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山岸文庫本『霞舟先生詩集』 (調査報告28)

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(1)

山岸文庫所蔵﹃霞舟先生詩集﹄十四巻十四冊は浅野梅堂によって筆写・校合されたもので、従来唯一の完本とされてき

たものである︵以下、山岸本と略称する︶。その内容は揖斐高﹁霞舟先生詩集﹂︵﹃日本古典文学大辞典﹂︶に詳しく紹介さ

れているので、ここでは取り上げないことにする。ところが都立中央図書館に二十冊からなる﹁友野霞舟詩文稿﹂と仮題

された友野霞舟の自筆稿本が所蔵されていて、その内の十四冊が﹃霞舟先生詩集﹄の原本であることが判明した。その内

容は次の通りである。対比のため下に山岸本の巻立を記した。

南澗嘘稿一山岸本第一巻

遠江集二同第二巻

行楽集三同第三巻

玉川集四同第四巻

天傭集五同第五巻

調査報告二十八

山岸文庫本﹃霞舟先生詩集﹄

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(2)

霞舟文藁

霞舟文藁

両者を比較すると山岸本は﹁霞舟吟巻十一﹂を欠いて筆写されていることがまず判明する。﹁霞舟吟巻十こは表紙

に﹁起天保辛丑正月止壬寅癸卯正月﹂とあり天保十二年正月から天保十四年までの詩集である。山岸本が﹁霞舟吟巻十

東毛勝乗

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十四

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第十一巻

第十二巻

第十三巻

第十四巻

第 第 第 第 第

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巻 巻 巻 巻 巻

(3)

こを欠いてしまった理由としては、山岸本第一巻の巻末に﹁辛丑暮春校了受業弟子長詐﹂という浅野梅堂の識語がある

ことから、第一次の筆写が天保十二年三月に行われ、次の筆写が時間を隔てて行われたため、次の筆写時に﹁霞舟吟巻

十一﹂の所在が一時的に不明になっていたためであろう。

次に﹁霞舟吟巻十四﹂を山岸本第十三巻と比較すると﹁霞舟吟巻十四﹂にある、霞舟とは異なる筆跡で記された

﹁病中作﹂と題する七言律詩と﹁霞舟嘘稿拾遺﹂が山岸本第十三巻には欠けている。﹁霞舟嘘稿拾遺﹂は﹁不肖鑑吉纂輯﹂

と記されているので、霞舟の子供によって編蟇されたことが知られる。そして﹁病中作﹂も﹁此詩係六月廿日作轆先考易

寶前五日﹂という注がつけられているので、霞舟が没した嘉永二年六月二十四日以降に鑑吉により加えられたことが判明

する。﹁病中作﹂の直前の詩は﹁初夏﹂と題するものである。したがって山岸本の最後の筆写が行われたのは少なくとも

嘉永二年四月以降の事ということになる。さらに﹁霞舟吟巻十四﹂・山岸本第十三巻はともに﹁起丁未正月尽己酉六月﹂

と記されていることから、山岸本の第二次の筆写は嘉永二年六月以降におこなわれた事が明らかになる。

両者の最大の違いは第二巻の﹁遠江集﹂に承える﹁寄山叔和﹂という詩が異なっていることである。山岸本の当該箇所

を︵図1︶に示した。それに対し、自筆稿本は次のようになっている。

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傍線部が異なるのは、実は自筆本には貼紙による訂正があり、山岸本筆写時には︹︺の部分の貼紙が残っていたが、そ

れ以後に剥落してしまったためである。

また第六巻の内題は、自筆本は﹁庚寅詩稟﹂とあるのに対し、山岸本は﹁幻玉集﹂と改めてある。この原因については

不明である。

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(4)

体裁

丁数

印記

補記

ここで問題になるのが山岸本第十四巻である。﹁霞舟先生詩集附録詞余十四﹂

と題されたこの巻は、霞舟の没後に浅野梅堂の手元にあった霞舟の詩を集めて編纂されたもので﹁霞舟吟稿拾遺﹂と同じ

性格のものであるが、その内容は異なる。

文芸資料研究所では山岸本﹃霞舟先生詩集﹄全巻の紹介を企てたが、自筆稿本が発見された以上、その紹介は自筆本に

よっておこなわれるべきであると考えた。そこで山岸本の性格を明らかにすると共に、﹁霞舟先生詩集附録詞余十四﹂を

影印により紹介することにした。

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半紙本一冊。縦二三・五糎、横十六・三糎。

八丁。

﹁山岸文庫﹂︵山岸徳平︶

朱にて校訂が施してある。

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参照

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