たとえば,刺激音として笛の音が一方の受容器側に提示され騒音が反対の受容器側に提 示された場合,これらの三音刺激は正しく定位される。さらに純音と騒音両方とも後方に,
あるいは両方とも前方に,あるいは純音を後方に騒音を前方に提示した場合においても,
彼の実験においては正しく定位された。ただ純音が前方に騒音が後方に提示された実験系 列においてのみ混乱が認められ,両音刺激とも後方にあると判断されるにいたった。
彼は,三半規管に2つの音質を異にした音刺激からの刺激が同時に伝えられるとすれば 2つのエネルギーが混乱して完全な音方向の定位はできなくなるだろうという見解をもつ にいたった。
Breuer(1891)もまたPreyerらの音方向の定位に関する三半規管説に反論を行った。
前述のごとくPreyer(1887)は魚が外聴道や蝸牛殻はないのに音方向の定位を行うの は三半規管の働きに依存していることを報告したがBreuerは魚が本当に音を聴いている かどうかという点で問題があるとしている。そして彼はこの場合,聴覚的感覚というより は,むしろ触覚的感覚によって振動を知覚しているという考えが妥当であるように考えら れることを明らかにし,生理学的見地からいかにして色々な方向から到来する音刺激が,
Preyerらが主張する学説の要求にかなうように三半規管で変化のある種々な興奮を引起 すかという点を問題にしている。すなわち水平方向から到来した音刺激が,なぜ水平方向 の三半規管を,それ以外の方向の三半規管より多く刺激することになるかという問題の説 明をしていないという。
工の5.聾者,下下による音方向の定位の恒常性と異方性
音の強さの恒常性や音定位の恒常性および異方性の研究は,異常耳による現象的研究が きわめて有効である。すなわち聴覚異常に関する特性が明らかになった場合,その異常特 性と現象的知覚結果から,いかなる聴覚異常はいかなる現象が生じるかの問題が明らかに
されその結果を,正常耳による結果と比較することが研究手段として有効であるからであ
る。
Politzer(1876)は片側聾の場合の音方向の定位に関する能力につき研修し,次のごと き見解をもつにいたった。すなわち音源は,完全な聴受容器の方向に定位される傾向があ り音源が聾耳の方向に近づくにつれて次第に判断が不確実なものになる。
FerreeおよびCollins(1911)は,左右受容器の感受性を異にした被験者あるいは片 耳に栓をすることにより感受性を変えた被験者を使って実験を行い次のごとき結論を得た 1)両受容器の音刺激に対する感受性の異なる被験者による音方向の定位は一般的に敏
感な受容器の耳軸の方向になされる傾向がある。
2)片耳の受容器に栓をすることによって作られた両受容器の強度比の変化は一層敏感 な受容器の方に音刺激を定位させる。
3)左右方向の定位に一定の傾向を有する被験者は,その両受容器に適当な強度比をつ
けることによって,左右両受容器の感度を調整し矯正することができる。
また彼らは左右方向定位の異方性につき,聴力の左右等しいものは,平均2.1.右にか たより右耳に聴力の障害がある被験者は,20.30左にかたより,左耳の聴力に障害のある ものは10.7。右にかたよって定位されるという結果を得た。
秋重教授(!932)は完全なる片聾患者は左右,上下方向の音定位はまったく不良なる結 果を示し正確な判断はむしろ不可能であるが患耳に少しでも音刺激がきかれる場合は,両 耳に知覚される音刺激の強さに著しく差異があるにもかかわらず,ほとんど正常な聴力を 有する被験者による結果とかわらないことを明らかにした。
この点についてAnge11およびFite(1901)またStarch(1905)も同様な見解をもっ ている。Ange11およびFiteによると片耳聾になった後の年数が増すにつれて聾者の音 定位の恒常性が高くなるという,すなわち片耳聾になった後の年数1年の被験者は音方向 の定位に関する正答率19.5%,方向誤差角度63.2.であるが14年の被験者は正答率33.3%,
方向誤差角度49.となり,26〜30年の被験者は正答率55%,方向誤差角度27.0.となる。
この年数の経過とともに音方向の定位の恒常性が高くなる現象と類似の現象は,視覚領 域においても認められ秋重教授(1932)の研究によると,左眼の失明後17年を経過した被 験者の恒常値は正常者の両眼視の値と同一,もしくは,むしろ良好な成績を示した。すな わち正常な人間が有し得る程度における良好な恒常現象は両眼視差および両眼輻較という 機能のみでは獲得することができず,それには空間的分節の存在を必要条件とすることが 明らかにされた。
1の6.上,下方向定位におよぼす周波数の影響
「かん高い音」などの言葉を我々は,しばしば耳にするがこの言葉は物理的には,その 音刺激の周波数が高いことを意味し感覚的には音の高さが高いことを意味する。すなわち 音の高さの系列である。しかし,この「高い」「低い」という言葉は空間的な「高さ」を 暗示するような言葉できわめて古い時代から用いられている。外国においてもほぼ同様な 語が対応している。
そこで音刺激の周波数そのものが直接,上下方向の定位に関係を有するか否かの問題が 生 じてくる。もし高い音刺激は常に上方から,反対に低い音刺激は常に下方から聞えるも のとして音方向の定位がなされるとすれば,これは完全な音の上方,下方定位の異方性の 問題となる。
Pratt(1930)は,この音刺激の周波数に基因した「高い」「低い」が空間的高低に何 らかの関係を有していると考え,周波数を異にする音刺激を用いて上下方向定位の実験を 行い次の結果を得た。
1)周波数の高い音刺激は,周波数の低い音刺激よりも空間的に高い位置に定位される。
2)この周波数の高さと空間的高さとの関係が逆になることは,ほとんどみられない。
3)同一人は同一の音刺激を何時も同一位置に定位した。
しかし,その後DimmickおよびGaylord(1934)やTrimble(1934)がPrattが 行ってたとほぼ同一の条件で追試を行ったところDimmickらはまったく否定的結果を 得,Trimmbleは,肯定的結果を得たという。
このようにまったく相反する結果もみられるということについて,その理由を直ちに推 論することは困難であろうが,音刺激として用いられた音質,とくに倍音の多少や,提示
方法,過渡音の問題,その他,音方向の定位の手がかりになるような雑音の発生,さらに 使用された音空間の構造などに根本的問題があるのではないかと思われる。
1の7.音方向の定位を規定する要因としての強度差,時間差,位相差
1875年および1877年にLord Rayleighは音方向の定位に関する見解を明らかにした。
彼は,聴受容器の両耳効果をかなり重要視しており,これが 強度差説 につながる有 力な考えであることは明らかである。
とくに1877年に発表された論文には,かなり強度差説を作りあげる要素が含まれている。
耳軸方向の少し前方に音源が提示されている場合,これとまったく同一の両耳の強度比を 有する場合が耳軸方向の後方に音源が提示された場合にも存在する。
左図(1の7.1図)において被験者はNの N
方向を向いている場合,耳軸の方向(W,E)
NE より前方の点, NE方向に定位される場合は耳 軸方向後方ES方向に定位される場合と強度比
WEが同一であり刺激音の種類についても人声を用
いた場合は正確に方向定位がなされるが,その ES 他の刺激音はそれが正中面前方に提示されてい S るか,後方に提示されているかを判断すること は困難であった。とくに音叉や低い口笛を音刺 (1の7.1図) 激として用いる場合困難であった。この人声を 刺激音として用いた場合,音方向の定位が正確であることについてその音刺激が複合音で あることに原因があるだろうという見解をもっていた。
彼は,次の3点をまとめた。
1)音方向の定位に関してかなりの恒常性が認められ,とくに人声や騒音を刺激音とし て用いた場合音方向の定位の恒常性は高い。
2)正中面前方および正中面後方に提示された音刺激の方向定位は混乱が生じ易い。
3)耳軸の前方または後方に提示された音刺激の方向判断は多かれ少なかれその対称的 位置に誤って定位され易い。
Tarchanoff(1878)もUrbantschitsch(1881)も左右各々の聴受容器に到達する刺激 音の強度(intensity)が同一であるときは,その音刺激は正しく正中面にあるものとし て定位されまた一方の聴受容器に到達する音刺激が他方の聴受容器に到達する音刺激の強 度(intensity)よりも強い場合にはより強い強度を有する音刺激が提示された方向に正 中面からかたよって定位されることを結論とした。
Von. KriesおよびAuerbach(1877)は音方向の定位に関する強度差理論をさらに進 めた。すなわち音方向の定位を規定する条件として両聴受容器に対する音強度の相違が最
も重要であることをのべ,さらに正中面内の音方向の定位が困難であるのは,
a)正中面に音源が提示された場合,左右聴受容器に達する刺激音の強度が等しいため いかなる弁別上の手がかりも得られない。
b)そこには相対的に音強度が等しくなる多くの点があり,そのためこれらが混乱を起 こす点となる。
また,彼らは音方向の定位に関する判断を行う際,次の3つの段階があるとしている。
a)左右両聴受容器により知覚される音強度を評価する。
b)これら2つの音強度の関係を判断する。
c)このことから音源の位置,すなわち音方向の定位に関する結論をくだす。さらに M面sterberg(1889)は正中面前方に音刺激が提示されている場合はきわめて短い距離で
2音であることを弁別でき弁別閾がきわめて小さいが音刺激提示位置が後方に移るにつれ て2音として知覚するために,一層大きい2音の方向差が必要となってくるとの見解をもっ た。この見解は聴空間における2音別弁閾に関する異方性として考えられる。
また,Titchener(1891)は, M伽sterbergの方向定位の実験結果において音刺激の提 示位置の変化に基づき結果が著しく変化すること,すなわち著しい音方向の定位の異方性 が認められることに対して,両耳的強度差や耳介の影響に基礎をおいて理解しようとした。
1930年にTrδgerは,聴覚閾値を示標として聴受容器の刺激音に対する指向特性につ き次のごとき見解をもつにいたった。すなわち音刺激の周波数が高くなるにつれて側前方 に最大感度があらわれる。高音に対する聴受容器の最大感度のあらわれる方向は耳軸の方 向より前方20.である。このため音源が正中面より左右いずれかにかたよると,左右の聴 受容器に到来する音刺激の強度が不同になり,これが音源の方向定位に対する重要な役割 を演じているとする。
SteinbergおよびSnow(1934)も両耳の強度差は,真横すなわち90。方向に音刺激が 提示されている時,強度差が最大になるのではなく,両耳の強度差は60.方向や,120.
方向が最も大きいことを主張した。
換言すれば,強度差のみを考えると早智の方向はむしろ減少するのであるが音方向の定 位に際してはまったくこれが影響されず,高い恒常性が認められる。このことは音方向の 定位を強度差のみで解釈しようとすると困難が生じることを暗示している。
強度差説,時間差説,位相差説の中で時間差説は最も有力となっている。時間差説は,
HornbosterおよびWertheimer(1920)らが瞬間喚音をふたまたに別れた管を使って別々 に左右聴受容器に導き,その管の長さを変えることによって時間差をつけるような装置を 作って実験した結果,両受容器の時間差が,30σσの時にすでに正中面からさきに提示さ れる受容器の側に移動し,時間差が増せばその偏りが大きくなり,その時間差が630σσ になったとき耳軸の方向に定位されたという。630σσの時間差の時,耳軸の方向に定位 されるならそれ以上の時間差の場合,その音定位がいかになるかの問題がおこってくる。
我々の聴受容器の距離と音速の関係で,この値以上大きい時問差がつくことは自然の条 件ではあり得ない。しかし,両氏はこの値をさらに大きくしたところ,知覚される音方向 は真横のままであるが次第に方向感が不明確となり時間差が2σになるともはや1音とし ては聞かれず2音となるという。さらに両氏の結果によると強度差を減じても音定位に変 化はなく,また先行刺激の音強度(SPL)を小さくしても音定位に影響なく左右両受容 器に導かれる音刺激の音強度が一定であっても時間差さえつければその時間差に相当する 方向だけ偏って定位されることから,両氏は強度差説を否定した。
音定位に及ぼす時間差の効果を研究する際,もっとも困難なことは時間差をつけようと する場合多かれ少なかれ位相差もつくということである。したがって古い時代の研究はほ
とんどすべて瞬間導音が音刺激として用いられ,左右両耳に同時に提示されれば正中面に 定位されると考えられていた。またある限界までは正中面からかたよらない。この限界に
ついては実験条件の微少の相違によるものと思われるから諸家の研究結果に相当の差があ る(Klemlnは2σσ, HornbosterとWertheimerは前述のごとく30σσ, Hecht,
Wittmanもまた30σσ, Bennettは1σとする)。
Scripture(1897)は,これまでに明らかになった現象および事象と学説に関して便宜 的に次のごとく総括している。現象は次に示す通りである。
a)一般的に音方向定位は騒音や人声の方が純音より正確になされる。
b)音源が右方にあるか,左方にあるかの問題は正常な聴力を有する個体にとっては普 遍的能力である。すなわち左右の音方向定位の間違いは生じない。
c)正常な聴力を有するものは正中面内に提示されている刺激音と左右いずれか側方に 提示されている刺激音とを区別することができる。
d)単方向定位の誤れる判断が最も多くなされる方向はその音刺激のある方向の対称的 な逆方向である。
e)同時に与えられた位置的に間隔のある2音の各々を分離して定位する能力,また音 質的に異なった音刺激を各々両側に分離して定位する能力がある。
f)正中面前方および後方は音方向定位の能力が最も鋭い,また側方は最も音方向定位 に関する能力が劣っている。
また音方向定位に関する学説には次のごときものがある。すなわち音方向定位がどのよ うな機能に基礎をおいてなされるかの問題について次のごとき見解がある。
a)耳介および鼓膜における触覚的感覚(Weber)。
b)両耳的強度差(強度差説Rayleigh, Von Kries等)。
c)三半規管に関連した過程。
1壷腹神経によるもの(Preyer)。
2三半規管説(M面sterberg)。
d)上記要因の種々なる結合。
1862年のベルリン大学教授Helmholtzの共鳴説は多くの人の批判をあびたが,1900年 になってSchaefer K:. L.はHelmholtzの共鳴説に基礎をおいて主観的結合音に関す る新しい説明を試みた。
このSchaefer K. L.の弟子Hornbostel(1926)は,音方向定位に関する一般的特性 につき次のごとき項目を明らかにした。
1)単方向定位は両耳による方が屍肉の場合より明確である。
2)音方向の定位は楽音や純音よりも雑音の方が明確である。
3)前後,上下方向の音定位はしばしば混同されるが左右は一般に混同されることはな い0
4)音方向の定位は正中面を含む垂直方向ではきわめて明瞭であるが正中面からはなれ るにしたがってその明瞭性がなくなる。
5)同時に種々なる音刺激を定位できる。
6)音方向の知覚は,その音源までの距離とは無関係である。
7)いろいろな条件下では音刺激が頭の中に定位される場合がある。このような場合は 音方向を判断することはきわめて困難である。
第H章.音距離の恒常性
Hの1.音距離の知覚に関する学説
音距離の知覚に何が最も重要な要因として働くかについて,最もはやい時代には,音強 度(intensity)であるという考えであった。
また,音源が運動している時には,それに伴なう音強度の変化によるとも考えられた。
視覚に関してのEssayを書いたBerkeley(1709)は,その46節において「騒音の変 化によって私は四輪馬車の距離の変化を知覚することができる」とのべ,このような意見 がもっと以前にあったように思うとしている。
さて1800年代には,音響距離の知覚に関して2つの理論がある,すなわち,
1)上記のごとききわめて簡単な強度説に基づいて,音距離が知覚されるとする見解。
2)部分音が,音距離の知覚に影響すると考える強度説の変形である。
最初の学説を提案した人は,Steinhauser(1879)で,彼は,音距離の知覚はまったく その音強度に依存しているものであり,その音源の性質がよく知られたものであるならば 評価することができるとのべている。すなわち彼は,「音距離は経験的に知られている音 刺激の絶対的な強度(intensity)と知覚された強さ(loudness)との間の関係から決定さ れるという。このようにして敵の距離は大砲の音の強さによって評価されるし,海の荒れ 具合は,その岩にくだける波の音に基づいて評価することができるとする。たしかに疑い もなく我々は聴覚的な音の強さに基礎をおいて音距離を判断する。これらの理由から音源 自体の解釈を誤まると距離も誤まることがある。
Pierce(1901)は100ヤードの距離で秘せられていた火力エンジンの喋音を,すぐそば にあるラジエーターから発せられるスチームの音として受け入れたことがあるという。
この場合スチームがもれる時に解せられる音強度が大体その距離にある火力エンジンに よって発せられるそれと等しいのである。音源の性質と音の距離が知られている場合はこ のような思い違いはおこらない。
後者2)の見解をもつ場合は,次のような場合である。すなわち,音距離の知覚に際し て,音強度以外の何かが参与しているということである。
オーストリアの物理学者Mach(1864〜1865)はすべての音響の音色は,その上音の 存在にまったく依存しており,その音色は明らかに音刺激の強度の程度に条件づけられる ものであるという。すなわち音強度が増されたとき,感覚的には低い部分音が相対的に優 勢となり,また反対に音強度が弱くなると高音の部分音が優勢となる。このようにして音 強度の変化は音色の変化となり,音色の変化は音距離の変化の基準となるという。Mach はこれを聴覚的遠近法であるという。彼は基音の上に人工的に上音を付加するとその音刺 激は近い距離にあるように知覚されるという。
Grinwis(1877)も部分音の相対的強度を問題として,音色は音距離の変化に基づいて 変化すると考えた。
また,Thompson(1882)も音距離の知覚について,「音距離の知覚は音響的パララッ クスにより助けられる」とのべた。すなわち,両受容器から音源までの方向線を考えこれ が音距離の知覚を一層容易にするとの見解をもつにいたった。
これらのことから音距離の知覚は,音強度と音色すなわち音質の変化に基づいている。
また,正しい音距離の認知をするためには,音響に関する知識が豊富であり,音響その ものをよく知っていることが重要となる。これらの条件が満たされれば,ある程度正確に 音源までの距離を知覚することができる。
Bloch(1893)は音色を異にする音刺激を用いて距離判断をさせると,音刺激の提示位 置が遠い場合は柔かい音色のものは,そうでないものより遠くに定位されるが,音刺激の 提示距離が近い場合は,音色の相違による距離知覚の混同は起らないとし,さらに,刺激 型それ自体の絶対強度は,判断される距離に直接関係がなく,部分音の強さの全体の刺激 音の強さに対する割合が大切であるという見解をもっている。しかし,Pierce(1901)に よると一般的に音強度(音圧)の強い音刺激は,音強度の弱い音刺激よりも近くに聞える 傾向が認められた。また周波数の異なる音刺激の場合は,高音,すなわち周波数の高い音 刺激の方が低音,すなわち周波数の低い音刺激よりも近く定位され,音色は充実した方が,
そうでない刺激音よりも近くに定位される。すなわちPierceの意見はMach(1864)の 意見とは逆である。
音空間の構造,音強度,刺激音の位相,波形,残響の多少等が音の強さや音距離の知覚 等に関係している。音の強弱がいかなる時に音の強さ(10udness)として知覚され,また いかなるとき刺激音の遠近として知覚されるかの問題は,きわめて困難な問題であり今後 の研究にまたねばならない点が多い。
Von Hornboste1(1923.1926)は,音距離の知覚に関して次の項目をまとめている。
1)知らない音刺激の距離判断は不正確である。
2)音距離は音の強さや音色によって知覚する。
3)音源が近くにある場合,距離の相違は明瞭であるが音源が遠方にある場合,不明瞭 である。耳軸の中点から1.57π以内では,音距離をとり違えることはない。
4)音刺激の距離知覚は,単費で判断するよりも両耳で判断する方が正しい。しかし,
単耳でもそれ程著しくは変わらない。
5)音距離の知覚の正確さは,刺激音の種類により異なり純音や楽音よりも燥音の方が 判断は正確である。
6)正中面の距離知覚は耳軸の方向のそれより正確である。
7)同時に2つ以上の音刺激の距離知覚が可能である。
8)両受容器に両耳差なしに,別々に刺激音を導いた場合はとくに音強度が大でない限 り正中面1↑π〜1.5郷位の位置にあるものとして定位される。
Hの2.音距離の知覚に関する実験的研究
音距離の判断の手がかりとして音強度,(intensity)を考えた研究者に古くはSteinhauser
(1879),Von. Kries(1890),松本(1897)さらに,1990年代になってハーバード大学教 授Pierce(1901), Gamble(1909)らがいる。また音距離の判断の手がかりとして部分 音(音色)を考えた研究者にオーストリアの物理学者Mach(1864.1865), Grinwis(1 877),Thompson(1882), Bloch(1893)らがいる。
Starchは1909年に, Wernerは,1992年に,刺激音としてハンマーの音を,前方,側 方,後方に提示して,音距離知覚に関する実験を行なったが,その場合,使用された音空 間の具節性の相違のためか,両者の実験結果は著しく異なっている。
ミシガン大学教授WightmanおよびFirestone(1930)は位相差,振幅差ともに調整
可能な256Hzの純音を用いて現象的音源の距離や音方向に関する知覚につき研究を行った。
音源が数7π以内に提示される場合,音距離が変化すると位相差も振幅差も変化する。した がって,両耳に,これらの差をつけることにより,音距離の変化の知覚が可能になるはず であるが,人工的に,これらの差をつけて,観察させたところ,位相差の変化に基づき,
音方向の変化を認めたものは,8人の被験者中3人であったが,これもかなり不明確であっ た。また,被験者全員は,振幅差に基づいて方向判断の変化を認知したが,しかしこれら 位相差や振幅差の相違に基づき,音距離の相違を認めることができた被験者は皆無であっ
た。
この結果につきWightmanおよびFirestoneは,「被験者達は,振幅比の変化に基づ いて,音源の距離を知ることができなかったが,音源の距離は,通常音源自体の強度
(intensity)を知ることと,観察点における音の強さ(loudness)によって判断されるも のであり,現象的音源の方向は,ほとんどの被験者が振幅比を変えることによって変化し たが,このことは彼らが音方向の判断をするときに少なくとも振幅比を手がかりにするこ とに慣れていることによる」とのべている。
Wertheilnerとともに音の方向定位に関する時間差説をのべたVon. H:ornbostel(192 3)は,音刺激が頭に近づけば近づくほど頭の陰の効果が大となる。したがって,音刺激 が頭から遠くなり,頭の陰の効果がなくなるにつれて音距離の知覚に関する能力が急に減 退する。また,音距離の知覚は音刺激の性質が複雑になればなるほどよくなる。このこと は音方向定位に関してもいえることである。音刺激が遠方にあるほど音質は単純になるた め強度差および音色差が距離知覚を可能にする。わずかな音色の変化でも現象的距離を知 覚するに十分であるなどの問題を明らかにした。さらに1926年にHornbostelは,強度
と音色が音距離の知覚に参与すると考え次のごとき結論を得た。
物理的には強度と波形の2つの要因が音源の距離の変化とともに変わる。したがってこ れらの一方,または両方が両耳の距離知覚の根本的要因と考えられる。
すなわち,音源の客観的距離の変化とともにこれら強度や波形がともに変化する。また 遠くの強い音刺激は近くにある弱い音刺激と現象的には等しい。音の強さ(loudness)の 変化を距離の変化として取違えることが多い。
ハーバード大学教授B6k6sy(1949)は音響堂内でオーケストラを見聞する場合1階の 後部座席で聞く場合と,同一距離にある2階バルコニー上部座席で聞く場合とでは現象的 大きさは視覚的にもまた聴覚的にもまったく異なっていることを見出し,6000Hzの音刺 激を正中面,上下方向,耳軸の中点から3.57πの距離に提示して現象的音距離を求めたと
ころ,上方,下方では現象的音距離が遠くなった。また,無響室内で被験者がトロッコに 乗り,一定の強度で話している話者から次第に離れる際の音距離の判断を求めるという実 験系列の結果は,話者から被験者までの距離が2〜3?π以内ならば,現象的音距離は,客 観的音距離と一致するが,客観的音距離がさらに増大すると現象的音距離はその割には増 大せず次第に過小視されついに限界に至る。この主観的限界は,被験者により差があり,
訓練されていない被験者はこの限界が近くにあり,1祝以内の場合もあることを見出した。
この主観的音距離の限界が存在するという事実は注目すべきことがらである。
Coleman(1962)は,耳慣れない音を刺激音として音距離の定位に関する実験を行なっ た。被験者の正中面前方には同一種類の数字をつけられた14個のスピーカーが提示されて
いる。各々のスピーカーの間隔は2ftであり,被験者に最も近いスピーカーは5ftの所に 提示されている。被験者とスピーカーは土地の反響による手がかりを取り除くために地表 面からあげられた。実験音場は屋外で雪におおわれ氷結した湖上が選ばれた。使用された 音刺激はスピーカー前方lftで65dBの広帯域白色騒音であり,提示時間は1秒であった。
20人の被験者は,5人ずつ4つのグループに分けられ各被験者は100回の音刺激提示を うけ,スピーカーに取りつけられた番号を報告することにより音距離知覚の判断を行う。
音刺激提示用スピーカーとして実際に作動したのは中央部のただ10個のスピーカーで,各 スピーカーがユ0回の音刺激提示をした。
各グループに対してそれぞれ前もって特定のスピーカーが定められており,その定めら れた特定のスピーカーにより提示される音刺激に対する音響距離の判断のみが処理される。
すなわち,第ユグループに対しては9日目の距離にあるスピーカーが,第2グループに対し ては15ftのスピーカーが,第3グループに対しては21ftのスピーカーが,第4グループに 対しては27ftのスピーカーが,それぞれ前もって定められた特定のスピーカーで,この特 定のスピーカーによって音刺激が提示されるのは!00試行中第1回目,第ll回目および第 100回目である。その他の試行の場合は,アットランダムに,他のスピーカー(特定のス
ピーカー以外のスピーカー)により刺激音が提示される。
その結果は,第1回目の音距離判断は音刺激の強度や音質が耳慣れていないためきわめ て判断は困難であったが,一般的に客観的距離よりはるかに近いところにあるものとして 距離定位がなされた。グループ1の提示距離は9ftであったが,このグループは比較的誤 差が少なかった。しかし,音提示距離の遠いグループほど近い距離にあるものとして判断 した。第ll回目の距離判断の結果は一層正確になり,その誤差は0に近づいたが過小評価 される傾向がなおも認められた。第100回目の提示の結果は,さらに一層誤差の数は少な くなったが過小評価される傾向はなおも残った。
NHK技術研究所の黒木博士は,音距離の知覚は両耳的時間差に基づくものというより 音強度や音色の変化および残響の程度によることを主張し,ラジオ劇における左右の運動
(方向)の知覚は認知できないが,音距離の変化は知覚できる現象はこのことをよく物語っ ているという。正中面上の音距離の知覚には,両耳的時間差,強度差,位相差等は有効な 手がかりにならない。したがって,正中面上の音距離,上下方向の変化の知覚は,その音 空間内に生じる定在波の変化の知覚に関係があると思われる。
佐藤(1960)らは,室内の定在波に関する物理的研究を行った。
重永(1965)は,音空間の構造と音距離の知覚との間にいかなる関係があるかを明らか にする目的をもって,音刺激として話し言葉を用いて実験を施行した。音刺激の提示位置 は,被験者の耳軸の中点の位置から標準刺激80cπ,比較刺激は1η,2?π,3?π,4糀お よび4.5椛の5種類である。これらの音刺激提示用スピーカーの提示位置に関する視覚的 手がかりを与えないようにするために被験者の前方に薄いカーテンがひかれた。実験方法 は最初標準刺激3.9秒を提示し,被験者にこれが標準距離800皿であることを知らせ,1.9秒 の休止のあと比較刺激をアットランダムに組合せて提示し,閉眼した被験者から現象的距 離を求める。標準刺激として使用された音刺激は,スピーカー前方30㎝の位置において86 dB(SPL)であるが,被験者の耳軸の中点の位置においては80dBに減衰する。比較刺 激として用いられたスピーカーもまた,その前方300皿において86dB(SPL)である。
使用された音空間は3種,すなわち,残響時問0.06秒以下のR1,残響時間0.91秒のR、,
さらに屋上広場R、である。
実験の結果,音空間の構造の相違は,音距離知覚の恒常性の決定的要因であることが判 明した。R1内,1?πに提示された音刺激の距離判断は物理的位置に大変近いものであり,
判断された現象的距離は1.09ηであった。提示距離が一層遠くなると物理的距離よりも一 層近いものとして判断される。すなわち過小評価される(提示距離2祝のとき,現象的距
離1.617π:3ηz,2.177π:47π, 2.707π:4.5↑π, 2.98?π)o
この事実はB6k6sy(1949)の結果と一致する。日常音空間に近いR、においては,近距 離に音刺激が提示された場合,物理的距離よりも一層遠くにあるものとして判断されるが
(提示距離17πのとき判断距離1.467π),音刺激の提示位置が遠方になるにつれて現象的距 離は物理的距離に近づくことが明らかになった(提示距離27πのとき現象的距離2.407π:
3η↓, 3.36?π: 47π, 4.1ητ:4.5ητ, 4.61?π)o
さらに,戸外屋上広場における結果は,R1における結果とR,における結果との中間的 結果となり,音刺激提示距離が近距離の場合は,RI内において得られた結果と類似して いるが(提示距離17πのとき,判断距離1.17π)音刺激が遠方に提示されるときRl内で得 られた結果ほど過小評価されることはない(提示距離2?πのとき現象的距離1.69糀:3皿,
2.64?π:4糀,3.55?π:4.5糀,4.00?π)。これらの実験結果において,距離,音空間およ び距離と音空間との交互作用は,いずれも1%以下の危険率で有意の差が認められた。
以上の事実から,音距離の知覚の恒常性に音空間の具節性が主要な役割を演じていると いう結論をくだすことができる。