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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

( 眞 中 章 弘 ) 印

(学位論文のタイトル)

Comparison of 16S ribosomal RNA gene sequence analysis and conventional culture in the environmental survey of hospital

(病院環境の細菌同定における細菌培養法と16S ribosomal RNA遺伝子解析法の比較)

(学位論文の要旨)

医療施設において院内感染が発生した場合、一般に通常の培養法を用いた環境 調査が行われている一方で、遺伝子解析法を用いた微生物検出法による環境や生 体の細菌叢の解析において、培養可能な微生物の何倍もの培養不能な微生物が存 在することが判明している。細菌同定に最も一般的に用いられる標的遺伝子は、3 0Sリボソームサブユニットの一部をコードする約1,500bpの遺伝子である16S rRNA 遺伝子である。16S rRNA遺伝子解析法は、細菌分類ツールとして広く用いられて いるだけでなく、細菌同定のための有用な手段としても利用されている。汚染さ れた病院環境に関する正確な情報を得るためには、培養に依存しない方法を用い た微生物の再評価が必要であると考えられる。

本研究では、群馬大学医学部附属病院において、Acinetobacter sp.が複数の患 者から分離された病棟(A病棟とB病棟)の環境調査として培養法および16S rRNA 遺伝子解析法を用いて調査した。これらの方法から得られた分離菌の種類、病院 環境内での分布結果を比較し、16S rRNA遺伝子解析法が感染制御に関して有用で あるか否かを検討した。

検体採取場所は、Acinetobacter sp.を分離した患者の臨床経過から推定される 感染経路や汚染範囲を考慮して決定した。その結果、A病棟では病室、B病棟では 浴室を中心に調査した。それぞれの環境検体は、同一箇所から滅菌綿棒を使って 同時に2回採取した。1本は通常の培養法(好気培養、嫌気培養)を用いて解析し、

もう1本は、16S rRNA遺伝子解析法を用いて解析した。16S rRNA遺伝子解析法は、

環境検体を採取した滅菌綿棒から直接DNAを抽出し、抽出したDNAの16S rRNA遺伝 子を標的としてPCRを用いて増幅した。次に、PCR産物をプラスミドベクターに挿 入しクローンライブラリーを作成した。クローンライブラリーから無作為に選ん だ15クローンをシークエンスし、データベース;Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)を用いて相同性から菌を同定した。

A病棟の病室、スタッフステーションでは、培養法では14サンプル中2サンプル しかAcinetobacter sp.が検出されなかったが、16S rRNA遺伝子解析法では、14サ ンプル中7サンプルからAcinetobacter sp.を検出した。スタッフステーションで

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博士課程用(甲)

は、培養法はAcinetobacter sp.が検出されなかったが、16S rRNA遺伝子解析法で は3つのサンプルからAcinetobacter sp.が検出された。また、培養法では同定さ れなかった嫌気性菌など様々な細菌が、乾燥した環境表面から16S rRNA遺伝子解 析法によって同定された。一方、16S rRNA遺伝子解析法では検出できないAspergi llusが培養法で検出された。

B病棟の浴室では、培養法では7サンプル中4サンプルからAcinetobacter sp.が 検出され、16S rRNA遺伝子解析法では、7サンプル中6サンプルからAcinetobacter sp.を検出した。2つのサンプルでは、16S rRNA遺伝子解析法でのみAcinetobact

er sp.が検出された。また、16S rRNA遺伝子解析法では、バスルームのシャワー

ヘッドからも培養法では検出できなかった細菌を検出した。一方、16S rRNA遺伝 子解析法では検出できない真菌が培養法で検出された。

本研究では、16S rRNA遺伝子解析法は、通常の培養法よりも特定の細菌を検出 する感度が高く、病院環境中には培養法で検出されなかった嫌気性菌などの細菌 も多く検出され、16S rRNA遺伝子解析法は、成長が遅く、生化学的に不活性な細 菌を検出するのに特に有用であると考えられた。

分子生物学的解析法によって、今までに認識されていない病原体による日和見 感染症の存在を示唆する報告がある。また、分子生物学的解析法は感染症の病原 菌の探索にも用いられ、通常の培養法よりも高い検出率が報告されている。

今回の結果は、培養法単独では病院環境の汚染の範囲を十分に把握できない可 能性があり、従来の培養法ではわからなかった汚染の範囲を同定するのに16S rRN A遺伝子解析法が有用である可能性を示唆している。 院内アウトブレイクが適切 に制御できない場合などにおいて、分子生物学的解析法は、培養法と相互に補完 することで、病院環境における環境調査のための有用なツールとなり得ると考え られた。

参照

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