抵抗点溶接における基礎的実験
一電極チップ形状と継手特性との関係一
山 ロ 常 昭* 藤 原 由* 上 田 達 男*
(昭和55年4月30日受付)
Fundamental Experiment on Resistance Spot We1djng 一 Welded Joints Properties and Various Shapes of Electrode Tip 一
Tsuneaki YAMAGuclli Satoshi FuJiwARA Tathuo UEDA
(Received April 30, 1980)
現在,一般に使用されている電極としてのR形,F形チップと,中根らにより開発されたN形チップについて標準 的な条件で溶接を行ない,電極が継手特性に及ぼす影響について検討した。
その結果,ナゲット径は一部の例外を除けばN形が最:も大きく,ついでF,Rの順となる。さらに溶接部の圧痕に ついては,R, F形とも通電時間が長くなるにつれてクボミ深さは増加するが, N形のみは通電時聞が増すとクボミ から盛上りへと変化することなどが明らかとなった。
1.緒 言
抵抗点溶接は金属材料自身の有する固有抵抗ならびに金 属材料間の接触抵抗を利用して,短時間に高電流を接合す べき部分に通しその電流による抵抗発熱によって,金属材 料を局部的に溶融温度まで高めた後,適当な加圧力のもと において接合を行なう方法であることは衆知の事実であ る。したがって点溶接において,その溶接作業性,溶接結 果に大きな影響を与える因子として,溶接電流,通電時 聞,加圧力を挙げることができる。しかしながら,点溶接 が局部的溶融をともなう圧接である限り,これら条件のみ では不十分であって,電流分布や加圧力分布および冷却効 果が密接に関係する電極材料,電極形状も無視できない要 因となる。この点に関して,中根ら1)は電流密度の面では R形チップの長所を有し,加圧力分布についてはF形の長 所を有するチップ形式としてN形チップを試作し,溶接部 のクボミが少なくなる溶接法を考案した。さらに,N形チ ップではF形チップによる場合よりナゲット径が大になる と報告している。しかし中根らの報告が一般に実用されて
いる溶接条件の電流値よりはるかに高い電流に対するもの であり,RWMAなどの標準的な溶接条件下での溶接にお いても,同様な結果が得られるかについては明らかにされ ていない。
そこで本実験は標準的な溶接条件(電流)で溶接を行な い一般に多用されているR形チップ及びN形チップの原形 となるF形チップの両者による継手とN形チップによるそ れとを比較し,電極チップ形状が継手特性に及ぼす影響に ついて検討することとした。
*金属工学科
2.溶接条件の選定
2.1使用溶接機ならびに電極の試作
本実験に使用した溶接機は定格容量15 KVA,最大電流 11800Aの空気加圧式のttDAII)EN SL−AJ形の点溶接機 である。この溶接機は7300A〜11800Aの間で溶接電流を
5凌階に調節でき加圧力は最大360kgf,通電時間,加圧時 間などは3サイクル〜120サイクルの間で任意に調節可能 のものである。
次に,電極チップ形状としてはR形,F形, N形の3種 を採用することとしたが,前2者については溶接機付属の φ16のチップを採用した。そしてN形チップについては中
津山高専紀要第18号(1980)
根らの試作したφ22のチップ形状を参考にし,電極材料と してクロム銅を用い,Fig.1に示すような形状のチップを 用いることとした。なお,電極内のリング状の絶縁材とし ては予備実験の結果,入手が容易なものとして,謹厚30μm のシールテープを用いた。これら電極の形状および寸法を 示したものがFig.1である。
R一了》PE
F一 TYPE
N−TYPE
4
1一一一1一一一一
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4
一
■一一一℃一一一
@ 〇
乙
1一一一◎一一一■
@ 1
Fig.1 Details of used electrodes
またPhoto 1(a)は使用した溶接機を,同じく(b)は
電極部を拡大したものである。写真は十字引張試験片を溶 接しようとするものを示しているが,これより明らかなよ うに溶接作業中,被溶接材(試片)の安定をよくし,また 溶接点の位置決めを容易にするために下部電極ホルダー上 に,絶縁物の支持台を設けている。
また写真中のリング状の装置はサイクルカウンターであ り,通電時間を精密に測定するため特に準備したものであ
る。
2.2散り発生限界曲線について
溶接条件の選定においては,電流,加圧力,通電時間な どかなり自由に選べるわけであるが,電極加圧力は接触抵 抗との関連および溶融金属の逸出防止という2点から,溶 接電流と密接な関係にある。そしてこの関係は電流が大き
くなる程,加圧力も大きく選ばなければならないが,不必 要に加圧力を大きくすると電流密度が不足して溶着不艮な どを招くことになる。
そこで効率の良い溶接を行うためには,電流と加圧力 との関係は,中村ら)によりチリ発生限界曲線に近い値 を選ぶべきで,軟鋼板に対する電流と加圧力についての RWMAなどの推奨条件は,まさにこれに近い値が選ばれ ていることを明らかにしている。しかし,このチリ発生限 界曲線は溶接機の加圧系統の即応性によっても,大きく左 右されるものとされており,それぞれの溶接機に個有のも
(a)
Photo 1 General view of welding apparatus
(b)
のと考えられる。よって,使用する溶接機に対するチリ発 生限界曲線を求め,これを基準として適正な加圧力を決定 すべきであろう。
そこで本実験では点溶接に広く適用されている冷間圧延 鋼板(SPCC),(降伏点21.Okgf/㎜2,引張強さ31.6kgf/
mm2,伸び45.8%)を供試材とし,板厚としては,本溶接 機でRWMAの推奨しているA, B, Cの各クラスでの溶 接が可能な1.6mmを採用し,次に述べる要領で,散り発生 限界曲線を求めた。すなわち,溶接電流を8400A,9500A,
10600A,11800Aの4段階に変化させ通電時間は17サイク ルと一定にして,種々の加圧力で後述する十字引張試験片 を作製し,散りの発生限界を求めた。また,実験に供する 電極チップの種類としては,前述した3種の形状すべてに ついて実施すべきではあるが,F形はN形に近い結果が得
られるであろうと推定されるので,R形とN形の2種とし た。さらに,電極チップの組合せとしてはR−R,F−F,
N−Nのように上下電極とも同形チップの使用が一般的と 考えられるが,F−Fの組合せの場合,はなはだしく電流 効率が悪くなり,ナゲットの生成が不安定となることが予 測される。またN−Nの組合せについてもナゲットの生成 が不安定となる欠点がある。したがって,上下電極チップ の組合せとしては下部電極はすべてR形一定とし,上部の みを変化させることとした。
Fig.2はこのようにして求めた散り発生限界曲線であ る。図より明らかなようにt 散りの発生 に関してはチッ プ形状に関係がないと言って差支えないようである。なお 同図には,RWMAによって提案されている推奨条伴)をも 示してある。この曲線に対し,本実験で得られた散り発生 限界曲線は低加圧側にあり,推奨条件よりはるかに低い加 圧力でも散りが発生しないことを意味している。しかしな がらこの散り発生限界曲線は継手性能を考慮してない点を 考えると当然のことであると言えよう。
2.3加圧力の選定
前項で述べたように,良好な継手性能を有する継手を得 るためには散り発生限界曲線以上の加圧力を必要とする が,適正な加圧力の大きさを知るため,前項に用いた2種 のチップ形式について次の実験を行なった。すなわちR−
RおよびN−Rの2形式のチップの組合せにより,本溶接 機で許容される最大電流11800Aで通電時間1アサイクルー 定とし,加圧力を100kgfから360kgfの間で10数段階に変 化させ,後述するような十字形引張試験片を作製し,その 強度を求めた(Fig.4,(C)およびFig.5参照)
Fig.3はこのようにして求めた加圧力と溶接継手強度と の関係を示したものである。(図の曲線は一部の例外を除 き,各条件のもとで得られた継手強度の最大値と最小値を 結んだものである。)図より明らかなように,最大値では R−Rは230kgf以上, N−Rは210kgf以上でほぼ一定値を 示し,最低値ではそれぞれ280kgf,260kgf以上でほぼ一定 となっていることより,R−R系については280kgf, N−
R系については260kgf以上の圧力を加えれば,一応良いで あろうと言える。
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100 ZOO 300
0 ELectrcOt torce (e)Fig.3 Relation between electrode force and cross tensile strength
500:
v 400 8
,5. 300
塁
ぎ。0
100
e R−R
AN−R Reco Trended ptactices(A) by RWMA
7
RecomrT)erxted,クノ practices(B)by RWMA
O 7 8 9 10 11 12 13
Wotding current (kA)
Fig.2 Critical conditions of electrode force and welding current for expultion in mild steel
しかし,この程度の加圧力ではバラツキが大きいため,
バラツキがより少なくなるような加圧力として330kgf(R−
R)の採用が望ましいと考えられる。この実験結果とFig.
2で述べたRWMAの推奨条件を比較すると,後者の方が やや加圧力は高く360kgfとなっている。加圧力は本来大き なことのみが望ましい条件ではないが,安全性をも考え本 溶接機でも施工可能な360kgfを最大電流値に対する適正な 加圧力と選定した。
3.継手特性におよぼす電極チップ形状の影響 3.1実 地方 法
前節の実験において溶接電流11800A,加圧力360kgf,
通電時間17サイクルで溶接を行えば,一応好ましい継手が
津山高専紀要第18号(1980)
得られることが明らかとなった。しかしながら溶接年取に ついては十分な吟味を行なっていない上,前節では最低限 必要な溶接条件の決定に主眼をおいたため,ナゲット形 状,継手強度についても未解決のままである。
したがって本節においては上述の溶接条件を基本とし,
溶接時間を変化させた場合,継手の諸特性が電極チップ形 状の相違により,どのような影響を受けるか追求すること とした。なお,溶接条件としてはRWMAのBクラスに相 当する条件についても1部実験を行うこととした。
3.1.1単一溶接点の引張せん断強度試験
点溶接継手は継手を構成する板面に平行な九すなわち
ttケん断継手 として設計するのが一般的であり,点溶接 において最も重要な強度特性の一つである。したがって,
本実験においてもJISに従いFig.4(b)に示すような試 験片を用い,引張せん断試験を行うこととした。
(c)
一
i
7
+ 9_一
幸
霧 ︐
5
菰磨
(b) (a) (d)
Fig.4 Details of test specimens
試験片数量としては,点溶接が微妙な条件の差によって もその強度特性に差があらわれるため,各溶接条件ごとに 数個の試験片を準備した。また引張せん断試験に際し,継 手部の塑性変形域の広狭が強度に影響するため,試験時の チャック間距離を一定にするよう特に留意した。
なお,溶接前にすべての板面を#400のエメリー紙で研 摩して,サビ,ホコリなどを十分に除去し,鋼板の表面状 況が均一になるよう留意した。また,この処置は以後のす べての溶接にも適用することとした。
3.1.2単一溶接点の十字形引張強度試験
点溶接においては,継手を構成する板面に垂直な荷重が 作用するような位置に使用することは望ましくない接合方 法である。しかし実際の構造にあっては,荷重は単一方向 から作用する場合のみでなく複合的に作用することが多 い。しかもこのような方向の荷重は,ナゲットの外周部(
熱影響部)に関してせん断として作用するため最も苛酷な
外力条件と言える。
したがって一般的にはこの強度は,ナゲット部が母材か らはく離する場合の強さを示すものと表現されており,前 項で述べた引張せん断強さとの比を延性比として,継手性 能の一つの目安とされている。本実験においてもFig.4(c)
に示すような試験片を用い,十字形引張強度試験を行なう こととした。この試験においては,荷重は板面に垂直に作 用し,継手部にせん断力が作用すると同時に,板は面外に 大きく曲げを受けるおそれがある。この曲げをできるだけ 最小限に抑え,すべての試験片についてその影響を一様に するため,Fig.5に示すようなジグを用いて試験片に荷重 を作用させるようにした。
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6
e o e e o
Fig.5 Test jig for cross tention test
3.L3ナゲット形状の測定
点溶接継手の強度特性に大きな影響を与える因子として ナゲット径,ナゲット部のクボミあるいはナゲット外周部 のコロナボンド部など,いわゆるナゲット形状によるもの がある。本実験においてもFiど.4(d)に示すような大きさ の継手を準備し,その形状を測定することとした。すなわ ち溶接部の圧痕を表面あらさ計にて測定し,圧痕測定後,
点溶接部を板面に対し垂直な方向で切断し,ナゲット部の 断面形状(ナゲット径,ナゲット・コロナボンド部の組織)
を調べることとした。
3.2継手強度について
前項に述べた引張せん断試験ならびに十字形引張試験に よって得られた代表的な破壊状況をPhoto 2(a)(b)に 示す。写真(a)は引張せん断に対するもので,(b)は十字 形引張のものである。そして(a)の右は最も多く認められ
た破壊形式で接合状態が良好な場合のもので,母材のティ ァ破断となるものである。次に中央のものは,ナゲット周 辺から発生した割れにより,いわゆるt 抜け現象 の生じ
R31B
⁝灘獺
F64 N30
(a)
N34 N 54B
(b)
Photo 2 Fracture appearance of spot weld
たもので,やや強度が不足したものである。最後に左側の ものは,いわゆるBクラスの溶接条件に見られるナゲット 断面における典型的なせん断破壊の例である。また写真
(b)の左側は,(a)の右ならびに中央に相当する継手に見 られるもので,右側は(a)同様Bクラスの継手に相当する ものである。
次に引張試験結果をそれぞれチップ形状ごとに示したも のがFi9.6(a)〜(c)ならびにFi9.7(a)〜(c)である。
なお後者はRWMAのBクラスの条件に相当する溶接条件 による継手に対するものである。いずれの図においても,
他の多くの強度試験結果(点溶接)に見受けられるのと同 様各測定値にはバラツキが認められる。したがって,本実 験結果の整理にあたっては,測定値が正規分布をなすもの としてデータの95%信頼区間を求め,それを示したものが
図中の実線である。いずれの図においても引張せん断強さ は溶接時間の増加につれ増大しており,F−RならびN−
Rシリーズにおいては一定値に収束するようである。な お,R−Rシリーズについては,溶接時間の中間値の測定 結果がないため断定はできないが,他の研究)によれば一 定値に落着くようである。またその値についてみると,溶 接時間の短い間(20サイクル以下)はF−Rシリーーズがも っともすぐれており,ついでR−R,N−Rシリーズの順 になっているが,溶接時間が長くなると(25〜50サイクル)
F−R,N−Rはあまり差がなくなり,しかも後者の方が バラツキが小さくなる現象が認められる。なお,N−R系 について50サイクル以上の結果が得られなかったのは,溶 接時に電極チップ表面の中央が高温となるため半溶融に近 い状態となり,試験片と軽い溶着現象を生ずるため,継手
津、山高専:紀要第18号 (1980)
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Current. 11800 A
Etectrede force 360 kgf e Tersite shear strength A Cross tensile strength . Duct ity ratio
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oT6−tTsa−oo to so eo o 一 wht co co oo ・ o io
→ Wdd瞬贈 〔C匹陰) 一→ Weld time (oycb}
(a) (b)
Fig.6 Relation between weld strength and weld time for A class
20 30 LO 50 60
一一一一sl Weld time CcycLe)
(c)
㎜ ㎜
︵●03りヴ︐●﹂咽︒陰
oo 6
6o◎
●囎堺切6●ω のO﹂O亭■■■1
400
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A
▲︑ムム
ム
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ムム
F−R
950e A
Current
ELectrode ferce 240 kgt
oo
=2︸ 72
篇5﹂窃 働
鵬
脚
●=㈲C●劇 ■●鋤0﹂り→
400
200 200
0 le 20 3e 40 so 60 To lo 20 30 40 so 60 o lo Weld time (cycte} 一 Wetd tlme (cycle)
(a) (b)
1−t ig.7 Relation between weld strength and weld time for B cla$s
20 30 40 50 60
一一黶@Wetd time (cycle)
(c)
が得られなかったためである。
次に十字形引張試験結果についてみると,溶接時間が20 サイクル以下ではR−R,F−R, N−Rの順に強度はす ぐれており,とくにR−R系については17サイクルの場合 先の引張せん断においてもそうであったが,R−R毒中で は最もバラツ1・一が少ない状態であった。これに対し,他の 2者は溶接時間の増加につれ強度は増大し,ほぼ一定値に 近づく傾向を示すようで,引張せん断と同様F−RとN−
RではN−Rの方が値も大きくバラツキも少ない。
以上,2種強度試験のみから考えると,溶接時間の短い 場合はR−R系がすぐれており,溶接時間が大になるとN
−R系がすぐれ,F−R系は強さとしては両者の中間に位 置するがバラツキは大である。
さらに点溶接の場合,延性比により継手のもろさを知る
尺度としている。したがって,本実験においてもこれらを 求あたものが,Fig.6各面の破線である。図より明らかな ようにいずれのシリーズにおいても,溶接時間の増加につ れ延性比は増大し,R−RおよびF−Rシリーズではあ.る 溶接旧聞に対してピーク値をとり,その後減少して行く傾 向にある。またN−R系については,本実験の範囲内では ある溶接時間後ほぼ一定値をとると考えられよう。
以上の強度試験の結果より,延性比が最高値をとる溶接 時間が最適な溶接時間といえるようで,延性比とともに示 すと次のようである。すなわち,R−R17サイクル93%,
F−R30サイクル86%, N−R34サイクル88%である。な お,Bクラスに相当する継手における十字引張試験につい てみると,溶接時間の増大につれ強度は増加するようであ るが,バラツキは一般に大きく,とくにF−Rについては
溶接時間と強度との間に一義的な関連を見出すことは困難 なようである。
3.3溶接部の圧痕
点溶接継手において,継手強渡:ならびに外観上からも重 要な影響を与えるものとして溶接部の圧痕が挙げられる。
Fig.8(a)(b)は表面あらさ計によって,溶接部の圧痕を 測定した結果の一例である。
R−R
OR F
一.一.一r
m..
14C 17C 22C
一40
1︐g 一20
t}q,,i︐ :g
忌1。。
120
N一一R
2e c
Current 11800 A Etectrode force 360 kgf
Nboh一一一.一一[一一一一一H−o一
RRR一一 鱒NFR
ムロ●
.一..,..一...一一一.一.v.一一一一一・一一一 一一一 一一 wN−nyd・
Current lieOO A
EIectrode force 360 kgf
Weld time 30 cycle (a)
NX一一一一一一一一一v 一er 一Lpt pt一一v...一
30C
N−R
Current 11800 A
Etectrode torce 360 kgf
(b)
Fig.8 Results of photo tracer scarming
本実験においては,すでに述べたようにR−R,F−
R,N−Rのように2種のチップ組合わせによっているた め,溶接部の圧裏は同一試験片においてもチップの種類に よって異なると考えられるので,溶接時間の短い17サイク ルと長い34サイクルの2者について表裏両面の測定を行っ た,しかしいずれのシリーズについても下部電極チップ(
R形)によるクボミは誤差程度の差しか認めることができ なかった*。 したがって,以後の測定はすべて上部のR,
F,N形による圧良のみめ測定によることとした。ここで 注目すべきは恥9.8(b)に示すN形による圧良の変化であ
.る。
Fig.9は測定結果をまとめたもので, R−R, F−Rシ リーズとも溶接時間め増加につれ,クボミ深さは増大し一 定のクボミ深さに近づくようである。しかしNシリーズに ついては一定値に近づく現象は変らないが,溶接時問が25 サイクル以上になるとクボミから盛上りへと全く異なった 変形へと移行して来る。この点は中根らDの報告にも認め られない現象であるが,中根らの研究が板厚1mmにおい て12000〜17000Aと標準的な溶接電流よりも,はるかに高
*この点に関しては,今後なお詳細に検討する心要があ ると考える。
10 20 30 40 50 s Wetd time (cycte)
Fig.9 Relation between weld time and depth of hollow
面方向にて測定すると,
だものを直径と見なしがちなため,板面に対して垂直な方 釦
い電流値によって短時間(10サイクル)で溶 接を行っている点を考えると,本実験のみに 認められた特異現象とか測定誤差ではなく本 質的なものと考えられるので,定性的な考察 を後に行うこととする。
次にナゲット径の測定によって得られた結 果をFig.10に示す。ここでナゲット直径を板 いわゆるコロナボンド部をも含ん
ao︵εε︸ヴoO穿ち 0 7﹂2●ε0δ
60
一
so
メ
A
へ \ 臣へ サ ・ ︑
/謬一
Current 11eOO A
Etectrode torce 360 njf △ N働R
ロ F−R e R−R
O 10 20 30 40 50 60
. Wetd time (cycte>
Fig.10 Relation between weld time and diameter of nugget
津:山高専紀要第18号(1980)
向にて測定することとした。図より明. 轤ゥなようにナゲッ ト径は,溶接時間の増加につれ直径は増大し一定値に近づ いており,一部を除いてN,F, Rシリーズの順に大き
く,前述のクボミはこの順に少なくなって行く現象があ る。この点について考察するため,本実験に用いた各電極 について,溶接時における温度分布,加圧力の分布を模式 的に示したものがFig.11である。なお同図では考察を簡単 にするため,同種の電極チップのみによる組合わせの場合 について示すこととした。
R F N
τ●mp.
Forc●
Fig.11 Schematic diagram of temperature distribution and weld force on spot welding
まずRシリーズについて考えるに,通電のたあの予加圧 の際はR形チップのR先端のみの点接触に近い状態であ る。したがって通電初期における電流密度は3者のうちで 最も高く,電極先端間の極めて限られた円柱状領域が加熱 されることになる。この発熱にともなう材料の変形抵抗の 減少によって,通電申期以後ではチップ先端のある程度の 領域までが接触することとなり,結果的には図示のような 温度分布になると考えられる。また加圧力についてはR形 の形状特性ならびに通電中の電極の動きを考慮に入れる と,平均的な圧力に対し,電極中心部に付加的に集中力が 作用するものと考えられる。したがって,同一溶接条件で は3者の中でナゲット径が最も小さく,クボミ深さが最大 になるものと考える。
次にF形についてみるに,通電前の予加圧の段階におい て,すでにチップ径全域における.面接触の状態にある。し たがって,同一電流値においては前者よりその電流密度は 数等低くなるものと考えられる。この場合の温度分布は,
電極直径に相当する部分はほぼ一様となろうが,溶接初期 の電流は板間の密着のよいチップ中心近傍を流れることを 考えると,図示のような台地状の分布を取るものと考える ことができる。また,この際の圧力分布を考えると,チッ プ形状より当然のことながら図示のような周辺部集中形と いえる。したがって温度の高い中央部の圧力が低く,温度 の低い周辺部の圧力の大なることより,ナゲット部全域が 平均的に圧接されていると考え得る。さらに本実験の場
合,r方にR形を用いているためF形のみの場合より中央 の圧力は大となり,溶接時聞の短縮に効果があるようであ る。上述の考察によれば,Fシリーズによるクボミ深さは R形シリーズに比し,当然浅.くなるものと言い得る。事実 Fig.8(a)の表面のあらさ計によるクボミ形状, Fig.9の 結果もそのようになっている。
最後にNシリーズについて考えてみるに,通電前の予加 圧の状態は上述のFシリーズと同じ面接触である。しかし N形チップは前述したように,電流を絞るための加工を施 してあるため,通電時の電流密度はR形について大きく,
電極中央部の細い円柱状の部分にはさまれた個所のみが理 論的には発熱することとなる。しかし実際には中心より周 辺へ流れる電流によって,最:終的にはR形と同様な温度分 布になるものと考える。その結果,Fig.8(b), Fig・9に 示すようになると言える。ただ溶接時間の増加につれ,溶 接部圧良がクボミから盛上りに変化することは全く別の機 構によるものと言えるようである。すなわち,上述の考察 では圧接時の冷却過程について考慮していないが,R・F シリーズは別としてN形シリーズについては絶縁膜の存在 を無視できない。電流を絞る目的で設けた絶縁膜は,電気 的には絶縁体であるが,熱的には良導体であることが本来 望ましい。しかしこのような物質の入手は困難であり,本 実験で用いたシールテープの場合,ある程度の熱は伝える が良導体とは言い難い。そのため溶接時間の短い場合は別 として,時間が長くなり発熱量が大となると,N形チップ 側の州流が下部電極チップと比べて少となり,そのため冷 却時の引けが下部電極チップ側のみに生ずるようになると と.もに,上部電極チップの微少な変形に基因して,上面の 溶接部が盛上ると考えられる。しかし,その量はきわめて 少なく,しかも平坦であるため外観上は問題とならず,む
しろR形,F形よりも好ましいと言えよう。
3.4溶接部の組織
継手強度におよぼす継手の溶け込み状態などを知るた め,代表的な継手について溶接部のマクロ組織を調べたも のがPhoto 3(a)(b)の各写真である。写真においてR,
F,Nの記号はそれぞれ電極チップ形状を表わし,また数 字は溶接時間をサイクル数で示したものである。写真より 明らかなようにいずれの継手においても,板厚方向のナゲ ット中央部から樹枝状晶が外方に発達し,その周囲に熱影 響変質層が認められる。組織を観察する限りにおいては,
電極チップによる差は明瞭に認められず,むしろ溶接時間 の差の方が大である。すなわち,溶接時間の長い方が熱影 響域が増大し,熱影響変質層の組織が粗粒化してナゲット と母材部が明瞭に区別できなくなる様子が認められる。こ れに反して,溶接早目の短い場合はナゲットと母材部が容 易に区別できる点が異なっている。
R17
F17
孤1羅麟
R30
F30
N17
R17
(a) N34
R30
騎 ︵
㌔
ド!
蝋 昭 昭 酬 難
︸
娩︑、
N17 (b) N34
Photo 3 Macroscopic structure of spot weldment
津山.高専紀要第18号(1980)
点溶接の場合,ナゲットの先端に固相接合によるコロナ ボンド部が生ずるが,この領域が継手強度に関係するとも 考えられるので,ナゲットの先端部をさらに拡大したもの がPhoto 3(b)の各写真である。写真はいずれも上がナ ゲット端部であり,下部が接合されていない部分である。
すなわち,各写真の下部に割れのように見える部分が2 枚の板のスキマであり,このスキマから上に伸びる細い割 れのように見える部分が,AI変態点以上に加熱された部分 に相当している。
ここて,注目すべきことはこの間隙がナゲット先端まで Fシリーズでは伸びているが,他の2者はナゲットよりや や離れた位置でとどまり,ナゲットとの間に固相接合によ るコロナボンド部の形成が認められる点である。したがっ て,Fシリーズの強度増加は主として,ナゲット径の増大 によってもたらされるものと推考する。
3.5継手の各種試験に対する総合評価
以上,本章で行なってきた各種の継手試験を評価するた めに,それぞれの電極チップ組合せに対する強度特性なら びに継手形状を代表するものとして,ナゲット径を一まと めにしたものがTable lである。なお,同誌には各シリー
Table 1 Summary of test results
Time
htem
17 32 34
A.V R.V A.V R.V A.V R.V
f穿 1180 1.00 1305 1.00 1320 1.00
R−R
f︐ 1100 1.00 1068 1.00 1075 1.00
f /f∫ 93 1.00 82 1.00 81 1.00
dπ 6.65 1.00 7.48 1.00 7.46 1.00 fs 1225 1.04 1345 1.03 1390 1.05
F−R
ff 930 0.85 1160 1.09 1155 1.07
f,/f∫ 76 0.82 86 1.05 83 1.02
dπ 7.80 1.17 7.85 1.17 7.87 1.05 f5 1125 0.95 1385 1.06
N−R
f︐ 930 0.85 1225 1.15
1405
f 一 一 一1230
1.06.1.14
f,/f3 83 0.89 88 1.07 88 1.07
dη 7.75 1.17 8.15 1.17 8.20 1.10
シリーズに比しナゲット径は大となっているが,垂直引張 強さは低いことが明らかである。これはFig.14(b)におい ても見られるように,Fシリーズではコロナボンド部が形 成されていないこと,またNシリーズではコロナボンド部 は認められるが,その領域が狭いという,これらの事柄よ りFおよびNシリーズでは17サイクルという通電時間では 加熱不足と考えられる。
次に32および34サイクルについてみると,いずれもRシ リーズよりすぐれているが,同時間におけるRシリーズの 強度に対してF,Nシリーズでのその上昇率は,ナゲット 径の増加ほど向上してない。これに関して明確な結論は本 実験結果のみから導き出すことは困難であるが,熱影響変 質層の粗粒化,およびFシリーズについてはコロナボンド 部の不形成,Nシリーズについてはナゲット近傍まで割れ のような聞隙が細く伸びていることもその一因ではなかろ うかと考える。しかし,強度特性の比較はそれぞれの電極 形状における最適条件で行なうものと考えると,Table 1 における斜線部分について検討すべきと考える。
この考え方により結果を整理したのがTable 2である。
同表よりみると,引張せん断強さはナゲット径の増加にほ ぼ比例しているが,十字引張強さはナゲット径の増加ほど は上昇していない。したがってF・Nシリーズの延性比は Rシリーズより,わずか低下している。この点に関しては 今後の研究の必要があると考えられる。しかしながら,標 準的な溶接条件下での溶接においてもN形チップは,一般 に多用されているR形チップと同程度の継手強度,および F形チップによる溶接以上に圧痕の軽減が可能であること が明らかとなった。
Table 2 Comparision of strength for each series
Item
We一/d
Time
f3 f ft/fs
dn
一R 17
A.V 1180 1100 93 6.65
R.V 1.00 1.00
1. 00
1.00
F 32 A.V 1345 1160 86
7. 85
R.V 1.14 1.05
O. 92
1.18
N34
A.V R.V 1405 i 1.19
1230 88 8.20
1.12 O.95 1.23
fs :Tensile shear strength in kgf ft : Cross tensile strength in kgf ft/fs : Ductility ratio in % dn : Diameter of nugget in mm
A.V : Absolute value R.V : Relative value
ズ間の比較を容易にするため,各溶接時聞ごとにRシリー ズを基準として比の形で示してある。同表よりみると,溶 接時間の短い17サイクルの場合,FおよびNシリーズはR
4.結 言
本実験より得られた主な結果を要約すると,次のようで
ある。
① 本実験のため試作したN形チップの撒り発生限界 曲線 は,標準的なR形チップによるそれと差はなく,ほ
ぼ同一一一・と考えて良い。
② 標準的な条件での溶接に対するナゲット形状につい てみると,ナゲット直径は一部の例外を除けば,N形が最 も大きく,ついでF・Rの順である。
次に溶接部の圧痕については,R, F形とも溶接時間が 増すにつれ,クボミの深さは増加するが,30サイクル以上 では一定となるようであり,その値はR形の方が大であ る。しかしN形のみは他と異なった傾向を示し,溶接時間 が増すとともにクボミから盛り上りに変化する。これは通 電後の冷却過程による上下電極チップの熱伝導率の差に関 係すると思われる。
③ナゲット部のマクロ組織についてみるどいずれの 電極チップによるものも明らかな樹枝状晶が認められる。
ただ溶接時間が短い場合は,ナゲットと熱影響変質層が容 易に区別できるが,溶接時聞が長くなるとこれが判然とし なくなる。またナゲット先端にできるコロナボンド部は,
F形の場合その生成を明瞭に認めることができなかった。
④ 引張せん断試験・十字引張試験結果について総括的 に考察すると,溶接時間の短い場合はR−Rがすぐれてお り,溶接時闇が長くなるとF−R・N−Rの継手性能が向
上する。
⑤ 延性比が最大となる条件における各電極チップの組 合せでの継手強度を比較すると,Table 2のようになる。
これよりN−Rチップによる継手は溶接部の外観上から も,継手強度の点からも良好であり,標準的な条件程度の 電流値に対しても,圧痕の軽減が可能となることが明らか となった。
参 考 文 献 1)中根,善利:頓圧嘆のつかない電極チップ 日本溶接協会誌「溶接技術」
1973年3月号Vol.26 p.20〜23 2)中村,浜崎:tt点溶接におけるナゲット生成機構に関 する研究(第2報)
溶接学会誌
1968年VoL37 No.2 P.181〜187 3)中村孝,小林徳夫,森本一 共著
溶接全書8 抵抗溶接 1979 58 産報出版株式会社