パネル 2012年度せんだいメディアテークでの企画
著者 東北学院大学文化財レスキュ―班
URL http://id.nii.ac.jp/1204/00000324/
展覧会では、資料の情報を収集するために学生一人ひとりが来場者へ聞き書きを行 いました。この聞き書きという取り組みは、8 月に石巻市鮎川にある旧牡鹿公民館で 初めて行いました。今回は 2 回目ということもあり、8 月の時に比べあまり戸惑うこ となく来場者へ話しかけることができました。来場者によって反応はそれぞれで、自 ら率先して経験を語る人、聞き書きを断る人、ポツリポツリと感想を述べる人など、
いろいろな方がいらっしゃいました。
仙台展で来場したきっかけの多くが、「2 階にある図書館に行く途中に寄った」や「テ レビの放送を見て来た」「コンサートが始まるまでの空き時間に来た」などでした。
開催期間は 3 日間でしたが、本展覧会は朝の 9 時半から夜の 9 時まで行っていたので、
いろいろな人に聞き書きをすることが出来ました。日中はお年寄りが多く来場し、夕 方になると仕事帰りの人が展示に興味を持ったのか、立ち寄って下さいました。ただ、
一度にたくさん来場した時は、すべての来場者に話を聞くことが出来ないこともあり、
残念でした。
来場者によって展示の捉え方は様々で、展 示資料の番号を値段だと思って購入しようと する人、展示した資料の使い方を実演する人、
資料を見てそれにまつわる思い出話を語って くれる人、資料をスケッチする人など様々で した。その中でも来場者の多くが「これは何
だろう」と口々につぶやいたのは、大きなカゴの資料でした。これに対しては、生簀 や魚を採る道具など見る人によって様々な意見が出ました。
資料に関する情報を収集するという目的は鮎川展と変わりありません。本展覧会に おいても来場者の方々からは、資料に関するお話はもちろんのこと、自分自身のこと、
被災当時のこと、故郷のことなど、普段は耳にすることができない内容のお話を伺う ことができました。
鮎川展との違いとして、来場者間に生ま れた関係性が挙げられます。鮎川展では近 所に住んでいる、もともと友人であるとい う関係が多いためか、個人個人のつながり が強いという印象を受けました。仙台展で はそれぞれ別々の地域からお越しいただき つつも、来場者同士が昔からの友人である かのように展示物やその時代についての会 話を楽しんでいるようでした。あちらこち
らで新たな関係性、一時的な価値が生まれては消えてゆくという場がそこにありまし た。
今後、文化財レスキューは2年間という長いスパンをかけて行われます。最終的には、
展覧会を行いながら収集したデータと併せて石巻市に資料をお返しする予定です。そ のためにも、今後取り組まなければならない課題として、二次洗浄を終わらせる、燻 蒸 ( 殺虫 ) を行う、これまで集めてきた「聞き書きシート」をはじめとした様々なデー タを整理するなど、多くの作業が残っています。
これからも展覧会をはじめとしたレスキュー活動を行い、そこで得られたデータを 記録・整理するという一連の取り組みを継続していきたいと考えています。
展覧会での聞き書き 仙台展を終えて
鮎川での展覧会と異なる反応
来場者間の交流
大きなカゴの前での会話