平成24年度学位論文
初等音楽科における「音楽づくり」の研究
〜創造的音楽学習に基づく新たな授業計画の構築〜
兵庫教育大学大学院 学校教育研究科
教育内容・方法開発専攻 文化表現系教育コース
Ml 1184E
守山 繭子
目次
凡例
はじめに………・…・・………・・…・………・・…・………… ・1 第1章 創造的音楽学習の歴史………・一i一・…・………・・…・… ・3 第1節 創造的音楽学習の導入・展開・………・………・… ・3
第2節学習指導要領における「創作活動・音楽づくり」の変遷・・…・11
第3節 創造的音楽学習の評価について……・・……・…・………… …・17第4節 イギリスにおける創作活動のカリキュラム・・……… ・23
第■章 創造的音楽学習の授業実践………・・……… … …32第1節 イギリスにおける創造的音楽学習の教育実践…・…………・ ・32 第2節 日本における平成元年以降における指導展開例………一 ・44
第3:節 日本における平成20年以降における指導展開例…・……・… …・59 第m章 新たな授:業実践モデルの提示………・………一 …96 第1節 低学年における授業実践モデル…・………・……・………・…・ 一96 第2節中学年における授業実践モデル……・・…………・…………・…・…107
第3節 高学年における授業実践モデル……・…………・・……・・一一 一125おわりに………・6・…・………・……・…一・…………・・……… ・149 引用・参考文献及び資料………・………・・…・・………・……… 一151 謝辞…・………・…・……・…………・・………・…・………・…………154
凡例
1.署名には『』を付す。
2.直接引用については,文章中に「」を付す。
3.資料からの引用は,原則として原文のままとする。
4.人物名は最初に原語表記で記述し,2回目からはカタカナ表記とする。
5.第■章における授業計画の出典は引用・参考文献及び資料に記載することと
する。6.注は脚注とする。番号は章ごとに新たにする。
7.曲名には《》,個々の曲名には〈〉を付す。
記号について
本論文中に使用されている記号を1例で示すと以下の通りである。
I H m………和音記号はローマ数字(大文字)で表記する
はじめに
平成元年改訂の『学習指導要領「音楽」』において表現の(4)にアとイの2つの項目か らなる「音楽をつくって表現できるようにする。」という項目が設定された。従来の旋律創 作を中心とする創作活動を受け継いだアの項目に対して,イの項目は「即興的に音を探し て表現すること。」と記載されている。「即興的に音を探して表現すること。」とは音を探し たり選んだりしながら一定の様式にとらわれることなく自由な発想で即興的に表現する活 動,いわゆる創造的音楽学習を指していると考えられる。このイの項目が設定されたこと により,それまでの音楽科教育における創作活動に比べて学習活動の可能性が大きく広が ったと考えられた。実際に90年代の教育現場では一大ムーブメントとして盛大に創造的音 楽学習が授業に取り入れられ,様々な実践例が発表された。
しかし,創造的音楽学習は誰でも気軽に実践できるという発想から,論理が体系的に整 理される前に実践のみが乱発されるという現象が起こってしまった。その結果として教育 現場では大きな混乱が生じ,創造的音楽学習を基にした創作活動を学習活動に取り入れる ことを躊躇するようになっていった。音楽の専門的な知識がなくても実践でき,児童たち に気軽に楽しんで創作活動を行わせることができる,さらには,その音楽経験から音楽的 な基礎的諸能力を身につけさせることができる,という創造的音楽学習の本来の価値を十 分に発揮する前に日本における創造的音楽学習は失敗とされてしまったのである。
しかし,創造的音楽学習が完全に日本の音楽科教育から姿を消してしまったわけでは無 い。平成20年に改定された『学習指導要領 「音楽」』では「音楽をつくって表現できる ようにする」という文言は「音楽づくり」という文言に変更されているが,その内容は「音 あそび,即興的な表現」と「音楽構成を工夫した音楽づくり」となっている。創造的音楽 学習で浸透した「音あそび,即興的な表現」に「音楽構成を工夫した音楽づくり」という 新たな要素が加えられているのである。筆者はこの『学習指導要領』における創作活動の 変更に対して,なぜこのような変更が行われたのかという疑問と「音楽づくり」とはどの
ような内容を指すのか,という疑問を抱くようになった。
本論文では創造的音楽学習が日本に導入された経緯やその理念の拡大,学習指導要領へ の影響,そして「音楽づくり」への変更などの日本における創造的音楽学習の歴史変遷を 整理し,その変遷から小学校の音楽科教育における創作活動の現状と問題点を挙げる。ま た,創造的音楽学習が学習指導要領に取り入れられた平成元年以降の学習計画と創作活動 が音楽づくりと変更された平成20年以降の学習計画を考察し,その結果からも現在の音楽
科教育における創作活動の現状と問題点を挙げる。それらの問題点・改善点を基に筆者な りの授業プランを作成し,現在の音楽科教育における音楽づくりのあり方の一つを提示し
たい。
第1章 創造的音楽学習の歴史
劇1節 創造的音楽学習の導入と展開
1)創造的音楽学習の日本への導入
創造的音楽学習はカナダの作曲家であるマリー・シェーファー(R.Murry Schafer)が現 代社会における音の氾濫によって麻痺してしまった人々の耳の復権と従来の楽音以外の音 素材への視点の拡張を主張したことが起源と考えられる。マリー・シェーファーは1965年 からの10年間で音楽教育に関わる本を5冊,世に送り出している。即ち『教室の作曲家(The Composer in the Classroom)』『耳の掃除(Ear Cleaning)』『新しいサウンドスケープ(The New Soundscape)』『言葉が歌う時(When words sing)』の4冊とそれらの集大成として 書かれた『教室の犀(The Rhinoceros in the Classroom)』以上の5冊である。これらの本 の中で「①子どもたちが音楽をつくるために必要なものの発見,②環境音の紹介と世界の 音風景の音楽化,③あらゆる芸術が調和し発展できる中心の発見」(*1)それらの要素を通
してシェーファーが伝えたかったことは「あらゆる音を包括するサウンドスケープを導入 することで,学校の音楽プログラムを広げることは可能だろうか。私はそう考える。なぜ なら,これらの音の二つのフィールドはかつて緊密に繋がっていたし,今日でさえ関連し 合っているのだから。音楽は環境に侵入し,環境音は音楽のリズムやメUディに霊感を与
えることを,私たちは思い出さなければならない。」(*2)
しかし本書は学校教育における音楽科の教育実践を目的として書かれていないため,創 造的音楽学習の体系的な理論を述べた文献とは言えないが「彼のサウンドスケープの理念 は教育だけではなく、音との主体的な関わりを重視する音環境の問題の意識化に伴って国 際的にも影響を与えている。」(*3)とあるようにそれまで主に西洋音楽で非楽音と呼ばれて きた音に意識を向けるきっかけになったことは明白である。このシr・ 一一ファーの問いかけ に対してアメリカやイギリスでは様々な取り組みが行われたり,著書が発行されたりした。
その中でも1967年に発行されたジョージ・セルフ(George Self)の『教室の新しい音(New Sound Class)』は現在の創造的音楽学習に直結する書籍である。本書では「22曲のコンテ
ンポラリー・パーカッション作品が掲載されており、左から右へ流れる図表のような図形 楽譜は、今やもっともシンプルな図形楽譜のモデルの一つとして定着している。」(*4)
この書籍と共に創造的音楽学習の普及に一役を買ったのがジョン・ペインター(John Paynter)とピーター・アストン(Peter Aston)によって書かれた『音楽の語るもの一原
点からの創造的音楽学習一(Sound&Silence−Classroom Projects in Creaもive Musi()一一一)』
(以下S&S)である。本書が日本に創造的音楽学習が導入される契機になったと考えられる。
S&Sは36のプロジェクトで構成されている。S&Sの序論には「この本の主旨は,一定の 教科課程案を設定することでもなければ,一連の今日案を提示することでもない。以下の プロジェクトはただ学習作業の路線を示唆しているだけであり,創造的な音楽作りの考え 方を糸口として示したにすぎなかった。ここに示されたプロジェクトのどれかをもとにし て,子どもたちにたくさんの音楽を教えることのできる学習計画を自ら工夫していただけ ればよいのである。したがって,以下のプロジェクトは,それ自体で完全なものであると は言いがたい。むしろ私たちは,先生方がこれと同じようなプロジェクトを自ら作られる ことを望んでいる。」(*5)とあるようにこのS&Sは体系的な理論を述べたというよりは実 践を重視してその手本となるような例を列挙していったと考える方が正しいと考えられる。
「創造的音楽作り(Creative Music Making)とは、楽譜によってではなく、即興演奏によ って、音と沈黙を時間的に組織していく作業を言う。この作業を音楽教育の出発点として 位置づけし、その経験を通して作曲家作品にアプローチしていく音楽教育のシステムを提 示した本が《S&S》だったのである。」(*6)
このS&Sを邦訳しB本の音楽教育界に紹介をしたのが山本文茂と坪能由紀子である。本 書の邦訳・紹介により,それまで西洋の伝統的な作曲技法に基づいて行われてきた日本の 音楽教育における創作活動に大きな衝撃を与えた。なぜこのようなことが起こったかを考 えると,創造的音楽学習は児童主体の授業展開が行われることが挙げられる。それまでの 音楽教育における創作活動はある程度決まった形式の中で,児童が教師に先導されながら,
一つ一つの段階を踏んでいく中で作曲の能力を身につけていく,という形式の授業がほと んどであった。そのような授業形式に対して,創造的音楽学習は児童主体で授業が展開さ れ従来の「ふしをつくる」創作活動に対して「響きをつくる」ことに重点を置いていた。
よって,児童が音素材を自ら選定し即興で音楽をつくりあげていく,そのような経験を 重ねる中で,並行して学習している音楽の基本的な内容を具体的に取得していくというプ ロセスをたどることができると考えられた。その際に教師は指導をするという立場を取ら ずに児童とともに音を探す探究仲間として授業に参加するという形も,当時の音楽教育の 現場においては非常に新しく感じられたと考えられる。このように導入期における創造的 音楽学習は現代音楽の手法による音楽づくりに近いというイメージがあった。このような イメージから発展するように「現代音楽だけでなく日本や世界の民族音楽、ポップスなど 多様な音楽のあり方に迫る為の一一っのキーポイントが創造的音楽学習には隠されている」
(*7)という流れが現在の創造的音楽学習を掲載した教科書教材に受け継がれている。
このような創造的音楽学習を音楽教育に導入していく主要な動力源になったのが「音・
音楽・子どもの会」の活動がである。「音・音楽・子どもの会」は芦川聡,片山みゆき,坪 能由紀子,星野圭朗,若尾裕らが発起人となって1981年の11J月に発足した会である。こ の会には若尾の尽力により,マリー・シェーファーを名誉会員に迎えている。この会は現 在の子どもにとって本当の音・音楽とは何かを考え,また現在行われている音楽教育を再 び検討し直すために発足した。子どもにとっての音・音楽とは何なのか,ということを音 楽自体や一一般的な音環境の問題に接している,音楽科の教師のためだけではなく多方面か ら人々が集まり議論を重ねていく会にしていきたいという趣旨が会報の創刊号に書かれて いた。この考えを元に「音・音楽・子どもの会」は様々なワークショップ,本や楽譜の出 版,報告会や子どもを招いての創造的音楽学習のまとめとした発表会を行うなど活動は多 岐に渡っていた。
このような活動を通して山本文茂・坪能由紀子は創造的音楽学習の理論を中心に展開し ていったのである。よって,創造的音楽学習の導入はまずは理論的な側面から始まったと いえる。では,一体どのようにして実際の教育現場に創造的音楽学習が浸透していったの だろうか?それを考える上で重要になってくるのが創造的音楽学習を先駆的に実践した教 育者であると考えられる。まだ海外から紹介されたばかりの創造的音楽学習の実践を積極 的に行い,日本の教育現場にその実践例を多く紹介したのが星野圭朗である。星野は東京 学芸大学附属小学校の教諭であった。星野は1962年のジョン・ケ■・・一・一ジ(John。m.Cage),
オルフ(Carl Orff),ケートマン(Gunild Kee七man)の来日や1963年のISME(lnternational Society for Music Education)の東京大会に刺激を受け1979年にカール・オルフの理論を
日本の音楽教育に適応させた著書『オルフ・シュールベルク理論とその実際』を出版した。
これにより星野は日本におけるオルフ研究の代表的な地位を確たるものにするのである。
それでもなお,星野は次世代を担う子どもたちのための音楽教育を追求し続けた。星野が 求める音楽教育における創造性の中心的な思想は「日本の文化と伝統、そして民族の本質 に根差した音楽教育」と「いかなる音・音響をも音楽として組織できる能力を持たせる音 楽教育」の2つである。(*7)日本語からの表現を出発点と考えオルフの理論を日本の音楽 教育界への定着を計った星野にとっては前者の考えは必然的なものと考えられる。後者に ついては,後に出会った創造的音楽学習(CMM)に研究の対象が移行していく中で星野自 身によって加えた考えである。星野による実践は,後に展開されていく創造的音楽学習の 実践とは少し性格が異なっている。その原因を坪能は「①描写的な音楽作りがない、②作
曲家作品の鑑賞がない、③音楽構造への関心がない」(*8)としている。しかし星野が精力 的に実践を展開したことにより日本の音楽教育界において創造的音楽学習が定着したこと を考えると星野はやはり創造的音楽学習の導入期において非常に重要な役割を担っていた
と考えられる。この後,創造的音楽学習は精力的に実践が繰り広げられていくのである。
S&S以上に教育現場に創造的音楽学習を浸透させるために影響を与えたのが山本文茂と 松本恒敏の共著による『創造的音楽学習の試み一この音でいいかな?一』である。松本が 長年にわたって教育現場で培ってきた経験を活かして,創造的音楽学習を教育現場で取り 入れ実践する上で必要な方法論を,実践事例を通して紹介している。この著書の大きな功 績は創造的音楽学習を特殊な研究者が実験的に行う活動から,音楽経験の少ない教師が気 軽に授業に取り入れることができる実践対象に変えたことである。実際にこの著書が発行 された1985年あたりから日本の各地で創造的音楽学習の実践が行われるようになり,同時 に様々な教育雑誌において創造的音楽学習の特集が組まれるようになっていったのである。
創造的音楽学習を早い段階から特集を組むなどして紹介をしていたのが,すでに廃刊にな っている『季刊音楽教育研究』である。この雑誌は「日本の音楽教育研究を雑誌部門にお いてリードしていた。85年冬号(42号)の特集「創造的音楽作りとは何か」を初めとして、
たびたびCMMの特集が組まれた。」(*9)とあるようにかなり早い段階から創造的音楽学習 に着目していたことが分かるのである。一方で,坪能は創造的音楽学習における音楽ゲー ムの要素に注目し発展させていった。その成果を『教育音楽』にて「音楽ゲームで楽しも う」の連載をトレヴァー・ウィシャート(Trevor Wishar七)の『ミュージック・ファン』
を参考にしつつ,音あそびを授業に取り組む可能性とその意味・目的を明確にしていった。
また坪能はこの連載中に若尾裕と共訳で同じくトレヴァー・ウィシャートの著書である『音 あそびするものよっといで1・2』を世に送り出すなど非常に積極的に創造的音楽学習の 布教活動を行っていたのである。
このような多くの実践や書籍雑誌の特集などに支えられて1980年代の後半には日本の 音楽教育における創造的音楽学習への関心が非常に高まっていった。こうした教育界の大
きな変化の風を受けてついに1980年代の最:後に行われた第六次『学習指導要領』の改訂に おいて初めて以下の文言が導入されたのである。
A表現(4)
音楽をつくって表現できるようにする。
この事実は,これまでの様々な音楽理論が海外から取り入れられても教師が自主的に取り 入れて実践を行うにとどまり,学習指導要領には何の影響も見せていなかった日本の音楽 教育にとって,制度的な枠組みに創造的音楽学習の理念が組み込まれたことは非常に大き な変化・転機であると容易に考えることが出来るのである。90年代に入ると第六次『学習 指導要領』の影響もあり,創造的音楽学習は大きなムーブメントを迎えることになる。そ れまでは教育現場で抵抗があった,現代音楽の作曲手法による音楽づくりに対する抵抗感 も,だんだんと薄れていき定着する様子を見せるようになった。そのような教育現場の変 化も手伝い,この時期から創造的音楽学習は積極的に理論化や啓蒙活動が進められていっ たのである。
2)創造的音楽学習の理論化
創造的音楽学習の理論化を進めたのが,創造的音楽学習の日本への導入において第一人 者である山本文茂である。山本は創造的音楽学習の導入時から一貫してその理論化に情熱 を注いだ。山本は創作学習が,従来通りの「ふしをつくる」学習と創造的音楽学習の導入 によって新たに追加された「ひびきをつくる」学習の二本立てであるという考えのもと,
西洋の作曲技法を用いた旋律創作やふしづくり一本道のように「ふしをつくる」学習が,
かなり理論化・体系化されているのに対して,まだ理論化が進んでいなかった(体系的に 整理されていなかった)後者の「ひびきをつくる」学習の理論化を試みたのである。この
「ひびきをつくる」学習が目指すべき目標を山本は,〔表現媒体(音素材・表現手段等)〕,
〔音楽の構成要素(4つの音の属性と6つの音楽の構成要素)〕,〔形性原理(語法・技法・
音組織)〕,〔音楽様式感〕という4つの要素を児童が理解することであると主張した。山本 はその指導体系(学習内容体系)として「風車モデル」(*10)を提案した。それに伴い多様 な音楽文化の受容と継承を行うという立場から常に創造的音楽学習(つくる学習)に鑑賞 学習を位置づけさせる必要があると強調した。しかし,この山本の理論は非常に綿密であ るがゆえに,その実現には授業を実践する教師による徹底した理論の理解と高度な楽曲や その他音素材への分析能力,そしてそれらを授業に反映し,的確に児童に伝える力量が求 められた。このような高度な音楽への知識と技術を求められ,理論の実現は現場の教師た ちにとっては気軽に実践できる内容ではなくなってしまった。山本が当初に目指していた 音楽を苦手とする教師や児童でも気軽に取り組める授業内容という目標が達成できないこ とになってしまったのである。しかし,山本はその問題を解消するために『モノドラマ合 唱のすすめ一音楽教育の新たな構築に向けて一』を著し,山本自身が理想とする創造的音 楽学習の具体的な実践例を提案し,創造的音楽学習の実践的な広がりを助けたのである。
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一唱
図3学■内喜の棒系:子供は巳車のように力奄蓄える:く風草モデル》
区分 音
色・形 山山 動き 劇 区分 体鳴木質 体鳴
L音程 体鳴
ウ音程
気鳴リード 気鴫パイプ
弦鳴 膜鳴 電鳴
サの他 事例 音だけの
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視覚的な 烽フを統
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楽器例 木琴、
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ハーモニ J、鍵盤 nーモニカ
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ヴァイオ 潟刀A Mター、
O味線
バスドラム、
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電子オル Kン、シ 塔Zサイ Uー、声
a.表現手段:メディアの統合
●音の高低
●音の高ほと畏短
●黄骸の有無
●澗性の有無
●音域の冥目 むにオほ
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●フレーズの段落
律
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b.音素材
音や拍の予測
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●伯子 ●部分の関係
●変恰子 o反 復
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窃・…後・・
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速度
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音楽様式
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観点 a.歴史的 b.民族的 c,機能的 d,経験的 e形態的
区分 時代様式 個人様式 園民様式 地方様式 伝承性 噂門性 起川性 場 自傾性 美的性格 宗教性 演奏形式 演奏形態 楽器 手段
事例
古典本曲、
テ典派 ケ楽
ベートー 買Fン後 坥l式
日本音楽、
Cンド ケ楽
津軽
D三味線、
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ッ謡
1一カラ i日鋼)、
シ洋芸衛 ケ楽(楽謝
祭嘱r、
¥登師、
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木遮、
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]国歌
…長椅歌、
カ部省
・歌
忌物、
tーガ、
¥ナタ、
響詩
アポロン I・プア Eスト的
声明、
Rラール、
Oレゴリ Eス聖歌
残楽、
Iラトリオ、
響曲
三曲合奏、
j声四部
㍼・
尺八音楽、
Vタール ケ楽
歌舞伎、
Iペラ、
梶[ト
補足視点 いつ だれが どこで なんのために なにを どのように表現しているか
醐補 馨象Cぐ甚覆潤斉吾罵ぺ 串寓\マ︵契 O︶
3)創造的音楽学習の啓蒙活動
創造的音楽学習の導入において山本と対をなす存在が坪能由紀子である。創造的音楽学 習の理論化を進める山本に対して坪能は教育現場の教師に対する創造的音楽学習の啓蒙活 動に尽力した。まず坪能は1985年に出版された日本人による初の創造的音楽学習の実践本 である『創造的音楽学習の試み〜この音でいいかな?〜』に先駆けて1983年の文部省学習 指導要領準拠の音楽鑑賞レコード(中学校用)の『鑑賞指導の手引き』に手作り楽器によ る即興演奏と電子音楽づくりというような,2つの創造的音楽学習の実践事例を紹介してい る。さらにこれに続き,1985年目音楽鑑賞レコード(小学校用)のための『鑑賞指導の手 引き』では「みんなでいっしょに」という項目において,各学年のページで1つないし3 つの創造的音楽学習の事例を記すことが出来たのである。坪能は最初この手引きを作成す るに際して教科書会社で『鑑賞の手引き』を作成するように働きかけたが,創造的音楽学 習への理解が得られず,レコードの製造・販売会社である日本コロムビアによる『鑑賞の 手引き』となったのである。このことを受けて,坪能は90年代に創造的音楽学習に市民権 を獲得するべく破竹の勢いで啓蒙活動を行うのである。その活動は,主に教育雑誌への執 筆活動や音楽教師への啓蒙のためのワークショップの企画が挙げられる。執筆活動につい ては言うまでもなく,『教育音楽』に対しては80年代から現在に至るまでの創造的音楽学 習(音楽づくり)による29の連載の内,7つの連載が坪能によるものであり,全体の4分 の1が坪能による創造的音楽学習を軸とした実践例を挙げた連載なのである。他にも創造 的音楽学習に関する坪能の主要な連載を挙げると以下のようになる。
「①「三つの『音楽と文化』への旅『教育音楽小学版』1988年4月号〜1990年7月号
②キース・スワンウィック&ジョン・ティルマン著、坪能由紀子訳「音楽的発達の系統性 子どもの作品の研究1〜3」『季刊音楽教育研究』1989年61号〜1990年63号
③「世界の音楽に親しもう」『教育音楽中学・高等学校版』1991年1月号〜1994年7月号
④「創造者たちとの対話」『教育音楽小学版』1992年3月号〜1993年2月号
⑤ジョン・ペインター著、坪能由紀子訳『音楽を創る可能性』1994年音楽面面社
⑥「音楽をつくろう1『教育音楽中学・高等学校版』1995年6月号〜2000年6月号」
この中でもジョン・ペインターが著した『音楽を創る可能性』は,創造的音楽学習の生み の親であるペインターの創造的音楽学習に対する哲学を見事に邦訳している。これは坪能 自身が自らの解釈のみにとらわれず,創造的音楽学習を包括的に捉え,日本の教育現場に 普及させようとしていたことが分かる。また,ワークショップの企画に関しても坪能は教 育現場の教師に対した企画を1985年から2004年までに54回行っている。ワークショッ
プがその場限りで終わらないように,坪能はワークショップの内容と教育現場での実践を 有機的につなぐような工夫を毎回凝らしている。この中には,現代音楽を含む幅広い演奏 実績とユニークな教育プログラムをもつ,ロンドン・シンフォニエッタが来日した際に開 催されたワークショップも挙げられ,このワークショップの内容は坪能の尽力により日本 現代音楽協会の童楽に位置付けられたのである。また96年に約20名の日本の音楽教師が,
参加したロンドンにおけるロンドン・シンフォニエッタの教育プログラムは,坪能が教育 現場の教師たちの実践研究のために,国際的な規模でワークショップをと考え,独力で企 画し,以降の研究に大きな影響を与えたのである。坪能が創造的音楽学習の中でも自身が 命名をしたパターン・ミュージック(一定のパターンの組み合わせや反復による音楽の総 称)は取り組み易さや教材の簡易さにより,広く教育現場に取り入れられている実践の一 つである。
(*1)島崎篤子「日本の音楽教育における創造的音楽学習の導入とその展開」
『教育学部紀要文教大学教育学部第44集』 2010
(*2)R.マリー・シェーーファー!今田匡彦訳「音楽教育実践ジャーナルvol.9 no.1」2011.8
(*3)河口道朗『音楽教育史論叢i第皿巻(下)音楽教育の内容と方法』開成出版pp.610
(*4)河口道朗『音楽教育史論叢 第慶応(下)音楽教育の内容と方法』開成出版pp.611
(*5)ジョン・ペインター/ピーター・アストン,山本文茂/坪能由紀子/橋都みどり訳 『音楽の語るもの一原点からの創造的音楽学習一』音楽之七七1982pp。9
(*6)山本文茂「創造的音楽作りとは何か①「サウンド・アンド・サイレンス」を考える」
『季刊音楽教育研究no.30』1982
(*7)星野圭朗「二十一世紀に生きる子どもたちのために音で何ができるか」『教育音楽小学
版』音楽之友社1984年4月号
(*8)坪能由紀子「星野圭朗先生の実践とその意味」シリーズ音楽と教育②『音楽の発見一 「ミューズ的表現」一』音楽蔀戸社1977年pp71〜pp78
(*9)河口道朗『音楽教育史論叢 第皿巻(下)音楽教育の内容と方法』開成出版pp.619
(*10)山本文茂『モノドラマ合唱のすすめ一音楽教育の新たな構築に向けて一』音楽之西社 2000pp.177
第2節 学習指導要領における「創作活動・音楽づくり」の変遷
学習指導要領に創造的音楽学習が導入されたのは前項でも述べたように平成元年に 改訂された第6次学習指導要領である。本節では創造的音楽学習が音楽科教育において
どのような変遷をたどり,現在に至るのかを第6次学習指導要領から最:新の第8次学習 指導要領までの順を創作分野に限ってその変遷を簡単に見ていきたいと思う。
1)創作活動・音楽づくりの変遷
第6次学習指導要領(1989年改訂)目標:表現及び鑑賞の活動を通して,音楽性の基礎を培うとともに,音楽を愛好する心 情と音楽に対する感性を育て,豊かな情操を養う。
1980年代の坪能,星野の活動を受けて創造的音楽学習が教育現場で広がりを見せた。
その動きを受けて学習指導要領において初めて,小・中・高に一貫して創造的音楽学習 が導入された。
学習指導要領「音楽」の表現の(4)のイの項目に「音楽をつくって表現できるようにする」
という表現で創造的音楽学習が示された。
「音楽」の表現(4)の創作学習のアの項目には従来の旋律創作を中心とする西洋の伝統 的技法に関わる内容,イの項目が多様な音素材(非楽音とされたもの)による即興的表現 や自由な発想による創作(音楽づくり)といった現代音楽的技法(図形楽譜等)に関わる 内容の2本立てで構成されていた。創造的音楽学習はイの項目に含まれる(反映される)
考えられる。
イの項目(創造的音楽学習)を従来の創作学習との内容を明確に区別し,新たに創作分野 に導入するという意図があったが,教育現場への即興的な音楽表現・創造的音楽学習の理 論がしっかりと構築される前の段階で導入が行われたために子どもが創りだす全ての音楽 様式・表現を良とする傾向が多く見られ,教育現場ではその学習内容(題材)などで混乱 が生じた。
第7次学習指導要領(1998年改訂,2003年に一部改定)
目標:表現及び鑑賞の活動を通して,音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てる とともに,音楽活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う
第7次学習指導要領は中教審の数次にわたる答申を受けとめて,教育課程審議会の約2年 間の審議期間を経て出された答申が反映されている。
[特徴]
完全週5日制の導入・各教科領域にわたる学習内容のスリム化
ゆとりの中での特色ある教育の展開・小中高の全校種に総合的な学習時間の導:入
「生きる力」の育成のための重要な柱とされた
上記のような学校教育全体の学習内容や教育課程の大幅な改訂により,音楽科にもその 学習内容や学習方法について影響が及んだ。
また,「音楽科の改善」とされた基本方針の1つに個性的で創造的な学習活動の活発化 が掲げられた。創作学習においては第6次学習指導要領の基本姿勢を継承しており,教 育現場での混乱を受けて,アの項目とイの項目を明確に区別できるようにより具体的で 分かりやすい記述になった。
第7次学習指導にも創造的音楽学習を基とした即興的な音楽表現が引き継がれた背景とし て教育現場において,創造的音楽学習の実践が活発に行われ,浸透していったためである
と考えられる。
第8次学習指導要領
目標:表現及び鑑賞の活動を通して,音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てる とともに,音楽活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。
[特徴]
第8次学習指導要領ではこれまでの学習指導要領において指導内容などに相違がみられた,
小・中の内容構成の統一が試みられたことに加え,表現学習と鑑賞学習を結ぶ〔共通事項〕
が設けられたことが大きな特徴である。また日本の音楽や鑑賞学習,言語活動の充実と ともに「音楽づくり(中学校では創作)」という新たな文言の使用と充実が強調された。
*「音楽づくり」とは…児童が自らの感性や創造性を発揮しながら自分にとって価値あ る音や音楽をつくることく学習指導要領「音楽」解説編より〉
このことから,筆者は「音楽づくり」を創造的音楽学習とは区別して児童がレディネ ス(題材への知識・経験の獲得)を持ち,思考過程を経た経験創作をすることであると
考える。
また第8次学習指導要領では「音楽づくり」とともに「音を音楽へと構成する」ことが 強調されており,音楽の様式に着目した従来の音楽づくりから音楽の構造(仕組み)に着
目した創作へと転換を迎えたのが特徴である。
第7次学習指導要領から第8次学習指導要領における創作学習における改訂のポイントを 大きくまとめると以下のようになる。
〈創作学習の改訂のポイント〉
[第7次学習指導要領]
音楽の構造に着目した ggj#eygx$!sg
ムや旋律中心の一
、ut 従来の創作活動
変
化
[第8次学習指導要領]
変化
音あそび,即興的な表現 音楽構成を工夫した
音楽づくりこの「音あそび,即興的な表現」と「音楽構成を工夫した音楽づくり」はどちらも創造的 音楽学習の取り組みの一部と考えられる。よって創作学習にようやく創造的音楽学習の系 統が整理され,本格的に取り入れられたと考えられる。
4)創造的音楽学習の本質の理解の追求
90年代に起こった創造的音楽学習の乱発された活動の中には,テーマに沿った音(効 果音)を作り,そこで学習が完結してしまうものが多く見られた。日本の伝統音楽には 海外にはない自然を取り入れた表現が数多くある。そのため西洋音楽界の中で自然音へ の回帰を図った創造的音楽学習の理解が少々ずれて教育現場に伝わってしまった。その 為,このような授業展開が乱発された原因になったと考えられる。描写的な音楽づくり において効果音を作成する活動は創造的音楽学習の重要な活動の一つであるがその一 点のみに焦点を当ててしまうと創造的音楽学習の特徴である,音を総合的に判断すると いう特徴が無くなってしまう。
このことについて第8次学習指導要領では注意喚起を行う意味で以下のような文言を 学習指導要領「音楽」の表現の創作学習の欄に明記したのである。
(3)音楽づくりの活動を通して,次の事項を指導する。
イ 音を音楽へと構成すること
この文言を加えることによって文部科学省は音楽づくりの活動において単なる効果音 づくりからの脱却を図ったのである。しかし,これまで築き上げられてきた日本人の音 楽的感覚を否定するのではなく,効果音づくりから音の構成を考えた音楽へ発展させる
ことを狙ったのである。
「描写的な音楽づくり」
効果音を創る活動
「音響構成的な音楽づくり」
即興的な音楽づくりの活動
5)創造的音楽学習の活動と展開のまとめ
創造的音楽学習の導入と展開を以下の表にまとめた。表は時間軸に沿って「前史(創造的 音楽学習が日本に導入される前)」「導入期」「展開期」と日本における創造的音楽学習・音 楽づくりの流れが「海外の動向」「実践的展開」「理論的展開」「行政的展開」の項目でわか るように整理している。
表 く創造的音楽学習〉の導入と展開 ()は西暦年号
(音楽教育史学会編『戦後音楽教育60年』開成出版2006pp.290)
海外の動向 実践的展開 理論的展開 行政的展開
前 ・Coleman:αθθだyθ ・奈良女高師附小 ・幾尾純『私の音楽教育』
㎜5ゴ。(22) の実践(25・34) (33)
・第2次『学習
・Orff−Schulwerk ・オルフ,ケート ・木村信之『創造性と音 指導要領』(51)
(50 54) マン来日(62) 楽教育』(68) でく創造的音
史 楽〉を導入
導 ・Payn七er and ・星野圭朗『オル ・棚田国雄「創造的表現 ・第5次『学習
Aston:5b召ηげ3刀ゴ フ・シェーンベ 力育成に関する研究」 指導要領』(78)
α1θηoθ(70)〔山本 ルク理論とそ (86) ギいろいろな
文茂他訳『音楽の の実際』(79) 音素材による
語るもの』(82)〕 ・Swanwick:Music, 創作とその演
・松本恒敏/山本 Mind,and Education 奏」(高校「音
・Shafbr:7乃θ 文茂『創造的音 (88)〔野波健彦他訳 楽m」)を新設
1訪∫刀ooθ劉05加飴θ 楽学習の試み』 『音楽と心と教育』
αヨε3箔oo擢(75) (85) (92)〕
〔高橋悠治訳『教
室の犀』(80)〕 ・ペインター来日 ・松村麻利「イメージ形 ・第6次『学習
(91) 成を重視した創作指 指導要領』(89)
入 導」(89) で「つくって表
・中島寿『つくっ 現する」活動を
て表現する』 ・笹野恵理子「〈創造性育 新設
(92) 成を目指す音楽教育〉
評価の理論枠組み」
(90)
・高須一「創造的な音楽 活動と子ども中心学習 に関する一考察」(92)
・ソナーレ7巻『ひびき
期
をつくる』(92)
展 ・Paynter:5∂αηゴ ・星野圭朗『創っ ・小島律子「構成活動を ・第6次『学習
3ηゴ3か召。 π∬θ
て表現する音
中心とした音楽授業の 指導要領』完全(92) 楽学習』(93) 分析による児童の音楽 実施(93)
〔坪能由紀子訳 的発達の考察」(93)
『音楽をつくる可 ・島崎篤子『音楽
能性』(94)〕
づくりで楽し
・小泉恭子「創造的音楽もう』(93) 学習の社:会学」(94)
・Schafbr:θ加ηゴ
甜遅。編。η(92)〔鳥 ・谷中優『楽しい ・高須一「創造的音楽学 越けい子外訳『サ 音楽づくり』 習におけるく創造性育
ウンド・エデウケ (94) 成〉の再考」(94)
一ション』(92)〕
・坪能由紀子『音 ・中地雅之「日・懊学習
・英国:Nationa1 楽づくりの追
指導要領における音楽 Curriculum いディア』(95) づくりの比較研究」(92,95,99) (95)
・小島律子他『子
・米国 NationaI
どもの音の世
・竹井成美「音楽科教育開
Standars fbr Arts 界』(95) における即興表現・創 Education(94) 作の試み」(95)
・M・シェーファ
一/今田匡彦『音 ・山本文茂「戦後音楽科 ・第7次『学習 さがしの本』 教育の反省と展望」 指導要領』(98)
(96) (95),『モノドラマ合唱 で上記活動を
のすすめ』(00) 全面的に継承
・山本文茂『国語
教材によるモ
・中地雅之他「〈ことば〉ノドラマ合唱』 とく音楽〉による即興
(96) 表現の教育的可能性」
(03)
・山本文茂『音楽活動の かたちを広げる』〈小学 校音楽教育実践指導全 集〉第7巻(03):芸術
総合教育の理論と24
期 の実践事例を含む
第3節 創造的音楽学習の評価について
前節でも述べたように日本の音楽科教育において創造的音楽学習が導入され,多くの教 育現場において取り入れられ,実践が行われた。しかし,創造的音楽学習はその内容が完 全に体系化,または日本の音楽科教育の実態に合わせた形になっていなかったため,様々 な混乱が起きた。特にひどく混乱したのが評価についてである。創造的音楽学習が日本に 導入された平成元年以降は「みんな違って,みんな良い」という考えが主流になり,児童 が適当に音をかき鳴らす秩序の無い音までもが,良しと考えられていた。そのような事態 を受け,様々な研究や提唱がなされた。この節では評価の問題について様々な研究や提唱 を基に筆者なりの問題点を見出し,その解決策を模索し,後の章において発展させたいと
考える。
1)活動の具体レベルの構想
「一部では音楽づくりは『はいまわる教育』であるとまで言われた(*)」
(*高須一「豊かな学習活動と個に応じた指導の推進『音楽をつくって表現する』活動を 中心に」2004)
〈原因〉
・どのような音楽的諸能力にアブm一チすれば良いかが不明瞭
S一
・創造的音楽学習を通してどのような能力をつけることが出来るかが整理されていない
このことから児童に身につけさせたい音楽の基礎的な諸能力(学習の題材)が明確になら ないため,それに応じた具体的な活動が構成されないという現象が起こってくる。このこ
とは創造的音楽学習が教育現場で混乱を招いた最も大きな理由であると考えられる。
※音楽づくりを通して育成される能力は音楽をつくる能力だけではなく,音楽と関わる心 情や感性なども含まれる。
この問題を解決するためには指導計画を作成する際に,教授する「育成したい音楽的な基 礎的能力(評価の観点)」を明確にすることが必要であると筆者は考える。まずは,多様な 音楽的な基礎的能力の中から授業で扱う能力を抽出し,その能力を育成するための授業展
開を考える。そして能力を育成できているかを検討する評価基準を決定することが授業を 計画する際に必要な思考段階であると考える。
学習活動を実際に行う際の指導者が行う,具体的な授業構想を思考からのレベル順に列挙 して以下の図のようにまとめた。
音楽的な基礎的諸能力 文ク
「○○の能力」を抽出
並
能力を育成するための指導内容の考察・決定
量
○○の活動を実際に行う,○○を使用して授業を行う
@ 【活動の決定】
【育成したい力(評価の観点)】 豆
E音楽への意欲・関心・態度
E音楽的な知覚・感受や表現の工夫
E鑑賞の能力
2)創造的音楽学習を音楽科教育に導入することで挙げられる有効性
坪能氏が挙げる,創造的音楽学習を音楽科教育に導入することで挙げられる有効性は以 下の7つである。
(i)より創造的に音楽をつくるという活動を楽しむことが出来るようになる
侮)身のまわりのあらゆる音が「音楽づくりjの素材としてとらえられるようになる
(iii)西洋音楽だけでなく,あらゆるスタイルの音楽が取り入れられるようになる
(iv)楽器の奏法などの技術的な力,楽譜を読むカだけではなく,自分の創造性や個性 を伸長することが大切と考えられるようになる
(v)音楽嫌いの子どもたちが「音楽づくり」では,生き生きと参加し,音を通じて音楽 でしかなしえないコミュニケーションを深めることができる
(vi)「音楽づくり」を通して,音楽の構造がクリアに理解できるようになる
(皿)他の音楽活動,音楽への理解や演奏などに確実に影響を与える
(*坪能由紀子 「邦楽器で音楽をつくる一音による新しいコミュニケV一一・Lションをもとめて
一] 2001)
この7つの要素の中で特に注目したいのは(i)より創造的に音楽をつくるという活動を 楽しむことが出来るようになる,(iv)楽器の奏法などの技術的なカ,楽譜を読むカだけで はなく,自分の創造性や個性を伸長することが大切と考えられるようになる,(vi)「音楽 づくり」を通して,音楽の構造がクリアに理解できるようになる,である。(i)について は専門的な知識(楽典や和声)が無くとも曲(表現)を作れる創造的音楽学習はとても理 にかなっていると考えられる。それに追随して(N)についても読譜能力や演奏技術をそ
こまで必要としないため,自分なりの作品を創ることの重要性に児童に気づかせることが できると考えられる。しかし,全く音楽経験や音楽的知識・技術がない状態で自分の表現
をしたいと思ったとしても,思った通りの表現ができるとは限らないのである。そのよう なことを考慮するとやはり,創造的音楽学習(音楽づくり)においても音楽的な基礎的諸 能力を育成することは必要であると考えられる。
3)音楽づくり(特に創造的音楽学習)で身につけることができる音楽的諸能力
音楽づくりの活動を通してどのような音楽的な基礎的諸能力が児童の身につけることが 出来るのかを考える際に,まずは「小学校学習指導要領解説音楽編」に明記されている内 容に注目する。「小学校学習指導要領解説音楽編」に記載されていることをまとめると以下 のようになる。児童が感じたことや心に描いた思いを,自ら声や楽器で表現して伝えたり,演奏の よさや音楽の美しさを感じ取りながら,主体的に聴いたりすることができる能力
・表現している音楽に自らの意志や意図を持って工夫すること
・また,音楽を聴いて自らの意志や意図を持つこと
児童が音楽を表現したり,鑑賞したりする活動を含む全ての「児童が音と関わる活動(=
音楽科教育)」は「創造」というキーワードを中心として音楽の全てを構成されていると考
えられる。
「音楽的な基礎的諸能力」とは?
児童が意思や意図を持って音や音楽そのものと関わり,音の属性や音楽の諸要素を感受 したり,音や音楽の表現を工夫したりすること,それらを基盤として新たに音や音楽を創 造することができる能力のことであると考えられる。
音楽科教育において学習できる「音楽的な基礎的諸能力」は今述べた通りであるが,「音 楽づくり(創造的音楽学習)」において特に育成ができると言われている「音楽的な基礎的 諸能力」は以下の4つであると考える。
〈創造的音楽学習によって育成できる音楽的な基礎的諸能力〉
①音それ自体+音の操作能力(音を探したり,つくったり,組み合わせる等の能力)
②音楽の表情+音楽の表現能力(強弱の付け方,速度の変更,音から音への動きの 付け方等の能力)
③音楽の構造+音楽を一貫性のあるものにする能力
④他者と共に演奏する技能(拍にのる,他者の音を聞く,声を合わせる等)
細具 ェ体
サ化
、 −①音の属性に気付く能力
②音を探す,選ぶ能力
③音を組み合わせる能力
④音楽の構造(諸要素)に着目する能力
⑤音楽の構造(諸要素)を操作する能力
⑥音楽に表情を付ける能力
⑦音楽を一貫性のあるものにする能力
⑧他者と共に拍や音を合わせて演奏する技能
これらの「音楽的な基礎的諸能力」を各学習活動に合わせてピックアップし,指導内容を 構成していく,さらにその「音楽的な基礎的諸能力」が児童の身に付いたかどうかを授業 の評価の基準とする。この過程を経て音楽づくりの授業内容・指導内容を構成していくこ とが重要であると考える。このような音楽づくりにおいて身につけさせる「音楽的な基礎 的諸能力」を基にして指導内容を考えると以下のようにまとめられる。
〈音楽づくりにおける指導内容〉
音そのもの
西洋クラシックにおける音楽の要素
(リズム,メロディー,ハーモニー,
等)
音楽の構造
(ドローン,オスティナ・一一一ト,
オ・・一・ナメンテーション)
これらの指導内容に沿って学習活動を計画し,児童に指導をする際に音楽づくりという方 法を取ることによって注意しなければならないことが出てくると考えられる。それは児童 に音楽づくりの学習活動をさせる際に,「どのような音楽的な基礎的諸能力を身につけさせ,
その能力をどのように用いて音を音楽へと構築させるのか」,「創作活動とほかの音楽活動
(歌唱・器楽・鑑賞)とどのように関連を図ることが児童の音楽科の学力を育成する上で 有効なのか」という2点であると筆者は考える。これらの視点を指導者(二教員)が持ちなが
ら指導内容を構想していくことが必要なのである。
第4節 イギリスにおける創作活動のカリキュラム
創造的音楽学習においてイギリスは発祥の地であり,現在でも様々な先駆的な活動をお こなっている。本節ではそのイギリスにおける創作活動のカリキュラムを見ることで,日 本のカリキュラム(学習指導要領)との差異を明確にすることを目的とする。
(注)イギリスにはイングランド,ウェールズ,スコットランド,北アイルランドの4 つの地域があり,これらの地域の教育課程においては多くの共通点があるが,そ れぞれの教育伝統および教育制度が異なっている。そのため今回はイングランド の教育課程に着目することとする。
1)イギリスの初等中等教育制度
現在の教育課程は1997年に改訂された第2次改訂国定教育課程に基づいて各学校で教育が 行われている。国定の教育課程は,1988年の初版→1995年第1次改訂版→現在試行され ている第2次改訂版となっている
初等攣校6隼 (5歳〜11歳)
1キv…ステージ1(5〜7歳)
1キーステ・・…ジ2(7〜11歳)tt
「噸鳳パ噛響芹….一・生・・
レ ヨ っ じロリ
N11歳〜16歳)
鴇二;コ錦願
」 捌1■圃圏■■翼翼幽■幽冥i■幽■■■■■幽噛幽■.
※学年をまたいで義務教育の段階として設定されたのがキーステージ(教育段階)である。
教育段階 学年 年齢
第1教育段階(キーステージ1)
初等教育 第1〜2学年
5〜7歳 第2教育段階(キーステージ2)第3〜6学年
7〜11歳 第3教育段階(キーステージ3) 中等教育第7〜9学年
11〜14歳 第4教育段階(キーステージ4)(*) 第10〜11学年 14〜16歳〈全教科に共通した指導する内容〉
「音楽の学習を通して子どもの精神的,道徳的,社会的,コミュニケーション,数の適用,
IT等の技能,他の人と協力し,自身の学習やその成果を高め,問題解決をしていくため の技術の習得を促進していく。」と明記されている。また,「思考力の育成,プロジェクト
①音楽科の学習内容(第2次改訂版ナショナル・カリキュラム)
音楽科は初版の国定教育課程から常にキーステージ1,キーステージ2,キーステージ3に おいて必修教科として位置付けられている。
*キーステージ4では音楽科は選択教科になる。キーステージ4で音楽を選択した生徒は 義務教育終了時の16歳で行われる『中等教育資格試験』:GCSE(General Certificate of Secondary Education)の音楽シラバスにそって授業が行われる。配当授業数・時間数は各 学校の裁量に任せて編成される。
〈学習プログラムの教育段階〉
学習プログラムは教育段階別に設定され,その修了時に到達すべき目標が示されている。
到達目標は教育段階とは別に8つのレベルで設定されている。各教育段階において望まし いレベルが示されている。レベル8の上には才能のある生徒のための「発展的レベル」が 設定されている。
到達目標
教育段階(キーステージ)レベル1
レベル2
iろア1ジ
レベル3
︸レベル4 \7
キ iス1テr 1ジ 2
嘱
、訓監
レベル5
▼
幽趣⁝聖︳
レベル6 \/
爆
コ﹃ レベル7藍
w ▼ ▼
響1− 1
1 レベル8
モ武F}..{ 1懸盤レ疲が伽殉π
̀
F .
fCSEの音楽のシラバスにそった内容
@ ピ・、一し・血. る 詠・・盛.
〈学習内容〉
学習内容は「知識,技能,理解」と「さらなる学習の発展」の2つに大別される。「知識,
技能,理解」はさらに「演奏技能」「作曲技能」「価値判断(鑑賞)技能」「聴取,及び知識 と理解の応用」の4つの項目に分けることができる。
知識・技能・理解 さらなる学習の
発展
演奏鼓能 作曲三態 価値判断
(鑑賞)技能
聴取,及び 知識と理解
の応用
統合的な学習
日本の音楽科における 領域と対応する構成要素
2)音楽科教育の評価について
教師はキーステー一t一ジごとに生徒一人ひとりがどのレベルまで到達しているかを評価する。
その際に生徒の音楽の学習への取り組み方や実際の演奏などを到達目標に示されている基 準と対応させて,その生徒がどの段階(レベル)にいるのかを判断していく。その際に重 要になるのは日本のように単元ごとに評価(日本で言う通知表の数的評価を指す)を行う のではなく,各キーステVジ終わりに年間を通した授業の修正として評価を行う点である。
よって蛍元ごとの評価は教師による文章表記の評価に留まる(状況把握といっても差し支 えないと考えられる)。
各キーステ・一一・ジで達成をしておきたいレベルは下記の表に表した通りである。そのレベル にもかなり幅があるが,標準としてはキーステージ1の場合,レベル2と考えられている。
キーステージ2では,レベル4が望ましいと考えられている。キーステージ3では,レベ ル5または6が望ましいとされている。
キ・一…ステージ4において音楽を選択した生徒はGCSE(中等教育一般修了試験)の取得を 前提としており,その基準(「音楽のためのGCSE教科基準」)に沿った授業が行われてい る。試験の評価基準は8段階(A*,A〜G)ありA*からFまでが合格とされている。
②学習プログラム(抜粋)
<キーステージ1>
・音楽的なアイディアをつくり、発展させること一作曲技能 a音楽的なパターンをつくる方法。
b 音や音楽的なアイディアを探求したり,選択したり,まとめたりする方法。
・聴取と,知識と理解の応用
b ピッチや長さ,ダイナミクス,テンポ,音色,テクスチュアー,沈黙等の音楽の結合 された諸要素を簡単な構造で表現豊かに構成し使用できること(例えば,開始部,中 間部,終結部)。
c音を様々な方法でつくる(例えば,声を出したり,手拍子をしたり,楽器を使ったり,
周りのものを使ったり),与えられたり創意工夫したサインや記号を使って音を表した りすること。
・ 物唄呼今勤楠劇鴎
・音楽的なアイディアを創造したり発展させること一作曲技能
a演奏の際に,リズミックでメロディックな素材を発展させながら創意工夫する方法。
b 音楽的な構造の中で,音楽的なアイディアを探究し,選択し,結合し,組織化する方法。
・聴取と,知識と理解の応用
b ピッチや長さ,ダイナミクス,テンポ,音色,テクスチュア・一一・,沈黙等の結合された音 楽的諸要素を音楽的な構造に組織化すること(例えば,オスティナート),そして様々 な方法や効果を使ってコミュニケーションが取れるようになること。
c音楽が様々な方法でつくられる方法(例えば,ICT等も含んだ様々な資料の使用を通し て)や,音楽を関連性のあるすでに確立された記譜法や創意工夫された記譜法で表す方 法。
\キーステージ3、
・音楽的なアイディアを創造したり発展させること一作曲技能
a演奏する際に音楽的アイディアを探究し発展させながら創意工夫する方法。
b 音楽的な構造や所与のジャンル,様式,伝統的な作品の中で素材を選択したり結合させ ながら,音楽的なアイディアをつくりだし,発展させ拡大する方法。
・聴取と,知識と理解の応用
b 音楽的な要素や工夫,調性,構造等の表情豊かな使い方を確認すること。
c選択されたジャンルや様式,伝統的な作品の中で,ICTや五線譜,関連する記譜法を使 回しながら,素材や慣習,家庭と方法を確認すること。
※イギリスの国定教育課程では以下の方法(内容)を教授されなければならないという 文言が用いられている。