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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ーバ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2

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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ーバ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2

倉 田 稔

は じめ に 世 界 経 済 1考

22000年 か ら ニ ュ ー ヨ ー ク 同 時 多 発 「テ ロ 」 まで 33‑1「 テ ロ」 ま で の 前 提

3‑2ニ ュ ー ヨー ク 同 時 多 発 「テ ロ」3‑3結

4事 件 以 後4‑1エ ン ロ ン事 件4‑2そ の 後

『グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』 補2 5『 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』

5‑1私 の 発 言 か ら5‑1‑1熊 本 の 研 究 会 5‑1‑2経 済 学 史 学 会 北 海 道 部 会5‑2そ の 後 6ユ ダ ヤ 資 本 主 義 陰 謀 説 につ い て

7グ ロ ー バ リ ズ ム と覇 権

81T革 命9マ ニ ュ フ ァ クチ ャー

10日 本 の 帝 国 主 義 的 侵 出11本 書 で 言 お う と した こ と 12訂

3‑4戦

は じ め に

グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語』(NHKブ ッ クス2000年)を 小 生 は 出 し, か つ て 本 誌 で,そ の 補 い を 書 い た1)。 こ れ はそ の続 き(2)で あ る 。 そ の書 は 1999年 まで を書 い た が,そ の 後 大 問 題 が 生 じた の で,こ こで は そ れ を描 く。 そ

1)「 『グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』 につ い て 」in:『 商 学 討 究 』51の1。

〔3〕

(2)

4 第53巻 第4号 れ 以外 に,い くつ か の 点 を論 ず る 。

世 界 経 済

1考

20世 紀 の 資 本 主 義,す な わ ち帝 国 主 義 を分 析 す る さい,レ ー ニ ンの 『帝 国 主 義 』 は,古 典 的 作 品 と して あ る。 彼 の 帝 国主 義 論 は20世 紀 初 頭 の研 究 で あ る の で,す べ て が そ の ま ま現 在 に あ て は ま ら な い が,基 本 的 な 点 で は あ て は ま る と

こ ろが あ る 。 だ が い くつ か新 しい 問 題 が 出 て きて い る。

最 大 の 問 題 は ア メ リ カ合 衆 国(以 下,ア メ リ カ と略 す)が,唯 一 の 巨 大 ・超 ・ 帝 国 主 義 国 に な っ た こ とで あ る 。

次 に,独 占資 本 主 義 か ら国 家 独 占資 本 主 義 へ の 発 展 で あ る。 私 の書 で は,こ の 国 家 独 占 資 本 主 義 とい う表 現 は,誤 解 され る か ら,組 み入 れ て い な い 。 そ れ に また,私 は これ を理 論 軸 に す る つ も りは な い。1930年 代 に 世 界 資 本 主 義 は 国 家 独 占資 本 主 義 へ 移 行 した 。 そ の 成 立 の 原 因 は政 治 的 ・経 済 的 な も の で あ る。

経 済 的 原 因 は,相 対 的安 定 期 を歴 史 の 前 提 条 件 に持 っ た 生 産 力 の 一 層 高 い 水 準 で あ り,民 間独 占体 だ け で は 国民 経 済 の運 営 ・発 展 が で きな くな っ た生 産 の 強 大 な集 積,そ して 直 接 の 要 因 とな った 大 恐 慌 で あ る 。 政 治 的 原 因 は,労 働 者 階 級 の 政 治 的力 量 の 増 大,そ の 闘 い の 発 展,戦 争 と革 命 で あ る。 そ し て私 は そ う は と ら な いが,普 通 は,資 本 主 義 の 全 般 的危 機 の 第 二段 階 に求 め られ る 。 以 上 の 結 果,独 占 資 本 と国 家 権 力 との癒 着2),な い し独 占資 本 の 国 家 権 力 へ の 従 属3) が 起 き,こ れ が体 制 化 した 。 同 時 に 新 しい政 策 が 導 入 され た。

国家 独 占資 本 主 義 の新 しい 政 策 は,経 済 的 に は,財 政 ・金 融 ・社 会 政 策 の 変 化 で あ る。そ れ ら は,ケ イ ンズ 理 論 に 表 現 さ れ る巨 大 な 国家 財 政 の役 割 の増 大, 金 本 位 制 の永 久 の 廃 止,構 造 的 イ ン フ レー シ ョン,社 会 保 障 政 策 で あ る。

しか し歴 史 の 変 化 の うち で 重 要 な もの は,ア メ リカ合 衆 国 の新 帝 国 主 義 で あ 2)大 内 力 『国 家 独 占資 本 主 義 論 』 東 大 出 版1970年

3)ヴ ァ ル ガ 『20世紀 の 資 本 主 義 』 合 同 出 版1962年,150ペ ー ジ。

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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2 5 る。 こ れ は世 界 の 歴 史 と経 済 の 上 で 決 定 的 な 意 義 を もっ た 。 第2次 大 戦 後 ア メ リ カ は,資 本 主 義 諸 国 の 中 で 君 臨 す る こ とに な った 。 政 治 的 に もそ う な っ た。

19世 紀 で は ロ シ ア,20世 紀 前 半 で は,ワ イ マ ー ル 期 を 除 き ドイ ッ が,世 界 の反 動 の 支 柱 で あ っ た が,20世 紀 後 半 に は ア メ リカ が そ の位 置 を 占 め た 。 そ れ ま で 非 フ ァ シズ ム 的 で あ る と い う限 りで民 主 主 義 的 で あ っ た ア メ リ カ は,フ ァシ ス

ト ・ ドイ ツ の没 落 後,そ れ に な り代 わ っ た。

歴 史 上 の 変 化 で,次 に重 要 なの は,新 植 民 地 政 策 へ の転 換 で あ る 。 列 強 に よ る 旧植 民 地 政 策 が,ア メ リ カ を 中心 とす る新 植 民 地 政 策 へ 代 わ っ た 。 この 原 因 は,旧 宗 主 国 の弱 体 化,ア メ リ カ の 強 大 化,第 三 世 界 の民 族 独 立 運 動,社 会 主 義 体 制 の 拡 大 で あ る。 レー ニ ン は 『帝 国 主 義 』 で,植 民 地 と多 様 な 形 態 の 従 属 国 と に つ い て論 じて い る。 第2次 大 戦 後 で は,そ の 前 者 で は な く後 者 が,主 要 な もの と な っ た 。

こ の対 外 政 策 は,3つ の基 本 的 傾 向 を も っ て お り,1つ は経 済 的,1つ は政 治 的 軍 事 的 な傾 向 ・変 化 で あ る。 経 済 的 政 策 で は,1.従 属 国 を 原 料 生 産 国 と して と どめ 置 く こ と,他 方 で 先 進 資 本 主 義 諸 国 の 市 場 と して お く こ と,そ れ を 基 礎 と して 貿 易 上 の 事 実 上 の 不 等 価 交換 を行 な う。2.投 資,と りわ け巨 額 な 民 間投 資 を行 な う,こ れ は 主 に,第1次 産 品,例 え ば農 ・鉱 業 生 産 物,石 油 ・ 天 然 ガ ス な ど に対 して 行 な う。第3に,国 家 機 関 に よ る借 款,援 助 で あ る。「 会 主 義 」 体 制 の存 続 し て い た 時 期 に,援 助 は,そ の 隣 接 従 属 国 に対 して よ く行 な わ れ て い た 。 だ か ら政 治 的 意 味 が あ った 。 こ の 点 は本 書 で 述 べ た 。

経 済 政 策 で は戦 後 の 特 徴 と して,先 進 資 本 主 義 国 の 従 属 国 へ の政 策 だ け で は な く,高 度 に発 展 した 資 本 主 義 に対 す る,そ して お 互 い の 対外 経 済 政 策 も,重 要 な 問題 に な っ た 。 時 代 が 進 む と,多 国 籍 企 業 が 登 場 した の で あ る 。 この 過 程 が ア メ リ カ を先 頭 と し て未 曽 有 の 規 模 で 強 化 さ れ た 。 ア メ リ カ は,日 本 に対 し て ドッ ジ ・プ ラ ン,ヨ ー ロ ッパ に対 して の マ ー シ ャ ル ・プ ラ ン に よっ て,欧 日資 本 主 義 の 復 活 ・強 化 を 企 て た 。 一 方,軍 事 的 に は西 ドイ ツ と 日本 を重 要 軍 事 基 地 と し て利 用 し,社 会 主 義 圏 を 包 囲 した 。

帝 国 主 義 問 の経 済 的 不 均 等 が 帝 国 主 義 戦 争 を不 可 避 に す る と い う,レ ー ニ ン

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6 第53巻 第4号

の指 摘 は,修 正 せ ざ る を え な くな っ た 。 帝 国 主 義 諸 国 間 の 戦 争 の代 わ りに,ア メ リ カ を 主 力 とす る局 地 戦 争 へ と移 行 した 。 そ れ は,「 社 会 主 義 圏 」 の 力 量 の 増 大,従 属 国 に お け る革 命 の 可 能 性,ア メ リ カ を盟 主 と した 相 互 の 経 済 ・金 融 協 力 を 通 じて 資 本 主 義 を維 持 ・存 続 し よ う との 試 み の た め で あ る。

ア メ リ カ はIMFと 世 界 銀 行 で 約30億 ドル を 出 し,投 票 権 を27%,そ の 後33%

持 っ た 。 ア メ リ カ は 両 機 関 で拒 否 権 を も っ た 。IMFは 各 国 が 基 金 を拠 出 して で きた 。 ア メ リ カ のIMFへ の 出 資 金 は政 治 的 交 付 金 の 意 味 が あ る 。 イ ギ リ ス はIMF資 金 で 一 時 ア ジ ア で 軍 事 行 動 を と っ た 。 イ ギ リス は ア メ リ カ の拒 否 権 が は 発 動 され る と困 る の で,ア メ リ カ に す りよ っ た 。

戦 後,ヨ ー ロ ッパ,日 本,ラ テ ン ・ア メ リ カ の 金(き ん)は,ア メ リ カ に吸 い上 げ られ た 。ア メ リ カ の財 務 省 は世 界 の 金 の4分 の3を 蓄 積 した。ブ レ トン ・ ウ ッ ヅ体 制 で 金(き ん)が 国際 金 融 の 基 準 と し て維 持 され,1945年 に ア メ リ カ は世 界 の 金 準 備 の59%,48年 に72%を 持 っ た 。 ア メ リ カ と ヨー ロ ッパ の金 ス ト ック の た め に,第 三 世 界 は搾 取 さ れ る こ と と な っ た 。 ヨー ロ ッパ が ラ テ ン ・ア メ リカ 向 け輸 出 を増 や し,金 が ヨー ロ ッパ に流 れ,そ れ で ヨ ー ロ ッパ は ア メ リ カ の農 工 産 品 を 買 い,金 が ア メ リカ に 流 れ た 。 ブ レ トン ・ウ ッヅ体 制 は全 世 界 を ドル本 位 制 に つ な ぎ とめ た 。

経 済 的 に は,戦 後 資 本 主 義 は,と りわ け50年 代 末 か ら60年 代 に1つ の 世 界 史 的 段 階 を通 過 した 。 過 去 に お い て は,19世 紀 末 か らの19世 紀 初 め まで の イ ギ リ ス の 産 業 革 命,19世 紀 末 の重 工 業 の確 立 あ る い は独 占 資本 主 義 の成 立,第1次 と第2次 の 世 界 戦 争 の 間 の ア メ リ カ の 繁 栄 で あ る 。 最 後 の もの は,相 対 的 安 定 期 の 繁 栄 で あ り,大 規 模 な技 術 革 新 を基 礎 に して い た。 と こ ろで60年 代 の ア メ リ カの 繁 栄 も こ れ に 匹 敵 す る 。 国 内 的 に は 独 占 的大 企 業 の 集 中 ・合 併 に よ る コ ン グ ロマ リ ッ ト化,対 外 的 に は ア メ リカ の 企 業 の世 界 企 業 化 で あ り,そ れ は多 国 籍 企 業 化 に表 わ され る。 技 術 か ら見 れ ば,航 空 産 業,電 子 工 学,と くに コ ン ピュ ー タ ー 産 業,原 子 力 技 術 とそ の 産 業,宇 宙 開発 に も とつ く新 しい技 術 革 新 に よ っ て,生 産 力 が新 しい 段 階 に進 ん だ 。 ア メ リカ企 業 はす で に単 な る独 占企 業 で は な く,超 ・巨大 ・複 合 的独 占企 業 に な っ て い る。 そ れ が 先 端 技 術 を 開 発

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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2 7 す る 国 防 省 と結 び つ い て い る 。

多 国籍 企 業 は,60年 代 の ア メ リカ の対 外 経 済 政 策 の 主 要 な 環 で あ る 。 これ は 1963年 に初 め て ア メ リ カ で取 り上 げ られ た 。 こ れ は,1つ 以 上 の 外 国 に 定 着 し た 製 造 拠 点 を持 つ 企 業 で,対 外 直 接 投 資 を行 な い外 国 で 生 産 を行 な う企 業 で あ る 。 こ れ は しか し古 典 的 帝 国 主 義 の 時 代 か らあ っ た も の で あ る4)。 戦 後 巨 大 企 業 が こ の よ う な形 態 を一 般 的 に と る よ う に な っ た 。「多 国 籍 企 業 」とい う概 念 は, 人 を惑 わせ る 。実 はそ の多 くの 企 業 が ア メ リカ 資 本 の支 配 下 に あ る(北 田芳 治)。

世 界 経 済 を 支 配 して い る多 国籍 企 業 は,ま ず そ の絶 対 的 規 模 が 大 き い,そ して 多 数 の 国 に海 外 製 造 子 会 社 を持 つ 。1960年 代 中 ば で,ア メ リ カ の187の 超 巨 大 企 業 が そ れ に あ た る5)。 これ らは6力 国 以 上 に 製 造 子 会 社 を もち,売 上 高,従 業 員 数(と くに技 術 的 熟 練 労 働 者),工 場 数,収 益 性,研 究 ・開発,広 告 費 で, 優 越 し て い る 。 と りわ け輸 出 向 き生 産 で 支 配 的 で あ り,国 際 収 支 の うち 資 本 収 支 で 決 定 的 に 重 要 で あ る。

ア メ リ カ は そ の 多 国 籍 企 業 の 進 出 に よっ て1960年 代 に西 ヨー ロ ッパ の 製 造 業 全 売 上 高 の6%弱 を 占 め た。 カ ナ ダや 中南 米 へ の伝 統 的 な支 配 に比 べ れ ば 低 い が,重 要 産 業=先 端 産業 に集 中 して い る か ら,強 い 支 配 な の で あ る。 例 え ば,

当 時 の 電 子 計 算 機 産 業 で は どの 国 に対 して も圧 倒 的 に優 越 して い た 。 ま た 石 油 帝 国 主 義 国 ア メ リ カ は,海 外 直 接 投 資 の4分 の1が 石 油 に 向 け られ た 。 この 多 国籍企 業 の ヨー ロ ッパ へ の 進 出 で,国 家 主 権 が 脅 か され る危 険 が 生 じた 。 これ に力 で 対 抗 す る に は,ヨ ー ロ ッパ 共 同 体 の 強化 ・発 展 よ り他 は な か っ た 。 広 大 な共 同 市 場 を確 立 して,そ こ で ヨー ロ ッパ 的合 弁 企 業 が ア メ リ カ企 業 と対 決 で きる だ け と な っ た 。ECと ア メ リ カ多 国 籍 企 業 との 確 執 が 激 し くな っ た 。

ア メ リ カ の対 外 投 資 は,旧 来,ラ テ ン ・ア メ リ カ,カ ナ ダ を 主 要 対 象 と して い た が,戦 後,資 源 獲 得 の た め に ア ジ ア,ア フ リ カ に投 資 し,発 達 し た 資本 主 義 諸 国 に直 接 投 資 を,と くに工 業 部 面 に大 規 模 に,拡 大 した 。 ア メ リ カ の新 帝

4)ウ イ ル キ ンス 多 国 籍 企 業 の 史 的 展 開 』 ミ ネ ル ヴ ァ書 房1973年 5)レ イ モ ン ド ・バ ー ノ ン 『多 国 籍 企 業 の 新 展 開 』 ダ イ ヤ モ ン ド社1973年

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8 第53巻 第4号

国 主 義 の,高 度 に発 達 した 資 本 主 義 国 へ の 経 済 侵 略 の 誘 因 は,高 い 利 潤 と広 い 販 売 市 場,自 国 で の 過剰 資 本 で あ っ た。

19世 紀 に イ ギ リ ス は,自 由 貿 易 を教 え る た め に 中 国 で ア ヘ ン戦 争 を起 こ した。

こ う して香 港 の 租 借 か ら イ ギ リス の 中 国植 民 地 政 策 を 始 め た。 第2次 大 戦 後, ア メ リ カ もそ れ と 同 じ事 を行 な っ て い る。 自由 貿 易 を 主 張 し,そ れ が 実 は 帝 国 主 義(正 し く言 え ば,新 帝 国主 義)な の で あ る。 自 由 貿 易 と帝 国 主 義 とを対 立 的 に 理 解 す る こ と は で き ない 。 経 済 学 の教 科 書 で は,歴 史 的 に 自由 主 義 段 階 と 帝 国 主 義 主 義 段 階 とを 分 け るが,そ れ は謬 見 なの で あ っ て,せ いぜ い 机 上 の 空 論 で あ る。 ア メ リ カ は 自由 貿 易 を 唱 え て も,個 々 の産 業 で は保 護 貿 易 を施 行 す る 。 自 由放 任 に よ っ て ア メ リカ は力 を全 世 界 に伸 ば す 。 外 国 経 済 を ア メ リ カ に 従 属 させ る。 関税 障 壁 を 有 利 な産 業 で は引 き下 げ,不 利 な 産 業 で は ひ き下 げ な い 。 ア メ リ カ は 当 時 のGATT(現 在 は,世 界 貿 易 機 構)に 違 反 し た。 ア メ リ カ は他 国 政 府 の力 を そ ご う とす る 。

大 戦 問 期 ア メ リ カ は外 国 か らの 自国 へ の輸 入 を妨 げ た 。 ア メ リ カの 孤 立 主 義 に よっ て,外 国 は債 務 を支 払 うの が 困 難 に な っ た 。第2次 大 戦 後,ア メ リ カ は, 債 務 の 利 子 支 払 い 手 段 を ヨー ロ ッパ に与 え た 。 そ して他 国 を経 済 的 に統 制 し, 他 国 が ア メ リカ か ら経 済 的 に独 立 す る こ とを 阻 止 し,国 家 的 な独 立 は転 覆 させ

よ う と した 。 ア メ リ カ は 世 界 の 支 配 国 家 た らん と決 意 した 。 軍 需 産 業 を増 大 さ ,せ,ア メ リカ の 輸 出 品 を外 国 に買 わ せ る こ とで,有 効 需 要 を作 ろ う と した 。

イ ギ リス の保 守 党 と労 働 党 の 政 治 は,本 質 的 に は差 は な い 。 ロ ス チ ャ イ ル ド らの 財 閥 が 支 え て い る 。 ア メ リカ の 民 主 党 と共 和 党 とで は,ロ ッ ク フ ェ ラ ー や モ ル ガ ン らの財 閥 は どち らで も よい と考 え て い るの と同 じで あ る。 た だ し小 生 は こ れ ら二 大 政 党 制 を非 難 して い な い 。 東 洋 の 島 国 の 一 大 政 党 制 よ り もず っ と よ い 。 ロス チ ャ イ ル ドは ア メ リカ に も進 出 して い る。

ア メ リ カ の大 財 閥 同士 は 婚 姻 に よ っ て お互 い が 結 び付 い て い る 。 日本 の 財 閥 もそ の 通 りで あ っ た。 財 閥 同 士 が 婚 姻 に よ り結 び 付 く。 そ の 中 に 高 級 官 僚 も入 り こむ 。 美 智 子 妃 の結 婚 に よ っ て 日本 中 の財 閥 は,閨 閥 上 急 速 に 天 皇 制 と結 び つ き始 め た 。

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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2 9 第2次 世 界 大 戦(WW2)以 後 ア メ リ カ合 衆 国 は,イ ギ リ ス の ポ ン ド圏 を壊 し, ドル 通 貨 圏 を作 っ た。 また,ヨ ー ロ ッパ は ア メ リ カ政 府 と国 際 金 融 機 関 か ら資 金 を借 り,そ れ で ア メ リ カの 輸 出 品 を買 っ た 。 ア メ リカ は 貿 易 黒 字 を出 した 。

ア メ リ カ民 間輸 出 業 者 は 支 払 わ れ た 。

ア メ リ カ議 会 は,共 産 主 義 の 拡 大 を阻 止 す る の で あ れ ば,資 金 を 出 す こ とに 賛 成 した 。 政 治 的 な対 外 援 助 を した 。 戦 後 イ ギ リス は 資 金 が なか っ た 。 ア メ リ カ はあ り剰 る 国 際 収 支 の 黒 字 で,困 っ た 。 朝 鮮 戦 争 は ア メ リ カ の黒 字 減 ら しに 役 だ っ た 。 対 外 軍 事 援 助 と支 出 が,と め どな く大 き くな っ て い っ た 。 朝 鮮 戦 争 以 降,ア メ リカ は 赤 字 を増 や して い た 。 ベ トナ ム 戦 争 は ア メ リ カ の赤 字 を増 や

し た。 ア メ リ カ の 金 準 備 は 減 少 し た。

そ れ で 金 と ドル との つ な が りを 断 ち切 る こ と に し た。1971年 に ニ ク ソ ンが 金 輸 出 を 禁 止 した。 ア メ リカ は ドル を金 で 支 払 わ ず,国 債 で 外 国 に支 払 った 。 つ ま り各 国 中 央 銀 行 は 手 持 ち の ドル で ア メ リ カ 国債 を買 っ た 。 この 外 国 か ら得 た ドル で ア メ リカ は 再 び世 界 で 戦 争 を した 。 ドル を切 り下 げ て も ア メ リ カの 支 配 は終 ら な か っ た。 ア メ リ カ は1968年 か ら73年 ま で の5年 間 で500億 ドル の 赤 字 を出 した 。 外 国 の政 府 は 自国 の 輸 出業 者 の 競 争 力 を低 下 さ せ るの を望 まず,ド ル を買 い 続 け た。

赤 字 に な っ た場 合,従 来 は 金 利 を上 げ外 国 資 金 を得 て い た が,ア メ リ カ は金 利 を上 げ る 必 要 が な か っ た。 外 国 政 府 が ドル 世 界 通 貨 体 制 を 守 る た め に,ド や ア メ リカ 国 債 を買 っ た か らで あ る。 ア メ リカ の 赤 字 は ア メ リ カ の 国益 に な っ た 。

ア メ リカ の 経 済 を安 定 させ る た め に,IMF,世 界 銀 行,世 界 貿 易 機 構 を使 い, 他 国 の 中 央 銀 行 を お どか した 。ア メ リ カが 国 内 で 売 れ残 った 財 は外 国 に買 わ せ, ア メ リ カ 国 内 で 品 薄 の 場 合 に は 買 わせ な い 。 ア メ リ カ は他 国 の 保 守 勢 力 を温 存 し,助 け る 。 ア メ リ カの 農 業 は 政 府 の補 助 金 に頼 っ て い る 。 ア メ リカ は 石 油 や 鉱 物 を低 い 価 格 で抑 え て輸 入 し,農 産 物 な ど の輸 出 品 は 高 くして 売 る こ と を ね ら っ た。ア メ リ カ の 農 産 物 を 日本 は買 っ て い る。産 油 国 の政 府 が 黒 字 を作 る と, ア メ リ カ は 武 器 や 国債 を買 わ せ る。 ア メ リ カ石 油 業 が ア ラ ブ の 王 室 に マ ー ジ ン

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10 第53巻 第4号

を払 う。 しか しそ の 資 金 を 軍 需 品 を売 りつ け る こ とで 回収 して しま う。 ア メ リ カの 海 外 子 会 社 は,ア メ リカ の た め に経 済 活 動 を 行 な っ た。 ア メ リカ で は金 利 が 低 い の で 株 は 高 くな っ て,資 金 調 達 が,そ して 設 備 投 資 が 容 易 に な っ た6)。

こ う して今 で は た っ た1つ の超 帝 国 主 義 ア メ リカ が あ る だ け だ 。

1920年 代 と30年 代 で は,各 国 は 商 品 の輸 出 に努 め,輸 入 を し まい と した 。 ド ル の 獲 得 の た め で あ る。1970年 代 に そ れ が 逆 転 した 。 各 国 に膨 大 な ドル が 流 れ 込 ん て い た 。 ア メ リ カ政 府 は 無 制 限 に ドル を消 費 し,ア メ リカ の 民 間企 業 は外 国 の 会 社 を 買 収 し,国 民 は輸 出 以 上 に輸 入 し た。 ア メ リ カが 債 権 国 か ら債 務 国 に な っ て,世 界 経 済 が 変 わ っ た 。1950年 以 来,ア メ リ カの 赤 字 を軍 事 支 出 が 作 っ た 。 ア メ リ カの 対 外 貿 易 や 投 資 が 軍 事 行 動 に役 立 つ よ う に さ れ た 。 ア メ リ カ の余 剰 農 産 物 や そ の 他 の 余 剰 品 を 外 国 に買 わ せ,ア メ リ カが 必 要 な もの を外 国 か ら提 供 させ る。 ア メ リ カ の工 業 は空 洞 化 し た。

ア メ リ カ は,ヴ ェ トナ ム戦 争 中 とそ の後 も,ラ オ ス に膨 大 な 数 十 万 トンの 爆 弾 を投 じた。 これ らに よ っ て ラ オ ス 農 村 は破 壊 さ れ,難 民 が 都 市 に集 中 した 。 主 に ボ ン ビ ー ズ とい い,こ れ は不 発 弾 と して 残 っ た 。 これ は人 間 の 殺 傷 だ け の た め の 小 型 爆 弾 で,現 在 で も多 くの 人 を事 故 で 殺 傷 して い る。

ア メ リ カ は 自由 貿 易 と対 外 債 務 ドル 化 を要 求 す る。 ア メ リ カ は,日 本 の 中 央 銀 行 に 金 利 を さ げ させ,バ ブ ル を作 った 。 ア メ リ カ は 公 営 企 業 を 民 営 化 させ, そ の株 を買 う。WW1以 前 は民 間 企 業 帝 国 主 義 で あ っ た。

2000年 か らア メ リ カ は貿 易 赤 字 と な っ た。 そ れ が 増 大 し た。 そ こで 国債 で 支 払 っ て い る。

22000年 か らニ ュ ー ヨ ー ク同 時 多 発 「テ ロ」 まで

ク リ ン トン大 統 領 の後,2000年 の ア メ リカ大 統 領 選 挙 で は,共 和 党 の ブ ッ シ ュ(息 子)が 民 主 党 の ゴ ア候 補 を 鼻 の 差 で破 っ て 当選 した 。

ア メ リ カ は,2001年 の 地 球 温 暖化 防 止 の た め の 京 都 議 定 書 に対 して,一 方 的

6)マ イ ケ ル ・ハ ドソ ン 『超 帝 国 主 義 国 家 ア メ リ カ の 内 幕 』 徳 間書 店2002年

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世界経 済 お よび,『 グローバ ル 資本 主義 の物語 』211

に離 脱 を 宣 言 した 。 最 大 の 原 因 国 が が これ を批 准 し な い こ とは,わ が ま まで あ る。

3‑1「 テ ロ」 まで の 前 提

19世 紀 以 来,均 等 ・中 東 で は 輸 送 路 を め ぐる争 い が あ っ た 。 当 初,イ ギ リス と ロ シ ア が 争 っ た。 そ の 中心 は ア フ ガ ニ ス タ ンだ っ た 。20世 紀 初 め,米 英 の 巨 大 石 油 企 業 は 石 油 ビ ジ ネス を世 界 政 治 の延 長 と考 え た 。 ア メ リ カの 石 油 ・天 然 ガ ス 企 業 は,カ ス ピ海 諸 国 を狙 っ た 。

1998年 平 均 の 原 油 生 産(単 位:バ ー レル/日) 世 界6621万

中 東2404万 つ ま り38%

う ち サ ウ ジ828万 イ ラ ン361万

ア ラ ブ首 長 国 連 邦228万 ク エ ー ト

確 認 石 油 埋 蔵 量 は, 米 国220億 バ レル 北 海 油 田120億

カス ピ海 諸 国160‑320億 う ち カザ フ ス タ ン

208万

アゼ ルバ イ ジ ヤ ン トル ク メ ニ ス タ ン ウズ ベ キ ス タ ン 確 認 天 然 ガ ス埋 蔵 量(単 位:

ア メ リ カ カス ピ 海 諸 国

カザ フ ス タ ン

100‑160億 40‑110億 15億 10億 立 法 ブ イ ー ト)

300兆 236‑330ジ1三

88兆

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ヱ2 第53巻 第4号

ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン35兆 トル ク メ ニ ス タ ン159兆 ウ ズ ベ キ ス タ ン110兆

アフ ガニ ス タン と中東周 辺諸 国

ブルガ リア

\ ぎ'

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̲̲一 一 シ

アラブ首長国運邦' オ マー ン

『タ リバ ー ン』 よ り(後 出 の 注)

世 界 で 人 口 の4%の 米 国 が,エ ネ ル ギ ー の4分 の1を 消 費 し,世 界 軍 事 費 の 3分 の1余 を 支 出 し て い る(2001年)。 世 界 の 軍 需 企 業 は 契 約 高 で い え ば,1 ロ ッ キ ー ド ・マ ー チ ン(米),2位 ボv… イ ン グ(米)で あ る 。

世 界 の 石 油 の23%を 米 国 が 消 費 す る(2000年)。 世 界 の 石 油 の24.7%を 米 国 が, 15%を 日 本 が 輸 入 し て い る(1998‑99年)。 世 界 の 石 油 生 産 量 は,2002年 で6534 バ ー レ ル/日(内,OPEC2781万 バ ー レ ル/日)。 国 別 で,サ ウ ジ ア ラ ビ ァ

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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2 ヱ3

12.7%,米 国9.6%,イ ラ ン5.7%で あ る。 採 掘 可 能 原 油 量 は 中 東5力 国 で 世 界 の63%を 占め る。

ク リ ン トン政 権 時 代 か ら米 国 の 石 油 資 本 は,カ ス ピ海 や ア ラ ル 海 沿 岸 の ア ゼ ルバ イ ジ ャ ン,ト ル ク メ ニ ス タ ン,ウ ズ ベ キ ス タ ン,カ ザ フ ス タ ン な どの 中 央 ア ジ ア諸 国 に埋 蔵 さ れ て い る莫 大 な 量 の石 油 や 天 然 ガ ス を掘 削 搬 出 す る とい う 戦 略 を持 っ て い た7)。

サ ウ ジ ア ラ ビ ア は,石 油 生 産 が 世 界1で,天 然 ガ ス も豊 富 で あ る。 外 国 人 労 働 者 が 人 口 の4割 を 占 め る。 イ ラ ン は天 然 ガス を世 界 の15%生 産 す る。 そ して 世 界 第2の 天 然 ガ ス埋 蔵 量 が あ る 。 石 油 の 確 認 埋 蔵 量 は930億 バ レル で あ る 。 天 然 ガス の確 認 埋 蔵 量 は,世 界 で ロ シ ア が1位,イ ラ ンが2位 で あ る。

トル ク メ ニ ス タ ンは,石 油 と天 然 ガ ス に 恵 ま れ た砂 漠 の 国 で あ る。1996年 に そ の 首 都 ア シ ガバ ー トに大 型 の新 国 際 空 港 が 完 成 した 。しか し客 は こ なか っ た 。 こ こ は ア フ ガ ニ ス タ ンの 隣i国で 大 規 模 エ ネ ル ギ ー が あ る。 そ の 大 統 領 は ニ ヤ ゾ フ で,個 人 崇 拝 を させ て い る,そ して 中 立 政 策 を とっ た 。

中 央 ア ジ ア 諸 国 は,ロ シ ア に 向 け て 道 路 ・鉄 道 ・パ イ プ ラ イ ンを作 っ て きた 。 カ ス ピ海 諸 国 は,ソ 連 に石 油 の 半 分,天 然 ガ ス の ほ と ん どを 輸 出 して い た 。 し か し ロ シ ア が,ソ 連 崩 壊 後 に経 済 が ガ タ ガ タ に な り,こ れ ら諸 国 は南 ・西 ・東 に パ イ プ ラ イ ン を作 る必 要 が で て き た 。 石 油 を売 っ て 外 貨 を稼 ぐ必 要 が あ る。

中 央 ア ジ ア 諸 国 は ロ シ アへ の依 存 を減 ら し た い の で,南 方 に石 油 ・ガ ス の パ イ プ ラ イ ン を 引 きた い 。 ア フ ガ ニ ス タ ンに は 友 好 的 政 権 が で きて も らい た い 。

1998年,エ リ ッ イ ン(ロ シ ア 大 統 領)は,「 西 側 諸 国 が カ ス ピ海 地 域 の 資 源 を ね ら っ て,う る さ く立 ち 回 る の を,た だ 眺 め て い る わ け に は ゆ か な い 」 と言 っ た 。 破 産 した ロ シァ は,中 央 ア ジ ア に 支 配 権 を 握 りつ づ け よ う と して い る。

ア メ リ カ は ロ シ ア を 通 ら な い パ イ プ ラ イ ン を計 画 し,こ の 地 域 に入 り込 も う と した 。 中 央 ア ジ ア諸 国 と石 油 会 社 は,南 ア ジ ア 向 け にパ イ プ ラ イ ン計 画 を進 め た か っ た 。 ア フ ガ ニ ス タ ンの 内 戦 の 終 結 だ けが 望 まれ た 。

7)青 山 真 一 「エ ネ ル ギ ー 権 益 か らみ た ア フ ガ ン戦 争 」(『世 界 』705)p.130。

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14 第53巻 第4号

バ ク ー は ア ゼ ルバ イ ジ ャ ンに あ る。 ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン の石 油 開 発 を独 占 し て い る 「ア ゼ ルバ イ ジ ャ ン 国 際 操 業 会 社AIOC」 は,世 界 の石 油 会 社10社 以 上 で作 られ て い る。

ウズ ベ キ ス タ ン の大 統 領 カ リモ フ は,イ ス ラ ム過 激 派 を弾 圧 す る。 そ の独 裁 政 治 の も とに,外 国企 業 との 合 弁 を進 め た 。 ロ シ ア と中 国 が そ れ を助 け た 。 ウ ズ ベ キ ス タ ンは 中 央 ア ジ ア で 最 強 の 国 で あ る 。 米 国企 業 は ウ ズ ベ キ ス タ ンの 鉱 物 資 源 に着 目 し,貿 易 が急 速 に伸 び た 。

中東 で は,ア ラ ブ は22力 国 で あ り,非 ア ラ ブ は,ア フ ガニ ス タ ン,イ ラ ン, トル コ,イ ス ラ エ ル で あ る 。

米 国 は,ウ ズ ベ キ ス タ ン,ト ル ク メ ニ ス タ ン,ア ゼ ルバ イ ジ ャ ンの 側 に た っ た 。1991‑95年,米 は,カ ゼ フ ス タ ン とキ ル ギ ス を,そ の 自由 化 の た め に 支 援 し た。 ロ シ ア は,カ ザ フ ス タ ン,キ ル ギ ス,タ ジキ ス タ ン に支 配 力 を も っ た。

ロ シ ア は ア メ リカ を 中 央 ア ジ ア か ら締 め 出 した い 。 中 国 は,新 グ ル,ウ イ グ ル 自治 区 の イ ス ラ ム原 理 主 義 過 激 派 に血 の 弾 圧 を加 え て きた 。 弾 圧 さ れ た 側 は ビ ン ラ デ ィ ン と連 絡 を と っ た。

1995年 初,米 国大 手 石 油 会 社 は,カ ス ピ海 地 域 の 権 益 を広 げ よ う と国 内 に グ ル ー プ を作 っ た 。 そ して 政 治 家 を雇 っ た 。 政 府 は,こ の 件 で省 庁 間 の政 府 委 員 会 を設 け た 。 カザ フ ス タ ン と トル ク メ ニ ス タ ン に石 油 利 権 を もつ ア メ リ カの 石 油 会 社 は,シ ェ プ ロ ン とモ ー ビ ル で あ る。1997年1月,ト ル ク メ ニ ス タ ン は米 国 巨 大 石 油 企 業 モ ー ビル,英 の モ ニ ュ メ ン トと調 印 した 。1997年12月,ト ル ク メ ニ ス タ ン とイ ラ ンの 間 の 天 然 ガ ス ・パ イ プ ラ イ ンが 完 成 した 。 トル ク メ ニ ス タ ンか ら ア フ ガ ニ ス タ ン経 由 でパ キ ス タ ンに 至 る天 然 ガ ス ・パ イ プ ラ イ ン を, 米 の ユ ノ カ ル石 油 会 社 が 考 え,ア ル ゼ ンチ ンの 石 油 企 業 プ リダ ス と競 争 した 。 そ の 会 長 は,ト ル ク メ ニ ス タ ンで1992年 と93年 に2つ の 地 区 の 開 発 権 を入 手 し, 同社 の ガ ス 油 田 を,パ キ ス タ ン,イ ン ドに接 続 し よ う と した 。 会 長 は,ト ル ク メ ニ ス タ ンか らア フ ガ ニ ス タ ン を経 由 して パ キ ス タ ンへ 抜 け る ガ ス ・パ イ プ ラ イ ンを 計 画 した。 トル ク メ ニ ス タ ンの2つ の地 区 か らガ ス が 出 た。 プ リ ダ ス社 は,米 の ユ ノ カ ル石 油 会 社(米 で12番 目 に大 きい)ら と組 む こ とに な っ た。 ユ

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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2 15 ノ カ ル社 の 顧 問 は か の キ ッシ ン ジ ャ ー で あ る。 ユ ノ カル 社 とプ リ ダ ス社 が 争 っ た 。 ク リ ン ト ン政 権 は も ち ろ ん ユ ノ カ ル社 に肩 入 れ した 。 プ ッ ト首 相(パ キ ス タ ン)は プ リ ダ ス社 を支 援 した 。 タ リバ ー ン(イ ス ラ ム神 学 生 の 意)(ア フ ガ ニ ス タ ン)政 権 は,ユ ノ カ ル,プ リ ダ ス と同 時 に交 渉 した 。 プ リ ダス 社 は敗 れ る こ と に な る 。 だが ア フ ガ ニ ス タ ンの 内戦 で パ イ プ ライ ンは実 現 で きな くな っ た 。

か つ て イ ラ ン革 命 で ホ メ イ ニ 師 が 政 権 の座 につ き,反 ア メ リ カ と な っ た 。 ア メ リ カ は こ れ に イ ラ ク を け しか け て,イ ラ ン ・イ ラ ク戦 争 が 起 きた 。 こ れ は 休 戦 した 。 そ の 後,ア メ リ カ は イ ラ ク を軍 事 国 家 に した 。 そ の た め イ ラ ク は 財 政 赤 字 と な り,そ れ を解 決 す る た め に クエ ー トを侵 攻 した 。 クエ ー トは ア メ リ カ の属 国 で あ り,ア メ リ カ は そ こ か ら石 油 と石 油 利 権 を 得 て い る 。 ア メ リカ は イ ラ ク を攻 撃 せ ざ る を え な い 。 こ れ が 湾 岸 戦 争 に な っ て し ま っ た 。 こ う して ア メ リカ は,イ ラ ン と イ ラ ク と を反 米 国 家 に して しま っ た 。 イ ラ ンで は1997年 にハ タ ミ大 統 領 が 選 ば れ,西 側 に 向 け て 少 し窓 を 開 い た 。

ア フ ガ ニ ス タ ンの 歴 史 は こ う で あ る。1973年 ク ー デ タで ア フ ガ ンの ザ モ ル ・ シ ャ ー が 亡 命 し た。1978年 ダ ウ ド政 権 が 倒 れ る。1979年 ソ 連 が 侵 攻 し た 。 1980‑92年 ア メ リ カ は ム ジ ャ ヒ デ ィ ン を支 援 し た 。 過 激 派 を増 大 させ た の は, ク リ ン トン政 権 で あ った 。CIA(ア メ リ カ 中央 情 報 局)ら は,急 進 的 イ ス ラム 諸 政 党 を支 援 して しま っ た 。ア メ リカ は 当 初 タ リバ ー ン に批 判 的 で は な か っ た 。

タ リバ ー ンが カ ブ ー ル を選 挙 した こ ろ,米 は タ リバ ー ン に好 意 を持 っ て い た 。 タ リバ ー ン が ビ ン ラ デ ィ ン に 隠 れ家 を与 え た の で,米 国 の タ リバ ー ン政 策 が 転 換 した 。特 に タ リバ ー ンの 女 性 ・婦 人 問 題 で,タ リバ ー ン支 援 か ら全 面 否 定 へ, 転 換 した 。 米 の ア フ ガ ン政 策 は一 定 し なか っ た 。 ア フ ガ ニ ス タ ンの 政 権 は,タ

ラ キ → ア ミ ン → カ ル マ ル へ と代 わ った 。 ソ 連 軍 に対 し,ム ジ ャ ヒデ ィ ンが 勢 力 を も っ た。1989年 に ソ 連 が 撤 退 した 。 ナ ジ ブ ラ大 統 領 の 政 権 が で き た。1992 年 に ム ジ ャ ヒ デ ィ ンが ナ ジ ブ ラ政 権 を打 倒 し,カ ブ ー ル を 占領 した 。 ラバ ニ と マ ス ー ドが そ れ を率 い た 。 内戦 が は じま っ た 。1994年 タ リバ ー ンが カ ンダ ハ ル

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16 第53巻 第4号

を征 服 し,そ の後,1996年 に カ ブ ー ル を 占領 した 。 オ マ ル は タ リバ ー ンの 宗 教 的 指 導 者 で あ る。 ア フ ガ ニ ス タ ン の90%は ス ンニ ー 派 だ っ た 。 ア フ ガ ニ ス タ ン は生 ア ヘ ン を生 産 す る。 そ れ を精 製 して ヘ ロ イ ンに な る。 タ リバ ー ンは 初 め そ れ を禁 止 した が,す ぐ承 認 した 。 カ ブ ー ル か ら,テ ロ と麻 薬 と イス ラ ム 原 理 主 義 が 流 れ て きた 。

ア フ ガ ニ ス タ ンの タ リバ ー ン政 権 が 反 ア メ リ カ に な った 。 こ う して イ ラ ク, イ ラ ン とを加 え た この 反 米 三 国 の 成 立 の た め に,パ イ プ ラ イ ンが 引 け な い の で あ っ た 。 こ れ で は トル ク メ ニ ス タ ンの 石 油 ・天 然 ガ ス をパ キ ス タ ン経 由 で 入 手 す る わ け に は ゆ か な くな っ た。 そ こで ア フガ ニ ス タ ン政 権 が 倒 れ るの を,ア

リカ は待 っ た 。 い や,倒 そ う と した 。

3‑‑2ニ ュ ー ヨ ー ク 同 時 多 発 「テ ロ」

ニ ュ ー ヨ ー ク 同 時 多 発 「テ ロ」 が,こ の 時幸 便 に も起 きた 。2001年9月11日 で あ っ た 。 事 件 の2日 後,犯 人 た ち が 確 認 さ れ た 。 こ れ ほ ど早 く分 か る とは不 思 議 で あ り,連 邦 警 察 は事 件 以 前 に す で に容 疑 者 を知 っ て い た。 犯 人 の 指 導 者 は ウ サ マ ・ビ ン ラデ ィ ンだ と さ れ た 。 これ は証 明 はつ か な い 。 ア メ リ カ は彼 を 捕 ま え る と宣 言 した 。

ロ シ ア の プ ー チ ン大 統 領 は,米 軍 機 の ロ シ ア 領 通 過 を 認 め た 。 米 軍 は ウ ズ ベ キ ス タ ン,タ ジ キ ス タ ンを 基 地 化 で き る よ うに な っ た。 カ ザ フス タ ン も遅 れ て 加 わ っ た 。 プ ー チ ン は こ れ を機 会 に チ ェ チ ェ ンの イ ス ラ ム 武 装 勢 力 を叩 こ う と

した。

パ キ ス タ ン は,ア フ ガ ニ ス タ ン の タ リバ ー ン勢 力 の 後 ろ楯 で,軍 事 援 助 を し て きて,密 接 な 関 係 を保 っ て きた 。 タ リバ ー ン勢 力 は イ ス ラ ム原 理 主 義8)者 ビ ン ラ デ ィ ン をか く ま っ て い た 。 彼 は タ リバ ー ンに 巨 額 の軍 資 金 や 武 器 ・兵 力 を 与 え て い た 。 パ キ ス タ ン の ム シ ャ ラ フ大 統 領 は,米 国 と そ の 大 統 領 に対 し て,

8)イ ス ラ ム 原 理 主 義 は,シ ャ リ ー・ア=イ ス ラ ム 法 の 即 時 全 面 適 用 を求 め る,イ ス ラ ム 教 復 古 主 義 運 動 。

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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2 17 テ ロ対 策 面 で 強力 を惜 し まな い,と 述 べ た 。 そ の 後,ビ ン ラデ ィ ンが も し犯 人 だ と して も,イ ス ラム 法 廷 に 出 し,ア メ リ カへ 譲 り渡 す こ と を事 実 上 拒 否 した 。 パ キ ス タ ンの 外 相 サ ッ タル は,15日,「 国 連 安 保 理 の 決 議 に従 い,国 際 テ ロ と 戦 う 国 際社 会 を全 面 的 に支 援 す る」と述 べ た。パ キ ス タ ン は ア メ リ カ と タ リバ ー ンの 間 で 矛 盾 した立 場 に あ っ た 。 国 内 で は 反 米 感 情 が み な ぎっ て い た。 また ヤ ミ経 済 とマ フ ィア経 済 が ひ どい 。

ア フ ガ ニ ス タ ンの 首 都 カ ブ ー ル か ら外 国 人 が 避 難 し は じめ た 。

ア ラ ブ 首 長 国連 邦,パ キ ス タ ン,サ ウ ジ ア ラ ビア は,タ リバ ー ン勢 力 を承 認 し て い た 。 サ ウ ジ ア ラ ビア は1980‑90年 に か け て,ム ジ ャ ヒデ ィ ン(聖 戦 をす る イス ラ ム 兵 士,の 意)に40億 ドル の公 式 援 助 を した 。

イス ラ ム 教 の主 流 は ス ンニ ー派 で あ り9),イ ラ ン は シー ア派 で あ り,95%が シー ア派 で あ る。1501年 に イ ラ ン は シ ー ア 派 国 家 に 変 わ っ た 。 イ ラ ンは,ソ 連 崩 壊 後,ロ シ ア,中 央 ア ジ ア と密 に な っ た 。 イ ラ ンで は反 米 ス ロ ー ガ ンが 消 え た 。 イ ラ ンは,イ ラ ンの 領 空 の 使 用 を認 め ない,と 声 明 した 。 ロ シ ア の参 謀 総 長 は,米 軍 との 共 同作 戦 は な い と,述 べ た 。

イ ス ラ ム の 人 々 は,イ ス ラ エ ル と ア メ リ カが 一 体 と見 て,そ の イス ラ エ ルが イ ス ラ ム教 の パ レス チ ナ を攻 撃 して い る と見 る。

テ ロ事 件 後,元 国 王 と北 部 同 盟 幹 部 の 会 議 を米 が斡 旋 した 。2001年11月13日 ア フ ガ ンの 北 部 同盟 が カ ブ ー ル を制 圧 した 。

タ ジ キ ス タ ン は,北 部 同盟 を 支 援 した 。 中 国 とロ シ ア と共 に,イ ス ラ ム 原 理 主 義 過 激 派 と戦 っ て きた 。 こ れ を ア メ リカ が 戦 っ て くれ れ ば あ りが た い と,ウ ズ ベ キス タ ン,タ ジ キ ス タ ンが 米 軍 に基 地 を提 供 した 。 イ ラ ンが 反 米 か ら代 わ っ て き た。 た だ し 「テ ロ と の 闘 い は 国連 の 支 援 の下 で 行 うべ き」 と。 中東 が 代

9)ス ン ニ ー 派 一 イ ス ラ ム の90%。 正 統 派 。マ ホ メ ッ トが 新 た な ス ン ナ(社 会 慣 習) を作 っ た 。 そ れ に 従 う。

シー ア 派 一 マ ホ メ ッ トの 従 兄 弟 で 女 婿 の ア リ ー の 廻 り に 集 ま っ た 宗 派 。 イ ラ ン に 多 い 。

ワ ッハ ー ブ 派 一 サ ウ ジ ア ラ ビ ア の 国 教 。 ス ン ニ 派 の 原 理 主 義 派 。

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18 第53巻 第4号

わ っ て きた 。 イ ン ド対 パ キ ス タ ンが,対 決 を対 ア フ ガ ンに した 。 イ ス ラ ム とイ ス ラ ム 原 理 主 義 と イス ラ ム 原 理 主 義 過 激 派 とは 違 う。 最 後 者 は,イ ス ラ ム原 理 主 義 を徹 底 化 し よ う と し,こ れ に反 対 す る10)。

3‑3結

9月11日 事 件 に つ い て次 の 評 論 が 出 た 。

抑 圧 や 貧 困 な ど第 三 世 界 の 苦 境 を放 置 した ま まテ ロ対 策 で 抑 え込 も う とす れ ば,逆 に 多 くの 人 を ビ ン ・ラデ ィ ン氏 の 「帝 国 」 に追 い 込 む こ とに な りか ね

ない 。」(9月14日,朝 刊)

「グ ロ ー バ ル 化 で 自分 の価 値 観 を押 し付 け る よ う な経 済 侵 略 性 な どが,反 抗 を誘 発 した … … 」

1990年 代 に 入 り,世 界 経 済 の 一 極 集 中 が 加 速 した 。 米 校 が 有 利 に た つ 情 報 技 術 と金 融 取 引 が,世 界 経 済 の基 本 的 枠 組 み を作 っ た 。 ア メ リ カは 世 界1の 借 金 国 で あ り,同 時 に世 界 に ドル を出 し,循 環 させ た 。2000年 に 西 欧 と 日本 か らア メ リ カ に流 れ 込 ん だ 直 接 投 資 と証 券 投 資 は,6千 億 ドル を越 え た 。 これ がIT 産 業 の 資 金 需 要 に応 じた 。 日本 は バ ブ ル の 処 理 に 追 わ れ,欧 州 ウ ィ ー ン連 合 は 統 合 を優 先 させ た 。 ア メ リ カ 的 世 界 市 場 経 済 が 地 球 を お お っ た 。IT化 で 瞬 時 に 巨 額 の 資 金 の 移 動 が で き る よ う に な っ た 。1日 の 外 為 取 引 で1兆6千 億 ドル が 動 く。 年 間8兆3千 億 ドル の 短 期 資 金 が1997年,1998年 に,ア ジ ア や南 米 な どの 国 を,通 過 危 機,財 政 危 機 にお と しい れ た。 米 校 の ドル 支 配 へ の不 満 が 途 上 国 に積 もっ た 。 米 国 の グ ロ ー バ ル ・シス テ ム に代 わ る も の が な い の で,米 へ の 敵 対 が生 じ る。

か つ て西 側 社 会 に 反 発 した 人 た ち は,社 会 主 義 に 活 路 を見 出 した 。 だ が 社 会 主 義 が 消 え,絶 望 感 を も っ た 人 々 が イ ス ラ ム原 理 主 義 に行 き着 い た 。

ア メ リカ を 基 準 と した 市 場 偏 重 の グ ロ ー バ リ ズ ム は,途 上 国 の 地 域 経 済 や 生

10)宮 崎 正 広 『テ ロ リズ ム と世 界 宗 教 戦 争 』徳 間 書 店;ラ ン ドー 『オ サ マ ・ビ ン ラ デ ィ ン』 竹 書 房;ラ シ ッ ド 『タ リバ ー ン』 講 談 社2001年

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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2 19 活 に破 壊 的 影 響 を お よぼ して きた 。 現 代 世 界 に広 が る 反 米 感 情 の 源 泉 で あ る 。

イ ラ ク の フセ イ ン大 統 領 は,こ ん ど の結 果 を 「邪 悪 な政 策 の結 果 で あ る」 と 述 べ た 。

ウ オ ー ラー ス テ イ ン は語 っ た 。 「米 国 金 融 街 が テ ロ の対 象 とな っ た の は,グ ロ ー バ ル化 した 先 進 国 の 市 場 経 済 や 多 国籍 企 業 な どが,途 上 国 か ら搾 取 した 富 の象 徴 と み られ て い る か らだ 。 途 上 国 の一 部 に は独 裁 や 貧 富 の格 差 拡 大 で不 満 が た か ま り,米 国 に 対 す る反 感 が 高 ま っ て い る 。こ の傾 向 はサ ッチ ャー や 米 レー ガ ン政 権 な どが グ ロ ー バ ル な市 場 経 済 原 理 を徹 底 し よ う と した80年 代 に加 速 。 米 国 は90年 代 に 資 本 や 人材 が 一一ts集中 して 「一 人 勝 ち」 状 態 に な り,世 界 の 貧 富 の 差 は広 が っ た 。

共 産 主 義 が 崩 れ 市 場 経 済 シス テ ム の 対 立 軸 が な くな っ た こ とが,一 部 の 途 上 国 の不 満 に拍 車 をか け て い る。 世 界 経 済 は70年 代 か ら長 期 的 な停 滞 期 に入 っ て お り,企 業 や 先 進 国 が 市 場 主 義 で 乗 り切 ろ う とす る ほ ど対 抗 勢 力 が 増 して い る。

そ の 現 れ がNGO(非 政 府 組 織)を 中 心 と し た 「反 グ ロー バ リ ゼ ー シ ョ ン」

の うね りで,今 回 の テ ロ 攻 撃 もそ の 一 端 だ 。 今 後20年 ほ ど は市 場 経 済 に対 す る 怒 りや不 満,無 力 感 が 顕 著 に な り,混 乱 や事 件,社 会 的 不 安 が さ ら に増 強 され る だ ろ う。

今 は歴 史 の 大 き な転 換 点 だ 。400年 以 上 続 い た 資 本 主 義 シ ス テ ム が 危 機 に ひ ん して い る。 市 場 経 済 は 世 界 の 富 を ご く一 部 の 国 に移 し,世 界 が 同 様 に成 長 で きな い 。 貧 しい 国 は貧 しい ま ま,と い4う考 え が 不 満 を募 らせ る 。20‑50年 もす れ ば 明 るい 展 望 に満 ち た新 た な シ ス テ ムが 創 生 さ れ る だ ろ う が,道 の りは 険 し い 。」(『朝 日』9・16)

テ ロル は悪 い が,報 復 戦 争 は もっ と悪 い 。 本 当 の政 策 は,政 治 家 や 外 交 官 が きめ る の で は な く,秘 密 主 義 の 石 油 企 業 や 各 国 の 情 報 機 関 が 動 か して い る。 ア フ ガ ニ ス タ ン戦 争 の 理 由 は,ビ ン ラデ ィ ン を捕 ま え る こ とが 目的 で は な く,ア フ ガ ニ ス タ ンの 北 に あ る 石 油 ・天 然 ガス の確 保 で あ る 。 利 権 を得,石 油 ・天 然 ガス を安 心 して 入 手 した い 。ウサ マ ・ビ ン ラ デ ィ ンが 捕 ま らな くて も よい の だ。

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20 第53巻 第4号

反 米 タ リバ ー ン政 権 を倒 し,親 米 政 権 を樹 て る こ とが 目的 で あ っ た。

以 上 の話 を,広 瀬 隆 氏 は疑 問 視 して い る。(『世 界 石 油 戦 争 』NHK出 版2002 年)し か し同 氏 の 著 書 で は具 体 的 に そ れ ら に対 す る 反 論 証 拠 は ない 。 な お小 生 は,あ る講 演 で11)こ の 論 旨 を述 べ た こ とが あ る,こ の 問 題 につ い て は 論 文 が で た 。(青 山 貞 一 「エ ネ ル ギ ー 権 益 か らみ た ア フ ガ ン戦 争 」 『世 界 』 岩 波 書 店 2002年9月 号)

同 時 多 発 テ ロ後 の ア フ ガニ ス タ ン攻 撃 と対 テ ロ戦 争 拡 大 で,米 国 の 軍 需 産 業 は膨 大 な利 益 を え て い る 。 日本 で は 土 木 建 設 業 が 最 大 の 公 共 事 業 だ が,米 ・英 で は 軍 需 産 業 が 最 大 の公 共 事 業 とな っ て い る 。

3‑4戦

ア フ ガ ニ ス タ ンの タ リバ ー ン政 権 の ザ イ ー フ駐 パ キ ス タ ン大 使 は,ビ ンラ デ ィ ンの 関 与 を否 定 した 。

ブ ッ シ ュ米 ・大 統 領 は報 復 を言 明 した 。9月12日,こ の テ ロ を 「戦 争 行 為 」 だ と非 難 した 。同 日,国 連 安 保 理 もテ ロ非 難 を決 議 した 。ジ ョ ン ソ ン時 代 の 後, 戦 争 の決 議 は議 会 に 与 え られ た 。 ブ ッ シ ュ は こ れ を握 ろ う と した。 ア メ リ カ は 戦 争 準 備 を決 議 した 。ブ ッ シ ュ は ナ イ ー ブ だ か らす ぐ戦 争 をす る だ ろ う とい う, 予 測 が 出 た 。 ブ ッ シ ュ は14日,議 会 に 武 力 容 認 決 議 を求 め,上 下 両 院 で 採 択 さ れ た 。 議 会 で は民 主 党 ・下 院 バ ーバ ラー ・リー 議 員 だ け が1人,こ の 決 議 に 反 対 し た 。 ブ ッ シ ュ は ワ シ ン トン大 聖 堂 で の 追 悼 式 典 で 「世 界 か ら悪 を撲 滅 す る 」 と述 べ,何 も分 か っ て い な い こ と を示 した。 ア メ リ カ 国 民 は戦 争 を望 ん で い るの で,ブ ッシ ュ は 戦 争 を や め られ な い 。 一 方,遺 族 の一 部 は,息 子 は戦 争

を望 ん で い な い はず だ,と 述 べ た 。

ア メ リカ は 「パ ー ル ・ハ ー バ ー 」 以 来 の シ ョ ック を受 け た し,そ れ以 上 だ っ た 。 パ ー ル ・ハ ー バ ー 事 件 は心 理 的 な もの だ っ た 。 また 「や らせ 」 で もあ っ た

11)「 新 しい 戦 争 の 背 景 」 小 樽 グ ラ ン ド ・ホ テ ル 小 樽 ロ ー タ リ ー ・ク ラ ブ 南,11月 30日 。

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世 界 経 済 お よ び,『 グ ロ ー バ ル 資 本 主 義 の 物 語 』2 21 し,地 理 的 に は遠 か っ た 。 ハ ワ イ は ア メ リ カ の 中 心 で は な い 。 ア メ リカ は,こ の パ ー ル ・ハ ー バ ー事 件 を 除 き,外 国勢 力 に攻 撃 され た こ とが なか っ た 。 そ れ が ア メ リカ の ど ま ん 中 で 起 きた の だ っ た 。

米 当 局 が2人 が,イ ス ラ ム 原 理 主 義 指 導 者 ウサ マ ・ビ ンラ デ ィ ン に 関 与 す る グ ル ー プ で あ る と したAP電 が,日 本 時 間9月12日 に 出 た 。13日,パ ウ エ ル 国 防 長 官 は,ビ ン ラ デ ィ ンが 首 謀 だ と しぼ りこ ん で い る と,認 め た 。 もっ と も ビ ン ラデ ィ ン氏 が 犯 行 を指 導 した の か,証 拠 が 必 要 で あ る。 ア メ リ カ政 府 と軍 部 が 証 拠 を示 さず 断 定 して い る だ け だ っ た 。15日,ブ ッ シ ュ大 統 領 は,ウ サ マ ・ ビ ン ラ デ ィ ンが 「最 重 要 容 疑 者 」だ と言 明 した 。翌 日,同 氏 は 関 与 を否 定 した 。 米 株 価 が急 落 し,証 券 取 引 所 が4日 間市 場 を 閉 め た 。 だが17日 に下 落 が と ま っ た 。 ヨー ロ ッパ で も ドル が急 落 した 。 日本 の東 証 で も1万 円 割 れ で,17年 り と な っ た 。 世 界 不 況 の 可 能 性 が 出 て き た 。 「テ ロ リス ト」 は 金 融 パ ニ ッ ク を ね ら っ た。 コ ン ピ ュ ー ター 網 が 壊 され た。テ ロ で 金 融 不 況,株 式 下 落 が 進 ん だ。

事 件 前 に,金 融 不 況 が 起 きて い た 。 不 況 な の で,こ れ を克 服 す る に は 国 家 的 大 プ ロ ジ ェ ク トか 戦 争 しか な い 。

イ ラ ク は歓 迎 の テ レ ビ放 送 を し,パ レス チ ナ 自治 区 で は テ ロ を祝 う姿 も見 ら れ た 。 北 朝 鮮 は 「反 テ ロ宣 言 」 に消 極 的 で あ る 。14日,パ レス チ ナ の イ ス ラ ム 原 理 主 義 ハ マ ス が,タ リバ ー ン に連 帯 を表 明 した 。

NATO理 事 会 は,9月12日,同 時 テ ロが 外 国 か らの 武 力 攻 撃 だ っ た と し た ら, 設 立 条 約 第5条 集 団 自衛 権 を発 動 す る と,決 め た 。そ の後10月2日, NATOが 集 団 自衛 権 発 動 を 決 定 し た。 イ ギ リス は ア メ リ カ と共 同 歩 調 を とる

と約 束 した 。 日本 の小 泉 首 相 は,米 国 と と もに 戦 う と,述 べ た 。 自民 党 幹 事 長 は9月13日,自 衛 隊 が 米 軍 基 地 を警 備 で きる よ う,自 衛 隊 法 を改 正 した い と, 述 べ た 。 与 党3党 も検 討 す る こ とで 一 致 した 。19日,小 泉 首 相 は米 軍 の 後 方 支 援 をす る と発 表 した が,こ れ は議 会 で 出 さ れ な か った 。

9月29日,タ リバ ー ン政 権 の 評 議 会 が ビ ン ラデ ィ ンの 出 国 を勧 告 し,ブ ッ シ ュ大 統 領 が 議 会 演 説 で 同氏 の 引 渡 し を要 求 した 。9月21日,タ リバ ー ン側 が 引 渡 しを拒 否 した 。22日,ブ ッ シ ュ は イ ン ドとパ キ ス タ ンへ の 経 済 制 裁 解 除 を 決

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22 第53巻 第4号

定 した 。24日,米 国 は テ ロ組 織 の 国 内 資 産 凍 結 を発 表 した 。9月25日,日 米 首 脳 会 議 が 開 か れ た 。

10月8日,米 英 は ア フ ガニ ス タ ン攻 撃 を始 め た。 ブ ッ シ ュ は民 主 主 義 と平 和 が 勝 つ と言 っ て,戦 争 を した 。 「平 和 」 とい っ て 戦 争 をす る とは 皮 肉 で あ る。

EUもNATOに 追 随 した 。ロ シ ア は表 面 的 に は 反 テ ロで 米 と一 致 した 。中 国 は, 裏 で は テ ロ リス トと支 援 国 家 に武 器 を輸 出 して い た。 タ リバ ー ン政 権 は倒 れ, 親 ア メ リ カ の カ ル ザ イが 大 統 領 に な っ た 。 そ の 後 ア メ リ カが ビ ンラ デ ィ ンを捕 ま え る こ と に熱 心 で は な い 。 彼 を捕 ま え る こ とで は な く,反 米 ア フ ガ ニ ス タ ン 政 権 を倒 す こ と,そ し て石 油 と天 然 ガ ス を北 か ら も っ て くる こ とが 重 要 だ っ た の で,仕 方 が な い 。 ハ ンチ ン トン 『文 明 の衝 突 』(集 英 社)の 言 う よ うに,イ ス ラ ム教 対 キ リス ト教 の 衝 突 で は な い。

米 中会 談 が な さ れ,テ ロ に 共 同 で 対 す る と声 明 し た。 しか し 中 国 は ア メ リカ の 軍 事 行 動 に は疑 問 で あ る と,釘 を させ た 。 イ ン ドネ シ ァ は 軍 事 行 動 に抗 議 し た 。 上 海 でAPEC首 脳 会 談 が 行 な わ れ た 。 日本 で は 自衛 隊 法 が 改 正 さ れ た 。

この 聞,ア メ リ カ で 炭 そ 菌 テ ロが 発 生 した 。 郵 便 に よ る菌 の 郵 送 で,10月19 日 まで で8人 が 感 染 した 。 犯 人 は わ か らな か っ た。 だ が 軍 の研 究 所 の 関 連 者 で あ る 。

以 上,こ の事 件 を 人 は テ ロ とい うの で,本 稿 で もテ ロ と表 現 した が,正 確 に は テ ロで な く攻 撃 と言 うべ き もの で あ る 。

ア フ ガ ニ ス タ ン戦 争 に よ っ て,ア メ リ カ は,同 国 に 親 米 派 の カル ザ イ政 権 を た て た 。 こ う して 石 油 と天 然 ガ ス の パ イ プ ライ ンは作 られ は じめ る だ ろ う。

4事 件 以 後

4‑・1エ ン ロ ン事 件

エ ン ロ ンが2001年12月 に 倒 産 した 。 全 米7位 の 会 社 で,テ キ サ ス 州 ヒ ュ ー ス トンに あ るエ ネ ル ギ ー総 合 企 業,電 力 卸 売 会 社 で あ っ た 。 市 場 化 の 中 で の新 ビ ジ ネ ス で あ っ た。 これ は 史 上 最 大 の経 営 破 綻 で あ っ た。2兆 円 の負 債 を抱 え, 簿 外 負 債 は6兆 円 と さ れ,2万 人 が 失 職 した。 これ は21世 紀 型 グ ロ ー バ ル企 業

参照

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