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受賞報告 山岸俊男先生

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Academic year: 2021

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20  日本心理学会国際賞特別賞は国内の心理学界におい て、最も栄誉ある賞である。歴代の受賞者を見ても、我 が国を代表する心理学者が並んでおり、山岸俊男教授が これまで行ってきた研究は、日本にとどまらず世界の心 理学界に与えたインパクトが如何に大きいかがわかる。 山岸俊男教授はこれまで、信頼の日米比較に関する研究、 社会的ジレンマ問題の解決に関する研究、そして、近年 では、人間の行動や心理は、社会的環境に適応するかた ちで備わっているという進化論・適応論的アプローチを とることによって、人間の利他性、公平感などの研究を 行ってきた。それら一連の業績は、経済学、人類学といっ た心理学以外の社会科学分野のみならず、生物学、神経 科学といった自然科学分野においても大きな影響を与え ている。  また、日本人が強く持つ「悪評を回避したいという戦 略」が日常の何気ない行動(残り一つの物を取るかどう か)に影響を与えていることを示した研究は、心理学 において有力誌の一つである Psychological Science 誌 へ掲載され、同時に、2008 年に Science 誌の Editor’s Choice として紹介された。また、数百人の学生サンプ ル、及び一般人サンプルを対象にした行動実験を行うこ とによって、他者から馬鹿にされた際にやり返す人は、 公正さ(fairness)を追求しているわけでなく(Yamagishi et al, PNAS, 2009)、むしろ非協力的な傾向を持ってい ることを示した(Yamagishi et al, PNAS, 2012)。これ ら PNAS 誌へ掲載された 2 つの論文は、近年において、 人間の利他性の進化的起源を明らかにする研究分野で大 きなインパクトを持つモデル(強い互恵性モデル)を真っ 向から否定する内容であり、このモデルの妥当性に一石 を投じるものであった。山岸教授は現在、玉川大学脳科 学研究所において約 500 名の一般人サンプルを対象に した実験を行うことで、人間の利他性に関する理論の検 証、そして新たな理論の構築を進めている。また参加者 の脳画像を撮像することで、社会行動と関連する脳部位 の特定も進めている。研究プロジェクトの規模の大きさ を考えると、これまで以上にインパクトを持つ研究結果 が生まれるのは間違いないだろう。  山岸教授の講演を聞くと、その実験が示すデータはと ても生々しく血が通っているなと感じることが多い。実 際の人間社会がそこに展開されており、リアルさを感じ る。そして、そのリアルさは聴衆に対して大きな説得力 を生む。山岸教授は、切れ味抜群の日本刀のような鋭さ を感じさせ、傍で見て時として畏れを感じると同時に、 超えなくてはいけない山の大きさを日々感じている。        (脳科学研究所 高岸治人) 受賞報告 受賞記念講演の様子 平成 25 年度 第 8 回日本心理学会国際賞特別賞 受賞者:山岸 俊男 受賞理由:北海道大学および玉川大学脳科学研究所で行われた 人間の社会行動(利他性・公平感・信頼)に関する実験研究に対して

山岸俊男先生

日本心理学会国際賞特別賞受賞によせて

社会心理学実験室での 実験の様子 (上・下とも/玉川大学)

参照

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