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機 関 投 資 家 と経 営 者 支 配(2)
佐 賀 卓 雄
目 次
1,問 題 の 所 在
2.機 関 投 資 家 の 資 産 規 模 と株 式 保 有 3.機 関 投 資 家 の 権 力 行 使
(i)会 社 経 営 に 対 す る 行 動 原 理(以 上 第27巻 第2号) (ii)テ イ ク ・オ ヴ ァ ー と機 関 投 資 家
AGreatAmericanHoldingCo.の ケ ー ス BReliancelnsuranceCo.の ケ ー ス CUnitedFruitCo.の ケ ー ス(以 上 本 号) 4.経 営 者 支 配 論 と機 関 投 資 家
(i)経 営 者 支 配 論 の 構 造
(ii)機 関 投 資 家 の 役 割 ・
5.結 語
3.機 関投 資 家 の権 力 行使
(ii)テ イ ク ・ オ ヴ ァ ー と 機 関 投 資 家
メ
米 国 は第 二 次大 戦 後60年 代 末 に か け て 史上 最 大 の合 併 運動 にみ まわ れ た。 い わ ゆ る第3次 合併 運 動 で あ る。 この過 程 の 中で機 関投 資 家 は きわ め て積極 的 な 役 割 を 果 た した。 この合併 の最 も きわ だ った特徴 は,従 来 まで の水 平 的 合併 ・ 垂 直 的統 合 とい う企 業結 合 形態 にか わ って,コ ソ グ ロマ リ ッ ト型合 併 がそ の主 要 形 態 とな った とい う点 に あ るが,こ の結 合 形態 に おい ては 相 互 に事 業上 の つ な が りの な い複数 の企 業 が結 合 し,し か もス トッ クあ るい は キ ャ ッシ ュに よる テ ンダ ー ・オ フ ァーに よって企 業 取 得 が な され るた めに,必 然 的 に金 融 的要 因 (一 株 あ た り利益,株 価 な ど)が 合併 の決 定要 因 とみ な され る こ とに な った。
企 業 活動 の本 来的 展 開 と して の合 併 が,市 場 占有 率 の確 保 や規 模 の経 済 性 の追
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商 学 討 究 第29巻 第1号
求,あ るいは 製造 工程 の統 合 化 に よ る中 間 マ ージ ンの排 除 とい う形 で直 接企 業 利 益 の上 昇 に関 連 して い るのに 対 して,コ ン グ ロマ リッ ト合併 は む しろ 機関投
じ
資 家 の利害 と密接 に 関連 して い る とい うこ とがで き るか も しれ ない。
前 項 で検 討 した よ うに,機 関投 資 家 の対 象会 社経 営 に対 す る コ ミ ッ トは どち らか とい うと従 来 まで の慣 行 を大 き くふ みは ず した もので は な く,'む しろ消極 釣 な もので あ った が,企 業 支 配権 の移 転 に直 接 関連 す る テ イク ・オ ヴ ァー過 程 へ の コ ミ ッ トは きわ め て積極 的 で あ る。 以 下 で ば,い くつ か の ケ ースを 紹 介 し な が ら,機 関投 資 家 の テ イク ・オ ヴ ァー過程 へ の コ ミッ トの実 態 を 明 らか に し て ゆ くが,さ しあた り一 般 的 に そ の根 拠 を示 して お こ う。
SECの 機 関 投 資 家調 査 報 告は9個 の ケ ース ・ス タデ ィか ら得 られた一 般 的
ご ね ら
な結 論 と して次 の よ うな根拠 を示 して い る。
1.流 動 性
大 量 の発 行株 式 を保 有 して い る機 関は通 常 の市 場 販 売 を通 じて そ れを処 理す る こ とが非 常 に 困難 で あ る。 も し,マ ーケ ッ ト ・メー カーがそ の大 量 の株 式 を 処 理 す る こ とがで きず,し か も機 関 が現金 に対 す る緊 急 の必要 一 例 えば,純 買 戻 し状 態 に あ る ミュ ーチ ュアル ・フ ァン ドの よ うに 一 が あ る とす れ ば,機 関 は 対象 会 社株 式 の 残余 に つ いて テ イク ・オ ヴ ァーを試 み るさ きが け と して, 保 有株 式 を買 い とって くれ る潜在 的 取 得 会社 を探 そ うとす るか も しれな い。
2.パ ー フ ォ マ ソ ス
支 配権 の移 転は 機 関 に短 期的利 潤 の取 得機 会 を提供 す るか も しれな い。 会 社 支 配 のた め の ビ ッ ドは 通常 目標 会社(targetcompany)証 券 の価 格上 昇 を も た らす 。 も し機 関 が最 高価 格 に達 す る以 前 にそ の よ うな証券 を購二 入 で き るな ら
ノ 、
原 稿 受 領1978年6月8日
⑬ も っ と も こ の こ と は コ ソ グ ロ マ リ ッ ト合 併 が す べ て 金 融 的 要 因 で 説 明 され る と い う こ とで は な い 。 コ ソ グ ロ マ リ ッ ト合 併 と い え ど も,そ れ な りの 経 済 性 追 求 か ら生 ま れ て く る の で あ っ て,「 シ ナ ー ジ ー 効 果 」 と 一 般 に 呼 ば れ る も の が これ で あ る 。 1「シ ナ ■・…ジ ー 効 果 」 概 念 は 多 様 な 内 容 を も っ て い る が,さ し あ た りF・ ウ ェ ス ト ン
「企 業 評 価 と 財 務 管 理 と の 関 係 」(A.A.ロ ビ ヂ ェ ッ ク編r企 業 の 財 務 意 思 決 定 』 同 文 館,所 収)30〜32頁 を 参 照 さ れ た い 。
⑭SEC,oP.cit,Vo1.5.pp.2772〜4
、
〆
機 関 投 家 と 経 営 者 支 配(2)
61ば,取 得 会社(biddingCompany)に そ れ らを 売却 あ るい は テ ソ ダ ーす るか に よ って即 座 に 利益 を得 る こ とが可 能 で あ る。
3.特 殊 な 利益 ・
目標 会 社 の相 当 量 の株 式 を保 有 して い るか,あ るい は そ れを取 得 し うる金 融 的 能 力を保 持 して い る機 関 は,通 常 の投 資 家 に利用 可能 で あ る条 件 よ りも有 利
な 条件 で 交 渉 で きるか,又 は他 の優 遇措 置 を ひ きだす こ とが 可能 か も しれ な い。
機 関あ るいは そ の財 務管 理 担 当者 は,目 標 会 社 のす べ て の株 主 に は等 し く与 え られな い特別 価 格,機 会,誘 因 を与 え られ るか も しれ な い。 これ らの利 益 は 機 関 の保 有す る株 式 に よって遂 行 され る潜 在的 会 社 支配 とい う属 性 に対 す る 「プ
レ ミア ム」 を な すか も しれ な い 。 これ らの機 関に のみ固 有 な利 益 と しては 次 の よ うな ものが認 め られ る。
{a)機 関 は テaク ・オ ヴ ァ ー が 考 慮 され て い る とい う事 前 通 告 あ る い は 情 輯 を受 け るか も しれ ない。 そ の よ うな通告 の 目的は,機 関 が ビ ッ ドの公示 に
ともな う価 格上 昇 を 期待 して 目標 会 社 の株 式を取 得す る のを可 能 にす る こ 、 とで あ る。 もち ろん,取 得 会社 が,そ の よ うな情 報 の提 供 に 対す る報 酬 と
して,機 関 が取 得 した 目標 会 社株 式 を提供 す るの を 期待 す る こ とは い うま.
で もない。
㈲ 機 関 は将 来 の予 想 され る利 益 を確 信 して取 得 会社 に 目標 会 社株 式 を 売却 す る よ うに 勧 誘 され る可能 性 があ る。 そ の よ うな利 益 と しては,キ ャ ッシ
ユ 。テ ソダ ー ・オ フ ァーあ るいは セ キ ュ リテ ィ ・テ ソ ダ ー ・オ フ ァーに お い て 目標 会社 株 式に 対 して後 に公 示 され る よ り高 い価 格 を受 け る権 利,株 式 のそ の後 の処 分 に あた って取 得 会社 に よって実 現 され たい か な る利益 に も参 加 す る権 利 な どが あ る。
(c)機 関 は考 慮 され て い る株 式取 得 を 容易 に す る 目的 で の取 得 会社 に よ る資
鴨
金 調 達 に 参加 す る権 利 を 与 え られ るか も しれ な い。 例 えば,銀 行は 取 得 会
社 が大量 の 目標 会社株 式 を現 金 で取 得 す るか,あ るいは キ ャ ッシ ュ ・テ ソ
ダ ー ・オ フ ァーを実 施 す る ことが可能 とな るよ うに資 金 の貸 付 を 行 う。 ま
た機 関は非 公 募 で取 得 会社 の 発 行す る証券 を購 入 し,そ れ に よ って得 られ
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商 学 討 究 第29巻 第1号
た資 金 が 目標 会社 株 式 り取 得 に利 用 され る。 機 関 が取 得会 社 と債 権 者,預 金 者,あ るい は従 業 員 年 金信 託 な どの有 利 な事 業 上 の 関係 を もってい る時 に は,テ イ ク ・オヴ ァー過 程 へ の コ ミッ トに 抵 抗す る こ とは 事 実上 困 難 で あ る。 さ らに,取 得会社 に よ る 目標 会 社株 式 の取 得 努 力は 機 関 に追加 的 な 業 務 を与 え る。 す なわ ち,目 標 会社 に重 要 な株 主 と して の地 位 を 占 め てい るか,あ るいは 取 得会 社 に対 して 商業 的 な 貸手 と しての便 宜 を計6て い る 銀 行 は エ ク ス チ ェ ソ ジ ・ナ フ ァ ー の 際 の 代 理 人 に 指 定 さ れ る,
(d)機 関 の財 務管 理 担 当者 は,も しオ フ ァーが成 功 した な らぽ得 られ るで あ ろ う将 来 の利 益 を保証 され る こと と引代 えに,機 関 が 目標 会 社 の証 券 を 購 入 し,そ れ を取 得 会 社 に提 供 す る よ うに勧 誘 きれ る。
以 上 が9個 の ケ ー ス ・ス タデ ィか ら機 関 投 資 家 が 企 業 支 配 権 の 移 転 に コ ミ ッ
じ ラ
トす るこ とに つ い て得 られた一 般 的 な根 拠,あ るい は利 害 状況 で あ るが,SEC の調 査 報 告 は,証 券 市 場 を経 由 しての企 業 支配 権 の移 転現 象 とそ の過 程 で の機 関 投 資 家 の 役 割 を 「自己 達 成 的 予 言(Self‑fulfitingProphecy)と い う市 場 心
くユ コ
理 の 産 物 」 と特 徴 づ け て い る。 そ の 意 味 す る と こ ろ は,ブ ロ ー カ ーは 株 価 の 低
⑮ 同 様 の 根 拠 は イ ギ リ ス に つ い て も 認 め られ る よ うで あ る 。 ドビ ン ズ(R.Dobbins) と マ ッ クル ー(T.W.McRoe)は 機 関 投 資 家 が 将 来 会 社 経 営 に コ ミ ッ トす る 可 能 性 が 強 い と思 わ れ る根 拠 と し て 次 の よ うな も の を 指 摘 して い る。
{a}金' 融 機 関 は,附 加 価 値 に つ い て の 従 業 員,消 費 者,政 府 の 要 求 に 対 して 自 己 の 利 害 を 防 衛 す る よ うに な らね ば な らな い 。
(b}機 関 株 主 は 多 くの 企 業 に お い て 多 数 株 主 で あ る た め,こ の 事 実 だ け で 関 係 会 社 の 経 営 陣 に よ っ て 彼 らの 見 解 に 対 し て よ り大 き な 注 意 が 向 け られ る こ と に な ろ う。
{c)こ こ数 年,新 資 金 の ま す ま す 増 大 す る部 分 が 機 関 か ら流 入 す るだ ろ う。 こ の こ とは これ らの 機 関 か らの 助 言 に 対 し て 財 務 部 長 を よ り従 順 に させ る だ ろ う。
{d)会 社 経 営 者 は 機 関 に よ る株 式 へ の 増 大 す る 需 要 が 会 社 の 市 場 資 本 化 に 好 ま し い 影 響 を 与 え る と い う こ と に 次 第 に 気 づ い て い る。 こ の こ とが ま た 会 社 め 財 務 部 長 を 機 関 の 助 言 に 従 順 に さ せ て い る 。
{e)比 較 的 少 数 の 会 社 へ の 多 大 な 利 害 は,投 資 管 理 者 に ま す ま す 助 言 を 行 わ せ,保 有 株 式 を 処 理 さ せ な い よ うに させ るだ ろ う。 大 量 の 持 株 の 処 分 は,販 売 に あ た っ て 株 式 価 値 に 好 ま し くな い 影 響 を 与 え るで あ ろ う。
(R.Dobbins&T.W.McRoe,1nstitutionalShareholdersandCorporate Management,1975,pp.19〜20)
ち な み に,イ ギ リス の 機 関 持 株 比 率 は1974年 で 全 上 場 会 社 株 式 の 約45%で あ る。
⑯SEC,oかcit.Vol.5.p.2774
機 関 投 家 と 経 営 老 支 配(2)
63落 が 企 業 経 営 の まず さ に 起 因 す る もの とみ な し,経 営 陣 な い し経 営 政 策 の 変 更 を 求 め て テ イ ク ・オ ヴ ァ ・ 一を 積 極 的 に 推 進 し,そ の結 果 と して 株 式 市 場 で の 新 た な 均 衡 を 達 成 す る とい う こ とで あ る。 これ は 経 営 活 動 を 資 本 市 場 の側 か ら規 制 して い くこ とに 他 な らな い が,ブ ロ ーカ ー あ る い は 機 関 投 資 家 とい う金 融 取 引 主 体 に 注 目す るな らば,合 併 運 動 が 金 融 的 要 因 の 優 位 の 上 に 展 開 され る こ と 馳 を 意 味 す る。SECの ヶ 一 ス ・ス タデ ィか ら得 られ る一 般 的 結 論 は 以 上 の よ うに 要 約 さ れ る の で あ るが,具 体 例 と して 比 較 的 詳 細 な 資 料 が 入 手 可 能 な3個 の事 例 を 紹 介 しな が ら,機 関 投 資 家 の テ イ ク ・オ ヴ ァ ー過 程 へ の コ ミ ッ トを 明 らか に して ゆ こ う。
AGreatAmericanHoldingCo.の ケ ー ス
多 様 な 娯 楽 ・レジ ャ ー事 業 を 営 ん で い るNationalGeneralCo.(N㏄ と略 記) は1968年3月31日 現 在,195百 万 ドル と3.6百 万 の 発 行株 式 を 有 す る コ ソ グ ロ マ
リ ッ ト企 業 で あ った 。1967年 にNGCは 会 社 取 得 計 画 に の りだ した 。1968年 は じ め に 出 版 会 社,っ つ い て 映 画 会 社 を 取 得 し よ う と した 。NGCは 取 得 計 画 を 推 進 す る必 要 か ら,機 関 投 資 家 の 関 心 を 喚 起 す るた め に 機 関 の 投 資 マ ネ ジ ャ ーや ブ ロ ー カ ー ・デ ィ ラ ー と接 触 しは じめ た 。 こ の 努 力 に よ っ て,ブ ロ ー カ ーが NGC株 式 に 関 心 を 示 し,機i関 投 資 家 や 他 の 顧 客 に す す め た 。1968年 第1・ 四 半 期 に は 機 関 投 資 家 のNGC株 式 の 購 入 は 比 較 的 少 な か った が,第2・ 四 半 期 に は 機 関 投 資 家 のNGC株 式 の購 入 は693,000株 に達 した が,こ れ は 発 行 株 数 の18.2
%に 相 当 し て い た 。 この 結 果,N㏄ の株 価 は25ド ル か ら60.ドル に 上 昇 した 。 N㏄ 株 を 購 入 した 機 関 投 資 家 はNGCの 会 社 取 得 計 画 とそ れ が もた らす で あ ろ
ロの
う二 株 あ た り利 益 の上 昇 を 期 待 した の で あ る。 、
さ て,1968年8月 以 降,ブn‑一 カ ー ・デ ィ ラ ーは 財 務 分 析 家 に よ っ て 準 備 さ れ た 調 査 研 究 に も とつ い て 顧 客 に 損 害 保 険 会 社 の 証 券 の 購 入 を勧 め て い た 。 こ
⑰ 米 国 証 券 市 場 で は 一一・一一・一般 に 株 価 は1株 あ た り利 益 に よ っ て 決 定 さ れ る と い わ れ る 。 尚,テ イ ク ・オ ヴ ァ ー を 遂 行 す る ラえ で 自社 の 株 価 を 上 昇 さ 潭 る こ と は 株 式 交 換 を 有 利 に 遂 行 す る うえ で 必 要 とな る 。 こ の 株 価 形 成 メ カ ニ ズ ム に つ い て は,さ しあ た り宮 崎 義 一r寡 占 』 岩 波 新 書,136〜9頁,奥 村 茂 次 「ア メ リカ の 企 業 合 併 と コ ン グinマ リ ッ ト」(r経 済 評 論 』 昭 和45年9月 号>50〜51頁,を 参 照 され た い 。
'
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商 学 討 究 第29巻 第1号
の 報 告 書 は これ らの 会 社 が 法 定 必 要 準 備 金 を こ え る流 動 資 産 の 最 適 な 利 用 を 行 な って い な い とい う主 張 を 支 持 して い た。 この た め,非 金 融 会 社 に と っ て これ ら の会 社 が そ の 流 動 資 産 を 利 用 で き る取 得 目標 で あ る と考 え られ た の で あ る。
さ らに,取 得 の 現 実 条 件 と して 報 告 書 は 保 険 会 社 株 式 が しば しば簿 価 以 下 で 売 買 され,そ の よ うな 会 社 の経 営 者 は 発 行 株 式 の 相 当 部 分 を保 有 して い な い とい うこ とを 指 摘 した 。GreatAmericanHoldlngCo.(GAHと 略 記)は そ の よ うな 会 社 の 一 つ と して リス ト ・ア ッ プ され て い た 。GAHは 損 害 保 険 会 社 で あ る GreqtAmericanInsuranceCo.の 親 会 社 で あ り,1968年6月30日 現 在664百 万
ドル の 資 産 と6.2百 万 の 発 行 株 数 を 有 して い た 。
へ
1968年5月13日 に,NGCの 社 長 は ブtfLヵ 一 ・デ ィ ラ ー と会 い,GAHの 支 配 権 の 取 得 可 能 性 に つ い て論 じた 。1968年5月28印 こ,GAHの 株 価 は38ド ル で あ った が,N㏄ の 最 高 経 営 委 員 会 は 一 株55ド ル まで の 価 格 でGAH株 式 を50
万 株 購 入 す る こ とを 決 定 した 。 この 購 入 に 必 要 な 資 金 を 調 達 す るた め にNGCは 私 募 でNGCの 普 通 株 購 入 ワ ラ ン トを 個 人 及 び 機 関 に 売 却 した 。1968年3月 に, N㏄ のGAH取 得 に 関 心 を 持 っ て い た ブ ロ ー 一カ ーは 代 理 勘 定 でNGCの た め に GAH株 式 を 購 入 しは じめ た 。6月11日 まで に403,700株 が 購 入 され,そ れ は 発 ・ 行 株 数 の7%に 相 当 して い た 。t
こ の 時 に な っ て,GAHは 自社 が 目標 とな って い る こ とに 気 づ き,投 資 銀 行 家 に 他 の 適 当 な 合 併 相 手 を 探 して くれ る よ う依 頼 した 。 そ の 投 資 銀 行 家 は あ る 会 社 を 示 唆 し,1968年6月7日 に 同 社 はGAH取 締 役 会 に 取 締 役 を 送 りこ ん で い る銀 行 か らGAH株 式296,000株 を 買 い い れ た 。 しか し,投 資 銀 行 家 は 同社 が 呈 示 した 買 入 価 格 で はGAH株 式 を 収 集 す る こ とが で きず,6月10日 に は 同社 ほ 撤 退 す る こ とに な る。6月7日 にNGCの ブ ロー ヵ 一 ・デ ィ ラ ーはNGCに よ
る大 塁 の株 式 購 入 を 提 案 した 。ブ ロ ー カ ー 一 一 … デ ィ ラ ーは 保 険 会 社 か ら14S,000株, 上 述 の 撤 退 会 社 か ら296,000株 の 買 入 を 取 り決opた 。 この 合 計441,000株 の う ち, N㏄ は266,000株 を 購 入 し,残 余 は ブPt‑一 カ ー ・デ ィ ラ ー の 顧 客 に 売 却 され た 。 そ の 中 に はGAH株 の 最 初 の購 入 資 金 の 調 達 の た め に お こな わ れ たNGCの 私 募 に 加 わ った 機 関 投 資 家 が 含 まれ て い た 。
㍉ド
、
機 関 投 家 と 経 営 老 支 配(2)
65一 方 ・1968年6月12 、 日か ら25日 まで の 間,NGCはGAHと の 友 好 的 な 合 併 を 交 渉 し よ う と した が,不 成 功 に終 っ た。 そ の 結 果,6月25日 にNGCの 経 営 委 員 会 はGAH株 式 に 対 す る エ クス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ー を 行 うこ と を 決 定 した 。 GAH株 式 と交 換 され るの はNGC発 行 の 転 換 社 債 と普 通 株 ワ ラ ソ トで あ り,そ の 額 は400.2百 万 ドル に 達 した 。 オ フ ァ ー は6月26日 に 告 示 され た 。
〆さ て6月6日 以 来GAHはAMKCorporation(AMKと 略 記
。 ミー ト ・パ ッキ ン グに 従 事 し,1968年5月31日 現 奮 資 産178 ・3百万 ドル,発 行 株 数2・2百 万 株) と合 併 交 渉 を 続 け て い た が,NGCが エ クス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ー を 告 示 した 翌 日 に,AMKはGAHと の 間 に 友 好 的 な 話 し合 い が もた れ,AMKの 公 式 提 案 に 配 慮 が な さ れ た 旨 の 新 聞 公 告 を 掲 載 した 。7月10日 に な る と,GAHの 示 唆 に よ りAMKは 合 併 案 を 提 示 した 。 これ を 受 け て7月16日 に はN㏄ は エ ク ス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ー の 条 件 を 改 訂 した が,AMK株 式 はGAHと の 合 併 を 反 映 す る市 場 期 待 か ら新 高 値 を 記 録 した◎7月28日 に は,N㏄ の改 訂 され た オ フ ァ ーに もか か わ らず,GAHはAMKと の 合 併 の 同意 を 伝 え た 。 こ う してGAHを め ぐ っ て AMKとNGCと の 間 で 競 合 が 始 ま っ た 。NGC側 はAMKの 中 心 的 な 経 営 者 が 重 病 で あ り,い くつ か の フ ァ ン ドはAMK株 式 を 「ダ ソ ピ ン グ」 して い る とい う
うわ さ を 流 布 しは じめ た 。 大 部 分 の 機 関 投 資 家 は これ らの うわ さ に よ って は 影 響 され な い との べ て い た が,NGCめ エ クス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ーが 発 効 に な る8 月8日 まで に,AMK株 式 の 価 格 は か な り低 落 した 。 合 計471,200株 に 達 す る
6
AMK株 式 がig68年 第3・ 四 半 期 中 に 六 つ の ミュ ー チ ユ ア ル ・フ ァ ソ ドに よ っ て売 却 さ れ た が,そ の うち の 一 つ はNGCの 私 募 に 参 加 して い た ミュ ーチ ュ ア ル ・フ ァ ソ ドで あ った 。NGCの エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ーが 発 効 とな った 日 に,二 つ の フ ァ ン ドはNGCの 経 営 首 脳 の 訪 問 後154,000のAMK株 を 売 却 した 。 NGCが 以 前 に は 何 ら の接 触 を も っ て い な か っ た に も か か わ らず,GAH株 の5%
を 保 有 し て い る 銀 行 が エ ク ス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ー の 代 理 人 に 指 名 さ れ た 。 そ の
銀 行 は そ の 後 これ らの 株 式 の半 分 をNGCに 提 供 し,残 りをNGCに オ フ ァー さ
れ る とい うこ とが は っ き り と明 らか に な った 締 切 日近 くに 市 場 で 売 却 した 。 い
くつ か の ミュ ー チ ュ アル ・フ ァソ ドとナ フ ・シ ョア ・フ ァ ン ドがGAH株 式 の
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商 学 討 究 第29巻 第1号
か な りの 量 を取 得 しは じめ た 。
NGCの こ う したGAH株 式 の 取 得 努 力 の 結 果,1968年10月4日 の エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ー締 切 日に はGAHの 発 行 株 数 の69%oが 集 め られ,オ フ ァーは 成 功 した 。 こ の過 程 で 果 た した 機 関 投 資 家 の 役 割 は 第9表 に は っ き り と示 され て い る。 す な わ ち,NGCの エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ー以 前 で あ る1968年5月12日
第9表GAHの 取得 にはた した機関投資 家の役割
AGAHの 総発行株数
B回 答 した機 関投資家 の普通株 保有 総 数(1968年5月12日 現在) C.Aに 対す るBの 割 合
Dテ ソダー された普通株総数/・
E回 答 した機関 投資 家 に よってテ ソダー され た普通株 総数 FDに 対す るEの 割合
6,157,141
1,711,538 27.79AO 4,244,269
1,690,960 39.84%
出所SEC,op.cit,Vol.5,P.2786
現 在 で 回 答 した 機 関 投 資 家 のGAH株 の 保 有 比 率 は27・79%で あ っtgが,エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ーに よ っ て集 中 され たGAH普 通 株 の 実 に4割 弱 を これ らの 機 関 投 資 家 が 様 々な 方 法 で 収 集 し,N㏄ に 提 供 し て い る の で あ る。
BRelianceInsuranceCo.の ケ ー ス
GAHの ケ ー スで ふ れ た よ うに,ブ ロ ー ヵ 一 ・デ ィ ラ ーは1967年 に 保 険 業 に 関 す る報 告 書 を 作 成 し,損 害 保 険 会 社 は 充 分 に に 余 剰 資 金 を 利 用 して い な い と い う こ とを 指 摘 した 。 そ して,そ の よ うな 余 剰 資 金 が 非 金 融 会 社 に よ っ て充 用
され るな らば,保 険 会 社 株 式 の 価 値 は 相 当 程 度 上 昇 す るで あ ろ う こ とを 予 想 し た 。 この こ とは,非 金 融 会 社 に よ っ て 損 害 保 険 会 社 の テ イ ク ・オ ヴ ァ ーが 試 み
られ る な らば,保 険 会 社 株 式 は 機 関 投 資 家 に と っ てす ぐれ た 短 期 の 投 資 機 会 を 提 供 す る もの で あ る こ とを 意 味 して い た。
ブ ロ ー カ ー ・デ ィ ラ ー は 報 告 書 を 顧 客 に 回 覧 さ せ,同 時 に そ の 中 に 掲 載 さ れ て い る保 険 会 社 と接 触 を 行 っ た 。RelianceInsuranceCo・(Reliance .と略 記) は そ の よ うな 保 険 会 社 の 一 つ で あ り,ブPt・ 一 一ヵ 一 ・デ ィ ラ ー は ・Relian㏄ に 自
発 的 な 合 併 を 勧 め た が,Relianceの 経 営 陣 は こ の 提 案 を拒 ん だ 。 しか し,ブ
機 関 投 家 と 経 営 者 支 配(2)
67ロ ー カ ーは 躊 躇 せ ず にRelianceの 合 併 相 手 を 探 し始 め た 。
LeascoDataProcessingEquipmentCorp.(Leascoと 略 記)は コ ソ ピ ュ ー タ ー の リー ス会 社 で あ り,当 時 の 成 長 産 業 の 一 一つ に 属 す る 高 株 価 収 益 率 を 誇 る企 業 で は あ った が,規 模 はRelianceよ りは るか に 小 さ か った 。1967年 にLeasco は ブ ロ ー カ ー か らの 報 告 書 を 受 け,損 害 保 険 会 社 に つ い て 知 り可 能 な 合 併 相 手 を 見 い だ す た め に ブ ロ ー カ ー と相 談 した 。 ブ ロ ー カ ーは い くつ か の 会 社 名 を 示
」
唆 し た が,そ の 中 に はGAHとRelianceが 含 ま れ て い た 。
1968年1月 に ブPt‑一一カ ー はLeascoに 対 し て 顧 客 がReliance株 式600,000株 を 保 有 し,さ ら に 適 当 な 価 格 でRelianceの4.7百 万 の 発 行 株 数 の う ち2百 万
ゆ
・ 株 を 取 得 可 能 で あ る こ とを 伝 え た 。 しか し・Lea登coは ブ ロ ー カ ー の 要 求 す る 報 酬 が 法 外 な も の で あ っ た た め に 決 断 しか ね た 。 一 方 で ほ,ブ ロー カ ー は Reliance株 が 簿 価 以 下 で 売 買 され て お り,そ の よ うな 状 況 はLeascoが テ イ
ク ・オ ヴ ァー を 試 み る な らば 変 化 す るで あ ろ う と予 想 し て 顧 客 で あ る機 関 投 資 家 にReliance株 の購 入 を 強 く勧 め た 。'
Leascoは ブ ロ ー カ ー の 強 い 勧 め に 譲 歩 して,1968年3月13日 にReliance 株 を い く らか 保 有 す る こ とを 決 定 した 。 この 購 入規 模 は ブ ロ ー カ ーを 失 望 させ た が,LeascOは ブ ロ ー カ ー に 対 し て 他 の ア ン ダ ー ラ イ タ 門 を 通 じて 普 通 株 と
ワ ラ ソ トの公 募 を 行 う まで は,将 来 の 取 得 計 画 に 関 し て は 何 らの 決 定 を 行 な わ な い こ とを 伝 え た 。 ブP・ 一カ ーは 緩 慢 で は あ るがLeascoの テ オ ク ・オヴ ア ー の 試 み の方 向 性 が は っ き り した も の と 判 断 し,機 関 投 資 家 にReliance株 の 購 入 を 勧 め る方 向 に 動 き 出 した 。 こ の よ うな 情 報 は 一 般 の 投 資 家 に は 提 供 され な か った 。4月10日 か ら5月28日 に か け て 大 手 の ミュ ーチ ュ ア ル ・フ ァ ン ドが プ ロ ー 一カ ーを 通 じてReliance株200,000株 を 購 入 した 。 情 報 は 同 系 列 内 の 他 の フ
ァソ ドに も伝 え られ,Reliance株 の 購 入 が 行 わ れ た 。Leascoが は じめ て Relianceの 総 発 行 株 数 の3%を 取 得 した と公 表 した の は5月24日 の こ とで あ
った 。 同様 の 予 想 買 い は ミュ ー チ ュ アル ・フ ァ ン ドを 中 心 と し て 他 の 機 関 投 資 家 に よ っ て も 行 な わ れ た 。 これ らの購 入 に よ って 取 得 され たReliance株 の 大 部 分 は そ の 後 の エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ・ 一 ・ ・ の 過 程 でLeascoに 提 供 さ れ る こ
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商 学 討 究 第29巻 第1号
とに な る。1968年 の 前 半期 の 間 に,ブ ロ ー ヵ 一 の 顧 客 のReliance株 の購 入 は 合 計1.2百 万 株 に 及 び,こ れ は 総 発 行 株 数 の 約26%に 相 当 す る も の で あ っ た。
個 々 の 機 関 投 資 家 は 決 して10%以 上 は 購 入 しな か っ た が,こ れ らの 機 関 買 い の 行 動 は す べ て 予 想 さ れ る テ イ ク ・オ ヴ ァ ー の試 み とエ クス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ー の 過 程 で こ れ らの 取 得 株 式 を相 当 の 利 益 を 得 て処 理 す る こ とが 可 能 で あ る とい
う同 一 の 情 報 に も とつ い て 行 な わ れ た もの で あ った 。
1968年6月11日,一 方 で の ブ ロ ー カ ーのReliance株 の 取 得 努 力 を 背 景 と し て,ブ ロ ー カ ーはLeascoの 優 柔 不 断 に 対 して 不 満 を 表 明 した 。6月17日, LeasceはRelianceの 経 営 陣 と会 見 し,友 好 的 な 合併 を 伝 え,Relian㏄ の 取 締 役 会 に 対 して 公 式 の 提 案 を 行 っ た 。 この 提 案 は 即 座 に 脚 下 さ れ,こ れ を 受 け て6月21日 にLeascoはReliance株 に 対 す る エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ーを 告 示 した 。Reliance株 と交 換 され る の はLeascoの 普 通 株 ワ ラ ソ トと転 換 社 債 で あ った 。8月 末 の エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ー の発 効 時点 まで に,ブ ロ ー カ ー の 顧 客 で あ る機i関投 資 家 のReliance株 取 得 は 総 発 行 株 数 の 約25%に 及 ん で お り,こ れ らの 株 式 は す べ て エ ク ス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ー の過 程 でLeascOに 引 渡 さ れ た。
当 初,Relianceの 経 営 陣 はLeascoの オ フ ァー に 対 して 強 硬 に 反 対 し,他
、 会 社 との 防 衛 的 な 合 併 の た め に 数 社 と接 触 して い た が,1968年8月1日 に Leascoが オ フ ァ ーの 条 件 を 改 訂 し,同 時 にRelianceの 経 営 陣 に 対 して エ ク
ス チ ェ ス ジ ・rオフ ァ ーが 成 功 した 場 合 に は 上 層 経 営 者 を 向 こ う5年 間 雇 用 しつ づ け る こ とを 確i約 した た め に,Relianceの 経 営 陣 は5年 間 はLeascoが
Relianceに 対 して 完 全 な経 営 支 配 を 行 な わ な い だ ろ う と理 解 して ・ オ フ ァ ー に 対 す る反 対 を 撤 回 した 。
と ころ が,7月 末 に な ってLeascoはReliance普 通 株 の 総 発 行株 数 の 約14
%が,3人 のReliapce取 締 役,彼 ら の 家 族,フ ァ ミ リ ィ ー ・ トラ ス ト,家 族 支 配 会 社 か らな る小 グル ー プの ク ラ スAの 普 通 株 主 に よ っ て保 有 され て い る こ、
とに 気 づ い た 。 これ ら ク ラ スA普 通 株 はReliance取 締 役 会 の 承 認 に も とつ い
て 各 ク ラ スA普 通 株1株 に 対 して 普 通 株10株 と交 換 され る こ とに な っ て い た 。
機 関 投 家 と 経 営 者 支 配(2)
69LeascoはRelianceの 取 締 役 会 が この 交 換 を 承 認 しな い と考 え な が ら も,そ れ らがRelianceに よ って 防 衛 に 利 用 され る 可 能 性 を 排 除 す る た め に ク ラ スA 株 主 と購 入 の 交 渉 を 始 め た 。 こ の 交 渉 は ク ラ スA株 主 が 現 金 で の 支 払 を 望 ん だ
く コ
た め 難 航 した 。 しか し,こ の 問 題 は7月23日 に 次 の よ うな取 り決 め を 行 う こ と に よ って 解 決 さ れ た 。 す な わ ち,ク ラ スA株 主 はLeascoに そ の 保 有 株 式 を LeaSCOの 発 行 す る証 券 と交 換 に 引 渡 し,LeaSCOは 自社 発 行 の 証 券 を 現 金 で 買 い と っ て くれ る買 手 を 探 して く る とい うも の で あ る。LeaSCOは この 取 り決 め を 実 行 す る た め に 約20の 機 関 投 資 家 に 自社 発 行 の 証 券 を 買 い と らせ た の で あ る。
この うち 約 半 分 は 商 業 銀 行 の 信 託 部 門 が 買 い と っ た。
この よ うに してLeascoはRelianceの 取 得 に 成 功 す る の で あ るが,こ の過 程 で は た した 機 関 投 資 家 の 役 割 は 第10表 に 示 され て い る 。す な わ ち,Leascoは Relianceの 総 発 行 株 数 の 約97.8%を 取 得 す る の で あ る が,こ の うち32.05%が
第10表Relianceの 取得にはた した機関投資 家の役割
ABCDEF
Relianceの 総発 行株 数
回答 した機 関投資家 の普通株 保有 総数(1967年12月31日 現在) Aに 対 す るBの 割 合
テ ソダー され た普通株総数'
回答 した機関 投資家に よって テ ンダ ーされた普通株 総数 Dに 対す るEの 割合
4,713,220 1,149,332
24.38%
4,571,823 1,465,365 32.05%
出 所SEC,oP.cit,Vol.5,p.2792
投 資 会 社28社 を 中 心 と す る 機 関 投 資 家 に よ っ て 提 供 さ れ て い る の で あ る 。 CUnitedFruitCo,の ケ ー ス
1967年5月,ブ ロ ー カ ー ・ デ ィ ラ ー は 顧 客 にUnitedFruitCo.(United
と 略 記)株 の 購 入 を 勧 め た 。 こ の 勧 誘 は 同 社 の 経 営 状 態 の 包 括 的 な 分 析 に 裏 づ
⑱Leasco側 が 現 金 で の 購 入 に 難 色 を 示 し た の は,第1に 購 入 資 金 が な か?た こ と,第2に,現 金 で の 購 入 は 有 利 な 会 計 処 理 で あ る 「持 分 プ ー リ ン グ」 方 式 の 適 用 を 不 可 能 に す る た め で あ る 。(SEC,oP.cit.Vol5,p.2790).コ ソ グ ロ マ リ ッ ト合 併 と 「持 分 プ ー リ ソ グ」 方 式 に よ る会 計 処 理 に つ い て は,さ し あ た り一 ノ瀬 秀 文 「コ ン グ ロ マ リ ッ ト合 併 と持 分 プ ー リ ン グ会 計 〔序 説 〕」(『経 営 研 究 』143,145号)参 照 。
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商 学 討 究 第29巻 第1号
け られ た もの で あ り,こ れ に よ っ て 機 関 投 資 家 のUnited株 の 購 入 は 相 当 量 に 達 した 。1968年 初 期 に は,United株 の 株 価 は 上 昇 した が,同 年 末 に は 低 下 し
は じめ た 。 ブ ロー カ ーは 同社 に 対 して い くつ か の取 得 機絵 を 示 唆 した が,同 社 は そ れ に 対 して 乗 り気 で は な か った 。 そ こで,ブ ロ ー カ ー は 顧 客 にUnitedの 経 営 状 態 に つ い て 否 定 的 評 価 を 伝 え て い る こ と,さ らに 同 社 の 株 式 が機 関 投 資 家 に よ っ て大 量 に 保 有 され て い る こ とを の べ た 。 そ の 結 果,Unitedは 他 社 と
の 合 併 が 避 け られ な い こ とで あ る こ とを 認 識 した 。 他 方,1968年9月19日 に ブ ロ ー ヵ ■ 一 …はAMKCorp.(AMKと 略 記)の 経 営 陣 と会 い,Unitedの 総 発 行 株 数 の9.5%に 達 す る 株 式 を取 得 す る こ とを 提 案 した。 も ち ろ ん,こ の 提 案 に はUnitedに 対 す る エ クス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ー 一 ・ 一 一と究 極 的 に はAMKと の 合 併 が 続 く も の で あ った 。AMKは こ の 計 画 に 関 心 を 示 し,数 日後9.5%の
United株 を購 入 す る こ とを ブ ロ ー カ ー に伝 え た 。
そ こで,ブ ロ ー カ ーは 顧 客 で あ る機 関 投 資 家 に 接 触 し,United株 に 対 して プ レ ミア ムが 支 払 わ れ る こ とを 購 入 促 進 の ポ イ ソ トと して 利 用 した 。AMKが 機 関 投 資 家 に 対 して 与 え た 最 も有 利 な 条 件 とは 次 の よ うな も ので あ る。 す な わ ち ・ も し将 来 に お い てAMKがUnited .株 に 対 して キ ャ ッ シ ュ ・テ ソ ダ ー ・ ナ フ ァー を 試 み る な らば,AMKに 最 初 にUnited株 を 売 却 した 機 関 投 資 家 は 最 初 の売 却 価 格 と後 にUnitedに 対 して 支 払 わ れ る よ り高 い 価 格 との 差 額 を 受 け る権 利 を 有 す る。 も しAMKが 証 券 との エ ク ス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ーを 実 施 す る な らば,機 関 投 資 家 は 最 初 の 購 入 価 格 の 払 い 戻 しを 受 け,代 わ りに そ れ よ り高 い 価 値 を 有 す る一 組 の 証 券 を 受 け る権 利 を 有 す る,と い うも の で あ っ た 。 これ に よ って機 関 投 資 家 は い か な る時 点 でAMKにUnited株 を 提 供 し よ う と も,そ れ 以 後 に 生 じ うる価 格 変 動 か ら もた ら さ れ る利 益 取 得 機 会 を 逸 す る と い う リ ス クを 除 去 す る こ とが 可 能 とな っ た の で あ る。
AMK'の 最 初 のUnited株 の 購 入 資 金 は7銀 行 か らの35百 万 ドル の 借 入 に よ っ て 調 達 され た 。 融 資 グル ー プはAMKの メ イ ソ ・バ ソ クに よ って 組 織 され た が,こ の 銀 行 は 後 に エ ク ス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ー の 過 程 で 代 理 人 と して 行 動 す
る こ とに な る。AMKのUnited株 の購 入 は 着 々 と進 め られ て い った が,1968
機衡 投 家 と 経 営 者 支 配(2)
.71年9月27日 にZapataNomessCo.(Zapataと 略 記)が 突 然Unitedに 対 し 、
=(エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ー を 実 施 す る こ とを 伝 え た 。 しか し,Unitedの 経 営 陣 は こ の エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ーた 反 対 で あ る こ とを 公 式 に 表 明 した 。 1968年9月30日 にUnited経 営 陣 の 要 請 を 受 け てDillinghamCorp.が エ ク ス チ ェ ン ジ ・オ フ ァ ーの 実 施 を 伝 え る が,10月22日 に は 撤 回 して し ま う。 そ こで, Unitedは11月4日 に コ ン グ ロ マ リ ッ ト企 業 で あ るTextronCorp.と の 合 併
を 望 ん だ が,投 資 業 界 はTextronがUnitedに 払 い す ぎで あ る との 理 由 か ら, この 合 併 に は 好 意 的 で な く,Textronの 持 株 を 売 却 す る行 動 に 出 た 。 こ うし た 動 きを 見 て,Unitedの 経 営 陣 は テ イ ク ・オ ヴ ァ ーが 不 可 避 で あ る と判 断 して.
AMKの オ フ ァ ーを 支 持 す る こ とを 選 択 した 。 こ う してAMKは1968年12月4 日 に 公 式 に エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ー の 実 施 を 伝 え,そ の5日 後 にTextronは 合 併 案 を 撤 回 した 。
U皿itedに 対 す るAMKとZapataの 競 合 す る オ フ ァ・ ・ 一 一を 受 け てUnitedの 株 価 は 次 第 に 上 昇 して い った 。 同 時 に,AMKの 合 併 案 を 支 持 す る ブP‑一 カ ーは 機 関 投 資 家 に よ るUnited株 の 予 想 買 い とZapata株 の 売 却 を 促 進 した 。 こ の 結 果,Zapata株 の 売 却 は 株 価 の 低 落 を 帰 結 し,エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ー の 条 件 を 不 利 に させ,他 方 で は 競 合 す るAMKの ビ ッ ドを 一 層 魅 力 あ る もの に し
た 。 予 想 買 い は1968年9月 にAMKに 対 してUnited株 を 大 量 に 売 却 した 機 関 投 資 家 に よ っ て な され た 。 エ クス チ ェ ソ ジ ・オ フ ア ー の 過 程 でUnited株 と交 換 され るAMK発 行 の 証 券 は これ らの 機 関 投 資 家 が 受 け と った 価 格 を こえ て 評 価 され た ので,彼 らは 最 も有 利 な株 主 選 択 権 一 す なわ ち,当 初 の 価 格 を 払 い も ど し,よ り高 い 評 価 の証 券 を 受 げ と る こ と一 を 行 使 し,AMKの オ フ ァ ー を 成 功 させ るた め に 追 加 的 にUnited株 を 購 入 し,そ れ をAMKに テ ソ ダ ーす
る とい う誘 因 を 与 え られ て い た 。 そ れ 故,AMKの 経 営 陣 はUnitedの 経 営 陣 と の 初 期 の 話 し合 い の 中 で こ れ ら の 機 関 投 資 家 をAMKに 「ロ ッ ク ・イ ン さ れ て」 お り,Unitedの 支 持 を 保 証 す る よ うに 工 夫 され て い る との べ た 。
さ て,Zapataと そ の ブ ロ ー ヵ 一 ・デ ィ ラ ーは1969年1月3日 にAMKの 保 有 す る大 量 のUnited株 を 購 入 しよ う と した 。AMKが そ の 取 得 努 力 を 続 行 す
。1
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商 学 討 究 第29巻 第1号
る こ とを 決 定 して,Zapataの 申 し出 を 断 った た め に,Zapataの ブ ロ ー カ ー は 自己 の 指 導 の 下 に 大 量 のUnited株 を 手 に 入 れ る こ とが肝 要 で あ る こ とを 認 識 した 。 裁 定 業 者 が 相 当 量 のUnited株 を 保 有 して お り,ZapataとAMKは と も に これ らの 業 者 の 支 持 を 得 よ う と試 み た 。Zapataの ブ ロ ー カ ーは 業 者 か ら, 最 も 高 い 価 格 を 支 払 う ビ ッダ ーにUnited株 を 売 却 し,も し価 格 に 差 が な い な
らぱ,AMKに テ ン ダ ーす る とい う通 告 を 受 け た 。 そ れ故,Zapataが 自 ら大 量 のUnited株 を 入 手 す る こ とが ます ます 重 要 とな って きた 。
Zapataの ブ ロ ー カ ーは 機 関 投 資 家 が裁 定 業 者 か らUnited株 を 購 入 し,そ れ を エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ー とは 別 にZapataの 普 通 株 と交 換 に 提 供 させ る
よ うな 方 向 を 提 案 した。 も ち ろ ん,United株 に は プ レ ミア ムが が 付 く よ うな 交 換 条 件 で,し か も機 関 投 資 家 は 一 定 の 条 件 下 でUnited株 と引 代 にZapata
の 普 通 株 あ る い は 現 金 の い ず れ か を 受 け 取 る選 択 権 を 与 え られ る こ とに な っ て い た 。 しか し,こ の 試 み はZapatad)顧 問 弁 護 士 がNYSEは そ の よ うな 形 で 発 行 さ れ る普 通 株 は 上 場 しな い で あ ろ う と助 言 した こ とか ら断 念 さ れ た 。
1969年1月20日 に 相 当の 裁 定 業 務 を 扱 っ て い る プ ロ ・ 一カ ー ・デ ィラ ー が AMKに370,000のUnited株 が 入 手 可 能 で あ る 旨 を 伝 え た 。AMKは そ れ まで に 裁 定 業 者 と頻 繁 に 接 触 して お り,彼 らの 協 力 が 得 られ るで あ ろ うこ と を 確 信 して い た 。 こ う して,裁 定 業 者 の 動 向 が 明 確 に な る と,そ れ までUnited株 を 保 有 しつ づ け て い た 機 関 投 資 家 もAMKの エ ヶ ス チ ェ ン ジ ・ナ フ ァ ーに 応 じは 、
じめ た 。 競 合 す る エ ク ス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ー の 帰 趨 は 決 っせ られ た 。
1969年1月21日 のAMK株 主 総 会 に お い て,同 社 は株 主 にUnitedの 発 行 株 数 の40%が テ ン ダ ー さ れ た と い う確 認 を 受 け て い る こ とを 報 告 した 。1月27日 に は,Zapataが エ クス チ ェ ソ ジ ・オ フ ァ ーを 取 り下 げ,す で に テ ソ ダ ーに 応
じた 株 主 に 対 して は そ の 株 式 を 返 還 して も ら う権 利 を 与 え,残 りの̀United株 をAMKに 売 却 した 。AMKとUnitedは 合 併 した 。
この 過 程 で 果 た した 機 関 投 資 家 の 役 割 は 第11表 に 要 約 さ れ て い る。 す なわ ち, AMKはUnited株 の 総 発 行 株 数 の 約82.2%を 集 中 す る こ とに 成 功 す る の で あ
る が,そ の うち機 関 投 資 家 が 提 供 した 株 数 は46.39%に 達 して い る。 そ の 中 で
機 関 投 家 と 経 営 者 支 配(2)
73も投 資 会 社 の 比 動 が と りわ け 高 く,36社 で36.83%を 提 供 して い る の で あ る。
第11表UnitedFruitの 取 得に はた した機関投資 家の役割 AUnitedFruitの 総 発行株 数
B回 答 した機 関投資家 の普通株 保有総数 く1968年9月24日 現在) CAに 対 す るBの 割 合'b
Dテ ンダーされ た普通株 総数
E回 答 した機 関投資 家に よってテ ソダーされ た普通株総 数 FDに 対 す るEの 割合
7,834,347
2,608,801 33.29%
6,442,556 2,988,751 46.39%
出所SEC,op.cit.Val.5.P.2798
以 上 が,SECの 調 査 報 告 で と りあ げ られ た9個 の事 例 の うち 比 較 的 詳 細 な 資 料 が 入 手 可 能 な3個 の ケ ー 一 ・ 一 ・ス ・ス タ デ ィの 紹 介 で あ る。 これ らの テ イ ク ・オ ヴ ァ ー事 例 に は か な り共 通 した パ タ ー ソ が見 られ る。 す な わ ち,テ イ ク ξオ ヴ ァ ー の 第1段 階 は 合 併 周 旋 業 者 と もい うべ き ブ ロ ー カ ー に よ っ て 適 当 な 合 併 相 手 が 見 つ け だ さ れ る。 こ の契 機 は 機 関 投 資 家 の 保 有 株 式 が 市 場 で さば き きれ な い 時 に は,積 極 的 に 機 関 投 資 家 の側 か ら ブ ロ ー カ ー に 働 き か け る こ とに よ っ て も
ぐ ゆ
与 え られ る。 あ るいは,以 上で と りあげ た事例 の場 合 ㊧ よ うに,ブ ロー カーが 自己 の 利益 のため に合併 の組 合 せ を決 め る こ と もあ る。 第2段 階 は,こ う して 明確 な合併 相 手 が決 定 され る と,こ れ を推進 す るた めに顧 客で あ る機 関投 資 家 を動 員 して被 合 併 会社 の株 式 の買 占 めが行 なわ れ る。 さ らに は,合 併 会 社 の エ クスチ ェ ソジ ・オ フ ァーを容 易 にす るため に そ の株価 の上 昇 が 計 られ る。 この 過 程で,も し競 争 会社 が登 場 す る よ うな事 が あれ ば,積 極 的 に株 式 の売 却 を 進 め る ことに よって株 価 を低 落 させ,エ クスチ ェソジ ・オ フ ァーの 実施 そ の もの を 困難 にす る こ とカミ 画 策 され る口 もち ろん,こ の過程 で 機 関投 資 家 に よって集 中 され た被 合併 会 社 株 式 は有 利 な 条件で 合併 会 社 に提供 され る ことが あ らか じ め取 り決 め られ る。 こ うして,第3段 階 の エ クスヂ ェソ ジ ・オ フ ァーの実 施 が な され る。 この段 階 で は以上 の経 過 を経 てい るこ とか らか な りの比 率 の被 合 併
eHomeInsuranceCo.の 事 例 が こ れ に 相 当 す る が 紙 数 の 関 係 上 紹 介 で き な か っ た 。 (lf.SECop.cit.Vol,5.pp.2778〜81,
74
商 学 討 究 第29巻 第 享号
会社 株 式 が集 中 され てお り,帰 趨 は 決 せ られ てい る とい え よ う。
この よ うに合併 過 程 を整 理 してゆ くと,機 関 投 資 家 の役 割 は単 に そ の提 供 株 数 な ど表 面 にあ らわ れ た数 字で は 正 確 に は把 握 しきれ ない こ とは 明 らかで あ ろ う。 い まだ機 関 投 資家 の持株 比 率 が 低 く 「サ ィ レソ ト ・パ ー トナ ー」 とよば れ る段 階で は,経 営 へ の コ ミッ トを さけ よ うと して と られ た 消極 的 な持 株 の 売却 とい う行 動 が,機 関持株 の増 大 と ともに積極 的 な企 業 支配権 の移 転 とい う行動 に 転化 してい るので あ る。 もっ と も,こ の こ とは経 営 者 支配 論 で 問題 とされ る
よ うな企 業 支配 権 の争奪 戦に機 関投資 家 が直 接 コ ミッ トす る こ とを意 味 して 肺 らず,そ れほ ど重 要 な問題 で は ない と考 え られ るか も しれ ない。 しか し,経 営 者 支 配論 が専 門経 営 者 の 自己 永続 的 権 力 を主 張 す るか ぎ り,機 関 投資 家 に よ る 持株 の売 却 は重 大 な反 証 に な り うる と しな けれ ば な らない。 こ こで わ れ われ は パ ラ ドックスに 当面す る こ とに な る。 機 関 持株 の増 大 が経 営 者 支配 を補 強 す る
つ
もの と理解 す る立場 は,本 来 経 営者 支配 論 が そ の根 拠 と した株 式分 散 論 に 対 し