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国際競争力の強化 と経営革新

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岡山大学経済学会雑誌26(3・4),1995,289‑307

国際競争力の強化 と経営革新

技術導入の 日米比較‑

李 済 民

1.は じ め に

最近 日本企業はバブル経済 の崩壊後長引 く景気沈滞を回復 させ るために , 様 々な経営革新運動を展開 している。 リス トラとい う名の下で行われている ダウンサイ ジング,ホ ワイ トカラーの生産性 向上な どの最近 のほ とん どの経 営革新運動は 「効率」 と 「革新」 の二つの価値 を何 らかの形で内包す るもの で ,実際 これ らの二つの価値 は資本主義 の企業経営 において もっとも基本的 な二つの軸を形成す るものである。 (LawrenceandDyer,1983)

しか しなが ら,効率 と革新は本質的に相互対立的な概念 である。効率 とは 与え られた 目標 を最小の コス トで達成す る事を意味 し,一方革新 は新 しいア イデ ィア,製品 ,市場 ,または生産工程 を追求す る一連 の活動を意味す るも のである。従 って,革新 を強調す ると効率が犠牲 され ,効率を強調す ると革 新が麻痔す る。製造企業の場合 これ らの二つの価値 の対立は製造部門におい て典型的に見 られ る。製造部門の 目標 は生産 の継続性 (smoothproduction) である。 しか し革新 の名の下で次か ら次へ と導入 され る新製品 ,または生産 プ ロセスの頻繁 な変更はアイ ドル タイムの発生 ,新 しい生産設備が軌道に乗 るまでにかか る時間の ロス,ス クラ ップの発生 ,作業者 の再配置等 のため , 生産効率を しば しば悪化 させ る.一方 ,効率を強調す るコス ト中心の経営管

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理は 目ま ぐる しく変貌す る企業環境‑ の適応が遅れて革新が犠牲 にな る。 こ の ような効率 と革新 の対立的な関係は製造部門のみな らず ,企業組織 のあ ら ゆ る面において見 られ る。勿論企業 は この二つの うちに一つの価値 のみを追 求す る事に よって短期的には高いパ フ ォーマ ンスをあげ ることがで きる。 し か し,長期的には両方 とも犠牲 に され ることな く,同時に追求 しなければな

らない。

最近欧米の経営学理論が70年代,80年代 の コンテ ィンジ ェンシーアプ ロー チか ら大 き く離脱 して きている。過去においては状況に応 じて様 々な経営戦 略 お よび組織管理方法 の中か ら最 も適切な一つの方法を選択 し使用す ること が主張 されて きた。 しか し,最近 の経営理論では相互排他的に見える価値 , 目標 ,戦略 ,管理手法を同時追求す る事が企業が生 き残 るために必要 とな っ て きた ことを強調 している。特 に70年代 に コンテ ィンジ ェンシー理論家 とし て 最 も強 い 影 響 力 を 持 って い た ‑ ーバ ー ド大 学 の ロ ー レ ン ス (Paul Lawrence)が ,最近 の論文 では相互矛盾的な価値を追 求す るた め の企業 内 外 の諸条件 を 自ら提示 している。 (Mintzberg,1991)

最近 の世界経済環境は20世紀 以降続 いて きた大量市場 ・大量生産時代か ら 多品種少量生産時代‑ と全面的に移行す る構造調整段階に きてい る。 (Piore andSabel,1984)この よ うな環境で生 き残 り,さらに よ り複雑 に深化す る国 際競争で勝 ち残 るためには ,革新 と効率の両面において国際競争力を強化 し ていかなければな らない。勿論二つを同時に追求す ることはけ っして易 しい ものではない。そのためにはいろいろな条件が満た されなければな らない。

本稿では,それ らの条件 の一つ として ,企業 の生産技術 と人的資源 の管理方 針についての考 え方を述べ る。

2.競争力強化 と工場の自動化

効率 と革新のための企業 の競争力強化戦略の中で ,最 も重要な もの として

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国際競争力の強化と経営革新 629

考 え られ るのが生産 ・製造部門におけ る技術革新である。過去の製造技術は 単一品種 の製品を高速 で生産す るとい う側面か ら相 当な程度に 自動化 された が ,その硬直性 のためにノ、‑ ドオー トメーシ ョンまたは機械化 (mechaniza tion)と呼ばれ るものである。即 ち従来の 自動化技術 は革新 よ りは ,む しろ 効率のために考案 された システムである。 これ とは対照的に最近登場 した新 技術に よる工場 自動化は ,多様 な品種 お よび規格 の製品を生産 の流れを妨害 す ることな く,効率的に生産す るいわば柔軟な 自動化 (flexibleautomation) である。

しか し,この ような性能を もつ新技術 をただ単に も う一つの製造技術 とし て理解 し,組織全体の全般的な革新 と融合 しなければ ,企業 の競争力向上に は無関係な,場合に よれば過重 なサ ンクコス トのためにむ しろ企業 の生存を 脅かす ものにな る可能性 もある。新技術 を単な る機械化技術 の延長線上で と らえたために失敗 に終わ った ケースを紹介す る文献 で明 らかにな っているよ うに,新技術 の導入 ・統合のためには在L織 と人的管理 の面において全 く新 し い コ ンセ プ トを 要 す る。(HayesandJaikumar,1988;Wilkinson and Oliver,1990)

(1) 機械化技術の歴史

新技術 の特性を理解す るためには ,まず従来 の機械化技術について も う少 し具体的に調べ る必要がある。19世紀末 までのアメ リカの企業 はその 自動化 の程度は低 いが ,一つの機械 で多様 な種類 と規格の製品を生産す る汎用機械 (generalpurposemachine)を用いてモ ノ作 りを していた。従 って ,労働者 は高度 の熟練を通 して これ ら汎用機械を操作 し,消費者が要求す る規格 の製 品を生産 していたが,20世紀に入 ると急速 に拡大す る市場規模 のため ,生産 量 の増加を積極的に取 り組む様にな った。 しか し,当時の敵対的な労使関係 と伝統的な家 内工業的な技術 は膨 らむ市場規模に対応す るための生産性 向上 を妨害す る要因 として存在 していた。

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これ らの障害物を克服す るために登場 したのが科学的管理手法 として知 ら れ る管理革命 と,フ ォー ド社 のアセ ンブ リーライ ンに代表 され る機械化技術 であった。周知 の様 にフ ォー ドの観立 ライ ンの特徴は部品の標準化 と,特定 の加工 ・組立の工程速度を加速化 させ るために導入 され た専用機 械 (speci aトpurposemachine)にあ った.科学的管理 とアセ ンブ リーライ ンの実用 化 に よって ,アメ リカの企業 は急激に生産性 を向上 させ ,また規模 の経済を通 じて生産 コス トも効率的に下げ られ る ようにな った。例 えば,1914年 に完成 された フ ォー ドのアセ ンブ リーライ ンでは従来12.5時間かか っていた 自動車 1台当た りの組立時間を1.5時間に短縮 で きた。(Williamseta1.,1987)鉄鋼 産業 で もBessemerconverter Wellmancharger等 の新 しい工程技術 の導 入に よって,1890年か ら1910年 の20年 間で生産性 が3倍 も増 加 した。 また チ ャン ドラーに よると,タバ コ産業 にお いて も従 来熟練 労働 者 が一 日に約 3,000個 しか生産 で きなか ったのが ,専用機械 のBonsackmachineの導入後 には機械当た りの生産量が12万個 に増 え,その結果 ,僅か15台の機械で1880 年 のアメ リカ全体 のタバ コ需要を賄 えるよ うにな った。

しか し,当時の 自動化技術 はすべて生産 の継続性 と労働力の節減を 目標 と したいわゆ る硬直化 された 自動化技術 にす ぎないoすなわち,当時急速 に拡 張 された大規模市場には ,製品差別化 とか多様性 とい う不確実性 は含 まれて いないため ,単一製品の生産 に特化 された専用棟概 を導入 し,生産 ス ピー ド を加速化 させ るための 自動化技術 であった。 この ように特化 された技術が生 産現場で広範 囲に使用 されて きたために ,組織管理上新たな問題点が発生 し た。技術 の硬直化 が企業管理 のあらゆ る側面 において柔軟性 と革新可能性を 封鎖す るメカニズ ムとして作用 しは じめたのである。例 えば,フ ォー ド社 は 1927年 にTタイプモデルの生産 を全面的に中断 して ,新 しいAタイプモデル を生産す るための準備期間 として ,ノ\イ ラン ドパ ーク工場を数 ヵ月間閉鎖 し た。次のモデルが軌道に乗 って生産 され るまでには何 と1年 間 とい う高い コ ス トを支払わなければな らなか ったのである。(Womack,JonesandRoos,

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1991)

大規模市場の基盤の もとで支え られ ,技術水準の制約のお陰で容認 されて きた従来の硬直的な機械化技術 と大量生産方式は80年代 までのアメ リカ企業 の生産管理お よび経営戦略全般 の母胎 とされ て きた。す で に60年代 初期 に チ ャン ドラーは規模 の経済 の論理 の虜にな った アメ リカ企業が垂直的統合に よ り資源展開 とその活用 の面において も柔軟性 を発揮で きない点を批判 して いるが (Chandler,1962),消費者 の多様 な欲求が出現 しもはや大量生産が有 用な経営戦略 でな くな ったに も関わ らず ,工作機械 の ように大量生産が到底 不可能 な産業に まで も規模 の経済を発揮 しよ うとす る無駄 な試みが1970‑80 年代 に入 って柔軟性 を武器 とす る 日本企業 に よってチ ャレンジされ多品種少 量生産時代が本格化す るまで持続 している。 これは今 まで述べて きた アメ リ カ企業 の技術体系の特性である硬直的な機械化 との上昇効果を もた らし,数 十年後 のアメ リカ企業 の危機 を予告 していたのである。

(3)新技術の特性

過去の機械化技術 とは根本的に異なる新技術 とは どの様 なモノなのかを明 らかにす るために ,まず ,生産技術 の 自動化 (automation)について調べ る ことにす るO生産技術 の 自動化 とは生産過程 に介入す る人間の労働力を最少 化す る事を表す。具体的には (図 1) で描かれている様 に,次の3つの次元 での問題解決を意味す る。(Hirschhorn,1983;Brady,1986)

最初 の次元である変更 自動化 とは労働 の対象物 である原材料 ,部品等を製 品に直接に トランスフ ォームす る局面 において人間の労働力を減少 または除 去す ることを表す。変更過程 の 自動化 は ① ‑ ソ ドツール (例 えば針),②人 間の力に よって作動す る機械 (手動織造機),③人間以外 の動 力 (水 力 ,秦 気 ,電売等)に よって作動す る機械 (電動織造機) の順 に発展 して きた。

2番 目の次元の 自動化は加工 または観立 され る製品に動 力 を伝達 (trans mission)す るか ,または加工中の製品を適切な製造 プ ロセスの流れにあわせ

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(図 1) 自動化 の3つの次元

√""" " I ‑‑,7

移動 (transfer)

自動化の程度

変更 (transfomation) 自動化の程度

制 御 (control) 自動化の程度 資料:Brady(1986:80)

て移動 (transfer)させ る自動化で ,コンベアベル ト,パイプライ ン,クラン クシャフ ト等 の利用が挙げ られ る。 3番 目の 自動化は労働 の最 も本質的な側 面である生産 プ ロセスの制御 (control)部門において人間の労働 の介入をな るべ く除去す ることを意味す る。言い換 えれば ,前の2つの次元 ,即 ち変更 と移動を制御す る局面 での 自動化を表す。

生産 プ ロセスの制御 には数多 くの過 程 が含 まれ る。 い くつ か例 を挙 げ る と,製品の物理的樽性に合わせて機械を操作 し,製造 プ ロセスをル ーチ ン化 及びスケジ ュー リングす ること,製品を設計 し,その設計図に基づいて機械 を セ ッ トす るか工 具 や原 材料 を準備 す る こ と,生産 され た製 品 の品質 を チ ェックす ることな どがある。 もっと具体的な例 としては ,製品のアウ トラ イ ンに沿 ってキ ャム (cam)を考案 し機械 の動 きを コン トロールす るこ とが 挙げ られ る。

従来の機械化技術 は 1次元 目の変更動力については完全 自動化を達成 し, 2次元 目の移動 の 自動化 もある程度 までほ 自動化 できたが, 3つ 目の次元で ある制御においては 自動化で きなか ったので ,フ ォー ド社 のアセ ンブ リーラ イ ンで見 られ るよ うに不具の技術で止 まらざるを得なか った。第2次世界大

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戦後 ,機械作動 の制御 の 自動化を可能にす るテープ リーデ ィング機械や数値 制御機械等が登場 し,ようや く新 しい技術的可能性が開かれ るようにな り,

これ らの技術 のシーズが70年代の コンピュータ技術 と接合 して出現 したのが 今 日の新技術 である。

最近 普 及 され て い る 自動 化 技 術 は CAD,CAM, ロボ ッ ト,CAE, CNC/DNC,MRP,CAT,CAPP,AS/RS,AMH,FMS,CIM等 の工場 自 動化技術 と,コンピュータとテ レコ ミュニケ‑シ ョンを結合 した各種 のOA

技術が含 まれ る。総 じてマイ クロエ レク トロニクス技術 と呼ばれ るこれ らの 新技術 は生産過程で必要な コン トロール と情報の流れの 自動化 とい う側面 に おいて ,旧世代 の機械化技術 とは一線を画す る.何 よ りも最近 の新技術は柔 軟性 とい う面で優れた性質を持つ。 ある特定 の規格製品の生産 自動化 のため にその製品生産 のみに特化 された硬直的な設備 ではな く,自動化 された汎用 機械にプ ログラムを入力 して多様 な規格 の製品を効率的に生産 で きる。例 え ば,大型乗用車の溶接工程 で使用 され る ロボ ッ トのプ ログラムをち ょっとい

じることに よって ,あっと言 う前に小型車の溶接が可能 になる。

また ,過去の技術 は大量生産に よる規模 の経済が達成 されて初めてその投 資が正当化 され ていたが ,現在 の新技術は大量生産 のみな らず小規模 のバ ッ チ生産 において も経済合理性を確保 で きる。 ジェイ クーマに よると,最先端 のFMSを導入 した場合 ,経済的に最小生産規模がお よそ6台の機械 と6人 以下 の作業者で構成 され ると言 う。(Jaikumar,1986:76)20世紀初めの クラ フ ト職人に よって作 られた製品多様化 と,アセ ンブ リーライ ンの効率性 の間 で続 いていた対立関係が新技術 の出現 に よって あ る程 度 解 消 され た とい え る。

3.新技術適用の現状 :日米比較

はた して この ような新技術 は全世界のすべての生産現場 において ,その技

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術的な潜在力を発揮 しているのか。 この質問に答 えるために金属切削産業 で の米国企業35社 と日本企業60社 のFMSの運用実体を比較研究 した‑‑バ ー

ド大学 の ジェイ クーマの資料を調べてみ よう。 (Jaikumar,1984)

(表 1)に よると,類似 の技術水準を有す る工場 でのパ フ ォーマ ンスが 日 米両国の間にかな り差がある。 日本 では93種類 の多様 な部品を84%の効率的 な設備稼働率で生産 しているのに対 し,米国工場 では10種類 の部品を52%の 稼働率で1日平均8.3時間 とい う非効率的な数値に止 まって い る。 また革新 の指標 となる1年 間導入 され る新部品の数 も日本の22に対 し,アメ リカは僅 か 1にす ぎない。1985年に実施 された全世界の339個 のFMSに対 す るUN のサーベイデータをみて も,日本全体でFMSの49%が50種類以上の製品を 生産 しているのに対 し, ヨー ロ ッパが17%,ア メ リカは37%に過 ぎな い。

(W illiamsetal‥ 1987:432)一言で言 うと,新 技術 の持 つ柔 軟性 ,革新 性 ,効率性が 日本ではかな りの レベルで達成 しているのに対 し,アメ リカで は新技術が過去 の少品種大量生産 の も う一つのメカニズムに転落 している。

(蓑 1) 日米企業間のFMS成果比較

10 93

1,727 258

88 120

1 22

52% 84%

8.3 20.2 製造部品の種須

1部品当た り年間生産量 1日の部品生産量 年間新部品数 設備活用度

1日の実際作業時間 資料 :Jaikumar(1984:70)

この様な現状は典型的な大量生産産 業 で あ る 自動 車産 業 に おいて も現れ る。 この点 は最近MIT が行 った世界17カ国の90以上の 自動車 メーカの聞 き 取 り調査報告書で明 らかに されている。その内容を まとめた く表2)をみ る と,自動車産業 におけ る自動化程度 のほ とん どの部門において 日本がアメ リ カを リー ドしている。勿論 自動化 レベルの高低が即業績 の差異を表す もので

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(

2

)日米自動車産業での自動化とパフォーマンスの比較

自動化 :溶接 (全工程の割合、%) 86.2 76.2 塗装 (全工程の割合、%) 54.6 33.6

私立 (全工程の割合、%)

効率性 :生産性 (時間/台数) 16.1.78 25.1.21

晶質 (100台中不良件数)

革新性 :新卒開発期間 (何カ月) 640.02 860.2.34

新車の車体種類数 2.3 1.7

共通部品比率 18% 38%

新車開発遅延比率 1/6 1/2

金型開発期間 (何カ月) 13.8 25.0

プロトタイプリードタイム (何カ月)

レイアウト:一台当たり面積 (フィート/台/午) 6.5.27 12.7.48 修繕作業場面積 (全面積の割合、%) 4.1 12.9 在庫(8個の標本部品当たり1日平均) 0.2 2.9 資料 :Womack,jones.andRoos(1991:92,118から一部修正)

はないが ,(ウ ォーマ クらに よる と新技術 に よる 自動化水 準 は生 産 性 差 異 の3分 の 1を説 明 して くれ る と言 う。W omak etal‥ 1990:94)80年代初 の GMとフ ォー ド社 が行 った多額 な設備投資 (特 にGM79年 か ら7年 間400 億 ドルを新技術 に投資 した。BusinessW eek,1986)を考慮す る と,この 日米

自動車 メーカ間のパ フ ォーマ ンスの格差 は実 に驚 くべ きものであ る。

上記 の (2)で見 る よ うに ,生産性 ・不 良品率 の効率性指標 と,新製品 開発 ス ピー ド ・新製 品の車体種類 の革新性指標 の両方 の面 で 日本企業が アメ リカ企業 を圧倒 してい る。 また ,工場面積 の活用 の面 において も日本 の 自動 車工場が優れ てお り,在庫保有率 は僅 か0.2日分 と資源活 用 の面 に お いて も ア メ リカを大 き く上 回 っている。 この様 な格差 はなぜ生 じるのか。そ の答 え の一つ と して本稿 では 日米間の姐織 及 び人的資源管理 の違 いに注 目した い0

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4.日米の組織管理

ジ ェイ クーマはアメ リカにおけ る工場 自動化が柔軟性 と効率性 とい う本来 の 目的を実現 していない主要理 由 として ,その組織管理がテイ ラー主義 (T‑

alyorism)とフ ォー ド主義 (Fordism)か ら脱 皮 で きな い点 を挙 げ て い る。

(Jaikumar,1986:71)彼 は これを克服す るために組織管理上一大変革が必 要 とし,高度 の熟練労働者 の小集団の形成 ,エ ンジニア リングと製造部門間 の境界線 の撤廃等を主張す る。 この様 な主張 はけ っ して新 しい ものでは な い。む しろ70年代以降の経営学関係の書物で飽 きるほ ど繰 り返 されて きた内 容 の反復にす ぎない。問題 はなぜ アメ リカ企業がなかなか実行で きないかで あるoその理 由は次 の ように思われ る。組織管理や人的資源管理 の慣行は長 い歴史の中で多 くの勢力集団間のパ ワーゲームに よって形成 され るもので , 究極的には組織 内部 もしくは社会全般 の権力構造 ,経済的補償 ,地位 と特権 等の分配構造を反映 または再生産 してい るために,構造的な変化 に抵抗す る 慣性を もつ。 この反面技術 とはその性質上 ,革新が容易である。 したが って アメ リカの場合には観織的な準備がで きていない状態 で新技術 の導入がな さ れたのである。

(1) テイラー主義 とフ ォー ド主義

現在 のアメ リカ製造業におけ る生産性低下 の根本的な原因 として挙げ られ るティ ラ‑主義 とフ ォー ド主義について も う少 し具体的に見てみ ることに し よう。

テイ ラーが知人の鉄鋼会社 に末端労働者 として就職 した1900年代初めのア メ リカは今 まで世界経済を支配 してきたイギ リスに代わ って世界経済を主導 す る転換期 にあった。 この過程 の中で工場 は巨大化 され数千人の労働者が一 つの工場で働 くよ うにな ったが ,その殆 どが教育水準の低 い移民労働者であ り,資本家は大規模工場を コン トロールす る能力を持 っていなか った。その

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ため職長 と呼ばれ る,伝統的な手工業で成長 した熟練技術者 に よって任意に コン トロール され た ため ,生産量 の制 限や ス トライキが絶 えなか った.

(SimmonsandMare,1983:20)

その後 ,実家 に戻 り経営者 となったテイ ラーに とって最大の課題 は熟練労 働者 の知識 と技術 ,さらにはそれに付随す る生産過程 におけ るコン トロール 機能をいかに経営者に移転 し,その結果 ,単純労働者に転落 した労働者を動 機づけ ることであ った。 タス ク管理 ,タイムアン ドモーシ ョンス タデ ィ,職 能的作業班長制度 な どがそのために考案 された。テイ ラーは熟練労働者の知 識 を科学的に分析す るために膨大な量の実験 を行 った。例 えば ,旋盤作業を 金属 の強度 ,切削工具 の材料 ,シ ェー ビングの厚 さ,切削工具の模様 ,切削 中冷却剤 の使用 ,切削の深 さ,切削工具の錬磨頻度 ,工具の リップ角度 と除 去角度 ,切削のスムースさと消音の不在 ,丸 くカ ッ トされた材料 の直径 ,工 具の切削表面 に加わ るチ ップや シェー ビングの圧力 ,機械 のス ピー ドと入力 及び出力な どの12個 の変数に分解 し,その可能な組み合わせをすべて実験 し 最適作業方法を導 出 した。(Braverman,1974:110111) テイ ラーは この様 な実験 を3万ない し5万回繰 り返 しお よそ80万 トンの鉄 鋼 を費 や した とい う。 この様 に して探 し出 した最適な作 業方 法 を実 際現 場 に適用 し,そ の結 果 ,機械工はいままでの知識 と経験 ではな く,経営者 の指示に従 って作業す る ようにな った。

テイ ラーの科学的管理の核心、は構想 (精神労働) と実行 (肉体労働) の分 離にある。つ ま り経営者が生産 スケジュー リングを構想 し,労働者 はそのま ま機械的に実行す る。 また ,タイムア ン ドモーシ ョンスタデ ィに よって最適 な作業量が決定 され ると,それに従 って労働者 の生産性 を評価 し,能力別賃 金が支払われ る。生産工程が細か く分解 され分業が進むにつれ ,生産工程 の 全体の流れを掴み きれない労働者 は未熟練労働者に転落 し賃金交渉力を失 う ことになる。 また問題 を起 こす労働者は外部労働市場にて補給 され ,僅かな 教育 ・訓練 で賄 うことがで きる。

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確かに科学的管理手法は当時の敵対的な労使関係 ,手工業的伝統か ら抜け 出せない熟練労働者 ,未熟な移民労働者 に よって形成 され る労働市場を考慮 す ると,非常に魅力的な管理手法 といえる。 この様 な科学的管理はその後数 多 くのアメ リカ企業 と海外企業 (革命後 の ロシア企業にまで) に急速 に拡散 されてい った。(Clawson,1980)そ して,60年代初期 まで持続 された アメ リ カの高度成長で裏付け られ る ようにその成果 の面 において もテーラー主義は 成功的だ った といえる。

時期的にはテイ ラー よ り若干後 に‑ ン リフ ォー ドはテイ ラーと類似 の経営 哲学を もって ,自動車産業 に革命的変 化 を もた ら した。 す で に述 べ た よ う に ,フ ォー ドは部品の標準化 と専用機械の導入に i:り生産性 向上をはか る一 方 ,敵 織 管理 の面 に お いて も高度 な労働 分業 を実 施 し,大 手 術 を 行 う。

フ ォー ド社 のアセ ンブ リーライ ンが稼働 され る以前の1908年 のフ ォー ド工場 での労働者の平均作業サイ クルは514分であ った。 しか し,1913年 に アセ ン ブ リーライ ンが実用化 され‑イ ラン ドパ ー ク工場 で の作 業 サ イ クル は僅 か

1.19分に短縮 された。(Womacketal‥1991) この様な驚 くべ き変革が可能 にな った背景には ,作業 プ ロセスの高度 な細分化 と労働 の分業がある。その 結果,2つのボル トにネ ジを回すか ,自動車にクィアを取 り付け る作業 の繰 り返 しが労働者の一 日の 日課 とな る。 この様 な労働の分化はホ ワイ トカラー に も拡散 され ,例 えばエ ンジニアもプ ロダク トエ ンジニア,イ ンダス トリア ルエ ンジニア,マニ ュフ ァクチ ュア リングエ ンジニア等に区分 され るように な った。

この様 に形成 された フ ォー ド主義は職務 の細分化 ,作業者 の専用性 と硬直 性 ,そ して個人責任主義 とい う観織 お よび人的管理資源 の側面においてテイ ラー主義 と同列 といえる。今世紀初め に登場 した テイ ラーの科 学 的管理 と フ ォー ドの大量生産主義がいまで もアメ リカで観織管理 の基本理念 として根 強 く指示 されている理 由として2つ考 え られ る。先ずは ,マスマーケ ッ トと い う製品市場 の特性が規模 の経済や経験 曲線 の ロジ ックを支えて きた点 と,

‑300

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二番 目には ,この様 な艶織管理手法が企業 内外の秩序 とい う資本主義的な権 力関係に配置 されなか った点である。歴史的に見 ると,1920‑40年代のホー ソン工場実験 に よって促進 された人間関係 アプ ローチ,1950‑60年代 のマズ ロウ,‑ーツバ ーグに代表 され る人本主義 アプ ローチお よびイギ リスの トリ ス トに代表 され る ソシオ ・テ クニカル システムズアプ ローチ ,そ して70年代 の観織開発論者 と‑ ックマ ン,ワル トンらのタス ク設計論者達に よって ,部 分的ではあるがテイ ラー主義 とフ ォー ド主義に対 しての挑戦が続 いて きた。

しか し,これ らの挑戦は理論的な レベルで止 まってお り,ポス トフ ォーデ ィ ズ ムが議論 されてい る今 日にいた るまで ,アメ リカの組織管理 の実体は科学 的管理 とフ ォー ド主義 に よって実施 されて きた。

(2)日本的生産 システム

今 まで見て きた よ うにテイ ラー主義 とフ ォー ド主義 に代表 され るアメ リカ の組織管理 の特徴 は企画 と実行を分離 し,さらに効率性 とい う名 の下で最大 限に分解 された労働分業に立脚 している。 さらに細分化 された職務 は細かい 内容 まで厳密に分析 された ジ ョブデ ィス ク リプシ ョンに よって指示 され る。

この様 に硬直化 された アメ リカの組織管理 に比べ ,日本的生産 システムの特 徴 はそのフ レキシビ リテ ィにあるとい う。前に引用 した ウォーマ ックらの研 究のデ ーターを もとに フ レキシ ビリテ ィの中身について検討 してみ るo

(表3) で見 る ように ,日本 の 自動車工場 の職務 分類 数 の平均11.9に比 べ ,アメ リカの場合67.1と約6倍 に及ぶ。 この数値 は 日本 の生産 システムに おけ る多様 な職務 の統合を通 じての包括的な労働力の活用 を意味す る。 この 労働 の包括性 のためには労働者が多様 な職務に関す る知識 と技術を身につけ なければな らないので ,多 くの 日本企業 では社 内外の各種教育 ・訓練 プ ログ ラム,OJT,ジ ョブ ローテーシ ョンを実施 し労働者の汎用化 ・多能工化をは か る。新入労働者 の トレーニング時間が 日本の場合380.3時 間 とア メ リカの 8倍強にのぼ る。 また ジ ョブ ローテーシ ョンの頻度 (0‑‑回 も行わない ,

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(3) 日米の 自動車工場の生産 システムの比較

チーム構成率 (%) 69.3 17.3

ジ ョブロ‑7‑シ ヨソ頻度(0‑如 し、 4‑頻度) 3.0 9

提案件数/労働者数 61.6 0.4

職務分類数 ll.9 67.1

新入労働者の訓練時間 380.3 46.4

資料 :Womacketal(1990:92)

4‑頻繁に行 う) も,アメ リカの0.9に対 し,日本 は平均3と高い((表3) 参照)

もうーっ 日本的生産 システムの特徴 として挙げ られ るのは ,小集団活動 と 提案活動の活発 さである。表で確認す ると,労働者1人当た り提案件数が ア メ リカの0.4に比べ 日本は61.6と圧倒的な差がある。 また ,原 子化 され孤 立 した労働を強い られ るアメ リカの労働者 と違 って,日本の場合全体労働力の 中でチーム作業を遂行す る労働力の割合が7割近 い。

70年代後半か らの 日本企業 の高い国際競争力の源泉は この様 な組織管理上 の特性が ,すでに述べた効率性 と革新性の両面を要す るFMS等 の新技術 と うま く結合 した点にある。 しか し,ここで注 目しなければな らない点はアメ リカと違 って 日本では新技術を通 じてではな く,組織管理 と人的資源管理 の 活用を通 じた効率お よび革新 の追求が歴史的に先行 されていた点である。

日本 では ,アメ リカと違 ってテイ ラー主義 とフ ォー ド主義ではな く,労働 力の包括的活用 に よって競争力の強化 を謀 らざるを得 なか った理 由として , 移民労働者層 の不在 とか資本の不足等 の理 由が考え られ るが ,何 よ りも決定 的な理 由は国内市場が狭 いので大規模市場を前提 とした大量生産体制になか なか乗 り出せなか った点が挙げ られ る。例 えば,1950年代 当時 日本の 自動車 産業の年間生産量はアメ リカの 自動車産業 の僅か1.5日分で あ った。(Wom‑

acketa1,,1990)従 って 日本独 自の多品種少量生産 体制 を考 案 す る しか な

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国際競争力の強化と経営革新 641

か ったのである。 フ レキシビ リテ ィの高い機械設備 と汎用性 と包括性 の特徴 を持つ労働者 の育成は多品種少量生産 を よ り効果的に達成 し範 囲の経済を達 成す るために必然的に生 まれた ものである。

多品種少量生産 を強要 した市場状況 と,戦後 マ ッカーサ ー軍事政権 の労働 政策に よ り,日本 の企業では労働者を解雇す ることが難 しくな り既存 の労働 者をで きるだけ伸縮 的に活用せざるを得 なか った。 また ,戦後破壊 された経 済を短期間に再建 させ るための常にアメ リカの先進経営手法に頼 らざるを得 なか った。例 えば1950年代 に ジューランとデ ミソグが釆 目し,統計的品質管 理 とか科学的方法を初めて紹介す ると,アメ リカがそんな ことをや っている のな ら日本 もその くらいは,とい うので 日科技連当た りを中心にたちまちQ C活動がは じまった。 しか し,気がついてみた らアメ リカはそんなに真面 目 にや っていない ,いわば 「べ き論」だ ったのである。 同様 に参加 に よる経営 も実際 アメ リカの企業 では1980年代 まではけ っ して生産 現場 で適用 され な か ったに もかかわ らず ,アメ リカではみんなや っているもの と創造的に錯覚 (creativemisunderstanding)す ることに よって(Whyte,1987:492),アメ リカを見 よ う見 まねで作 った ものが結果的には 日本独 自の ものにな ったので ある。 しか もこの様 に してつ くられた 日本固有のフ レキシブルな組織風土が 新技術を うま くソフ トランデ ィングさせ る土台 とな った。

日本的生産方式 の典型例 として知 られ る トヨタの カ ンパ ソ方式 (JIT)も この よ うな背景で登場 した ものである。1940年代末にアメ リカのフ ォー ド社 を見学 して帰 って きた トヨタのエ ンジニア大野耐‑ は ,一連の実験 の結果 , 金型に ローラーと簡単なモニター機械を付着 しフォー ドでは一 目かか る金型 の交換を2‑ 3時間に短縮 した。大野は現場 の労働者に直接金型の交換を担 当 させ る過程 において頻繁 な金型交換を通 じた少量の部品生産がかえ って コ ス トが低 い ことを発見す る。すなわ ち ,必 要 な時 に適量 を生産 す る ことに よって在庫維持費が低下 し,最終範立 の前工程において不良品を見つけ るこ とがで き量産体制で しば しば問題 とな る不良品の大量発生 とそれに伴 う修繕

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コス トを最小化で きる。 この発見は後 に連続 的な後工程 引 き受 け に転換 さ れ ,看板を使用 しモノと情報が統合 され る様 にな って ,無在庫を実現 し,多 能工 と工程改善を通 じて需要変動 に応 じて作業員数を弾力的に変動 させ る固 有の生産 システムを作 り上げたのである。 また ,持続的な改善 活 動 とTQC を通 じて不良品の原因を根底か ら除去 し,TPMを通 じて設備稼働率 を最 大 に高めた。必要 なモノを ,必要な時に,必要な量だけつ くるジャス トイ ンタ イム方式は この ように作 られたのである。

日本企業 において改善 と日常業務 に見 られ る労働者の勤労意欲 は どの様に してモーテ ィベイ トされ るのであろ うか。その答 えは 日本固有の経済環境 の 中で育て上げ られた協調的かつ平等主義的な雇用慣行 (例 えば平等主義に基 づ く給与 と補償体系) と終身雇用制に代表 され る日本的経営にあると思われ る。1985年 の統計 に よると,日本企業 の社長が某 う年間所得は平均 して一般 労働者 の5.7倍 に対 し,アメ リカの場合33.5倍 とい う格差 を示 してい る。勿 論 この様な平等主義が産業 のセ クタ‑や企業規模 の差異を越 えて存在 してい るものではない。 しか し,企業 内部におけ る賃金構造の相対的な平等性は安 定的な労使関係 と労働者の士気を高め る重要な コンセ ンサス確保 メカニズ ム である。 この 目に見 えない暗黙的な合意の基盤があるか らこそ ,会社‑の貢 献を積極的に誘導す る職能資格制度 ,小集団活動を効率的に運営す る職制 , 生産職に対す る考課制度等に よって 日本的生産 システムの効率性が保 て ら九

るのである。

5.結 びに代 えて

この様 な 日本的生産 システムに対す る批判 の声 もある。特 にJIT を可能に す る最大の条件 としての労働者 の多工程持 ちは しば しば過密度労働を強要す る。極端 な例 としてほ トヨタのUライ ンで働 くある労働者は826秒 間に35 工程を遂行 し,距離 に換算 して一 日6マイル以上を移動す るケ ース もあ る。

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(Sayer,1986:53)また 日本的賃金制度及び査定 は基本的に労働者一人ひ と りに対す る個別管理 が前提 とな り,そ の結 果 日本 の労働 時 間 は長 くな る。

(野村,1993:125)製造業 の年間労働時間は公式統計に よると日本が2200時 間 , ドイ ツが1600時間であるが ,実際の残業時間は これ よ り長 い。 しか もこ うした長 い労働時間以外に長時間通勤や小集団活動を含む さまざまな人間関 係諸活動が加わ る。

確かに70年代 の2回に渡 るオイル シ ョックと80年代 の急激 な円高 とい う危 機的な状況を 日本 のメーカーは 日本独 自の柔軟な生産 システ ムの確立 と生産 現場 のあ らゆ る レベルにおいて無駄 を省 く撤密な努力の積み重ねに よって乗 り越 えて きた。その土台作 りが功を奏 して新技術が定着 し高い生産性 向上に つなが った と思われ る。 しか し最近 の環境変化 は この土台 自体 の変革を要求 す る。昨今 日本 の各地で行われている経営革新運動ほいままで聖域 ととされ て きた終身雇用制や年功賃金性 にみ られ る安定的かつ協調的な雇用慣行 にま で メスを入れは じめているO リス トラクチ ュア リングの‑貫 として希望退職 を募 った り,一時帰休を敢行 した りす る企業が 目立 っている。集団解雇 も現 実化 されパイオニア現象 とい う社会現象に まで発展 した。特 にそのターゲ ッ

トは課長 ・部長 クラスの ミドルである。

今後益 々複雑化す る環境変化に適用す るためには生産現場 におけ るフ レキ シビ 1)テ ィとい う一次元的な答えだけ では対 応 で きな くな る。 む しろテイ ラー主義や フ ォー ド主義で見 られ る リジ ッ ドで明確 な分業意識を積極的に取 り入れて多次元的に対応す るために,従来の 「日本的経営」 の根本的な改革 が必要 と思われ る。例 えばホ ワイ トカラーの ミ ドルに関 してい うと,従来の ゼネ ラ リス ト一辺倒 の考 え方か ら脱皮 し,ゼネ ラ リス ト,スペ シャ リス ト, 社 内企業家等に厳密に分化 し,異質性 ・多様性包容 の組織文化を作 り上げ る ことが革新 と効率 の相互矛盾的な艶織 目標 を真の意味で同時に達成 で きる近 道 の ように思われ る。

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参照

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