( 4 3)
原著 :秋 田大学医学部保健学科紀要
1 1 ( 2 ):1 4 1‑1 4 5 ,2 0 0 3
患者会 に所属す る脳血管障害患者の役割意識 と統制感 との関連
石 井 良 和 石 井 奈智子 湯 浅 孝 男
要 ヒl∃=J
作業療法 にとって患者 の役割 に関連す る課題や活動 を提供す ることは,その課題や活動が 「やれそ う」か どうか と い う統制感 とともに,作業療法の成果 を左右す る重要 な観点である.本研究では,脳血管障害の既往 を もつ患者会へ の参加者 に対 して,
Oakl e y
らの作成 した役割 チェック リス トと鎌原 らの開発 したLOC
尺度を用 いて役割 の認識 的 側面 に関す る特徴を調査 した.結果 は勤労者, ボランテ ィア, そ して家庭維持者 の各役割 と, 自分の人生 を自分で決 定 してい るとい う自己決定感や, 自分 自身で決定 した方が良 い結果が得 られ るとい う方略 に関す る内容 のLOC
項 目 群 との間 に相関が認 め られた. これ らの役割再獲得を目標 にす る場合の作業療法では, このLOC
的特徴を経験で きるよ うに配慮すべ きことが示唆 された.
Ⅰ. は じめに
一 日の生活時間の中でわれわれが役割行動 と呼ぶ も のに費やす時間 はかな りの部分 を占める.一度,習慣 化 され るとあまり意識す ることな く行 っているもので あるが,何 らかの障害 を もっ と改めて意識的に行わな ければ獲得が困難 な もので もある. そ うした場面 に立 ち会 い,援助す る職種 と しての作業療法士であっても,
「何か役割 を もたせよ う」 として技能 を発揮 させ る こ とを強調 したアプローチに終始す る場合がある.本人 を取 り巻 く社会が抱 く役割 のイメージや本人が もっ役 割 のイメー ジを把握 し, その活動 を遂行す ることが上 記 のイメー ジに結 びっ くことがなければ役割行動 とし
ての作業が遂行 され るとは限 らず,結果 として作業療 法 の成否 に も関わ るテーマである.
吉川 ら1)は作業療法 に関す る文献 に著 された作業療 法 における役割概念 を検討 し,役割 には社会や集団の 中での位置のイメージとい う認識的側面 と,役割を果 たすために必要 な具体的な課題や活動 とい う作業的側 面 があることを示 した. そ して,作業療法で役割 を評 価 した り,役割獲得 を目標 に実践す る場合 には,役割 の認識的側面 に加 えて,作業の意味や目的を含む役割
の作業的側面 をよ り深 く考慮す ることが重要 と述 べて お り,役割の作業的側面 に注 目す ることによって,対 象者本人 にとって意味があ り,社会的に も承認 された 作業遂行者 とい う新 たな役割概念,つ まり認識的側面 を創造 してい くことがで きるとしている.
作業療法の治療的発想 は病院内に限局 され るもので はな く,む しろ退院後 の家庭や地域 で こそ展開 され る 可能性がある.現実的社会の中での課題遂行 の方 が重 要 な意味合 いを持っ ことが多 く,認識的側面への影響 も大 きいと考え られ るか らである.本研究で は,脳血 管障害 (以下,
CVA)
の既往を もちなが ら患者会 とい う活動を通 して社会参加 を している人たちの役割 と 認識的側面を代表す るもの としての
Locusofc ont r ol
(統制の所在,以下
LOC)
との関係 を調査 す る目的 で実施 した. ちなみに,LOC
概念 は,Rot t e r 2 )
が人 間が一般 に自分 自身の行動 と強化の生起が随伴 してお り,強化の統制が可能 であるとい う信念 を もっている か どうかが,行動 を予測す る上で重要 な人格変数 と考 えた ことに由来す る.外的統制 タイプの人 は,行動 と 強化の生起が随伴 しないと認識す る傾向,すなわち, 課題が難 しす ぎるとか,能力がない と考えやすいため秋 田大学 医学部保健学科作業療法学専攻
Ke yWor ds :
役割 チェ ック リス トLo c usofc ont r ol
作業療法表
1 LOC
お よび各役割 の得 点平均値 と標準偏差健常群 患者会
p
値LOCI
:あなたは,何でも,な りゆきにまかせ るのが一番だ と思いますか.3. 37
j=1 . 03 3. 53±1 . 1 3 0. 58 6 LOC2 :
あなたは,努力すれば,立派な人間になれると思いますか.3. 34±0. 97 3. 27±1 . 1 6 0. 854 LOC3 :
あなたは,一生懸命話せ ば,誰 にでも,わかってもらえると思いますか.3. 1 6±0. 9 5 3. 60±0. 91 0. 11 9 LOC4 :
あなたは, 自分の人生を,自分 自身で決定 していると思いますか.3. 34±0. 8 5 3. 60±0. 91 0. 252 LOC5 :
あなたの人生は,運命によって決め られていると思いますか.3. 08
±1 . 00 3. 33±1 . 2 3 0. 37 9 LOC6 :
あなたが幸福になるか不幸になるかは,偶然 によって決まると思いますか.3. 08±1 . 0 0 3. 47±1 . 1 9 0. 244
LOC7:
あなたは;自分の身 に起こることは自分の置かれている乗境によって決定さ3. 3. 3. 45±1 1 1 8±0. 6±0. . 01 9 9 2 6 3. 3. 3. 07± 33±0. 53±0.
1.99 9
10 8 0. 0. 0. 839 81 569 5
れていると思いますか.LOC8
:あなたは,どんなに努力 して も,友人の本 当の気持ちを理解することはでき ないものだ と思いますか.LOC9 :
あなたの人生は,ギャンブル のようなものだ と思いますか.L
OC1 0
:あなたが将来何になるかについて考えることは,役に立つ と思いますか.3. 55±0. 83 3. 40±1 . 24 0. 97 3 LOCl l:
あなたは,努力すれば, どんなことでも自分の力でできると思いますか.2. 74±0. 98 2. 40±0. 91 0. 21 1
LOC1 2
:あなたは,たいていの場合,自分 自身で決断 した方が良い結果 を生む と思い3. 3. 29±0. 76±0, 68 84 3. 3. 00±1 80±0. . 20 56 0. 0. 41 881 0
ますか.LOC1 3
:あなたが幸福 になるか不幸になるかは,あなたの努力次第だと思いますか.LOC1 4
:あなたは,自分の一生を思い通 りに生きることができると思いますか.2. 1 6±0. 64 2. 60±0. 83 0. 05 3
LOC1 5
:あなたの将来は,運やチャンスによって決まると思いますか.3. 00±0. 9 0 3. 53±0. 99 0. 07 8
LOC1 6
:あなたは,自分の身に起 こることを自分の力ではどうすることもできない と3. 3. 05±0. 1 3±0. 91 96 3. 4. 27±1 00±0. . 54 1 0 0. 0. 469 001
**思いますか.
LOC
1 7
:あなたは,努力すれば誰 とで も友人になれると思いますか.LOC1 8
:あなたが努力するか どうか と,あなたが成功す るか どうか とは,あま り関係3. 57. 45±0. 29±5. 89 48 3. 59. 07±1 80±4. . 03 07 0. 0. 22 1 3 5 6
がない と思いますか.LOC
合計CLl 25. 29±2. 88 25. 80±2. 70 0. 81 9
CL2 1 9. 82±3. 1 7 20. 67±2. 85 0. 51 9
CL3 1 2. 1 8±2. 36 1 3. 33
±1 . 72 0. 141
役割1 :勤労者3. 82±1 . 5 4 2. 1 5
±1 . 8 2 0. 009
★ ★役割
2:
ボランテ ィア2. 29±1 . 2 3 2. 46
±1 . 51 0. 804
役割3:養育者 3. 1 1±1 . 33 2. 69±1 . 3 8 0, 31 1
役割4 :
家庭維持者3. 47±1 . 1 3 3. 69±0. 8 6 0. 57 3
役割
5
:友人2. 92±1 . 05 3. 1 5±0. 99 0. 399
役割
6
:家族の一員3. 47±0. 98 3. 25
±1 . 1 4 0. 507
役割7 :
宗教‑の参加者3. 24±1 . 2 6 2. 77±1 . 2 4 0. 238
役割8
:趣味人/アマチュア2. 95±1 . 31 2. 77±1 . 1 7 0. 583 CL
l :自分の人生を自分で決定 してい るとい う自己決定感や,自分 自身で決定 した方が良い結果が得 られ るとい う方略に関するもの‑項 目番号 :
1
,4
,5, 1 0, 1 2, 1 4, 1 6, 1 8
CL2 :
主に環境や運の効果,及び努力の効果に関するもの‑項 目番号 :2
,6
,7
,9, 1 3, 1 5
CL3
:努力万能主義,特に友人関係 において努力することの効果に関するもの‑項 目番号 :3
,8 ,
ll , 1 7
に, そ の 行 動 に取 り組 ま な い可 能 性 が 予 測 さ れ る. ま た , 逆 に 内 的 統 制 タ イ プ の 人 は, 行 動 と強 化 の生 起 が 随 伴 す る と認 識 す る傾 向 が あ る た め, そ の 行 動 に取 り 組 む 可 能 性 が 高 くな る と予 測 さ れ る. この こ と は作 業 療 法 に お け る作 業 活 動 へ の取 り組 み や ,
ADL
を始 め と して , 役 割 行 動 や 役 割 の 再 獲 得 に 際 して も影 響 を 及 ぼ す もの と考 え られ る.Ⅱ.方 法 対 象
対 象 は秋 田市 内 のN病 院 にCVAで 入 院 し, 退 院 後 に 患 者 会 活 動 に 参 加 し て い る 男 性
1 5
名 (平均年 齢6 4 . 0 0±9
.1歳 , 発 症 か らの 経 過 期 間1 4 7 . 7±7 9
.4 1
ケ月)と し た . ま た , 統 制 群 は 健 常 男 性
3 8
名 (平 均年 齢6 5 . 2 4±8 . 6
歳 ) と した.手続 き
Oakl e y
ら3)
が 作 成 した 役 割 チ ェ ッ ク リス トの 日本 語 訳 版 か ら学 生 の 役 割 を省 き, 内 容 を 若 干 修 正 し, 全 くや っ て い な い (1
点 ), た ま に しか や っ て い な い(2
点 ), 時 々 や って い る(3
点 ), や って い る(4
点 ), よ くや って い る(5
点 ) の5
段 階 で 記 入 して も ら う様 式 と した. な お, 具 体 的 な 役 割 の 内 容 は以 下 の 通 りで あ る.役 割
1
:勤 労 者 ・‑仕 事 (ア ル バ イ トや パ ー トタ イ ム) を して 給 料 を も ら って い る, あ る い は農 業 や 漁 業 の 仕石井良和/患者会に所属する脳血管障害患者の役割意識 と統制感 との関連
表
2 LOC
合計および各クラスターと各役割における相関係数 (rs)LOC
合計CL1 CL2 CL3
健 常群 患者会 健常群 患者会 健常群 患者会 健常群 患者会
役割
1 0. 07 0. 31 0. 1 7 0. 69
★ ★‑ 0. 1 4 ‑ 0. 40 0. 01 0. 0 6
役割2 0. 09 0. 5 0 ‑ 0. 0 2 0. 65 ★ 0. 1 7 0. 0 0 0. 0 4 ‑ 0. 1 5
役割3 0. 02 0. 51 0. 08 0. 5 0 ‑ 0. 2 2 0. 1 8 0. 20 0. 01
役割4 0. 01 0. 5 8★ ‑ 0. 07 0. 7 0 ★ ★ ‑ 0. 1 0 0. 03 0. 21 ‑ 0. 01
役割5 0. 04 0. 4 8 0. 0 2 0. 3 9 0. 29 0. l l ‑ 0. 1 5 0. 1 4
役割6 0. 1 9 0. 2 0 0. 3 0 0. 31 ‑ 0. 0 6 ‑ 0. 2 0 0. l l 0. 1 7
役割7 ‑ 0. 1 0 0. 1 5 ‑ 0. 2 4 0. 0 4 ‑ 0. 2 9 0. 2 2 0. 3 8 ★ 0. 03
役割8 0. 0 4 ‑ 0. 2 4 0. 05 ‑ 0. 0 2 0. 03 0. 02 ‑ 0. 02 ‑ 0. 3 7
★ p<0. 05 …p<0. 01
( 4 5)
事 を している.
役割
2
:ボ ランテ ィア‑学校や地域, あるいは政治活 動 などに対 して,ボランティア (無料奉仕活動)を行 っ ている.役割
3
:養育者‑家族 あるいは友人 などの世話 を した り面倒 をみた りしている.役割
4
:家庭維持者‑家の掃除や庭仕事 などを一人で 行 った り,手伝 った りしている.役割
5
:友人‑友達 と何かを して,一緒 に時間を過 ご す.役割
6
:家族 の一員‑家族 と一緒 に何かをや って,時 間を過 ご す.役割
7
:宗教 への参加者‑お墓参 りや自分 の信 じる宗 教団体 の活動 へ参加 している.役割
8
:趣味人/ アマチュア‑裁縫,楽器の演奏,木 工, スポーツ,観劇, クラブへの参加 など,趣味に関 す る活動 を行 っている.役割
9
:組織への参加者‑政治団体,主婦連,生協, 農協 などの組織 に参加 している.LOC
尺度 は鎌原 ら4 )
の開発 した もの を, ま った く そ う思 わない (1
点), そ う思 わない(2
点), どち ら で もない(3
点), そ う思 う(4
点),非常 にそ う思 う(5
点) の5
段階で記入 して もらう様式 に改変 した.質問文 は
1 8
項 目あ り,得点範囲 は1 8
点か ら9 0
点で,高 得点 ほど内的統制 タイプと考え られる.分析 にあた っ て は合計得点 と各尺度項 目および鎌原 らが行 ったLO C
の年齢的変化 に関す る研究5)
で示 され た3
つ の ク ラ スターを用 いた. クラスタ‑1
(以下,CLl)
に属 す る項 目内容 は, 自分 の人生 を自分で決定 していると い う自己決定感や, 自分 自身で決定 した方が良 い結果 が得 られ る とい う方 略 に関す る もの, クラス ター2
(以下,CL2)
は,主 に環境や運 の効 果, 及 び努力の効果 に関す るものであ り, クラスタ・
‑3
(以下,C L3)
は,努力万能主義,特 に友人関係 において努力 す ることの効果 に関す る項 目である.役割 チェック リス トと
LOC
尺度 をア ンケー ト形式 で,患者会群 には本研究の趣 旨を説 明 し承諾 を得 た後 に記入 して もらった. また,統制群 と しては本学作業 療法学科学生 の家族 を中心 に5 5
歳以上 の方 に回答 してもらった.
統計処理 は
Ma nn‑ Whi t ne y
のU
検定 とS pe a r ma n
の順位相関係数を用 いた.
Ⅲ.結 果
両群 における
LOC
および各役割 の得点結果 は表1
に示す とお りである.LOC
で は合計得点およびCL 1
,CL2
,CL3
ともに有意差を示 したものはなかっ たが,LOC1 7
(あなたは,努力すれば誰 とで も友人 になれ ると思 いますか) においてのみ,患者会群 (平 均得点4. 0 0±0. 5 4 )
と健常群 (平均 得 点3
.1 3±0. 9
1) との間 に有意差が認 め られた( p‑0. 0
01). また, 役 割 においては役割1
(勤労者)で患者会群 (平均得点2
.1 5±1 . 8 2 )
と健常群 (平均得点3. 8 2
士1 . 5 4 )
との間に有意差が認 め られた
( p‑0. 0 0 9 ) .
役割 と
LOC
との間の相関係数 は表2
の通 りである.患者会群では役割
1
とCL
lとの間 にr s‑0. 6 9 ( p<
0. 0
1),役割2
とCL
lとの間 にr s‑0. 6 5 ( p<0. 0 5 )
, 役割4
とCL
lお よびLOC
合計 との問 にそれ ぞれr s‑0. 7 0( p<0. 0
1) とr s‑0. 5 8 ( p<0. 0 5 )
の相 関 を 示 した. また, 健常群 で は役割7
とCL3
との間 にr s‑0. 3 8( p<0. 0 5 )
の有意な相関を示 した.役割 と
LOC
各尺度項 目間で有意 な相関を示 した も のを表3(患者会群) と表4(健常群) にまとめた.表
3
患者会群において役割とLOC各尺度項目間で有意な相関をしめしたもの 役割l LOC1 3
(・ 0. 5 9)
役割
2 LOC9 ( ・ 0. 5 6)
役割3 LOC1 8 ( 0. 5 8)
役割
4 LOCI O ( 0. 74)
,LOC1 3 ( ・ 0. 81 )
役割5
役割
6 LOCl
l( 0. 81 )
,LOC1 2 ( 0. 75)
, 役割7
役割
8 LOC2
(0. 5
6) 役割9 LOCI O
(0. 72)
( )はスピアマンの相関係数
r s
表
4
健常群において役割とLOC各尺度項目間で有意な相関を示 したもの 役割1 LOCl ( ・ 0. 38)
役割
2 LOC1 8
(・ 0. 33)
役割
3 LOCI O ( 0. 3 9)
,LOC17 ( 0. 3 6)
役割4
役割
5
役割
6 LOC1 5 ( ・ 0. 33)
役割
7 LOC3 ( 0. 33)
,LOC5 ( ・ 0. 3 2)
,LOC6
(・ 0. 32)
,LOC7 ( ・ 0. 34)
,LOCl l ( 0. 33)
,LOC14 ( 0. 33
),LOC1 7 ( 0. 42)
役割
8
役割
9 LOr CI O ( 0. 59
).LOCl l( 0. 3 9
).LOC1 5 ( ・ 0. 3 6)
( )はスピアマンの相関係数r
s
Ⅳ.
考 察患者会 とい う集団特性
水口
6)
によれば,LOC
は統制感 とい う観 点 か ら独 立変数 と しての指標 に もな りうると紹介 されているが, 患者会 にお けるLOC1 7
の得点が有意 に高か ったの は 患者会が仲 間集団 と認識 されているためと考え られる.これ は患者会 の活動 に参加す ることで,新 たに友人 が で きた とい う経験 に由来 す るもの と考 え られ る.
作業役割 の喪失
本研究 の対象 はすべて男性であ り,
6 5
歳前後 の年齢 層 とい うことを考慮すれば,生産年齢 と位置づ けられ る集団か ど うか は微妙 な ところであ る. しか し,役割1
(勤労者)で認 め られた有意差 は,患者会のメンバー は何 らかの障害 をかかえてお り, これが勤労者 とい う 役割 の喪失 を早 めていると考 え られ る.役割 の認識 的側面 と
LOC
表
2
にLOC
合計 および各 クラスターと各役割 にお ける相関 を示 しているが, この結果の特徴 は健常群 で 役割 との間 に有意 な相関 を示 したのは役割7
(宗教へ の参加者) とCL3
との問のみであ ったのに対 し,忠者会群で は役割
1
(勤労者),役割2
(ボランテ ィア), 役割4
(家庭維持者) に,CL
lと有意 な相関 を示 し た ことであ る.健常群 で はこれ らの役割 とCL
lとの 間 にはほとん ど相関がないため,患者会群 の特徴 と考 え られ る.CL
lは自己決定感や 自分 自身で決定 した 方が良 い効果が得 られ るとい う方略 に関す る ものであ ることか ら, これ らの役割 を再 び獲得す る際 に経験 さ れた 自己決定感や方略であ った ことが推察 され る. し か し,表3に示 したよ うに役割1
と役割4で はLOC 1 3
との間 に有意 な負 の相関を示 した ことか らこれ らの 役割 に関 しては努力次第 とい うよ りは環境的要 因の影 響 を認識す るよ うな経験 を しているよ うに思 われ る.いずれに して も,
CVA
発症後 に喪失 しかか った役割 に対 して意識的に取 り組 んでい った結果 を反映 してい るもの と考 え られ る.つ ま り,各 々の役割 にはそのた めに必要 な具体的な課題や活動 とい う作業的側面 があ るが, そ うした課題 や活動 に意識的に取 り組んだのか, あるいは取 り組 まざるを得 なか った とい う行為 の結果 が反映 されていると考 え られ る.結果 に関す るもう一つの特徴 は,役割
7
(宗教への石井良和/患者会に所属する脳血管障害患者の役割意識と統制感との関連
参加者) とLOCとの関係である.健常群 においてC
L 3
やい くつかのLO C項 目間に有意な相関を認 めた
が,患者会群で は有意 な相関 は認 め られなか った. こ の ことは健常群で は宗教への参加者 とい う役割を取 る ことと,友人関係で努力す ることや自分 の人生が運命 によって決 め られていると考えた りす るよ うな積極的 宗教参加者 の特徴 ともい うべ きこととの間 に弱いなが らも有意 な相関を示 しているのに対 して,患者会群で はそのよ うな特徴 はほぼ無関係 とな っている.障害 を かかえなが らリ‑ ビリテー シ ョンに励むということが, 現実世界で何かを信 じた り,すが った り, あるいは布 教活動 の基盤 となる友人関係への信念が,先 に考察 し たよ うに患者会 の活動で培 われたためなのか もしれな い.V.
結 論CVA
の既 往 が あ る患 者 会 の参 加 者 に対 して,oakl ey
らの作成 した役割 チェック リス トと鎌原 らの 開発 したLOC尺度を用 いて役割 の認識的側面 に関す る特徴 を調査 した.結果 は勤労者, ボランテ ィア,そ して家庭維持者 の各役割 と自分 の人生 を自分で決定 し ているとい う自己決定感や, 自分 自身で決定 した方が 良 い結果が得 られ るとい う方略 に関す る内容 のLOC
項 目群 との間 に相関が認 め られた. これ らの役割再獲( 4 7 )
得を目標 にす る場合の作業療法では,過去 において本 人が担 っていた重要 な役割 に関連 した有意味な活動 を 提供 し, その成功体験 か ら, こうした
LOC的特徴が
経験 されるように配慮すべ きことが示唆 された.文 献