第
1 3 号の刊行 にあたって
一 法人化 に伴 う長崎大学 の海外学生交流の拠点形成への新 たな議論 を‑
諸外国 との相互理解の増進 と人的ネ ッ トワーク構築の重要性 は、今後更 にグ ローバル化 の続 く世界情勢の中で益々高 まってい くと思われ る。 この ような背 景の もと、本 学留学生セ ンターは、昭和
61
年6
月( 1 986
年6
月) に学内措置 に よって設 けられた 「長崎大学外国人留学生指導センター」 を母体 とし、平成8
年5
月( 1996
年5
月) に省令施設 として海外学生交流の要 となるべ く誕生 した。本学 に於 ける留学生数 は、昭和
58
年 にスター トした文部省 による丁 留学生受 け 入れ1 0
万人計画」 に後押 しされる形で増大 し、現在 (平成1 7
年5
月)では40
カ 国か ら3 05
名 と留学セ ンター発足時の約1. 5
倍 となっている。 この ように本学で は、 その基本理念の一つ として従来 より国際化 を掲 げて きたが、平成1 6
年4
月( 2004
年4
月)の法人化 に伴 い、 この基本理念 を再認識 し 「アジアを含 む地域社 会 とともに歩みつつ、
世界 に とって不可欠 な知の情報発信拠点であ り続 ける」:
と明確 に宣言 してお り、今後 も海外学生交流の活発化が期待 されている。
この ように外国人留学生の増大 しつつある中で、本留学生センター は留学生 に対す る日本語教育 と生活指導、地域の国際交流機関 との情報交換や共同事業 の推進等 はもとより、更 なる留学生のための生活支援体制 の充実 に向 けた施策 の提言や策定 を担いつつある
。
特 に昨年度 にはいわゆる 「短 プロ」 と呼ばれ る 長崎大学短期留学 プログラムが開始 され、専門の教員 を配置す るとともに現在 第2
期生 を受 け入れ るべ く準備 を行 っているところである。 この制度 は、学術 交流協定 に基づ く海外諸大学か ら優れた学生 を1
年以内で受 け入れ、勉学 ・交 流の機会 を与 えるとともに日本人学生の国際交流 ・海外留学の機会 を増や し相 互理解 を促進す る目的で全国30程度の国立大学法人で導入 されている。 また、長崎出島 とゆか りのあるオランダのライデン大学学生向けに日本語 コースの短 プロもスター トし、 この 4月か らは教育学部 クロスカルチ ャー コースの学生 と
ともに行 う日蘭共修科 目 「長崎蘭学」が本セ ンターで開講 され学内外 より注 目 を集 めている。これ らの試みは緒 についたばか りであ り、経費の問題 も含 め様々 な課題 も抱 えているわ けであるが、今後英知 と英断 をもって発展 させてい く必 要がある。
一方、 これ までは国 を挙 げて海外か らの留学生 "数〟の増大 を図 ることに力
が注がれていたが、平成
1 5
年5
月( 2 0 0 3
年5
月) には受 け入れ留学生数が 目標 の1 0
万人 を突破 し、中央教育審議会 よ り新たな留学生政策への提言 (平成1 5
年1 2
月)が行われた。 そこで は、本来の趣 旨に立 ち返 り、受 け入れ学生 と相 当す る数の日本人学生 を海外 に派遣 ・留学 させ る双方向性の相互交流が提言 されて お り、本留学生センターにおいて も年複数回の海外留学説明会 を行 うな ど積極 的な促進活動が必要 とされている。 特 に海外留学で得 られた単位の認定 に関す る新たな制度が必要であ り、本セ ンターではこれ らについて も近々 に提言 をま とめ、外国人留学生中心の教育 ・指導セ ンターか ら、長崎大学 日本人学生の海 外派遣支援センターひいては異文化学生交流の形成拠点 としての機能の充実 ・ 拡張 を目指す所存である。 また本年度 よ り長崎大学国際研究協力戦略本部が開 設 され、益々国際連携協力研究の促進が図 られ ることになった。将来の研究交 流の人的資源 を確保す るために も、本学海外留学経験者のプロジェク トの中で の活用 を強 く提言 したい。昨今で は、外国人留学生の不法就労や不法滞在 の問題が顕在化 し、入国管理 の徹底 を求める社会的な動 きと相 まって、 よ り質の高い留学生 を選抜す る検定 方法の策定 も緊急の課題 となっている。 この種 の問題 は留学生の生活基盤 とも 深 く関係 してお り、公費留学生 は全国で
1 0%
程度であ り、本学で もほんの2 0%
と大変少 な く、現実問題 として残 りの私費留学生の生活支援 を行わなければ解 決 しない一面がある。期待 され る奨学金 は枠 も額 も小 さ くその獲得 には厳 しい 競争があ り、今後奨学金 に頼 らない民間的手法及 び産官学連携事業 による支援 体制の強化、更 には種々の国際交流機関 との積極 的な協調体制 の確立が図 られ る必要 を感 じる。 テ ィーチ ングアシスタン ト制度の積極的な活用 も含め これ ら の生活支援対策 に関 して も本留学生セ ンター は中心的役割 を担 うべ きである。
このような状況 にあって、『長崎大学留学生セ ンター紀要』の第
1 3
号 をここに 発刊 するに至 り、今後の海外学生交流教育の新たな開発や改善 に向 けた地道な 教育 ・研究上の取組 み等が議論 されている。 本機関誌が、外国人留学生教育及 び 日本人学生の海外派遣制度の更 なる充実に向けた学内外か らの議論 を呼び起こす とともに、広範 な意見 の提言の場 となることを期待 して止 まない0
平成
1 7
年5
月31 日
留学生セ ンター長 小路 武彦