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金融政策の指導原理と施策の有効性(?)

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(1)

金融政策の指導原理と施策の有効性(?)

その他のタイトル Alternative guiding principles for the use of monetary policy and the effectiveness of the policies (II)

著者 尾崎 康夫

雑誌名 関西大学社会学部紀要

巻 11

号 2

ページ 15‑41

発行年 1980‑03‑28

URL http://hdl.handle.net/10112/00022887

(2)

金融政策の指導原理と施策の有効性 ( I l )  

尾 崎 康 夫

N. 

貸 付 信 用 の 供 与 に 対 す る 直 接 的 な 管 理 ・ 統 制 一 ― ー 選 択 的 信 用 統 制

( S e l e c t i v e  C r e d i t  C o n t r o l )  

前節で示した三つの提案をよりどころにして立案・実施せられる,具体的かつ間接的な諸施策 は,さらに,この節で取上げるような,選択的信用統制の実施によって,その実施効果を,一段 と,向上させることが出来る。すなわち,現実の経済社会において,日々,計画・運営せられて いる,さまざまな経済活動の中には,その一部に,特に,不安定化要因として,全体的な経済活 動に対して,好ましくないような影響を与え,効果をあらわすような種類の経済活動が存在して いるということは,明らかな事実である。したがって,この種の経済活動に従事している企業や その他の経済単位に対する貸付信用の供与を,直接に管理・統制するとともに,このようにして 供用せられた貸付信用(あるいは貸付資金)の使途を限定するような作用を示す,各種の選択的 信用統制が実施せられるならば,上記の間接的な諸施策の実施効果は,明らかに,一段と,強化 せられるであろう。その上,選択的信用統制の適用は,伝統的・間接的な諸施策の実施に比較し て,一般の人々の予想を混乱させたり,不安を増加させるという弊害を招くことが,ほとんど,

なく,貨幣価値の安定,さらに進んで,経済安定の実現に貢献することが出来るという特質を備 えていると,いわれている

1 0 )

そこで,この節では,貸付信用の供与に対して,直接的な制限を加える働きをする,様々なタ イプの選択的信用統制が備えている長所および短所を,個別的に考察・検討することにする。と ころで,このような特質を備えた,具体的な施策の主なものとしては,道徳的説得,銀行の貸付 行動に対する管理・統制,銀行以外の金融機関に対して加えられる管理・統制および特殊な経済 活動に従事している資金需要者に対する貸付信用の供与に加えられる管理・統制の四つを挙げる ことが出来る。そこで,以下においては,まず,これらの4つの管理・統制方法のすべてに妥当 する,一般的な問題に言及し,その後に,上記の四つの選択的信用統制の方法が備えている特質

1 0 )

選択的な金融統制は,経済的な諸情勢が,明らかに,正常な軌道を逸脱しているという状態を示してお

, しかも,その結果,正常な長期予想の形成が阻害せられると考えられる場合に限って,適用すべき施 策である。したがって,この旋策は,本来,頻繁に適用すべきものではなく,また,仮に,適用する必要 が生じた場合においても,これを適用する期間が,短期間に限定せられることが望ましい。

‑ 1 5  ‑

(3)

を,個別的に,考察・検討することになる。

( 1 )  

選択的信用統制の方法の適用に伴って生じて来る,一般的な性格を備えた諸問題 安定した経済状態を実現するために,通貨の供給額や金融取引をめぐる諸条件に対して管理・

統制を加えるというやり方は,そのために適用せられる,具体的な施策が一般的なものである か,あるいは,選択的なものであるかということには関わりなく,そのすべてが,間接的な施策 であると,いう性格を備えている。その理由は,経済活動に対して, 直接に影響を与えるもの は,一般的な形態あるいは特殊な形態による貸付信用の供給額の多寡ではなく,実物的な財や用 役・便宜等に対する支出額の大小であるからである。これに対して,いわゆる,間接的な金融政 策は勿論,各種の信用取引の際に適用せられる取引条件,あるいは,それぞれの種類の貸付信用 の供給額に対して,直接に管理・統制を加える直接的な金融政策も,ともに,それらの諸施策の 立案·実施は,まず,全体的な貨幣供給額•利子率,あるいは,特定の,選択せられた形態にお ける信用のアベイラビリテーに対して影響を与え,この影響を通じて,間接的に,実物的な経済 活動の規模と構成に作用するのである。このように考えると,直接的で,しかも,選択的な金融 的な諸施策の有効性も,また,施策の対象になっているような種類の経済活動に従事している資 金需要者が,どの程度まで,管理・統制の対象となっている種類の信用取引による貸付方法に依 存して,必要な貸付資金を調達しているかということ,および,これらの資金需要者が,上記の 方法により,必要な額の貸付資金を調達することが不可能になった場合,他の形態の金融取引に よって,必要な貸付資金を調達することが出来るかという,可能性の大小によっても,著しく相 違して来る。さらに,その実施が意図せられている具体的な諸施策が影響を与え,効果を発揮し 得る,実物的な経済活動の範囲の大小, ならびに, その実施が意図しているような諸影轡を与 ぇ,諸効果を発揮するにいたるまでに要する時間の長短によっても相違して来る。何故ならば,

このような諸施策の立案・実施の効果として, 従来の方法による貸付信用の調達の道を閉され た貸付信用の需要者は,時間が経過するにつれて,この方法に代る,新しい貸付信用の供給源泉 の発見に努力し,新しく発見せられた供給源泉からの信用供与によって,それぞれの必要を充足 するようになるであろうからである。他方においては,時間の経過に伴って,貸付信用の供給者 の側においても,相互間に競争が発生し,施策の対象になって,貸付信用の供与を強く制約せら れているような信用取引に代替するような貸付信用供与の方法,および,強い制限が課せられて いる金融機関に代替するような,貸付信用供与の方法と金融機関とが現れて来るようになる11)。

1 1 )

たとえば,考察の対象になっている時点における,現実の預金利子率および貸付利子率が, それぞれ に,すでに,法定最高限度に到達しているような場合には,商業銀行は,それぞれの利子率が法律による 最高限度の制限の適用を受けず,したがって,この制限を越える利子率の支払を可能にする,新しい種類 の預金を創出したり,この限度を上廻る利子率の利子を賦課・徴収することが出来るような,新しい貸付 信用の供与方法を案出する努力をするように仕向ける。その理由は,商業銀行が預金に対して支払う利子 の利子率や,貸付の際に賦課・徴収する利子の利子率に, 法律による制限が課せられているということ は,それらの市場における,商業銀行の,各種の金融仲介機関(信託会社・

F i n a n c eCompany

等々)

に対する自由な競争を制限するという結果になるのであるが,このことは,明らかに,これらの市場にお ける競争に際して,商業銀行を不利な立場に陥れるという結果になる。

(4)

金融政策の指導原理と施策の有効性(II)

(尾崎)

したがって,これらの諸点を考慮に入れると,長期にわたって,しかも,重点的に,選択的かつ 直接的な管理・統制の方法を適用して行くというやり方は,それ自体において,失敗におちいる という可能性を内包しているばかりではなく,効率の上でも劣っているような,代替的な金融取 引や金融機関の生成•発展を促進するという,好ましくない結果を招来するであろう。

これらの諸点を考慮すると,選択的で直接的な金融の管理・統制は,著しく,恣意的な性格を 備えた施策であると,いわなければならないであろうか。これに対して,前節において考察した ような,伝統的で,間接的な金融的な諸施策も,その実施効果として,銀行やその他の貸付信用 の供給者が,窮局的には,貸付信用の需要者達に対して,貸付信用の割当制を実施せざるを得な い状態に立到るということを考えると,等しく,恣意性を備えているということになるであろう。

さらに,経済安定の実現を達成目標とする,あらゆる種類の金融的な施策の立案・実施は,結果 的には,一部の経済単位が計画している経済活動の実施を不可能にすることになる。しかも,こ のようにして不可能になる諸計画の,個別経済単位間における配分は,不公平なものにならざる を得ないという意味において,このような施策も,また,もともと,恣意的な性格を備えた施策 であると,いわざるを得ない。したがって,実際的な問題は,これらの選択的な管理・統制方法 の立案・実施に伴って生じて来る不平等が,それぞれの経済社会にとって耐えることが出来るよ

うなものであるか,どうかと,いうことである。

前の二項で述べたことがらを,やや,異なった表現でもって示すと,重要な経済的な事実は,

選択的な管理・統制の実施は,一部の種類の経済活動に従事している経済単位を,不利な情況に おとし入れるというのではなくて,むしろ,このような性格を備えた諸施策の立案・実施が,施 策の対象になっているような経済的な諸活動を円滑に運営して行くために,従来から実旋せられ て来たような,効率的な金融取引の運営・実施を阻害すると,いうことである。さらに,経済的 な観点より見て,重要な問題は,この選択的な管理・統制方法の立案・実施が,その結果として 発生して来る不平等性を,充分に正当化するに足りるだけの価値を持っているか,どうかと,ぃ うことではなくて,このような施策が効率的な金融取引の運営を排除することによって獲得する 勢力が,このような施策の実施によって,対象となって種類の経済活動の効率的な運営を,長期 にわたって,阻害し,その結果,このような種類の経済活動が蒙ることになる,長期にわたる損 失を償うことが出来か,否かと,いうことである

1 2 )

選択的な管理・統制の実施に伴って発生する可能性がある差別によってもたらされる,長期に わたる,ゆがめられた諸効果は,正式に認可せられている銀行が,現実に計画し,実施して来て いるような業務に対して,この種の管理・統制が加えられる場合には,特に, 重 要 な も の と し

1 2 )

特定の種類の貸付信用の供与に対して,選択的な管理・統制を課するということと,資本に対する課税 や関税の追加徴収のような特殊な租税を,断続的に,賦課・徴収するということとの間には,著しく類似 したところがある。その理由は,これらの施策または措置は,ともに,平等性の原則を侵害するものであ るからである。その上,このような施策または措置が長期間にわって適用せられた場合には,経済社会に おいて営なまれている経済的な諸活動の,効率的な運営を阻害するおそれがあるからである。

‑ 1 7  ‑

(5)

て,現われて来る。たとえば,これらの銀行に,預金に対する支払準備として,必要最低額の,

利子を生まない,現金通貨を保有する義務を賦課することは,これらの銀行に対して,銀行業を 営むという特権を認可する代償として徴収せられる,一種の租税であると見なすことが出来る。

さらに,これらの銀行に対して,必要最低限の流動性比率を遵守させることや,強制的に,一定 額の政府債券の保有を要求することも,また,追加的な租税を賦課・徴収することと同一の効果 を示す。通貨価値安定政策の実施効果を増進させるために,銀行に対して制限を課したり,この 制限の内容を変更したりするということは,これらを長期的に考察ると,銀行の発展を妨げ,他 方において,銀行がそれを処理するのに最も適しているような種類の金融業務を代行させるため に,銀行よりも非能率的な金融機関の成長・発展を奨励するという結果になる。これに対して,

日本・英国ならびにカナダの銀行制度のように,有力な少数の銀行が,全国ならびに国外にもわ たって,広汎な支店網を廻らせて,巨額の金融取引を実施しているという,集中的な銀行制度の もとでは,これらの銀行を対象として立案・実施せられる,選択的な管理・統制は,このような 施策の適用の結果として,銀行が,貸付信用の供与に関して,有利な機会を喪失するという,不 利益に対する対策として,これらの銀行の間において,カルテルやコンバインに類似した協定を 結ぶことを促し,さらに,中央銀行当局が,これらの協定を容認せざるを得ないように働きかけ るであろう。このようにして,銀行を,その他の金融機関に対比して,差別扱いすることから生 じて来るひずみは,上記のような方法による独占的な協定の結果として現れて来るひづみと重複 することによって,一層,激しいものになるかも知れない。

この項の最後に,いま一つのことがらに言及しておく必要がある。それは,選択的な管理・統 制の実施によって,特定の経済活動に従事している経済単位を差別して取扱うことは,倫理的な 観点からは,一般に,望ましいことではないと考えられるため,このように,差別的な取扱をす るように作用する施策は,専ら,倫理的に,また,道徳的に見て,望ましいものではないと,考 えられるような経済活動,ならびに,そのような経済活動に従事している経済単位だけを対象に して,立案・実施せられる場合にのみ,容認することが出来,また,推奨せられるべき施策であ る。特に,選択的な管理・統制の議論においては,投機は,もともと,道徳的な観点からは,非 難せられるべき行動であるという理由によって,証券や不動産に対する投機の目的に使用せられ る貸付信用の供給を, 管理・統制することが必要であると, いうことが, 主張せられている。

また,消費者信用の供与についても,この方法によって,賃銀労働者や俸給生活者に対して,梢 費財の購入に必要な信用を供与するということは,これらの人達の将来の所得稼得能力を担保に して,現在の消費支出を賄うために必要な貸付信用を供与するという結果になると,いうことを 理由にして,この種の金融に対する,選択的な管理・統制の実施の必要性を主張するのである。

その反面,この二つの形態の金融は,事実上は,他の種類の金融と同様な仕方でもって,経済的 な効率の増進および福祉の向上に貢献することが出来る,合理的な経済活動であるとして,この 種の金融取引を擁護するものがあるということも,事実である。しかも,その理由は,まず,投

‑ 1 8  ‑

(6)

金融政策の指導原理と施策の有効性

( I I ) (尾崎)

機は,経済社会が現に保有している諸資産の配分を,それぞれの使命に関して,一層,効率の高 いものにすると,いうことである。これに対して,割賦払信用を活用して,必要な消費財の購入 を行なうということは,消費の時間的な配分を,一層,効果の高いものにする。それにも拘ら ず,経済社会がプームの状態を呈しているか,あるいは,スランプに陥っているかということに 関りなく,もしも,この種の金融が,等しく,道徳的に見て,望ましくないものであると考えら れるのであれば,この種の金融に対して,恒久的な抑制措置を実施する必要がある

1 3 )

。このよう に考えて来ると,選択的な管理・統制を,景気変動に対する対策として実施することに関して,

考えられ得る唯一の経済的な根拠は,このような施策の立案・実施が,経済的な不安定を解消す る上に,著しく貢献すると,いうことである。しかも,このような,好ましい効果は,消費財の 購入のために必要な貸付信用を供与することを目的としている,消費者金融の場合には,明らか に発現するが,現存の資産の取引を目的とする,証券や不動産の投機の場合には,これを確認す るということは,容易なことではない。

( 2 )  

道徳的説得

( M o r a lS u a t i o n )  

つぎに,われわれは,選択的な統制・管理の,具体的な施策の第一番目のものとして挙げられ る,道徳的説得について,その特質とその立案・実施がもたらす影響ないし効果について,考察

・検討することにする。ところで,道徳的説得という管理・統制の方法は,この論文における分 類方法では,選択的な金融統制の一種に掲げられるべきものであると,いう性格を具備している 施策である。しかしながら,現実には,この施策は,何らかの方法によって,中央銀行当局が望 んでいるよう措置を,個別経済単位が,自発的に,実行に移すように説得するものであるが,こ れら経済単位に対して,これを強制することは出来ないという特質を備えた施策であるから,中 央銀行当局自体が実施した経済分析によって明らかにせられた諸情報や,その分析によって把握 せられた,私的な経済単位が,最も深い関心をもっていることがらに関連する事項についての,

反論を唱えがたい,率直な情報を提供するということ, および, 明らかに選択的な性格を備え た,具体的な施策を適用するということの,中間的な性格を備えている施策である。その上,そ の具体的な施策は,一般に,窮局的には,何らかのかたちによる信用割当という姿を示すもので あり,また,中央銀行の説得力も,結局は,中央銀行当局が,貨幣供給に対して,どれほどの大 きさの管理能力を発揮することが出来るかと, いうことによって,定まって来るものであるか ら,かたよりを持たない,客観的な勧告であるというよりは,むしろ,選択的な管理・統制に,

1 3 )

投機は,まず第一に,一般に,真面目な市民達が,自分自身以外の誰かが,代償を支払うことなしに,

明らかに,何らかの利益を手に入れるということを好まないという理由によって,排斥せられるのである が.その他にも,現代の税法のもとでは,投機家に対しては,正常な仕事に従事することによって所得を 稼得している人達に比較して,大きな格差がある優遇措置が構ぜられているということも,投機が排斥せ られる一部の理由である。したがって,この点に関する矯正措置は,投機家達の活動を束縛するように作 用する,各種の制限を設けることではなく,投機によって稼得せられる資本利得を,他の種類の経済活動 によって稼得せられる所得と同様に,投機家の所得と見なし, その全額を課税の対象にすることによっ て,これまで行なわれて来た優遇措置を廃止することである。

‑ 1 9  ‑

(7)

より多く類似しているという性格を備えた施策であると,いうことが出来るであろう。

中央銀行が道徳的説得という施策を適用する場合には, その施策の対象になっており, しか も,広く,社会全体に対する責任という,一般的な理由から,あるいは,狭く,中央銀行との間 に,望ましい関係を保持して行こうと考えるために,この施策がもたらす効果を受入れざるを得 ないという立場にある諸機関の,直接的な利害と衝突することがさけられない。ところで,これ らの諸機関が,上記の理由によって,不可避的に蒙ることになる損失や取引上の信用の失墜に耐 えることが出来る範囲の大小は,中央銀行が,施策に掲げていることがらについて,諸機関を説 得し得る力の大小ということ,したがって,道徳的な要素を含む,いろいろな要素によって支配 せられる。したがって,道徳的説得という施策が,大銀行(特に,特許銀行

C h a r t e r e dBank) 

やその他の経済的な諸力が著しく集中しているような金融組織や業界に対して施行せられている 場合の方が,多数の小規模企業の間において,苛烈な競争が展開せられているような経済活動の 分野に向けて施行せられる場合よりも,その効果が大であるように思われる。その理由は,前者 の場合には,経済活動が著しく集中しており,独占的な性格を, より多く備えているからであ る。したがって,それだけ大きく,政府当局の善意に依存し,また,これらの企業が営なむ経済 活動が,一般の人達の議論の対象になりやすいために,道徳的説得という方法による管理・統制 に服するという傾向が大であるからである。

上記のことを考慮に入れると,道徳的説得の有効性に関して,つぎのような制限条件が存在し ていることが明らかになる。その第一は,この施策の有効性は,経済的な決断あるいは決定が少 数のものの手に集中せられている程度の相異に従って,相違する。したがって,経済的な計画に 打勝つものは,本質的に,政治的配慮であるということを,認めざるを得ない。したがって,道 徳的説得がもたらす効果に信頼をおくことは,経済的な諸活動を,少数の経済単位に集中させる 働きをするとともに,政府当局が,何らかのかたちの恩恵を提供することによって,道徳的説得 に従うことに対する報償を与える責任を帯びているということを,前提条件にしていると,考え られる。この意味においては,政府当局がこの責任を認識しているということが,通常,この施 策を立案・実施することと相互補完関係にあるわけである。しかしながら,この施策が有効な作 用を示すためには,上述のように,経済的な諸力が,少数のものの手に集中していることが必要 であるが,経済力が,このように,集中しているという状態が,果して,真に,望ましい状態で あるか,どうかは,大いに論議する必要がある問題である。

制限条件の第二は,道徳的説得が,その対象にしている金融取引に関するものである。今日ま での経験に従うと,道徳的説得という施策は,証券や不動産に対する投機のために使用せられる 資金や消費支出を目的としている資金のように,健全金融という,伝統的な考え方から見ると,

不健全な性格を備えた信用供与であり,道徳的にも,恥ずべきであると,考えられるような種類 な経済活動に必要な支出,あるいは,この支出のために必要な貸付信用の供与を抑制することを 意図して,立案・実施せられて来ているように思われる。したがって,この施策の立案・実施は

(8)

金融政策の指導原理と施策の有効性

( I I ) (尾崎)

経済社会に対して,不安定をもたらす働きをする,真の原因を取除くためには,ほとんど,効果 を発揮しないように思われる。さらに,もっと一般的な問題としては,道徳的説得は,金融機関 や指導的な立場にある企業の協力を得ることによって,金融当局がどのような種類の支出が国民 的な利益に合致し,どのような種類の支出がそれに反するかということを判断する上に,競争的 な市場組織よりも,どの程度までに優れた判断を下すことが出来るか,という問題を提起する。

制限条件の第三は,道徳的説得が,充分に,その効果を発揮するに到るまでには,可なりの時 日を必要とするということである。何故ならば,この施策が有効に作用するためには,経済的な 諸活動の実態が手におえない状態に立ちいたるおそれがあるということを,まず第一に,金融当 局や政府当局に説得する必要がある。また,同時に,この施策の実施の対象になる金融機関や実 物的な諸活動に従事している企業およびその経済単位を説得する必要がある。そのためには,こ れらの関係者のすべてに対して,何らかの,具体的な所作を実行する必要がある。しかも,これ らの所作を実行して,その趣旨を,充分に了解させるためには,それなりの時日を必要とする。

従って,この施策の実施効果が,実物的な諸活動にまで波及するにいたるまでには,時間の遅れ が生ずるということは,不可避的なことである。

その反面において,道徳的説得という施策には,その実施を有効にするような働きをする,っ ぎのような,二つの事情がある。その一つは,私的な企業(あるいは経済単位)は,それが金融 取引に従事しているか,あるいは,実物的な生産活動や取引活動を営なんでいるかということ にかかわりなく,それぞれの経済活動がもたらす利害に関する予想や解釈に関して,充分な知識 を持っていないばかりではなく,経済的な諸情勢の変化に対しても,また,緩慢にしか対応する ことが出来ないと,いう理由に由来する。したがって,この場合,金融当局が,それぞれの時期 における,経済社会の現状が示す特質に対応して,単純で,しかも,具体的な指針を示し,私的 な企業やその他の経済単位がこれに従うように説得するならば,これらの施策の実施がもたらす 諸効果の発現を促進させることになると,いうわけである。第二の事情は,金融機関は,それぞ れに,取引先との間に,複雑な経済関係を持っている。また,大企業の経営・管理は,多くの異 なった種類の経済活動を担当している部門の間の,微妙な力のバランスの上に成立っている。し たがって,このような情況のもとにおいて,金融機関の責任者や大企業の財務担当者が,それぞ れの機関ならびに企業の活動に関して,具体的な決定を行なう場合に,もしも,その決定が,中 央銀行または金融当局の見解という,絶対的な権威を持つものに依拠して行なわれるようになっ ているならば,それぞれの経済単位が営なむ経済的な諸活動に対して,中央銀行または金融当局 が,全般的な管理・統制を加えることが,著しく,容易になるであろう。その一例としては,こ のような情況のもとにおいては,中央銀行または金融当局が立案・実施する施策や指令に関する 声明は,商業銀行やその他の金融機関が顧客との間に保持して来ている信頼関係を,著しく害す ることなく,貸付信用の供与あるいはその拡張を,容易に,拒否することが出来るようにする と,いうことが,しばしば,挙げられる。他の例としては,このような声明は,大企業の財務を

‑ 2 1  ‑

(9)

担当している部局が,生産や販売を担当している部局によって作成せられる,あまりにも楽観的 な拡張計画に反対する場合にも,その対抗力を強化するという効果を示すかも知れないと,いう ことが挙げられる。ところで,この二つの事例は,勿論,明らかに,中央銀行または金融当局の 判断は信頼に値するものであり,もっともらしい判断であると同時に,その判断に基づいて立案

•実施せられる諸施策に関連をもつ私的な企業やその他の経済単位が,これを,容易に,実行に 移すことが出来るようなかたちで示されることが必要であるということが,暗黙のうちに,前提

になっている。

( 3 )  

大銀行(特許銀行

C h a r t e r e dBank)

に対する管理・統制

伝統的な金融政策は,それが,プームを抑止することを目標にして立案・実施せられる場合に は,その効果がゆるやかに,しかも,不完全にしか現れて来ないと,いうのが実情である。その 理由の一つは,景気上昇の最初の段階においては,大銀行は,一般に,それぞれに保有している 収益資産の中で,政府債務証券が占めている割合が,相対的に,大きく,貸付信用の供給額が占 める割合が小さいというのが典形的な姿である。したがって,景気上昇の進展につれて,貸付信 用に対する需要が増加して来た場合,たとえ,金融的な諸施策の立案・実施によって,銀行が保 有している収益資産の絶対額の増加に対して圧力が加えられているとしても,これらの銀行は,

政府債務証券の保有残高を減少させるという方法によって,増加して来た貸付信用の需要を充足 することが可能であるからである。しかも,このような措置が実施せられると,証券市場におけ る証券価格の下落,したがって,長期利子率の上昇を招く。その結果,銀行預金や現金のかたち でもって遊休残高を保有している人達に対して,この遊休残高の保有を放棄して,これまで,銀 行が保有していた政府債務証券の購入に向うように,刺戟を与える。このような方法によって銀 行が取得した資金が,貸付信用の供与を望んでいる資金需要者に貸付けられるならば,当該銀行 は,自己が保有している収益資産の総残高に影響を受けるということなく,貸付信用供与額の増 加を実現することが可能である。このことをいいかえると,金融的な諸施策の立案・実施が貸付 信用の供与に対して与える,制限的な効果は,通貨の流通速度の増進を促すような作用を示す,

銀行側の措置によって,その一部分が相殺せられると,いうことである。

この点から考えると,預金の払戻を円滑に実施するために,それぞれの銀行が,現有の預金残 高に対して保有していることを求められている,高度の流動性を備えた金融資産の最低比率や一 般的な貸付信用供与残高に対して,現実に保有している預金残高の比率(預貸率)の最高限度を 規定し,さらに,これらの比率を,実物的ならびに金融的な諸事情の変化に即応して変更する権 限が,中央銀行または政策当局に附与せられており,さらに,これらの当局が,それぞれの銀行 が収益資産として保有している政府債務証券の保有残高の減少を阻止することが出来るような,

何らかの権限を保有しているならば,金融的な諸施策の実施効果を,著しく増進させることにな るであろう。しかも,中央銀行または政策当局に対して,このような権限が附与せられている場 合には,そうでない場合に比較して,大銀行に対して,より多額の政府債務証券の保有義務を負

(10)

金融政策の指導原理と施策の有効性(Il)

(尾崎)

わせることになる。したがって,中央銀行または政策当局に対して,このような権限を附与する ということは,同時に,抑制的な金融政策の実施効果が政府債務証券市場に波及し,これらの証 券の市場価格の下落と,それに伴って生じて来る市場利子率の上昇という,望ましくない効果の 発現を,部分的に遮断することを可能にする。しかも,このことは,さらに,政府当局が,これ らの証券の発行に伴って負担しなければならない利子費用の軽減に貢献するという,附加的な長 所を備えている。

中央銀行または政策当局が,間接的ならびに直接的な諸施策を立案・実施し,附与せられてい る,もろもろの権限を行使することによって,総支出額ならびに市場利子率に対して与えること が出来る影響ないし効果の,具体的な大きさは,まず,銀行やその他の金融機関が,各種の経済 活動に従事している経済単位からの貸付信用に対する需要を充足するために必要な資金を,どの 程度まで,中央銀行からの信用供与に依存しているかということによって, 相異する。第二に は,日常,銀行からの貸付信用の供与によって,必要な外来資金を調達していた経済単位が,諸 施策の立案・実施の影瞥ないし効果によって,この方法による外来資金の調達が不可能になった 場合,必要な外来資金を,他の貸付信用の供給源泉に頼って,どの程度まで確保することが出来 るかということ,あるいは,資金需要者が,それぞれに,必要な資金を整えるために,売却し,

または,この目的を達成するために,貸付信用の供与に対する物的担保として提供し得る自己資 産を,どれだけ所有しているかということによっても,相異する。すなわち,従来,必要な外来 資金の供給を,専ら,銀行からの貸付信用の供与に依存していた資金需要者が,金融的な諸施策 の実施効果の現れである金融引締によって,銀行による貸付信用の供与を拒否せられた場合,そ の資金によって実施することを考えていた支出計画を破棄する以外に,代替的な資金調達の手段 を持っていない場合には,具体的な諸施策の実施が具備している支出抑制効果は,最も顕著に現 われるであろう。ただし,この場合においてさえも,この施策の実施がもたらす支出抑制効果の 一部分は,もしも,銀行からの貸付信用の供与に依存しないで,専ら,自己資金または内部資金を 活用することによって,必要な額の支出を賄うことが出来る支出単位が,多数存在しているなら ば,これらの支出単位が保有している,各種の資金残高を,大量に活動化することが可能であろ う。したがって,金銀引締効果の発揮を意図して立案・実施せられる具体的な諸施策の実施効果 は,その範囲において,相殺せられるわけである。また,銀行からの貸付信用の供与を拒否せら れた貸付資金需要者が,それぞれに保有している政府債務証券やその他の有価証券を売却するこ とによって,必要な額だけの資金を調達するという代替的な手段を持っているような場合にも,

具体的な諸施策の立案・実施がもたらす支出抑制効果も,利子率の上昇を促す作用も,ともに,

著しく減殺せられ,場合によっては,

0

になってしまうであろう。このような場合には,具体的 な諸施策の実施効果は,わずかに,従来,銀行から安い利子率でもって,貸付信用の供与を仰い でいた経済単位が,代替的な金融手段を利用する場合,より高い利子率を支出単位に対する貸付 信用の供与に賦課するとともに,上記のような支出単位に対する貸付信用の供与をも行なわない

‑ 23 ‑

(11)

ようにするならば,安定した経済状態の実現を目指して立案・実施せられる金融的な諸施策の実 施効果は,著しく,増進するであろう。

もし,仮に,大銀行の貸付信用の供与に対して,このような種類の選択的な管理・統制を加え るということが,安定した経済状態を実現する上に有効であるということが仮定された場合にお いても,この施策を,実際に,適用すぺきであるか,否かを決定する場合には,さらに,つぎの ような,三組の事項を考慮する必要がある。その第一は,この施策の適用は,より強力で,しか も,迅速に効果を発揮する抑制措置に代替するものであるか,どうかということである。すなわ ち,中央銀行または政策当局は,それぞれの商業銀行が,利潤動機に基づいて,現に保有してい る収益資産の中で,貸付信用供与額が占める割合を出来るだけ多くするように計画し,行動する ことを阻止するように作用する方策を実施する代りに,それぞれの商業銀行の収益資産の保有総 額に対して,従来よりも厳しい制限を賦課することによっても,また,ほぼ同一の効果を収める ことが出来る。したがって,このことを考慮すると,商業銀行の信用供与に対して制限を賦課し ようとする場合,従来,実施せられて来たような,一般的で,しかも,間接的な諸施策の立案・

実施よりも,選択的で,しかも, 直接的な諸施策の立案・実施の方を選好するのである。 しか も,その理由は,

( 1 )

前者の方法が適用せられる場合には,金融収引の管理・統制を迅速,かつ,

きめ細かに行なうことが出来ないということ, 具体的には, このような施策が実施せられた場 合,商業銀行が収益資産として保有している政府債務証券の保有残高の中の,どれだけの額を売 却・処分して,貸付信用の供与額に充当するであろうかということを,事前に,正確に,予想し て,適切な施策を立案し,実施することが出来ないということである。

( 2 )

間接的な諸施策が,も しも,もっと積極的に立案・実施せられるならば,経済社会にとって,望ましくないような不安 定化現象が発生するおそれがあるということが考えられるからである。

( 3 )

抑制的な諸施策の実施 がもたらす諸影響から,政府債務証券の市場を,出来得るかぎり,保護する必要があると,いう ことである。

その第二は,抑制的な,金融的な諸施策の立案・実施が,支出単位に対して及ぽす支出圧縮効 果が,必要な貸付信用の供与を,専ら,国内の商業銀行に仰いでいる支出単位に,集中的に作用 するということは,不公平なことであるばかりでなく,経済的な観点からも望ましくないと,い うことである。すなわち,国内の商業銀行からの貸付信用の供与に対して制限を加えるというこ とは,一般に,小規模な企業に対して,不当に厳しい影響を与え,その結果,経済成長に害を及 ぽすばかりでなく,引いては,経済力の集中・独占の形成にとって好都合な条件および環境を整 えるという,望ましくない事態を誘発する可能性を胚胎しており,さらに,外国資本による国内 の経済活動の支配を強化するという,望ましくない作用を示すということが,しばしば,唱えら れている。このような,望ましくない諸効果は,その存在を明らかにすることが可能であるかぎ り,当然,これを回避すべきである。しかも,これを回避するためには,選択的で,しかも,直 接的な諸施策の立案・実施による方が,一般的で,しかも,間接的な諸施策の立案・実施に比較

(12)

金 融 政 策 の 指 導 原 理 と 施 策 の 有 効 性(II) (尾崎)

して,より優れた効果を発揮する。

その第三は,商業銀行に対して,それぞれが保有したいと考える額よりも多額の政府債務証券 を保有することを強制し,その結果,これらの商業銀行が,より少額の貸付信用の供与にあまん じざるを得ないように仕向けるということは, 窮局的には, それぞれの商業銀行の収益に対し て,特殊な租税を賦課・徴収することに等しい効果を示す。しかも,この形態でもって賦課・徴 収せられる租税が,商業銀行にとって,正味の負担として具体化するか,否かということは,こ のかたちによる選択的管理・統制の有無にかかわらず,商業銀行が保有している収益資産の総額 には変化が生じないと考えるか,あるいは,このような形態の管理・統制が実施せられていない 場合には,中央銀行または金融当局が,商業銀行の収益資産の保有残高に対して,一層,厳格な 管理・統制を加えるようになると考えるかによって相異して来る。いづれの場合においても,こ れらの具体的な諸施策の立案・実施が,商業銀行の収益力や,その他の,各種の金融機関との間 における競争力に与える諸影響を詳細に検討するためには,まず,その前に,さらに,いくつか の複雑な問題を解明しておくことが必要である。

商業銀行が,それぞれの預金残高に対して,常に,その支払を円滑に実施することが出来るよ うにしておくために保有している必要がある,支払準備の割合(支払準備率)を変更したり,ぁ るいは,商業銀行に対して, (利子の支払が行なわれる場合もあるが, その支払が行なわれない 場合もある,また,時によっては,特別預金の形でもって,)追加的な支払準備を,中央銀行に預 入れることを要求するというやり方でもって,現に適用せられている支払準備率政策による管理

・統制の実施効果を補強することが企てられる場合もある。しかも,このような形態でもって立 案・実施せられる支払準備率政策は,現代の銀行制度のもとでは,つぎのような,二つの重要な 役割を果している。すなわち,その第一は,この施策の実施は,商業銀行が,預金創造機能を行 使して造出し得る創出預金の拡張乗数を固定するという働きをする。このことをいいかえると,

商業銀行が支払準備として保有している現金残高が

1

ドルだけ増加した場合,この増加した現金 残高をよりどころにして,銀行組織全体として,拡張することが出来る創出預金の割合を,一定 に保つことが出来る。その第二は,支払準備率政策の適用は,もしも,この政策が実施せられな かったならば,商業銀行にとって,保有義務が生じなかったであろうと考えられる,現金残高に ついて稼得せられたであろうと予想せられる利子収入に等しい額の租税を,商業銀行に対して賦 課・徴収することに等しい結果になると,いうことを意味する。しかも,このかたちにおいて賦 課・徴収せられる租税が,対象になって商業銀行に与える実質的な負担の大小は,金融取引の市 場において成立する利子率の一般的水準に比例して変動する。また,このようなかたちでもって 賦課・徴収せられる租税は,商業銀行が,それぞれに認可せられている銀行業務を運営して行く に当って,当該業務を運営する権利を附与せられているという特権に対して,さらに,中央銀行 または金融当局から供与せられる特別のサービスに対して,支払わなければならない価格である と,見なすことが出来る。その上, このようなかたちでもって賦課・徴収せられる租税の水準

‑ 2 5  ‑

(13)

は,短期的には,銀行のサービスの供与に必要な諸資源の配分に対して,影響を与える。

商業銀行が供与する貸付信用の額に対して管理・統制を加えるに当って,支払準備率を不変に 維持しながら,他方において,公開市場政策を実施するよりも,支払準備率そのものの変更を実 施することによって,同一の成果を挙げる方が,以下に示すような,二つの理由から,推奨せら れる。すなわち,第一の理由は,要求せられる支払準備率が高率であれば,高率であるほど,支 払準備率政策を実施する方が,公開市場政策の実施に比較して,各種の経済活動に対して,より 緊密な影響を与えることが出来ると,いうことである。しかも,商業銀行に対して,より高率の 支払準備としての現金残高を保有することを強制するということは,通常,プーム期に実施せら れる施策であるが,商業銀行にとっては,この理由によって,現金残高の保有にともなう負担が 増加するということは, スランプの時期よりも, プーム期における方が,耐えやすいことであ る。しかも,このことがいい得るための前提条件としては,おそらく,商業銀行に対して,その 保有が要求せられる支出準備率が高率になるに従って,商業銀行は,ますます,要求せられてい る支払準備率の最低限に近い準備率のもとで,それぞれの金融取引を実施するように計画するで あろうと,いうことである。これに対して,第二の理由は,プーム期に,より高率の支払準備を 保有することを,商業銀行に対して要求することは,これらの銀行に対して,寵接に,政府債務 証券の保有残高を増加させるように要求することと同様に,商業銀行が供与する貸付信用の増加 を抑止する働きを示し,利子率の上昇を促進することになるからである。何故ならば,このよう な情況のもとでは,商業銀行が供与しようとする貸付信用供与額が抑制せられ,同時に,利子率 の上昇を促進するという結果になるであろうからである。いづれにしても,このような諸施策の 立案・実施には,それがもたらす安定効果の有効性と経済的な公正および効率性との間のバラン スが考慮せられているように思われる。

しかしながら,中央銀行または金融当局が,商業銀行が,それぞれに保有している預金残高に 対して,保有していなければならない支払準備額の比率を変更したり,あるいは,これらの商業 銀行が,中央銀行に対して,特別の預金を預入れることを要求する権限を保有しているというこ とが,特別の利益をもたらし得るような,いくつかの,特殊な事情が存在している。たとえば,

固定為替レート制を採用している国の場合, 外国から国内に向って流入して来る短期資金の額 が,急激に増加するということは,容易に,発生し得ることがらである。この場合,もしも,受 取国の中央銀行または金融当局が,国外からの,多額の短期資金の流入が,国内の資金市場に対 して与える,撹乱的な効果の発生を防止するような措置を適用しないで,無制限に,国内通貨と の交換に応ずるならば,国内通貨の供給額は,短期資金の流入に伴って発生する,本源的な通貨 供給額の乗数倍だけ増加し,その結果,国内生産物の価格をはじめ,生産諸要因の価格の,急激 で,しかも,著しい上昇を誘発するという,全く好ましくない悪影響を受けることになるであろ う。そこで,当該国の中央銀行または金融当局が,もしも,公開市場における売操作によって,

このような悪影響の発生を防止しようと企だてるならば,非常に大量の諸証券の売操作を実施す

(14)

金融政策の指導原理と施策の有効性( J I ) (尾崎)

ることが必要である。しかも,一時に,このように大量の諸証券の売操作を実施することは,多 くの場合,非常に,困難であろう。これに対して,もしも,このような状況のもとで,商業銀行 に対して,それぞれの銀行が,国外の銀行やその他の金融機関に保有している預金残高に対する 支払準備として,自国の中央銀行に,それぞれの預金残高に対応して,一定比率の追加的な預金 を預託することを要求するならば,外国からの短期資金の流入が国内金融市場に与える影響を遮 断することが可能であろう。

( 4 )   銀行以外の金融仲介機関に対する管理・統制 1 4 )

銀行以外の,各種の金融仲介機関の発達・普及が,それぞれの国の中央銀行または金融当局が 立案・実施する金融的な諸施策の実施効果を,弱める働きをするという議論が,最近数年間にわ たって,広汎に,展開せられている。これに対して,今日までのところでは,大多数の先進工業 国において,これらの金融仲介機関が,金融的な諸施策の,直接的な実施対象機関として取上げ られたと,いうことはなかったのである。しかし,これらの金融仲介機関は,その性格が銀行預 金に酷似している金融資産を,資産保有者に対して供給しており,しかも,金融仲介機関からの 金融資産の造出に対しては,銀行預金の造出の場合のように,一定比率の支払準備を保有する義 務が賦課せられてはいないと,いうのが実情である。その上,金融仲介機関が供給する,このよ うな金融資産を取得するために充当せられた資金の,資金供給者に対する払戻しは,これらの金 融仲介機関が,日常,取引関係を保持している商業銀行に預入れている預金によって行なわれ る。この銀行預金の払戻しは,さらに,商業銀行が義務として保有している支払準備によって保 証せられている。従って,金融仲介機関が供給する金融資産の保有者に対する資金の払戻しは,

間接的にではあるが,商業銀行が保有している支払準備によって保証せられているわけである。

その結果,金融取引の側面においても,このように複雑な相互依存関係を内包している現代経済 社会においては,金融引締政策の立案・実施によって, たとえ,商業銀行からの貸付信用供与 の絶対額の減少を,有効に実現することが出来たとしても,この場合,もしも,この種の貸付信 用に代替し得るような種類の信用が,金融仲介機関から供与せられるならば,金融引締政策の有 効性は,著しく減殺せられるであろう。したがって,この施策が有効な作用を示すためには,金

1 4 )現代経済社会には,商業銀行以外に,専門的に,金融取引に従事している, 各種の金融仲介機関があ り,これらの金融仲介機関が,それぞれに,銀行預金に類似した預金債務を保有していること,しかも,

この種の預金に対する支払が, それぞれの金融仲介機関が, 預金債務残高に対する支払準備の一部とし て,商業銀行に預入れている預金残高による,一部支払準備のシステムによって,保証せられているとい うのが,実情である。その結果,これらの金融仲介機関の存在は,それぞれの経済社会に保有せられ,流 通している,通貨やその他の流通手段の総量,または,貨幣用役の総額を,これらの金融仲介機関が存在 していない場合に比較して,より小さな割合の中央銀行債務に依拠して供給していることを意味する。し たがって,一般の人達が,それぞれに保有している流動性を,各種の形態の貨幣的な諸資産に対して,ど のような割合でもって配分し保有しようとするかということや,銀行および各種の金融仲介機関が,預金 に対する支払準備として保有する現金準備の準備率が,可なりの度合の安定を示しているかぎり,金融仲 介機関が存在している場合の方が,それが存在しない場合に比較して,中央銀行が担っている債務残高の 変動は,一般の人々が保有する貨幣資産の残高や,その他の,各種の経済単位が保有する貨幣資産に対し て,絶対額の上で,より大きな変動を誘発する。

‑ 27 ‑

(15)

融仲介機関が保有している預(託)金残高に対しても,商業銀行の預金残高に対して適用せられて いるものと同様な,支払準備制度を適用し,預(託)金残高に対して,それぞれに定められてい る,最低比率の現金残高を,支払準備として保有することを,義務付ける必要があるであろう。

ただし,このような措置を講ずることの必要性は,実際上は,このようなかたちの金融引締政策 の実施の結果,資金供給者の保有資金が銀行預金から,商業銀行と競争関係にある,各種の金融 仲介機関が発行する,いろいろな債務証券購入に向っての移動を誘発する程度の大小に従って,

相異して来る。しかしながら,このことを,今日までの経験に照して検討した場合,このような 理由によって生ずる資金の移動が,金融的な諸施策の実施効果を無効にしたということ,あるい は,金融仲介機関の存在が,経済社会において計画・実施せられる経済的な諸活動を不安定にす る,根本的な原因であるということを示唆するような事実は,全く,存在しなかったと,いうの が実情である。

しかしながら,上記の議論に対しては,つぎのような,重大な例外が存在しているということ を述べておく必要がある。それは,消費者が,ファイナンス・コンパニー

( F i n a n c ecompany) 

から供与せられる割賦払信用を利用して,必要な消費財(ことに,高価な耐久消費財)を購入す る場合である。この種の割賦払信用に対する需要は,プーム期においては,極めて旺盛であり,

しかも,この種の割賦払信用の利用に際して,利用者が支出しなければならない,利子の利子率 やその他の費用の変動に対しては,この種の需要は,一般に,著しく鈍感にしか反応しない。そ の結果,ファイナンス・コンパニーは,消費者に対して,割賦払信用を供与することによって,

大きな利子収入を稼得することが出来るようになり,同時に,このようなかたちの金融取引を,

円滑に運営して行くために必要になって来る,多額の資金を調達する際にも,貸付信用の供給者 に対して,より高率の利子の支払やその他の有利な諸条件を提示するという手段を用いて,従 来,他の種類の貸付信用の供与のために準備せられ,使用せられていたような種類の,競争的な 関係にある流動資金の供給源泉から,必要な額の貸付資金を調達し,これを整えるということが 可能である。しかしながら,その反面, この方法によって, 消費財の購入のために充当せられ る,必要な額の資金が,実現せられた消費者の現在所得を上廻って供給せられるということは,

それぞれの経済社会が,現に保有している,利用可能な諸資源に対して, 強力な需要圧力を加 ぇ,同時に,経済社会において営なまれる諸活動の不安定化を増進することに貢献する働きをす ることは,明らかである。これに対して,現実には,このような方法によって,ファイナンス・

コンパニーが実施する割賦払信用の供与は,一般的には,貯蓄性預金やその他の預金の受入れに 基づいて,主として,企業活動を営なんでいる経済単位に対して,貸付信用の供与を実施してい る,その他の金融仲介機関が営なむ金融取引と同一の意味において,商業銀行が運営・実施して いる金融取引と密接な連関々係を持つような競争相手であるとは,見なされていない。さらに,

ファイナンス・コンバニーが営なむ,この種の信用の供与に対して,管理統制を加えることを意 図して立案・実施せられる,金融的な諸施策は,他の種類の金融取引の管理・統制を意図して立

(16)

金融政策の指導原理と施策の有効性(II)

(尾崎)

案・実施せられる諸施策とはことなり,ファイナンス・コンパニーの貸付能力に対して圧力を加 えるようなものであるよりは,むしろ,割賦払信用の供与を受けるものたちに対して適用せられ る,諸条件を管理・統制することを指向して,立案・実施せられているというのが,実情であ る。

これに対して,今日までの経験的な事実に照して,考察・検討して見ると,これらの,各種の 金融仲介機関が実施している金融取引に対して,現在,商業銀行の金融取引に賦課しているもの と同様な制限を賦課する権限を,中央銀行または金融当局に附与すべきであるということを主張 し得るような,積極的な理由は見出し得ないように思われる。ただし,それぞれのかたちの金融 取引に従事している諸機関の間における,取扱上の公平や,金融取引の効率の向上を促すという 観点からは,これらの金融仲介機関が営なむ金融取引に対しても,現に,商行銀行の金融取引に 対して課せられているものと同様な,支払準備として保有しておく必要がある,現金, ならび に,その他の流動性の高い金融資産の最低額に関する制限を設けることが望ましいと,考えられ る。しかし,当局に対して,このような権限が附与せられたからといって,経済安定の実現を目 指して立案•実施せられる諸施策の実施効果が,直ちに,著しく向上するというわけでは,勿論 ないであろう。また,金融仲介機関の整備・普及に伴なって,中央銀行または金融当局の,金融 的な諸施策の立案・実施による,経済的な諸活動に対する管理・統制の効果が,著しく減退して 来たということを,明確に示すような,実証的な根拠も,あまり,示されてはいないように思わ れる。さらに,一般の人達が,金融市場に発生する,各種の短期利子率の,わずかばかりの変動 に対応して,それぞれに保有している流動資産の保有形態を, 急激に,商業銀行の預金残高か ら,金融仲介機関が供給する,各種の金融資産に対する投資に,容易に変更しようとしないかぎ りは,金融仲介機関の存在が,かえって,金融当局の金融的な諸施策の実施効果を,拡大・強化 するように作用するという,好ましい働きを示すというような場合も,存在し得るであろう。こ れに対して,商業銀行が現実に保有して預金残高に対して,支払準備として,中央銀行または金 融当局によって定められている,一定比率の現金残高やその他の,流動性が高い金融資産を保有 することを義務付ける,支払準備率制度を適用しているのと同様に,金融仲介機関に対しても,

それぞれの機関が発行する,各種の債務証券に対する支払準備として,それぞれに保有しておく 必要がある現金残高やその他の流動資産の最低限の保有比率を規定し,さらに,この比率を変更 する権限を, 中央銀行または金融当局に附与するならば, その結果は, 商業銀行の場合と同様 に,これらの金融仲介機関に対して,金融取引を運営・実施することが出来るとともに,中央銀 行または金融当局から供与せられる便宜やサービスに対して,その代償として負担しなければな らない,一種の租税であると見なすことが出来るであろう。ところで,このような形態でもって 賦課・徴収せられる租税の負担が,これらの金融仲介機関が営なむことを認められている金融取 引の特権に対して,どの程度まで,値するものであるかという問題は,このような措置を適用す ることが,どの程度まで役に立つかという問題と同様に,著しく複雑に,入組んでいる問題の一

‑ 2 9  ‑

(17)

つである。

( 5 )  

特異な性格を備えた貸付信用の供与に対する管理・統制

この節の最後に,経済的な諸活動に対して,不安定を誘発する上に,特に,大きな影響力を持 っていると,一般に考えられているような種類の諸活動を営なむために必要な,貸付資金の調達 を目的とする金融取引の管理・統制の問題と,そのために適用せられる,具体的な諸施策の有効 性とに言及しておく必要がある。この問題は,現実の金融取引の場においては,それぞれの,具 体的な取引に基づいて供与せられる貸付信用が,実際には,どのような種類の実物取引のために 使用せられるかということを,明確に,しかも,金額上の対応関係において,的確に把握出来る ような手段が存在しないということによって,また,他方においては,同一の支出を賄うために 適用することが出来る金融取引が,多種・多様であるという事実により,さらに,このような支 出を賄うための資金を整えることを目的とする金融取引の一部は, これを管理・統制すること が,ほとんど,不可能であるという事実によって,非常に,深刻な問題になっている。特に,貸 付信用の需要者が,いろいろと種類の相異した資産を保有している個人や企業であったり,ある いは,また,いろんな種類の経済活動に従事している経済単位であったりする場合には,供与せ られる貸付信用の使用目的のいかんに関わりなく,必要なだけの額の貸付信用の調達を可能にす る,正当な調達方法を見出すことが可能である。さらに,特定の目的を実現するために用いられ る資金の必要度が,特に,高いような場合には,ある程度の猶予期間を置きさえすれば,そのた めに必要な資金を調達する,正当な方法を見出すということは,常に,可能である。

ところで,経済的な不安定を誘発する上に,特に,重要な影響力を持っていると考えられるよ うな種類の経済活動のために使用する資金に充当せられるような貸付信用の供与であると,一般 に,見なされている金融取引としては,割賦払信用の供与,その中でも,特に,消費財購入のた めの割賦払信用の供与,新資本投資に充当するために必要な貸付信用の供与,および,株式や不 動産を対象物件にする,投機に充当するための貸付信用の供与の,三種類の金融取引が挙げられ る。したがって,もしも,中央銀行または金融当局に対して,これらの三つの種類の金融取引を 管理統制する上に有効な,下記のような,特別な権限を附与するならば,経済安定を,より効果 的に,実現することが出来るであろう。すなわち,その第ーは,消費財を購入する際に,割賦払 信用を利用しようとする人が,頭金として,どれだけの金額を支払う必要があるかということ,

および,残余の額の分割支払の回数,したがって,分割支払によって,支払猶予の恩恵を享受す ることが出来る期間の長短というような,諸条件を管理統制する権限である。その第二は,新資 本の形成のために必要な投資々金を,借入金によって整えようとする場合,これを認許可するか 否かを決定する権限である。その第三は,投機の目的に使用せられる貸付信用の供与を禁止した り,このような性格を備えた貸付信用の供与を認める場合,需要者が整えておかなければならな い諸条件の設定権および変更権の附与である。しかも,このような種類の金融取引の管理・統制 に関して,中央銀行または金融当局に,特別の権限を附与することが望まれる根拠としては,対

(18)

金融政策の指導原理と施策の有効性

( J I )

(尾崎)

象になっている三種類の経済活動が,一般的な金融統制(間接的な金融政策)の対象になってい るような種類の金融取引によって供給せられる貸付信用に依拠する経済的な諸活動に比較して,

以下のような,特異な性格を備えているからである。

まず第一に,消費者が,割賦払信用を利用して行なう,消費財の購入は,この種の金融取引の 際に,貸付信用の利用者から賦課・徴収せられる利子の率の変動に対して,相対的に,敏感な反 応を示さず,むしろ, それぞれの消費財の購入の頭初に支払わなければならない頭金

(Down P a y n u n t )

の大小,および,債務総額の支払が完了するまでに要する期間の長さ,したがって,

割賦払の便宜が供与せられる回数および毎回の支払金額の多寡に対して敏感に反応する。また,

消費者が,各人の,将来の予想収入を担保にして,現在の所得を上廻る消費を実行に移すことを 可能にする能力を縮少させるような方策を講ずることに伴なって生じて来る不公平や,効率的な 経済運営を阻害するということは,生産的な諸活動に従事している企業に対して,同様な制限が 賦課せられた場合に発生する不公平や弊害に比較すると,重要性の度合が小さいと,いうことが 出来る。このように考えて来ると,割賦払信用の供与額を,全体的に管理・統制しようとする場 合には,頭金や満期日までの支払区分の構造等をも管理・統制する方が,消費者から賦課・徴収 する利子の利子率に管理・統制を加えるよりも,不公平の度合や効率的な経済運営を阻害する程 度が,相対的に,小さく,しかも,安定した経済状態の実現に,大きな貢献をするという期待を もつことが出来るのである。

このような主張が唱えられる反面において,割賦払信用の供与に当って,信用の需要者に対し て賦課せられる諸条件を管理・統制するということは,貸付信用の供与の担保として提供するこ とが出来る,何らかの資産を保有している人達や,著しく大きな収益力を備えており,しかも,

予想せられる収益が,金額的に確実であるために,個人的な信用に基づいて,商業銀行から,貸 付信用の供与を受けることが可能であるような人達に比較して,専ら,労働に従事することによ って稼得せられる所得だけに依存して,生活を続けている人達を不利に差別し,これらの人達に 対して,著しく不公平な,しかも,過重な負担を担わせる結果になるということを,主張するこ とも出来る。その上,米国および英国の経験に照して見ても明らかなように,消費者向の貸付信 用の供与に加えられる,上記のようなかたちの管理・統制が拡大・強化して来ると,その効果と して,消費財の需要に現われて来る諸影響を,直接的に回避し,あるいは,消費者が必要とする ような種類の耐久消費財を賃貸するという方法を採用することによって,間接的に,回避すると いうような,代替的な手段の案出とそれらの手段の普及•発達を促進することになるであろう。

また,耐久消費財の購入額を,そのために利用せられる割賦払信用の供与に関する諸条件を変更

・改正するという方法によって,管理・統制した場合には,その結果として,これらの耐久消費 財の購入をめぐって,置換循環

( R e p l a c e m e n tC y c l e ) ,  

あるいは,ェコー循環

( E c h oC y c l e )  

を誘発し.その結果,将来における経済安定の実現に,深い関心を持っている経済専門家や政策 当局者達が検討し,解決して行かなければならない経済的な諸問題を,ますます,深刻なものに

‑ 3 1   ‑

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影響と坊衝点の移動の仕方をi義論される。 これは第 3 図 において示されてい る。 最初の均衝点での債券価格は比である。

今日のわが国における金融構造について,一般にその特徴の一つに挙げられているの

金融的な諸施策の立案・実施がもたらす諸効果(尾崎) ( 1 2 5 ) 1 2 5   ない。これに対して,歴史的な実例は, 1 9 3

 しかし,筆者はこうした考え方は一方的なものだと考える。消費者が昨年の物と

ゲームを考える場合には、まずプレイヤーが誰かを決めなければならない。金融政策ゲームの場

第 3 の局面は,IT ブーム後の景気後退(IT バブル崩壊による景気後退) が終了した 2002 年 1 3 月期から 2007 年 10